説明

取引タイプ判別装置

【課題】投資家等の過去の取引履歴データについて勝ちトレードを抽出し、その勝ちトレードに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って投資家等の取引タイプを決定してユーザー端末の画面に表示する。
【解決手段】ユーザー端末3を介してユーザーから入力される過去の取引履歴データ又は外部システム4から提供されるユーザーの過去の取引履歴データを取り込んで記憶する取引結果蓄積部5と、取引結果蓄積部5から読み出した前記ユーザーの過去の取引履歴データについて勝ちトレードを抽出し、前記勝ちトレードの取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って前記ユーザーの取引タイプを決定するテクニカル分析マッチング部6と、テクニカル分析マッチング部6から取り込んだ前記ユーザーの取引タイプのデータを表示処理してユーザー端末3側に送出するデータ表示回路部7とを備えて成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば外国為替、株価等のように変動する資産価格に関する投資家等の過去の取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って特定の投資家等の取引タイプを決定する取引タイプ判別装置に関し、詳しくは、特定の投資家等の過去の取引履歴データについて勝ちトレードを抽出し、その勝ちトレードに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って特定の投資家等の取引タイプを決定してユーザー端末の画面に表示する取引タイプ判別装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、投資家等が、例えば外国為替、株価等のように変動する資産価格を対象として売り買いの取引を行う際は、一定の取引ルールに基づかないでその人又はその時の感性に基づいていわゆる「裁量取引」を行っている場合が多いのが実情である。このような場合、ある時の取引により利益を得たとしても自分に合った取引手法は見つかっておらず、以後の取引において必ずしも利益が出るとは限らない。
【0003】
これに対して、例えば外国為替についての自分の取引に関して自分に合った取引手法を知るために、為替取引に関する複数種類のテクニカル分析手法を学び、理解して、自分の過去の為替取引についてテクニカル分析を実施し、自分に合った取引手法を見つけるように努力していた。しかし、為替取引に関する複数種類のテクニカル分析手法を学び、理解することに時間と労力を要するものであった。また、複数種類のテクニカル分析手法の入替えを繰り返すことで、自分に合った取引手法のテクニカル分析手法を見つける必要があった。そして、継続的に為替取引を行う間に損失が増大してくると、前記見つけたテクニカル分析手法について疑義が生じ、改めて自分に合った取引手法のテクニカル分析手法を見つける行為を繰り返し行う必要があった。したがって、投資家等が、例えば外国為替取引について自分に合った取引手法を見つけるのに、多くの時間と労力を要し、その間に損失が大きくなるリスクも存在していた。
【0004】
このような状況に対処して、例えば株、穀物や貴金属などのいわゆる先物取引において、自らの取引の量やタイミングについて他人の取引データを参照しながら決定し、取引を行える取引データ閲覧装置が提案されている。この取引データ閲覧装置は、取引の注文を処理する取引処理手段と、その取引処理手段が処理した取引履歴データを取引者ごとに蓄積する取引履歴データベースと、取引履歴データを客観的な指標データと比較演算して取引分析データとする分析演算手段と、特定契約を済ませた取引者に対して取引分析データの閲覧を可能とした取引分析データベースとを備えて成っている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このような特許文献1に記載の取引データ閲覧装置では、取引処理手段が取引の注文を処理し、その取引履歴データが取引者ごとに取引履歴データベースへ蓄積され、分析演算手段が客観的な指標データと比較演算して取引分析データとし、取引分析データベースへ蓄積して、特定契約を済ませた取引者は、取引分析データベースにアクセスし、他人の或いは自分の取引分析データを閲覧することができる。これにより、自らの取引の量やタイミングについて、他人の取引データを参照しながら決定し、取引を行うことができる。
【0006】
また、他のシステムとして、ネットワークを介して株式や債券などの金融商品を取引するオンライントレードシステムにおいて投資家に取引に関する情報を提供する取引システムが提案されている。この取引システムは、ユーザー端末から、取引に関する情報の取得要求を受け付ける受付手段と、前記受付手段が前記取得要求を受け付けると、取引の履歴情報が記憶された取引履歴記憶手段から取引が成立した日付を取得する取得手段と、取引が成立したことを示す文字及び/又は記号を、前記取得した日付の欄に設定したカレンダーを生成し、当該カレンダーを含む画面情報を前記ユーザー端末に送信する生成手段と、を有して成っている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
このような特許文献2に記載の取引システムでは、オンライントレードにおける投資家の過去の取引に関する情報を、より見易い形式で提供し、ユーザーの利便性を向上することができる。また、カレンダー形式の取引に関する情報を提供することにより、ユーザーは、過去の取引の内容を効率よく分析することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−175750号公報
【特許文献2】特開2007−279811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、前記特許文献1に記載の取引データ閲覧装置においては、特定契約を済ませた取引者は、取引分析データベースにアクセスし、他人の或いは自分の取引分析データを閲覧することができ、これにより、自らの取引の量やタイミングについて、他人の取引データを参照しながら決定し、取引を行うことはできるが、特定の取引者の過去の取引履歴データについて勝ちトレードを抽出し、その勝ちトレードに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って特定の取引者の取引タイプを決定してユーザー端末の画面に表示することはできないものであった。したがって、例えば外国為替、株価等のように変動する資産価格に関する取引者の過去の取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って特定の取引者の取引タイプを決定することはできなかった。
【0010】
また、前記特許文献2に記載の取引システムにおいては、オンライントレードにおける投資家の過去の取引に関する情報を、より見易い形式で提供し、ユーザーの利便性を向上することができ、また、カレンダー形式の取引に関する情報を提供することにより、ユーザーは、過去の取引の内容を効率よく分析することはできるが、前述と同様に、特定のユーザーの過去の取引履歴データについて勝ちトレードを抽出し、その勝ちトレードに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って特定のユーザーの取引タイプを決定してユーザー端末の画面に表示することはできないものであった。したがって、例えば外国為替、株価等のように変動する資産価格に関するユーザーの過去の取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って特定のユーザーの取引タイプを決定することはできなかった。
【0011】
このような問題点に対処し、本発明が解決しようとする課題は、特定の投資家等の過去の取引履歴データについて勝ちトレードを抽出し、その勝ちトレードに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って特定の投資家等の取引タイプを決定してユーザー端末の画面に表示する取引タイプ判別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、第一の手段による取引タイプ判別装置は、双方向通信可能な通信ネットワークを介してユーザー端末と接続され、変動する資産価格についての特定のユーザーの過去の取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行い、どのテクニカル分析パターンに合致しているかを求め、前記ユーザーの取引タイプを決定する取引タイプ判別装置であって、前記ユーザー端末を介して特定のユーザーから入力される過去の取引履歴データ又は外部システムから提供される前記特定のユーザーの過去の取引履歴データを取り込んで記憶手段に記憶する取引結果蓄積部と、前記取引結果蓄積部から読み出した前記特定のユーザーの過去の取引履歴データについて勝ちトレードを抽出し、又は負けトレードの売りと買いとを逆にすることで擬似勝ちトレードを生成し、前記勝ちトレード又は擬似勝ちトレードの取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って前記ユーザーの取引タイプを決定するテクニカル分析マッチング部と、前記テクニカル分析マッチング部から取り込んだユーザーの取引タイプのデータを表示処理してユーザー端末側に送出するデータ表示回路部と、を備えて成るものである。
【0013】
このような構成により、取引結果蓄積部で、ユーザー端末を介して特定のユーザーから入力される過去の取引履歴データ又は外部システムから提供される前記特定のユーザーの過去の取引履歴データを取り込んで記憶手段に記憶し、テクニカル分析マッチング部により、前記取引結果蓄積部から読み出した前記特定のユーザーの過去の取引履歴データについて勝ちトレードを抽出し、又は負けトレードの売りと買いとを逆にすることで擬似勝ちトレードを生成し、前記勝ちトレード又は擬似勝ちトレードの取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って前記ユーザーの取引タイプを決定し、データ表示回路部で、前記テクニカル分析マッチング部から取り込んだユーザーの取引タイプのデータを表示処理してユーザー端末側に送出する。これにより、特定の投資家等の過去の取引履歴データについて勝ちトレード(擬似勝ちトレードも含む)を抽出し、その勝ちトレードの取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って特定の投資家等の取引タイプを決定してユーザー端末の画面に表示する。
【0014】
また、第二の手段による取引タイプ判別装置は、双方向通信可能な通信ネットワークを介してユーザー端末と接続され、変動する資産価格についての特定のユーザーの過去の取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行い、どのテクニカル分析パターンに合致しているかを求め、前記ユーザーの取引タイプを決定する取引タイプ判別装置であって、前記ユーザー端末を介して特定のユーザーから入力される過去の取引履歴データ又は外部システムから提供される前記特定のユーザーの過去の取引履歴データを取り込んで記憶手段に記憶する取引結果蓄積部と、前記取引結果蓄積部から読み出した前記特定のユーザーの過去の取引履歴データについて勝ちトレードを抽出し、又は負けトレードの売りと買いとを逆にすることで擬似勝ちトレードを生成し、前記勝ちトレード又は擬似勝ちトレードの取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って前記ユーザーの取引タイプを決定するテクニカル分析マッチング部と、他の外部システムから提供される資産価格の経時的な変動データを取り込んで記憶手段に記憶する価格レート蓄積部と、前記価格レート蓄積部から読み出した資産価格の過去の変動データに対して前記テクニカル分析マッチング部で決定されたユーザーの取引タイプを適用して取引した場合のシミュレーションを行う取引シミュレーション部と、前記テクニカル分析マッチング部から取り込んだユーザーの取引タイプのデータ及び前記取引シミュレーション部から取り込んだシミュレーション結果のデータを表示処理してユーザー端末側に送出するデータ表示回路部と、を備えて成るものである。
【0015】
このような構成により、取引結果蓄積部で、ユーザー端末を介して特定のユーザーから入力される過去の取引履歴データ又は外部システムから提供される前記特定のユーザーの過去の取引履歴データを取り込んで記憶手段に記憶し、テクニカル分析マッチング部により、前記取引結果蓄積部から読み出した前記特定のユーザーの過去の取引履歴データについて勝ちトレードを抽出し、又は負けトレードの売りと買いとを逆にすることで擬似勝ちトレードを生成し、前記勝ちトレード又は擬似勝ちトレードの取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って前記ユーザーの取引タイプを決定し、価格レート蓄積部で、他の外部システムから提供される資産価格の経時的な変動データを取り込んで記憶手段に記憶し、取引シミュレーション部により、前記価格レート蓄積部から読み出した資産価格の過去の変動データに対して前記テクニカル分析マッチング部で決定されたユーザーの取引タイプを適用して取引した場合のシミュレーションを行い、データ表示回路部により、前記テクニカル分析マッチング部から取り込んだユーザーの取引タイプのデータ及び前記取引シミュレーション部から取り込んだシミュレーション結果のデータを表示処理してユーザー端末側に送出する。これにより、特定の投資家等の過去の取引履歴データについて勝ちトレード(擬似勝ちトレードも含む)を抽出し、その勝ちトレードの取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って特定の投資家等の取引タイプを決定してユーザー端末の画面に表示すると共に、資産価格の過去の変動データに対して前記決定されたユーザーの取引タイプを適用して取引した場合のシミュレーション結果をユーザー端末の画面に表示する。
【0016】
また、前記テクニカル分析マッチング部は、前記取引結果蓄積部から読み出した特定のユーザーの過去の取引履歴データについて勝ちトレードのみを抽出して記憶手段に保存し、又は負けトレードのみを抽出してその負けトレードの売りと買いとを逆にすることで擬似勝ちトレードを生成して記憶手段に保存する取引結果抽出部と、前記複数種類のテクニカル分析パターンのデータを記憶手段に保存したテクニカル分析データ保存部と、前記取引結果抽出部からの勝ちトレード又は擬似勝ちトレードの取引履歴データに対して前記テクニカル分析データ保存部からの複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを演算手段で行って前記ユーザーの取引タイプを決定する取引タイプ分析部と、を備えて成るものである。
これにより、取引結果抽出部で、前記取引結果蓄積部から読み出した特定のユーザーの過去の取引履歴データについて勝ちトレードのみを抽出して記憶手段に保存し、又は負けトレードのみを抽出してその負けトレードの売りと買いとを逆にすることで擬似勝ちトレードを生成して記憶手段に保存し、テクニカル分析データ保存部により、前記複数種類のテクニカル分析パターンのデータを記憶手段に保存し、取引タイプ分析部で、前記取引結果抽出部からの勝ちトレード又は擬似勝ちトレードの取引履歴データに対して前記テクニカル分析データ保存部からの複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを演算手段で行って前記ユーザーの取引タイプを決定する。
【0017】
さらに、前記取引シミュレーション部は、前記価格レート蓄積部から読み出した資産価格の過去の変動データ及び前記テクニカル分析マッチング部からのユーザーの取引タイプのデータを受信手段で取り込むデータ受信部と、このデータ受信部からデータを取り込んで前記資産価格の過去の変動データに対して前記ユーザーの取引タイプを適用して取引した場合の収支を演算手段で計算する計算部と、この計算部で計算した結果を記憶手段に格納する計算結果格納部と、を備えて成るものである。
これにより、データ受信部で、前記価格レート蓄積部から読み出した資産価格の過去の変動データ及び前記テクニカル分析マッチング部からのユーザーの取引タイプのデータを受信手段で取り込み、計算部により、前記データ受信部からデータを取り込んで前記資産価格の過去の変動データに対して前記ユーザーの取引タイプを適用して取引した場合の収支を演算手段で計算し、計算結果格納部で、前記計算部で計算した結果を記憶手段に格納する。
【0018】
さらにまた、前記資産価格は、外国為替、株価、債券価格、商品先物価格又は不動産価格のいずれかである。
これにより、外国為替、株価、債券価格、商品先物価格又は不動産価格のいずれかについて、特定の投資家等の過去の取引履歴データについて勝ちトレードを抽出し、その勝ちトレードの取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って特定の投資家等の取引タイプを決定してユーザー端末の画面に表示し、更に装置機能に応じて資産価格の過去の変動データに対して前記決定されたユーザーの取引タイプを適用して取引した場合のシミュレーション結果をユーザー端末の画面に表示する。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る取引タイプ判別装置によれば、取引結果蓄積部で、ユーザー端末を介して特定のユーザーから入力される過去の取引履歴データ又は外部システムから提供される前記特定のユーザーの過去の取引履歴データを取り込んで記憶手段に記憶し、テクニカル分析マッチング部により、前記取引結果蓄積部から読み出した前記特定のユーザーの過去の取引履歴データについて勝ちトレードを抽出し、又は負けトレードの売りと買いとを逆にすることで擬似勝ちトレードを生成し、前記勝ちトレード又は擬似勝ちトレードの取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って前記ユーザーの取引タイプを決定し、データ表示回路部で、前記テクニカル分析マッチング部から取り込んだユーザーの取引タイプのデータを表示処理してユーザー端末側に送出することができる。これにより、特定の投資家等の過去の取引履歴データについて勝ちトレード(擬似勝ちトレードも含む)を抽出し、その勝ちトレードの取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って特定の投資家等の取引タイプを決定してユーザー端末の画面に表示することができる。したがって、例えば外国為替、株価等のように変動する資産価格に関する投資家等の過去の取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って特定の投資家等の取引タイプを決定することができる。
【0020】
また、請求項2に係る取引タイプ判別装置によれば、取引結果蓄積部で、ユーザー端末を介して特定のユーザーから入力される過去の取引履歴データ又は外部システムから提供される前記特定のユーザーの過去の取引履歴データを取り込んで記憶手段に記憶し、テクニカル分析マッチング部により、前記取引結果蓄積部から読み出した前記特定のユーザーの過去の取引履歴データについて勝ちトレードを抽出し、又は負けトレードの売りと買いとを逆にすることで擬似勝ちトレードを生成し、前記勝ちトレード又は擬似勝ちトレードの取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って前記ユーザーの取引タイプを決定し、価格レート蓄積部で、他の外部システムから提供される資産価格の経時的な変動データを取り込んで記憶手段に記憶し、取引シミュレーション部により、前記価格レート蓄積部から読み出した資産価格の過去の変動データに対して前記テクニカル分析マッチング部で決定されたユーザーの取引タイプを適用して取引した場合のシミュレーションを行い、データ表示回路部により、前記テクニカル分析マッチング部から取り込んだユーザーの取引タイプのデータ及び前記取引シミュレーション部から取り込んだシミュレーション結果のデータを表示処理してユーザー端末側に送出することができる。これにより、特定の投資家等の過去の取引履歴データについて勝ちトレード(擬似勝ちトレードも含む)を抽出し、その勝ちトレードの取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って特定の投資家等の取引タイプを決定してユーザー端末の画面に表示すると共に、資産価格の過去の変動データに対して前記決定されたユーザーの取引タイプを適用して取引した場合のシミュレーション結果をユーザー端末の画面に表示することができる。したがって、例えば外国為替、株価等のように変動する資産価格に関する投資家等の過去の取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って特定の投資家等の取引タイプを決定することができ、さらに、資産価格の過去の変動データに対して前記決定されたユーザーの取引タイプを適用して取引した場合のシミュレーションを行うことができる。
【0021】
さらに、請求項3に係る発明によれば、取引結果抽出部で、前記取引結果蓄積部から読み出した特定のユーザーの過去の取引履歴データについて勝ちトレードのみを抽出して記憶手段に保存し、又は負けトレードのみを抽出してその負けトレードの売りと買いとを逆にすることで擬似勝ちトレードを生成して記憶手段に保存し、テクニカル分析データ保存部により、前記複数種類のテクニカル分析パターンのデータを記憶手段に保存し、取引タイプ分析部で、前記取引結果抽出部からの勝ちトレード又は擬似勝ちトレードの取引履歴データに対して前記テクニカル分析データ保存部からの複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを演算手段で行って前記ユーザーの取引タイプを決定することができる。これにより、特定の投資家等の過去の取引履歴データについて複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って特定の投資家等の取引タイプを決定し、その取引タイプをユーザー端末の画面に表示することができる。
【0022】
さらにまた、請求項4に係る発明によれば、データ受信部で、前記価格レート蓄積部から読み出した資産価格の過去の変動データ及び前記テクニカル分析マッチング部からのユーザーの取引タイプのデータを受信手段で取り込み、計算部により、前記データ受信部からデータを取り込んで前記資産価格の過去の変動データに対して前記ユーザーの取引タイプを適用して取引した場合の収支を演算手段で計算し、計算結果格納部で、前記計算部で計算した結果を記憶手段に格納することができる。これにより、資産価格の過去の変動データに対して前記決定されたユーザーの取引タイプを適用して取引した場合のシミュレーションを行い、そのシミュレーション結果をユーザー端末の画面に表示することができる。
【0023】
また、請求項5に係る発明によれば、外国為替、株価、債券価格、商品先物価格又は不動産価格のいずれかについて、特定の投資家等の過去の取引履歴データについて勝ちトレード(擬似勝ちトレードも含む)を抽出し、その勝ちトレードの取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って特定の投資家等の取引タイプを決定してユーザー端末の画面に表示し、更に装置機能に応じて資産価格の過去の変動データに対して前記決定されたユーザーの取引タイプを適用して取引した場合のシミュレーション結果をユーザー端末の画面に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第一の実施形態による取引タイプ判別装置が適用される取引タイプ判別システムの全体を示す概要図である。
【図2】前記取引タイプ判別装置の構成要素である取引結果蓄積部の内部構成を示すブロック図である。
【図3】前記取引結果蓄積部内の取引履歴保存部で作成された取引履歴テーブルの一例を示す表である。
【図4】前記取引タイプ判別装置の構成要素であるテクニカル分析マッチング部を示すブロック図であり、(a)はそのテクニカル分析マッチング部の内部構成を示すブロック図、(b)は前記テクニカル分析マッチング部の構成要素である取引結果抽出部の内部構成を示すブロック図、(c)は前記テクニカル分析マッチング部の構成要素である取引タイプ分析部の内部構成を示すブロック図である。
【図5】前記取引タイプ判別装置の構成要素であるデータ表示回路部の内部構成を示すブロック図である。
【図6】前記取引タイプ判別装置の動作を説明するフローチャートである。
【図7】決定されたユーザーの取引タイプのデータが、通信ネットワークを介してユーザー端末に送られて表示される表示画面の例を示す説明図である。
【図8】第二の実施形態による取引タイプ判別装置が適用される取引タイプ判別システムの全体を示す概要図である。
【図9】第二の実施形態による取引タイプ判別装置の構成要素である取引シミュレーション部の内部構成を示すブロック図である。
【図10】第二の実施形態による取引タイプ判別装置の構成要素であるデータ表示回路部の内部構成を示すブロック図である。
【図11】第二の実施形態による取引タイプ判別装置において、資産価格の過去の変動データに対してユーザーの取引タイプを適用して取引した場合のシミュレーションを行う動作を説明するフローチャートである。
【図12】シミュレーション結果のデータが、通信ネットワークを介してユーザー端末に送られて表示される表示画面の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態による取引タイプ判別装置1が適用される取引タイプ判別システムの全体を示す概要図である。この取引タイプ判別システムは、例えば外国為替、株価等のように変動する資産価格に関する投資家等の過去の取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って特定の投資家等の取引タイプを決定するもので、取引タイプ判別装置1と、通信ネットワーク2と、ユーザー端末3と、取引履歴データベース4とを備えている。
【0026】
前記通信ネットワーク2は、双方向通信可能なネットワークであり、代表例としてはインターネットがある。ユーザー端末3は、前記通信ネットワーク2に接続可能な装置であればどのようなものであってもよいが、例えばインターネットに接続可能なパーソナルコンピュータ、或いは携帯電話等の携帯端末がある。取引履歴データベース4は、後述の取引タイプ判別装置1に対して例えば外国為替、株価等のように変動する資産価格についての複数のユーザーの過去の取引履歴データを外部から提供するもので、外国為替取引業者又は株式取引業者等において各ユーザーが実際に売り買いした日時、金額等の取引結果が履歴として保存されているデータを送り込むようになっている。
【0027】
ここで、第一の実施形態による取引タイプ判別装置1は、双方向通信可能な通信ネットワーク2を介してユーザー端末3と接続され、変動する資産価格についての特定のユーザー(例えば投資家等)の過去の取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行い、どのテクニカル分析パターンに合致しているかを求め、前記ユーザーの取引タイプを決定するもので、図1に示すように、取引結果蓄積部5と、テクニカル分析マッチング部6と、データ表示回路部7と、ネットワーク処理部8とを備えている。
【0028】
前記取引結果蓄積部5は、前記ユーザー端末3を介して特定のユーザーから入力される過去の取引履歴データ又は外部システムとしての取引履歴データベース4から提供される前記特定のユーザーの過去の取引履歴データを取り込んで記憶手段に記憶するもので、図2に示すように、取引履歴入力部9と、取引履歴抽出部10と、取引履歴保存部11とを備えて成る。
【0029】
前記取引履歴入力部9は、前記ユーザー端末3から通信ネットワーク2を介して特定のユーザーから入力される過去の取引履歴データを受信手段で受信するもので、その受信データを後述の取引履歴保存部11へ送るようになっている。また、取引履歴抽出部10は、外部システムとしての取引履歴データベース4から提供される特定のユーザーの過去の取引履歴データを抽出手段で抽出するもので、その抽出データを後述の取引履歴保存部11へ送るようになっている。そして、取引履歴保存部11は、前記取引履歴入力部9から送られた特定のユーザーの過去の取引履歴データ又は前記取引履歴抽出部10から送られた特定のユーザーの過去の取引履歴データを取り込み、それらのデータをテーブル化して取引履歴テーブル12(図3参照)を作成するもので、データを表形式で保存可能な記憶手段を有しており、その保存データを後述のテクニカル分析マッチング部6へ送るようになっている。
【0030】
図3は、前記取引履歴保存部11で作成された取引履歴テーブル12の一例を示す表である。この取引履歴テーブル12は、例えば外国為替取引において、取引履歴入力部9から送られた特定のユーザーの過去の取引履歴データ又は取引履歴抽出部10から送られた特定のユーザーの過去の取引履歴データを取り込んでテーブル化したもので、外国為替取引の「通貨ペア」、取引の内容を表す「売買」、新規又は決済の「取引区分」、取引が成立した「成立値段」、取引が成立した「成立日時」、取引結果において確定した損益を表す「確定損益」などの項目について、過去の取引履歴が書き込まれている。この取引履歴テーブル12は、確定損益として利益が出た取引(勝ちトレード)と、損失が出た取引(負けトレード)とに分類して保存されており、「確定損益」の項目の中の「円換算」の欄がプラスの値の取引が勝ちトレードを表し、マイナスの値の取引が負けトレードを表している。そして、この取引履歴テーブル12からは、勝ちトレードと負けトレードとに分類してデータを抽出できるようになっている。
【0031】
図1において、前記取引結果蓄積部5の後段には、テクニカル分析マッチング部6が設けられている。このテクニカル分析マッチング部6は、前記取引結果蓄積部5から読み出した前記特定のユーザーの過去の取引履歴データについて勝ちトレードを抽出し、又は負けトレードの売りと買いとを逆にすることで擬似勝ちトレードを生成し、前記勝ちトレード又は擬似勝ちトレードの取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って前記ユーザーの取引タイプを決定するもので、図4(a)に示すように、取引結果抽出部13と、取引結果保存部14と、テクニカル分析データ保存部15と、取引タイプ分析部16と、分析結果出力部17とを備えて成る。
【0032】
前記取引結果抽出部13は、前記取引結果蓄積部5内の取引履歴保存部11から読み出した特定のユーザーの過去の取引履歴データについて勝ちトレードのみを抽出して記憶手段に保存し、又は負けトレードのみを抽出してその負けトレードの売りと買いとを逆にすることで擬似勝ちトレードを生成して記憶手段に保存するもので、図4(b)に示すように、取引結果分類部18と、勝ちトレード保存部19と、負けトレード保存部20と、逆取引結果生成部21とを備えて成る。
【0033】
前記取引結果分類部18は、前記取引結果蓄積部5内の取引履歴保存部11から読み出した特定のユーザーの過去の取引履歴データを取り込んで、勝ちトレードと負けトレードとに分類してデータを抽出するものである。勝ちトレード保存部19は、取引結果分類部18で分類された勝ちトレードのみを抽出して記憶手段に保存するもので、データを書き込み、読み出し可能なメモリを有している。また、負けトレード保存部20は、取引結果分類部18で分類された負けトレードのみを抽出して記憶手段に保存するもので、データを書き込み、読み出し可能なメモリを有している。さらに、逆取引結果生成部21は、前記負けトレード保存部20から負けトレードのデータを読み出して、その取引内容の「売買」において売りと買いとを逆にすることで擬似勝ちトレードを生成するもので、例えば演算処理手段を有している。そして、この逆取引結果生成部21から読み出されたデータは前記勝ちトレード保存部19へ送られ、「勝ちトレード」として保存される。
【0034】
なお、図4(a),(b)において、前記取引結果抽出部13に対して図1に示す通信ネットワーク2を介してユーザー端末3から指令が入力しているが、これは、前記取引結果蓄積部5内の取引履歴保存部11から読み出した過去の取引履歴データのうち負けトレードについて、その取引内容の「売買」において売りと買いとを逆にすることで擬似勝ちトレードを生成させるためのユーザー操作による要求を表している。
【0035】
前記取引結果抽出部13の後段には、取引結果保存部14が設けられている。この取引結果保存部14は、前記取引結果抽出部13内の勝ちトレード保存部19から読み出された勝ちトレード(擬似勝ちトレードを含む)のデータを保存するもので、データを書き込み、読み出し可能なメモリを有している。また、テクニカル分析データ保存部15は、変動する資産価格(例えば外国為替、株価等)に関するユーザーの過去の取引履歴データに対してマッチングを行って取引タイプを決定するための複数種類のテクニカル分析パターンのデータを予め記憶手段に保存しておくもので、データを書き込み、読み出し可能なメモリを有している。
【0036】
前記取引結果保存部14の後段には、取引タイプ分析部16が設けられている。この取引タイプ分析部16は、前記取引結果保存部14から読み出した勝ちトレード又は擬似勝ちトレードの取引履歴データに対して、前記テクニカル分析データ保存部15から読み出した複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを演算手段で行って前記ユーザーの取引タイプを決定するもので、図4(c)に示すように、マッチング部22と、分析部23と、マッチング結果格納部24と、取引タイプ決定部25とを備えて成る。
【0037】
前記マッチング部22は、前記取引結果保存部14から読み出した勝ちトレード又は擬似勝ちトレードの取引履歴データと、前記テクニカル分析データ保存部15から読み出した複数種類のテクニカル分析パターンのデータとを取り込み、前記勝ちトレード又は擬似勝ちトレードの取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングをさせるものである。分析部23は、前記マッチング部22でマッチングされたデータに対して、夫々のテクニカル分析パターンについて新規、決済、売り、買い別に、その取引回数のうち各テクニカル分析パターンに何回合致したかの割合(%)を示す合致率を算出するもので、乗算器、割算器等の演算手段を有している。マッチング結果格納部24は、前記分析部23で算出した合致率を格納するもので、データを書き込み、読み出し可能なメモリを有している。取引タイプ決定部25は、前記マッチング結果格納部24から読み出した合致率を比較して、最も合致率が高いテクニカル分析パターンを新規、決済、売り、買い別に確定し、当該ユーザー(投資家等)の取引タイプを決定するもので、比較器等の演算手段を有している。
【0038】
前記取引タイプ分析部16の後段には、分析結果出力部17が設けられている。この分析結果出力部17は、前記取引タイプ分析部16から送られたユーザー(投資家等)の取引タイプのデータを後述のデータ表示回路部7へ出力するもので、データを一旦保持して外部へ送るようになっている。
【0039】
図1において、前記テクニカル分析マッチング部6の後段には、データ表示回路部7が設けられている。このデータ表示回路部7は、前記テクニカル分析マッチング部6から取り込んだユーザーの取引タイプのデータを表示処理してユーザー端末3側に送出するもので、図5に示すように、データ処理部26と、分析結果格納部27とを備えて成る。
【0040】
前記データ処理部26は、前記テクニカル分析マッチング部6から読み出したユーザーの取引タイプのデータを表示処理するもので、例えばデータプロセッサを有している。分析結果格納部27は、前記データ処理部26から出力されるデータを一つの表示データとして格納するもので、例えば表示メモリを備えて成る。
【0041】
また、図1において、前記データ表示回路部7の後段には、ネットワーク処理部8が設けられている。このネットワーク処理部8は、前記通信ネットワーク2を介してユーザー端末3との間で、変動する資産価格についての特定のユーザーの過去の取引履歴データに対して、複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って決定した前記ユーザーの取引タイプのデータを送受信するものである。
【0042】
なお、前記資産価格は、例えば外国為替相場における外国為替、株価相場における株価、債券相場における債券価格、商品先物相場における商品先物価格又は不動産相場における不動産価格のいずれかであるが、これらに限られず、有価証券価格、貴金属地金、非鉄地金、原油価格等であってもよい。
【0043】
次に、このように構成された第一の実施形態による取引タイプ判別装置1の動作について、図6のフローチャートを参照して説明する。なお、ここでは、資産価格としては外国為替を例として取り上げ、外国為替レートが変動する状態について説明する。
【0044】
まず、図1に示す取引結果蓄積部5は、ユーザー端末3から入力される特定のユーザーの過去の取引履歴データを取り込む(図6のステップS1)か、或いは、外部システムとしての取引履歴データベース4から読み出した特定のユーザーの過去の取引履歴データを取り込む(ステップS2)。この場合、ユーザーの今までの外国為替の取引において、外国為替取引業者等にて各ユーザーが実際に売り買いした日時、成立値段、確定損益等の取引結果が取引履歴データベース4に履歴として保存されている場合は、ステップS2においてそれらのデータを前記取引履歴データベース4から読み出せばよい。しかし、取引履歴データベース4に当該ユーザーの過去の取引履歴データが保存されていない場合は、ステップS1において各ユーザーがユーザー端末3から自己の過去の取引履歴データを入力することになる。
【0045】
次に、図1に示す取引結果蓄積部5では、前記取り込んだユーザーの過去の取引履歴データを、勝ちトレードと負けトレードとに分類してテーブル化して保存する(ステップS3)。このとき、図2において、ユーザー端末3から入力された取引履歴データは取引履歴入力部9で受信して取引履歴保存部11へ送られ、また、外部の取引履歴データベース4から提供された取引履歴データは取引履歴抽出部10で抽出して取引履歴保存部11へ送られる。そして、前記取引履歴保存部11において、前記取引履歴入力部9から送られた特定のユーザーの過去の取引履歴データ又は前記取引履歴抽出部10から送られた特定のユーザーの過去の取引履歴データを、勝ちトレードと負けトレードとに分類してテーブル化し、図3に示すような取引履歴テーブル12を作成して保存する。
【0046】
次に、図1に示すテクニカル分析マッチング部6では、前記取引結果蓄積部5から読み出した特定のユーザーの過去の取引履歴データについて勝ちトレードのみを抽出し、又は負けトレードの売りと買いとを逆にすることで擬似勝ちトレードを生成し、前記勝ちトレード又は擬似勝ちトレードの取引履歴データと複数種類のテクニカル分析パターンとをマッチングさせる(ステップS4)。このとき、図4(a)において、取引結果蓄積部5から読み出したユーザーの過去の取引履歴データは取引結果抽出部13へ入力し、図4(b)に示す取引結果分類部18で勝ちトレードと負けトレードとに分類してデータが抽出され、この分類された勝ちトレードのみを抽出して勝ちトレード保存部19に保存され、また、前記分類された負けトレードのみを抽出して負けトレード保存部20に保存される。さらに、前記負けトレード保存部20から読み出された負けトレードのデータは、逆取引結果生成部21へ入力して、その取引内容の売りと買いとを逆にすることで擬似勝ちトレードが生成され、前記勝ちトレード保存部19に勝ちトレードとして保存される。
【0047】
前記勝ちトレード保存部19から読み出された勝ちトレード(擬似勝ちトレードを含む)のデータは、図4(a)に示す取引結果保存部14を介して取引タイプ分析部16へ送られる。このとき、テクニカル分析データ保存部15に予め保存されている複数種類のテクニカル分析パターンのデータが、該テクニカル分析データ保存部15から読み出されて取引タイプ分析部16へ送られる。そして、取引タイプ分析部16内のマッチング部22(図4(c)参照)で、勝ちトレード又は擬似勝ちトレードの取引履歴データに対して、複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行う。
【0048】
なお、この場合、図4(a),(b)において、ユーザー操作によりユーザー端末3から要求指令を入力し、前記取引結果蓄積部5から読み出した過去の取引履歴データのうち負けトレードについて、その取引内容の売りと買いとを逆にすることで擬似勝ちトレードを生成させるようにしてもよい。
【0049】
次に、前記勝ちトレード(擬似勝ちトレードを含む)の取引履歴データと夫々のテクニカル分析パターンとの合致率を算出し、マッチング結果を格納する(ステップS5)。このとき、図4(c)において、前記マッチング部22でマッチングを取られたデータは、分析部23により、夫々のテクニカル分析パターンについて新規、決済、売り、買い別に、その取引回数のうち各テクニカル分析パターンに何回合致したかの割合(%)を示す合致率が算出される。算出された合致率は、マッチング結果としてマッチング結果格納部24に格納される。
【0050】
次に、前記マッチング結果について、最も合致率が高いテクニカル分析パターンを見い出して、ユーザーの取引タイプを決定する(ステップS6)。このとき、図4(c)において、前記マッチング結果格納部24から読み出したデータが取引タイプ決定部25に入力し、夫々のテクニカル分析パターンについて合致率を比較して、最も合致率が高いテクニカル分析パターンを新規、決済、売り、買い別に確定し、当該ユーザー(投資家等)の取引タイプを決定する。
【0051】
次に、前記決定された取引タイプのデータを表示処理し、通信ネットワーク2を介してユーザー端末3に表示する(ステップS7)。このとき、前記取引タイプ決定部25から出力されたデータは、図4(a)に示す分析結果出力部17を介して図1に示すデータ表示回路部7へ送られる。そして、図5に示すデータ処理部26により、前記テクニカル分析マッチング部6から読み出したユーザーの取引タイプのデータが表示処理され、分析結果格納部27で、前記データ処理部26から出力されたデータが一つの表示データとされる。分析結果格納部27から出力されたデータは、図1においてネットワーク処理部8へ送られて、通信ネットワーク2へ送受信するための処理が行われる。そして、この処理されたデータを、通信ネットワーク2を介してユーザー端末3に送り、各ユーザーの画面に表示する。
【0052】
そして、図7は、前記表示処理された取引タイプのデータが、通信ネットワーク2を介してユーザー端末3に送られて、その画面に表示される表示画面28の例を示す説明図である。この表示画面28は、変動する資産価格についての特定のユーザーの過去の取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行い、どのテクニカル分析パターンに合致しているかを分析した結果を表示するものである。まず、前記ステップS6で決定されたユーザーの取引タイプとして、「あなたの取引タイプ:移動平均トレーダタイプ」と表示している。次に、ユーザーの勝ちトレードをテクニカル分析パターンとマッチングさせた結果として、新しく取引を開始する「新規トレード」について、「買い」又は「売り」で開始する場合のテクニカル分析パターンと、そのテクニカル分析パターンとの合致率を%で表示している。また、前記新規トレードについて取引を決済する「決済トレード」について、「買い」又は「売り」で決済する場合のテクニカル分析パターンと、そのテクニカル分析パターンとの合致率を%で表示している。
【0053】
なお、表示画面28の下部に表示された「負けトレードの売り買いを逆にして再分析」のアイコン29は、ユーザーの操作により、負けトレードの売りと買いとを逆にすることで擬似勝ちトレードを生成し、その擬似勝ちトレードの取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って再度分析する際にクリックするものである。また、「取引タイプのテクニカル分析パターンを基に過去の値動きで取引シミュレーション」のアイコン30は、後述の図8に示す第二の実施形態による取引タイプ判別装置1’で、資産価格の過去の変動データに対してテクニカル分析マッチング部6で決定されたユーザーの取引タイプを適用して取引した場合のシミュレーションを行う際にクリックするものである。
【0054】
次に、本発明の第二の実施形態による取引タイプ判別装置について図8を参照して説明する。図8は、第二の実施形態による取引タイプ判別装置1’が適用される取引タイプ判別システムの全体を示す概要図である。この取引タイプ判別システムは、前述と同様に、例えば外国為替、株価等のように変動する資産価格に関する投資家等の過去の取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って特定の投資家等の取引タイプを決定するもので、第二の実施形態の取引タイプ判別装置1’と、通信ネットワーク2と、ユーザー端末3と、取引履歴データベース4と、価格レート提供システム31とを備えている。前記通信ネットワーク2と、ユーザー端末3と、取引履歴データベース4とは、前述の図1に示すものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0055】
前記価格レート提供システム31は、第二の実施形態の取引タイプ判別装置1’に対して変動する資産価格の経時的な変動情報、例えば外国為替レートを外部から提供するもので、外国為替取引を行う銀行が提供する外国為替レートを受信して送り込むようになっている。
【0056】
ここで、第二の実施形態による取引タイプ判別装置1’は、双方向通信可能な通信ネットワーク2を介してユーザー端末3と接続され、変動する資産価格についての特定のユーザー(例えば投資家等)の過去の取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行い、どのテクニカル分析パターンに合致しているかを求め、前記ユーザーの取引タイプを決定するもので、図8に示すように、取引結果蓄積部5と、テクニカル分析マッチング部6と、データ表示回路部7’と、ネットワーク処理部8’と、価格レート蓄積部32と、取引シミュレーション部33とを備えている。前記取引結果蓄積部5と、テクニカル分析マッチング部6とは、前述の図1に示すものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0057】
前記価格レート蓄積部32は、他の外部システムとしての価格レート提供システム31から提供される資産価格の経時的な変動データ(例えば外国為替レート)を取り込んで記憶手段に記憶するもので、データを書き込み、読み出し可能なメモリを有している。
【0058】
前記価格レート蓄積部32の後段には、取引シミュレーション部33が設けられている。この取引シミュレーション部33は、前記価格レート蓄積部32から読み出した資産価格の過去の変動データに対して前記テクニカル分析マッチング部6で決定されたユーザーの取引タイプを適用して取引した場合のシミュレーションを行うもので、図9に示すように、データ受信部34と、計算部35と、計算結果格納部36とを備えている。
【0059】
前記データ受信部34は、前記価格レート蓄積部32から読み出した資産価格の過去の変動データ及び前記テクニカル分析マッチング部6からのユーザーの取引タイプのデータを受信手段で取り込むものである。計算部35は、前記データ受信部34からデータを取り込んで前記資産価格の過去の変動データに対して前記ユーザーの取引タイプを適用して取引した場合の収支を計算するもので、乗算器、割算器等の演算手段を有している。また、計算結果格納部36は、前記計算部35で計算した結果を記憶手段に格納するもので、データを書き込み、読み出し可能なメモリを有している。
【0060】
前記テクニカル分析マッチング部6及び取引シミュレーション部33の後段には、データ表示回路部7’が設けられている。このデータ表示回路部7’は、基本的には図1に示すデータ表示回路部7と同じであるが、前記テクニカル分析マッチング部6から取り込んだユーザーの取引タイプのデータ及び前記取引シミュレーション部33から取り込んだシミュレーション結果のデータを表示処理してユーザー端末3側に送出する点で異なる。その内部構成は、図10に示すように、テクニカル分析マッチング部6から取り込んだユーザーの取引タイプのデータ及び取引シミュレーション部33から取り込んだシミュレーション結果のデータを表示処理するデータ処理部26’と、このデータ処理部26’から出力されるユーザーの取引タイプのデータを表示データとして格納する分析結果格納部27と、同じくデータ処理部26’から出力されるシミュレーション結果のデータを表示データとして格納するシミュレーション結果格納部37とを備えて成る。なお、データ処理部26’は例えばデータプロセッサを有しており、分析結果格納部27及びシミュレーション結果格納部37は夫々例えば表示メモリを有している。
【0061】
さらに、前記データ表示回路部7’の後段には、ネットワーク処理部8’が設けられている。このネットワーク処理部8’は、基本的には図1に示すネットワーク処理部8と同じであるが、前記通信ネットワーク2を介してユーザー端末3との間で、前記データ表示回路部7’から出力されるユーザーの取引タイプのデータ及びシミュレーション結果のデータを送受信するものである。
【0062】
次に、このように構成された第二の実施形態による取引タイプ判別装置1’の動作について、図6及び図11のフローチャートを参照して説明する。なお、ここでは、資産価格としては外国為替を例として取り上げ、外国為替レートが変動する状態について説明する。
【0063】
まず、図6に示すフローチャートと図11に示すフローチャートとは、ステップS6の後の結合子“1”で接続されている。そして、図8に示すテクニカル分析マッチング部6により、勝ちトレード(擬似勝ちトレードを含む)の取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行ってユーザーの取引タイプを決定するのは、前述のステップS1〜S7の手順に従って動作する。
【0064】
次に、図8に示す取引シミュレーション部33により、資産価格の過去の変動データに対して前記テクニカル分析マッチング部6で決定されたユーザーの取引タイプを適用して取引した場合のシミュレーションを行うには、図7に示すアイコン30をクリックすることで、図6に示す結合子“1”を介して図11に示す結合子“1”に接続され、図11に示すフローチャートに入る。まず、図8に示す価格レート蓄積部32は、外部システムとしての価格レート提供システム31から読み出した過去の為替レートのデータを取り込む(ステップS8)。
【0065】
次に、図8に示す取引シミュレーション部33では、前記決定された取引タイプのデータを取り込むと共に、前記過去の為替レートのデータを取り込み、前記取引タイプのテクニカル分析パターンを適用して取引をした場合の収支を計算し、シミュレーション結果を格納する(ステップS9)。このとき、図9に示すデータ受信部34により、前記価格レート蓄積部32から読み出した過去の為替レートのデータを取り込むと共に、前記テクニカル分析マッチング部6からのユーザーの取引タイプのデータを取り込む。その後、計算部35で、前記過去の為替レートのデータに対して前記決定されたユーザーの取引タイプを適用して取引した場合の収支を計算する。そして、前記計算部35でシミュレーションした結果を計算結果格納部36に格納する。
【0066】
次に、前記シミュレーション結果を読み出して表示処理し、通信ネットワーク2を介してユーザー端末3に表示する(ステップS10)。このとき、前記計算結果格納部36から出力されたデータは、図8に示すデータ表示回路部7’へ送られる。そして、図10に示すデータ処理部26’により、前記取引シミュレーション部33から読み出したシミュレーション結果のデータが表示処理され、シミュレーション結果格納部37で、前記データ処理部26’から出力されたデータが表示データとされる。シミュレーション結果格納部37から出力されたデータは、図8においてネットワーク処理部8’へ送られて、通信ネットワーク2へ送受信するための処理が行われる。そして、この処理されたデータを、通信ネットワーク2を介してユーザー端末3に送り、各ユーザーの画面に表示する。
【0067】
そして、図12は、前記表示処理されたシミュレーション結果のデータが、通信ネットワーク2を介してユーザー端末3に送られて、その画面に表示される表示画面38の例を示す説明図である。この表示画面38は、価格レート提供システム31からの過去の為替レートの実績に対して前記テクニカル分析マッチング部6で決定されたユーザーの取引タイプを適用して取引した場合のシミュレーション結果を表示するものである。
【0068】
まず、上半分の折線グラフCは、例えば2008年1月から2010年3月までの為替レートの実績に対して、前記テクニカル分析マッチング部6で決定されたユーザーの取引タイプを適用して取引シミュレーションした場合の実現損益の合計推移を示す変化曲線である。そして、下半分の表は、前記折線グラフCに関する詳細データを示すもので、2008年1月から2010年3月までの利益合計が「541,000円」で、損失合計が「−117,000円」であり、損益合計が「424,000円」であることを示している。この間のトレード回数は31回、勝ち回数が19回、負け回数が12回、引き分け回数が0回で、全体の勝率は61.29%であることを示している。
【0069】
なお、以上の説明においては、資産価格を「外国為替」としたが、本発明はこれに限られず、他の資産価格であっても同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1,1’…取引タイプ判別装置
2…通信ネットワーク
3…ユーザー端末
4…取引履歴データベース
5…取引結果蓄積部
6…テクニカル分析マッチング部
7,7’…データ表示回路部
8,8’…ネットワーク処理部
13…取引結果抽出部
14…取引結果保存部
15…テクニカル分析データ保存部
16…取引タイプ分析部
17…分析結果出力部
31…価格レート提供システム
32…価格レート蓄積部
33…取引シミュレーション部
34…データ受信部
35…計算部
36…計算結果格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
双方向通信可能な通信ネットワークを介してユーザー端末と接続され、変動する資産価格についての特定のユーザーの過去の取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行い、どのテクニカル分析パターンに合致しているかを求め、前記ユーザーの取引タイプを決定する取引タイプ判別装置であって、
前記ユーザー端末を介して特定のユーザーから入力される過去の取引履歴データ又は外部システムから提供される前記特定のユーザーの過去の取引履歴データを取り込んで記憶手段に記憶する取引結果蓄積部と、
前記取引結果蓄積部から読み出した前記特定のユーザーの過去の取引履歴データについて勝ちトレードを抽出し、又は負けトレードの売りと買いとを逆にすることで擬似勝ちトレードを生成し、前記勝ちトレード又は擬似勝ちトレードの取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って前記ユーザーの取引タイプを決定するテクニカル分析マッチング部と、
前記テクニカル分析マッチング部から取り込んだユーザーの取引タイプのデータを表示処理してユーザー端末側に送出するデータ表示回路部と、
を備えて成ることを特徴とする取引タイプ判別装置。
【請求項2】
双方向通信可能な通信ネットワークを介してユーザー端末と接続され、変動する資産価格についての特定のユーザーの過去の取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行い、どのテクニカル分析パターンに合致しているかを求め、前記ユーザーの取引タイプを決定する取引タイプ判別装置であって、
前記ユーザー端末を介して特定のユーザーから入力される過去の取引履歴データ又は外部システムから提供される前記特定のユーザーの過去の取引履歴データを取り込んで記憶手段に記憶する取引結果蓄積部と、
前記取引結果蓄積部から読み出した前記特定のユーザーの過去の取引履歴データについて勝ちトレードを抽出し、又は負けトレードの売りと買いとを逆にすることで擬似勝ちトレードを生成し、前記勝ちトレード又は擬似勝ちトレードの取引履歴データに対して複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを行って前記ユーザーの取引タイプを決定するテクニカル分析マッチング部と、
他の外部システムから提供される資産価格の経時的な変動データを取り込んで記憶手段に記憶する価格レート蓄積部と、
前記価格レート蓄積部から読み出した資産価格の過去の変動データに対して前記テクニカル分析マッチング部で決定されたユーザーの取引タイプを適用して取引した場合のシミュレーションを行う取引シミュレーション部と、
前記テクニカル分析マッチング部から取り込んだユーザーの取引タイプのデータ及び前記取引シミュレーション部から取り込んだシミュレーション結果のデータを表示処理してユーザー端末側に送出するデータ表示回路部と、
を備えて成ることを特徴とする取引タイプ判別装置。
【請求項3】
前記テクニカル分析マッチング部は、前記取引結果蓄積部から読み出した特定のユーザーの過去の取引履歴データについて勝ちトレードのみを抽出して記憶手段に保存し、又は負けトレードのみを抽出してその負けトレードの売りと買いとを逆にすることで擬似勝ちトレードを生成して記憶手段に保存する取引結果抽出部と、前記複数種類のテクニカル分析パターンのデータを記憶手段に保存したテクニカル分析データ保存部と、前記取引結果抽出部からの勝ちトレード又は擬似勝ちトレードの取引履歴データに対して前記テクニカル分析データ保存部からの複数種類のテクニカル分析パターンとのマッチングを演算手段で行って前記ユーザーの取引タイプを決定する取引タイプ分析部と、を備えて成ることを特徴とする請求項1又は2記載の取引タイプ判別装置。
【請求項4】
前記取引シミュレーション部は、前記価格レート蓄積部から読み出した資産価格の過去の変動データ及び前記テクニカル分析マッチング部からのユーザーの取引タイプのデータを受信手段で取り込むデータ受信部と、このデータ受信部からデータを取り込んで前記資産価格の過去の変動データに対して前記ユーザーの取引タイプを適用して取引した場合の収支を演算手段で計算する計算部と、この計算部で計算した結果を記憶手段に格納する計算結果格納部と、を備えて成ることを特徴とする請求項2記載の取引タイプ判別装置。
【請求項5】
前記資産価格は、外国為替、株価、債券価格、商品先物価格又は不動産価格のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2記載の取引タイプ判別装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2011−227796(P2011−227796A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98447(P2010−98447)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(503421117)FXプライム株式会社 (3)
【出願人】(510103831)株式会社マスチューン (2)