説明

受信装置および受信方法、並びにプログラム

【課題】UCI(Uplink Control Information)ビットの誤検出を軽減する。
【解決手段】雑音電力推定部124は、入力されたリファレンス信号およびチャネル推定値を用いて、熱雑音または伝搬路の干渉などに起因する雑音電力値を推定する。信頼度情報生成部125は、合成符号化ビット信号、合成repetition placeholderビット信号、合成placeholderビット信号、および雑音電力値を用いて、UCI信号の送信が有効または無効であることを示す信頼度情報を生成する。検出処理部126は、信頼度情報を参照し、UCI信号の送信が有効である場合、UCIビットを検出し、UCI信号の送信が無効である場合、UCIビットを検出しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は受信装置および受信方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
E-UTRA(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)通信システムが提案されている。E-UTRA通信システムにおいて、ACK(Acknowledgement)またはRI(Rank Indication)などのUCI(Uplink Control Information)が検出される。
【0003】
図6を参照して、従来のE-UTRA通信システムにおける受信器の構成およびUCIの検出方法を説明する。
【0004】
なお、図6では、1つの送信器500と1つの受信器501が存在する場合を示したが、実際には複数の送信器500が存在する。
【0005】
送信器500は、UCI信号とリファレンス信号を多重した送信信号を受信器501に対して送信する。
【0006】
受信器501は、等化処理部521、De-scramble部522、Inverse Rate Match部523、および検出処理部524を有する。
【0007】
等化処理部521には、送信器500からUCI信号とリファレンス信号が多重された送信信号が入力される。等化処理部521において、入力された送信信号に多重されているリファレンス信号を用いて、入力された送信信号に多重されているUCI信号の振幅および位相の補正が行われることにより、UCI復調信号が生成される。生成されたUCI復調信号は、De-scramble部522に出力される。
【0008】
De-scramble部522には、等化処理部521からUCI復調信号が入力される。De-scramble部522において、入力されたUCI復調信号に対して送信器500のscramble処理とは逆に相当する処理が施されることにより、UCI復調信号が、符号化ビット信号と、repetition placeholderビット信号と、placeholderビット信号とに分離される。ここで、符号化ビット信号およびrepetition placeholderビット信号は、送信器500側においてUCIビットを符号化した信号であるため、UCIビットの検出処理に用いることが可能である。一方、placeholderビット信号は、送信器500側において固定的に整数値1を与えた信号であるため、UCIビットの検出処理に用いない。そのため、生成した符号化ビット信号およびrepetition placeholderビット信号がInverse Rate Match部523に出力される。
【0009】
Inverse Rate Match部523には、De-scramble部522から符号化ビット信号およびrepetition placeholderビット信号が入力される。ここで、送信器500のRate Match処理において、符号化ビット信号およびrepetition placeholderビット信号が任意の回数にわたり繰り返されている。そのため、Inverse Rate Match部523において、その任意の繰り返し回数にわたり、符号化ビット信号およびrepetition placeholderビット信号を加算することにより、合成符号化ビット信号および合成repetition placeholderビット信号が生成される。生成された合成符号化ビット信号および合成repetition placeholderビット信号は、検出処理部524に出力される。
【0010】
検出処理部524には、Inverse Rate Match部523から合成符号化ビット信号および合成repetition placeholderビット信号が入力される。検出処理部524において、入力された合成符号化ビット信号および合成repetition placeholderビット信号を用いて、UCIビットが検出される。
【0011】
従来、基地局装置には、下りリンクにおいて、第1の共有チャネルを送信する送信手段と、上りリンクにおいて、前記第1の共有チャネルの送達確認情報と第2の共有チャネルとを受信する受信手段と、送達確認情報用のビット領域以外にマッピングされた第2の共有チャネルを抽出及び復号する手段と、第1の共有チャネルの送信後に受信された上り信号に送達確認情報が含まれているか否かを判定する判定手段と備え、判定手段は、上り信号の中で送達確認情報が含まれているかもしれない信号部分の受信信号品質により判定するものもある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−289114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、従来のE-UTRA通信システムにおいて、送信器からUCI信号が送信されない場合に、受信器の検出処理においてUCI信号が送信されていると仮定して検出処理を行うことにより、UCIビットの誤検出が発生することがある。
【0014】
また、従来のE-UTRA通信システムにおいて、送信器からUCI信号は送信されているがUCI信号の受信品質が悪い場合など、送信器からUCI信号が送信されており、かつ、UCI信号の受信品質が悪い場合に、受信器の検出処理において誤ったUCIビットが検出結果として得られる可能性が高い。
【0015】
そこで、本発明は、上記課題を解決すること、すなわち、UCIビットの誤検出を軽減すること、言い換えれば、UCIビットの誤検出を防止し、より確実に正しいUCIビットを得ることのできる受信装置および受信方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の受信装置の第1の側面は、送信装置と共にE-UTRA通信システムを構成する受信装置であって、UCI信号の送信の有効または無効を検出する検出手段を有するものとされている。
【0017】
また、本発明の受信装置の第1の側面は、上述の構成に加えて、検出手段が、可変な閾値を用いて、UCI信号の送信の有効または無効を検出するものとされている。
【0018】
さらに、本発明の受信装置の第1の側面は、上述の構成に加えて、検出手段が、送信装置におけるUCIビットのパターンに依存せずに符号化出力に対して固定値として与えられるビット信号を用いて、UCI信号の送信の有効または無効を検出するものとされている。
【0019】
さらにまた、本発明の受信装置の第1の側面は、上述の構成に加えて、検出手段が、送信装置におけるUCIビットのパターンに依存せずに符号化出力に対して固定値として与えられるビット信号を用いて、UCI信号の送信の有効または無効を検出し、固定値として与えられるビット信号を用いることなく、UCIビットが検出されるものとされている。
【0020】
また、本発明の受信方法の第1の側面は、送信装置と共にE-UTRA通信システムを構成する受信装置の受信方法であって、UCI信号の送信の有効または無効を検出するステップを含むものとされている。
【0021】
さらに、本発明のプログラムの第1の側面は、送信装置と共にE-UTRA通信システムを構成する受信装置のコンピュータに、UCI信号の送信の有効または無効を検出するステップを含む処理を行わせるものとされている。
【0022】
上記課題を解決するために、本発明の受信装置の第2の側面は、送信装置と共にE-UTRA通信システムを構成する受信装置であって、UCI信号の送信が有効または無効であることを示す情報を参照して、UCI信号の送信が有効である場合、UCIビットを検出し、UCI信号の送信が無効である場合、UCIビットを検出しない検出手段を有するものとされている。
【0023】
また、本発明の受信方法の第2の側面は、送信装置と共にE-UTRA通信システムを構成する受信装置の受信方法であって、UCI信号の送信が有効または無効であることを示す情報を参照して、UCI信号の送信が有効である場合、UCIビットを検出し、UCI信号の送信が無効である場合、UCIビットを検出しないステップを含むものとされている。
【0024】
さらに、本発明のプログラムの第2の側面は、送信装置と共にE-UTRA通信システムを構成する受信装置のコンピュータに、UCI信号の送信が有効または無効であることを示す情報を参照して、UCI信号の送信が有効である場合、UCIビットを検出し、UCI信号の送信が無効である場合、UCIビットを検出しないステップを含む処理を行わせるものとされている。
【0025】
上記課題を解決するために、本発明の受信装置の第3の側面は、送信装置と共にE-UTRA通信システムを構成する受信装置であって、UCI信号の送信の有効または無効を検出する第1の検出手段と、UCI信号の送信が有効である場合、UCIビットを検出し、UCI信号の送信が無効である場合、UCIビットを検出しない第2の検出手段とを有するものとされている。
【0026】
また、本発明の受信方法の第3の側面は、送信装置と共にE-UTRA通信システムを構成する受信装置の受信方法であって、UCI信号の送信の有効または無効を検出する第1の検出ステップと、UCI信号の送信が有効である場合、UCIビットを検出し、UCI信号の送信が無効である場合、UCIビットを検出しない第2の検出ステップとを含むものとされている。
【0027】
さらに、本発明のプログラムの第3の側面は、送信装置と共にE-UTRA通信システムを構成する受信装置のコンピュータに、UCI信号の送信の有効または無効を検出する第1の検出ステップと、UCI信号の送信が有効である場合、UCIビットを検出し、UCI信号の送信が無効である場合、UCIビットを検出しない第2の検出ステップとを含む処理を行わせるものとされている。
【発明の効果】
【0028】
本発明の第1〜第3の側面によれば、UCIビットの誤検出を軽減することのできる受信装置および受信方法、並びにプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態のE-UTRA通信システムにおけるUCIの受信のための受信器の構成を示すブロック図である。
【図2】信頼度情報生成部125の構成の例を示すブロック図である。
【図3】受信の処理を示すフローチャートである。
【図4】信頼度情報の生成の処理を示すフローチャートである。
【図5】コンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【図6】従来のE-UTRA通信システムにおける受信器の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施の形態のE-UTRA通信システムについて、図1〜図5を参照しながら説明する。
【0031】
図1は、本発明の一実施の形態のE-UTRA通信システムにおけるUCIの受信のための受信器の構成を示すブロック図である。図1に示されるE-UTRA通信システムは、1つの送信器100と1つの受信器101とからなる。以下の説明では、1例として1つの送信器100と1つの受信器101が存在する場合に、E-UTRA通信システムにおける受信器101における処理を説明する。なお、受信器101は、受信装置の一例である。
【0032】
E-UTRA通信システムにおけるUCI受信処理では、検出処理に先立って、符号化ビット信号、repetition placeholderビット信号、およびplaceholderビット信号を用いてUCI信号に関する信頼度情報が生成され、検出処理において信頼度情報が参照される。
【0033】
送信器100は、UCI信号およびリファレンス信号が多重された送信信号を受信器101に対して送信する。
【0034】
受信器101は、等化処理部121、De-scramble部122、Inverse Rate Match部123、雑音電力推定部124、信頼度情報生成部125、および検出処理部126を有する。
【0035】
等化処理部121には、送信器100からUCI信号およびリファレンス信号が多重された送信信号が入力される。等化処理部121は、入力された送信信号に多重されているリファレンス信号を用いて、入力された送信信号に多重されているUCI信号の振幅および位相を補正することにより、UCI復調信号を生成する。等化処理部121は、生成されたUCI復調信号を、De-scramble部122に出力する。また、等化処理部121は、送信信号に多重されているリファレンス信号および生成したチャネル推定値を、雑音電力推定部124に出力する。
【0036】
De-scramble部122には、等化処理部121からUCI復調信号が入力される。De-scramble部122は、入力されたUCI復調信号に対して、送信器100のscramble処理とは逆に相当する処理を施すことにより、符号化ビット信号とrepetition placeholderビット信号とplaceholderビット信号とを生成する。De-scramble部122は、生成された符号化ビット信号とrepetition placeholderビット信号とplaceholderビット信号をInverse Rate Match部123に出力する。
【0037】
Inverse Rate Match部123には、De-scramble部122から符号化ビット信号とrepetition placeholderビット信号とplaceholderビット信号とが入力される。ここで、送信器100のRate Match処理において、符号化ビット信号、repetition placeholderビット信号、およびplaceholderビット信号が任意の回数にわたり繰り返されている。これに対応して、受信器101のInverse Rate Match部123は、送信器100における繰り返し回数にわたり、符号化ビット信号、repetition placeholderビット信号、およびplaceholderビット信号を、それぞれ加算処理、または平均化処理することにより、合成符号化ビット信号、合成repetition placeholderビット信号、および合成placeholderビット信号を生成する。Inverse Rate Match部123は、生成された合成符号化ビット信号、合成repetition placeholderビット信号、および合成placeholderビット信号を、信頼度情報生成部125に出力する。また、Inverse Rate Match部123は、生成された合成符号化ビット信号および合成repetition placeholderビット信号を検出処理部126に出力する。
【0038】
雑音電力推定部124には、等化処理部121からリファレンス信号およびチャネル推定値が入力される。雑音電力推定部124は、入力されたリファレンス信号およびチャネル推定値を用いて、熱雑音または伝搬路の干渉などに起因する雑音電力値を推定する。雑音電力推定部124は、推定された雑音電力値を、信頼度情報生成部125に出力する。
【0039】
信頼度情報生成部125には、Inverse Rate Match部123から、合成符号化ビット信号、合成repetition placeholderビット信号、および合成placeholderビット信号が入力され、雑音電力推定部124から雑音電力値が入力される。信頼度情報生成部125は、入力された合成符号化ビット信号、合成repetition placeholderビット信号、合成placeholderビット信号、および雑音電力値を用いて、UCI信号に関する信頼度情報を生成する。信頼度情報生成部125は、生成された信頼度情報を、検出処理部126に出力する。
【0040】
検出処理部126には、Inverse Rate Match部123から合成符号化ビット信号および合成repetition placeholderビット信号が入力され、信頼度情報生成部125から信頼度情報が入力される。検出処理部126は、検出手段の一例であり、入力された信頼度情報を参照して、信頼度情報がUCI信号の送信が有効であることを示す場合は、入力された合成符号化ビット信号および合成repetition placeholderビット信号を用いて、UCIビットの検出処理を行うことにより、UCIビットを生成する。一方、検出処理部126は、入力された信頼度情報を参照して、信頼度情報がUCI信号の送信が無効であることを示す場合は、UCIビットの検出処理を行わない(検出処理を抑制する)。
【0041】
図2は、信頼度情報生成部125の構成の例を示すブロック図である。
【0042】
信頼度情報生成部125は、ビット合成部141、検出閾値計算部142、および信頼度判定部143を有する。
【0043】
ビット合成部141には、Inverse Rate Match部123から合成符号化ビット信号、合成repetition placeholderビット信号、および合成placeholderビット信号が入力される。ビット合成部141は、合成符号化ビット信号、合成repetition placeholderビット信号、および合成placeholderビットを合成して検出用ビット信号合成値を生成する。ビット合成部141は、生成された検出用ビット信号合成値を信頼度判定部143に出力する。
【0044】
検出閾値計算部142には、雑音電力推定部124から雑音電力値が入力される。検出閾値計算部142は、入力された雑音電力値とパラメータとして予め設定が可能である(予め記憶されている)相対検出閾値とを用いて、検出閾値を生成する。検出閾値計算部142は、生成された検出閾値を信頼度判定部143に出力する。
【0045】
信頼度判定部143には、ビット合成部141から検出用ビット信号合成値が入力され、検出閾値計算部142から検出閾値が入力される。信頼度判定部143は、入力された検出用ビット信号合成値と検出閾値とを比較することにより、信頼度情報を生成する。信頼度判定部143は、生成された信頼度情報を、検出処理部126に出力する。すなわち、信頼度判定部143は、検出手段の一例であり、UCI信号の送信の有効または無効を検出する。
【0046】
このように、雑音電力推定部124は、雑音電力を推定し、信頼度情報生成部125は、UCI信号に関する信頼度情報を生成し、検出処理部126は、UCI信号に関する信頼度情報を参照して検出処理を行う。
【0047】
図3は、受信器101の受信の処理を示すフローチャートである。以下、図3を参照して、受信器101におけるUCIの受信処理を説明する。
【0048】
ステップS200において、受信器101は、送信器100から送信されてきたUCI信号とリファレンス信号が多重された送信信号を受信する。
【0049】
ステップS201において、等化処理部121は、受信した送信信号からリファレンス信号を抽出する。ステップS202において、等化処理部121は、抽出したリファレンス信号を用いて、チャネル推定値を生成する。ステップS201およびステップS202と並列に実行されるステップS203において、等化処理部121は、受信した送信信号からUCI信号を抽出する。ステップS204において、等化処理部121は、UCI等化処理を行う。すなわち、ステップS204において、等化処理部121は、抽出したUCI信号に対して生成したチャネル推定値を用いて振幅および位相を補正することにより、UCI復調信号を生成する。
【0050】
ステップS205において、De-scramble部122は、UCI復調信号に対して、送信器100のscramble処理とは逆に相当する処理を施して、符号化ビット信号X0、repetition placeholderビット信号X1、およびplaceholderビット信号X2を生成する。
【0051】
ステップS206において、Inverse Rate Match部123は、式(1)により、符号化ビット信号X0、repetition placeholderビット信号X1、およびplaceholderビット信号X2を合成することにより、合成符号化ビット信号XRM,0、合成repetition placeholderビット信号XRM,1、および合成placeholderビット信号XRM,2を生成する。ここで、変数iは、符号化ビット信号X0、repetition placeholderビット信号X1、およびplaceholderビット信号X2のビット番号を示す整数である。変数i’は、合成符号化ビット信号XRM,0、合成repetition placeholderビット信号XRM,1、および合成placeholderビット信号XRM,2のビット番号を示す整数である。変数NRM,0,i’,NRM,1,i’、およびNRM,2,i’は、それぞれ、変数i’に関する符号化ビット信号X0、repetition placeholderビット信号X1、およびplaceholderビット信号X2に関する送信器100のRate Match処理におけるビットの繰り返し回数を示す。変数mは、0,1、または2のいずれかの値を有する整数である。
【数1】

・・・(1)
【0052】
ステップS202〜ステップS206と並列に実行されるステップS207において、雑音電力推定部124は、リファレンス信号とチャネル推定値を用いて雑音電力値σ2を推定する。
【0053】
ステップS208において、信頼度情報生成部125は、信頼度情報を生成する。すなわち、信頼度情報生成部125は、合成符号化ビット信号XRM,0、合成repetition placeholderビット信号XRM,1、および合成placeholderビット信号XRM,2を用いて、検出用ビット信号合成値Xdetを計算する。また、信頼度情報生成部125は、雑音電力値σ2を用いて検出閾値Thrdetを計算する。信頼度情報生成部125は、計算した検出用ビット信号合成値Xdetと検出閾値Thrdetとの大小関係を比較することにより信頼度情報を生成する。ここで、信頼度情報は、UCI信号の送信が有効であること、またはUCI信号の送信が無効であることを示す情報である。信頼度情報の生成の処理の詳細は、後述する。
【0054】
ステップS209において、検出処理部126は、信頼度情報を参照してUCI信号の送信が有効であるか、またはUCI信号の送信が無効であるかを判断する。ステップS209において、信頼度情報によってUCI信号の送信が無効であることが示されていて、UCI信号の送信が無効であると判断された場合、手続きはステップS210に進み、検出処理部126は、UCI信号の検出を行わず、UCIの受信処理は終了する。
【0055】
一方、ステップS209において、信頼度情報によってUCI信号の送信が有効であることが示されていて、UCI信号の送信が有効であると判断された場合、手続きはステップS211に進み、検出処理部126は、合成符号化ビット信号XRM,0、および合成repetition placeholderビット信号XRM,1を用いて検出処理を行う。
【0056】
UCI信号の検出処理を行う場合、検出処理部126は、式(2)により、合成符号化ビット信号XRM,0、および合成repetition placeholderビット信号XRM,1を合成して、UCIビット合成信号Xcombを生成する。ここで、変数i’’’は、UCIビット合成信号Xcombのビット番号を示す整数である。変数Nrept,0,i’’’は、ビット番号i’’’に関する合成符号化ビット信号XRM,0の繰り返しビット数を示す整数である。変数Nrept,1,i’’’は、ビット番号i’’’に関する合成repetition placeholderビット信号XRM,1の繰り返しビット数を示す整数である。変数i’’は、ビット番号i’’’に関する合成符号化ビット信号XRM,0および合成repetition placeholderビット信号XRM,1のビット番号を示す整数である。
【数2】

・・・(2)
【0057】
ステップS212において、検出処理部126は、送信器100から送信されるUCIビットの想定されるすべてのビット配列パターンを有するコードワード信号Cを生成する。検出処理部126は、式(3)により、UCIビット合成信号Xcombおよびコードワード信号Cを用いて、相関値Xcorrを生成する。
【数3】

・・・(3)
【0058】
ここで、変数NBITは、UCIビット合成信号Xcombのビット数を示す整数である。変数kは、ビット配列パターン番号を示す整数である。
【0059】
ステップS213において、検出処理部126は、生成された相関値Xcorr内において、最大値を有する相関値Xcorrに対応するUCIビットの配列パターンをUCIビットとして検出して、UCIの受信処理は終了する。すなわち、ステップS213において、検出処理部126は、固定値として与えられるビット信号を用いることなく、UCIビットを検出する。
【0060】
図4は、ステップS208に対応する、信頼度情報生成部125による信頼度情報の生成の処理を示すフローチャートである。
【0061】
ステップS400において、ビット合成部141は、Inverse Rate Match部123から合成符号化ビット信号XRM,0、合成repetition placeholderビット信号XRM,1、および合成placeholderビット信号XRM,2を入力(取得)する。ステップS401において、ビット合成部141は、式(4)により、検出用ビット信号合成値Xdetを計算する。ここで、変数Nrept,2,i’’’は、ビット番号i’’’に関する合成repetition placeholderビット信号XRM,2の繰り返しビット数を示す整数である。
【数4】

・・・(4)
【0062】
ステップS400およびステップS401と並列に実行されるステップS402において、検出閾値計算部142は、雑音電力σ2を用いて式(5)により可変な閾値である検出閾値Thrdetを計算する。ここで、変数Thrdet,relは、相対検出閾値を示す任意の値を設定可能な実数値である。
【数5】

・・・(5)
【0063】
信頼度判定部143は、ステップS403において、検出用ビット信号合成値Xdetと検出閾値Thrdetを比較して、ステップS404およびステップS405において、信頼度情報を生成する。具体的には、ステップS403において、検出用ビット信号合成値Xdetが検出閾値Thrdet未満であると判断された場合、ステップS404において、信頼度判定部143は、UCI信号の送信が無効であることを検出し、UCI信号の送信が無効であることを示す信頼度情報を生成して、信頼度情報の生成の処理は終了する。一方、ステップS403において、ビット合成値Xdetが検出閾値Thrdet以上であると判断された場合、ステップS405において、信頼度判定部143は、UCI信号の送信が有効であることを検出し、UCI信号の送信が有効であることを示す信頼度情報を生成して、信頼度情報の生成の処理は終了する。
【0064】
なお、1例として1つの送信器100が存在する場合について説明したが、本発明はそれに限定されず、送信器100は複数とすることが可能である。
【0065】
また、信頼度情報生成部125の検出閾値計算部142において、検出閾値Thrdetを計算する場合に、雑音電力σ2を用いると説明したが、式(6)により検出閾値Thrdetを計算することも可能である。ここで、変数βは任意の値を設定することが可能な実数である。
【数6】

・・・(6)
【0066】
このように、送信器100からUCI信号が送信されていない場合、受信器101においてUCI信号の誤検出の頻度を軽減することが可能になる。
【0067】
その理由は、送信器100からUCI信号が送信されていない場合、受信器101の検出処理において信頼度情報を参照することにより、UCI信号が送信されていること、またはUCI信号が送信されていないことが受信器101において判断される。これにより、受信器101は、UCI信号が送信されていないことを把握することができるからである。
【0068】
さらに、送信器100からUCI信号が送信されており、かつ、UCI信号の受信品質が悪い場合、受信器101において誤検出の発生頻度が高いUCI信号に対して検出処理する頻度を軽減することが可能である。
【0069】
その理由は、送信器100からUCI信号が送信されており、かつ、UCI信号の受信品質が悪い場合においても、受信器101の検出処理において信頼度情報を参照することにより、受信したUCI信号の誤検出の発生頻度を把握することができるからである。
【0070】
以上のように、UCIビットの誤検出を軽減すること、言い換えれば、UCIビットの誤検出を防止し、より確実に正しいUCIビットを得ることができるようになる。
【0071】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0072】
図5は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0073】
コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)201,ROM(Read Only Memory)202,RAM(Random Access Memory)203は、バス204により相互に接続されている。
【0074】
バス204には、さらに、入出力インタフェース205が接続されている。入出力インタフェース205には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部206、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部207、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部208、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部209、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア211を駆動するドライブ210が接続されている。
【0075】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU201が、例えば、記憶部208に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース205及びバス204を介して、RAM203にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0076】
コンピュータ(CPU201)が実行するプログラムは、例えば、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)等)、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリなどよりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディア211に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供される。
【0077】
そして、プログラムは、リムーバブルメディア211をドライブ210に装着することにより、入出力インタフェース205を介して、記憶部208に記憶することで、コンピュータにインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部209で受信し、記憶部208に記憶することで、コンピュータにインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM202や記憶部208にあらかじめ記憶しておくことで、コンピュータにあらかじめインストールしておくことができる。
【0078】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0079】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0080】
100…送信器、101…受信器、121…等化処理部、122…De-scramble部、123…Inverse Rate Match部、124…雑音電力推定部、125…信頼度情報生成部、126…検出処理部、141…ビット合成部、142…検出閾値計算部、143…信頼度判定部、201…CPU、202…ROM、203…RAM、208…記憶部、209…通信部、211…リムーバブルメディア



【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置と共にE-UTRA通信システムを構成する受信装置において、
UCI信号の送信の有効または無効を検出する検出手段
を有することを特徴とする受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の受信装置において、
前記検出手段は、可変な閾値を用いて、前記UCI信号の送信の有効または無効を検出する
ことを特徴とする受信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の受信装置において、
前記検出手段は、前記送信装置におけるUCIビットのパターンに依存せずに符号化出力に対して固定値として与えられるビット信号を用いて、前記UCI信号の送信の有効または無効を検出する
ことを特徴とする受信装置。
【請求項4】
請求項1に記載の受信装置において、
前記検出手段は、前記送信装置におけるUCIビットのパターンに依存せずに符号化出力に対して固定値として与えられるビット信号を用いて、前記UCI信号の送信の有効または無効を検出し、
前記固定値として与えられるビット信号を用いることなく、前記UCIビットが検出される
ことを特徴とする受信装置。
【請求項5】
送信装置と共にE-UTRA通信システムを構成する受信装置の受信方法において、
UCI信号の送信の有効または無効を検出するステップ
を含むことを特徴とする受信方法。
【請求項6】
送信装置と共にE-UTRA通信システムを構成する受信装置のコンピュータに、
UCI信号の送信の有効または無効を検出するステップ
を含む処理を行わせるプログラム。
【請求項7】
送信装置と共にE-UTRA通信システムを構成する受信装置において、
UCI信号の送信が有効または無効であることを示す情報を参照して、上記UCI信号の送信が有効である場合、UCIビットを検出し、上記UCI信号の送信が無効である場合、UCIビットを検出しない検出手段
を有することを特徴とする受信装置。
【請求項8】
送信装置と共にE-UTRA通信システムを構成する受信装置の受信方法において、
UCI信号の送信が有効または無効であることを示す情報を参照して、上記UCI信号の送信が有効である場合、UCIビットを検出し、上記UCI信号の送信が無効である場合、UCIビットを検出しないステップ
を含むことを特徴とする受信方法。
【請求項9】
送信装置と共にE-UTRA通信システムを構成する受信装置のコンピュータに、
UCI信号の送信が有効または無効であることを示す情報を参照して、上記UCI信号の送信が有効である場合、UCIビットを検出し、上記UCI信号の送信が無効である場合、UCIビットを検出しないステップ
を含む処理を行わせるプログラム。
【請求項10】
送信装置と共にE-UTRA通信システムを構成する受信装置において、
UCI信号の送信の有効または無効を検出する第1の検出手段と、
上記UCI信号の送信が有効である場合、UCIビットを検出し、上記UCI信号の送信が無効である場合、UCIビットを検出しない第2の検出手段と
を有することを特徴とする受信装置。
【請求項11】
送信装置と共にE-UTRA通信システムを構成する受信装置の受信方法において、
UCI信号の送信の有効または無効を検出する第1の検出ステップと、
上記UCI信号の送信が有効である場合、UCIビットを検出し、上記UCI信号の送信が無効である場合、UCIビットを検出しない第2の検出ステップと
を含むことを特徴とする受信方法。
【請求項12】
送信装置と共にE-UTRA通信システムを構成する受信装置のコンピュータに、
UCI信号の送信の有効または無効を検出する第1の検出ステップと、
上記UCI信号の送信が有効である場合、UCIビットを検出し、上記UCI信号の送信が無効である場合、UCIビットを検出しない第2の検出ステップと
を含む処理を行わせるプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−39515(P2012−39515A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179588(P2010−179588)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】