口腔ケア装置
【課題】 電気的反発力によって歯面からステインを引き離し、且つ、ステインを電気的吸引力によってブラシ部に強力に引き付けることのできる口腔ケア装置を提供する。
【解決手段】 電源を内蔵した把持部１と、これに接続されるブラシ部２とで主体を成し、把持部１に配置した把持部電極１０と、ブラシ部２に配置した複数のブラシ部電極１２と、把持部電極１０および複数のブラシ部電極１２の間での通電状態を切り替える切替制御回路とを具備した口腔ケア装置とする。上記切替制御回路は、把持部電極１０とブラシ部電極１２の間で微小電流を通電する身体通電モードと、複数のブラシ部電極１２間で微小電流を通電させる口腔液通電モードとを切り替える。
【解決手段】 電源を内蔵した把持部１と、これに接続されるブラシ部２とで主体を成し、把持部１に配置した把持部電極１０と、ブラシ部２に配置した複数のブラシ部電極１２と、把持部電極１０および複数のブラシ部電極１２の間での通電状態を切り替える切替制御回路とを具備した口腔ケア装置とする。上記切替制御回路は、把持部電極１０とブラシ部電極１２の間で微小電流を通電する身体通電モードと、複数のブラシ部電極１２間で微小電流を通電させる口腔液通電モードとを切り替える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、口腔ケア装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
歯に付着したステインを効率的に除去するため、ブラシ部にマイナス電極を配置し、把持部にプラス電極を配置した口腔ケア装置が従来から知られている（例えば特許文献１参照）。これは、ステインがプラスに帯電する性質を利用したもので、電極間の通電により歯面をプラス帯電させることでステインと歯面の間には電気的反発力を作用させ、ステインとブラシ部との間には電気的吸引力を発生させるようになっている。
【０００３】
しかし、上記従来の口腔ケア装置においては、ステインをブラシ部に引き付ける電気的吸引力が弱いという問題がある。というのも、上記従来の口腔ケア装置の通電は、把持部をつかんだ手から身体を通って歯面にまで電流を流すものであり、身体をいったん経由するので、口腔内に強力な電界を形成しにくいのである。
【０００４】
これに対し、口腔内に強力な電界を形成するには、ブラシ部にプラス電極とマイナス電極を隣接配置し、口腔内液を通じて電極間で通電を行うといった方式が考えられる。上記方式によれば、マイナス電極にてステインを強力に吸引することができる。しかし、この場合には、上記従来の口腔ケア装置のように歯面をプラス帯電させ、歯面とステインとの間に電気的反発力を発生させることができないという問題がある。
【特許文献１】特公昭４８−２７３０９０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
本発明は上記問題点に鑑みて発明したものであって、電気的反発力によって歯面からステインを引き離し、且つ、ステインを電気的吸引力によってブラシ部に強力に引き付けることのできる口腔ケア装置を提供することを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記課題を解決するための本発明は、電源４を内蔵した把持部１と、これに接続されるブラシ部２とで主体を成し、把持部１に配置した把持部電極１０と、ブラシ部２に配置した複数のブラシ部電極１２と、把持部電極１０および複数のブラシ部電極１２の間での通電状態を切り替える切替制御回路２５とを具備した口腔ケア装置である。上記切替制御回路２５は、把持部電極１０とブラシ部電極１２の間で微小電流を通電する身体通電モードと、複数のブラシ部電極１２間で微小電流を通電させる口腔液通電モードとを切り替える。
【０００７】
このような口腔ケア装置とすることで、身体通電モードでは通電により歯面をプラス帯電させ、ステインと歯面の間に電気的反発力を作用させてステインを歯面から剥離させるとともに、ステインとブラシ部電極１２との間には電気的吸引力を発生させることができる。そして、口腔液通電モードでは、近接するブラシ部電極１２間において通電を行い、身体通電モードの場合よりも強力な電界を、少ない消費電力で口腔内に形成して、マイナス電極となる側のブラシ部電極１２にステインを強力に吸引することができる。
【０００８】
また、上記切替制御回路２５は、口腔液通電モードで互いに異極に設定した両方のブラシ部電極１２を、身体通電モードでは共に把持部電極１０とは異極に設定するものであることが好適である。このようにすることで、複数設けてあるブラシ部電極１２を、口腔液通電モードと身体通電モードの両方において有効活用し、広範な範囲でステインを除去することができる。
【０００９】
また、上記切替制御回路２５は、身体通電モードと口腔液通電モードとを周期的に切り替えるものであることも好適である。このようにすることで、歯面からステインを剥離させることと、ステインをブラシ部２側に強力に吸引することを周期的に行い、歯に付着したステインを効率的に且つ容易に除去することができる。
【００１０】
また、把持部１とこれに対して着脱自在であるブラシ部２との電気接続手段は、把持部１から突設した導電性のシャフト６と、ブラシ部２に配置した第一および第二の金属弾性板２２，２３とから成ることが好適である。このときシャフト６には、第一の金属弾性板２２に弾接する第一導電部１４と、第二の金属弾性板２３に弾接する第二導電部１６とを、絶縁層１５を介して設ける。このようにすることで、ブラシ部２にシャフト６を挿入するだけで、把持部１に対してブラシ部２を機械的に且つ電気的に接続することができる。
【００１１】
また、把持部１とこれに対して着脱自在であるブラシ部２との電気接続手段は、把持部１から突設した導電性のシャフト６とこれに弾接するようにブラシ部２に配置した金属弾性板３０とから成る接触通電手段Ａと、把持部１およびブラシ部２に配置したコイル３１，３２から成る電磁誘導方式の非接触通電手段Ｂとから成るものであってもよい。このようにすることで、ブラシ部２にシャフト６を挿入するだけで、把持部１に対してブラシ部２を機械的に且つ電気的に接続することができる。
【００１２】
また、ブラシ部２には、口腔液通電モードにて通電される複数のブラシ部電極１２に挟まれる位置に、絶縁体から成る壁状の突起物４０を設けていることが好適である。このようにすることで、複数のブラシ部電極１２自体は近接配置して強力に電界を発生させ、且つ、通電路はある程度迂回させて距離を確保することができる。これにより、ステインを強力に且つ広範囲で引き付けることができる。
【発明の効果】
【００１３】
請求項１に係る発明は、電気的反発力によって歯面からステインを引き離すことと、ステインを電気的吸引力によってブラシ部に強力に引き付けることを両立でき、結果としてステインを高効率で除去できるという効果を奏する。
【００１４】
また請求項２に係る発明は、請求項１に係る発明の効果に加えて、複数設けてあるブラシ部電極を、口腔液通電モードと身体通電モードの両方において有効活用し、結果としてステインを更に高効率で除去できるという効果を奏する。
【００１５】
また請求項３に係る発明は、請求項１又は２に係る発明の効果に加えて、歯面からステインを剥離させることと、ステインをブラシ部側に強力に吸引することを周期的に行うことができ、結果として、歯に付着したステインが効率的に且つ容易に除去されるようになるといった効果を奏する。
【００１６】
また請求項４に係る発明は、請求項１〜３のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、ブラシ部にシャフトを挿入するだけで、把持部に対してブラシ部を機械的に且つ電気的に接続することができ、ブラシ部の着脱が容易になるとともに、口腔ケア装置全体がコンパクト化されるという効果を奏する。
【００１７】
また請求項５に係る発明は、請求項１〜３のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、ブラシ部にシャフトを挿入するだけで、把持部に対してブラシ部を機械的に且つ電気的に接続することができ、ブラシ部の着脱が容易になるとともに、口腔ケア装置全体がコンパクト化されるという効果を奏する。
【００１８】
また請求項６に係る発明は、請求項１〜５のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、複数のブラシ部電極間の通電路をある程度迂回させて距離を確保し、ステインが広範囲で引き付けられるようにできるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１９】
本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。図１〜図６には、本発明の実施形態における一例の口腔ケア装置を示している。本例の口腔ケア装置は電動歯ブラシであって、図１、図２に示すように、使用者が片手でつかむことのできる把持部１と、この把持部１の先端に着脱自在に装着されるブラシ部２とで主体を成している。
【００２０】
把持部１は、円筒形の把持部ハウジング３を有し、電池から成る電源４と、電源４から供給される電力によって駆動されるアクチュエータ５と、アクチュエータ５により軸方向に往復駆動される円柱状のシャフト６とを内蔵している。シャフト６はその先端部を把持部１の先端面から突出させており、該シャフト６を介してブラシ部２が着脱自在に装着される。把持部ハウジング３とシャフト６の間には、防水用のパッキン２０を配している。また、ブラシ部２に基端面に形成してあるシャフト６挿入用の開口部にも、防水用のパッキン２１を配している。
【００２１】
なお、本例のようなアクチュエータ５を備えず、シャフト６を往復動させない構造としてもよい。この場合であっても、シャフト６を介して、ブラシ部２は把持部１に対して電気的および機械的に接続される。
【００２２】
把持部ハウジング３の正面側には、電源のオンオフを行う電源スイッチ７と、動作状況を切り替える切替スイッチ８と、現在の動作状況をＬＥＤランプの点灯で表示する表示部９とを配置している。ここでの正面側とは、使用時に使用者側を向く側のことであり、より具体的には、ブラシ部２から後述のブラシ毛１１が突出する側である。
【００２３】
また、把持部ハウジング３の背面側には、把持部電極１０を配置している。図中の符号１３は、把持部１に内蔵した制御部である。
【００２４】
ブラシ部２には、その上部正面に多数のブラシ毛１１を植設している。ブラシ毛１１は樹脂製であり、先端を押し当てることで歯面を刷掃するようになっている。なお、ブラシ毛１１の先端を歯茎に押し当ててマッサージを施すように設けてもよく、この場合、本例の口腔ケア装置は歯茎マッサージ機として利用できる。
【００２５】
ブラシ部２の上部背面には、ブラシ部電極１２を一対配置している。以下においては、一対のうち先端側に位置するほうをブラシ部電極１２ａ、基端側に位置するほうをブラシ部電極１２ｂとする。
【００２６】
把持部１側に配置してある電源４と、ブラシ部２側に配してある一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂとは、導電性のシャフト６を介して電気的に接続させている。シャフト６は図５に概略的に示すような三層構造を有しており、導電性材料を用いて円柱状に形成した中央の第一導電部１４と、該第一導電部１４の外周面を覆うように樹脂で円筒状に形成した絶縁層１５と、該絶縁層１５の外周面を覆うように導電性材料で円筒状に形成した最外層の第二導電部１６とから成る。
【００２７】
シャフト６の基端部は、把持部１に内蔵してある接点台１７内に弾接させて電気的に接続させてある。図４にも拡大して示すように、接点台１７には、把持部１側の第一および第二の金属弾性板１８，１９が配置してある。シャフト６の基端部においては外層側の第二導電部１６よりも中央の第一導電部１４を突出させており、シャフト６の往復動に関わらず常に第一の金属弾性板１８が中央の第一導電部１４と弾接し、最外層の第二導電部１６が第二の金属弾性板１９と弾接するようになっている。
【００２８】
シャフト６の先端部においても、第二導電部１６よりも第一導電部１４を更に突出した位置にまで設けている（図２、図３参照）。ブラシ部２内には、ブラシ部２側の第一および第二の金属弾性板２２，２３を配置している。第一の金属弾性板２２は、一端側をブラシ部電極１２ａに接続させ、他端側を中央の第一導電部１４に弾接させている。第二の金属弾性板２３は、一端側をブラシ部電極１２ｂに接続させ、他端側を外層側の第二導電部１６に弾接させている。
【００２９】
上記各構成（つまり、ブラシ部２側に配置した第一および第二の金属弾性板２２，２３と、シャフト６に形成した第一および第二導電部１４，１６と、把持部１側に配置した第一および第二の金属弾性板１８，１９）によって、ブラシ部２の背面に配置してある一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂはそれぞれ把持部１内の回路に電気接続される。図６には、ブラシ部２を把持部１に装着した状態での口腔ケア装置全体の切替制御回路２５を示している。図中に示す接続部分２６が、上記各構成から成る電気接続手段である。
【００３０】
切替制御回路２５は、把持部１側の電源４および把持部電極１０と、ブラシ部２側の一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂとを、オンオフスイッチ２７や切替スイッチ２８を介して電気的に接続させたものである。この切替制御回路２５は、両スイッチ２７，２８を切り替えることで、図６（ａ）の通電モードと図６（ｂ）の通電モードとを速やかに切り替える。
【００３１】
図６（ａ）の通電モードは、把持部電極１０と一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂの間で微小電流を通電する身体通電モードである。この身体通電モードにおいては、電源４のマイナス側にオンオフスイッチ２７やシャフト６を介して一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂが接続され、電源４のプラス側に切替スイッチ２８を介して把持部電極１０が接続される。つまり、把持部１をつかむ使用者の手のひらと接触する把持部電極１０がプラス極、使用者の唾液や水分等から成る口腔液に接触する一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂがマイナス極となるように電圧が印加され、使用者の身体を通じて微小電流が通電される。
【００３２】
身体通電モードでは、通電により歯面をプラス帯電させることができ、上記した従来の口腔ケア装置と同様に、ステインと歯面の間に電気的反発力を作用させ、ステインを歯面から剥離させることができる。また、ステインとブラシ部電極１２ａ，１２ｂとの間には電気的吸引力を発生させることができる。
【００３３】
図６（ｂ）の通電モードは、一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂの間で微小電流を通電する口腔液通電モードである。この口腔液通電モードにおいては、電源４のマイナス側にシャフト６を介して一方のブラシ部電極１２ａが接続され、電源４のプラス側には、切替スイッチ２８やシャフト６を介して他方のブラシ部電極１２ｂが接続される。つまり、使用者の口腔液と接触する一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂがプラス極とマイナス極となるように電圧が印加され、使用者の口腔内において口腔液を通じて微小電流が通電される。
【００３４】
口腔液通電モードでは、近接するブラシ部電極１２ａ，１２ｂ間において通電を行い、身体通電モードの場合よりも強力な電界を口腔内に形成することができる。これにより、マイナス電極となるブラシ部電極１２ａでは、歯面から剥離したプラス帯電のステインを強力に吸引することができる。
【００３５】
そして、本例の口腔ケア装置にあっては、制御部１３により各スイッチ２７，２８を切り替え制御することによって、身体通電モードと口腔液通電モードとが周期的に切り替わるようになっている。具体的には、例えば１０秒ごとに通電モードが自動的に切り替わるように設ける。これにより、歯面からステインを剥離させることと、ステインをブラシ部２側に強力に吸引することを両立でき、歯に付着したステインの効率的な除去が可能となる。
【００３６】
しかも、本例の口腔ケア装置によれば、口腔液通電モードにおいてプラス電極として利用するブラシ部電極１２ｂを、身体通電モードにおいてはマイナス電極として利用できる。これにより、身体通電モードにおいては複数のマイナス電極を利用して、歯面から高効率でステインを剥離させることが可能となる。
【００３７】
なお、身体通電モードと口腔液通電モードの切り替えについては、手動で切り替え操作可能に設けてあってもよい。具体的には、例えば初期に切替スイッチ８を操作した状態では、身体通電モードと口腔液通電モードを１０秒ごとに自動的に切り替え、切替スイッチ８をもう一度操作すると身体通電モードを維持したまま使用でき、切替スイッチ８をもう一度操作すると口腔液通電モードを維持したまま使用できる、といった制御が考えられる。身体通電モードを維持した場合には、歯面が常にプラスに帯電するためフッ素導入を行うための使用に適している。また、口腔液通電モードを維持した場合には、唾液中のステインを効率よく除去できるため、ステインが付着しやすい商品や飲料を口にした後に使用するために適している。
【００３８】
次に、本発明の実施形態における他例の口腔ケア装置について、図７、図８に基づいて説明する。なお、本例の基本的な構成は一例の構成と同様であるから、一例と同様の構成については詳しい説明を省略し、一例とは相違する特徴的な構成についてのみ以下に詳述する。
【００３９】
本例の口腔ケア装置では、把持部１とブラシ部２との電気接続手段や、この電気接続手段を含む切替制御回路２５の構成が一例とは相違している。
【００４０】
本例の電気接続手段は、接触通電手段Ａと、電磁誘導方式の非接触通電手段Ｂとで構成される。接触通電手段Ａは、把持部１から突設した単一の導電部であるシャフト６と、これに弾接するようにブラシ部２内に配置した金属弾性板３０とから成る。非接触通電手段Ｂは、把持部１内およびブラシ部２内にて互いに対向するように配置したコイル３１，３２から成る。
【００４１】
図７に示すように、ブラシ部２内に配置した金属弾性板３０は、一端側をブラシ部電極１２ａに接続させて設けるとともに、他端側を、開口部を通じてブラシ部２内に挿入されたシャフト６の先端部と弾接するように設けている。また、ブラシ部２側のコイル３２は、その中央空間内にシャフト６が挿通されるように配置している。
【００４２】
コイル３２の一端側には、電気配線３３と金属弾性板３０を介してブラシ部電極１２ａを接続させており、該コイル３２の他端側には、電気配線３４を介してブラシ部電極１２ｂを接続させている。
【００４３】
把持部１側に内蔵したコイル３１は、その中央空間を通じてシャフト６が往復駆動されるように配置している。シャフト６の基端部は、把持部１に内蔵してある接点台１７内に弾接させて電気的に接続させてある。接点台１７には金属弾性板３５を配置しており、シャフト６の往復動に関わらず常に金属弾性板３５がシャフト６と弾接するようになっている。
【００４４】
図８に示すように、把持部１側の回路には、オンオフスイッチ３６と切替スイッチ３７を設けており、両スイッチ３６，３７の切り替えによって、図８（ａ）に示す回路と図８（ｂ）に示す回路とが切り替えられる。図８（ａ）に示す把持部１側の回路は、電源４のマイナス側にコイル３１を介してシャフト６が接続され、電源４のプラス側に把持部電極１０が接続される回路である。図８（ｂ）に示す把持部１側の回路は、電源４とコイル３１をつなぐ閉回路である。
【００４５】
そして、ブラシ部２を装着した状態での口腔ケア装置全体の切替制御回路２５においては、両スイッチ３６，３７の切り替えにより、図８（ａ）の身体通電モードと図８（ｂ）の口腔液通電モードとが速やかに切り替えられる。
【００４６】
図８（ａ）の身体通電モードにおいては、導電性のシャフト６を通じて把持部電極１０と一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂとがつながれた回路となる。具体的には、電源４のマイナス側にコイル３１、オンオフスイッチ３６およびシャフト６を介して一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂが接続され、電源４のプラス側に、切替スイッチ３７を介して把持部電極１０が接続された回路となる。
【００４７】
上記回路での通電により、一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂをマイナス電極、把持部電極１０をプラス電極として、歯面をプラス帯電させてステインを剥離させることができる。また、ステインとブラシ部電極１２ａ，１２ｂとの間には電気的吸引力を発生させることができる。
【００４８】
図８（ｂ）の口腔液通電モードにおいては、把持部１内の閉回路内にてコイル３１に通電を行い、電磁誘導によってブラシ部２内のコイル３２に電流を発生させる。これにより、コイル３２に接続されるブラシ部電極１２ａ，１２ｂはプラス電極とマイナス電極になり、使用者の口腔内において口腔液を通じて微小電流が通電される。
【００４９】
次に、本発明の実施形態における更に他例の口腔ケア装置について図９に基づいて説明する。なお、本例の基本的な構成は一例や他例の構成と同様である。以下においては、一例や他例と同様の構成については詳しい説明を省略し、一例や他例とは相違する特徴的な構成についてのみ詳述する。
【００５０】
本例の口腔ケア装置では、一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂの配置や、ブラシ部電極１２ａ，１２ｂ間に後述の突起物４０を設けてある点において、一例や他例とは相違している。
【００５１】
具体的に述べると、本例の一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂは、ブラシ部２の上部正面において多数植設してあるブラシ毛１１を挟む位置に配置してある。つまり、ブラシ毛１１を植設してある領域より先端側にブラシ部電極１２ａを配置し、該領域より基端側にブラシ部電極１２ｂを配置している。そして、ブラシ毛１１を植設してある領域の中央部分には、絶縁性の弾性体から成る壁状の突起物４０を設けている。突起物４０は、ブラシ毛１１よりも正面側への突出量を抑えてある。
【００５２】
上記構成から成る本例の口腔ケア装置によれば、口腔液通電モードにおいて一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂ間に生じる通電路を、突起物４０を迂回した形で発生させることができる。つまり、一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂ自体は近接配置して強力に電界を発生させ、且つ、通電路はある程度迂回させて距離を確保することによって、口腔液中に含まれるプラス帯電のステインを広範囲でマイナス電極側に引き寄せることが可能になっている。
【００５３】
ところで、上記した各実施例においてはブラシ部電極１２を一対だけ設けた構成になっているが、ブラシ部電極１２を３以上設けてあってもよい（即ち、ブラシ部電極１２は少なくとも一対備えることが必要である）。その場合であっても、口腔液通電モードでプラス極に設定したほうのブラシ部電極１２とマイナス極に設定したほうのブラシ部電極１２の両方が、身体通電モードでは共にマイナス極となるように設ける。これにより、複数設けてあるブラシ部電極１２を、口腔液通電モードと身体通電モードの両方において有効活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【００５４】
【図１】本発明の実施形態における一例の口腔ケア装置を示し、（ａ）は全体正面図、（ｂ）は全体側面図である。
【図２】同上の口腔ケア装置の内部構造を示す概略側断面図である。
【図３】図３の要部拡大図である。
【図４】図３の他の要部拡大図である。
【図５】同上の口腔ケア装置に備えたシャフトの断面を示す斜視図である。
【図６】同上の口腔ケア装置の概略回路図であり、（ａ）は身体通電モード時、（ｂ）は口腔液通電モード時である。
【図７】本発明の実施形態における他例の口腔ケア装置の主要部分の内部構造を示す概略断面図である。
【図８】同上の口腔ケア装置の概略回路図であり、（ａ）は身体通電モード時、（ｂ）は口腔液通電モード時である。
【図９】本発明の実施形態における更に他例の口腔ケア装置の主要部分の内部構造を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【００５５】
１ 把持部
２ ブラシ部
４ 電源
６ シャフト
１０ 把持部電極
１２ ブラシ部電極
１４ 第一導電部
１５ 絶縁層
１６ 第二導電部
２２ 第一の金属弾性板
２３ 第二の金属弾性板
２５ 切替制御回路
３０ 金属弾性板
３１ コイル
３２ コイル
３５ 金属弾性板
３６ オンオフスイッチ
３７ 切替スイッチ
４０ 突起物
Ａ 接触通電手段
Ｂ 非接触通電手段
【技術分野】
【０００１】
本発明は、口腔ケア装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
歯に付着したステインを効率的に除去するため、ブラシ部にマイナス電極を配置し、把持部にプラス電極を配置した口腔ケア装置が従来から知られている（例えば特許文献１参照）。これは、ステインがプラスに帯電する性質を利用したもので、電極間の通電により歯面をプラス帯電させることでステインと歯面の間には電気的反発力を作用させ、ステインとブラシ部との間には電気的吸引力を発生させるようになっている。
【０００３】
しかし、上記従来の口腔ケア装置においては、ステインをブラシ部に引き付ける電気的吸引力が弱いという問題がある。というのも、上記従来の口腔ケア装置の通電は、把持部をつかんだ手から身体を通って歯面にまで電流を流すものであり、身体をいったん経由するので、口腔内に強力な電界を形成しにくいのである。
【０００４】
これに対し、口腔内に強力な電界を形成するには、ブラシ部にプラス電極とマイナス電極を隣接配置し、口腔内液を通じて電極間で通電を行うといった方式が考えられる。上記方式によれば、マイナス電極にてステインを強力に吸引することができる。しかし、この場合には、上記従来の口腔ケア装置のように歯面をプラス帯電させ、歯面とステインとの間に電気的反発力を発生させることができないという問題がある。
【特許文献１】特公昭４８−２７３０９０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
本発明は上記問題点に鑑みて発明したものであって、電気的反発力によって歯面からステインを引き離し、且つ、ステインを電気的吸引力によってブラシ部に強力に引き付けることのできる口腔ケア装置を提供することを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記課題を解決するための本発明は、電源４を内蔵した把持部１と、これに接続されるブラシ部２とで主体を成し、把持部１に配置した把持部電極１０と、ブラシ部２に配置した複数のブラシ部電極１２と、把持部電極１０および複数のブラシ部電極１２の間での通電状態を切り替える切替制御回路２５とを具備した口腔ケア装置である。上記切替制御回路２５は、把持部電極１０とブラシ部電極１２の間で微小電流を通電する身体通電モードと、複数のブラシ部電極１２間で微小電流を通電させる口腔液通電モードとを切り替える。
【０００７】
このような口腔ケア装置とすることで、身体通電モードでは通電により歯面をプラス帯電させ、ステインと歯面の間に電気的反発力を作用させてステインを歯面から剥離させるとともに、ステインとブラシ部電極１２との間には電気的吸引力を発生させることができる。そして、口腔液通電モードでは、近接するブラシ部電極１２間において通電を行い、身体通電モードの場合よりも強力な電界を、少ない消費電力で口腔内に形成して、マイナス電極となる側のブラシ部電極１２にステインを強力に吸引することができる。
【０００８】
また、上記切替制御回路２５は、口腔液通電モードで互いに異極に設定した両方のブラシ部電極１２を、身体通電モードでは共に把持部電極１０とは異極に設定するものであることが好適である。このようにすることで、複数設けてあるブラシ部電極１２を、口腔液通電モードと身体通電モードの両方において有効活用し、広範な範囲でステインを除去することができる。
【０００９】
また、上記切替制御回路２５は、身体通電モードと口腔液通電モードとを周期的に切り替えるものであることも好適である。このようにすることで、歯面からステインを剥離させることと、ステインをブラシ部２側に強力に吸引することを周期的に行い、歯に付着したステインを効率的に且つ容易に除去することができる。
【００１０】
また、把持部１とこれに対して着脱自在であるブラシ部２との電気接続手段は、把持部１から突設した導電性のシャフト６と、ブラシ部２に配置した第一および第二の金属弾性板２２，２３とから成ることが好適である。このときシャフト６には、第一の金属弾性板２２に弾接する第一導電部１４と、第二の金属弾性板２３に弾接する第二導電部１６とを、絶縁層１５を介して設ける。このようにすることで、ブラシ部２にシャフト６を挿入するだけで、把持部１に対してブラシ部２を機械的に且つ電気的に接続することができる。
【００１１】
また、把持部１とこれに対して着脱自在であるブラシ部２との電気接続手段は、把持部１から突設した導電性のシャフト６とこれに弾接するようにブラシ部２に配置した金属弾性板３０とから成る接触通電手段Ａと、把持部１およびブラシ部２に配置したコイル３１，３２から成る電磁誘導方式の非接触通電手段Ｂとから成るものであってもよい。このようにすることで、ブラシ部２にシャフト６を挿入するだけで、把持部１に対してブラシ部２を機械的に且つ電気的に接続することができる。
【００１２】
また、ブラシ部２には、口腔液通電モードにて通電される複数のブラシ部電極１２に挟まれる位置に、絶縁体から成る壁状の突起物４０を設けていることが好適である。このようにすることで、複数のブラシ部電極１２自体は近接配置して強力に電界を発生させ、且つ、通電路はある程度迂回させて距離を確保することができる。これにより、ステインを強力に且つ広範囲で引き付けることができる。
【発明の効果】
【００１３】
請求項１に係る発明は、電気的反発力によって歯面からステインを引き離すことと、ステインを電気的吸引力によってブラシ部に強力に引き付けることを両立でき、結果としてステインを高効率で除去できるという効果を奏する。
【００１４】
また請求項２に係る発明は、請求項１に係る発明の効果に加えて、複数設けてあるブラシ部電極を、口腔液通電モードと身体通電モードの両方において有効活用し、結果としてステインを更に高効率で除去できるという効果を奏する。
【００１５】
また請求項３に係る発明は、請求項１又は２に係る発明の効果に加えて、歯面からステインを剥離させることと、ステインをブラシ部側に強力に吸引することを周期的に行うことができ、結果として、歯に付着したステインが効率的に且つ容易に除去されるようになるといった効果を奏する。
【００１６】
また請求項４に係る発明は、請求項１〜３のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、ブラシ部にシャフトを挿入するだけで、把持部に対してブラシ部を機械的に且つ電気的に接続することができ、ブラシ部の着脱が容易になるとともに、口腔ケア装置全体がコンパクト化されるという効果を奏する。
【００１７】
また請求項５に係る発明は、請求項１〜３のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、ブラシ部にシャフトを挿入するだけで、把持部に対してブラシ部を機械的に且つ電気的に接続することができ、ブラシ部の着脱が容易になるとともに、口腔ケア装置全体がコンパクト化されるという効果を奏する。
【００１８】
また請求項６に係る発明は、請求項１〜５のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、複数のブラシ部電極間の通電路をある程度迂回させて距離を確保し、ステインが広範囲で引き付けられるようにできるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１９】
本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。図１〜図６には、本発明の実施形態における一例の口腔ケア装置を示している。本例の口腔ケア装置は電動歯ブラシであって、図１、図２に示すように、使用者が片手でつかむことのできる把持部１と、この把持部１の先端に着脱自在に装着されるブラシ部２とで主体を成している。
【００２０】
把持部１は、円筒形の把持部ハウジング３を有し、電池から成る電源４と、電源４から供給される電力によって駆動されるアクチュエータ５と、アクチュエータ５により軸方向に往復駆動される円柱状のシャフト６とを内蔵している。シャフト６はその先端部を把持部１の先端面から突出させており、該シャフト６を介してブラシ部２が着脱自在に装着される。把持部ハウジング３とシャフト６の間には、防水用のパッキン２０を配している。また、ブラシ部２に基端面に形成してあるシャフト６挿入用の開口部にも、防水用のパッキン２１を配している。
【００２１】
なお、本例のようなアクチュエータ５を備えず、シャフト６を往復動させない構造としてもよい。この場合であっても、シャフト６を介して、ブラシ部２は把持部１に対して電気的および機械的に接続される。
【００２２】
把持部ハウジング３の正面側には、電源のオンオフを行う電源スイッチ７と、動作状況を切り替える切替スイッチ８と、現在の動作状況をＬＥＤランプの点灯で表示する表示部９とを配置している。ここでの正面側とは、使用時に使用者側を向く側のことであり、より具体的には、ブラシ部２から後述のブラシ毛１１が突出する側である。
【００２３】
また、把持部ハウジング３の背面側には、把持部電極１０を配置している。図中の符号１３は、把持部１に内蔵した制御部である。
【００２４】
ブラシ部２には、その上部正面に多数のブラシ毛１１を植設している。ブラシ毛１１は樹脂製であり、先端を押し当てることで歯面を刷掃するようになっている。なお、ブラシ毛１１の先端を歯茎に押し当ててマッサージを施すように設けてもよく、この場合、本例の口腔ケア装置は歯茎マッサージ機として利用できる。
【００２５】
ブラシ部２の上部背面には、ブラシ部電極１２を一対配置している。以下においては、一対のうち先端側に位置するほうをブラシ部電極１２ａ、基端側に位置するほうをブラシ部電極１２ｂとする。
【００２６】
把持部１側に配置してある電源４と、ブラシ部２側に配してある一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂとは、導電性のシャフト６を介して電気的に接続させている。シャフト６は図５に概略的に示すような三層構造を有しており、導電性材料を用いて円柱状に形成した中央の第一導電部１４と、該第一導電部１４の外周面を覆うように樹脂で円筒状に形成した絶縁層１５と、該絶縁層１５の外周面を覆うように導電性材料で円筒状に形成した最外層の第二導電部１６とから成る。
【００２７】
シャフト６の基端部は、把持部１に内蔵してある接点台１７内に弾接させて電気的に接続させてある。図４にも拡大して示すように、接点台１７には、把持部１側の第一および第二の金属弾性板１８，１９が配置してある。シャフト６の基端部においては外層側の第二導電部１６よりも中央の第一導電部１４を突出させており、シャフト６の往復動に関わらず常に第一の金属弾性板１８が中央の第一導電部１４と弾接し、最外層の第二導電部１６が第二の金属弾性板１９と弾接するようになっている。
【００２８】
シャフト６の先端部においても、第二導電部１６よりも第一導電部１４を更に突出した位置にまで設けている（図２、図３参照）。ブラシ部２内には、ブラシ部２側の第一および第二の金属弾性板２２，２３を配置している。第一の金属弾性板２２は、一端側をブラシ部電極１２ａに接続させ、他端側を中央の第一導電部１４に弾接させている。第二の金属弾性板２３は、一端側をブラシ部電極１２ｂに接続させ、他端側を外層側の第二導電部１６に弾接させている。
【００２９】
上記各構成（つまり、ブラシ部２側に配置した第一および第二の金属弾性板２２，２３と、シャフト６に形成した第一および第二導電部１４，１６と、把持部１側に配置した第一および第二の金属弾性板１８，１９）によって、ブラシ部２の背面に配置してある一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂはそれぞれ把持部１内の回路に電気接続される。図６には、ブラシ部２を把持部１に装着した状態での口腔ケア装置全体の切替制御回路２５を示している。図中に示す接続部分２６が、上記各構成から成る電気接続手段である。
【００３０】
切替制御回路２５は、把持部１側の電源４および把持部電極１０と、ブラシ部２側の一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂとを、オンオフスイッチ２７や切替スイッチ２８を介して電気的に接続させたものである。この切替制御回路２５は、両スイッチ２７，２８を切り替えることで、図６（ａ）の通電モードと図６（ｂ）の通電モードとを速やかに切り替える。
【００３１】
図６（ａ）の通電モードは、把持部電極１０と一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂの間で微小電流を通電する身体通電モードである。この身体通電モードにおいては、電源４のマイナス側にオンオフスイッチ２７やシャフト６を介して一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂが接続され、電源４のプラス側に切替スイッチ２８を介して把持部電極１０が接続される。つまり、把持部１をつかむ使用者の手のひらと接触する把持部電極１０がプラス極、使用者の唾液や水分等から成る口腔液に接触する一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂがマイナス極となるように電圧が印加され、使用者の身体を通じて微小電流が通電される。
【００３２】
身体通電モードでは、通電により歯面をプラス帯電させることができ、上記した従来の口腔ケア装置と同様に、ステインと歯面の間に電気的反発力を作用させ、ステインを歯面から剥離させることができる。また、ステインとブラシ部電極１２ａ，１２ｂとの間には電気的吸引力を発生させることができる。
【００３３】
図６（ｂ）の通電モードは、一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂの間で微小電流を通電する口腔液通電モードである。この口腔液通電モードにおいては、電源４のマイナス側にシャフト６を介して一方のブラシ部電極１２ａが接続され、電源４のプラス側には、切替スイッチ２８やシャフト６を介して他方のブラシ部電極１２ｂが接続される。つまり、使用者の口腔液と接触する一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂがプラス極とマイナス極となるように電圧が印加され、使用者の口腔内において口腔液を通じて微小電流が通電される。
【００３４】
口腔液通電モードでは、近接するブラシ部電極１２ａ，１２ｂ間において通電を行い、身体通電モードの場合よりも強力な電界を口腔内に形成することができる。これにより、マイナス電極となるブラシ部電極１２ａでは、歯面から剥離したプラス帯電のステインを強力に吸引することができる。
【００３５】
そして、本例の口腔ケア装置にあっては、制御部１３により各スイッチ２７，２８を切り替え制御することによって、身体通電モードと口腔液通電モードとが周期的に切り替わるようになっている。具体的には、例えば１０秒ごとに通電モードが自動的に切り替わるように設ける。これにより、歯面からステインを剥離させることと、ステインをブラシ部２側に強力に吸引することを両立でき、歯に付着したステインの効率的な除去が可能となる。
【００３６】
しかも、本例の口腔ケア装置によれば、口腔液通電モードにおいてプラス電極として利用するブラシ部電極１２ｂを、身体通電モードにおいてはマイナス電極として利用できる。これにより、身体通電モードにおいては複数のマイナス電極を利用して、歯面から高効率でステインを剥離させることが可能となる。
【００３７】
なお、身体通電モードと口腔液通電モードの切り替えについては、手動で切り替え操作可能に設けてあってもよい。具体的には、例えば初期に切替スイッチ８を操作した状態では、身体通電モードと口腔液通電モードを１０秒ごとに自動的に切り替え、切替スイッチ８をもう一度操作すると身体通電モードを維持したまま使用でき、切替スイッチ８をもう一度操作すると口腔液通電モードを維持したまま使用できる、といった制御が考えられる。身体通電モードを維持した場合には、歯面が常にプラスに帯電するためフッ素導入を行うための使用に適している。また、口腔液通電モードを維持した場合には、唾液中のステインを効率よく除去できるため、ステインが付着しやすい商品や飲料を口にした後に使用するために適している。
【００３８】
次に、本発明の実施形態における他例の口腔ケア装置について、図７、図８に基づいて説明する。なお、本例の基本的な構成は一例の構成と同様であるから、一例と同様の構成については詳しい説明を省略し、一例とは相違する特徴的な構成についてのみ以下に詳述する。
【００３９】
本例の口腔ケア装置では、把持部１とブラシ部２との電気接続手段や、この電気接続手段を含む切替制御回路２５の構成が一例とは相違している。
【００４０】
本例の電気接続手段は、接触通電手段Ａと、電磁誘導方式の非接触通電手段Ｂとで構成される。接触通電手段Ａは、把持部１から突設した単一の導電部であるシャフト６と、これに弾接するようにブラシ部２内に配置した金属弾性板３０とから成る。非接触通電手段Ｂは、把持部１内およびブラシ部２内にて互いに対向するように配置したコイル３１，３２から成る。
【００４１】
図７に示すように、ブラシ部２内に配置した金属弾性板３０は、一端側をブラシ部電極１２ａに接続させて設けるとともに、他端側を、開口部を通じてブラシ部２内に挿入されたシャフト６の先端部と弾接するように設けている。また、ブラシ部２側のコイル３２は、その中央空間内にシャフト６が挿通されるように配置している。
【００４２】
コイル３２の一端側には、電気配線３３と金属弾性板３０を介してブラシ部電極１２ａを接続させており、該コイル３２の他端側には、電気配線３４を介してブラシ部電極１２ｂを接続させている。
【００４３】
把持部１側に内蔵したコイル３１は、その中央空間を通じてシャフト６が往復駆動されるように配置している。シャフト６の基端部は、把持部１に内蔵してある接点台１７内に弾接させて電気的に接続させてある。接点台１７には金属弾性板３５を配置しており、シャフト６の往復動に関わらず常に金属弾性板３５がシャフト６と弾接するようになっている。
【００４４】
図８に示すように、把持部１側の回路には、オンオフスイッチ３６と切替スイッチ３７を設けており、両スイッチ３６，３７の切り替えによって、図８（ａ）に示す回路と図８（ｂ）に示す回路とが切り替えられる。図８（ａ）に示す把持部１側の回路は、電源４のマイナス側にコイル３１を介してシャフト６が接続され、電源４のプラス側に把持部電極１０が接続される回路である。図８（ｂ）に示す把持部１側の回路は、電源４とコイル３１をつなぐ閉回路である。
【００４５】
そして、ブラシ部２を装着した状態での口腔ケア装置全体の切替制御回路２５においては、両スイッチ３６，３７の切り替えにより、図８（ａ）の身体通電モードと図８（ｂ）の口腔液通電モードとが速やかに切り替えられる。
【００４６】
図８（ａ）の身体通電モードにおいては、導電性のシャフト６を通じて把持部電極１０と一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂとがつながれた回路となる。具体的には、電源４のマイナス側にコイル３１、オンオフスイッチ３６およびシャフト６を介して一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂが接続され、電源４のプラス側に、切替スイッチ３７を介して把持部電極１０が接続された回路となる。
【００４７】
上記回路での通電により、一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂをマイナス電極、把持部電極１０をプラス電極として、歯面をプラス帯電させてステインを剥離させることができる。また、ステインとブラシ部電極１２ａ，１２ｂとの間には電気的吸引力を発生させることができる。
【００４８】
図８（ｂ）の口腔液通電モードにおいては、把持部１内の閉回路内にてコイル３１に通電を行い、電磁誘導によってブラシ部２内のコイル３２に電流を発生させる。これにより、コイル３２に接続されるブラシ部電極１２ａ，１２ｂはプラス電極とマイナス電極になり、使用者の口腔内において口腔液を通じて微小電流が通電される。
【００４９】
次に、本発明の実施形態における更に他例の口腔ケア装置について図９に基づいて説明する。なお、本例の基本的な構成は一例や他例の構成と同様である。以下においては、一例や他例と同様の構成については詳しい説明を省略し、一例や他例とは相違する特徴的な構成についてのみ詳述する。
【００５０】
本例の口腔ケア装置では、一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂの配置や、ブラシ部電極１２ａ，１２ｂ間に後述の突起物４０を設けてある点において、一例や他例とは相違している。
【００５１】
具体的に述べると、本例の一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂは、ブラシ部２の上部正面において多数植設してあるブラシ毛１１を挟む位置に配置してある。つまり、ブラシ毛１１を植設してある領域より先端側にブラシ部電極１２ａを配置し、該領域より基端側にブラシ部電極１２ｂを配置している。そして、ブラシ毛１１を植設してある領域の中央部分には、絶縁性の弾性体から成る壁状の突起物４０を設けている。突起物４０は、ブラシ毛１１よりも正面側への突出量を抑えてある。
【００５２】
上記構成から成る本例の口腔ケア装置によれば、口腔液通電モードにおいて一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂ間に生じる通電路を、突起物４０を迂回した形で発生させることができる。つまり、一対のブラシ部電極１２ａ，１２ｂ自体は近接配置して強力に電界を発生させ、且つ、通電路はある程度迂回させて距離を確保することによって、口腔液中に含まれるプラス帯電のステインを広範囲でマイナス電極側に引き寄せることが可能になっている。
【００５３】
ところで、上記した各実施例においてはブラシ部電極１２を一対だけ設けた構成になっているが、ブラシ部電極１２を３以上設けてあってもよい（即ち、ブラシ部電極１２は少なくとも一対備えることが必要である）。その場合であっても、口腔液通電モードでプラス極に設定したほうのブラシ部電極１２とマイナス極に設定したほうのブラシ部電極１２の両方が、身体通電モードでは共にマイナス極となるように設ける。これにより、複数設けてあるブラシ部電極１２を、口腔液通電モードと身体通電モードの両方において有効活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【００５４】
【図１】本発明の実施形態における一例の口腔ケア装置を示し、（ａ）は全体正面図、（ｂ）は全体側面図である。
【図２】同上の口腔ケア装置の内部構造を示す概略側断面図である。
【図３】図３の要部拡大図である。
【図４】図３の他の要部拡大図である。
【図５】同上の口腔ケア装置に備えたシャフトの断面を示す斜視図である。
【図６】同上の口腔ケア装置の概略回路図であり、（ａ）は身体通電モード時、（ｂ）は口腔液通電モード時である。
【図７】本発明の実施形態における他例の口腔ケア装置の主要部分の内部構造を示す概略断面図である。
【図８】同上の口腔ケア装置の概略回路図であり、（ａ）は身体通電モード時、（ｂ）は口腔液通電モード時である。
【図９】本発明の実施形態における更に他例の口腔ケア装置の主要部分の内部構造を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【００５５】
１ 把持部
２ ブラシ部
４ 電源
６ シャフト
１０ 把持部電極
１２ ブラシ部電極
１４ 第一導電部
１５ 絶縁層
１６ 第二導電部
２２ 第一の金属弾性板
２３ 第二の金属弾性板
２５ 切替制御回路
３０ 金属弾性板
３１ コイル
３２ コイル
３５ 金属弾性板
３６ オンオフスイッチ
３７ 切替スイッチ
４０ 突起物
Ａ 接触通電手段
Ｂ 非接触通電手段
【特許請求の範囲】
【請求項１】
電源を内蔵した把持部と、これに接続されるブラシ部とで主体を成し、把持部に配置した把持部電極と、ブラシ部に配置した複数のブラシ部電極と、把持部電極および複数のブラシ部電極の間での通電状態を切り替える切替制御回路とを具備する口腔ケア装置であって、上記切替制御回路は、把持部電極とブラシ部電極の間で微小電流を通電する身体通電モードと、複数のブラシ部電極間で微小電流を通電させる口腔液通電モードとを切り替えるものであることを特徴とする口腔ケア装置。
【請求項２】
上記切替制御回路は、口腔液通電モードで互いに異極に設定した両方のブラシ部電極を、身体通電モードでは共に把持部電極とは異極に設定するものであることを特徴とする請求項１に記載の口腔ケア装置。
【請求項３】
上記切替制御回路は、身体通電モードと口腔液通電モードとを周期的に切り替えるものであることを特徴とする請求項１又は２に記載の口腔ケア装置。
【請求項４】
把持部とこれに対して着脱自在であるブラシ部との電気接続手段は、把持部から突設した導電性のシャフトと、ブラシ部に配置した第一および第二の金属弾性板とから成り、シャフトには、第一の金属弾性板に弾接する第一導電部と、第二の金属弾性板に弾接する第二導電部とが、絶縁層を介して設けてあることを特徴とする請求項１〜３のいずれか一項に記載の口腔ケア装置。
【請求項５】
把持部とこれに対して着脱自在であるブラシ部との電気接続手段は、把持部から突設した導電性のシャフトとこれに弾接するようにブラシ部に配置した金属弾性板とから成る接触通電手段と、把持部およびブラシ部に配置したコイルから成る電磁誘導方式の非接触通電手段とから成ることを特徴とする請求項１〜３のいずれか一項に記載の口腔ケア装置。
【請求項６】
ブラシ部には、口腔液通電モードにて通電される複数のブラシ部電極に挟まれる位置に、絶縁体から成る壁状の突起物を設けていることを特徴とする請求項１〜５のいずれか一項に記載の口腔ケア装置。
【請求項１】
電源を内蔵した把持部と、これに接続されるブラシ部とで主体を成し、把持部に配置した把持部電極と、ブラシ部に配置した複数のブラシ部電極と、把持部電極および複数のブラシ部電極の間での通電状態を切り替える切替制御回路とを具備する口腔ケア装置であって、上記切替制御回路は、把持部電極とブラシ部電極の間で微小電流を通電する身体通電モードと、複数のブラシ部電極間で微小電流を通電させる口腔液通電モードとを切り替えるものであることを特徴とする口腔ケア装置。
【請求項２】
上記切替制御回路は、口腔液通電モードで互いに異極に設定した両方のブラシ部電極を、身体通電モードでは共に把持部電極とは異極に設定するものであることを特徴とする請求項１に記載の口腔ケア装置。
【請求項３】
上記切替制御回路は、身体通電モードと口腔液通電モードとを周期的に切り替えるものであることを特徴とする請求項１又は２に記載の口腔ケア装置。
【請求項４】
把持部とこれに対して着脱自在であるブラシ部との電気接続手段は、把持部から突設した導電性のシャフトと、ブラシ部に配置した第一および第二の金属弾性板とから成り、シャフトには、第一の金属弾性板に弾接する第一導電部と、第二の金属弾性板に弾接する第二導電部とが、絶縁層を介して設けてあることを特徴とする請求項１〜３のいずれか一項に記載の口腔ケア装置。
【請求項５】
把持部とこれに対して着脱自在であるブラシ部との電気接続手段は、把持部から突設した導電性のシャフトとこれに弾接するようにブラシ部に配置した金属弾性板とから成る接触通電手段と、把持部およびブラシ部に配置したコイルから成る電磁誘導方式の非接触通電手段とから成ることを特徴とする請求項１〜３のいずれか一項に記載の口腔ケア装置。
【請求項６】
ブラシ部には、口腔液通電モードにて通電される複数のブラシ部電極に挟まれる位置に、絶縁体から成る壁状の突起物を設けていることを特徴とする請求項１〜５のいずれか一項に記載の口腔ケア装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【公開番号】特開２０１０−１２４９０５（Ｐ２０１０−１２４９０５Ａ）
【公開日】平成２２年６月１０日（２０１０．６．１０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−３００１７０（Ｐ２００８−３００１７０）
【出願日】平成２０年１１月２５日（２００８．１１．２５）
【出願人】（０００００５８３２）パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年６月１０日（２０１０．６．１０）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年１１月２５日（２００８．１１．２５）
【出願人】（０００００５８３２）パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Ｆターム（参考）】
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