説明

口腔拡張具

【課題】歯科治療、口腔内治療、施術、手術等の各種の口腔内の医療を行なうために口腔を拡張状態に維持する口腔拡張具を提供する。
【解決手段】ほぼU字状をなす下あご部材11と上あご部材12とを備え、これらの下あご部材11および上あご部材12の両端の基端部にブラケット13、14を取付けるとともに、ブラケット13、14の湾曲部をヒンジピン15によって回動可能に連結し、下あご部材11に対して上あご部材12を開いた状態で上あご部材12のブラケット14に取付けられている突張りレバー18を下あご部材11のブラケット13の係止凹部20〜22に係止して下あご部材11に対して上あご部材12を開いた状態で維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は口腔拡張具に係り、とくに歯や口腔内の治療、施術のために上あごと下あごとを互いに離して開いた状態に維持する口腔拡張具に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科治療を行なう場合や、口腔内の治療、施術、手術等を行なう際には、口腔を開いた状態に維持する必要がある。そこで従来より、マウスピース型の部材を上側の歯と下側の歯との間に挿入して噛むようにし、これによって口腔を拡張させて開放状態に維持するようにしていた。
【0003】
特開2007−282698号公報には、歯科治療時の患者の開口と治療の邪魔になる部位の口唇の拡張を同時に可能な開口器を提供するものであって、口腔内上下顎の歯牙の間にセットするバイトブロックに接続されたバネに取り付けられた口角鉤によりバイトブロックと反対側の口唇を拡張することにより、患者の開口を容易にして、なおかつ歯科医の治療の作業性を向上し、バイトブロックとバネの接続角度は可変であるので口角鉤は口唇の任意の部位を拡張することができるようにした歯科用開口器が提案されている。
【0004】
このような歯科用開口器は、バネの力を利用して口腔を開口状態にするものであって、バネの力が弱い場合には口腔を容易に閉じることが可能になる。これに対してバネの力を強くすると、口腔に対して必要以上に開口する方向の力が加わって患者に苦痛を与える欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−282698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明の課題は、バネの弾発力を口腔内において上下に付加することなく、しかも口腔を確実に拡張状態に維持することができるようにした口腔拡張具を提供することである。
【0007】
本願発明の別の課題は、口腔が所定の開口量で開放されるようにした口腔拡張具を提供することである。
【0008】
本願発明のさらに別の課題は、口腔の拡張状態における拡張量が調整できるようにした口腔拡張具を提供することである。
【0009】
本願発明のさらに別の課題は、歯科の治療、口腔内の施術、手術、その他の治療を安定的に行ない得るようにした口腔拡張具を提供することである。
【0010】
本願発明の上記の課題および別の課題は、以下に述べる本願発明の技術的思想によって明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の主要な発明は、口腔内の下側の歯列の外側の歯肉の凹部を押す下あご部材と、
口腔内の上側の歯列の外側の歯肉の凹部を押す上あご部材と、
前記下あご部材と前記上あご部材とが互いに離間して口腔を拡げるように開いた状態で維持する維持手段と、
を具備し、前記下あご部材と前記上あご部材とがそれぞれ下側の歯列と頬肉との間および上側の歯列と頬肉との間に装着される口腔拡張具に関するものである。
【0012】
ここで、前記下あご部材と前記上あご部材とが互いに回動可能にヒンジ機構によって連結されてよい。また前記下あご部材と前記上あご部材とがそれぞれU字状に湾曲されたバーから構成され、前記下あご部材と前記上あご部材の基端部にそれぞれブラケットが連結され、しかも前記下あご部材のブラケットと前記上あご部材のブラケットとがピンによって回動可能に連結されて前記ヒンジ機構を構成していてよい。また前記下あご部材のブラケットと前記上あご部材のブラケットの内の一方に突張りレバーが回動可能に取付けられ、該突張りレバーの先端部が前記下あご部材のブラケットと前記上あご部材のブラケットの内の他方に設けられた係止部に係止されて前記維持手段を構成してよい。また前記下あご部材のブラケットと前記上あご部材のブラケットの内の他方の複数箇所に係止部が設けられ、前記下あご部材と前記上あご部材の開口量が調整可能であってよい。
【0013】
また、前記下あご部材と前記上あご部材の内の一方に突張り棒が摺動可能に取付けられ、該突張り棒が前記下あご部材と前記上あご部材の内の他方に設けられた係止部に係止されて前記維持手段を構成してよい。あるいは前記下あご部材の基端部と前記上あご部材の基端部とが互いに一体的に連結されるとともに、前記下あご部材と前記上あご部材との間に突張り棒が一体的に連設されて一体構造をなしてよい。
【0014】
本願の別の主要な発明は、口腔内の下側の歯列の所定の歯を押える下あご部材と、
口腔内の上側の歯列の所定の歯を押える上あご部材と、
前記下あご部材と前記上あご部材とが互いに離間して口腔を拡げるように開いた状態で維持する維持手段と、
を具備し、前記下あご部材と前記上あご部材とがそれぞれ下あごの外側であって頬の外表面上および上あごの外側であって頬の外表面上に装着される口腔拡張具に関するものである。
【0015】
ここで、前記下あご部材と前記上あご部材とがそれぞれU字状に湾曲されたバーから構成され、前記下あご部材と前記上あご部材の内の少なくとも一方にブラケットが連結され、しかも前記下あご部材と前記上あご部材の内の他方がピンを介して前記ブラケットに回動可能に連結されて開閉可能に構成され、前記下あご部材と前記上あご部材の内の一方に突張りレバーが回動可能に取付けられ、該突張りレバーの先端部が前記下あご部材と前記上あご部材の内の他方に設けられた係止部に係止されて前記維持手段を構成してよい。また前記下あご部材および前記上あご部材にそれぞれ摺動可能に1つまたは2つ以上の歯押え部材が取付けられ、前記下あご部材の歯押え部材が下側の歯列の歯を押えるとともに、前記上あご部材の歯押え部材が上側の歯列の歯を押えてよい。また前記下あご部材および前記上あご部材に摺動可能に取付けられている歯押え部材が歯列の方向と直交する方向に移動調整可能であってよい。
【発明の効果】
【0016】
本願の主要な発明は、口腔内の下側の歯列の外側の歯肉の凹部を押す下あご部材と、
口腔内の上側の歯列の外側の歯肉の凹部を押す上あご部材と、
前記下あご部材と前記上あご部材とが互いに離間して口腔を拡げるように開いた状態で維持する維持手段と、
を具備し、前記下あご部材と前記上あご部材とがそれぞれ下側の歯列と頬肉との間および上側の歯列と頬肉との間に装着される口腔拡張具に関するものである。
【0017】
従って本願発明に係る口腔拡張具によると、下あご部材と上あご部材とがともに開かれて口腔内の下側の歯列の外側の歯肉の凹部と口腔内の上側の歯列の外側の歯肉の凹部とをそれぞれ押した状態で上あご部材と下あご部材とを互いに開いた状態に維持することが可能になり、歯科治療や口腔内の施術、手術を安全に行なうことが可能になる。
【0018】
本願の別の主要な発明は、口腔内の下側の歯列の所定の歯を押える下あご部材と、
口腔内の上側の歯列の所定の歯を押える上あご部材と、
前記下あご部材と前記上あご部材とが互いに離間して口腔を拡げるように開いた状態で維持する維持手段と、
を具備し、前記下あご部材と前記上あご部材とがそれぞれ下あごの外側であって頬の外表面上および上あごの外側であって頬の外表面上に装着される口腔拡張具に関するものである。
【0019】
従ってこの構成に係る口腔拡張具によると、下あご部材と上あご部材とから成る口腔拡張具が顔面の外側であって下あごの外側および上あごの外側に装着された状態で使用される。従って、口腔内にこの口腔拡張具が入ることがなく、歯科治療や口腔内の施術、手術の際に口腔拡張具が邪魔にならないばかりか、口腔拡張具に血液等が付着することもない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態の口腔拡張具の閉じた状態の平面図である。
【図2】同口腔拡張具の側面図である。
【図3】同口腔拡張具の外観斜視図である。
【図4】同口腔拡張具の開いた状態の外観斜視図である。
【図5】同口腔拡張具を口腔内に装着した状態の展開図である。
【図6】同口腔拡張具と歯との関係を示す要部拡大断面図である。
【図7】別の実施の形態の口腔拡張具の外観斜視図である。
【図8】同口腔拡張具の側面図である。
【図9】さらに別の実施の形態の口腔拡張具の外観斜視図である。
【図10】同口腔拡張具の側面図である。
【図11】さらに別の実施の形態の口腔拡張具の開いた状態の外観斜視図である。
【図12】同口腔拡張具の閉じた状態の平面図である。
【図13】同口腔拡張具の使用状態を示す側面図である。
【図14】上あご部材に取付けられた歯受けの取付け構造を示す拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下本願発明を図示の実施の形態によって説明する。図1〜図3は、第1の実施の形態に係る口腔拡張具を示している。この実施の形態の口腔拡張具は、何れも所定の強度を有するプラスチック、例えばポリプロピレン製の下あご部材11と上あご部材12とを備えている。これらの下あご部材11および上あご部材12はともにほぼ同一のU字状の形状に成形されている。そして下あご部材11の両端の基端部は下側のブラケット13に連結されている。また上あご部材12の両端の基端部は、上側のブラケット14に連結されている。ブラケット13、14はそれらの基端側の部分が互いに交差するように上方および下方にそれぞれ屈曲されており、屈曲部分において互いにヒンジピン15によって開閉自在に連結されている。すなわち上あご部材11と下あご部材12とは、ヒンジピン15から成るヒンジ機構によって、ヒンジピン15を中心として図2に示すように開閉可能になっている。
【0022】
上あご部材12のブラケット14の側部には突張りレバー18がピン19を介して回動自在に取付けられており、この突張りレバー18の先端側の部分が反対側の下側のブラケット13の上面に形成された係止用凹部20、21、22の何れかに選択的に係止されるようになっている。突張りレバー18の先端部の係止位置に応じて、図2に示すように、下あご部材11に対する上あご部材12の開き角度が決定されることになる。
【0023】
このような口腔拡張具は、例えば歯科治療の際において、口腔を拡張状態あるいは開放状態に維持するために用いられる。図5は歯科治療に用いる際におけるこの口腔拡張具の展開状態を示している。
【0024】
人間の歯は、その下側の部分が図5に示すように、前歯を構成する中切歯31、側切歯32、犬歯33、第1小臼歯34、第2小臼歯35、第1大臼歯36、第2大臼歯37の7本の歯によって片側が構成されている。これらが左右に配列されているために、下側の歯は、7×2=14本になる。大臼歯37のさらに奥の部分には、8本目に当たる第3大臼歯が生えている場合がある。第3大臼歯は親知らずと呼ばれる。
【0025】
次に上側の歯についても、前歯を構成する中切歯41、側切歯42、犬歯43、第1小臼歯44、第2小臼歯45、第1大臼歯46、第2大臼歯47の7本の歯が左右対称に生えており、7×2=14本になる。そしてここでも、8本目に当たる第3大臼歯として親知らずが生えている場合がある。
【0026】
次に歯の内部構造について、第2小臼歯35を例に、図6によって説明する。歯茎から上の部分の歯の表面は、身体のどの部分よりも硬いエナメル質51によって覆われており、これに対して歯の根っこの表面はセメント質52によって覆われ、セメント質は歯と肉をつないでいる歯根膜53と呼ばれる繊維性の組織と結びついている。エナメル質51、セメント質52のそれぞれの内側には象牙質54がある。象牙質54はエナメル質に比べてはるかに軟らかく、そのためにエナメル質51を通過した虫食い歯は、この象牙質54を通って一気に拡がることになる。象牙質54の中には歯髄55と呼ばれる歯の神経が入っており、これは歯の根っこの先端部で外部と通じている。歯は歯槽骨56と呼ばれる顎の骨に植わっている。ここで歯槽骨56に歯が直接固着されているのではなく、上述の歯根膜53という繊維性の組織を介在してくっついている。この構造は関節に似ている。そして歯肉(歯茎)57は、歯槽骨56を保護している軟組織になっている。そして上記歯槽骨56内には血管が通じている。
【0027】
本実施の形態に係る口腔拡張具を使用する場合には、その下あご部材11を下側の14本の歯列31〜37の外側であって、歯肉57の外側の凹部60の部分に配列される(図6参照)。また上あご部材12は、上記下あご部材11と上下に対向するように、上側の14本の歯列41〜47の外側であって、歯肉57の凹部に装着される。そして下あご部材11に対して上あご部材12を図2(鎖線状態)および図4に示すように上方に回動させるように開くとともに、突張りレバー18を下あご部材11のブラケット13の上面の係止用凹部20〜22の何れかに係止する。
【0028】
突張りレバー18の長さと係止凹部20〜22の位置とを調整することによって、下あご部材11に対する上あご部材12の上方への回動角度が調整されることになり、これによって口腔の拡張の度合い、すなわち口の開口量が調整できるようになる。従ってこれにより、口腔を拡張して開いた状態で、歯科治療、口腔内の施術、手術等を安定的に行なうことが可能になる。とくに小児の歯科治療を安全に行なうことができるようになる。なおこの口腔拡張具の大きさは、口腔の大きさに応じて各種のサイズのものを用意しておき、最適なサイズのものを患者に装着して使用することになる。
【0029】
次に別の実施の形態を図7および図8によって説明する。この実施の形態は、下あご部材11の基端側の部分と上あご部材12の基端側の部分とが互いに直接的にヒンジピン15によって回動可能に連結されており、上記第1の実施の形態のブラケット13、14が省略されている。そして下あご部材11の上縁には突張り棒63の断面がコ字状の保持部64がまたぐようにして摺動可能に取付けられている。この突張り棒63の上端部は、上あご部材12の下面であって基端部の近傍の傾斜して配列されている係止凹部20、21、22に選択的に係合されるようになっており、これによって下あご部材11に対して上あご部材12を開いた状態で維持するとともに、上あご部材12の回動角度を調整できるようにしている。
【0030】
このような構成においても、口腔を拡張して開いた状態で、歯科治療、口腔内の施術、手術等を安全に行なうことが可能になる。
【0031】
次にさらに別の実施の形態を図9および図10によって説明する。この実施の形態は全体が一体成形されており、下あご部材11の基端側の部分と上あご部材12の基端側の部分がそれらの両側において一体的に連結された構造になっている。また下あご部材11と上あご部材12との間には突張り棒67が一体的に連結された状態で取付けられている。
【0032】
このように本実施の形態の口腔拡張具は、全体が連続する一体構造をなしており、可動部を有していない。そして下あご部材11に対して上あご部材12は開放された位置を常に維持するようにしている。なおこのような一体構造の口腔拡張具は、患者の口腔の大きさに応じて各種のサイズのものが予め用意されており、患者の口腔の大きさに応じて適宜選択されて使用される。なお下あご部材11に対する上あご部材12の角度についても、予め複数種類の口腔拡張具を用意しておくことによって、最適なサイズおよび角度のものを患者の口腔内に装着して使用できるようになる。
【0033】
次に本願発明のさらに別の実施の形態を図11〜14によって説明する。この実施の形態は、口腔の外側であって口を開いた顔面のあごの外表面上に装着されるようにした口腔拡張具に関するものである。
【0034】
この実施の形態の口腔拡張具もまた、下あご部材11と上あご部材12とを備え、ともにほぼU字状の形状をなしている(図11および図12参照)。上あご部材12の両端にはそれぞれブラケット14が固着されており、このブラケット14の下方に取付けられたヒンジピン15によって下あご部材11が回動可能に連結されている。なおブラケット14を上あご部材12に取付ける代わりに、下あご部材11に取付けるようにしてもよい。また上あご部材12の上記ブラケット14の取付け位置の近傍には左右にそれぞれ突張りレバー18がピン19を介して回動可能に取付けられており、突張りレバー18は先端部が下あご部材11の係止凹部20〜22の何れかに選択的に係合するようになっている。下あご部材11の係止凹部20〜22が形成された位置には、その両側にそれぞれ押え板72が取付けられている。なお係合凹部の数については、任意に増減可能である。
【0035】
上記下あご部材11上には、その長さ方向に沿って摺動可能に下側の保持枠75が取付けられている。保持枠75にはその上端に歯受け76が固着されている。この歯受け76は、下側の歯31〜37の何れかを上から押えるようにするものである。一方上あご部材12にはその長さ方向に沿って摺動可能に保持枠77が取付けられている。この保持枠77には、上側の歯41〜47の下面を受ける歯受け78が取付けられており、この歯受け78によって上側の歯の底部を押えるようになっている。
【0036】
このような口腔拡張具は、図13に示すようにして使用され、下あご部材11と上あご部材12とがそれぞれ顔面であって下あごの外側の部分および上あごの外側の部分に位置するように顔面に装着される。そして下あご部材11に対して上あご部材12がヒンジピン15を中心として上方に回動されるとともに、下あご部材11と上あご部材12との任意の回動位置において、突張りレバー18が下あご部材11の複数の係止凹部20〜22の内の何れかに係合され、これによってこの口腔拡張具が開かれた状態に維持される。しかも下側の下あご部材11の上に摺動可能に取付けられている保持枠75を任意の位置に移動させ、歯受け76によって下側の歯列の任意の歯31〜37の内の何れか、例えば第2小臼歯35を押える。また上あご部材12の長さ方向に沿って保持枠77も移動させ、この保持枠77に保持されている歯受け78によって上側の歯列の歯41〜47の内の1つ、例えば第2小臼歯45を図14Aに示すように受ける。これによって、患者の口が開いた状態で口腔が拡張した状態を維持するようになる。
【0037】
このような構成は、下あご部材11と上あご部材12から成る口腔拡張具の大半の部分が口の外側に位置するために、口腔内の治療や施術あるいは手術の際にこの口腔拡張具が邪魔にならない。またこのような構成は、口腔拡張具が、口腔内の治療や施術の際に、体液、血液、薬品等によって汚損され難いようになる。
【0038】
次に図14Bによって本実施の形態の変形例を説明する。この変形例は、保持枠77によって保持される歯受け78が、図14Bにおいて左右の方向、すなわち上側の歯列の歯の配列方向と直交する方向に出没自在に摺動可能になっている。このような構成によると、歯受け78によって受ける歯の図14Bにおける横方向の寸法に応じて、歯受け78の突出量を調整することができ、歯列の方向と直交する方向の寸法の異なる任意の歯41〜47を最適な状態で受けることが可能になる。
【0039】
以上本願発明を図示の実施の形態によって説明したが、本願発明は上記実施の形態によって限定されることなく、本願発明の技術的思想の範囲内において各種の変更が可能である。例えば口腔拡張具を構成する下あご部材11、上あご部材12、ブラケット13、14、突張りレバー18、突張り棒63等の材料についても、プラスチック、金属、その他各種の材料を任意に選択することが可能である。また図11〜図13に示す実施の形態において、下あご部材11および上あご部材12に2つ以上の歯受け76、78をそれぞれ取付けてよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本願発明は、歯科治療、口腔外科治療、施術、手術等のために口腔を拡張状態で維持するための口腔拡張具として利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
11 下あご部材
12 上あご部材
13 ブラケット(下)
14 ブラケット(上)
15 ヒンジピン
18 突張りレバー
19 ピン
20〜22 係止凹部
31 中切歯
32 側切歯
33 犬歯
34 第1小臼歯
35 第2小臼歯
36 第1大臼歯
37 第2大臼歯
41 中切歯
42 側切歯
43 犬歯
44 第1小臼歯
45 第2小臼歯
46 第1大臼歯
47 第2大臼歯
51 エナメル質
52 セメント質
53 歯根膜
54 象牙質
55 歯髄
56 歯槽骨
57 歯肉(歯茎)
58 血管
60 凹部
63 突張り棒
64 保持部
67 突張り棒
72 押え板
75 保持枠(下)
76 歯受け(上)
77 保持枠(下)
78 歯受け(上)
79 摺動保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内の下側の歯列の外側の歯肉の凹部を押す下あご部材と、
口腔内の上側の歯列の外側の歯肉の凹部を押す上あご部材と、
前記下あご部材と前記上あご部材とが互いに離間して口腔を拡げるように開いた状態で維持する維持手段と、
を具備し、前記下あご部材と前記上あご部材とがそれぞれ下側の歯列と頬肉との間および上側の歯列と頬肉との間に装着される口腔拡張具。
【請求項2】
前記下あご部材と前記上あご部材とが互いに回動可能にヒンジ機構によって連結されている請求項1に記載の口腔拡張具。
【請求項3】
前記下あご部材と前記上あご部材とがそれぞれU字状に湾曲されたバーから構成され、前記下あご部材と前記上あご部材の基端部にそれぞれブラケットが連結され、しかも前記下あご部材のブラケットと前記上あご部材のブラケットとがピンによって回動可能に連結されて前記ヒンジ機構を構成している請求項2に記載の口腔拡張具。
【請求項4】
前記下あご部材のブラケットと前記上あご部材のブラケットの内の一方に突張りレバーが回動可能に取付けられ、該突張りレバーの先端部が前記下あご部材のブラケットと前記上あご部材のブラケットの内の他方に設けられた係止部に係止されて前記維持手段を構成する請求項3に記載の口腔拡張具。
【請求項5】
前記下あご部材のブラケットと前記上あご部材のブラケットの内の他方の複数箇所に係止部が設けられ、前記下あご部材と前記上あご部材の開口量が調整可能である請求項4に記載の口腔拡張具。
【請求項6】
前記下あご部材と前記上あご部材の内の一方に突張り棒が摺動可能に取付けられ、該突張り棒が前記下あご部材と前記上あご部材の内の他方に設けられた係止部に係止されて前記維持手段を構成する請求項2に記載の口腔拡張具。
【請求項7】
前記下あご部材の基端部と前記上あご部材の基端部とが互いに一体的に連結されるとともに、前記下あご部材と前記上あご部材との間に突張り棒が一体的に連設されて一体構造をなす請求項1に記載の口腔拡張具。
【請求項8】
口腔内の下側の歯列の所定の歯を押える下あご部材と、
口腔内の上側の歯列の所定の歯を押える上あご部材と、
前記下あご部材と前記上あご部材とが互いに離間して口腔を拡げるように開いた状態で維持する維持手段と、
を具備し、前記下あご部材と前記上あご部材とがそれぞれ下あごの外側であって頬の外表面上および上あごの外側であって頬の外表面上に装着される口腔拡張具。
【請求項9】
前記下あご部材と前記上あご部材とがそれぞれU字状に湾曲されたバーから構成され、前記下あご部材と前記上あご部材の内の少なくとも一方にブラケットが連結され、しかも前記下あご部材と前記上あご部材の内の他方がピンを介して前記ブラケットに回動可能に連結されて開閉可能に構成され、前記下あご部材と前記上あご部材の内の一方に突張りレバーが回動可能に取付けられ、該突張りレバーの先端部が前記下あご部材と前記上あご部材の内の他方に設けられた係止部に係止されて前記維持手段を構成する請求項8に記載の口腔拡張具。
【請求項10】
前記下あご部材および前記上あご部材にそれぞれ摺動可能に1つまたは2つ以上の歯押え部材が取付けられ、前記下あご部材の歯押え部材が下側の歯列の歯を押えるとともに、前記上あご部材の歯押え部材が上側の歯列の歯を押える請求項9に記載の口腔拡張具。
【請求項11】
前記下あご部材および前記上あご部材に摺動可能に取付けられている歯押え部材が歯列の方向と直交する方向に移動調整可能である請求項10に記載の口腔拡張具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−254212(P2012−254212A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129394(P2011−129394)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(501238210)エース・トゥワン・グループ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】