説明

口腔内観察装置、口腔内観察システム

【課題】治療後の撮影の際に、それ以前に撮影したその部位の画像と有効に対比することができる画像を取得することが可能な口腔内観察装置を提供する。
【解決手段】口腔内を撮影して画像を作成する口腔内観察装置(10)であって、口腔内を動画撮影してその映像を電気信号に変換する撮像手段(12)と、映像の電気信号から静止画である画像を作成する画像処理手段(21)と、既に撮影した画像を電気信号として保存する記憶手段(22)と、を備え、画像処理手段は、既に撮影した画像を記憶手段から読み出すとともに、既に撮影した画像と撮像手段からの映像とを対比可能に同時に表示可能とする演算をおこなうことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内の様子を撮影して表示させることを可能とする口腔内観察装置、及び該口腔内観察装置を含む口腔内観察システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯牙の状態を観察するための手段として、先端が所定の角度に傾斜した鏡を備えた口腔鏡が用いられてきた。また近年においては、鏡の代わりに小型のカメラが先端に備えられた装置により、モニタ等の表示装置で口腔内を患者と一緒に観察することも行われている。
【0003】
このようにして治療前後の口腔内の状態を撮影することにより、患者へのインフォームドコンセプトや治療データを蓄積するエビデント活動(EBD活動)にその画像が用いられる。エビデント活動とは、Evidence Based Dentistly(根拠に基づいた歯科医療)の意味であり、Evidence Based Medicine(根拠に基づいた医療)を歯科分野にも適用する活動である。
【0004】
特許文献1には、このように口腔内を撮影することができる口腔内カメラが開示されており、これにはさらに画像を反転させることができる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−113842号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1をはじめとする従来の口腔内カメラ(口腔内観察装置)では、治療後の口腔内撮影の際に、必ずしも治療前と同様の位置や角度で撮影をすることができるとは限らなかった。すなわち、治療前後で画像を取得し、これを対比しながら患者に説明したり、治療データとして蓄積したりするときに、治療前後の撮影で位置、大きさ、角度等が大きく異なる場合には、患者へ効果的な説明ができなかったり、有効な蓄積データとすることができなかった。
【0007】
そこで、本発明は上記問題に鑑み、治療後の撮影の際に、治療部位をそれ以前に撮影したその部位の画像と有効に対比することができる口腔内観察装置を提供することを課題とする。また当該口腔内観察装置を含む口腔内観察システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0009】
請求項1に記載の発明は、口腔内を撮影して画像を作成する口腔内観察装置(10)であって、口腔内を動画撮影してその映像を電気信号に変換する撮像手段(12)と、映像の電気信号から静止画である画像を作成する画像処理手段(21)と、既に撮影した画像を電気信号として保存する記憶手段(22)と、を備え、画像処理手段は、既に撮影した画像を記憶手段から読み出すとともに、既に撮影した画像と撮像手段からの映像とを対比可能に同時に表示可能とする演算をおこなうことを特徴とする、口腔内観察装置である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の口腔内観察装置(10)において、画像処理手段(21)は、既に撮影した画像を撮像手段からの映像とは異なる映像的効果を有して表示し、既に撮影した画像と撮像手段からの映像とを重ねて表示することを特徴とする。
【0011】
ここで、「既に撮影した画像を撮像手段からの映像とは異なる映像的効果を有して表示」とは、既に撮影した画像を、撮像手段からの映像より暗くする、薄くする、単色で表示する、輪郭のみで表示する、等の映像的効果を有するように表示することを意味する。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の口腔内観察装置(10)において、画像処理手段は、既に撮影した画像と、撮像手段からの映像と、の一致を判断することを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の口腔内観察装置(10)において、一致の判断は治療した部位でない部位でおこなわれることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の口腔内観察装置(10)において、撮像手段(12)は複数の焦点距離で撮像することが可能とされ、画像処理手段(21)は撮像手段からの電気信号に基づき、焦点距離の異なる複数の画像を作成可能であり、一致の判断は複数の画像から得られる情報の統合分析によりおこなわれることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の口腔内観察装置(10)、及び該口腔内観察装置からの信号を受信して画像及び映像を表示する表示装置(2)を備える口腔内観察システム(1)である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、治療後の撮影の際に、それ以前に撮影したその部位の画像と有効に対比することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】1つの実施形態にかかる口腔内観察装置を含む口腔内観察システムを示した外観図である。
【図2】口腔内観察装置を異なる角度からみた図である。
【図3】口腔内観察装置のうち撮像手段の部分を拡大した図である。
【図4】口腔内観察システムの構成を示すブロック図である。
【図5】口腔内観察方法の一例を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下、本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし本発明は実施形態に限定されるものではない。
【0019】
図1は、1つの実施形態にかかる口腔内観察装置10に表示装置2が取り付けられた口腔内観察システム1である。図2には口腔内観察装置10を別の角度から見た図、図3には口腔内観察装置10のうち、撮像手段12の部位を拡大した図を示した。また、図4には口腔内観察システム1のブロック図を示した。
【0020】
表示装置2は、口腔内観察装置10からの情報を受信して映像及び画像等の情報を表示する手段である。表示装置2としては口腔内観察装置10からの信号に基づいて映像や画像を表示することができれば特に限定されることはないが、例えばパソコンのモニタ等を挙げることができる。
【0021】
口腔内観察装置10は、図1〜図4からわかるように、筐体11、撮像手段12、入力手段15、情報処理手段20、及び通信ケーブル25を備えている。以下それぞれについて説明する。
【0022】
筐体11は、口腔内観察装置10の外殻を形成し、その内側に口腔内観察装置10を構成する部材の少なくとも一部を内包する部材である。筐体11は、棒状に形成されており、一端側が口腔内に挿入され、他端側を施術者が掴むことができるように構成されている。図2からわかるように、筐体11の一端側には撮像手段12が配置され、他端側からは通信ケーブル25が延びている。
【0023】
撮像手段12は、図3に示したように、筐体11の一端側に配置され、複数の光源13及び受光手段14を備えている。
複数の光源13は、口腔内を照明して明るい映像、画像を得るための照明用光源である。光源13の種類は特に限定されることはないが、発熱が少なく、寿命も長いとの観点から白色の発光ダイオードであることが好ましい。複数の光源13は受光手段14を囲むように配置されることが好ましい。これにより無影効果を得ることができる。
【0024】
受光手段14は、絞り、レンズ、及び受光素子を備えている。これらはいわゆる映像、画像を撮影するための光学系を構成するものであり、公知のものを用いることができる。受光素子は光を電気信号に変換することができる素子であり、CCDやCMOS等が挙げられる。
【0025】
ここで受光手段14は、焦点距離を連続又は段階的に変化できることが好ましい。これにより、至近距離からの撮像となる口腔内環境であっても鮮明な映像、及びこれに基づく画像を得やすくなる。変化可能な焦点距離の範囲は特に限定されることはないが、+5mm〜+40mm、−5mm〜−40mmの範囲であることが好ましい。
【0026】
本実施形態では複数の光源13を全て白色の発光ダイオードで構成したが、例えば4つを紫色の発光ダイオードとし、2つを白色の発光ダイオードとして、これらを切り換えて点灯することができることとしてもよい。紫色の発光ダイオードを点灯すると歯垢や歯石等は、当該紫色の照射に対してこれとは波長の異なる蛍光反射光を生じる。これにより歯垢や歯石等を選択的にわかりやすく表示することができる。なおその際には受光手段において、蛍光反射光を強調することができる手段が講じられる。例えば受光手段に紫色の発光ダイオードの波長の光をカットするフィルタを配置すれば、蛍光反射光のみが受光素子に検知され、これを強調することが可能となる。
【0027】
入力手段15について説明する。入力手段15は図1からわかるように、筐体11から露出して配置されるいわゆるスイッチ類である。施術者は入力手段15を操作することにより、操作した内容に応じた指令を口腔内観察装置10に与えることができる。操作の種類は適宜設定できるが、例えば電源の入/切等が含まれる。
【0028】
情報処理手段20は、筐体11の内側に配置され、撮像手段12及び入力手段15から情報を取得し、画像処理をしてその結果を表示装置2に送信して表示させる機器である。
【0029】
情報処理手段20は、中央演算子21、記憶手段22、RAM23、及び送信手段24を有して構成されている。
【0030】
中央演算子21はいわゆるCPUであり、画像処理手段として機能する。従って後述する各種演算はこの中央演算子21で演算することができる。また、中央演算子21は、その他にも情報処理手段20に含まれる各部材に接続されて、これらを制御することができるように構成されている。すなわち、中央演算子21は、記憶媒体として機能する記憶手段22に記憶された各種プログラムを実行し、これに基づいて必要な画像処理等の演算をおこなう。
【0031】
特に中央演算子21は、画像処理手段として治療後の口腔内撮影の際に、治療前の口腔内撮影画像及びその際の撮影条件を呼び出し、当該治療前の口腔内撮影画像を表示装置2に表示させるとともに、撮像手段12に対して撮影条件を合わせる指令をする。これにより、治療前後で対比することができる程度に同じ位置、及び条件で画像を得ることが可能となる。より具体的には後で詳しく説明する。
【0032】
ここで画像処理手段は、治療前の口腔内撮影画像を表示する際に、撮像手段12による現在の映像と重ねて表示する、又はこれらを並べて表示してもよい。またそのときには、治療前の口腔内撮影画像は通常より暗く表示したり、薄く表示したり、単色で表示したり、又は輪郭のみで表示したりする等、映像的効果を有するように表示してもよい。これにより、視覚的にわかりやすい態様で対比することができる。
【0033】
さらに、画像処理手段は、上記治療前の口腔内撮影画像と、治療後における現在の映像との一致を判断する機能を有しても良い。これによればより自動的に治療前後の精度良い位置合わせ及び位置合わせの容易が図られる。具体的な一致判断の方法は特に限定されることはなく、公知のマッチング技術を用いることができる。
ただし、このような一致の判断は、例えば1つの歯牙を対象としたような狭い範囲での一致判断でなく、ある程度広い範囲、すなわち治療部位でない部位を含むような広い範囲を対象とした一致判断であることが好ましい。狭い範囲における一致判断では、当該部位が治療対象となっている場合があり、治療部位は治療前後でその形状が変わっている可能性が高いからである。または、当該一致の判断をするに先立ち、予め治療部位でない部位を指定することが可能で、これを目標に一致判断をすることができるように構成してもよい。これにより一致判断の精度が向上する。
【0034】
また撮影は、主要な撮影対象となる治療部位と共に、治療部位の奥側方向+5mm〜+40mm、手前方向−5mm〜−40mmの焦点距離で複数の撮影が自動で行われることにより、治療部位周辺の歯牙や歯肉に対してピントの合った鮮明な画像を撮影するものであってもよい。これは、被写界深度の浅い口腔内撮影において、ピントを合わせた治療部位以外はぼやけた画像になる状況下で、上記一致判断の基準となる鮮明な画像を取得するためである。
【0035】
記憶手段22は、各種演算をするに際して根拠となる各種プログラムやデータが保存される記憶媒体として機能する部材である。また記憶手段22には、プログラムの実行により得られた中間、最終の各種結果を保存することができてもよい。
【0036】
RAM23は、中央演算子21による演算の作業領域や一時的なデータの記憶手段として機能する部材である。RAM23は、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等で構成することができ、公知のRAMと同様である。
【0037】
送信手段24は、得られた結果のうち表示装置2で表示すべき情報を適切に出力する機能を有する部材であり、通信ケーブル25を介して表示装置2が接続される。送信手段24にはいわゆる出力ポート、出力コネクタ等も含まれる。
【0038】
このような情報処理手段20を形成する具体的な態様の例としては、制御基板を挙げることができる。制御基板に中央演算子21、記憶手段22、RAM23、及び送信手段24を配置し、適切にこれらを関連付けるように配線すればよい。
【0039】
通信ケーブル25は信号を通信することができるケーブルであり、情報処理手段20からの出力信号を表示装置2に送信可能とする。通信ケーブル25としては公知のものを適用することができる。
本実施形態では、通信ケーブル25を用いることにより有線で情報処理手段20からの出力信号を表示装置2に送信する例を説明したが、これに限らず、無線通信で信号の送受信がおこなわれてもよい。この場合には通信ケーブルのかわりに無線通信のモジュールが具備される。
【0040】
以上のような構成を有する口腔内観察装置10を含む口腔内観察システム1によれば、治療後の口腔内撮影の際に、治療前の口腔内撮影画像及びその際の撮影条件が呼び出され、当該治療前の口腔内撮影画像が表示装置に表示されるとともに、撮影条件が自動に合わせられる。従って、施術者は表示された治療前の口腔内撮影画像を参照しながら治療後の撮影位置を探すことができる。これにより、治療前後で対比することができる程度に同じ位置、及び条件で画像を得ることが可能となる。
【0041】
また、画像処理手段が上記したように治療前の口腔内撮影画像と、治療後における現在の映像との一致を判断することができるものとすれば、その利便性及び精度がさらに向上する。
【0042】
次に、口腔内を観察する方法の1つの例として、上記した口腔内観察装置10を備える口腔内観察システム1による口腔内観察方法S1について説明する。
【0043】
図5には、口腔内観察方法S1の流れを示した。図5からわかるように、口腔内観察方法S1は、過程S10、S20、S30、S40、S50、S60、S70を含んでいる。以下各過程について詳しく説明する。ここで説明する各過程は、記憶手段22に予め記憶されていたプログラムが呼び出され、これに基づいて中央演算子21が画像処理手段として機能する等して演算することにより進められる。
【0044】
なお、口腔内観察方法S1は治療後の口腔内観察を想定している。従って、口腔内観察方法S1が行われる前に、治療前の口腔内観察結果としての口腔内の静止画である画像(以下、「前画像」と記載することがある。)及びその際の撮影条件(以下、「前条件」と記載することがある。)が取得され、記憶手段22に保存されている。
ここで、上記したように撮像手段12が複数の焦点距離で画像を取得することができるように構成されているときには、例えば1回の撮影において対象の部位を異なる焦点距離で撮影し、複数の画像を取得しておくことができる。
【0045】
過程S10は、前画像及び前条件を呼び出す過程である。これは中央演算子21の指令により、記憶手段22に記憶されていた前画像、及び前条件が呼びだされる。前条件としては、撮像手段12の光源13の点灯条件、絞り条件、焦点距離等の画像を取得する際の撮影条件である。
【0046】
過程S20は、過程S10で呼び出した前画像を表示装置2に表示する過程である。前画像の表示の態様は特に限定されることはないが、後述するように現在の映像と対比することができるように表示することが好ましい。例えば、前画像を通常より暗く表示したり、薄く表示したり、単色で表示したり、又は輪郭のみで表示したりする等により、前画像を現在の映像とは異なる映像的効果を有するように表示し、現在の映像を重ねて表示する態様を挙げられる。または、前画像を画面の一部に表示し、画面の他の一部に並べるように現在の映像を表示したりする態様を挙げることができる。
【0047】
過程S30は、過程S10で呼び出された前条件に撮像手段12を設定する過程である。これにより、自動に撮影条件を前画像の撮影時に合わせることができる。
【0048】
過程S40は、現在の口腔内の動画映像(以下、「現映像」と記載することがある。)を取得するとともにこれを表示装置2に表示する過程である。すなわち、これから取得しようとする治療後の口腔内の静止画である画像が存在する口腔内の映像を取得して表示する。
かかる現映像の表示は、過程S20において説明したように、前画像と対比しながら表示することができるようにおこなわれている。
これにより、施術者は前画像を参照しながら同じ位置関係にある現映像を探すことができる。施術者は前画像の概ねの位置は既に把握していると考えられるので、細かい調整を行えばよい。これにより、治療前後で対比することができる程度に同じ位置、及び条件で画像を得ることが可能となる。
【0049】
過程S50は、前画像と現映像との一致判断をする過程である。上記のように前画像と現映像とで対比可能な程度に位置合わせすることは、過程S40までで十分可能である。しかしながら、本実施形態ではさらに自動に一致判断をすることができるように構成している。これにより施術者のさらなる利便性が図られる。
具体的な一致判断の方法は特に限定されることはなく、公知のマッチング技術を用いることができる。ただし、このような一致の判断は、例えば1つの歯牙を対象としたような狭い範囲での一致判断でなく、ある程度広い範囲、すなわち治療部位でない部位を含むような広い範囲を対象とした一致判断であることが好ましい。狭い範囲における一致判断では、当該部位が治療対象となっている場合があり、治療部位は治療前後でその形状が変わっている可能性が高いからである。または、当該一致の判断をするに先立ち、予め治療部位でない部位を指定することが可能で、これを目標に一致判断をすることができるように構成してもよい。
【0050】
また、撮像手段12が焦点距離を変更して撮影可能とされているときにおいて、1回の撮影で複数の焦点距離で前画像を取得していた場合には、当該複数の前画像から得られる情報を統合分析し、上記一致の判断をおこなうことができる。複数の画像からピントのあった鮮明な箇所だけを情報として取り出す方法や、合成などの画像処理でも良く、撮影の対象となる治療部位の周辺の歯牙や歯肉の形状や色等の情報が収集される方法であれば良い。
すなわち、口腔内観察ではその性質上、撮影の対象となる部位と、撮像手段との距離が非常に近い。従って被写界深度が浅くなることから、対象となる部位の周辺背景がぼやける傾向にある。これに対して、上記のように複数の焦点距離で画像を取得しておけば、より鮮明な画像により一致の判断をすることができ、その精度向上が図られる。
【0051】
過程S50で、前画像と現映像とが一致しないと判断されれば「N」が選択され、過程S40で再度現映像取得と表示装置への表示が行われる。その際には撮像位置が変更されていることがよい。一方、前画像と現映像とが一致したときには「Y」が選択され過程S60に進む。
【0052】
過程S60では、決定された映像から静止画を作成する過程である。いわゆるキャプチャー画像である。そして過程S70で作成された画像を表示装置2に表示する。
【0053】
以上のように、口腔内観察方法S1によれば、治療後の口腔内撮影の際に、治療前の口腔内撮影画像及びその際の撮影条件が呼び出され、当該治療前の口腔内撮影画像が表示装置に表示されるとともに、撮影条件が自動に合わせられる。従って、施術者は表示された治療前の口腔内撮影画像を参照しながら治療後の撮影位置を探すことができる。これにより、治療前後で対比することができる程度に同じ位置、及び条件で画像を得ることが可能となる。そして、患者に対する説明も説得力のある効果的なものとすることができる。
【0054】
以上説明した口腔内観察装置10では、情報処理手段20が筐体11の内側に収められている例を示したがこれに限られることなく、情報処理手段が筐体の外に別途設けられ、有線又は無線で接続されていてもよい。
また、情報処理手段20の機能を上記した制御基板でなく、パーソナルコンピューターにより実現することもできる。パーソナルコンピュータも上記した情報処理手段に備えられる各構成に相当する構成を備えているからである。
【0055】
また、口腔内観察システム1では、口腔内観察装置10と表示装置2とを別体で設け、これを通信ケーブル25で接続する態様であったが、表示装置2を筐体11に取り付け、口腔内観察装置10と表示装置2とを一体とした口腔内観察システムとしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 口腔内観察システム
2 表示装置
10 口腔内観察装置
11 筐体
12 撮像手段
20 情報処理手段(画像処理手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内を撮影して画像を作成する口腔内観察装置であって、
口腔内を動画撮影してその映像を電気信号に変換する撮像手段と、
前記映像の電気信号から静止画である画像を作成する画像処理手段と、
既に撮影した画像を電気信号として保存する記憶手段と、を備え、
前記画像処理手段は、前記既に撮影した画像を前記記憶手段から読み出すとともに、前記既に撮影した画像と前記撮像手段からの映像とを対比可能に同時に表示可能とする演算をおこなうことを特徴とする、口腔内観察装置。
【請求項2】
前記画像処理手段は、前記既に撮影した画像を前記撮像手段からの映像とは異なる映像的効果を有して表示し、前記既に撮影した画像と前記撮像手段からの映像とを重ねて表示することを特徴とする請求項1に記載の口腔内観察装置。
【請求項3】
前記画像処理手段は、前記既に撮影した画像と、前記撮像手段からの映像と、の一致を判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の口腔内観察装置。
【請求項4】
前記一致の判断は治療した部位でない部位でおこなわれることを特徴とする請求項3に記載の口腔内観察装置。
【請求項5】
前記撮像手段は複数の焦点距離で撮像することが可能とされ、
前記画像処理手段は前記撮像手段からの前記電気信号に基づき、焦点距離の異なる複数の画像を作成可能であり、
前記一致の判断は前記複数の画像から得られる情報の統合分析によりおこなわれることを特徴とする請求項3又は4に記載の口腔内観察装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の口腔内観察装置、及び該口腔内観察装置からの信号を受信して前記画像及び前記映像を表示する表示装置を備える口腔内観察システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−74929(P2013−74929A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215228(P2011−215228)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000181217)株式会社ジーシー (279)
【Fターム(参考)】