説明

口座管理システムおよび方法

【課題】 入力される口座番号及び表示される口座番号と異なる口座番号を用いて、内部処理を可能な口座管理システムを提供する。
【解決手段】 口座管理システムであって、第1の口座番号を入力可能な画面を表示する表示手段101と、第1の口座番号を入力する入力手段103と、第1の口座番号を第2の口座番号へ変換する第1の変換手段105と、第2の口座番号に基づいてデータ処理を行い、処理結果を出力するデータ処理手段107と、第2の口座番号を第1の口座番号へ変換する第2の変換手段109と、処理結果と第1の口座番号とを対応付けて表示手段101に表示可能とする対応付け手段111と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、証券会社、銀行等の金融機関において口座を管理するために使用される口座管理システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、金融機関における保険商品等の窓口販売が一部解禁されており、今後、対象商品も拡大する傾向にある。そのため、金融機関と保険会社のそれぞれが適切に保険商品等を管理することが必要とされる。ところで、同一の保険商品について、保険会社と金融機関のそれぞれで管理する場合、管理体系の違いに起因して連絡の齟齬等の発生や事務処理負担が増大することが考えられる。このような不都合を回避するために第1の管理体系で使用される第1の番号と第2の管理体系で使用される第2の番号とを対応付けて記憶するテーブルを用いる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−108770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、例えば、第1の顧客番号と第2の顧客番号とを対応付けて記憶するテーブルを用いる場合は、部店番号を一部に含む顧客番号を使用すると、ある部店が閉店となる毎に、旧部店の部店番号を一部に含む旧顧客番号と、新部店の部店番号を一部に含む新顧客番号とを対応付けて新たに記憶することが必要となる。
【0004】
また現在、金融機関の統廃合に伴う支店の閉鎖などにより、部店が変更されるケースが増えている。しかし、部店が変更される毎に、旧顧客番号と新顧客番号とを対応付けて新たに記憶しなければならないとすると処理が煩雑となる。また、変更された部店の部店番号を一部に含む顧客番号が刻印されている全ての顧客カードの再発行や、当該部店の部店番号を一部に含む顧客番号が記載されている全ての書類の再受け入れ等が必要となってしまいかねない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の特徴は、口座管理システムであって、第1の口座番号を入力可能な画面を表示する表示手段と、第1の口座番号を入力する入力手段と、第1の口座番号を第2の口座番号へ変換する第1の変換手段と、第2の口座番号に基づいてデータ処理を行い、処理結果を出力するデータ処理手段と、第2の口座番号を第1の口座番号へ変換する第2の変換手段と、処理結果と第1の口座番号とを対応付けて表示手段に表示可能とする対応付け手段と、を備えることにある。
【発明の効果】
【0006】
本発明の第1の特徴によれば、第2の口座番号に基づいて行われたデータ処理の結果が、第2の口座番号ではなく第1の口座番号に対応付けて表示される。つまり、入力される口座番号も表示される口座番号も第1の口座番号であるが、内部的には第2の口座番号でデータ処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に図面に基づいて、本発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、以下の説明は、単なる例示に過ぎず、本発明の技術的範囲は以下の説明によって限定されるものではない。
【0008】
図1は、本発明の実施の形態に係る口座管理システムを示す概略構成図である。図1に示すように、口座管理システムは、クライアント端末100とサーバ装置150とからなる。クライアント端末100は、表示手段101、印刷手段102、入力手段103を備え、サーバ装置150は、第1の変換手段105、データ処理手段107、第2の変換手段109、対応付け手段111、及び記憶手段113を備える。
【0009】
表示手段101は、例えばCRTディスプレイ、液晶ディスプレイなどであり、口座番号入力画面、データ処理結果表示画面などが表示される。HTMLファイルなどの画面構成ファイルをウェブブラウザが解釈することによって口座入力画面等が表示される。
【0010】
入力手段103は、例えばキーボード、ポインティングデバイスなどであり、口座番号を入力したり、画面上のボタンをクリックしたりするために使用される。
【0011】
第1の変換手段105は、第1の口座番号を第2の口座番号へ変換する。第1の口座番号とは例えば7桁の口座番号で、第2の口座番号とは例えば11桁の口座番号とする。
【0012】
データ処理手段107は、口座番号に対応する各種データを読み出したり、読み出されたデータに基づいて計算をしたりする。データ処理手段107は、第2の口座番号にのみ対応可能であり、第1の口座番号には対応できない。
【0013】
第2の変換手段109は、第2の口座番号を第1の口座番号へ変換する。対応付け手段111は、第2の口座番号に基づいて読み出されたりしたデータ処理結果を第1の口座番号に対応付ける。記憶手段113は、第2の口座番号に関連付けられた取引履歴などの各種データを記憶する。
【0014】
図2は、図1に示した口座管理システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。まず、クライアント端末100において、口座番号を入力可能な画面を表示手段101に表示し(ステップS201)、入力手段103を用いて7桁の口座番号(第1の口座番号に相当)が入力される(ステップS203)。
【0015】
次いで、サーバ装置150において、第1の変換手段105によって7桁の口座番号に4桁の部店番号が付加されて11桁の口座番号(第2の口座番号に相当)に変換され(ステップS205)、データ処理手段107によって11桁の口座番号に基づいてデータ処理が実行され(ステップS207)、第2の変換手段109によって11桁の口座番号が7桁の口座番号に変換され(ステップS209)、対応付け手段111によって7桁の口座番号とデータ処理の結果が対応付けられる(ステップS211)。なお、「4桁の部店番号」とは最大4桁の部店番号という意味であり、1〜4桁のいずれでも良い。
【0016】
さらに、クライアント端末100において、7桁の口座番号と共にデータ処理の結果が表示手段101に表示されるか又は印刷手段102によって印刷される(ステップS213)。7桁の口座番号と共にデータ処理の結果が表示手段101に表示され、かつ印刷手段102によって印刷されるとしても良い。
【0017】
図3は、図1に示した口座管理システムにおける口座番号等のデータの流れを示す図である。図3ではクライアント端末100から口座番号「1234567」が入力され、プレゼンテーションロジック(PL)310へ送られる。第1の口座番号「1234567」は、PL310内の第1の変換モジュール(第1の変換手段に相当)によって第2の口座番号「△0151234567」に変換され、ビジネスロジック(BL)320へ送られる。BL320は第2の口座番号を検索キーとして記憶手段330に記憶されている取引履歴等を検索・抽出し、データ処理結果として出力する。
【0018】
表示手段101を用いてデータ処理結果を表示する場合は、PL310内の第2の変換モジュール(第2の変換手段に相当)によって第2の口座番号「△0151234567」が第1の口座番号「1234567」に変換され、第1の口座番号と対応付けられてデータ処理結果が表示される。
【0019】
印刷手段102を用いてデータ処理結果を印刷する場合は、BL320内の第2の変換モジュールによって第2の口座番号「△0151234567」が第1の口座番号「1234567」に変換され、第1の口座番号と対応付けられてデータ処理結果が印刷される。
【0020】
図4は、第1の口座番号を第2の口座番号へ変換する必要がある場合と、変換の必要がない場合のプログラム構造の違いを説明するための図である。(a)は変換が必要な場合を示し、(b)は変換が必要ない場合を示す。
【0021】
図4(a)に示すように、変換が必要な場合、口座番号入力画面401に第1の口座番号「1234567」が入力され、送信ボタン402がクリックされると部店番号「15」と第1の口座番号「1234567」がサーバプログラムAに読み込まれ、第1の変換モジュールによって第2の口座番号「151234567」が生成され、部店番号「15」と第2の口座番号「151234567」とに基づいてメイン処理がなされ、データ出力処理がなされる。
【0022】
また、図4(b)に示すように、変換が必要ない場合、口座番号入力画面411に第2の口座番号「151234567」が入力され、送信ボタン412がクリックされると部店番号「15」と第2の口座番号「151234567」がサーバプログラムBに読み込まれ、部店番号「15」と第2の口座番号「151234567」とに基づいてメイン処理がなされ、データ出力処理がなされる。
【0023】
図4(a)と図4(b)とを比較して明らかなように、第1の口座番号から第2の口座番号への変換が必要な場合のサーバプログラムAと必要ない場合のサーバプログラムBとの相違は第1の変換モジュールの有無だけであって、その他の入力データ読み込み処理モジュール、データ出力処理モジュール、メイン処理モジュールを変更する必要は無い。
【0024】
最終的に、図4(a)に示した口座番号の運用から図4(b)に示した口座番号の運用へ全面的に移行することを目的とする。全ての画面や帳票を一気に変更することは困難な為、図4(a)に対応するシステムで運用しながら、水面下で図4(b)に対応するシステム等の準備を進めておき、準備が整った時点で図4(b)に切り替えるものとする。また、図4(a)に対応するシステムと図4(b)に対応するシステムとを併存させつつ、次第に、図4(b)に対応するシステムへ全面的に移行することも可能である。
【0025】
図4(b)に示した例では、画面B411に表示されている部店番号「15」と口座番号の上2桁の数字が一致しているが、このことは口座番号の上2桁の数字が部店番号を表すことを意味しない。つまり、口座番号そのものは部店番号から切り離されている。
【0026】
仮に、画面B411に表示されている口座番号「151234567」の口座に関連する取引等を処理する部店が変更された場合、画面B411の部店欄に表示される番号は変わっても、口座番号欄に入力される口座番号は「151234567」のまま変更されない。部店が変わっても、口座番号を変更する必要がないことは、部店変更への迅速対応を可能とする。
【0027】
上記の如く、本実施の形態によれば、入力される口座番号も表示される口座番号も7桁の口座番号であるが、内部的には11桁の口座番号でデータ処理を行うことができる。また、入力される口座番号が11桁の口座番号に変更された場合にサーバプログラムの変更は極めてわずかである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係る口座管理システムを示す概略構成図である。
【図2】図1に示した口座管理システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】図1に示した口座管理システムにおける口座番号等のデータの流れを示す図である。
【図4】第1の口座番号を第2の口座番号へ変換する必要がある場合と、変換の必要がない場合のプログラム構造の違いを説明するための図である。
【符号の説明】
【0029】
100…クライアント端末
101…表示手段
102…印刷手段
103…入力手段
105…第1の変換手段
107…データ処理手段
109…第2の変換手段
111…対応付け手段
109…記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の口座番号を入力可能な画面を表示する表示手段と、
前記第1の口座番号を入力する入力手段と、
前記第1の口座番号を第2の口座番号へ変換する第1の変換手段と、
前記第2の口座番号に基づいてデータ処理を行い、処理結果を出力するデータ処理手段と、
前記第2の口座番号を前記第1の口座番号へ変換する第2の変換手段と、
前記処理結果と前記第1の口座番号とを対応付けて前記表示手段に表示可能とする対応付け手段と、を備えることを特徴とする口座管理システム。
【請求項2】
第1の口座番号を入力可能な画面を表示するステップ、
前記第1の口座番号を入力するステップ、
前記第1の口座番号を第2の口座番号へ変換するステップ、
前記第2の口座番号に基づいてデータ処理を行い、処理結果を出力するステップ、
前記第2の口座番号を前記第1の口座番号へ変換するステップ、
前記処理結果と前記第1の口座番号とを対応付けて、前記表示手段に表示するステップを含むことを特徴とする口座管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−260442(P2006−260442A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−80176(P2005−80176)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(302005020)野村證券株式会社 (24)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)