口腔ケア用の組成物、方法、器具、及びシステム
多成分口腔ケア組成物、及び該組成物を口腔に送出するための方法を含む口腔ケア処置が提供される。このような口腔ケア処置を実施するための口腔ケア器具及びシステムも提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔ケア用の組成物、方法、器具、及びシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
2つ以上の口腔ケア組成物を用いることは既知であるが、1つ以上の組成物を口腔に送出するための改善された製品及び方法を提供するという要望が存在している。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概して、本発明は、多成分口腔ケア組成物、口腔ケア方法(複数の構成成分を口腔に送出するための手順など)、並びに口腔ケア器具、口腔ケアキット、及び口腔ケアシステムを含む、口腔ケア処置を特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
以下の本文は、本発明の多種多様な実施形態の大まかな説明を示す。この説明は単なる例示として解釈するものとし、あらゆる可能な実施形態を説明するのは不可能ではないとしても非現実的であるため、以下の説明は、あらゆる可能な実施形態を説明するものではなく、また、本明細書に記載されている機構、特徴、構成成分、組成物、成分、用量、製品、工程、又は方法論のいずれも、削除したり、本明細書に記載されている他のいずれかの機構、特徴、構成成分、組成物、成分、製品、工程、若しくは方法論と組み合わせるか、又は全体的若しくは部分的にこれらに置き換えたりできることが理解されるであろう。最新の技術又は本特許の申請日以降に開発された技術のいずれかを用いて、非常に多くの代替的な実施形態を実施することができるが、このような実施形態はそれでも、本請求項の範囲内に含まれることになるであろう。本明細書内で引用する出版物及び特許はすべて、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0005】
また、本特許内で、「本明細書で使用する時、「______」という用語は本明細書によって...を意味するものとして定義される」という文章、又はこれと類似の文章を用いて、用語が明示的に定義されていない限り、明示的か暗示によるかを問わず、その用語の明白且つ一般的な意味を超越して、その用語の意味を限定する意図がないことを理解すべきであり、また、このような用語は、本特許のいずれかの項に記載されているいずれかの記述(請求項の文言は除く)に基づく範囲に限定されると解釈すべきではない。いずれの用語も、本発明に不可欠なものとして記載されていない限りは、本発明に不可欠なものではないことが意図される。本特許の最後にある請求項に記載されている任意の用語が、ある単一の意味と一致した形で本特許内で言及されている限りにおいては、読み手を混乱させないように、単に分かりやすくする目的だけのためにそうしているのであって、暗示又はその他の方法によって、請求項の当該用語をその1つの意味に限定する意図はない。最後に、「意味する」という語、及びいかなる構造の詳述もなしにある1つの機能を記載することによって請求要素を定義している場合を除き、いかなる請求要素の範囲も、米国特許法第112条6項の適用に基づき解釈することは意図していない。
【0006】
概して、2つ以上の口腔ケア組成物、組成物の一部、物質、製剤、又は成分(以降これらを総称して「構成成分」という)を口腔に送出することを伴う口腔ケア処置について以下で論じていく。特に、送出前には、機械によって相互に分離されている2つの構成成分について、以下で論じていく。構成成分は、手動歯ブラシ、電動歯ブラシ、パッケージ、又はディスペンサといったさまざまな口腔ケア器具から送出されることができる。構成成分は、同時又は順次に送出されることができる。一部のケースでは、この2つの構成成分は、混合された時に、送出中に若しくは口腔内で反応するか、又はその他の形で相互作用して、口腔ケア組成物、例えば米国特許第6,375,933号及び後掲の「口腔ケア組成物及び構成成分」の項に記載されている2成分歯磨剤を形成する。別のケースでは、構成成分そのものが完全な口腔ケア組成物であり、例えば、構成成分は歯磨剤又はうがい薬であり得る。本明細書ではまず、実行することのできるさまざまな口腔ケア処置について論じていく。次に、構成成分を送出するのに適している器具の例について論じる。最後に、送出することができるさまざまな構成成分の例について論じる。構成成分は、所望の送出器具によって送出されることのできるいかなる形状、例えばニュートン流体、非ニュートン流体、液体、ペースト、又はゲルであることができる。
【0007】
使用方法
以下の論考では、機械によって分離されている2つの構成成分の送出について言及していく。ただし、論じられている方法は、3つ以上の構成成分に拡大適用できることは明らかであろう。以下で論じる方法は、例えばマイクロプロセッサコントローラが備わっている分配器具を用いて実行してよい。歯ブラシでは、静止式又は可動式ヘッド(又はヘッドの可動部分)を用いてよい。例えば、米国特許出願第09/993,167号、同10/036,613号、同10/114,870号、同10/128,018号、同10/208,213号、及び10/830,693号、並びに、米国特許第5,378,153号に記載されているように、回転、振り子振動、往復運動、並進運動、横振動などをするヘッド(又はヘッド部分(毛又は素子など))が備わっている適切な歯ブラシである。これに加えて、発光ダイオードが備わっている歯ブラシ、例えば米国特許出願第10/832,168号、同10/847,429号、同10/842,302号、同10/887,644号、10/887,667号、及び同10/888,206号に記載されているように光(青色光など)を発する歯ブラシを用いてもよい。適切な歯ブラシは、毛又は洗浄用素子が備わっていても備わっていなくてもよい。別の実施形態では、以下でさらに論じるように、本発明とともに多区画型パッケージなどのディスペンサを用いることができる。適切な器具の例については、後掲の「口腔ケア器具」の項で詳しく論じる。
【0008】
構成成分は、口腔に同時又は順次に送出されることができる。順次に送出するケースでは、両構成成分が、単一の口腔ケア工程中、例えば、単一のブラッシング工程中、若しくはその他の単一の処置工程中(開始から終了まで、特定のユーザーによる単一の使用中、典型的には約0.1〜5分)に送出されてよく、又はその代わりに、複数の口腔ケア工程にわたって個別に成分が送出されてよい。例えば、第1の口腔ケア工程中に双方の構成成分が送出され、第2の口腔ケア工程中に構成成分のうちの1つのみが送出されるといった数多くの組み合わせが可能である。以下では、可能な送出順序及びレジメンの例について論じる。
【0009】
同時送出
最も単純なケースは、単一の口腔ケア工程中に、同時且つ連続的に2つの構成成分を同量、又は構成成分を一定の割合で送出するものである。このレジメンは、例えば、互いに反応しないが調合の点で相溶性のない2つの構成成分を送出するのが望ましい場合に適し得る。例えば、活性であるために異なるpHレベルが必要な2つの構成成分(ピロリン酸第1スズ(低いpHで活性)とフッ化ナトリウム(高いpHで活性)など)を送出するのが望ましいことがある。この2つの構成成分は、pHレベルの異なる結合剤系を別々に有して、その後口腔に同時に送出されてよい。ブラッシング持続時間は、構成成分が不活性化しないように十分に短くする。同時且つ連続的送出の別の利用対象は、比較的ゆっくり反応し、ブラッシング後に口腔内に留まって歯又は歯肉に吸収される、2つの構成成分を含む系である。
【0010】
あるいは、送出は同時及び連続的にすることができるが、2つの構成成分の割合はブラッシング中に変動してもよい。一部のケースでは、まず、比較的大きなボーラス投与量の第1の構成成分とともに、第1の構成成分よりも少量の第2の構成成分を(例えば80:20の比率で)送出させてから、ブラッシング中に、例えば比率が逆転するまで(例えば20:80になるまで)第1の成分の量を減少させるとともに、第2の構成成分の量を増加させるのが望ましい場合がある。相対量の変化は線状にすることができ、又は、例えば、最初はブラッシングを開始するのに十分な練り歯磨きをもたらすように大量の練り歯磨きとともに少量のうがい薬を、続いて、ほぼすぐに大幅に減少させた量の練り歯磨きと増量させたうがい薬といったように、非線状にもすることができる。最初は滑らかで、極度に清潔/爽快な口内感触へと移行するブラッシング体験をユーザーに提供できるように、構成成分とその比率を選択することもできる。
【0011】
これに加えて、2つの構成成分は、単一の口腔ケア工程の異なる期間中に(例えば120秒の口腔ケア工程の1〜5秒、及び60〜65秒の間に)同時に送出されてよく、又は異なる工程中に(例えば1工程おきに)2つの構成成分が同時に送出されてもよい。
【0012】
単一の口腔ケア工程中の順次送出
単一の口腔ケア工程中の順次送出は、さまざまな形を取ることができる。ある1つのケースでは、2つの構成成分は交互に、例えばブラッシング中に比較的長い持続時間サイクルを数回(ABAB)、又は矢継ぎ早で交互に何度も(ABABABABAB....AB)送出される。このタイプの送出によく順応する処置の例は再石灰化であり、過酸化物及び過酸化物の活性剤を用いる処置である。好ましいサイクル時間は、用いる化学物質によって決まり、また、所定の化学反応に合わせて最適化できる。例えば、過酸化物と活性剤のケースでは、過酸化物と活性剤を反応させるために、サイクル時間は比較的長く、例えば15秒にしてよい。別の化学物質、例えば本明細書で論じられているもののような再石灰化系(後掲の「組成物」の項を参照)を、より短いサイクル時間、例えば5秒以下のサイクル時間で用いてよい。
【0013】
別のケースでは、単一の口腔ケア工程中に2つ以上の構成成分が順に送出され、その口腔ケア工程の中では続いて交互送出(Aの次にBが続く)は行わない。例えば、最初に歯磨剤が送出されてブラッシングを開始し、洗浄を行ってから、口内洗浄剤、フッ化物トリートメント、又は一時的なシーラントが送出される。別の選択肢としては、過酸化物に続いて活性剤若しくは歯磨剤が送出されてフッ素化を高めるもの、銅歯磨剤の次に亜塩素酸塩が続くもの、抗歯肉炎処置の次に抗炎症処置が続くもの、又は香味の異なる1対の構成成分によってユーザーに知覚的な合図を提供するものが挙げられる。香味の変化によって、例えば、ユーザーはもっと長時間ブラッシングする必要があるか、ブラッシングを終了してもよいか、又は、ユーザーはブラッシングモードを、例えばブラッシング速度がさらに早いか遅いモードに変更する必要があるかを示してよい。
【0014】
複数の口腔ケア工程中の順次送出
別の順次処置レジメンは、複数の口腔ケア工程を伴う。一部の実施態様では、送出器具に時計機能が備わっており、この送出器具は、所定の時刻又は一連の時刻に所定の処置を遂行するようにプログラムされている。時刻によって、異なる構成成分、異なる比率、又は異なる構成成分順序を実現することができる。例えば、朝にはある1つの構成成分を送出し、夜には第2の異なる構成成分を送出してよい(例えば2つの異なる歯磨剤、又はうがい薬と歯磨剤)。別の例として、朝には2つの構成成分、例えば歯磨剤とうがい薬を送出し、夜は歯磨剤のみを送出してよい。この時計ベースのアプローチによって、ユーザーは、2つの異なる知覚経験をするか、2つの異なる活性成分を得るか、又は1日2回ブラッシングする中で1日に1度だけ(朝又は夜のみに)活性成分を得ることができる。
【0015】
同様に、一部の処置レジメンは、所定の処置手順に従って、例えば朝若しくは夜のみに、1日おきに(朝及び/若しくは夜)、又は週に1度(朝及び/若しくは夜)、専門的な処置剤、例えば処方薬を送出することを含んでもよい。送出器具は、ブラッシング中、所望の時刻に正確な用量を送出するようにプログラムすることができる。練り歯磨きは別の時刻に送出されてもよく、また、所望に応じて、専門的な処置剤と同時に送出されてもよい。専門的な処置剤は、処方された練り歯磨きでもよく、処方された練り歯磨きを処方どおりに使用する合間に、標準的な店頭販売の練り歯磨きを分配してもよい。
【0016】
複数の口腔ケア工程にわたって有用である別のアプローチは「計数」機能であり、このアプローチによって、送出器具は、x回の口腔ケア工程ごとに、構成成分のうちの1つが送出されるようにプログラムされる。例えば、複数のユーザーが同じ歯ブラシハンドルを利用する場合、送出器具は、特定のユーザーの交換式歯ブラシヘッドを例えばRFIDによって認識し、そのユーザーの工程のみを計数するようにプログラムしてよい。
【0017】
一部のケースでは、時計機能と、複数の口腔ケア工程にわたってデータを蓄積する体積監視機能の双方を組み込んで、例えば一定の期間内に構成成分のうちの1つ又は双方を所定の体積のみ(例えば、24時間という期間にわたって構成成分Aをxグラム未満)送出するように、送出デバイスをプログラムするのが望ましい場合がある。この体積監視機能を用いて、単一の口腔ケア工程にわたって正確な用量の構成成分を計量するようにしてもよい。例えば構成成分が通常用量を上回ると毒性又はその他の安全上の問題が発生する場合には、体積監視を行うのが望ましい。例えば、小児に対するフッ化物処置のケースでは、フッ素中毒のリスクの理由から、小児が過剰なフッ化物を受けないようにするのが重要である。送出する用量は、いずれかの適切な方法によって、例えば、器具を正確に較正してからポンピングサイクルの数に基づき用量を間接的に計算することによって測定することができる。一部のケースでは、送出器具を用いて、特定の活性物質の用量を的確に制御する一方で、必要に応じて第2の組成物(標準的な歯磨剤など)を送出してよい。
【0018】
送出器具は、ブラッシング時間、及び/又は分配された各構成成分の量に関するデータを蓄積して、例えばユーザーが所定の処置手順を順守しているかを、ユーザー、及び/又はユーザーの歯科医若しくは他の臨床医が追跡記録できるようにプログラムされてよい。この情報は、送出器具のLCDディスプレイ上に表示されることができる。
【0019】
送出器具(例えば電動歯ブラシ)を複数のユーザーが用いる場合、各ユーザーが、自分の口腔ケア工程中に用いたい構成成分を選択できるように、送出器具をプログラムすることができる。例えば、ユーザーによって、好きな練り歯磨きの香味は異なり得、又は特有の性能特性(ホワイトニングに対して感度減少など)が備わっている練り歯磨きを求める場合がある。
【0020】
歯ブラシのケースでは、異なる歯ブラシヘッドに2つの構成成分が送出されるようになっていてよい。第1のヘッド(例えば標準的な電動歯ブラシヘッド)が定位置にある場合には、第1の構成成分、例えば歯磨剤が送出され、第2のヘッド(例えばピック、タンスクレーパー、又は、歯肉ブラシなど)が定位置にある場合には、別の構成成分、例えば口内洗浄剤が送出される。歯ブラシは、例えばRFIDによる認識によって、又は機械的手段(ピン配列など)によって異なるヘッドを自動的に認識するようになっていてよい。さまざまなヘッドのRFID認識機能を備えている口腔ケア器具は、公開済み米国特許出願第2002/0129454号に記載されており、この特許の全面的な開示内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0021】
送出パラメータ
本明細書で論じられている処置レジメンのいずれかによる送出は、断続的なもの、すなわち、中断期間(その間は送出が行われない)を伴うものであってよい。「連続的な」送出でさえも、送出器具のポンピング機構が脈動する形で動作し得るという意味では、断続的であり得るということが知られている。ただし、送出器具を適宜プログラムすることによって、処置レジメンに追加の中断期間及び/又はさらに長時間の中断期間を含めることができる。
【0022】
いずれかの送出器具から、約0.2、0.4、0.6、0.8、1、1.2、1.5、1.8、2、4、6、8、10、15、30、60、90、又は120秒間にわたって、第1の構成成分が約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.2、1.4、1.5、1.6、1.8、若しくは2グラム(又は約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.2、1.4、1.5、1.6、1.8、2、5、7、10、12、15、20、25、若しくは30ml)送出されてよく、また、約0.2、0.4、0.6、0.8、1、1.2、1.5、1.8、2、4、6、8、10、15、30、60、90、120、180、240、又は300秒間にわたって、第2の構成成分が約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.2、1.4、1.5、1.6、1.8、若しくは2グラム(又は約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.2、1.4、1.5、1.6、1.8、2、5、7、10、12、15、20、25、若しくは30ml)送出されてよい。手動でポンプ排出を行う送出器具(例えば図13に示されている2区画型ディスペンサ)のケースでは、ポンプの1、2、3、又は4回の作動によって第1及び/又は第2の構成成分が分配されてよい。さらには、約90/10、80/20、70/30、60/40、50/50、40/60、30/70、20/80、又は10/90(第1の構成成分/第2の構成成分)という比率で第1及び第2の構成成分が分配されてよい。
【0023】
上で論じたように、第1及び第2の構成成分が同時又は順次に送出されてよい(第2の構成成分が、第1の構成成分の約0.2、0.4、0.6、0.8、1、1.2、1.5、1.8、2、4、6、8、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、75、90、105、又は120秒後に分配されてよい)。さらに、第1のブラッシング工程の次の第2のブラッシング工程中に第2の構成成分が分配されてよく、その際には、第1のブラッシング工程の終了時から第2のブラッシング工程の開始時までは少なくとも約4、6、8、10、又は、12時間あける。
【0024】
ブラッシング工程中は、複数の順序があってよく、その順序は、上記の重量、体積、及び時間をさまざまに組み合わせたものが含まれる。この順序は同時又は順次的にしてよく、また、上記の中断期間を含んでもよい。例えば、2分間のブラッシング工程内で、第1の順序は、同時に分配される第1の構成成分の体積と第2の構成成分の体積とを含んでよく、続いて、第2の順序は、分配される第1の構成成分の体積を含み、続いて、分配を行わない期間が生じてもよく、続いて、第3の順序は、分配される第2の構成成分の体積を含み、続いて、分配を行わない期間が生じてもよく、続いて、第4の順序は、分配される第1の構成成分の体積を含んでもよい。
【0025】
送出器具
手動歯ブラシ、電動歯ブラシ、並びにその他のさまざまなパッケージ(例えばハンドポンプなど)及び器具など、多種多様な口腔ケア器具を用いて、本発明の構成成分を分配することができる。まずは、2つの構成成分を同時に送出できる口腔ケア器具について論じていく。
【0026】
図1を参照してみると、口腔ケアシステム10のある1つの実施形態が示されており、口腔ケアシステム10には、口腔ケア器具12(このケースでは歯ブラシである)とドッキングステーション14とが備わっており、ドッキングステーション14は、その受容部分内で口腔ケア器具12を直立位置で保持する。口腔ケア器具12は、モーター付きヘッドを有する電動歯ブラシであり、ブラッシングサイクル中に2つの構成成分(歯磨剤とうがい薬など)を放出する設計になっている。ドッキングステーション14は、口腔ケア器具内にあるバッテリーを再充電し且つ口腔ケア器具に前記構成成分を補充する設計になっている。
【0027】
図2A及び2Bを参照してみると、口腔ケア器具12は、3つの相互接続コンポーネント152、154、及び156から成る分離可能なハウジング16を含む。組み立てたとき、口腔ケア器具12は、ヘッド20のある末端部分18と、ハンドル24のある近位部分22とを含む。ハンドル24とヘッド20とを接続させるのはネック26である。ヘッド20は、ブラッシングのためにユーザーの口内に収まる大きさになっており、その一方、ハンドル24は、ユーザーが握ることができ、使用中にヘッド20の操作を円滑化する。
【0028】
口腔ケア器具12の背面図を示している図2Bを参照してみると、口腔ケア器具の近位部分22にある末端面30の近くに吸入口28が位置付けられている。吸入口28は、口腔ケア器具を補充するためのドッキングステーション14に位置する対応する排出口280(図8A)と噛み合うことができる。
【0029】
図3A及び図3Bを参照してみると、口腔ケア器具12の内部コンポーネントが示されている。口腔ケア器具12にはモーター34及び36が備わっている。1対の構成成分をそれぞれの経路(図3A及び3Bではそのうちの1つ(経路40)しか見えない)に沿って口腔ケア器具12の末端部分18の方に移動させるポンピングアセンブリ38をモーター34が駆動させる。米国特許出願第10/861,253号(参照することにより、その開示全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているように、ポンピングアセンブリ38は、チューブ514及び516(図4A)の一部分を圧縮要素で圧縮することによって各構成成分をそれぞれの経路を介して移動させることができる。チューブを徐々に圧縮するために一連のフィンガーを用いる場合、米国特許出願第10/861,253号に記載されているポンプアセンブリと同様に、フィンガーは、2つのチューブの幅方向に延びてチューブを同時に圧縮できるような寸法にする。
【0030】
モーター36は駆動軸42を駆動させ、続いてそれがヘッド20を動かす(例えば回転させる)。モーター34、36、及び37に電力を供給するために、充電式バッテリー44が前記モーターに電気連結している。適切な充電式バッテリーは、サンヨー(Sanyo)から入手可能なLiイオンUR14500Pである。
【0031】
図4A及び図4Bを参照してみると、口腔ケア器具には、口腔ケア器具内の2つの流体流を導く1対のチューブ514及び516が備わっている。図示されているように、チューブ514及び516はそれぞれ、可動式ヘッド20の回転軸518と直交している長手軸531からオフセットした位置でヘッドに接続している。一部の実施形態では、チューブのうちの1つは回転軸でヘッドに接続され、もう一方は回転軸からオフセットした位置で接続されてよい。図5を参照してみると、ポンピングアセンブリの下流部、及びヘッドにある流体排出口の上流部で、チューブ550及び552が流体接続し合っている変形物が示されている。この実施形態は、ブラッシング表面に送出される直前の時点で経路内で構成成分を混合するのが望ましい場合に有利であり得る。
【0032】
図の尺度の理由から、分かりやすくするために、図3A〜3Bでは、1つの経路40しか図示していない点を指摘しておく。一般に、口腔ケア器具12には、上記のとおり、2つの経路(例えば図4A及び4Bではチューブ514及び516)が備わっている。ただし、例えば2つの構成成分が貯蔵される別個のチャンバーに近いヘッドの上流部で2つの構成成分を混合できる一部のケースでは、1つの経路を用いてもよい。
【0033】
再び図3Aを参照してみると、口腔ケア器具12には、モーター34及び36に電気的に接続し、通常、これらのモーターの動作を管理する制御回路又はコントローラ400が備わっている。ユーザーインターフェース402は、コントローラ400との外部相互作用をもたらす。ユーザーインターフェース402には、オンオフボタン404及び406と、流体レベルスイッチ408が備わっており、これらはすべて、ハウジング16(図2A参照)の外側から利用することができる。
【0034】
コントローラは所望に応じてプログラムすることができるが、1つの例として、コントローラは、ボタン404を押し下げるとモーター34及び36が起動し、ボタン406を押し下げるとモーターのうちの1つ、例えばモーター36のみが起動する設計になっている。ボタン404又は405を押し下げることによってヘッド動作及び流動の双方を開始させることができるが、ボタン404によって1つの流れを動作させ、ボタン405によってもう一方の流れを動作させる。ボタン406を押し下げることによって、流動及びヘッド動作のうちの1つのみを開始させることができる。ボタン404又は406を押し下げることによって、開始後の関連モーターを停止させることもできる。ボタン406によってモーター36のみを起動及び停止させるケースでは、ユーザーは、例えば、どちらの構成成分も送出させずにブラッシングを行うことができ、またヘッドを回転させながら口腔ケア器具12をすすぐことができる。流体レベルスイッチ408、409によって、ユーザーは、あらかじめ設定されている流体送出速度(高速、中速、及び低速など)の中から選択できる。3つのLED410を選択的に発光させて、選択した流体送出レベルを表示することができる。代わりに又はこれに加えて、流体送出レベルを伝達するためにLCDディスプレイを含むことができ、並びに/又はLCDディスプレイを用いてその他の情報(口腔ケア器具12内の流体量及び/若しくはバッテリーの充電状態など)を表示することができる。
【0035】
コントローラ400は、モーター34の起動後に練り歯磨きの送出レベルを調節するようにプログラムしてもよい。一部の実施形態では、コントローラは、例えばブラッシングを始めるのに十分な練り歯磨きをもたらすために、モーター34が起動した直後に2つの構成成分の比較的大きなボーラス投与量が送出され、続いて、例えばブラッシングサイクルの残存部分全体において、より低い送出レベルに送出量が減少するように、プログラムされている。練り歯磨きの送出量は、例えば、断続的に流体を噴出させることによって、及び/又は、流体送出速度を遅くすることによって減少させてもよい。一例として、コントローラは、低速、中速、及び高速の、3つの送出設定を提供するようにプログラムされてよい。1つの実施形態では、コントローラは、低速の送出設定で、モーター34を約7秒間作動させることによって、ボーラス投与量を送出するようにプログラムされている。約7秒後、コントローラは、約0.75秒間モーター34を断続的に作動させ、約2.4秒間モーター34を停止させる(すなわち、この間隔でモーターのオンオフを循環させる)。同じ実施形態において、コントローラは、中速の送出設定で、モーター34を約7秒間作動させてボーラス投与量を送出し、次に、モーターを約0.75秒間オンにし約1.63秒間オフにするサイクルで循環させるようにプログラムされている。高速の送出設定では、コントローラは、モーター34を約7秒作動させてボーラス投与量を送出し、次に、モーターを約0.75秒間オンにし約1.2秒間オフにするサイクルで循環するようにプログラムされている。コントローラ400の所望のプログラム設定に応じて、これよりも多いか又はこれよりも少ないユーザーインターフェース制御を用いて様々な機能を起動させることができる。
【0036】
再び図3Aを参照してみると、モーター36が旋回式駆動軸42を動かし(例えば直線的に並進させ)、続いて、駆動軸42が回転式ヘッド20を動かす(例えば回転振動させる)。駆動軸42は、ヘッド20にある流体排出口と、ハウジング16のネック26の中の流体経路の一部を形成しているチューブ82(又は、2つの物質の流れを別々に保持しておく場合には1対のチューブ)の配置を円滑化するオフセット設計を用いて回転式ヘッド20に接続される。このオフセット設計は、米国特許出願第10/861,253号にさらに詳しく記載されている。回転式ヘッド20の動作は、部分的に、カムと、駆動軸42を前後に駆動させるのに用いられる直線運動にモーター36の回転出力を変換させる従動システムとを用いることによってもたらされることができる。このような装置は、米国特許出願第10/861,253号(上で参照したことにより組み込まれている)に記載されている。
【0037】
ここで図6及び7を参照してみると、ヘッド20には、開口部124を有する基部136が備わっており、開口部124の中を、バルブ122、例えば図示されているようなダックビルバルブが外向きに延びている。一部の実施形態では、チューブ82の遠位端は、そこに取り付けられているバルブを用いることなく、流体排出口を形成する。2つの流れがヘッドから出るまで2つの流れを別々に保持するのが望ましい場合には、2つのバルブ、又は2005年4月26日出願の米国特許出願第11/114,987号(参照することによりその開示全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているもののようなデュアルダックビルバルブを用いてよい。一連の毛房138が基部136から延びている。各房138は図では固体の塊として示されているが、実際には房はそれぞれ、個別のプラスチック毛の大きな塊で構成されている。ブラシヘッドのさらに詳細な説明については、本出願人は、2003年9月9日出願の係属中の米国特許出願番号第10/666,497号(参照することによりその開示全体が本明細書に組み込まれる)を参照している。
【0038】
口腔ケア器具12は、使用していない時には、ドッキングステーション14と連結されることができる。ドッキングステーション14は、電気コンセント(図示なし)又はその他の適切な電源装置に接続されることができる。図8A及び8Bを参照してみると、ドッキングステーション14は、受容部273の中に口腔ケア器具12を直立位置で保持するように形成されている。受容部273は、ハウジング291内に形成されている垂直凹部295とハウジング延伸部297との間に延びている床面275を含む。凹部295は、口腔ケア器具12の一部を受容する輪郭になっている。ドッキングステーション14には、ドッキングステーションが口腔ケア器具を受容した時に入力を検知するとともに、この入力に応じてコントローラに信号を送信する反応装置、例えばセンサー(図示せず)が備わっており、その詳細については、以下でさらに詳しく説明する。
【0039】
ここで図8B及び9を参照してみると、ドッキングステーション14には、マルチチャンバー型流体リザーバー274が備わっており、その2つのチャンバーは、排出口280につながるチューブ276と連結している。一部の実施形態では、例えば図9に示されているように、流体リザーバー274は、ドッキングステーション14の分離可能な交換式部分301の一体部分として形成されている。別の実施形態では、流体リザーバーからの2つの交換式ポーチ303(図10にはそのうちの1つしか示されていない)が、図10に示されている。このケースでは、ドッキングステーションの上部301は取り外し可能で、消費者は、ポーチ303の中身を使い果たすか、又はユーザーが違う製品を使いたいと思うときに、ポーチ303を簡単に取り外し、代わりのポーチを挿入することができる。図8Bを参照してみると、構成成分を流体リザーバーから口腔ケア器具に移動させる目的で、ドッキングステーションにポンプアセンブリ282が備わっている。ドッキングステーション内の補充機構の詳細は、米国特許出願第10/861,253号に記載されている。
【0040】
再び図8Bを参照してみると、ドッキングステーション14の受容部273の中では1対のリード線336、338が露出している。リード線336、338は、口腔ケア器具を受容部173内に置いた場合に、口腔ケア器具上の1対の接触子340、342(図2A)と接触するように配置されている。この接触子は、口腔ケア器具12とドッキングステーション14とを電気連結し、そのためドッキングステーションが接続されている電源によって、口腔ケア器具内の充電式バッテリーを充電できる。接触子340、342は、充電式バッテリーと電気接続して、電力がドッキングステーションからバッテリーに流れるようにする。
【0041】
2つの構成成分を順次送出されるのに好適な口腔ケアシステム600が、図11に示されている。口腔ケアシステム600には、歯ブラシの形態の口腔ケア器具602とドッキングステーション604とが含まれている。口腔ケア器具602は、チューブ605の全長を経由してドッキングステーション604に接続しており、図11には、そのほんの一部が示されている。チューブ605は可撓性であり、ユーザーが口腔ケア器具を簡単に操作できるほど十分に長い(例えば長さ約0.76〜1.1メートル(2.5〜3.5フィート))。チューブ605は、以下で論じるように、任意の所望の位置、例えばヘッド又はハンドルの位置で口腔ケア器具に接続されてよい。
【0042】
口腔ケア器具602には、ハンドル606と取り外し可能なヘッド/ネック部608が備わっている。ハンドル606には、ポンピング機構又はポンプモーターは備わっていないが、これらのコンポーネントが、以下で論じるように、ドッキングステーション内に提供されているためである。ヘッド606には、ヘッドを駆動させるために必要なモーター及びその他のコンポーネントが収容されており、また、2つの流体経路が収容されてよい。
【0043】
ドッキングステーション604には、タワー部分Tとベース部分Bが備わっている。タワー部分には、2つのリザーバー(図示せず)が収容されており、また、ベース部分から取り外すことが可能で、ユーザーがリザーバーを補充するか交換することができるようになっている。ベース部分Bは、図12に詳しく示されているように、2つのポンプ610、612を支持し、これらのポンプは、チューブ614、616を通じてリザーバーから2つの構成成分を受容し、チューブの下流部618、620に送出する。チューブは、ドッキングステーションから出た後、1つのシースで覆われるか、又はその他の方法で1つのシース内に収容されて、図11に示されているチューブ605を形成してよい。ポンプ610及び612は、モーター622、624によって別々に駆動される。モーターの起動は、コントローラ、例えば1つ以上のマイクロプロセッサーにより駆動され、このコントローラは、プリント回路基板626、628の上に取り付けられてよい。
【0044】
チューブ605がベースの位置で、又はハンドル内で口腔ケア器具に入る場合には、ハンドルに、2つの流体軌道を規定するチューブが収容される。チューブ605がヘッドの位置で口腔ケア器具に入る場合には、ヘッド駆動コンポーネントしか収容していない標準的なハンドルを用いてよい。
【0045】
いずれかの所望のタイプのリザーバーを用いて、上記の口腔ケア器具内に2つの構成成分を収容してよい。好適なリザーバーは、米国特許出願第10/861,253号(上で参照したことにより組み込まれている)に記載されている。
【0046】
別の実施形態では、送出器具は、単独で、又は前述の電動歯ブラシと組み合わせて用いることのできる2区画型ディスペンサの形態で提供されることができる。図13を参照してみると、第1の排出口705と第2の排出口710とを備えている2区画型ディスペンサ700が示されている。ディスペンサ700には、第1の構成成分を貯蔵する第1の区画718と、第2の構成成分を貯蔵する第2の区画720が備わっている。第1の区画715は、チューブ722を介して第1の排出口705と流体連通しており、第2の区画720は、チューブ724を介して第2の排出口710と流体連通している。この実施形態では、第1及び第2の構成成分が混合したり、実質的に混合したり、混ざり合ったり、又はその他の方法で一緒に分配されたりしないように、第1の区画715と第2の区画720は、下流で互いに流体連通していない。ピストンタイプポンプ726を用いて、第1の構成成分を第1の区画715からポンプ排出することができ、その一方で、別個のピストンタイプポンプ728を用いて、第2の構成成分を第2の区画720からポンプ排出することができる。ポンプ726及び728は、バネ730及び732によって偏向させることができる。ピストンタイプポンプの働きを円滑化する目的で、1つ以上のバルブ736を備えることができる。バルブ736は、流体を1方向のみに移動させる逆止弁として提供されることができる。第1及び第2の区画の容積は、同じ又はほぼ同じにすることができる。別の実施形態では、第1及び第2の区画の容積は異なっており、これは、口腔ケアレジメンの期間中に分配される第1及び第2の構成成分の量が異なる場合に有用である可能性がある。ピストンポンプのストロークごとに第1又は第2の構成成分の用量を計量する目的で、オリフィス734を備えることができる。用量は、ピストンポンプのサイズ(例えば内径)及び/又はストロークによって制御することもできる。
【0047】
第1の区画715及び第2の区画720は、ディスペンサ700のハウジング734に取り外し可能な状態ではめ込む交換式カートリッジとして提供されることができる。例えば、区画715及び720は、ネジでハウジング734にはめ込むことができる。第1の区画と第2の区画の投与法又は計量法が異なる場合に、各区画が適切にピストンポンプ又はオリフィスと対を成すように、区画715及び720に、(ピッチ又はサイズが)異なるネジ山を提供することができる。第1の排出口と第2の排出口が図示されているが、単一のピストンタイプポンプ及び排出口を備えることもでき、その場合には、単一のピストンタイプポンプ及び排出口は、第1の区画又は第2の区画のいずれかと選択的に流体連通させて配置することができる。本明細書に記載されている構成成分、投与法、又はレジメンのいずれかをすべて又は部分的に、ディスペンサ700とともに用いることができる。ディスペンサ700は、本発明で用いるのに好適な分配器具の1つであるが、その他の分配器具を使用できることが理解されるであろう。
【0048】
本発明の1つの方法では、ユーザーが第1の構成成分を歯ブラシの上に分配し、ブラッシングレジメンの一部として、口腔への第1の構成成分の適用を進める。第1の構成成分を用いた後、ユーザーは順次、第2の構成成分を歯ブラシの上に分配し、ブラッシングレジメンの一部として、第2の構成成分を口腔に適用する。任意に、ユーザーは、第2の構成成分を歯ブラシに適用する前に、ブラシ及び/又は自分の口腔をすすいでもよい。歯ブラシには、第1の構成成分と第2の構成成分の切り替えを行う時点、又は第2の構成成分の使用を完了する時点をユーザーに通知する目的で、所定の期間が経過したら信号を作動させるタイマーを含んでもよい。ある1つの実施形態では、第2の構成成分は、第1の構成成分を歯ブラシ又は口腔に適用してから約15、30、45、60、120、180、240、300、360、420秒、又は10、15、若しくは20分以内に、歯ブラシ又は口腔に適用される。
【0049】
ディスペンサ700は、第1及び第2の区画が備わっているものとして図示されているが、2つ以上の区画を備えることができることが理解されるであろう。ディスペンサ700は、多種多様な形、サイズ、及び構成で提供されることができる。
【0050】
図14を参照してみると、別の実施形態では、第1の区画と第2の区画は、完全に分離しているパッケージで提供されることができ、これらのパッケージは、キットとしてまとめられてよい。例えば、歯磨剤として提供される第1の構成成分は、第1の歯磨剤ディスペンサ800に提供され、歯磨剤として提供される第2の構成成分は、第2の別個の歯磨剤ディスペンサ805に提供されることができる。第1及び第2のディスペンサは、同じでも異なっていてもよく、簡潔化するために、ディスペンサ700(図13)と同じ構造を備えているものとして図示した。ユーザーは、第1の歯磨剤パッケージから歯ブラシの上に第1の量を分配し、ある期間、第1の構成成分でブラッシングした後、同じ歯ブラシの上に第2の歯磨剤パッケージから第2の構成成分をある量分配し、第2の構成成分でのブラッシングレジメンを完了させることができる。第1及び第2の歯磨剤パッケージは、視覚的に明確な形、サイズ、又は色(単一又は複数)で提供されて、ユーザーが2つを簡単に区別できるようにできる。第1及び第2の歯磨剤パッケージには、2つを区別するためのグラフィック、テキスト、アイコン、又は数字が付いていてもよい。一部の実施形態では、特定の投与量が送出され、その結果、第1及び第2の構成成分間の制御された比率が適用されるように、第1及び第2の歯磨剤パッケージによって第1及び第2の構成成分を計量することができる。
【0051】
口腔ケア組成物及び構成成分
以下では、2成分口腔ケア組成物について説明する。場合によっては、ユーザーの口内に2つの構成成分を別々に送出するか、又は使用まで口腔ケア組成物の2つの構成成分を別々に保持して、送出中若しくは口腔内で構成成分を混合することが有益又は必要である。これは、例えば、「方法」の項で上述したように、一緒に貯蔵すると2つの構成成分が互いに反応及び/若しくは中和し合うか、又は2つの構成成分内の成分が異なるpHレベルで活性である場合に当てはまり得る。続いて、さまざまな2成分組成物及びそれらの利用の例について述べる。以下に示すとおり、一部のケースでは、記載されている組成物のいくつかは、上記の方法に従って他の任意の所望の構成成分(標準的な歯磨剤又はうがい薬など)とともに順次又は同時に送出されてよい単一の構成成分として提供されてよい。
【0052】
以下の論考では、2成分組成物に焦点を当てるが、それは前記組成物が、上記の方法及び器具を用いて有益な形で送出されることができるためである。ただし、上記の方法及び器具は一様に、関連性のない2つの構成成分(例えば標準的な歯磨剤と標準的なうがい薬)、香味の異なる2つの歯磨剤などに加えて、以下で言及されていないその他の2成分組成物を送出するのにも適しているということが知られている。
【0053】
悪臭治療
口の硬組織と軟組織は、代謝能の異なる細菌が含まれている微生物個体群で覆われている。これらの微生物個体群内のグラム陽性菌は、炭水化物を容易に異化させて、口腔の硬組織を攻撃する酸を生成し、その結果、う蝕(虫歯)を形成する。これに対し、グラム陰性菌、とりわけ嫌気性菌は、唾液に含まれている種々のアミノ酸と、口腔内のペプチド及びタンパク質(アミノ酸ほどは含まれていない)を容易に代謝させて、口臭及び歯周炎の発生に有利に働く最終生成物を形成する。
【0054】
口臭(臨床的に口臭症(halitosis)という)は、揮発性硫黄化合物、主に硫化水素、メチルメルカプタン、及び微量の硫化メチルを生成させる、歯垢、粘膜に付着している残渣、及び唾液細胞要素上にあるこれらの微生物の腐敗作用が原因である可能性がある。
【0055】
2成分口腔ケア組成物には、口臭を軽減し、息の清涼感を向上させ、及び/又は歯垢の蓄積を防ぐことができるものがある。口腔ケア組成物の第1の構成成分としては、金属塩、例えばCu(II)などの銅塩が挙げられ、口腔ケア組成物の第2の構成成分としては、酸化剤、例えば亜塩素酸塩が挙げられる。この2つの構成成分は、使用時まで、又は使用直前まで、例えば上述したような送出器具の2つの区画内で別々に保持される。この構成成分は、まず歯磨剤を使って歯をブラッシングしてから口腔ケア用うがい薬を使うという2つの工程プロセスによってではなく、ユーザーにより、例えば本明細書に記載の器具を用いて単一の工程で適用されることができる。
【0056】
理論に束縛されるものではないが、このような組成物は、2重のアプローチによって悪臭を軽減させることができる。まず、金属塩が、揮発性硫黄化合物(VSC)を金属硫化物として沈殿させることによって、VSCの濃度を低下させることができる。個別の化学経路を用いて、酸化剤が悪臭化合物(アミン及び硫化物など)を酸化させて、不揮発性、すなわち無臭形態にする。これに加えて、酸化剤と金属塩、とりわけCu(II)塩には抗菌作用があり、その作用も、ユーザーに対して抗う蝕(anti-carries)効果をもたらすことができる。
【0057】
一部の実施形態では、2成分組成物は、単一成分の口腔ケア製品(例えば歯磨剤又は口内洗浄剤のみ)の使用と比べて、又はさらに場合によっては歯磨剤の次に口内洗浄剤が続く口腔ケアレジメン(regime)の使用と比べて、効能の増大をもたらすことができる。したがって、一部の実施形態では、ほぼ同等の効能を得るために、単一成分系で適用することになる量に比べて、2成分組成物中でより少量の活性成分が適用されるか、又は逆に、同じ量の活性成分で、より大きな効能をもたらすことになる。
【0058】
適切な金属塩の例としては、Cu塩、Zn塩、Ag塩、Sn塩、Mg塩、Fe塩、及びMn塩が挙げられる。好ましい実施形態の一部では、第1の構成成分として、Cu(II)イオンを溶液中に放出させることが可能な銅塩が挙げられる。適切な銅塩の例としては、グルコン酸銅、塩素酸銅、塩化銅、フッ化銅、及び硝酸銅が挙げられる。一般に、銅塩は、第1の構成成分中に、約50〜10,000ppm、又は約200〜約2000ppm、例えば500〜約1000ppmの濃度で存在する。
【0059】
適切な酸化剤の例としては、亜塩素酸塩、過酸化水素、並びに過ホウ酸塩、過塩素酸塩、及び高塩素酸塩(hyperchlorates)が挙げられる。一部の好ましい実施形態では、第2の構成成分としては、亜塩素酸イオンを溶液中に放出させることが可能な亜塩素酸塩が挙げられる。適切な亜塩素酸塩の例としては、亜塩素酸ナトリウムが挙げられる。一般に、亜塩素酸塩は、第2の構成成分中に、約100〜10,000ppm、又は約1000〜約4000ppm、例えば約1600〜約2400ppmの濃度で存在する。
【0060】
口腔ケア組成物の2つの構成成分の各々は、歯磨剤として、又は口内洗浄剤として独立して調合することができる。一般に、口腔ケア組成物の各構成成分が歯磨剤として調合されている場合、その構成成分は、ユーザーの口内に同時又は順次に送出されてよい。第1及び第2の構成成分は、上述したもののような送出器具を用いて送出されることができる。口腔ケア組成物の各構成成分は、単一のボーラス投与量で送出させることができ、あるいは、ユーザーのブラッシング期間中に、例えば2分間のブラッシング期間に約0.15mL/分〜約1.0mL/分の速度で、例えば約0.15mL/分〜約0.5mL/分の速度で、連続して送出されることができる。
【0061】
別の実施形態では、口腔ケア組成物の双方の構成成分が、口内洗浄剤として送出される。各構成成分は、単独で投与されることができ、あるいは、2つの構成成分は使用直前に混合されることができる。一般に、口内洗浄剤全体のうちの約15mL〜約30mLを約30秒間、例えば1:1の構成成分比で用いる。
【0062】
別の実施形態では、1つの構成成分を歯磨剤として、もう一方を口内洗浄剤として投与することができる。構成成分は、同時又は順次に投与されることができる。ある1つの実施形態では、第1及び第2の構成成分が同時に投与される場合、第1の構成成分と第2の構成成分の比率は、口腔ケア組成物の投与中に変えることができる。例えば、本明細書に記載の口腔ケア器具を用いて口腔ケア組成物が投与されて、最初は約80:20という第1の構成成分と第2の構成成分の比率で口腔ケア組成物が投与され、第1の構成成分と第2の構成成分の比率が投与期間を通じて約20:80まで変化するようにすることができる。
【0063】
口臭を改善させることができる口腔ケア組成物の別の例としては、米国特許第6,375,933号(参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている2成分歯磨剤が挙げられる。これらの歯磨剤には、別個の半固体水性成分内に含まれている亜鉛及び亜塩素酸イオン放出可能化合物が含まれている。一部の実施形態では、第1の構成成分としては、pHがほぼ中性の約6.0〜7.5、例えば約6.8である、経口条件を満たした賦形剤中の亜鉛イオン源としての亜鉛塩と、亜塩素酸イオン源としての亜塩素酸塩が挙げられる。第2の構成成分は、約2.0〜約6.0、好ましくは約4.0〜約5.5の酸性pHを有する。口腔ケア組成物の2つの構成成分を混合及び組み合わせることによって、最終製品のpHは6.5以下、好ましくは約5.8〜約6.4になり、それによって二酸化塩素が生成される。2つの構成成分は、水、保湿剤、界面活性剤、及び研磨剤とともに調合されて、類似の物理的特性を持たせるのが好ましく、酸性の構成成分には、pHを所望の酸性度に調節する目的で酸化合物が添加されている。
【0064】
適切な亜鉛イオン放出可能化合物は、一般には、水溶性亜鉛塩(硝酸亜鉛、クエン酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、重炭酸亜鉛、及びシュウ酸亜鉛など)であり、好ましいのは硝酸亜鉛である。亜鉛塩は一般に、pHが中性の歯磨剤成分中に、約0.25〜約10重量%、好ましくは約0.5〜約2.0重量%の濃度で組み込まれている。亜塩素酸イオン放出可能化合物としては、亜塩素酸アルカリ金属、亜塩素酸アルカリ土類金属、並びにその他のいずれかの遷移金属、内部遷移金属の亜塩素酸塩及び/又はポリマー塩が挙げられる。水溶性亜塩素酸塩が好ましい。適切な亜塩素酸金属の例としては、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、及び亜塩素酸カリウムが挙げられる。2つ以上の亜塩素酸塩源の混合物を用いてもよい。亜塩素酸イオン放出可能塩は一般に、pHが中性の歯磨剤成分中に、約0.5〜約5重量%、好ましくは約0.1〜約1重量%の濃度で組み込まれている。
【0065】
歯磨剤組成物の酸性の歯磨剤成分には、酸性化させるために酸又は酸の混合物が含まれており、それによって、中性の歯磨剤成分中に存在する亜塩素酸化合物を活性化させ、使用前に2つの構成成分を組み合わせた時に二酸化塩素を放出する。
【0066】
本発明の酸性の歯磨剤成分中に存在することのできる酸性化合物は、鉱酸及び有機酸の両方を含む(例えば、硫酸、塩酸、リンゴ酸、アルギン酸、クエン酸、コハク酸、乳酸、酒石酸、重酒石酸カリウム、クエン酸ナトリウム(acid sodium citrate)、リン酸、及びリン酸ナトリウム)。酸性リン酸塩(PO4イオンが含まれているリン酸又はリン酸の塩など)が好ましく、このような酸及びその酸性塩(リン酸1ナトリウムなど)は、所要の酸性度をもたらすのみならず、リン酸イオンももたらし、2成分歯磨剤を歯に適用することによって生じ得る歯のエナメル質の脱灰を抑制する。好ましい酸であるリン酸は、85%の濃度で液体として市販されている。本発明の中性歯磨剤成分と酸性歯磨剤成分とを組み合わせた場合、この酸は、歯磨剤のpHを約2.0〜約6.0、好ましくは約4.0〜約5.5のpHに保つ量で歯磨剤成分に添加され、組み合わされた組成物のpHは約5.8〜約6.4である。
【0067】
この組成物は、抗歯石効能のあるピロリン酸塩、例えば、ジアルカリ又はテトラアルカリ金属ピロリン酸塩(Na4P2O7(TSPP)、K4P2O7、Na2K2P2O7、Na2H2P2O7、及びK2H2P2O7など)のような水溶性塩も含んでよい。ポリリン酸塩としては、水溶性アルカリ金属トリポリリン酸塩(トリポリリン酸ナトリウム及びトリポリリン酸カリウムなど)を挙げることができる。ピロリン酸塩は、約0.05〜約2.0重量%、好ましくは約0.5〜約2重量%の濃度で組み込まれてよく、その一方で、ポリリン酸塩は、約1.0〜約7.0重量%の濃度で組み込まれてよい。
【0068】
歯ホワイトニング組成物
歯のホワイトニングに用いることができる2成分口腔ケア組成物の例は例えば、米国特許第6,174,516号(参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0069】
過酸化物含有歯磨剤成分の歯ホワイトニング効能は、まずpHがアルカリ性の水性洗浄剤成分を歯に適用してから過酸化物歯磨剤を歯に適用することによって、実質的に高めることができる。アルカリ性洗浄剤は、歯磨剤に含まれている過酸化物から酸素を迅速に放出するのを開始及び促進させる傾向がある。このような順次的な投与は、上述の方法と器具を用いて行うことができる。例えば、洗浄剤を1回投与してから歯磨剤を1回投与するか、又は交互に(洗浄剤、歯磨剤、洗浄剤、歯磨剤など)行うかのいずれかで、アルカリ性洗浄剤と過酸化物歯磨剤を順次送出するように送出器具をプログラムすることができる。
【0070】
一部の実施形態では、水性洗浄剤成分には、水、又は水とエタノールとの混合物が約70%〜約95%、好ましくは約65%〜95%の水と、約0%〜35%のエタノールが含まれている。
【0071】
過酸化物化合物は、歯をブラッシング中に十分な酸素が放出されてそのホワイトニング効果を発揮するのに十分な量で含まれる。過酸化物化合物は、構成成分の約5〜約15重量%含まれるのが好ましい。本発明の実施に際して用いる歯磨剤成分を調製する際に利用するのに好適な過酸化物化合物の例としては、過酸化カルシウム、過酸化水素、及び過酸化尿素、過酸化グリセリル、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物が挙げられる。好ましい過酸化物化合物は過酸化尿素である。
【0072】
金属イオンキレート剤が過酸化物歯磨剤成分に含まれると、金属イオンキレート剤は、歯磨剤中に研磨剤(か焼アルミナ又はピロリン酸カルシウムなど)も存在している場合に、過酸化物化合物の化学的安定性に寄与できる。適切な金属イオンキレート剤の例としては、スズ酸アルカリ金属(スズ酸ナトリウム及びスズ酸カリウムなど)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、及びその塩が挙げられる。金属イオンキレート剤は、歯磨剤成分中に、約0.01〜約1重量%の濃度で組み込まれる。
【0073】
過酸化物歯磨剤成分を調製する際、pHは、リン酸などの酸によって、約3.0〜約8、好ましくは約5〜約7の範囲に調節する。
【0074】
香味
香味の向上を促進させることのできる口腔ケア組成物の例としては、米国特許第6,696,047号(参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているものが挙げられる。亜塩素酸塩が含まれている2成分口腔用組成物の一部は、二酸化塩素への変換による亜塩素酸塩の喪失、並びにその他の組成物成分(香味及び甘味剤)の分解に対して安定している。口腔ケア組成物では、効能が得られるように所定濃度の亜塩素酸イオンを維持するのに加えて、製品の消費者受容性は製品の香味と味質によって大きく影響されることから、香味成分が分解しないことがとりわけ重要である。
【0075】
一部の実施形態では、保管中にpHが大きく変化しないように、水性成分は塩基性pHで調合されている。一部の実施形態では、2つの構成成分を混合した時、得られる組成物にも、製品の香味特性を変える可能性がある二酸化塩素の不快な刺激臭はない。
【0076】
第1の構成成分は亜塩素酸イオンを含んでよく、第2の構成成分は、製薬上許容可能な局所的口腔キャリアを含んでよいが、亜塩素酸塩は含まない。第1の構成成分は、亜塩素酸イオンと相溶性のある製薬上許容可能な局所的口腔キャリアを含むこともできる。第1の構成成分はさらに、相溶性のある結合剤、緩衝剤、及び/又は防腐剤を1つ(又は1つ以上)含むのが好ましい。亜塩素酸塩が含まれていない第2の構成成分は、香味剤、界面活性剤、フッ化物イオン、保湿剤、及び/又は研磨剤を含むのが好ましい。
【0077】
2つの構成成分は、同時に送出されることができるとともに、分配中に、例えば1:1の体積比で組み合わせて組成物を形成させることができる。
【0078】
組成物中の亜塩素酸イオンの濃度は、歯肉/粘膜組織及び歯と接触する組成物の効果の違い、また一般に用いられる組成物量の理由から、歯肉/粘膜組織、及び/又は歯に亜塩素酸イオンを適用する際に用いられる組成物のタイプ(例えば練り歯磨き又は口内洗浄剤)に応じて決めることができる。この濃度は、処置対象の疾患又は状態によっても決められ得る。
【0079】
一般には、口腔内に取り入れられる口内洗浄剤では、亜塩素酸イオンの濃度は、組成物の約0.02重量%〜約0.5重量%の範囲であるのが好ましく、約0.10重量%〜約0.30重量%であればさらに好ましい。好ましくは、本発明の口内洗浄剤組成物は、洗浄剤を約15mL用いた場合に、口腔に約3.75〜約30.0mgの亜塩素酸イオンを送出する。歯磨剤(練り歯磨き及び歯磨き用ゲルなど)及び非研磨性ゲルでは、亜塩素酸イオンの濃度は、組成物の約0.5重量%〜約3.0重量%の範囲であるのが好ましい。亜塩素酸イオンの上記濃度は、構成成分を一緒に混合して組成物を形成した後の亜塩素酸イオンの濃度を表している。したがって、亜塩素酸含有成分中の亜塩素酸イオンの濃度は、最終組成物を得る目的で亜塩素酸含有成分と混合される第2の構成成分又は追加成分の量によって変化する。
【0080】
全身の健康
一部の実施形態では、製薬上許容可能なキャリアとの混合剤中に安全且つ効果的な量の亜塩素酸イオンが含まれている1又は2成分局所的口腔用組成物を用いることによって、ヒト及び動物の全身の健康を促進させることができ、当該組成物は、口腔内に存在する細菌媒介性疾患及び状態を制御したり、血流中への口腔病原菌及び付随の細菌毒素の蔓延、並びにそれに伴う炎症性サイトカイン及びメディエータを抑制したりするのに効果的である。これらの組成物は、ヒト及びその他の動物の全身の健康を促進及び/又は向上させる目的で、安全且つ効果的な量の亜塩素酸イオンを用いて、口腔に局所的に適用することができる。
【0081】
全身の健康に対して用いるのに効果的な口腔ケア組成物の例は、例えば米国特許第6,846,478号(参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)に見ることができる。一部の実施形態では、ヒト及び動物の全身の健康を促進させるために局所的口腔用組成物を用いることができ、当該組成物は、製薬上許容可能なキャリアとの混合剤中に安全且つ効果的な量の亜塩素酸イオンを含み、口腔内に存在する細菌媒介性疾患及び状態を効果的に制御するとともに、血流中への病原菌、付随の細菌毒素の蔓延、並びにそれに伴う炎症性サイトカイン及びメディエータを抑制する。
【0082】
一部の実施形態には、ヒト及びその他の動物の全身の健康を促進及び/又は向上させる目的で、口腔に局所的に適用することによってこれらの組成物を使用する方法が含まれている。さらに具体的には、組成物を用いて、心臓血管疾患、脳卒中、アテローム性動脈硬化症、糖尿病、重度の呼吸器感染、早産、及び出生時低体重(並びに分娩後の神経及び発育機能不全)の発現リスク、並びにこれらに伴う死亡リスクを軽減することができる。好ましい方法では、組成物を用いて、歯周病など、口腔の疾患及び状態を処置及び予防し、それによって、以下の健康指標又はバイオマーカーから明らかなように、治療対象の個人の強められた全身の健康を促進及び/又は向上させる。
1)心臓麻痺、脳卒中、糖尿病、呼吸器感染、出生時低体重児、及び分娩後の神経/発育機能不全の発現リスク、並びにこれらに伴う死亡リスクの軽減
2)動脈の脂肪線条、アテローム斑、斑形成の進行、アテローム斑上の線維性被膜の菲薄化、アテローム斑の破裂、及びその結果生じる血液凝固症状の発現の軽減
3)頸動脈(内膜)壁の厚み(例えば超音波技術によって評価した場合の厚み)の縮小
4)血液循環及び体循環の口腔病原体及び/又はその毒性成分への曝露の軽減(具体的には、口腔細菌、リポ多糖体(LPS)の血中濃度、並びに/又は動脈プラーク、動脈構造、及び/若しくは遠隔臓器(例えば心臓、肝臓、膵臓、腎臓)内に見られる口腔病原体及び/若しくはその成分の発生率の低下をもたらす)
5)下部呼吸器の病原菌吸入への曝露、並びにそれに伴う肺炎の発現及び/又は慢性閉塞性肺疾患の悪化の軽減
6)循環ヘマトクリット、ヘモグロビン、白血球数、及び/又は血小板数の変化の軽減
7)炎症性メディエータ/サイトカイン(TNF−α、IL−6、CD−14、IL−1など)の血中/血清濃度の調節障害の発生率の低下
8)急性期反応物質(C反応性タンパク質、フィブリノゲン、及びハプトグロビンなど)の血中/血清濃度の調節障害の発生率の低下
9)代謝調節障害の血中/血清マーカー(ホモシステイン、グリコシル化ヘモグロビン、8−イソ−PGF−2α、及び尿酸など)の調節障害の発生率の低下
10)グルコース代謝の調節障害(典型的に、耐糖能異常試験によって評価する)、空腹時血糖濃度の上昇、空腹時インスリン濃度異常の発生率の低下
11)血中脂質濃度(具体的には、血中若しくは血清コレステロール、トリグリセリド、LDL、HDL、VLDL、アポリポタンパク質B、及び/又はアポリポタンパク質A−1など)の調節障害の軽減
【0083】
理論に束縛されるものではないが、前記組成物は、口腔内に存在している細菌媒介性疾患及び状態を制御することによって全身の健康を促進させ、ひいては、血流及びその他の体の部分への細菌、細菌毒素及び内毒素、並びに炎症性メディエータ/サイトカインの蔓延を予防すると考えられる。
【0084】
一部の実施形態では、口腔ケア組成物としては、治療用の洗浄剤、とりわけ口内洗浄剤、並びに練り歯磨き、歯磨き用ゲル、歯磨き用粉末、非研磨性ゲル(歯肉縁下用ゲルを含む)が挙げられ、これらは、
(a)安全且つ有効な量、好ましくは最小有効量の亜塩素酸イオン剤と、
(b)製薬上許容可能な局所的口腔キャリアとを含み、この場合、最終組成物は、二酸化塩素又は亜鉛素酸を本質的に含まず、また、組成物は、次亜塩素酸イオン又は次亜塩素酸塩を本質的に含まず、最終的なpHは7よりも大きく、好ましくは7.5よりも大きく、さらに好ましくは約8〜12である。亜塩素酸イオン剤は、本組成物中に、亜塩素酸イオンの約0.02重量%〜約6.0重量%を占める量で組み込まれるのが好ましい。
【0085】
「亜鉛素酸又は二酸化塩素を本質的に含まない」とは、本明細書で使用する時、二酸化塩素又は亜鉛素酸を測定するための既知の分析手法(非常に特殊な電子スピン共鳴(ESR)分光法など)を用いた場合に、非常に低レベル、例えば約2ppm未満の、好ましくは約1ppm未満の二酸化塩素又は亜鉛素酸しか含まれていない組成物を意味する。
【0086】
本組成物は、抗菌/抗歯石剤、バイオフィルム阻害剤、抗炎症剤(シクロオキシゲナーゼ阻害剤及びリポキシゲナーゼ阻害剤など)、H2−拮抗薬、メタロプロテイナーゼ阻害剤、サイトカイン受容体拮抗薬、リポ多糖体錯化剤、組織増殖因子、免疫刺激薬、細胞酸化還元調節剤(抗酸化物質)、鎮痛薬、ホルモン、ビタミン、及びミネラルから成る群から選択される1つ以上の追加の治療薬をさらに含有するのが好ましい。
【0087】
一部の実施形態では、例えば、組成物に追加の治療薬が含まれている場合、組成物は、亜塩素酸イオンが含まれている第1の構成成分と、追加の治療薬が含まれている第2の構成成分を含むことができる。
【0088】
亜塩素酸イオン源
一部の実施形態では、亜塩素酸イオンは、記載した組成物及び方法において必須成分である。亜塩素酸イオンは、いかなるタイプの亜塩素酸塩から由来することもできる。例としては、亜塩素酸アルカリ金属、亜塩素酸アルカリ土類金属、並びにその他の任意の遷移金属、内部遷移金属の亜塩素酸塩及び/又はポリマー塩が挙げられる。好ましいのは水溶性亜塩素酸塩である。適切な亜塩素酸金属の例としては、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、及び亜塩素酸カリウムが挙げられる。好ましいのは亜塩素酸ナトリウムと亜塩素酸カリウムである。亜塩素酸ナトリウムが特に好ましい。2つ以上の亜塩素酸塩源の混合物を用いてもよい。
【0089】
歯磨剤組成物では、亜塩素酸イオンの濃度は、組成物の約0.005重量%よりも大きく、0.01重量%よりも大きく、0.02重量%よりも大きく、0.4重量%よりも大きく、0.6重量%よりも大きく、0.75重量%よりも大きく、及び/又は約2重量%未満、1.5重量%未満、若しくは1重量%未満である。
【0090】
口内洗浄剤組成物では、亜塩素酸イオンの濃度は、組成物の約0.02重量%よりも大きく、好ましくは約0.075重量%よりも大きく、さらに好ましくは約0.15重量%よりも大きい。
【0091】
歯肉炎を治療又は予防する方法では、組成物は亜塩素酸イオンを組成物の約0.1重量%〜約6重量%含むのが好ましい。
【0092】
亜塩素酸塩は、亜塩素酸ナトリウムとして、さまざまな供給元から入手可能である。亜塩素酸ナトリウムは、工業用粉末又はフレークとして、またさまざまな濃度の水性濃縮液として市販されている。亜塩素酸ナトリウム源の例としては、アラゴネサス(Aragonesas)及びバルカン(Vulcan)から入手可能な亜塩素酸ナトリウムが挙げられる。これらの源には一般に、塩素酸ナトリウムも4%以下含まれている。
【0093】
亜塩素酸イオン源は、高純度、例えば70%以上であるのが好ましい。さらには、本発明の組成物には、次亜塩素酸塩若しくは次亜塩素酸イオン、ジクロロイソシアヌレート、又はその塩が本質的に含まれていないのが好ましい。
【0094】
亜塩素酸イオンの濃度は、カリフォルニア州サニーベールのダイオネックス社(Dionex Corporation)から入手可能な交換カラムIon Pac ASIIを用いて無機及び有機酸のアニオンの勾配分離を行うことによって測定するのが好ましい。
【0095】
本発明の最終組成物には、二酸化塩素又は亜塩素酸が低濃度しか含まれていないか、二酸化塩素又は亜塩素酸が本質的に含まれていない(すなわち、二酸化塩素又は亜塩素酸が約2ppm未満、好ましくは約1ppm未満である)のが好ましい。
【0096】
2成分組成物では、二酸化塩素又は亜塩素酸の濃度は、2つの構成成分が混合されてから約2〜3分以内に測定する。
【0097】
最終組成物のpHは一般的に、7よりも大きく、好ましくは7.5よりも大きく、より好ましくは8〜12であり、さらに好ましくはpHが9〜10である。
【0098】
官能特性の向上
向上した官能特性が備わっている歯磨剤の例は、例えば、米国特許第5,820,854号(参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。これらの歯磨剤は、単一の構成成分として、又は2成分組成物として提供及び送出されてよい。
【0099】
イオン強度が高い、すなわち約0.001S(1,000μmho)〜約0.05S(50,000μmho)である歯磨剤の官能特性は、ポリオキシエチレンを添加することによって改善したものにすることができる。この歯磨剤は、泡量の増加、泡粘度の増大、及び滑らかな歯の感触をもたらす。2成分歯磨剤では、ポリオキシエチレンは、高イオン強度の歯磨剤成分と並んで分配される第2の歯磨剤成分中に存在してよい。あるいは、ポリオキシエチレンを、高イオン強度の歯磨剤成分中に含み、送出器具によって分配される第2の流れは、異なる構成成分、例えば口内洗浄剤又は別のタイプの歯磨剤にしてよい。ポリオキシエチレンの分子量は、約100,000〜約10,000,000、又は約200,000〜約7,000,000であり得る。
【0100】
一部の実施形態では、2成分歯磨剤には、イオン強度が約0.001S(1,000μmho)〜約0.05S(50,000μmho)であり且つ分子量が約100,000〜約10,000,000、又は約200,000〜約7,000,000であるポリオキシエチレンが約0.1%〜約8%と、1つ以上の水性キャリアが約92%〜約99.5%含まれている第1の歯磨剤成分、及び第2の歯磨剤成分が含まれている。代替的な実施形態では、歯磨剤には、イオン強度が約0.001S(1,000μmho)〜約0.05S(50,000μmho)である第1の歯磨剤成分、及び分子量が約100,000〜約10,000,000、又は約200,000〜約7,000,000であるポリオキシエチレンが約0.1%〜約8%と、1つ以上の水性キャリアが約92%〜約99.9%含まれている第2の歯磨剤成分が含まれている。
【0101】
適切なポリオキシエチレンの例としては、分子量が約100,000〜約10,000,000、又は約200,000〜約7,000,000であるものが挙げられる。この分子量は約600,000〜約2,000,000であるのが好ましく、約800,000〜約1,000,000であるのがさらに好ましい。「ポリオックス(Polyox)」は、ユニオンカーバイド(Union Carbide)製の高分子量ポリオキシエチレンの商品名である。ポリオキシエチレンは、一般的に歯磨剤成分の約0.1重量%〜約8重量%、好ましくは約0.2重量%〜約5重量%、さらに好ましくは約0.3重量%〜約2重量%の量で存在している。
【0102】
歯磨剤の高イオン強度は、歯磨剤がイオン特性を有する成分を含有する場合に発生する。イオン特性を有する成分のうち、広く用いられているものとしては、塩及び界面活性剤などの物質が挙げられる。塩分濃度が高く、及び/又は界面活性剤濃度が高い歯磨剤は、イオン強度が高い。歯磨剤のイオン強度は、希釈スラリーの伝導度によって測定される。このスラリーは、水と歯磨剤が3:1のスラリーである。歯磨剤のイオン強度は、約0.005S(5,000μmho)〜約0.04S(40,000μmho)であるのが好ましく、約0.01S(10,000μmho)〜約0.025S(25,000μmho)であるのがさらに好ましい。イオン強度の高い歯磨剤の総塩分濃度は、一般的には約4%〜約70%、好ましくは約6%〜約60%、さらに好ましくは約8%〜約50%である。
【0103】
再石灰化
再石灰化特性のある2成分口腔ケア組成物の例は、例えば、米国特許第4,083,955号(参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0104】
表層下エナメル質は、反応して所望の再石灰化沈殿物を形成させるイオンを発生させる特定の可溶性塩を順次適用することによって、再石灰化されることができる。食塩水(カルシウム及びリン酸塩溶液など)をエナメル質に順次適用して、再石灰化をもたらすことができる。
【0105】
所望の沈殿物によって歯のエナメル質の表層下を再石灰化することは、所望の沈殿物のカチオン源として作用することのできる水溶性化合物が含まれている第1の構成成分と、所望の沈殿物のアニオン源として作用することのできる水溶性化合物が含まれている第2の構成成分とを用いるプロセスによって実現させることができる。このプロセスは、(1)上記構成成分の1つを歯の表面に適用し、その後に、(2)もう一方の構成成分を歯の表面に適用し、それによって、もう一方の構成成分の所望のイオンが、脱灰化した表層下の中に拡散し、第1の構成成分のイオンと望ましい沈殿物を形成し、ひいては、脱灰化した表層下の再石灰化をもたらす工程を含む。工程(1)の持続時間は、脱灰化した表層下の中に所望のイオンが拡散できるように選択してよい。
【0106】
例えば、第1の工程では、可溶性塩の反応溶液を含む構成成分が、脱灰化した表層下に最も近い歯の表面と接触するように配置される。この第1の反応溶液中には、歯の表面を通して、その脱灰化した表層下まで拡散する特定のカチオンがある。第2の工程では、第2の構成成分(特定のアニオンを含有する反応溶液を含む)が、脱灰化した表層下に最も近い歯の表面と接触するように配置される。このアニオンは、歯の表面を通して、脱灰化した表層下まで拡散し、表層下で、事前に堆積されたカチオンと接触し、歯牙構造に結合される沈殿物を形成する。この結果、歯の表層下が再石灰化される。
【0107】
カチオン溶液とアニオン溶液の濃度は0.005〜10%、すなわち塩の溶解限度にしてよく、約0.05〜約5%が好ましい。所望に応じて、過剰な塩が存在することができる。カチオン溶液中で1つ以上のカチオンを用いてもよい。各工程では、歯の脱灰化した表層下中への拡散を促すために、過剰の反応物質が求められるため、カチオン溶液とアニオン溶液の濃度は同等にする必要はない。同様に、アニオン溶液中で1つ以上のアニオンを用いてよい。順次適用をわずか8回行った後、「白斑」に対して目に見える効果が現れ、数回の順次適用を採用すると最も有益な成果が得られると考えられる。
【0108】
エナメル質の再石灰化をもたらすために、口腔内で所望のカチオン及びアニオンを治療量用いてよい。口内に配置される溶液の量は一般に、所望のカチオンを少なくとも約0.001g、所望のアニオンを約0.001g含有すべきであり、好ましくは、所望のカチオンを約0.1gよりも多く、所望のアニオンを約0.1gよりも多く、及び/又は所望のカチオン/アニオンを約10g未満、及び/又は所望のカチオン/アニオンを約5g未満、又は所望のカチオン/アニオンを約2g未満含有する。
【0109】
食塩水と歯の表面との接触時間の長さは重要ではないが、この時間の長さは、イオンが歯の表面を通して脱灰化した表層下まで拡散できるほど十分な長さである必要がある。この拡散には、少なくとも10秒間が必要であると考えられる。
【0110】
各溶液のpHは、沈殿反応の前後に約3〜約10でなければならず、さもなければ、各溶液は口腔環境内での相溶性がなければならない。イオンは、早期に溶液内で組み合わされて沈殿物が形成されてはならないが、歯の表面を通して、脱灰化した表層下領域まで拡散可能であり、もう一方の溶液のイオンと不溶性の塩を形成可能でなければならない。溶液及び不溶性沈殿物は無色であり、当然ながら(or course)、毒性度は許容可能なレベルであるのが好ましい(すなわち、特定のイオンは、再石灰化プロセスで用いる量では、無害でなければならない)。
【0111】
再石灰化では多様な沈殿物を用いてよいが、元のエナメル質よりも溶解度の低い沈殿物を堆積させることによって、元のエナメル質よりも脱灰に対する耐性の高い再石灰化表層下を作ることができる。重金属イオン又はフッ化物イオンのいずれかの存在の下で再石灰化を行う場合、再石灰化されたエナメル質は、元のエナメル質よりも脱灰に対する耐性が高い。両方のイオンが存在している場合は、再石灰化されたエナメル質の脱灰に対する耐性はさらに高い。それぞれの溶液内において、重金属イオン及びフッ化物イオンを含有する塩の濃度は、約0.005〜約10%、例えば約0.005〜約0.1%にしてよい。
【0112】
適切な重金属イオンの例は、アルミニウム、マンガン、スズ、亜鉛、インジウム、希土類金属(ランタン及びセリウムなど)である。
【0113】
特定の実施では、再石灰化カチオン溶液には、カルシウムイオンを生成する可溶性カルシウム塩が約0.005〜約10%、好ましくは約1%、及びインジウムイオンを生成する可溶性インジウム塩が約0.005〜約10%、好ましくは約0.005〜0.1%含まれている。再石灰化アニオン溶液には、リン酸イオンを生成する可溶性リン酸塩が約0.005〜約10%、好ましくは約1%、及びフッ化物イオンを生成する可溶性フッ化物塩が約0.005〜約10%、好ましくは約0.005〜約0.1%含まれている。得られる沈殿物は、インジウムイオン及びフッ化物イオンが組み込まれているリン酸カルシウム又は水酸リン灰石(歯のエナメル質の天然成分)である。このプロセスは、再石灰化されたエナメル質をもたらすだけではなく、再石灰化されたエナメル質は、続く脱灰に対する耐性が元のエナメル質よりも高くなる。
【0114】
適切な可溶性フッ化物塩及びインジウム塩としては、フッ化ナトリウム、フッ化亜鉛、フッ化ベタイン、フッ化第1スズアラニン、フッ化ヘキシルアミン、塩化インジウム、硫酸インジウム、及び硝酸インジウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0115】
望ましい不溶性沈殿物をもたらすアニオンとしては、リン酸塩、8〜18個の炭素原子を有する脂肪酸基、フッ化物、フルオロリン酸塩、フッ化シリカ、硫酸塩、酒石酸塩、ソルビン酸塩、6〜18個の炭素原子を有するスルホン酸アルキル、炭酸塩などが挙げられる。これらのアニオンの混合物が望ましい。
【0116】
望ましい不溶性沈殿物をもたらすカチオンとしては、上述した重金属イオン、並びにカルシウム及びマグネシウムが挙げられる。これらのカチオンの混合物が望ましい。
【0117】
不溶性の再石灰化沈殿物を形成するこれらのカチオン及びアニオンは、対応する可溶性塩の溶液から得ることができる。本発明で用いられるカチオンの適切な可溶性塩としては、ハロゲン化物、例えば、所望のカチオンの塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、及びグルコン酸塩が挙げられる。同様に、本発明のアニオンの適切な可溶性塩としては、アルカリ金属塩(例えばナトリウム及びカリウム)、アンモニウム塩、及び低分子量の置換アンモニウム塩が挙げられる。低分子量置換アンモニウム塩の例は、アンモニウムイオン上の水素原子の1つ以上が1〜3個の炭素原子、アルキル若しくはヒドロキシアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、又は3−ヒドロキシプロピル)で置換されているもの、例えば、モノ−、ジ−、若しくはトリエタノールアンモニウム塩、又はモノ−、ジ−、若しくはトリエチルアンモニウム塩である。
【0118】
歯のエナメル質を再石灰化することのできる多種多様なカチオンとアニオンを組み合わせて、多種多様な沈殿物を形成する。最も好ましい沈殿物は、少量のインジウムとフッ化物とが中に組み込まれているリン酸カルシウム化合物である。以下の沈殿物は、望ましい再石灰化沈殿物のみならず、当然のことながら、沈殿物を形成するために必要なカチオンとアニオンも明らかにする。当業者であれば、これらの沈殿物の一部は、まず原料沈殿物を形成させてから、さらに反応させて上記沈殿物を形成させることによって、形成できることが分かるであろう。例えば、まず水酸化物を形成してから、さらに反応させて、対応する酸化物を形成することができる。
【0119】
好ましい沈殿物は、リン酸カルシウム、ZnNH4PO4、InPO4、希土類リン酸塩(リン酸ランタン、リン酸セリウム、及びリン酸サマリウムなど)、希土類フッ化物(フッ化ランタン、フッ化セリウム、フッ化プラセオジム、フッ化ネオジム、及びフッ化サマリウムなど)、アルキル基が10〜22個の炭素原子を有するアルキルスルホン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、及びリン酸アルミニウムである。
【0120】
沈殿物の構成成分は、2つの別個の送出手段により歯の表面に順次送出されることができ、各々は、1つの構成成分、例えば口内洗浄剤及び練り歯磨きを収容する。例えば、沈殿物の構成成分は、本明細書に記載の口腔ケア器具を用いて送出されることができる。
【0121】
歯の感度減少
歯の感度を減少させることのできる2成分口腔ケア組成物の例は、例えば、米国特許第6,953,817号(参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0122】
減感性歯磨剤組成物を調合して、象牙質知覚過敏に伴う不快感と痛みを排除又は軽減する。このような組成物としては、カリウム塩減感剤が含まれている減感性歯科用2成分組成物が挙げられる。
【0123】
この歯科用組成物としては、2つの半固体水性成分を挙げることができ、第1の構成成分は、少なくとも約9.0、好ましくは約9.0〜約12.0というアルカリ性のpHに保つように緩衝され、第2の構成成分は、リン酸塩の緩衝剤成分によってpH6.5〜7.5に保つ。この構成成分の少なくとも1つには、経口条件を満たした賦形剤中にフッ化物イオン放出性塩とカリウム放出可能塩化合物が含まれ、フッ化物化合物は、その化合物からフッ化物を約2500〜8800パーツパーミリオン(ppm)放出するのに十分な濃度で存在する。構成成分を混合及び組み合わせると、pHが約6.5〜約7.0である組成物が形成される。この混合物を歯に繰り返し適用すると、ユーザーは、象牙質知覚過敏の減少度が増すのを経験する。
【0124】
この2つの構成成分は、ほぼ均等な重量比で組み合わされるのが好ましく、そのため構成成分が組み合わされてブラッシングなどによって歯に適用される時に、どちらの構成成分中の特定の任意の成分も約2分の1の濃度になる。いずれの構成成分も、同様の物理的特性を有するように調合して、2つの構成成分を同時に所望の所定量で送出できるようにするのが好ましい。
【0125】
pHが実質的に中性である歯磨剤成分を調製するには、緩衝剤を組み込むが、この緩衝剤は通常、水、保湿剤、界面活性剤、及び研磨剤が含まれている賦形剤を用いて調製される。緩衝剤は、第1及び第2リン酸ナトリウム塩の混合物であるのが好ましく、歯磨剤成分中に、該構成成分の約5〜約10重量%、好ましくは約6〜約10重量%の濃度で組み入れられる。
【0126】
pHがアルカリ性である歯磨剤成分は、pHが中性の緩衝成分のものと同様の組成を有する賦形剤を用いて調製する。アルカリ化剤、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、N−ケイ酸ナトリウム(PQ社(PQ Corporation)から入手可能な重量比3.22のケイ酸ナトリウム(水分34.6%))などのアルカリ金属化合物は、アルカリ性成分中に、組成物の約0.5〜約15重量%、好ましくは約1.0〜約8重量%、最も好ましくは約1.0〜約5.0重量%の範囲の量で組み入れられる。上記のアルカリ金属化合物の混合物を用いることもできる。
【0127】
フッ化物イオン放出性塩は、水中にフッ化物イオンを放出できることを特徴とする。約1000〜約9000ppmのフッ化物イオン、好ましくは約2500〜約8800ppmのフッ化物イオンをもたらす水溶性フッ化物塩を用いるのが好ましい。フッ化物イオン放出性塩の適切な例としては、水溶性無機金属塩、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化第1スズ、及びフルオロケイ酸ナトリウムが挙げられる。フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、及びフッ化第1スズが好ましいフッ化物イオン放出性塩である。
【0128】
減感性カリウムイオン源は一般に、硝酸カリウム、クエン酸カリウム、塩化カリウム、重炭酸カリウム、及びシュウ酸カリウムなどの水溶性カリウム塩であり、硝酸カリウムが好ましい。カリウム塩は一般に、1つ以上の歯磨剤成分中に、約1〜約20重量%、好ましくは約3〜約10重量%の濃度で組み入れられる。
【0129】
歯肉疾患の予防
歯肉疾患を予防する2成分口腔ケア組成物の例は、例えば、米国特許第5,281,410号、米国特許第5,145,666号、米国特許第4,849,213号、米国特許第4,528,180号、及び米国特許第5,632,972号(これらは参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0130】
一部の口腔ケア組成物は、歯垢及び歯肉炎を軽減させることができるが、それと同時に、顕著な着色を発生させない。着色は、ピロリン酸イオンと第1スズ化合物とが含まれている2成分組成物を用いることによって、例えば、1つの構成成分中でフッ化第1スズと別の第1スズ化合物を、別の構成成分中でピロリン酸イオンを用いることによって軽減させることができる。一般的に、両構成成分に製薬上許容可能なキャリアが含まれている。
【0131】
フッ化第1スズは、第1スズ成分の第1の必須成分である。この物質は、第1スズ組成物中に、約0.05%〜約1.1%、好ましくは約0.4%〜約0.95%の濃度で存在している。別個の可溶性第1スズ及びフッ化物塩を用いて、原位置でフッ化第1スズを形成させることができ、加えてこの塩を直接添加できることを認識すべきである。原位置でフッ化第1スズを形成させるのに適している塩としては、数ある中でも、塩化第1スズ及びフッ化ナトリウムが挙げられる。
【0132】
第2の第1スズ化合物は一般に、第1スズ成分中に含まれている。第2の第1スズ化合物は、αヒドロキシ酸、フィチン酸、EDTA、グリシン、及びこれらの混合物の第1スズ塩である。一部の実施形態では、第2の第1スズ化合物はグルコン酸第1スズである。これらの物質は、既知の第1スズキレートであり、キレートとして、又はフッ化第1スズなどによって原位置で形成された別個の可溶性第1スズ塩及びキレートとして、本発明の組成物に提供されてよい。適切なαヒドロキシ酸としては、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、及び乳酸が挙げられる。このような塩には、塩化第1スズ及びフッ化第1スズが挙げられる。第2の第1スズ化合物は一般に、本発明の構成成分中に、約0.1%〜約11%、好ましくは約2%〜4%の濃度で存在する。
【0133】
第2の構成成分は、有効量のピロリン酸イオンが含まれているか、又はピロリン酸イオンをもたらすことのできる構成成分である。ピロリン酸イオンは、例えば、ピロリン酸、又はいずれかの易水溶性ピロリン酸塩であることができる。このような塩には、アルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム、及びリチウムなど)のいずれかが挙げられ、さらにアンモニウムも挙げられる。
【0134】
ピロリン酸イオンの量は、一般的に約1%〜約15%、好ましくは約1%〜約10%、最も好ましくは約3%〜約7%の任意の有効量である。
【0135】
一部の実施形態では、これらの構成成分は、安全且つ有効な量で口腔に適用することができる。練り歯磨き又はうがい薬の場合、これらの量(例えば約0.3〜約15g)を約15〜約60秒間、口内に保持する。これらの構成成分はどの順番でも用いることができるが、第1スズ成分を最初に用いるのが好ましい。
【0136】
一部の実施形態では、別々に貯蔵されているが実質的に同時に分配されるペーストで、重炭酸ナトリウム、食卓塩(又は別の適切な塩)、並びに好ましくは追加の洗浄剤、抗う蝕剤、及び研磨剤が含まれているペーストに加えて、有効濃度の香味物質と組み合わせて用いるために、無毒性ゲル中に過酸化水素又は過酸化尿素が溶解している。
【0137】
制御された量のゲル及びペーストは、歯ブラシの上に同時に放出され、すぐに歯及び歯肉に適用されることができる。したがって、送出される過酸化物、塩、及びNaHCO3の量の制御は、各チューブ(又はポンプ区画)のオリフィスの開口部と活性成分の濃度とを指定することによって実現することができる。ブラシを歯と歯肉に当てると、製品が即座に混合し、続いて、活性酸素と二酸化炭素が短時間で発生する。同時に、活性酸素の放出に伴う発泡により、重炭酸塩ペーストに含まれている香味が活性化し且つ口内で持続的な強い清涼味質が生成されるが、この清涼味質は、既存の練り歯磨き又はゲルのもたらすどの香味とも異なっている。
【0138】
過酸化水素ゲルは、H2O2を約1.0〜10.0%、好ましくは約3.0〜6.5%、アクリル酸コポリマーを約0.05〜1.20%、好ましくは約0.3〜0.8%、非イオン性セルロースガムを約0.1〜1.5%、好ましくは約0.3〜0.8%、中和剤(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、NaOH、KOH)を、ゲルのpHを約3.0〜6.0に上げるのに十分な量で含有してよい。残部は、精製水(蒸留水又は脱イオン水)である。
【0139】
重炭酸ナトリウムペーストは、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、精製水(蒸留水又は脱イオン水)、及び増粘剤/安定剤(セルロースガム及びケイ酸アルミニウムマグネシウム)を必須成分として含有している。主に重炭酸塩のもたらす「チョークのような」味質を分散させる目的で、粘度付与剤(ソルビトール、グリセリン、又はグリコールなど)を加える。さらに、ペーストが、ゲルと組み合わされて練り歯磨きを完全に置き換えることになる場合、洗浄剤(硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、及び水和酸化アルミニウムなど)、並びにラウリル硫酸ナトリウムなどの発泡剤(過酸化物−重炭酸塩−塩の作用も強化する)を添加してもよい。
【0140】
重炭酸塩ペーストの構成要素及び量は、重炭酸ナトリウムが約10〜50%、好ましくは20〜40%、ポリオールが約5〜30%、好ましくは15〜25%、セルロースガムが約1〜3%、好ましくは約1.2〜1.8%、塩化ナトリウムが約1〜6%、好ましくは約2〜4%、研磨剤/クレンザーが約1〜40%、好ましくは約1.5〜30%、発泡剤が約0.1〜2.5%、好ましくは約0.2〜0.5%、着香剤(単一又は複数)が好みの味になるように約1%未満、防腐剤が約0.1〜0.5%である。残部は精製水である。このペーストとゲルは、実質的に均等な体積比で用いられるのが好ましい。
【0141】
一部の実施形態では、亜鉛塩が製薬上許容可能なキャリア中に約0.1〜約10重量%含まれている第1の構成成分と、重炭酸塩が製薬上許容可能なキャリア中に約1〜約80重量%が含まれている第2の構成成分を口腔に送出させ、第1及び第2の組成物の組み合わせを口内で、歯肉及び歯周組織に接触するように激しく動かすか、又は第1及び第2の構成成分を組み合わせると同時に、歯を取り囲んでいる歯肉及び歯周表面をブラッシングすることによって、歯肉出血を抑制し、歯肉及び歯周組織の質感と稠度を向上させることができる。
【0142】
好ましい実施形態では、第1の構成成分は過酸素化合物を含むこともできる。別の実施形態では、過酸素化合物の代わりにアスコルビン酸又はクエン酸が用いられる。
【0143】
亜鉛塩と重炭酸塩というこの組み合わせは、歯肉及び歯周組織の損傷に対して非常に強力な抑制効果をもたらすことができる。このような効果のためには、口腔へ導入されるまで、亜鉛塩と重炭酸塩を別々に包装する必要がある。例えば、本明細書に記載の口腔ケア器具内。
【0144】
第1の構成成分には、亜鉛イオンを送出できる塩が含まれている。「亜鉛イオン」という用語は、固体又は非解離状態である亜鉛化合物の分子の亜鉛原子部分が、とりわけ水媒体中に分散している場合に、単純又は錯亜鉛イオンに解離可能であることを意味する。用いてよい化合物の例は、ホウ酸塩、臭化物、炭酸塩、ヘキソフルオロケイ酸塩、ピロリン酸塩、ケイ酸塩、硫酸塩、及びチタン酸塩といった無機イオンの亜鉛塩である。有機アニオンは、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸塩、及びリン酸塩から選択された荷電基とともに2〜22個の炭素原子を有するものである。具体例としては、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、グリシン酸塩、乳酸塩、フェノールスルホン酸塩、サリチル酸塩、酒石酸塩、アセチルアセトン酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、アスコルビン酸塩、及びグルコン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0145】
亜鉛塩は一般に、口腔ケア組成物中に、約0.05〜約10重量%、好ましくは約0.2〜5重量%、最適には約0.8〜3重量%の量で存在する。
【0146】
第1の構成成分はゲルであってよく、第2の組成物は、不透明なペーストの形態であってよい。ゲルには、過酸素化合物、例えば過酸化水素、過酸化尿素、過酸化カルシウム、並びに過ホウ酸塩、過ケイ酸塩、過リン酸塩、及び過炭酸塩の塩が含まれる。過酸素化合物の量は、約0.1〜約10重量%の範囲であってよい。活性重量の過酸化水素に関しては、量は、約0.5〜約5重量%、好ましくは約0.8〜約4重量%、最適には約1〜3重量%の範囲である。
【0147】
過酸素化合物の代わりに、第1の構成成分は、C2〜C20のカルボン酸を含有してもよい。実例的な酸としては、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、及びアスコルビン酸が挙げられる。この酸の濃度は、過酸素化合物と同様の量、すなわち、約0.1〜約10重量%の範囲であってよい。クエン酸が最も好ましい。これらの酸は、存在する場合、液体、ゲル、又はペーストタイプの組成物のいずれかである。
【0148】
有利には、第1の構成成分のpHは、約3.2〜5.0、好ましくは4.0〜4.5に保たれる。
【0149】
重炭酸塩が含まれている第2の構成成分は、第1の組成物に関して上述したものと本質的に同量で、同じフッ化物化合物から選択された抗う蝕フッ化物化合物を含有してもよい。とりわけ好ましいのはフッ化ナトリウムである。重炭酸塩は、アルカリ金属の形態、例えばナトリウム及びカリウムの形態で存在する。典型的には、重炭酸塩の濃度は、約0.5〜約80重量%、好ましくは約5〜約50重量%、最適には約8〜約20重量%である。重炭酸塩組成物のpHは、約7.0〜約9.5であってよく、約8.0〜9.0が最も好ましい。重炭酸塩組成物が練り歯磨き又はゲルの形態である場合、典型的に、天然又は合成増粘剤を約0.1〜10重量%、好ましくは約0.5〜5重量%の量で含む。
【0150】
第1の組成物と第2の組成物との相対的重量は、約1:2〜2:1、好ましくは約1:1である。
【0151】
歯磨剤組成物及び構成成分
歯磨剤として調合される口腔ケア組成物及び構成成分は一般に、結合剤、キャリア、及び活性成分を含む。場合によっては、歯磨剤は、界面活性剤及び/又は洗剤、増粘剤、研磨剤、キャリア、保湿剤、塩などのうちの1つ以上を含有してもよい。適切な歯磨剤成分の例は後掲する。
【0152】
結合剤
結合剤系は一般に、口腔ケア組成物のレオロジー特性を決定する主要因子である。結合剤は、口腔ケア成分の固相を懸濁状態に維持させ、その結果、口腔ケア成分の固相部分が液相部分から分離するのを防ぐ役割も果たす。さらに、結合剤は、口腔ケア組成物に粘り(body)又は濃さ(thickness)を与えることもできる。したがって、場合によっては、結合剤は、口腔ケア組成物に増粘作用を与えることもできる。
【0153】
結合剤の例としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セルロースエーテル、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、カーボポール、又は含水リチウムマグネシウムケイ酸ナトリウムなどのケイ酸塩が挙げられる。適切な結合剤の他の例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、グアーガム、トラガカントガム、カラヤガム、アラビアガム、アイリッシュモス、デンプン、及びアルギン酸塩などのポリマーが挙げられる。あるいは、結合剤としては、粘土、例えば、ヘクトライトなどの合成粘土又は天然粘土を挙げることができる。結合剤の各々は、単独で、又は他の結合剤と組み合わせて使用することができる。
【0154】
界面活性剤/洗剤
場合によっては、歯磨剤に、1つ以上の界面活性剤又は洗剤を含有させて、望ましい発泡特性をもたらすことができる。
【0155】
界面活性剤としては一般に、アニオン性、非イオン性、カチオン性及び双イオン性、又は両性の組成物が挙げられる。界面活性剤の例としては、石鹸、硫酸塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、脂肪酸のソルビタンエステル、スルホベタイン(例えば、コカミドプロピルベタイン(cocamidopropylbatine))、並びにC10〜16アルキル−D−グルコピラノシドオリゴマー(D-glucopyranoside C10-16 alkyl oligomeric)が挙げられる。一部の実施形態では、界面活性剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、コカミドプロピルベタイン、及びC10〜C16アルキル−D−グルコピラノシドオリゴマー(D-glucopyranoside C10-C16 alkyl oligomeric)が挙げられる。一般に、界面活性剤は、約0.2〜約8重量%(例えば、約1〜約5重量%又は約1.5〜約3.5重量%)の量で存在する。
【0156】
増粘剤
増粘剤の例としては、増粘シリカ、ポリマー、粘土、及びこれらの組み合わせが挙げられる。約4重量%〜約8重量%(例えば約6重量%)の量の増粘シリカ、例えば水和シリカSILODENT15は、望ましい口内特性をもたらす。本明細書に記載されている「口内特性」という表現は、歯磨剤がユーザーの口内で発泡する際の歯磨剤の粘り(body)又は濃さ(thickness)に関するものである。
【0157】
研磨剤
研磨剤の例としては、炭酸塩(例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム)、水−コロイダルシリカ、沈殿シリカ(例えば、水和シリカ)、アルミノケイ酸ナトリウム、アルミナが含まれているシリカグレード、水和アルミナ、リン酸2カルシウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、及びマグネシウム(例えば、リン酸3マグネシウム)などの研磨剤が挙げられる。研磨剤の適切な量は、優れた研磨及び洗浄作用を安全にもたらす量であり、別の成分と組み合わせた場合に、滑らかで流動性があり、粒状感の強すぎない組成物をもたらす量である。一般に、研磨剤が含まれる場合には、研磨剤は、約5重量%〜約50重量%(例えば、約5重量%〜約35重量%、又は約7重量%〜約25重量%)の量で存在する。
【0158】
キャリア
キャリアの例としては、水、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリプロピレングリコール、デンプン、スクロース、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、又はこれらの組み合わせが挙げられる。組み合わせの例としては、水とアルコールとのさまざまな組み合わせ、及びポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのさまざまな組み合わせが挙げられる。一般に、含まれるキャリアの量は、溶解した塩、界面活性剤、及び分散した相の量とともに、結合剤系の濃度に応じて決まる。
【0159】
保湿剤
一般に、保湿剤はポリオールである。保湿剤の例としては、グリセリン、ソルビトールプロピレングリコール、キシリトール、ラクチトール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、水素添加コーンシロップ、及びこれらの混合物が挙げられる。一般に、保湿剤が含まれる場合、保湿剤は約10重量%〜約60重量%の量で存在することができる。
【0160】
緩衝剤及び/又は塩
緩衝剤及び塩の例としては、1級、2級、又は3級アルカリ金属リン酸塩、クエン酸、クエン酸ナトリウム、サッカリンナトリウム、ピロリン酸4ナトリウム、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。
【0161】
活性成分
歯磨剤は、例えば、虫歯を予防したり、歯を白くしたり、息を清涼化したり、経口薬を供給したり、上述したもののようなその他の治療及び美容効果をもたらす目的で、活性成分を含んでよい。活性成分の例としては、抗う蝕剤(例えば、水溶性のフッ化物塩、フルオロケイ酸塩、フルオロジルコン酸塩、フルオロスタンナイト(fluorostannites)、フルオロホウ酸塩、フルオロチタン酸塩、フルオロゲルマン酸塩(fluorogermanates)、混合ハロゲン化物、及びカジン(casine))、抗歯石(anti-tarter)剤、抗結石剤(例えば、アルカリ金属ピロリン酸塩、次亜リン酸塩含有ポリマー、有機ホスホクエン酸塩(organic phosphocitrates)、ホスホクエン酸塩(phosphocitrates)、ポリリン酸塩)、抗菌剤(例えば、バクテリオシン、抗体、酵素)、抗菌性向上剤、抗微生物剤(例えば、トリクロサン、クロルヘキシジン、銅−、亜鉛−、及び第1スズ塩(クエン酸亜鉛、硫酸亜鉛、グリシン酸亜鉛など)、サンギナリン抽出物、メトロニダゾール、4級アンモニウム化合物(塩化セチルピリジニウムなど)、ビス−グアニド(ジグルコン酸クロルヘキシジン、ヘキセチジン、オクテニジン、アレキシジンなど)、及びハロゲン化ビスフェノール化合物(2,2’メチレンビス−(4−クロロ−6−ブロモフェノール)など)、減感剤(例えば、クエン酸カリウム、塩化カリウム、酒石酸カリウム、重炭酸カリウム、シュウ酸カリウム、硝酸カリウム、及びストロンチウム塩)、ホワイトニング剤(例えば、ペルオキシ化合物などの漂白剤、例えば、ペルオキシ二リン酸カリウム(potassium peroxydiphosphate))、抗歯垢剤、歯肉保護剤(例えば、ヒマワリ油、菜種油、大豆油、及びベニバナ油などの植物油、並びにシリコーン油及び炭化水素油などの他の油)が挙げられる。歯肉保護剤は、歯肉の透過障壁を改善できる剤であり得る。他の活性成分としては、創傷治癒剤(例えば、尿素、アラントイン、パンテノール、アルカリ金属チオシアン酸塩、カモミール系活性物質及びアセチルサリチル酸誘導体、イブプロフェン、フルルビプロフェン、アスピリン、インドメタシンなど)、歯緩衝剤、再石灰化剤、抗炎症剤、抗悪臭剤、息清涼化剤、及び歯肉炎又は歯周炎などの口腔状態を
処置するための剤が挙げられる。
【0162】
その他の成分
場合によっては、歯磨剤は、発泡系(重炭酸ナトリウムクエン酸系など)、又は変色系を含んでよい。
【0163】
歯磨剤は、フェノール化合物(例えば、フェノール、及び2−メチル−フェノール、3−メチル−フェノール、4−メチル−フェノール、4−エチル−フェノール、2,4−ジメトール−フェノール、3,4−ジメトール−フェノールといったフェノールの相同物)、甘味剤(例えば、サッカリンナトリウム、シクラミン酸ナトリウム、スクロース、スクロース、マルトース、及びフルクトース)、香味料(例えば、ペパーミント油、スペアミント油、ユーカリ油、アニシード油、ウイキョウ油、ヒメウイキョウ油、酢酸メチル、桂皮アルデヒド、アネトール、バニリン、チモール、及びその他の天然若しくは天然同一の精油、又は合成香味料)、防腐剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、エチル、又はプロピルエステル、ソルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ブロモクロロフェン、トリクロサン、ヘキセチジン、サリチル酸フェニル、ビグアニド、及び過酸化物)、乳白剤及び着色剤(二酸化チタン又はFD&C染料など)、並びにビタミン(レチノール、トコフェロール、又はアスコルビン酸など)のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0164】
口内洗浄剤組成物及び構成成分
本明細書で論じられている組成物及び構成成分は、口内洗浄剤又はうがい薬の形態で提供されてよい。
【0165】
このような口内洗浄剤及びうがい薬の成分には、典型的に、水(約45%〜約95%)、エタノール(約0%〜約25%)、保湿剤(約0%〜約50%)、界面活性剤(約0.01%〜約7%)、着香剤(約0.04%〜約2%)、甘味剤(約0.1%〜約3%)、及び着色剤(約0.001%〜約0.5%)のうちの1つ以上が含まれている。このような口内洗浄剤及びうがい薬は、抗う蝕剤(フッ化物イオンとして約0.05%〜約0.3%)、及び抗結石剤(約0.1%〜約3%)のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0166】
本明細書で論じられている組成物及び構成成分は、歯科用溶液及び洗浄用流体の形態でもよい。このような歯科用溶液の成分は一般に、水(約90%〜約99%)、防腐剤(約0.01%〜約0.5%)、増粘剤(0%〜約5%)、着香剤(約0.04%〜約2%)、甘味剤(約0.1%〜約3%)、及び界面活性剤(0%〜約5%)のうちの1つ以上を含む。
【0167】
多種多様な器具及び/又はパッケージによって同時又は順次に(すなわち第1の構成成分の次に第2の構成成分を)送出させることのできる第1の構成成分及び第2の構成成分の非限定的な例の一部(そのうちのいくつかは本明細書に記されている)は、以下の表1に記載されている。表1の第1及び第2の構成成分は、本明細書に記載のレジメン、用量、工程、又は方法のいずれかを全体的又は部分的に用いて送出されることができる。
【表1−1】
【表1−2】
【表1−3】
【表1−4】
【表1−5】
【表1−6】
【表1−7】
【0168】
他の実施形態
本発明の数多くの実施形態を記載してきた。しかし、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正を行ってもよいことが理解されるであろう。したがって、その他の実施形態は請求項の範囲内である。
【0169】
「発明を実施するための最良の形態」で引用した全ての文献は、参照することにより本明細書に組み込まれるが、いかなる文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを認めるものと解釈すべきではない。本明細書における用語のいずれかの意味又は定義が、参照することにより組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲においては、本明細書においてその用語に付与した意味又は定義を適用するものとする。
【0170】
本発明の特定の実施形態を説明及び記載してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】口腔ケアシステムの1つの実施形態の側面斜視図。
【図2A】口腔ケア器具の1つの実施形態の正面斜視図。
【図2B】図2Aの口腔ケア器具の背面斜視図。
【図3A】図2Aの口腔ケア器具の正面透視図。
【図3B】図2Aの口腔ケア器具の背面透視図。
【図4A】口腔ケア器具の別の実施形態のヘッドとネックの背面図であり、ネックは透視状態で示されている。
【図4B】口腔ケア器具の別の実施形態のヘッドとネックの正面図であり、ネックは透視状態で示されている。
【図5】口腔ケア器具の別の実施形態のヘッドとネックの背面図であり、ネックは透視状態で示されている。
【図6】ブラシの1つの実施形態の正面斜視図。
【図7】ブラシの1つの実施形態の正面斜視図。
【図8A】ドッキングステーションの1つの実施形態の側面斜視図。
【図8B】図8Aのドッキングステーションの透視側面斜視図。
【図9】ドッキングステーションの1つの実施形態を示す。
【図10】ドッキングステーションの別の実施形態を示す。
【図11】口腔ケアシステムの1つの実施形態の斜視図。
【図12】図11に示したドッキングステーションのベース部分Bの斜視図。
【図13】本発明とともに用いるのに適している2区画型ディスペンサの断面図。
【図14】本発明とともに用いるのに適している2つのディスペンサの断面図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔ケア用の組成物、方法、器具、及びシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
2つ以上の口腔ケア組成物を用いることは既知であるが、1つ以上の組成物を口腔に送出するための改善された製品及び方法を提供するという要望が存在している。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概して、本発明は、多成分口腔ケア組成物、口腔ケア方法(複数の構成成分を口腔に送出するための手順など)、並びに口腔ケア器具、口腔ケアキット、及び口腔ケアシステムを含む、口腔ケア処置を特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
以下の本文は、本発明の多種多様な実施形態の大まかな説明を示す。この説明は単なる例示として解釈するものとし、あらゆる可能な実施形態を説明するのは不可能ではないとしても非現実的であるため、以下の説明は、あらゆる可能な実施形態を説明するものではなく、また、本明細書に記載されている機構、特徴、構成成分、組成物、成分、用量、製品、工程、又は方法論のいずれも、削除したり、本明細書に記載されている他のいずれかの機構、特徴、構成成分、組成物、成分、製品、工程、若しくは方法論と組み合わせるか、又は全体的若しくは部分的にこれらに置き換えたりできることが理解されるであろう。最新の技術又は本特許の申請日以降に開発された技術のいずれかを用いて、非常に多くの代替的な実施形態を実施することができるが、このような実施形態はそれでも、本請求項の範囲内に含まれることになるであろう。本明細書内で引用する出版物及び特許はすべて、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0005】
また、本特許内で、「本明細書で使用する時、「______」という用語は本明細書によって...を意味するものとして定義される」という文章、又はこれと類似の文章を用いて、用語が明示的に定義されていない限り、明示的か暗示によるかを問わず、その用語の明白且つ一般的な意味を超越して、その用語の意味を限定する意図がないことを理解すべきであり、また、このような用語は、本特許のいずれかの項に記載されているいずれかの記述(請求項の文言は除く)に基づく範囲に限定されると解釈すべきではない。いずれの用語も、本発明に不可欠なものとして記載されていない限りは、本発明に不可欠なものではないことが意図される。本特許の最後にある請求項に記載されている任意の用語が、ある単一の意味と一致した形で本特許内で言及されている限りにおいては、読み手を混乱させないように、単に分かりやすくする目的だけのためにそうしているのであって、暗示又はその他の方法によって、請求項の当該用語をその1つの意味に限定する意図はない。最後に、「意味する」という語、及びいかなる構造の詳述もなしにある1つの機能を記載することによって請求要素を定義している場合を除き、いかなる請求要素の範囲も、米国特許法第112条6項の適用に基づき解釈することは意図していない。
【0006】
概して、2つ以上の口腔ケア組成物、組成物の一部、物質、製剤、又は成分(以降これらを総称して「構成成分」という)を口腔に送出することを伴う口腔ケア処置について以下で論じていく。特に、送出前には、機械によって相互に分離されている2つの構成成分について、以下で論じていく。構成成分は、手動歯ブラシ、電動歯ブラシ、パッケージ、又はディスペンサといったさまざまな口腔ケア器具から送出されることができる。構成成分は、同時又は順次に送出されることができる。一部のケースでは、この2つの構成成分は、混合された時に、送出中に若しくは口腔内で反応するか、又はその他の形で相互作用して、口腔ケア組成物、例えば米国特許第6,375,933号及び後掲の「口腔ケア組成物及び構成成分」の項に記載されている2成分歯磨剤を形成する。別のケースでは、構成成分そのものが完全な口腔ケア組成物であり、例えば、構成成分は歯磨剤又はうがい薬であり得る。本明細書ではまず、実行することのできるさまざまな口腔ケア処置について論じていく。次に、構成成分を送出するのに適している器具の例について論じる。最後に、送出することができるさまざまな構成成分の例について論じる。構成成分は、所望の送出器具によって送出されることのできるいかなる形状、例えばニュートン流体、非ニュートン流体、液体、ペースト、又はゲルであることができる。
【0007】
使用方法
以下の論考では、機械によって分離されている2つの構成成分の送出について言及していく。ただし、論じられている方法は、3つ以上の構成成分に拡大適用できることは明らかであろう。以下で論じる方法は、例えばマイクロプロセッサコントローラが備わっている分配器具を用いて実行してよい。歯ブラシでは、静止式又は可動式ヘッド(又はヘッドの可動部分)を用いてよい。例えば、米国特許出願第09/993,167号、同10/036,613号、同10/114,870号、同10/128,018号、同10/208,213号、及び10/830,693号、並びに、米国特許第5,378,153号に記載されているように、回転、振り子振動、往復運動、並進運動、横振動などをするヘッド(又はヘッド部分(毛又は素子など))が備わっている適切な歯ブラシである。これに加えて、発光ダイオードが備わっている歯ブラシ、例えば米国特許出願第10/832,168号、同10/847,429号、同10/842,302号、同10/887,644号、10/887,667号、及び同10/888,206号に記載されているように光(青色光など)を発する歯ブラシを用いてもよい。適切な歯ブラシは、毛又は洗浄用素子が備わっていても備わっていなくてもよい。別の実施形態では、以下でさらに論じるように、本発明とともに多区画型パッケージなどのディスペンサを用いることができる。適切な器具の例については、後掲の「口腔ケア器具」の項で詳しく論じる。
【0008】
構成成分は、口腔に同時又は順次に送出されることができる。順次に送出するケースでは、両構成成分が、単一の口腔ケア工程中、例えば、単一のブラッシング工程中、若しくはその他の単一の処置工程中(開始から終了まで、特定のユーザーによる単一の使用中、典型的には約0.1〜5分)に送出されてよく、又はその代わりに、複数の口腔ケア工程にわたって個別に成分が送出されてよい。例えば、第1の口腔ケア工程中に双方の構成成分が送出され、第2の口腔ケア工程中に構成成分のうちの1つのみが送出されるといった数多くの組み合わせが可能である。以下では、可能な送出順序及びレジメンの例について論じる。
【0009】
同時送出
最も単純なケースは、単一の口腔ケア工程中に、同時且つ連続的に2つの構成成分を同量、又は構成成分を一定の割合で送出するものである。このレジメンは、例えば、互いに反応しないが調合の点で相溶性のない2つの構成成分を送出するのが望ましい場合に適し得る。例えば、活性であるために異なるpHレベルが必要な2つの構成成分(ピロリン酸第1スズ(低いpHで活性)とフッ化ナトリウム(高いpHで活性)など)を送出するのが望ましいことがある。この2つの構成成分は、pHレベルの異なる結合剤系を別々に有して、その後口腔に同時に送出されてよい。ブラッシング持続時間は、構成成分が不活性化しないように十分に短くする。同時且つ連続的送出の別の利用対象は、比較的ゆっくり反応し、ブラッシング後に口腔内に留まって歯又は歯肉に吸収される、2つの構成成分を含む系である。
【0010】
あるいは、送出は同時及び連続的にすることができるが、2つの構成成分の割合はブラッシング中に変動してもよい。一部のケースでは、まず、比較的大きなボーラス投与量の第1の構成成分とともに、第1の構成成分よりも少量の第2の構成成分を(例えば80:20の比率で)送出させてから、ブラッシング中に、例えば比率が逆転するまで(例えば20:80になるまで)第1の成分の量を減少させるとともに、第2の構成成分の量を増加させるのが望ましい場合がある。相対量の変化は線状にすることができ、又は、例えば、最初はブラッシングを開始するのに十分な練り歯磨きをもたらすように大量の練り歯磨きとともに少量のうがい薬を、続いて、ほぼすぐに大幅に減少させた量の練り歯磨きと増量させたうがい薬といったように、非線状にもすることができる。最初は滑らかで、極度に清潔/爽快な口内感触へと移行するブラッシング体験をユーザーに提供できるように、構成成分とその比率を選択することもできる。
【0011】
これに加えて、2つの構成成分は、単一の口腔ケア工程の異なる期間中に(例えば120秒の口腔ケア工程の1〜5秒、及び60〜65秒の間に)同時に送出されてよく、又は異なる工程中に(例えば1工程おきに)2つの構成成分が同時に送出されてもよい。
【0012】
単一の口腔ケア工程中の順次送出
単一の口腔ケア工程中の順次送出は、さまざまな形を取ることができる。ある1つのケースでは、2つの構成成分は交互に、例えばブラッシング中に比較的長い持続時間サイクルを数回(ABAB)、又は矢継ぎ早で交互に何度も(ABABABABAB....AB)送出される。このタイプの送出によく順応する処置の例は再石灰化であり、過酸化物及び過酸化物の活性剤を用いる処置である。好ましいサイクル時間は、用いる化学物質によって決まり、また、所定の化学反応に合わせて最適化できる。例えば、過酸化物と活性剤のケースでは、過酸化物と活性剤を反応させるために、サイクル時間は比較的長く、例えば15秒にしてよい。別の化学物質、例えば本明細書で論じられているもののような再石灰化系(後掲の「組成物」の項を参照)を、より短いサイクル時間、例えば5秒以下のサイクル時間で用いてよい。
【0013】
別のケースでは、単一の口腔ケア工程中に2つ以上の構成成分が順に送出され、その口腔ケア工程の中では続いて交互送出(Aの次にBが続く)は行わない。例えば、最初に歯磨剤が送出されてブラッシングを開始し、洗浄を行ってから、口内洗浄剤、フッ化物トリートメント、又は一時的なシーラントが送出される。別の選択肢としては、過酸化物に続いて活性剤若しくは歯磨剤が送出されてフッ素化を高めるもの、銅歯磨剤の次に亜塩素酸塩が続くもの、抗歯肉炎処置の次に抗炎症処置が続くもの、又は香味の異なる1対の構成成分によってユーザーに知覚的な合図を提供するものが挙げられる。香味の変化によって、例えば、ユーザーはもっと長時間ブラッシングする必要があるか、ブラッシングを終了してもよいか、又は、ユーザーはブラッシングモードを、例えばブラッシング速度がさらに早いか遅いモードに変更する必要があるかを示してよい。
【0014】
複数の口腔ケア工程中の順次送出
別の順次処置レジメンは、複数の口腔ケア工程を伴う。一部の実施態様では、送出器具に時計機能が備わっており、この送出器具は、所定の時刻又は一連の時刻に所定の処置を遂行するようにプログラムされている。時刻によって、異なる構成成分、異なる比率、又は異なる構成成分順序を実現することができる。例えば、朝にはある1つの構成成分を送出し、夜には第2の異なる構成成分を送出してよい(例えば2つの異なる歯磨剤、又はうがい薬と歯磨剤)。別の例として、朝には2つの構成成分、例えば歯磨剤とうがい薬を送出し、夜は歯磨剤のみを送出してよい。この時計ベースのアプローチによって、ユーザーは、2つの異なる知覚経験をするか、2つの異なる活性成分を得るか、又は1日2回ブラッシングする中で1日に1度だけ(朝又は夜のみに)活性成分を得ることができる。
【0015】
同様に、一部の処置レジメンは、所定の処置手順に従って、例えば朝若しくは夜のみに、1日おきに(朝及び/若しくは夜)、又は週に1度(朝及び/若しくは夜)、専門的な処置剤、例えば処方薬を送出することを含んでもよい。送出器具は、ブラッシング中、所望の時刻に正確な用量を送出するようにプログラムすることができる。練り歯磨きは別の時刻に送出されてもよく、また、所望に応じて、専門的な処置剤と同時に送出されてもよい。専門的な処置剤は、処方された練り歯磨きでもよく、処方された練り歯磨きを処方どおりに使用する合間に、標準的な店頭販売の練り歯磨きを分配してもよい。
【0016】
複数の口腔ケア工程にわたって有用である別のアプローチは「計数」機能であり、このアプローチによって、送出器具は、x回の口腔ケア工程ごとに、構成成分のうちの1つが送出されるようにプログラムされる。例えば、複数のユーザーが同じ歯ブラシハンドルを利用する場合、送出器具は、特定のユーザーの交換式歯ブラシヘッドを例えばRFIDによって認識し、そのユーザーの工程のみを計数するようにプログラムしてよい。
【0017】
一部のケースでは、時計機能と、複数の口腔ケア工程にわたってデータを蓄積する体積監視機能の双方を組み込んで、例えば一定の期間内に構成成分のうちの1つ又は双方を所定の体積のみ(例えば、24時間という期間にわたって構成成分Aをxグラム未満)送出するように、送出デバイスをプログラムするのが望ましい場合がある。この体積監視機能を用いて、単一の口腔ケア工程にわたって正確な用量の構成成分を計量するようにしてもよい。例えば構成成分が通常用量を上回ると毒性又はその他の安全上の問題が発生する場合には、体積監視を行うのが望ましい。例えば、小児に対するフッ化物処置のケースでは、フッ素中毒のリスクの理由から、小児が過剰なフッ化物を受けないようにするのが重要である。送出する用量は、いずれかの適切な方法によって、例えば、器具を正確に較正してからポンピングサイクルの数に基づき用量を間接的に計算することによって測定することができる。一部のケースでは、送出器具を用いて、特定の活性物質の用量を的確に制御する一方で、必要に応じて第2の組成物(標準的な歯磨剤など)を送出してよい。
【0018】
送出器具は、ブラッシング時間、及び/又は分配された各構成成分の量に関するデータを蓄積して、例えばユーザーが所定の処置手順を順守しているかを、ユーザー、及び/又はユーザーの歯科医若しくは他の臨床医が追跡記録できるようにプログラムされてよい。この情報は、送出器具のLCDディスプレイ上に表示されることができる。
【0019】
送出器具(例えば電動歯ブラシ)を複数のユーザーが用いる場合、各ユーザーが、自分の口腔ケア工程中に用いたい構成成分を選択できるように、送出器具をプログラムすることができる。例えば、ユーザーによって、好きな練り歯磨きの香味は異なり得、又は特有の性能特性(ホワイトニングに対して感度減少など)が備わっている練り歯磨きを求める場合がある。
【0020】
歯ブラシのケースでは、異なる歯ブラシヘッドに2つの構成成分が送出されるようになっていてよい。第1のヘッド(例えば標準的な電動歯ブラシヘッド)が定位置にある場合には、第1の構成成分、例えば歯磨剤が送出され、第2のヘッド(例えばピック、タンスクレーパー、又は、歯肉ブラシなど)が定位置にある場合には、別の構成成分、例えば口内洗浄剤が送出される。歯ブラシは、例えばRFIDによる認識によって、又は機械的手段(ピン配列など)によって異なるヘッドを自動的に認識するようになっていてよい。さまざまなヘッドのRFID認識機能を備えている口腔ケア器具は、公開済み米国特許出願第2002/0129454号に記載されており、この特許の全面的な開示内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0021】
送出パラメータ
本明細書で論じられている処置レジメンのいずれかによる送出は、断続的なもの、すなわち、中断期間(その間は送出が行われない)を伴うものであってよい。「連続的な」送出でさえも、送出器具のポンピング機構が脈動する形で動作し得るという意味では、断続的であり得るということが知られている。ただし、送出器具を適宜プログラムすることによって、処置レジメンに追加の中断期間及び/又はさらに長時間の中断期間を含めることができる。
【0022】
いずれかの送出器具から、約0.2、0.4、0.6、0.8、1、1.2、1.5、1.8、2、4、6、8、10、15、30、60、90、又は120秒間にわたって、第1の構成成分が約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.2、1.4、1.5、1.6、1.8、若しくは2グラム(又は約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.2、1.4、1.5、1.6、1.8、2、5、7、10、12、15、20、25、若しくは30ml)送出されてよく、また、約0.2、0.4、0.6、0.8、1、1.2、1.5、1.8、2、4、6、8、10、15、30、60、90、120、180、240、又は300秒間にわたって、第2の構成成分が約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.2、1.4、1.5、1.6、1.8、若しくは2グラム(又は約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.2、1.4、1.5、1.6、1.8、2、5、7、10、12、15、20、25、若しくは30ml)送出されてよい。手動でポンプ排出を行う送出器具(例えば図13に示されている2区画型ディスペンサ)のケースでは、ポンプの1、2、3、又は4回の作動によって第1及び/又は第2の構成成分が分配されてよい。さらには、約90/10、80/20、70/30、60/40、50/50、40/60、30/70、20/80、又は10/90(第1の構成成分/第2の構成成分)という比率で第1及び第2の構成成分が分配されてよい。
【0023】
上で論じたように、第1及び第2の構成成分が同時又は順次に送出されてよい(第2の構成成分が、第1の構成成分の約0.2、0.4、0.6、0.8、1、1.2、1.5、1.8、2、4、6、8、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、75、90、105、又は120秒後に分配されてよい)。さらに、第1のブラッシング工程の次の第2のブラッシング工程中に第2の構成成分が分配されてよく、その際には、第1のブラッシング工程の終了時から第2のブラッシング工程の開始時までは少なくとも約4、6、8、10、又は、12時間あける。
【0024】
ブラッシング工程中は、複数の順序があってよく、その順序は、上記の重量、体積、及び時間をさまざまに組み合わせたものが含まれる。この順序は同時又は順次的にしてよく、また、上記の中断期間を含んでもよい。例えば、2分間のブラッシング工程内で、第1の順序は、同時に分配される第1の構成成分の体積と第2の構成成分の体積とを含んでよく、続いて、第2の順序は、分配される第1の構成成分の体積を含み、続いて、分配を行わない期間が生じてもよく、続いて、第3の順序は、分配される第2の構成成分の体積を含み、続いて、分配を行わない期間が生じてもよく、続いて、第4の順序は、分配される第1の構成成分の体積を含んでもよい。
【0025】
送出器具
手動歯ブラシ、電動歯ブラシ、並びにその他のさまざまなパッケージ(例えばハンドポンプなど)及び器具など、多種多様な口腔ケア器具を用いて、本発明の構成成分を分配することができる。まずは、2つの構成成分を同時に送出できる口腔ケア器具について論じていく。
【0026】
図1を参照してみると、口腔ケアシステム10のある1つの実施形態が示されており、口腔ケアシステム10には、口腔ケア器具12(このケースでは歯ブラシである)とドッキングステーション14とが備わっており、ドッキングステーション14は、その受容部分内で口腔ケア器具12を直立位置で保持する。口腔ケア器具12は、モーター付きヘッドを有する電動歯ブラシであり、ブラッシングサイクル中に2つの構成成分(歯磨剤とうがい薬など)を放出する設計になっている。ドッキングステーション14は、口腔ケア器具内にあるバッテリーを再充電し且つ口腔ケア器具に前記構成成分を補充する設計になっている。
【0027】
図2A及び2Bを参照してみると、口腔ケア器具12は、3つの相互接続コンポーネント152、154、及び156から成る分離可能なハウジング16を含む。組み立てたとき、口腔ケア器具12は、ヘッド20のある末端部分18と、ハンドル24のある近位部分22とを含む。ハンドル24とヘッド20とを接続させるのはネック26である。ヘッド20は、ブラッシングのためにユーザーの口内に収まる大きさになっており、その一方、ハンドル24は、ユーザーが握ることができ、使用中にヘッド20の操作を円滑化する。
【0028】
口腔ケア器具12の背面図を示している図2Bを参照してみると、口腔ケア器具の近位部分22にある末端面30の近くに吸入口28が位置付けられている。吸入口28は、口腔ケア器具を補充するためのドッキングステーション14に位置する対応する排出口280(図8A)と噛み合うことができる。
【0029】
図3A及び図3Bを参照してみると、口腔ケア器具12の内部コンポーネントが示されている。口腔ケア器具12にはモーター34及び36が備わっている。1対の構成成分をそれぞれの経路(図3A及び3Bではそのうちの1つ(経路40)しか見えない)に沿って口腔ケア器具12の末端部分18の方に移動させるポンピングアセンブリ38をモーター34が駆動させる。米国特許出願第10/861,253号(参照することにより、その開示全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているように、ポンピングアセンブリ38は、チューブ514及び516(図4A)の一部分を圧縮要素で圧縮することによって各構成成分をそれぞれの経路を介して移動させることができる。チューブを徐々に圧縮するために一連のフィンガーを用いる場合、米国特許出願第10/861,253号に記載されているポンプアセンブリと同様に、フィンガーは、2つのチューブの幅方向に延びてチューブを同時に圧縮できるような寸法にする。
【0030】
モーター36は駆動軸42を駆動させ、続いてそれがヘッド20を動かす(例えば回転させる)。モーター34、36、及び37に電力を供給するために、充電式バッテリー44が前記モーターに電気連結している。適切な充電式バッテリーは、サンヨー(Sanyo)から入手可能なLiイオンUR14500Pである。
【0031】
図4A及び図4Bを参照してみると、口腔ケア器具には、口腔ケア器具内の2つの流体流を導く1対のチューブ514及び516が備わっている。図示されているように、チューブ514及び516はそれぞれ、可動式ヘッド20の回転軸518と直交している長手軸531からオフセットした位置でヘッドに接続している。一部の実施形態では、チューブのうちの1つは回転軸でヘッドに接続され、もう一方は回転軸からオフセットした位置で接続されてよい。図5を参照してみると、ポンピングアセンブリの下流部、及びヘッドにある流体排出口の上流部で、チューブ550及び552が流体接続し合っている変形物が示されている。この実施形態は、ブラッシング表面に送出される直前の時点で経路内で構成成分を混合するのが望ましい場合に有利であり得る。
【0032】
図の尺度の理由から、分かりやすくするために、図3A〜3Bでは、1つの経路40しか図示していない点を指摘しておく。一般に、口腔ケア器具12には、上記のとおり、2つの経路(例えば図4A及び4Bではチューブ514及び516)が備わっている。ただし、例えば2つの構成成分が貯蔵される別個のチャンバーに近いヘッドの上流部で2つの構成成分を混合できる一部のケースでは、1つの経路を用いてもよい。
【0033】
再び図3Aを参照してみると、口腔ケア器具12には、モーター34及び36に電気的に接続し、通常、これらのモーターの動作を管理する制御回路又はコントローラ400が備わっている。ユーザーインターフェース402は、コントローラ400との外部相互作用をもたらす。ユーザーインターフェース402には、オンオフボタン404及び406と、流体レベルスイッチ408が備わっており、これらはすべて、ハウジング16(図2A参照)の外側から利用することができる。
【0034】
コントローラは所望に応じてプログラムすることができるが、1つの例として、コントローラは、ボタン404を押し下げるとモーター34及び36が起動し、ボタン406を押し下げるとモーターのうちの1つ、例えばモーター36のみが起動する設計になっている。ボタン404又は405を押し下げることによってヘッド動作及び流動の双方を開始させることができるが、ボタン404によって1つの流れを動作させ、ボタン405によってもう一方の流れを動作させる。ボタン406を押し下げることによって、流動及びヘッド動作のうちの1つのみを開始させることができる。ボタン404又は406を押し下げることによって、開始後の関連モーターを停止させることもできる。ボタン406によってモーター36のみを起動及び停止させるケースでは、ユーザーは、例えば、どちらの構成成分も送出させずにブラッシングを行うことができ、またヘッドを回転させながら口腔ケア器具12をすすぐことができる。流体レベルスイッチ408、409によって、ユーザーは、あらかじめ設定されている流体送出速度(高速、中速、及び低速など)の中から選択できる。3つのLED410を選択的に発光させて、選択した流体送出レベルを表示することができる。代わりに又はこれに加えて、流体送出レベルを伝達するためにLCDディスプレイを含むことができ、並びに/又はLCDディスプレイを用いてその他の情報(口腔ケア器具12内の流体量及び/若しくはバッテリーの充電状態など)を表示することができる。
【0035】
コントローラ400は、モーター34の起動後に練り歯磨きの送出レベルを調節するようにプログラムしてもよい。一部の実施形態では、コントローラは、例えばブラッシングを始めるのに十分な練り歯磨きをもたらすために、モーター34が起動した直後に2つの構成成分の比較的大きなボーラス投与量が送出され、続いて、例えばブラッシングサイクルの残存部分全体において、より低い送出レベルに送出量が減少するように、プログラムされている。練り歯磨きの送出量は、例えば、断続的に流体を噴出させることによって、及び/又は、流体送出速度を遅くすることによって減少させてもよい。一例として、コントローラは、低速、中速、及び高速の、3つの送出設定を提供するようにプログラムされてよい。1つの実施形態では、コントローラは、低速の送出設定で、モーター34を約7秒間作動させることによって、ボーラス投与量を送出するようにプログラムされている。約7秒後、コントローラは、約0.75秒間モーター34を断続的に作動させ、約2.4秒間モーター34を停止させる(すなわち、この間隔でモーターのオンオフを循環させる)。同じ実施形態において、コントローラは、中速の送出設定で、モーター34を約7秒間作動させてボーラス投与量を送出し、次に、モーターを約0.75秒間オンにし約1.63秒間オフにするサイクルで循環させるようにプログラムされている。高速の送出設定では、コントローラは、モーター34を約7秒作動させてボーラス投与量を送出し、次に、モーターを約0.75秒間オンにし約1.2秒間オフにするサイクルで循環するようにプログラムされている。コントローラ400の所望のプログラム設定に応じて、これよりも多いか又はこれよりも少ないユーザーインターフェース制御を用いて様々な機能を起動させることができる。
【0036】
再び図3Aを参照してみると、モーター36が旋回式駆動軸42を動かし(例えば直線的に並進させ)、続いて、駆動軸42が回転式ヘッド20を動かす(例えば回転振動させる)。駆動軸42は、ヘッド20にある流体排出口と、ハウジング16のネック26の中の流体経路の一部を形成しているチューブ82(又は、2つの物質の流れを別々に保持しておく場合には1対のチューブ)の配置を円滑化するオフセット設計を用いて回転式ヘッド20に接続される。このオフセット設計は、米国特許出願第10/861,253号にさらに詳しく記載されている。回転式ヘッド20の動作は、部分的に、カムと、駆動軸42を前後に駆動させるのに用いられる直線運動にモーター36の回転出力を変換させる従動システムとを用いることによってもたらされることができる。このような装置は、米国特許出願第10/861,253号(上で参照したことにより組み込まれている)に記載されている。
【0037】
ここで図6及び7を参照してみると、ヘッド20には、開口部124を有する基部136が備わっており、開口部124の中を、バルブ122、例えば図示されているようなダックビルバルブが外向きに延びている。一部の実施形態では、チューブ82の遠位端は、そこに取り付けられているバルブを用いることなく、流体排出口を形成する。2つの流れがヘッドから出るまで2つの流れを別々に保持するのが望ましい場合には、2つのバルブ、又は2005年4月26日出願の米国特許出願第11/114,987号(参照することによりその開示全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているもののようなデュアルダックビルバルブを用いてよい。一連の毛房138が基部136から延びている。各房138は図では固体の塊として示されているが、実際には房はそれぞれ、個別のプラスチック毛の大きな塊で構成されている。ブラシヘッドのさらに詳細な説明については、本出願人は、2003年9月9日出願の係属中の米国特許出願番号第10/666,497号(参照することによりその開示全体が本明細書に組み込まれる)を参照している。
【0038】
口腔ケア器具12は、使用していない時には、ドッキングステーション14と連結されることができる。ドッキングステーション14は、電気コンセント(図示なし)又はその他の適切な電源装置に接続されることができる。図8A及び8Bを参照してみると、ドッキングステーション14は、受容部273の中に口腔ケア器具12を直立位置で保持するように形成されている。受容部273は、ハウジング291内に形成されている垂直凹部295とハウジング延伸部297との間に延びている床面275を含む。凹部295は、口腔ケア器具12の一部を受容する輪郭になっている。ドッキングステーション14には、ドッキングステーションが口腔ケア器具を受容した時に入力を検知するとともに、この入力に応じてコントローラに信号を送信する反応装置、例えばセンサー(図示せず)が備わっており、その詳細については、以下でさらに詳しく説明する。
【0039】
ここで図8B及び9を参照してみると、ドッキングステーション14には、マルチチャンバー型流体リザーバー274が備わっており、その2つのチャンバーは、排出口280につながるチューブ276と連結している。一部の実施形態では、例えば図9に示されているように、流体リザーバー274は、ドッキングステーション14の分離可能な交換式部分301の一体部分として形成されている。別の実施形態では、流体リザーバーからの2つの交換式ポーチ303(図10にはそのうちの1つしか示されていない)が、図10に示されている。このケースでは、ドッキングステーションの上部301は取り外し可能で、消費者は、ポーチ303の中身を使い果たすか、又はユーザーが違う製品を使いたいと思うときに、ポーチ303を簡単に取り外し、代わりのポーチを挿入することができる。図8Bを参照してみると、構成成分を流体リザーバーから口腔ケア器具に移動させる目的で、ドッキングステーションにポンプアセンブリ282が備わっている。ドッキングステーション内の補充機構の詳細は、米国特許出願第10/861,253号に記載されている。
【0040】
再び図8Bを参照してみると、ドッキングステーション14の受容部273の中では1対のリード線336、338が露出している。リード線336、338は、口腔ケア器具を受容部173内に置いた場合に、口腔ケア器具上の1対の接触子340、342(図2A)と接触するように配置されている。この接触子は、口腔ケア器具12とドッキングステーション14とを電気連結し、そのためドッキングステーションが接続されている電源によって、口腔ケア器具内の充電式バッテリーを充電できる。接触子340、342は、充電式バッテリーと電気接続して、電力がドッキングステーションからバッテリーに流れるようにする。
【0041】
2つの構成成分を順次送出されるのに好適な口腔ケアシステム600が、図11に示されている。口腔ケアシステム600には、歯ブラシの形態の口腔ケア器具602とドッキングステーション604とが含まれている。口腔ケア器具602は、チューブ605の全長を経由してドッキングステーション604に接続しており、図11には、そのほんの一部が示されている。チューブ605は可撓性であり、ユーザーが口腔ケア器具を簡単に操作できるほど十分に長い(例えば長さ約0.76〜1.1メートル(2.5〜3.5フィート))。チューブ605は、以下で論じるように、任意の所望の位置、例えばヘッド又はハンドルの位置で口腔ケア器具に接続されてよい。
【0042】
口腔ケア器具602には、ハンドル606と取り外し可能なヘッド/ネック部608が備わっている。ハンドル606には、ポンピング機構又はポンプモーターは備わっていないが、これらのコンポーネントが、以下で論じるように、ドッキングステーション内に提供されているためである。ヘッド606には、ヘッドを駆動させるために必要なモーター及びその他のコンポーネントが収容されており、また、2つの流体経路が収容されてよい。
【0043】
ドッキングステーション604には、タワー部分Tとベース部分Bが備わっている。タワー部分には、2つのリザーバー(図示せず)が収容されており、また、ベース部分から取り外すことが可能で、ユーザーがリザーバーを補充するか交換することができるようになっている。ベース部分Bは、図12に詳しく示されているように、2つのポンプ610、612を支持し、これらのポンプは、チューブ614、616を通じてリザーバーから2つの構成成分を受容し、チューブの下流部618、620に送出する。チューブは、ドッキングステーションから出た後、1つのシースで覆われるか、又はその他の方法で1つのシース内に収容されて、図11に示されているチューブ605を形成してよい。ポンプ610及び612は、モーター622、624によって別々に駆動される。モーターの起動は、コントローラ、例えば1つ以上のマイクロプロセッサーにより駆動され、このコントローラは、プリント回路基板626、628の上に取り付けられてよい。
【0044】
チューブ605がベースの位置で、又はハンドル内で口腔ケア器具に入る場合には、ハンドルに、2つの流体軌道を規定するチューブが収容される。チューブ605がヘッドの位置で口腔ケア器具に入る場合には、ヘッド駆動コンポーネントしか収容していない標準的なハンドルを用いてよい。
【0045】
いずれかの所望のタイプのリザーバーを用いて、上記の口腔ケア器具内に2つの構成成分を収容してよい。好適なリザーバーは、米国特許出願第10/861,253号(上で参照したことにより組み込まれている)に記載されている。
【0046】
別の実施形態では、送出器具は、単独で、又は前述の電動歯ブラシと組み合わせて用いることのできる2区画型ディスペンサの形態で提供されることができる。図13を参照してみると、第1の排出口705と第2の排出口710とを備えている2区画型ディスペンサ700が示されている。ディスペンサ700には、第1の構成成分を貯蔵する第1の区画718と、第2の構成成分を貯蔵する第2の区画720が備わっている。第1の区画715は、チューブ722を介して第1の排出口705と流体連通しており、第2の区画720は、チューブ724を介して第2の排出口710と流体連通している。この実施形態では、第1及び第2の構成成分が混合したり、実質的に混合したり、混ざり合ったり、又はその他の方法で一緒に分配されたりしないように、第1の区画715と第2の区画720は、下流で互いに流体連通していない。ピストンタイプポンプ726を用いて、第1の構成成分を第1の区画715からポンプ排出することができ、その一方で、別個のピストンタイプポンプ728を用いて、第2の構成成分を第2の区画720からポンプ排出することができる。ポンプ726及び728は、バネ730及び732によって偏向させることができる。ピストンタイプポンプの働きを円滑化する目的で、1つ以上のバルブ736を備えることができる。バルブ736は、流体を1方向のみに移動させる逆止弁として提供されることができる。第1及び第2の区画の容積は、同じ又はほぼ同じにすることができる。別の実施形態では、第1及び第2の区画の容積は異なっており、これは、口腔ケアレジメンの期間中に分配される第1及び第2の構成成分の量が異なる場合に有用である可能性がある。ピストンポンプのストロークごとに第1又は第2の構成成分の用量を計量する目的で、オリフィス734を備えることができる。用量は、ピストンポンプのサイズ(例えば内径)及び/又はストロークによって制御することもできる。
【0047】
第1の区画715及び第2の区画720は、ディスペンサ700のハウジング734に取り外し可能な状態ではめ込む交換式カートリッジとして提供されることができる。例えば、区画715及び720は、ネジでハウジング734にはめ込むことができる。第1の区画と第2の区画の投与法又は計量法が異なる場合に、各区画が適切にピストンポンプ又はオリフィスと対を成すように、区画715及び720に、(ピッチ又はサイズが)異なるネジ山を提供することができる。第1の排出口と第2の排出口が図示されているが、単一のピストンタイプポンプ及び排出口を備えることもでき、その場合には、単一のピストンタイプポンプ及び排出口は、第1の区画又は第2の区画のいずれかと選択的に流体連通させて配置することができる。本明細書に記載されている構成成分、投与法、又はレジメンのいずれかをすべて又は部分的に、ディスペンサ700とともに用いることができる。ディスペンサ700は、本発明で用いるのに好適な分配器具の1つであるが、その他の分配器具を使用できることが理解されるであろう。
【0048】
本発明の1つの方法では、ユーザーが第1の構成成分を歯ブラシの上に分配し、ブラッシングレジメンの一部として、口腔への第1の構成成分の適用を進める。第1の構成成分を用いた後、ユーザーは順次、第2の構成成分を歯ブラシの上に分配し、ブラッシングレジメンの一部として、第2の構成成分を口腔に適用する。任意に、ユーザーは、第2の構成成分を歯ブラシに適用する前に、ブラシ及び/又は自分の口腔をすすいでもよい。歯ブラシには、第1の構成成分と第2の構成成分の切り替えを行う時点、又は第2の構成成分の使用を完了する時点をユーザーに通知する目的で、所定の期間が経過したら信号を作動させるタイマーを含んでもよい。ある1つの実施形態では、第2の構成成分は、第1の構成成分を歯ブラシ又は口腔に適用してから約15、30、45、60、120、180、240、300、360、420秒、又は10、15、若しくは20分以内に、歯ブラシ又は口腔に適用される。
【0049】
ディスペンサ700は、第1及び第2の区画が備わっているものとして図示されているが、2つ以上の区画を備えることができることが理解されるであろう。ディスペンサ700は、多種多様な形、サイズ、及び構成で提供されることができる。
【0050】
図14を参照してみると、別の実施形態では、第1の区画と第2の区画は、完全に分離しているパッケージで提供されることができ、これらのパッケージは、キットとしてまとめられてよい。例えば、歯磨剤として提供される第1の構成成分は、第1の歯磨剤ディスペンサ800に提供され、歯磨剤として提供される第2の構成成分は、第2の別個の歯磨剤ディスペンサ805に提供されることができる。第1及び第2のディスペンサは、同じでも異なっていてもよく、簡潔化するために、ディスペンサ700(図13)と同じ構造を備えているものとして図示した。ユーザーは、第1の歯磨剤パッケージから歯ブラシの上に第1の量を分配し、ある期間、第1の構成成分でブラッシングした後、同じ歯ブラシの上に第2の歯磨剤パッケージから第2の構成成分をある量分配し、第2の構成成分でのブラッシングレジメンを完了させることができる。第1及び第2の歯磨剤パッケージは、視覚的に明確な形、サイズ、又は色(単一又は複数)で提供されて、ユーザーが2つを簡単に区別できるようにできる。第1及び第2の歯磨剤パッケージには、2つを区別するためのグラフィック、テキスト、アイコン、又は数字が付いていてもよい。一部の実施形態では、特定の投与量が送出され、その結果、第1及び第2の構成成分間の制御された比率が適用されるように、第1及び第2の歯磨剤パッケージによって第1及び第2の構成成分を計量することができる。
【0051】
口腔ケア組成物及び構成成分
以下では、2成分口腔ケア組成物について説明する。場合によっては、ユーザーの口内に2つの構成成分を別々に送出するか、又は使用まで口腔ケア組成物の2つの構成成分を別々に保持して、送出中若しくは口腔内で構成成分を混合することが有益又は必要である。これは、例えば、「方法」の項で上述したように、一緒に貯蔵すると2つの構成成分が互いに反応及び/若しくは中和し合うか、又は2つの構成成分内の成分が異なるpHレベルで活性である場合に当てはまり得る。続いて、さまざまな2成分組成物及びそれらの利用の例について述べる。以下に示すとおり、一部のケースでは、記載されている組成物のいくつかは、上記の方法に従って他の任意の所望の構成成分(標準的な歯磨剤又はうがい薬など)とともに順次又は同時に送出されてよい単一の構成成分として提供されてよい。
【0052】
以下の論考では、2成分組成物に焦点を当てるが、それは前記組成物が、上記の方法及び器具を用いて有益な形で送出されることができるためである。ただし、上記の方法及び器具は一様に、関連性のない2つの構成成分(例えば標準的な歯磨剤と標準的なうがい薬)、香味の異なる2つの歯磨剤などに加えて、以下で言及されていないその他の2成分組成物を送出するのにも適しているということが知られている。
【0053】
悪臭治療
口の硬組織と軟組織は、代謝能の異なる細菌が含まれている微生物個体群で覆われている。これらの微生物個体群内のグラム陽性菌は、炭水化物を容易に異化させて、口腔の硬組織を攻撃する酸を生成し、その結果、う蝕(虫歯)を形成する。これに対し、グラム陰性菌、とりわけ嫌気性菌は、唾液に含まれている種々のアミノ酸と、口腔内のペプチド及びタンパク質(アミノ酸ほどは含まれていない)を容易に代謝させて、口臭及び歯周炎の発生に有利に働く最終生成物を形成する。
【0054】
口臭(臨床的に口臭症(halitosis)という)は、揮発性硫黄化合物、主に硫化水素、メチルメルカプタン、及び微量の硫化メチルを生成させる、歯垢、粘膜に付着している残渣、及び唾液細胞要素上にあるこれらの微生物の腐敗作用が原因である可能性がある。
【0055】
2成分口腔ケア組成物には、口臭を軽減し、息の清涼感を向上させ、及び/又は歯垢の蓄積を防ぐことができるものがある。口腔ケア組成物の第1の構成成分としては、金属塩、例えばCu(II)などの銅塩が挙げられ、口腔ケア組成物の第2の構成成分としては、酸化剤、例えば亜塩素酸塩が挙げられる。この2つの構成成分は、使用時まで、又は使用直前まで、例えば上述したような送出器具の2つの区画内で別々に保持される。この構成成分は、まず歯磨剤を使って歯をブラッシングしてから口腔ケア用うがい薬を使うという2つの工程プロセスによってではなく、ユーザーにより、例えば本明細書に記載の器具を用いて単一の工程で適用されることができる。
【0056】
理論に束縛されるものではないが、このような組成物は、2重のアプローチによって悪臭を軽減させることができる。まず、金属塩が、揮発性硫黄化合物(VSC)を金属硫化物として沈殿させることによって、VSCの濃度を低下させることができる。個別の化学経路を用いて、酸化剤が悪臭化合物(アミン及び硫化物など)を酸化させて、不揮発性、すなわち無臭形態にする。これに加えて、酸化剤と金属塩、とりわけCu(II)塩には抗菌作用があり、その作用も、ユーザーに対して抗う蝕(anti-carries)効果をもたらすことができる。
【0057】
一部の実施形態では、2成分組成物は、単一成分の口腔ケア製品(例えば歯磨剤又は口内洗浄剤のみ)の使用と比べて、又はさらに場合によっては歯磨剤の次に口内洗浄剤が続く口腔ケアレジメン(regime)の使用と比べて、効能の増大をもたらすことができる。したがって、一部の実施形態では、ほぼ同等の効能を得るために、単一成分系で適用することになる量に比べて、2成分組成物中でより少量の活性成分が適用されるか、又は逆に、同じ量の活性成分で、より大きな効能をもたらすことになる。
【0058】
適切な金属塩の例としては、Cu塩、Zn塩、Ag塩、Sn塩、Mg塩、Fe塩、及びMn塩が挙げられる。好ましい実施形態の一部では、第1の構成成分として、Cu(II)イオンを溶液中に放出させることが可能な銅塩が挙げられる。適切な銅塩の例としては、グルコン酸銅、塩素酸銅、塩化銅、フッ化銅、及び硝酸銅が挙げられる。一般に、銅塩は、第1の構成成分中に、約50〜10,000ppm、又は約200〜約2000ppm、例えば500〜約1000ppmの濃度で存在する。
【0059】
適切な酸化剤の例としては、亜塩素酸塩、過酸化水素、並びに過ホウ酸塩、過塩素酸塩、及び高塩素酸塩(hyperchlorates)が挙げられる。一部の好ましい実施形態では、第2の構成成分としては、亜塩素酸イオンを溶液中に放出させることが可能な亜塩素酸塩が挙げられる。適切な亜塩素酸塩の例としては、亜塩素酸ナトリウムが挙げられる。一般に、亜塩素酸塩は、第2の構成成分中に、約100〜10,000ppm、又は約1000〜約4000ppm、例えば約1600〜約2400ppmの濃度で存在する。
【0060】
口腔ケア組成物の2つの構成成分の各々は、歯磨剤として、又は口内洗浄剤として独立して調合することができる。一般に、口腔ケア組成物の各構成成分が歯磨剤として調合されている場合、その構成成分は、ユーザーの口内に同時又は順次に送出されてよい。第1及び第2の構成成分は、上述したもののような送出器具を用いて送出されることができる。口腔ケア組成物の各構成成分は、単一のボーラス投与量で送出させることができ、あるいは、ユーザーのブラッシング期間中に、例えば2分間のブラッシング期間に約0.15mL/分〜約1.0mL/分の速度で、例えば約0.15mL/分〜約0.5mL/分の速度で、連続して送出されることができる。
【0061】
別の実施形態では、口腔ケア組成物の双方の構成成分が、口内洗浄剤として送出される。各構成成分は、単独で投与されることができ、あるいは、2つの構成成分は使用直前に混合されることができる。一般に、口内洗浄剤全体のうちの約15mL〜約30mLを約30秒間、例えば1:1の構成成分比で用いる。
【0062】
別の実施形態では、1つの構成成分を歯磨剤として、もう一方を口内洗浄剤として投与することができる。構成成分は、同時又は順次に投与されることができる。ある1つの実施形態では、第1及び第2の構成成分が同時に投与される場合、第1の構成成分と第2の構成成分の比率は、口腔ケア組成物の投与中に変えることができる。例えば、本明細書に記載の口腔ケア器具を用いて口腔ケア組成物が投与されて、最初は約80:20という第1の構成成分と第2の構成成分の比率で口腔ケア組成物が投与され、第1の構成成分と第2の構成成分の比率が投与期間を通じて約20:80まで変化するようにすることができる。
【0063】
口臭を改善させることができる口腔ケア組成物の別の例としては、米国特許第6,375,933号(参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている2成分歯磨剤が挙げられる。これらの歯磨剤には、別個の半固体水性成分内に含まれている亜鉛及び亜塩素酸イオン放出可能化合物が含まれている。一部の実施形態では、第1の構成成分としては、pHがほぼ中性の約6.0〜7.5、例えば約6.8である、経口条件を満たした賦形剤中の亜鉛イオン源としての亜鉛塩と、亜塩素酸イオン源としての亜塩素酸塩が挙げられる。第2の構成成分は、約2.0〜約6.0、好ましくは約4.0〜約5.5の酸性pHを有する。口腔ケア組成物の2つの構成成分を混合及び組み合わせることによって、最終製品のpHは6.5以下、好ましくは約5.8〜約6.4になり、それによって二酸化塩素が生成される。2つの構成成分は、水、保湿剤、界面活性剤、及び研磨剤とともに調合されて、類似の物理的特性を持たせるのが好ましく、酸性の構成成分には、pHを所望の酸性度に調節する目的で酸化合物が添加されている。
【0064】
適切な亜鉛イオン放出可能化合物は、一般には、水溶性亜鉛塩(硝酸亜鉛、クエン酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、重炭酸亜鉛、及びシュウ酸亜鉛など)であり、好ましいのは硝酸亜鉛である。亜鉛塩は一般に、pHが中性の歯磨剤成分中に、約0.25〜約10重量%、好ましくは約0.5〜約2.0重量%の濃度で組み込まれている。亜塩素酸イオン放出可能化合物としては、亜塩素酸アルカリ金属、亜塩素酸アルカリ土類金属、並びにその他のいずれかの遷移金属、内部遷移金属の亜塩素酸塩及び/又はポリマー塩が挙げられる。水溶性亜塩素酸塩が好ましい。適切な亜塩素酸金属の例としては、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、及び亜塩素酸カリウムが挙げられる。2つ以上の亜塩素酸塩源の混合物を用いてもよい。亜塩素酸イオン放出可能塩は一般に、pHが中性の歯磨剤成分中に、約0.5〜約5重量%、好ましくは約0.1〜約1重量%の濃度で組み込まれている。
【0065】
歯磨剤組成物の酸性の歯磨剤成分には、酸性化させるために酸又は酸の混合物が含まれており、それによって、中性の歯磨剤成分中に存在する亜塩素酸化合物を活性化させ、使用前に2つの構成成分を組み合わせた時に二酸化塩素を放出する。
【0066】
本発明の酸性の歯磨剤成分中に存在することのできる酸性化合物は、鉱酸及び有機酸の両方を含む(例えば、硫酸、塩酸、リンゴ酸、アルギン酸、クエン酸、コハク酸、乳酸、酒石酸、重酒石酸カリウム、クエン酸ナトリウム(acid sodium citrate)、リン酸、及びリン酸ナトリウム)。酸性リン酸塩(PO4イオンが含まれているリン酸又はリン酸の塩など)が好ましく、このような酸及びその酸性塩(リン酸1ナトリウムなど)は、所要の酸性度をもたらすのみならず、リン酸イオンももたらし、2成分歯磨剤を歯に適用することによって生じ得る歯のエナメル質の脱灰を抑制する。好ましい酸であるリン酸は、85%の濃度で液体として市販されている。本発明の中性歯磨剤成分と酸性歯磨剤成分とを組み合わせた場合、この酸は、歯磨剤のpHを約2.0〜約6.0、好ましくは約4.0〜約5.5のpHに保つ量で歯磨剤成分に添加され、組み合わされた組成物のpHは約5.8〜約6.4である。
【0067】
この組成物は、抗歯石効能のあるピロリン酸塩、例えば、ジアルカリ又はテトラアルカリ金属ピロリン酸塩(Na4P2O7(TSPP)、K4P2O7、Na2K2P2O7、Na2H2P2O7、及びK2H2P2O7など)のような水溶性塩も含んでよい。ポリリン酸塩としては、水溶性アルカリ金属トリポリリン酸塩(トリポリリン酸ナトリウム及びトリポリリン酸カリウムなど)を挙げることができる。ピロリン酸塩は、約0.05〜約2.0重量%、好ましくは約0.5〜約2重量%の濃度で組み込まれてよく、その一方で、ポリリン酸塩は、約1.0〜約7.0重量%の濃度で組み込まれてよい。
【0068】
歯ホワイトニング組成物
歯のホワイトニングに用いることができる2成分口腔ケア組成物の例は例えば、米国特許第6,174,516号(参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0069】
過酸化物含有歯磨剤成分の歯ホワイトニング効能は、まずpHがアルカリ性の水性洗浄剤成分を歯に適用してから過酸化物歯磨剤を歯に適用することによって、実質的に高めることができる。アルカリ性洗浄剤は、歯磨剤に含まれている過酸化物から酸素を迅速に放出するのを開始及び促進させる傾向がある。このような順次的な投与は、上述の方法と器具を用いて行うことができる。例えば、洗浄剤を1回投与してから歯磨剤を1回投与するか、又は交互に(洗浄剤、歯磨剤、洗浄剤、歯磨剤など)行うかのいずれかで、アルカリ性洗浄剤と過酸化物歯磨剤を順次送出するように送出器具をプログラムすることができる。
【0070】
一部の実施形態では、水性洗浄剤成分には、水、又は水とエタノールとの混合物が約70%〜約95%、好ましくは約65%〜95%の水と、約0%〜35%のエタノールが含まれている。
【0071】
過酸化物化合物は、歯をブラッシング中に十分な酸素が放出されてそのホワイトニング効果を発揮するのに十分な量で含まれる。過酸化物化合物は、構成成分の約5〜約15重量%含まれるのが好ましい。本発明の実施に際して用いる歯磨剤成分を調製する際に利用するのに好適な過酸化物化合物の例としては、過酸化カルシウム、過酸化水素、及び過酸化尿素、過酸化グリセリル、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物が挙げられる。好ましい過酸化物化合物は過酸化尿素である。
【0072】
金属イオンキレート剤が過酸化物歯磨剤成分に含まれると、金属イオンキレート剤は、歯磨剤中に研磨剤(か焼アルミナ又はピロリン酸カルシウムなど)も存在している場合に、過酸化物化合物の化学的安定性に寄与できる。適切な金属イオンキレート剤の例としては、スズ酸アルカリ金属(スズ酸ナトリウム及びスズ酸カリウムなど)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、及びその塩が挙げられる。金属イオンキレート剤は、歯磨剤成分中に、約0.01〜約1重量%の濃度で組み込まれる。
【0073】
過酸化物歯磨剤成分を調製する際、pHは、リン酸などの酸によって、約3.0〜約8、好ましくは約5〜約7の範囲に調節する。
【0074】
香味
香味の向上を促進させることのできる口腔ケア組成物の例としては、米国特許第6,696,047号(参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているものが挙げられる。亜塩素酸塩が含まれている2成分口腔用組成物の一部は、二酸化塩素への変換による亜塩素酸塩の喪失、並びにその他の組成物成分(香味及び甘味剤)の分解に対して安定している。口腔ケア組成物では、効能が得られるように所定濃度の亜塩素酸イオンを維持するのに加えて、製品の消費者受容性は製品の香味と味質によって大きく影響されることから、香味成分が分解しないことがとりわけ重要である。
【0075】
一部の実施形態では、保管中にpHが大きく変化しないように、水性成分は塩基性pHで調合されている。一部の実施形態では、2つの構成成分を混合した時、得られる組成物にも、製品の香味特性を変える可能性がある二酸化塩素の不快な刺激臭はない。
【0076】
第1の構成成分は亜塩素酸イオンを含んでよく、第2の構成成分は、製薬上許容可能な局所的口腔キャリアを含んでよいが、亜塩素酸塩は含まない。第1の構成成分は、亜塩素酸イオンと相溶性のある製薬上許容可能な局所的口腔キャリアを含むこともできる。第1の構成成分はさらに、相溶性のある結合剤、緩衝剤、及び/又は防腐剤を1つ(又は1つ以上)含むのが好ましい。亜塩素酸塩が含まれていない第2の構成成分は、香味剤、界面活性剤、フッ化物イオン、保湿剤、及び/又は研磨剤を含むのが好ましい。
【0077】
2つの構成成分は、同時に送出されることができるとともに、分配中に、例えば1:1の体積比で組み合わせて組成物を形成させることができる。
【0078】
組成物中の亜塩素酸イオンの濃度は、歯肉/粘膜組織及び歯と接触する組成物の効果の違い、また一般に用いられる組成物量の理由から、歯肉/粘膜組織、及び/又は歯に亜塩素酸イオンを適用する際に用いられる組成物のタイプ(例えば練り歯磨き又は口内洗浄剤)に応じて決めることができる。この濃度は、処置対象の疾患又は状態によっても決められ得る。
【0079】
一般には、口腔内に取り入れられる口内洗浄剤では、亜塩素酸イオンの濃度は、組成物の約0.02重量%〜約0.5重量%の範囲であるのが好ましく、約0.10重量%〜約0.30重量%であればさらに好ましい。好ましくは、本発明の口内洗浄剤組成物は、洗浄剤を約15mL用いた場合に、口腔に約3.75〜約30.0mgの亜塩素酸イオンを送出する。歯磨剤(練り歯磨き及び歯磨き用ゲルなど)及び非研磨性ゲルでは、亜塩素酸イオンの濃度は、組成物の約0.5重量%〜約3.0重量%の範囲であるのが好ましい。亜塩素酸イオンの上記濃度は、構成成分を一緒に混合して組成物を形成した後の亜塩素酸イオンの濃度を表している。したがって、亜塩素酸含有成分中の亜塩素酸イオンの濃度は、最終組成物を得る目的で亜塩素酸含有成分と混合される第2の構成成分又は追加成分の量によって変化する。
【0080】
全身の健康
一部の実施形態では、製薬上許容可能なキャリアとの混合剤中に安全且つ効果的な量の亜塩素酸イオンが含まれている1又は2成分局所的口腔用組成物を用いることによって、ヒト及び動物の全身の健康を促進させることができ、当該組成物は、口腔内に存在する細菌媒介性疾患及び状態を制御したり、血流中への口腔病原菌及び付随の細菌毒素の蔓延、並びにそれに伴う炎症性サイトカイン及びメディエータを抑制したりするのに効果的である。これらの組成物は、ヒト及びその他の動物の全身の健康を促進及び/又は向上させる目的で、安全且つ効果的な量の亜塩素酸イオンを用いて、口腔に局所的に適用することができる。
【0081】
全身の健康に対して用いるのに効果的な口腔ケア組成物の例は、例えば米国特許第6,846,478号(参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)に見ることができる。一部の実施形態では、ヒト及び動物の全身の健康を促進させるために局所的口腔用組成物を用いることができ、当該組成物は、製薬上許容可能なキャリアとの混合剤中に安全且つ効果的な量の亜塩素酸イオンを含み、口腔内に存在する細菌媒介性疾患及び状態を効果的に制御するとともに、血流中への病原菌、付随の細菌毒素の蔓延、並びにそれに伴う炎症性サイトカイン及びメディエータを抑制する。
【0082】
一部の実施形態には、ヒト及びその他の動物の全身の健康を促進及び/又は向上させる目的で、口腔に局所的に適用することによってこれらの組成物を使用する方法が含まれている。さらに具体的には、組成物を用いて、心臓血管疾患、脳卒中、アテローム性動脈硬化症、糖尿病、重度の呼吸器感染、早産、及び出生時低体重(並びに分娩後の神経及び発育機能不全)の発現リスク、並びにこれらに伴う死亡リスクを軽減することができる。好ましい方法では、組成物を用いて、歯周病など、口腔の疾患及び状態を処置及び予防し、それによって、以下の健康指標又はバイオマーカーから明らかなように、治療対象の個人の強められた全身の健康を促進及び/又は向上させる。
1)心臓麻痺、脳卒中、糖尿病、呼吸器感染、出生時低体重児、及び分娩後の神経/発育機能不全の発現リスク、並びにこれらに伴う死亡リスクの軽減
2)動脈の脂肪線条、アテローム斑、斑形成の進行、アテローム斑上の線維性被膜の菲薄化、アテローム斑の破裂、及びその結果生じる血液凝固症状の発現の軽減
3)頸動脈(内膜)壁の厚み(例えば超音波技術によって評価した場合の厚み)の縮小
4)血液循環及び体循環の口腔病原体及び/又はその毒性成分への曝露の軽減(具体的には、口腔細菌、リポ多糖体(LPS)の血中濃度、並びに/又は動脈プラーク、動脈構造、及び/若しくは遠隔臓器(例えば心臓、肝臓、膵臓、腎臓)内に見られる口腔病原体及び/若しくはその成分の発生率の低下をもたらす)
5)下部呼吸器の病原菌吸入への曝露、並びにそれに伴う肺炎の発現及び/又は慢性閉塞性肺疾患の悪化の軽減
6)循環ヘマトクリット、ヘモグロビン、白血球数、及び/又は血小板数の変化の軽減
7)炎症性メディエータ/サイトカイン(TNF−α、IL−6、CD−14、IL−1など)の血中/血清濃度の調節障害の発生率の低下
8)急性期反応物質(C反応性タンパク質、フィブリノゲン、及びハプトグロビンなど)の血中/血清濃度の調節障害の発生率の低下
9)代謝調節障害の血中/血清マーカー(ホモシステイン、グリコシル化ヘモグロビン、8−イソ−PGF−2α、及び尿酸など)の調節障害の発生率の低下
10)グルコース代謝の調節障害(典型的に、耐糖能異常試験によって評価する)、空腹時血糖濃度の上昇、空腹時インスリン濃度異常の発生率の低下
11)血中脂質濃度(具体的には、血中若しくは血清コレステロール、トリグリセリド、LDL、HDL、VLDL、アポリポタンパク質B、及び/又はアポリポタンパク質A−1など)の調節障害の軽減
【0083】
理論に束縛されるものではないが、前記組成物は、口腔内に存在している細菌媒介性疾患及び状態を制御することによって全身の健康を促進させ、ひいては、血流及びその他の体の部分への細菌、細菌毒素及び内毒素、並びに炎症性メディエータ/サイトカインの蔓延を予防すると考えられる。
【0084】
一部の実施形態では、口腔ケア組成物としては、治療用の洗浄剤、とりわけ口内洗浄剤、並びに練り歯磨き、歯磨き用ゲル、歯磨き用粉末、非研磨性ゲル(歯肉縁下用ゲルを含む)が挙げられ、これらは、
(a)安全且つ有効な量、好ましくは最小有効量の亜塩素酸イオン剤と、
(b)製薬上許容可能な局所的口腔キャリアとを含み、この場合、最終組成物は、二酸化塩素又は亜鉛素酸を本質的に含まず、また、組成物は、次亜塩素酸イオン又は次亜塩素酸塩を本質的に含まず、最終的なpHは7よりも大きく、好ましくは7.5よりも大きく、さらに好ましくは約8〜12である。亜塩素酸イオン剤は、本組成物中に、亜塩素酸イオンの約0.02重量%〜約6.0重量%を占める量で組み込まれるのが好ましい。
【0085】
「亜鉛素酸又は二酸化塩素を本質的に含まない」とは、本明細書で使用する時、二酸化塩素又は亜鉛素酸を測定するための既知の分析手法(非常に特殊な電子スピン共鳴(ESR)分光法など)を用いた場合に、非常に低レベル、例えば約2ppm未満の、好ましくは約1ppm未満の二酸化塩素又は亜鉛素酸しか含まれていない組成物を意味する。
【0086】
本組成物は、抗菌/抗歯石剤、バイオフィルム阻害剤、抗炎症剤(シクロオキシゲナーゼ阻害剤及びリポキシゲナーゼ阻害剤など)、H2−拮抗薬、メタロプロテイナーゼ阻害剤、サイトカイン受容体拮抗薬、リポ多糖体錯化剤、組織増殖因子、免疫刺激薬、細胞酸化還元調節剤(抗酸化物質)、鎮痛薬、ホルモン、ビタミン、及びミネラルから成る群から選択される1つ以上の追加の治療薬をさらに含有するのが好ましい。
【0087】
一部の実施形態では、例えば、組成物に追加の治療薬が含まれている場合、組成物は、亜塩素酸イオンが含まれている第1の構成成分と、追加の治療薬が含まれている第2の構成成分を含むことができる。
【0088】
亜塩素酸イオン源
一部の実施形態では、亜塩素酸イオンは、記載した組成物及び方法において必須成分である。亜塩素酸イオンは、いかなるタイプの亜塩素酸塩から由来することもできる。例としては、亜塩素酸アルカリ金属、亜塩素酸アルカリ土類金属、並びにその他の任意の遷移金属、内部遷移金属の亜塩素酸塩及び/又はポリマー塩が挙げられる。好ましいのは水溶性亜塩素酸塩である。適切な亜塩素酸金属の例としては、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、及び亜塩素酸カリウムが挙げられる。好ましいのは亜塩素酸ナトリウムと亜塩素酸カリウムである。亜塩素酸ナトリウムが特に好ましい。2つ以上の亜塩素酸塩源の混合物を用いてもよい。
【0089】
歯磨剤組成物では、亜塩素酸イオンの濃度は、組成物の約0.005重量%よりも大きく、0.01重量%よりも大きく、0.02重量%よりも大きく、0.4重量%よりも大きく、0.6重量%よりも大きく、0.75重量%よりも大きく、及び/又は約2重量%未満、1.5重量%未満、若しくは1重量%未満である。
【0090】
口内洗浄剤組成物では、亜塩素酸イオンの濃度は、組成物の約0.02重量%よりも大きく、好ましくは約0.075重量%よりも大きく、さらに好ましくは約0.15重量%よりも大きい。
【0091】
歯肉炎を治療又は予防する方法では、組成物は亜塩素酸イオンを組成物の約0.1重量%〜約6重量%含むのが好ましい。
【0092】
亜塩素酸塩は、亜塩素酸ナトリウムとして、さまざまな供給元から入手可能である。亜塩素酸ナトリウムは、工業用粉末又はフレークとして、またさまざまな濃度の水性濃縮液として市販されている。亜塩素酸ナトリウム源の例としては、アラゴネサス(Aragonesas)及びバルカン(Vulcan)から入手可能な亜塩素酸ナトリウムが挙げられる。これらの源には一般に、塩素酸ナトリウムも4%以下含まれている。
【0093】
亜塩素酸イオン源は、高純度、例えば70%以上であるのが好ましい。さらには、本発明の組成物には、次亜塩素酸塩若しくは次亜塩素酸イオン、ジクロロイソシアヌレート、又はその塩が本質的に含まれていないのが好ましい。
【0094】
亜塩素酸イオンの濃度は、カリフォルニア州サニーベールのダイオネックス社(Dionex Corporation)から入手可能な交換カラムIon Pac ASIIを用いて無機及び有機酸のアニオンの勾配分離を行うことによって測定するのが好ましい。
【0095】
本発明の最終組成物には、二酸化塩素又は亜塩素酸が低濃度しか含まれていないか、二酸化塩素又は亜塩素酸が本質的に含まれていない(すなわち、二酸化塩素又は亜塩素酸が約2ppm未満、好ましくは約1ppm未満である)のが好ましい。
【0096】
2成分組成物では、二酸化塩素又は亜塩素酸の濃度は、2つの構成成分が混合されてから約2〜3分以内に測定する。
【0097】
最終組成物のpHは一般的に、7よりも大きく、好ましくは7.5よりも大きく、より好ましくは8〜12であり、さらに好ましくはpHが9〜10である。
【0098】
官能特性の向上
向上した官能特性が備わっている歯磨剤の例は、例えば、米国特許第5,820,854号(参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。これらの歯磨剤は、単一の構成成分として、又は2成分組成物として提供及び送出されてよい。
【0099】
イオン強度が高い、すなわち約0.001S(1,000μmho)〜約0.05S(50,000μmho)である歯磨剤の官能特性は、ポリオキシエチレンを添加することによって改善したものにすることができる。この歯磨剤は、泡量の増加、泡粘度の増大、及び滑らかな歯の感触をもたらす。2成分歯磨剤では、ポリオキシエチレンは、高イオン強度の歯磨剤成分と並んで分配される第2の歯磨剤成分中に存在してよい。あるいは、ポリオキシエチレンを、高イオン強度の歯磨剤成分中に含み、送出器具によって分配される第2の流れは、異なる構成成分、例えば口内洗浄剤又は別のタイプの歯磨剤にしてよい。ポリオキシエチレンの分子量は、約100,000〜約10,000,000、又は約200,000〜約7,000,000であり得る。
【0100】
一部の実施形態では、2成分歯磨剤には、イオン強度が約0.001S(1,000μmho)〜約0.05S(50,000μmho)であり且つ分子量が約100,000〜約10,000,000、又は約200,000〜約7,000,000であるポリオキシエチレンが約0.1%〜約8%と、1つ以上の水性キャリアが約92%〜約99.5%含まれている第1の歯磨剤成分、及び第2の歯磨剤成分が含まれている。代替的な実施形態では、歯磨剤には、イオン強度が約0.001S(1,000μmho)〜約0.05S(50,000μmho)である第1の歯磨剤成分、及び分子量が約100,000〜約10,000,000、又は約200,000〜約7,000,000であるポリオキシエチレンが約0.1%〜約8%と、1つ以上の水性キャリアが約92%〜約99.9%含まれている第2の歯磨剤成分が含まれている。
【0101】
適切なポリオキシエチレンの例としては、分子量が約100,000〜約10,000,000、又は約200,000〜約7,000,000であるものが挙げられる。この分子量は約600,000〜約2,000,000であるのが好ましく、約800,000〜約1,000,000であるのがさらに好ましい。「ポリオックス(Polyox)」は、ユニオンカーバイド(Union Carbide)製の高分子量ポリオキシエチレンの商品名である。ポリオキシエチレンは、一般的に歯磨剤成分の約0.1重量%〜約8重量%、好ましくは約0.2重量%〜約5重量%、さらに好ましくは約0.3重量%〜約2重量%の量で存在している。
【0102】
歯磨剤の高イオン強度は、歯磨剤がイオン特性を有する成分を含有する場合に発生する。イオン特性を有する成分のうち、広く用いられているものとしては、塩及び界面活性剤などの物質が挙げられる。塩分濃度が高く、及び/又は界面活性剤濃度が高い歯磨剤は、イオン強度が高い。歯磨剤のイオン強度は、希釈スラリーの伝導度によって測定される。このスラリーは、水と歯磨剤が3:1のスラリーである。歯磨剤のイオン強度は、約0.005S(5,000μmho)〜約0.04S(40,000μmho)であるのが好ましく、約0.01S(10,000μmho)〜約0.025S(25,000μmho)であるのがさらに好ましい。イオン強度の高い歯磨剤の総塩分濃度は、一般的には約4%〜約70%、好ましくは約6%〜約60%、さらに好ましくは約8%〜約50%である。
【0103】
再石灰化
再石灰化特性のある2成分口腔ケア組成物の例は、例えば、米国特許第4,083,955号(参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0104】
表層下エナメル質は、反応して所望の再石灰化沈殿物を形成させるイオンを発生させる特定の可溶性塩を順次適用することによって、再石灰化されることができる。食塩水(カルシウム及びリン酸塩溶液など)をエナメル質に順次適用して、再石灰化をもたらすことができる。
【0105】
所望の沈殿物によって歯のエナメル質の表層下を再石灰化することは、所望の沈殿物のカチオン源として作用することのできる水溶性化合物が含まれている第1の構成成分と、所望の沈殿物のアニオン源として作用することのできる水溶性化合物が含まれている第2の構成成分とを用いるプロセスによって実現させることができる。このプロセスは、(1)上記構成成分の1つを歯の表面に適用し、その後に、(2)もう一方の構成成分を歯の表面に適用し、それによって、もう一方の構成成分の所望のイオンが、脱灰化した表層下の中に拡散し、第1の構成成分のイオンと望ましい沈殿物を形成し、ひいては、脱灰化した表層下の再石灰化をもたらす工程を含む。工程(1)の持続時間は、脱灰化した表層下の中に所望のイオンが拡散できるように選択してよい。
【0106】
例えば、第1の工程では、可溶性塩の反応溶液を含む構成成分が、脱灰化した表層下に最も近い歯の表面と接触するように配置される。この第1の反応溶液中には、歯の表面を通して、その脱灰化した表層下まで拡散する特定のカチオンがある。第2の工程では、第2の構成成分(特定のアニオンを含有する反応溶液を含む)が、脱灰化した表層下に最も近い歯の表面と接触するように配置される。このアニオンは、歯の表面を通して、脱灰化した表層下まで拡散し、表層下で、事前に堆積されたカチオンと接触し、歯牙構造に結合される沈殿物を形成する。この結果、歯の表層下が再石灰化される。
【0107】
カチオン溶液とアニオン溶液の濃度は0.005〜10%、すなわち塩の溶解限度にしてよく、約0.05〜約5%が好ましい。所望に応じて、過剰な塩が存在することができる。カチオン溶液中で1つ以上のカチオンを用いてもよい。各工程では、歯の脱灰化した表層下中への拡散を促すために、過剰の反応物質が求められるため、カチオン溶液とアニオン溶液の濃度は同等にする必要はない。同様に、アニオン溶液中で1つ以上のアニオンを用いてよい。順次適用をわずか8回行った後、「白斑」に対して目に見える効果が現れ、数回の順次適用を採用すると最も有益な成果が得られると考えられる。
【0108】
エナメル質の再石灰化をもたらすために、口腔内で所望のカチオン及びアニオンを治療量用いてよい。口内に配置される溶液の量は一般に、所望のカチオンを少なくとも約0.001g、所望のアニオンを約0.001g含有すべきであり、好ましくは、所望のカチオンを約0.1gよりも多く、所望のアニオンを約0.1gよりも多く、及び/又は所望のカチオン/アニオンを約10g未満、及び/又は所望のカチオン/アニオンを約5g未満、又は所望のカチオン/アニオンを約2g未満含有する。
【0109】
食塩水と歯の表面との接触時間の長さは重要ではないが、この時間の長さは、イオンが歯の表面を通して脱灰化した表層下まで拡散できるほど十分な長さである必要がある。この拡散には、少なくとも10秒間が必要であると考えられる。
【0110】
各溶液のpHは、沈殿反応の前後に約3〜約10でなければならず、さもなければ、各溶液は口腔環境内での相溶性がなければならない。イオンは、早期に溶液内で組み合わされて沈殿物が形成されてはならないが、歯の表面を通して、脱灰化した表層下領域まで拡散可能であり、もう一方の溶液のイオンと不溶性の塩を形成可能でなければならない。溶液及び不溶性沈殿物は無色であり、当然ながら(or course)、毒性度は許容可能なレベルであるのが好ましい(すなわち、特定のイオンは、再石灰化プロセスで用いる量では、無害でなければならない)。
【0111】
再石灰化では多様な沈殿物を用いてよいが、元のエナメル質よりも溶解度の低い沈殿物を堆積させることによって、元のエナメル質よりも脱灰に対する耐性の高い再石灰化表層下を作ることができる。重金属イオン又はフッ化物イオンのいずれかの存在の下で再石灰化を行う場合、再石灰化されたエナメル質は、元のエナメル質よりも脱灰に対する耐性が高い。両方のイオンが存在している場合は、再石灰化されたエナメル質の脱灰に対する耐性はさらに高い。それぞれの溶液内において、重金属イオン及びフッ化物イオンを含有する塩の濃度は、約0.005〜約10%、例えば約0.005〜約0.1%にしてよい。
【0112】
適切な重金属イオンの例は、アルミニウム、マンガン、スズ、亜鉛、インジウム、希土類金属(ランタン及びセリウムなど)である。
【0113】
特定の実施では、再石灰化カチオン溶液には、カルシウムイオンを生成する可溶性カルシウム塩が約0.005〜約10%、好ましくは約1%、及びインジウムイオンを生成する可溶性インジウム塩が約0.005〜約10%、好ましくは約0.005〜0.1%含まれている。再石灰化アニオン溶液には、リン酸イオンを生成する可溶性リン酸塩が約0.005〜約10%、好ましくは約1%、及びフッ化物イオンを生成する可溶性フッ化物塩が約0.005〜約10%、好ましくは約0.005〜約0.1%含まれている。得られる沈殿物は、インジウムイオン及びフッ化物イオンが組み込まれているリン酸カルシウム又は水酸リン灰石(歯のエナメル質の天然成分)である。このプロセスは、再石灰化されたエナメル質をもたらすだけではなく、再石灰化されたエナメル質は、続く脱灰に対する耐性が元のエナメル質よりも高くなる。
【0114】
適切な可溶性フッ化物塩及びインジウム塩としては、フッ化ナトリウム、フッ化亜鉛、フッ化ベタイン、フッ化第1スズアラニン、フッ化ヘキシルアミン、塩化インジウム、硫酸インジウム、及び硝酸インジウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0115】
望ましい不溶性沈殿物をもたらすアニオンとしては、リン酸塩、8〜18個の炭素原子を有する脂肪酸基、フッ化物、フルオロリン酸塩、フッ化シリカ、硫酸塩、酒石酸塩、ソルビン酸塩、6〜18個の炭素原子を有するスルホン酸アルキル、炭酸塩などが挙げられる。これらのアニオンの混合物が望ましい。
【0116】
望ましい不溶性沈殿物をもたらすカチオンとしては、上述した重金属イオン、並びにカルシウム及びマグネシウムが挙げられる。これらのカチオンの混合物が望ましい。
【0117】
不溶性の再石灰化沈殿物を形成するこれらのカチオン及びアニオンは、対応する可溶性塩の溶液から得ることができる。本発明で用いられるカチオンの適切な可溶性塩としては、ハロゲン化物、例えば、所望のカチオンの塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、及びグルコン酸塩が挙げられる。同様に、本発明のアニオンの適切な可溶性塩としては、アルカリ金属塩(例えばナトリウム及びカリウム)、アンモニウム塩、及び低分子量の置換アンモニウム塩が挙げられる。低分子量置換アンモニウム塩の例は、アンモニウムイオン上の水素原子の1つ以上が1〜3個の炭素原子、アルキル若しくはヒドロキシアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、又は3−ヒドロキシプロピル)で置換されているもの、例えば、モノ−、ジ−、若しくはトリエタノールアンモニウム塩、又はモノ−、ジ−、若しくはトリエチルアンモニウム塩である。
【0118】
歯のエナメル質を再石灰化することのできる多種多様なカチオンとアニオンを組み合わせて、多種多様な沈殿物を形成する。最も好ましい沈殿物は、少量のインジウムとフッ化物とが中に組み込まれているリン酸カルシウム化合物である。以下の沈殿物は、望ましい再石灰化沈殿物のみならず、当然のことながら、沈殿物を形成するために必要なカチオンとアニオンも明らかにする。当業者であれば、これらの沈殿物の一部は、まず原料沈殿物を形成させてから、さらに反応させて上記沈殿物を形成させることによって、形成できることが分かるであろう。例えば、まず水酸化物を形成してから、さらに反応させて、対応する酸化物を形成することができる。
【0119】
好ましい沈殿物は、リン酸カルシウム、ZnNH4PO4、InPO4、希土類リン酸塩(リン酸ランタン、リン酸セリウム、及びリン酸サマリウムなど)、希土類フッ化物(フッ化ランタン、フッ化セリウム、フッ化プラセオジム、フッ化ネオジム、及びフッ化サマリウムなど)、アルキル基が10〜22個の炭素原子を有するアルキルスルホン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、及びリン酸アルミニウムである。
【0120】
沈殿物の構成成分は、2つの別個の送出手段により歯の表面に順次送出されることができ、各々は、1つの構成成分、例えば口内洗浄剤及び練り歯磨きを収容する。例えば、沈殿物の構成成分は、本明細書に記載の口腔ケア器具を用いて送出されることができる。
【0121】
歯の感度減少
歯の感度を減少させることのできる2成分口腔ケア組成物の例は、例えば、米国特許第6,953,817号(参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0122】
減感性歯磨剤組成物を調合して、象牙質知覚過敏に伴う不快感と痛みを排除又は軽減する。このような組成物としては、カリウム塩減感剤が含まれている減感性歯科用2成分組成物が挙げられる。
【0123】
この歯科用組成物としては、2つの半固体水性成分を挙げることができ、第1の構成成分は、少なくとも約9.0、好ましくは約9.0〜約12.0というアルカリ性のpHに保つように緩衝され、第2の構成成分は、リン酸塩の緩衝剤成分によってpH6.5〜7.5に保つ。この構成成分の少なくとも1つには、経口条件を満たした賦形剤中にフッ化物イオン放出性塩とカリウム放出可能塩化合物が含まれ、フッ化物化合物は、その化合物からフッ化物を約2500〜8800パーツパーミリオン(ppm)放出するのに十分な濃度で存在する。構成成分を混合及び組み合わせると、pHが約6.5〜約7.0である組成物が形成される。この混合物を歯に繰り返し適用すると、ユーザーは、象牙質知覚過敏の減少度が増すのを経験する。
【0124】
この2つの構成成分は、ほぼ均等な重量比で組み合わされるのが好ましく、そのため構成成分が組み合わされてブラッシングなどによって歯に適用される時に、どちらの構成成分中の特定の任意の成分も約2分の1の濃度になる。いずれの構成成分も、同様の物理的特性を有するように調合して、2つの構成成分を同時に所望の所定量で送出できるようにするのが好ましい。
【0125】
pHが実質的に中性である歯磨剤成分を調製するには、緩衝剤を組み込むが、この緩衝剤は通常、水、保湿剤、界面活性剤、及び研磨剤が含まれている賦形剤を用いて調製される。緩衝剤は、第1及び第2リン酸ナトリウム塩の混合物であるのが好ましく、歯磨剤成分中に、該構成成分の約5〜約10重量%、好ましくは約6〜約10重量%の濃度で組み入れられる。
【0126】
pHがアルカリ性である歯磨剤成分は、pHが中性の緩衝成分のものと同様の組成を有する賦形剤を用いて調製する。アルカリ化剤、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、N−ケイ酸ナトリウム(PQ社(PQ Corporation)から入手可能な重量比3.22のケイ酸ナトリウム(水分34.6%))などのアルカリ金属化合物は、アルカリ性成分中に、組成物の約0.5〜約15重量%、好ましくは約1.0〜約8重量%、最も好ましくは約1.0〜約5.0重量%の範囲の量で組み入れられる。上記のアルカリ金属化合物の混合物を用いることもできる。
【0127】
フッ化物イオン放出性塩は、水中にフッ化物イオンを放出できることを特徴とする。約1000〜約9000ppmのフッ化物イオン、好ましくは約2500〜約8800ppmのフッ化物イオンをもたらす水溶性フッ化物塩を用いるのが好ましい。フッ化物イオン放出性塩の適切な例としては、水溶性無機金属塩、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化第1スズ、及びフルオロケイ酸ナトリウムが挙げられる。フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、及びフッ化第1スズが好ましいフッ化物イオン放出性塩である。
【0128】
減感性カリウムイオン源は一般に、硝酸カリウム、クエン酸カリウム、塩化カリウム、重炭酸カリウム、及びシュウ酸カリウムなどの水溶性カリウム塩であり、硝酸カリウムが好ましい。カリウム塩は一般に、1つ以上の歯磨剤成分中に、約1〜約20重量%、好ましくは約3〜約10重量%の濃度で組み入れられる。
【0129】
歯肉疾患の予防
歯肉疾患を予防する2成分口腔ケア組成物の例は、例えば、米国特許第5,281,410号、米国特許第5,145,666号、米国特許第4,849,213号、米国特許第4,528,180号、及び米国特許第5,632,972号(これらは参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0130】
一部の口腔ケア組成物は、歯垢及び歯肉炎を軽減させることができるが、それと同時に、顕著な着色を発生させない。着色は、ピロリン酸イオンと第1スズ化合物とが含まれている2成分組成物を用いることによって、例えば、1つの構成成分中でフッ化第1スズと別の第1スズ化合物を、別の構成成分中でピロリン酸イオンを用いることによって軽減させることができる。一般的に、両構成成分に製薬上許容可能なキャリアが含まれている。
【0131】
フッ化第1スズは、第1スズ成分の第1の必須成分である。この物質は、第1スズ組成物中に、約0.05%〜約1.1%、好ましくは約0.4%〜約0.95%の濃度で存在している。別個の可溶性第1スズ及びフッ化物塩を用いて、原位置でフッ化第1スズを形成させることができ、加えてこの塩を直接添加できることを認識すべきである。原位置でフッ化第1スズを形成させるのに適している塩としては、数ある中でも、塩化第1スズ及びフッ化ナトリウムが挙げられる。
【0132】
第2の第1スズ化合物は一般に、第1スズ成分中に含まれている。第2の第1スズ化合物は、αヒドロキシ酸、フィチン酸、EDTA、グリシン、及びこれらの混合物の第1スズ塩である。一部の実施形態では、第2の第1スズ化合物はグルコン酸第1スズである。これらの物質は、既知の第1スズキレートであり、キレートとして、又はフッ化第1スズなどによって原位置で形成された別個の可溶性第1スズ塩及びキレートとして、本発明の組成物に提供されてよい。適切なαヒドロキシ酸としては、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、及び乳酸が挙げられる。このような塩には、塩化第1スズ及びフッ化第1スズが挙げられる。第2の第1スズ化合物は一般に、本発明の構成成分中に、約0.1%〜約11%、好ましくは約2%〜4%の濃度で存在する。
【0133】
第2の構成成分は、有効量のピロリン酸イオンが含まれているか、又はピロリン酸イオンをもたらすことのできる構成成分である。ピロリン酸イオンは、例えば、ピロリン酸、又はいずれかの易水溶性ピロリン酸塩であることができる。このような塩には、アルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム、及びリチウムなど)のいずれかが挙げられ、さらにアンモニウムも挙げられる。
【0134】
ピロリン酸イオンの量は、一般的に約1%〜約15%、好ましくは約1%〜約10%、最も好ましくは約3%〜約7%の任意の有効量である。
【0135】
一部の実施形態では、これらの構成成分は、安全且つ有効な量で口腔に適用することができる。練り歯磨き又はうがい薬の場合、これらの量(例えば約0.3〜約15g)を約15〜約60秒間、口内に保持する。これらの構成成分はどの順番でも用いることができるが、第1スズ成分を最初に用いるのが好ましい。
【0136】
一部の実施形態では、別々に貯蔵されているが実質的に同時に分配されるペーストで、重炭酸ナトリウム、食卓塩(又は別の適切な塩)、並びに好ましくは追加の洗浄剤、抗う蝕剤、及び研磨剤が含まれているペーストに加えて、有効濃度の香味物質と組み合わせて用いるために、無毒性ゲル中に過酸化水素又は過酸化尿素が溶解している。
【0137】
制御された量のゲル及びペーストは、歯ブラシの上に同時に放出され、すぐに歯及び歯肉に適用されることができる。したがって、送出される過酸化物、塩、及びNaHCO3の量の制御は、各チューブ(又はポンプ区画)のオリフィスの開口部と活性成分の濃度とを指定することによって実現することができる。ブラシを歯と歯肉に当てると、製品が即座に混合し、続いて、活性酸素と二酸化炭素が短時間で発生する。同時に、活性酸素の放出に伴う発泡により、重炭酸塩ペーストに含まれている香味が活性化し且つ口内で持続的な強い清涼味質が生成されるが、この清涼味質は、既存の練り歯磨き又はゲルのもたらすどの香味とも異なっている。
【0138】
過酸化水素ゲルは、H2O2を約1.0〜10.0%、好ましくは約3.0〜6.5%、アクリル酸コポリマーを約0.05〜1.20%、好ましくは約0.3〜0.8%、非イオン性セルロースガムを約0.1〜1.5%、好ましくは約0.3〜0.8%、中和剤(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、NaOH、KOH)を、ゲルのpHを約3.0〜6.0に上げるのに十分な量で含有してよい。残部は、精製水(蒸留水又は脱イオン水)である。
【0139】
重炭酸ナトリウムペーストは、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、精製水(蒸留水又は脱イオン水)、及び増粘剤/安定剤(セルロースガム及びケイ酸アルミニウムマグネシウム)を必須成分として含有している。主に重炭酸塩のもたらす「チョークのような」味質を分散させる目的で、粘度付与剤(ソルビトール、グリセリン、又はグリコールなど)を加える。さらに、ペーストが、ゲルと組み合わされて練り歯磨きを完全に置き換えることになる場合、洗浄剤(硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、及び水和酸化アルミニウムなど)、並びにラウリル硫酸ナトリウムなどの発泡剤(過酸化物−重炭酸塩−塩の作用も強化する)を添加してもよい。
【0140】
重炭酸塩ペーストの構成要素及び量は、重炭酸ナトリウムが約10〜50%、好ましくは20〜40%、ポリオールが約5〜30%、好ましくは15〜25%、セルロースガムが約1〜3%、好ましくは約1.2〜1.8%、塩化ナトリウムが約1〜6%、好ましくは約2〜4%、研磨剤/クレンザーが約1〜40%、好ましくは約1.5〜30%、発泡剤が約0.1〜2.5%、好ましくは約0.2〜0.5%、着香剤(単一又は複数)が好みの味になるように約1%未満、防腐剤が約0.1〜0.5%である。残部は精製水である。このペーストとゲルは、実質的に均等な体積比で用いられるのが好ましい。
【0141】
一部の実施形態では、亜鉛塩が製薬上許容可能なキャリア中に約0.1〜約10重量%含まれている第1の構成成分と、重炭酸塩が製薬上許容可能なキャリア中に約1〜約80重量%が含まれている第2の構成成分を口腔に送出させ、第1及び第2の組成物の組み合わせを口内で、歯肉及び歯周組織に接触するように激しく動かすか、又は第1及び第2の構成成分を組み合わせると同時に、歯を取り囲んでいる歯肉及び歯周表面をブラッシングすることによって、歯肉出血を抑制し、歯肉及び歯周組織の質感と稠度を向上させることができる。
【0142】
好ましい実施形態では、第1の構成成分は過酸素化合物を含むこともできる。別の実施形態では、過酸素化合物の代わりにアスコルビン酸又はクエン酸が用いられる。
【0143】
亜鉛塩と重炭酸塩というこの組み合わせは、歯肉及び歯周組織の損傷に対して非常に強力な抑制効果をもたらすことができる。このような効果のためには、口腔へ導入されるまで、亜鉛塩と重炭酸塩を別々に包装する必要がある。例えば、本明細書に記載の口腔ケア器具内。
【0144】
第1の構成成分には、亜鉛イオンを送出できる塩が含まれている。「亜鉛イオン」という用語は、固体又は非解離状態である亜鉛化合物の分子の亜鉛原子部分が、とりわけ水媒体中に分散している場合に、単純又は錯亜鉛イオンに解離可能であることを意味する。用いてよい化合物の例は、ホウ酸塩、臭化物、炭酸塩、ヘキソフルオロケイ酸塩、ピロリン酸塩、ケイ酸塩、硫酸塩、及びチタン酸塩といった無機イオンの亜鉛塩である。有機アニオンは、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸塩、及びリン酸塩から選択された荷電基とともに2〜22個の炭素原子を有するものである。具体例としては、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、グリシン酸塩、乳酸塩、フェノールスルホン酸塩、サリチル酸塩、酒石酸塩、アセチルアセトン酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、アスコルビン酸塩、及びグルコン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0145】
亜鉛塩は一般に、口腔ケア組成物中に、約0.05〜約10重量%、好ましくは約0.2〜5重量%、最適には約0.8〜3重量%の量で存在する。
【0146】
第1の構成成分はゲルであってよく、第2の組成物は、不透明なペーストの形態であってよい。ゲルには、過酸素化合物、例えば過酸化水素、過酸化尿素、過酸化カルシウム、並びに過ホウ酸塩、過ケイ酸塩、過リン酸塩、及び過炭酸塩の塩が含まれる。過酸素化合物の量は、約0.1〜約10重量%の範囲であってよい。活性重量の過酸化水素に関しては、量は、約0.5〜約5重量%、好ましくは約0.8〜約4重量%、最適には約1〜3重量%の範囲である。
【0147】
過酸素化合物の代わりに、第1の構成成分は、C2〜C20のカルボン酸を含有してもよい。実例的な酸としては、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、及びアスコルビン酸が挙げられる。この酸の濃度は、過酸素化合物と同様の量、すなわち、約0.1〜約10重量%の範囲であってよい。クエン酸が最も好ましい。これらの酸は、存在する場合、液体、ゲル、又はペーストタイプの組成物のいずれかである。
【0148】
有利には、第1の構成成分のpHは、約3.2〜5.0、好ましくは4.0〜4.5に保たれる。
【0149】
重炭酸塩が含まれている第2の構成成分は、第1の組成物に関して上述したものと本質的に同量で、同じフッ化物化合物から選択された抗う蝕フッ化物化合物を含有してもよい。とりわけ好ましいのはフッ化ナトリウムである。重炭酸塩は、アルカリ金属の形態、例えばナトリウム及びカリウムの形態で存在する。典型的には、重炭酸塩の濃度は、約0.5〜約80重量%、好ましくは約5〜約50重量%、最適には約8〜約20重量%である。重炭酸塩組成物のpHは、約7.0〜約9.5であってよく、約8.0〜9.0が最も好ましい。重炭酸塩組成物が練り歯磨き又はゲルの形態である場合、典型的に、天然又は合成増粘剤を約0.1〜10重量%、好ましくは約0.5〜5重量%の量で含む。
【0150】
第1の組成物と第2の組成物との相対的重量は、約1:2〜2:1、好ましくは約1:1である。
【0151】
歯磨剤組成物及び構成成分
歯磨剤として調合される口腔ケア組成物及び構成成分は一般に、結合剤、キャリア、及び活性成分を含む。場合によっては、歯磨剤は、界面活性剤及び/又は洗剤、増粘剤、研磨剤、キャリア、保湿剤、塩などのうちの1つ以上を含有してもよい。適切な歯磨剤成分の例は後掲する。
【0152】
結合剤
結合剤系は一般に、口腔ケア組成物のレオロジー特性を決定する主要因子である。結合剤は、口腔ケア成分の固相を懸濁状態に維持させ、その結果、口腔ケア成分の固相部分が液相部分から分離するのを防ぐ役割も果たす。さらに、結合剤は、口腔ケア組成物に粘り(body)又は濃さ(thickness)を与えることもできる。したがって、場合によっては、結合剤は、口腔ケア組成物に増粘作用を与えることもできる。
【0153】
結合剤の例としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セルロースエーテル、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、カーボポール、又は含水リチウムマグネシウムケイ酸ナトリウムなどのケイ酸塩が挙げられる。適切な結合剤の他の例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、グアーガム、トラガカントガム、カラヤガム、アラビアガム、アイリッシュモス、デンプン、及びアルギン酸塩などのポリマーが挙げられる。あるいは、結合剤としては、粘土、例えば、ヘクトライトなどの合成粘土又は天然粘土を挙げることができる。結合剤の各々は、単独で、又は他の結合剤と組み合わせて使用することができる。
【0154】
界面活性剤/洗剤
場合によっては、歯磨剤に、1つ以上の界面活性剤又は洗剤を含有させて、望ましい発泡特性をもたらすことができる。
【0155】
界面活性剤としては一般に、アニオン性、非イオン性、カチオン性及び双イオン性、又は両性の組成物が挙げられる。界面活性剤の例としては、石鹸、硫酸塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、脂肪酸のソルビタンエステル、スルホベタイン(例えば、コカミドプロピルベタイン(cocamidopropylbatine))、並びにC10〜16アルキル−D−グルコピラノシドオリゴマー(D-glucopyranoside C10-16 alkyl oligomeric)が挙げられる。一部の実施形態では、界面活性剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、コカミドプロピルベタイン、及びC10〜C16アルキル−D−グルコピラノシドオリゴマー(D-glucopyranoside C10-C16 alkyl oligomeric)が挙げられる。一般に、界面活性剤は、約0.2〜約8重量%(例えば、約1〜約5重量%又は約1.5〜約3.5重量%)の量で存在する。
【0156】
増粘剤
増粘剤の例としては、増粘シリカ、ポリマー、粘土、及びこれらの組み合わせが挙げられる。約4重量%〜約8重量%(例えば約6重量%)の量の増粘シリカ、例えば水和シリカSILODENT15は、望ましい口内特性をもたらす。本明細書に記載されている「口内特性」という表現は、歯磨剤がユーザーの口内で発泡する際の歯磨剤の粘り(body)又は濃さ(thickness)に関するものである。
【0157】
研磨剤
研磨剤の例としては、炭酸塩(例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム)、水−コロイダルシリカ、沈殿シリカ(例えば、水和シリカ)、アルミノケイ酸ナトリウム、アルミナが含まれているシリカグレード、水和アルミナ、リン酸2カルシウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、及びマグネシウム(例えば、リン酸3マグネシウム)などの研磨剤が挙げられる。研磨剤の適切な量は、優れた研磨及び洗浄作用を安全にもたらす量であり、別の成分と組み合わせた場合に、滑らかで流動性があり、粒状感の強すぎない組成物をもたらす量である。一般に、研磨剤が含まれる場合には、研磨剤は、約5重量%〜約50重量%(例えば、約5重量%〜約35重量%、又は約7重量%〜約25重量%)の量で存在する。
【0158】
キャリア
キャリアの例としては、水、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリプロピレングリコール、デンプン、スクロース、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、又はこれらの組み合わせが挙げられる。組み合わせの例としては、水とアルコールとのさまざまな組み合わせ、及びポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのさまざまな組み合わせが挙げられる。一般に、含まれるキャリアの量は、溶解した塩、界面活性剤、及び分散した相の量とともに、結合剤系の濃度に応じて決まる。
【0159】
保湿剤
一般に、保湿剤はポリオールである。保湿剤の例としては、グリセリン、ソルビトールプロピレングリコール、キシリトール、ラクチトール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、水素添加コーンシロップ、及びこれらの混合物が挙げられる。一般に、保湿剤が含まれる場合、保湿剤は約10重量%〜約60重量%の量で存在することができる。
【0160】
緩衝剤及び/又は塩
緩衝剤及び塩の例としては、1級、2級、又は3級アルカリ金属リン酸塩、クエン酸、クエン酸ナトリウム、サッカリンナトリウム、ピロリン酸4ナトリウム、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。
【0161】
活性成分
歯磨剤は、例えば、虫歯を予防したり、歯を白くしたり、息を清涼化したり、経口薬を供給したり、上述したもののようなその他の治療及び美容効果をもたらす目的で、活性成分を含んでよい。活性成分の例としては、抗う蝕剤(例えば、水溶性のフッ化物塩、フルオロケイ酸塩、フルオロジルコン酸塩、フルオロスタンナイト(fluorostannites)、フルオロホウ酸塩、フルオロチタン酸塩、フルオロゲルマン酸塩(fluorogermanates)、混合ハロゲン化物、及びカジン(casine))、抗歯石(anti-tarter)剤、抗結石剤(例えば、アルカリ金属ピロリン酸塩、次亜リン酸塩含有ポリマー、有機ホスホクエン酸塩(organic phosphocitrates)、ホスホクエン酸塩(phosphocitrates)、ポリリン酸塩)、抗菌剤(例えば、バクテリオシン、抗体、酵素)、抗菌性向上剤、抗微生物剤(例えば、トリクロサン、クロルヘキシジン、銅−、亜鉛−、及び第1スズ塩(クエン酸亜鉛、硫酸亜鉛、グリシン酸亜鉛など)、サンギナリン抽出物、メトロニダゾール、4級アンモニウム化合物(塩化セチルピリジニウムなど)、ビス−グアニド(ジグルコン酸クロルヘキシジン、ヘキセチジン、オクテニジン、アレキシジンなど)、及びハロゲン化ビスフェノール化合物(2,2’メチレンビス−(4−クロロ−6−ブロモフェノール)など)、減感剤(例えば、クエン酸カリウム、塩化カリウム、酒石酸カリウム、重炭酸カリウム、シュウ酸カリウム、硝酸カリウム、及びストロンチウム塩)、ホワイトニング剤(例えば、ペルオキシ化合物などの漂白剤、例えば、ペルオキシ二リン酸カリウム(potassium peroxydiphosphate))、抗歯垢剤、歯肉保護剤(例えば、ヒマワリ油、菜種油、大豆油、及びベニバナ油などの植物油、並びにシリコーン油及び炭化水素油などの他の油)が挙げられる。歯肉保護剤は、歯肉の透過障壁を改善できる剤であり得る。他の活性成分としては、創傷治癒剤(例えば、尿素、アラントイン、パンテノール、アルカリ金属チオシアン酸塩、カモミール系活性物質及びアセチルサリチル酸誘導体、イブプロフェン、フルルビプロフェン、アスピリン、インドメタシンなど)、歯緩衝剤、再石灰化剤、抗炎症剤、抗悪臭剤、息清涼化剤、及び歯肉炎又は歯周炎などの口腔状態を
処置するための剤が挙げられる。
【0162】
その他の成分
場合によっては、歯磨剤は、発泡系(重炭酸ナトリウムクエン酸系など)、又は変色系を含んでよい。
【0163】
歯磨剤は、フェノール化合物(例えば、フェノール、及び2−メチル−フェノール、3−メチル−フェノール、4−メチル−フェノール、4−エチル−フェノール、2,4−ジメトール−フェノール、3,4−ジメトール−フェノールといったフェノールの相同物)、甘味剤(例えば、サッカリンナトリウム、シクラミン酸ナトリウム、スクロース、スクロース、マルトース、及びフルクトース)、香味料(例えば、ペパーミント油、スペアミント油、ユーカリ油、アニシード油、ウイキョウ油、ヒメウイキョウ油、酢酸メチル、桂皮アルデヒド、アネトール、バニリン、チモール、及びその他の天然若しくは天然同一の精油、又は合成香味料)、防腐剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、エチル、又はプロピルエステル、ソルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ブロモクロロフェン、トリクロサン、ヘキセチジン、サリチル酸フェニル、ビグアニド、及び過酸化物)、乳白剤及び着色剤(二酸化チタン又はFD&C染料など)、並びにビタミン(レチノール、トコフェロール、又はアスコルビン酸など)のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0164】
口内洗浄剤組成物及び構成成分
本明細書で論じられている組成物及び構成成分は、口内洗浄剤又はうがい薬の形態で提供されてよい。
【0165】
このような口内洗浄剤及びうがい薬の成分には、典型的に、水(約45%〜約95%)、エタノール(約0%〜約25%)、保湿剤(約0%〜約50%)、界面活性剤(約0.01%〜約7%)、着香剤(約0.04%〜約2%)、甘味剤(約0.1%〜約3%)、及び着色剤(約0.001%〜約0.5%)のうちの1つ以上が含まれている。このような口内洗浄剤及びうがい薬は、抗う蝕剤(フッ化物イオンとして約0.05%〜約0.3%)、及び抗結石剤(約0.1%〜約3%)のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0166】
本明細書で論じられている組成物及び構成成分は、歯科用溶液及び洗浄用流体の形態でもよい。このような歯科用溶液の成分は一般に、水(約90%〜約99%)、防腐剤(約0.01%〜約0.5%)、増粘剤(0%〜約5%)、着香剤(約0.04%〜約2%)、甘味剤(約0.1%〜約3%)、及び界面活性剤(0%〜約5%)のうちの1つ以上を含む。
【0167】
多種多様な器具及び/又はパッケージによって同時又は順次に(すなわち第1の構成成分の次に第2の構成成分を)送出させることのできる第1の構成成分及び第2の構成成分の非限定的な例の一部(そのうちのいくつかは本明細書に記されている)は、以下の表1に記載されている。表1の第1及び第2の構成成分は、本明細書に記載のレジメン、用量、工程、又は方法のいずれかを全体的又は部分的に用いて送出されることができる。
【表1−1】
【表1−2】
【表1−3】
【表1−4】
【表1−5】
【表1−6】
【表1−7】
【0168】
他の実施形態
本発明の数多くの実施形態を記載してきた。しかし、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正を行ってもよいことが理解されるであろう。したがって、その他の実施形態は請求項の範囲内である。
【0169】
「発明を実施するための最良の形態」で引用した全ての文献は、参照することにより本明細書に組み込まれるが、いかなる文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを認めるものと解釈すべきではない。本明細書における用語のいずれかの意味又は定義が、参照することにより組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲においては、本明細書においてその用語に付与した意味又は定義を適用するものとする。
【0170】
本発明の特定の実施形態を説明及び記載してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】口腔ケアシステムの1つの実施形態の側面斜視図。
【図2A】口腔ケア器具の1つの実施形態の正面斜視図。
【図2B】図2Aの口腔ケア器具の背面斜視図。
【図3A】図2Aの口腔ケア器具の正面透視図。
【図3B】図2Aの口腔ケア器具の背面透視図。
【図4A】口腔ケア器具の別の実施形態のヘッドとネックの背面図であり、ネックは透視状態で示されている。
【図4B】口腔ケア器具の別の実施形態のヘッドとネックの正面図であり、ネックは透視状態で示されている。
【図5】口腔ケア器具の別の実施形態のヘッドとネックの背面図であり、ネックは透視状態で示されている。
【図6】ブラシの1つの実施形態の正面斜視図。
【図7】ブラシの1つの実施形態の正面斜視図。
【図8A】ドッキングステーションの1つの実施形態の側面斜視図。
【図8B】図8Aのドッキングステーションの透視側面斜視図。
【図9】ドッキングステーションの1つの実施形態を示す。
【図10】ドッキングステーションの別の実施形態を示す。
【図11】口腔ケアシステムの1つの実施形態の斜視図。
【図12】図11に示したドッキングステーションのベース部分Bの斜視図。
【図13】本発明とともに用いるのに適している2区画型ディスペンサの断面図。
【図14】本発明とともに用いるのに適している2つのディスペンサの断面図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔ケア方法であって、
分配型口腔ケア器具から第1の組成物をユーザーの口腔に送出する第1の口腔ケア工程と、
前記口腔ケア器具から第2の組成物を前記ユーザーの口腔に送出する、前記第1の口腔ケア工程後の第2の口腔ケア工程と
を含む、口腔ケア方法。
【請求項2】
前記口腔ケア器具が電動歯ブラシを含み、前記方法が、各組成物の送出中に歯を前記電動歯ブラシの可動ヘッド部分に接触させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
送出される前記組成物の少なくとも1つの総体積を監視することと、この情報を用いて、次の口腔ケア工程中に追加の用量の組成物を送出するか否かを判断することとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の口腔ケア工程中に、前記第2の組成物に加えて前記第1の組成物を送出することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物の少なくとも1つが、計量済みの所定の用量で送出される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ハンドルと、
前記ハンドルから延びているネックと、
複数の洗浄用素子を支持し且つ前記ヘッドからの流体送出用の排出口を規定する上部を有するヘッドと、
2つ以上の構成成分を前記排出口まで送出するようになっている流体経路と、
起点から前記経路を通じて前記排出口まで前記構成成分のポンプ排出を行うようになっている送出器具と、
前記送出器具の動作を制御するようになっているコントローラとを備える、口腔ケアシステム。
【請求項7】
前記送出器具が2つ以上のポンプを備える、請求項6に記載の口腔ケアシステム。
【請求項8】
前記コントローラが、個々の前記ポンプの動作を独立して制御するようになっている、請求項6に記載の口腔ケアシステム。
【請求項9】
前記コントローラが時計機能を含む、請求項6に記載の口腔ケアシステム。
【請求項10】
前記コントローラが、計数機能を提供するようにプログラムされるようになっている、請求項6に記載の口腔ケアシステム。
【請求項11】
前記コントローラがマイクロプロセッサーを備える、請求項6に記載の口腔ケアシステム。
【請求項12】
2つの構成成分を含む口腔ケアシステムであって、前記第1の構成成分は銅イオン又はその前駆体を含み、前記第2の構成成分は亜塩素酸イオン又はその前駆体を含み、
前記第1の構成成分及び前記第2の構成成分が2つの別個の容器内に入るようになっている、口腔ケアシステム。
【請求項13】
前記2つの別個の容器が単一の口腔ケア器具内にある、請求項12に記載の口腔ケアシステム。
【請求項14】
前記第1の構成成分が、亜塩素酸イオン又はその前駆体を実質的に含まない、請求項12に記載の口腔ケアシステム。
【請求項15】
前記第2の構成成分が、銅イオン又はその前駆体を実質的に含まない、請求項12に記載の口腔ケアシステム。
【請求項16】
前記第2の構成成分において、亜塩素酸イオン又はその前駆体のモルが銅イオン又はその前駆体を上回っている、請求項12に記載の口腔ケアシステム。
【請求項17】
銅イオン又はその前駆体を含む第1の構成成分を投与することと、
亜塩素酸イオン又はその前駆体を含む第2の構成成分を投与することとを含み、
前記第1の構成成分と前記第2の構成成分とをユーザーの口内で組み合わせて組成物を形成するか、又はユーザーの口内に投与する直前に組み合わせる、口腔ケア組成物を投与する方法。
【請求項18】
前記第1の構成成分と前記第2の構成成分とを同時に投与する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
口腔ケア器具を含む口腔ケア方法であって、
前記口腔ケア器具が、
第1の区画と、前記第1の区画内に貯蔵されている、第1スズ塩を含む第1の構成成分、及び
第2の区画と、前記第2の区画内に貯蔵されている、過酸化物源を含む第2の構成成分を含み、前記第1の構成成分の後に前記第2の構成成分を分配する、口腔ケア方法。
【請求項20】
前記口腔ケア器具が、前記第1の区画と流体連通している第1の排出口と、前記第2の排出口と流体連通している第2の排出口とをさらに備える、請求項19に記載の口腔ケア方法。
【請求項21】
前記口腔ケア器具が、前記第1の排出口に付随の第1のポンプと、前記第2の排出口に付随の第2のポンプとをさらに備え、前記第1のポンプを用いて前記第1の構成成分をポンプ排出させ、前記第2のポンプを用いて前記第2の構成成分をポンプ排出させる、請求項20に記載の口腔ケア方法。
【請求項22】
口腔ケア器具を含む口腔ケア方法であって、
前記口腔ケア器具が、
第1の区画と、前記第1の区画内に貯蔵されている、第1スズ塩を含む第1の構成成分、及び
第2の区画と、前記第2の区画内に貯蔵されている、亜塩素酸塩源を含む第2の構成成分を含み、
前記第1の構成成分の後に前記第2の構成成分を分配する、口腔ケア方法。
【請求項23】
口腔ケア器具を含む口腔ケア方法であって、
前記口腔ケア器具が、
第1の区画と、前記第1の区画内に貯蔵されている、第1スズ塩を含む第1の構成成分、及び
第2の区画と、前記第2の区画内に貯蔵されている、ポリリン酸塩を含む第2の構成成分を含み、
前記第1の構成成分の後に前記第2の構成成分を分配する、口腔ケア方法。
【請求項24】
口腔ケア器具を含む口腔ケア方法であって、
前記口腔ケア器具が、
第1の区画と、前記第1の区画内に貯蔵されている、第1スズ塩を含む第1の構成成分、及び
第2の区画と、前記第2の区画内に貯蔵されている、過酸化物源と4級アンモニウム化合物とを含む第2の構成成分を含み、
前記第1の構成成分の後に前記第2の構成成分を分配する、口腔ケア方法。
【請求項25】
口腔ケア器具を含む口腔ケア方法であって、
前記口腔ケア器具が、
第1の区画と、前記第1の区画内に貯蔵されている、金属触媒を含む第1の構成成分、及び
第2の区画と、前記第2の区画内に貯蔵されている、過酸化物源を含む第2の構成成分を含み、
前記第1の構成成分の後に前記第2の構成成分を分配する、口腔ケア方法。
【請求項26】
口腔ケア器具を含む口腔ケア方法であって、
前記口腔ケア器具が、
第1の区画と、前記第1の区画内に貯蔵されている第1の構成成分であって、フッ化物源を含み且つpHは約2〜約7である、第1構成成分、及び
第2の区画と、前記第2の区画内に貯蔵されている第2の構成成分であって、pHは約7よりも大きい、第2の構成成分を含み、
前記第1の構成成分の後に前記第2の構成成分を分配する、口腔ケア方法。
【請求項27】
口腔ケア器具を含む口腔ケア方法であって、
前記口腔ケア器具が、
第1の区画と、前記第1の区画内に貯蔵されている、カルシウム源を含む第1の構成成分、及び
第2の区画と、前記第2の区画内に貯蔵されている、リン酸塩を含む第2の構成成分を含み、
前記第1の構成成分の後に前記第2の構成成分を分配する、口腔ケア方法。
【請求項28】
前記口腔ケア器具がパッケージの形態である、請求項27に記載の口腔ケア方法。
【請求項29】
第1スズ塩を含む第1の歯磨剤を貯蔵している第1の区画を備えている第1の口腔ケア器具と、
過酸化物源を含む第2の歯磨剤を貯蔵している第2の区画を備えている第2の口腔ケア器具と
を含む口腔ケア方法であって、
歯ブラシの上に前記第1の歯磨剤を分配することと、
前記第1の歯磨剤でブラッシングすることと、
前記第1の歯磨剤でブラッシングした後に、前記歯ブラシの上に前記第2の歯磨剤を分配することと、
前記第2の歯磨剤でブラッシングすることとを含み、
前記歯ブラシの上に前記第1の歯磨剤を分配してから約5分以内に、前記歯ブラシの上に前記第2の歯磨剤を分配する、口腔ケア方法。
【請求項1】
口腔ケア方法であって、
分配型口腔ケア器具から第1の組成物をユーザーの口腔に送出する第1の口腔ケア工程と、
前記口腔ケア器具から第2の組成物を前記ユーザーの口腔に送出する、前記第1の口腔ケア工程後の第2の口腔ケア工程と
を含む、口腔ケア方法。
【請求項2】
前記口腔ケア器具が電動歯ブラシを含み、前記方法が、各組成物の送出中に歯を前記電動歯ブラシの可動ヘッド部分に接触させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
送出される前記組成物の少なくとも1つの総体積を監視することと、この情報を用いて、次の口腔ケア工程中に追加の用量の組成物を送出するか否かを判断することとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の口腔ケア工程中に、前記第2の組成物に加えて前記第1の組成物を送出することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物の少なくとも1つが、計量済みの所定の用量で送出される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ハンドルと、
前記ハンドルから延びているネックと、
複数の洗浄用素子を支持し且つ前記ヘッドからの流体送出用の排出口を規定する上部を有するヘッドと、
2つ以上の構成成分を前記排出口まで送出するようになっている流体経路と、
起点から前記経路を通じて前記排出口まで前記構成成分のポンプ排出を行うようになっている送出器具と、
前記送出器具の動作を制御するようになっているコントローラとを備える、口腔ケアシステム。
【請求項7】
前記送出器具が2つ以上のポンプを備える、請求項6に記載の口腔ケアシステム。
【請求項8】
前記コントローラが、個々の前記ポンプの動作を独立して制御するようになっている、請求項6に記載の口腔ケアシステム。
【請求項9】
前記コントローラが時計機能を含む、請求項6に記載の口腔ケアシステム。
【請求項10】
前記コントローラが、計数機能を提供するようにプログラムされるようになっている、請求項6に記載の口腔ケアシステム。
【請求項11】
前記コントローラがマイクロプロセッサーを備える、請求項6に記載の口腔ケアシステム。
【請求項12】
2つの構成成分を含む口腔ケアシステムであって、前記第1の構成成分は銅イオン又はその前駆体を含み、前記第2の構成成分は亜塩素酸イオン又はその前駆体を含み、
前記第1の構成成分及び前記第2の構成成分が2つの別個の容器内に入るようになっている、口腔ケアシステム。
【請求項13】
前記2つの別個の容器が単一の口腔ケア器具内にある、請求項12に記載の口腔ケアシステム。
【請求項14】
前記第1の構成成分が、亜塩素酸イオン又はその前駆体を実質的に含まない、請求項12に記載の口腔ケアシステム。
【請求項15】
前記第2の構成成分が、銅イオン又はその前駆体を実質的に含まない、請求項12に記載の口腔ケアシステム。
【請求項16】
前記第2の構成成分において、亜塩素酸イオン又はその前駆体のモルが銅イオン又はその前駆体を上回っている、請求項12に記載の口腔ケアシステム。
【請求項17】
銅イオン又はその前駆体を含む第1の構成成分を投与することと、
亜塩素酸イオン又はその前駆体を含む第2の構成成分を投与することとを含み、
前記第1の構成成分と前記第2の構成成分とをユーザーの口内で組み合わせて組成物を形成するか、又はユーザーの口内に投与する直前に組み合わせる、口腔ケア組成物を投与する方法。
【請求項18】
前記第1の構成成分と前記第2の構成成分とを同時に投与する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
口腔ケア器具を含む口腔ケア方法であって、
前記口腔ケア器具が、
第1の区画と、前記第1の区画内に貯蔵されている、第1スズ塩を含む第1の構成成分、及び
第2の区画と、前記第2の区画内に貯蔵されている、過酸化物源を含む第2の構成成分を含み、前記第1の構成成分の後に前記第2の構成成分を分配する、口腔ケア方法。
【請求項20】
前記口腔ケア器具が、前記第1の区画と流体連通している第1の排出口と、前記第2の排出口と流体連通している第2の排出口とをさらに備える、請求項19に記載の口腔ケア方法。
【請求項21】
前記口腔ケア器具が、前記第1の排出口に付随の第1のポンプと、前記第2の排出口に付随の第2のポンプとをさらに備え、前記第1のポンプを用いて前記第1の構成成分をポンプ排出させ、前記第2のポンプを用いて前記第2の構成成分をポンプ排出させる、請求項20に記載の口腔ケア方法。
【請求項22】
口腔ケア器具を含む口腔ケア方法であって、
前記口腔ケア器具が、
第1の区画と、前記第1の区画内に貯蔵されている、第1スズ塩を含む第1の構成成分、及び
第2の区画と、前記第2の区画内に貯蔵されている、亜塩素酸塩源を含む第2の構成成分を含み、
前記第1の構成成分の後に前記第2の構成成分を分配する、口腔ケア方法。
【請求項23】
口腔ケア器具を含む口腔ケア方法であって、
前記口腔ケア器具が、
第1の区画と、前記第1の区画内に貯蔵されている、第1スズ塩を含む第1の構成成分、及び
第2の区画と、前記第2の区画内に貯蔵されている、ポリリン酸塩を含む第2の構成成分を含み、
前記第1の構成成分の後に前記第2の構成成分を分配する、口腔ケア方法。
【請求項24】
口腔ケア器具を含む口腔ケア方法であって、
前記口腔ケア器具が、
第1の区画と、前記第1の区画内に貯蔵されている、第1スズ塩を含む第1の構成成分、及び
第2の区画と、前記第2の区画内に貯蔵されている、過酸化物源と4級アンモニウム化合物とを含む第2の構成成分を含み、
前記第1の構成成分の後に前記第2の構成成分を分配する、口腔ケア方法。
【請求項25】
口腔ケア器具を含む口腔ケア方法であって、
前記口腔ケア器具が、
第1の区画と、前記第1の区画内に貯蔵されている、金属触媒を含む第1の構成成分、及び
第2の区画と、前記第2の区画内に貯蔵されている、過酸化物源を含む第2の構成成分を含み、
前記第1の構成成分の後に前記第2の構成成分を分配する、口腔ケア方法。
【請求項26】
口腔ケア器具を含む口腔ケア方法であって、
前記口腔ケア器具が、
第1の区画と、前記第1の区画内に貯蔵されている第1の構成成分であって、フッ化物源を含み且つpHは約2〜約7である、第1構成成分、及び
第2の区画と、前記第2の区画内に貯蔵されている第2の構成成分であって、pHは約7よりも大きい、第2の構成成分を含み、
前記第1の構成成分の後に前記第2の構成成分を分配する、口腔ケア方法。
【請求項27】
口腔ケア器具を含む口腔ケア方法であって、
前記口腔ケア器具が、
第1の区画と、前記第1の区画内に貯蔵されている、カルシウム源を含む第1の構成成分、及び
第2の区画と、前記第2の区画内に貯蔵されている、リン酸塩を含む第2の構成成分を含み、
前記第1の構成成分の後に前記第2の構成成分を分配する、口腔ケア方法。
【請求項28】
前記口腔ケア器具がパッケージの形態である、請求項27に記載の口腔ケア方法。
【請求項29】
第1スズ塩を含む第1の歯磨剤を貯蔵している第1の区画を備えている第1の口腔ケア器具と、
過酸化物源を含む第2の歯磨剤を貯蔵している第2の区画を備えている第2の口腔ケア器具と
を含む口腔ケア方法であって、
歯ブラシの上に前記第1の歯磨剤を分配することと、
前記第1の歯磨剤でブラッシングすることと、
前記第1の歯磨剤でブラッシングした後に、前記歯ブラシの上に前記第2の歯磨剤を分配することと、
前記第2の歯磨剤でブラッシングすることとを含み、
前記歯ブラシの上に前記第1の歯磨剤を分配してから約5分以内に、前記歯ブラシの上に前記第2の歯磨剤を分配する、口腔ケア方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2009−518066(P2009−518066A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543486(P2008−543486)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/045998
【国際公開番号】WO2007/064885
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(593093249)ザ ジレット カンパニー (349)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/045998
【国際公開番号】WO2007/064885
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(593093249)ザ ジレット カンパニー (349)
【Fターム(参考)】
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