説明

口腔用マウスピース及びその使用方法

本発明は、概して、ユーザーの口又は中咽頭へ流体を送り込むための口腔用器具又はマウスピースに関する。一つの実施形態においては、該口腔用器具は、口腔内部分と、口腔外部分と、該口腔用器具を安定させる機能を果たす補助支持器具とを備えている。種々の実施形態において、該補助支持器具は、耳用ループと支持バンドと支持フレーム及び/又は支持部材とによって形成されている。前記の口腔内部分は、概ね少なくとも1つの出口ポートを備えており、該出口ポートを介して流体が口腔又は中咽頭へと送り込まれる。該口腔用器具を使用して流体を計量分配する方法も提供されている。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔用器具に関し、特に、少なくとも1つの物質又は刺激薬を給送するために使用されるマウスピースに関する。
【0002】
(関連出願)
本願は、2010年3月5日に出願されたOral Mouthpiece and Method for Use Thereof(口腔用マウスピース及びその使用方法)という名称の米国仮特許出願第61/311,145号、及び2010年11月24日に出願されたOral Mouthpiece and Method for Use Thereof(口腔用マウスピース及びその使用方法)という名称の米国仮特許出願第61/417,041号に基づく優先権を主張している。これらの特許出願の全開示内容は、これらに言及することにより本明細書に参考として組み入れられている。
【背景技術】
【0003】
嚥下は、統合脳幹回路網の出力が咽頭期嚥下として記載されるパターン化された動作シーケンスを生じさせる複雑な現象である。幾つかの種類の証拠はこの延髄性嚥下回路網を活性化する際に咽頭中央部のセンサ入力の重要性を立証して来たけれとも、嚥下を惹き起こすのに必要且つ十分な求心性パターンの範囲は十分に解明されていない。上喉頭神経(SLN)又は舌咽神経(GPNph)の咽頭枝によって刺激される受容野の刺激作用は、咽頭嚥下を惹き起こすか又は変えるのに特に有効であることが判明しており、これらの反射発生性領域は、喉頭蓋及び披裂、咽頭側壁、後扁桃柱、及び扁桃周囲領域を含む咽頭粘膜に相当する。
【0004】
人間の場合には、前口峡柱が嚥下のための最も反射性高い部位であると歴史的に考えられて来た。しかしながら、咽頭嚥下は食塊頭が老人を含む健常な大人の前口峡柱を通過した後に始まるという最近の発見は、更に後方の咽頭領域の刺激作用が嚥下の開始を容易にさせる助けとなることを示唆している。嚥下の顕在化における更に後方の咽頭口腔部領域の重要性もまた、人間の後扁桃柱並びに口蓋の個別領域、咽頭及び喉頭蓋がGPNph及びSLNの内枝によって形成される密叢によって刺激されるという解剖学的証拠によって示唆されている。嚥下のためのSLN/GPNphの両方の神経支配領域と反射発生性領域との空間的な対応関係は、嚥下はGPNph及びSLNの両方によって刺激される領域の刺激によって最も容易に顕在化されるという推測につながった。多数の受容野内における一次求心性を常に励起させる動的刺激は、静的刺激よりも嚥下を更に容易に誘発することがわかる。
【0005】
嚥下を惹き起こす試みにおいて種々の刺激の種類が適用されて来た(再検討のために、miller,1999を参照のこと)。特に30〜50Hzの刺激周波数でのSLN又はGPNの繰り返しの電気的刺激によって、多数の動物種における嚥下が惹き起こされる。このことは、刺激の繰り返し性及び繰返し速度が嚥下の引き出しにおいて重要な変数であることを示唆している。もっと最近においては、人間(14)における咽頭運動皮質の表れの興奮性と大きさとの両方を増大させ且つ嚥下障害患者がストロークに続く嚥下を補助する咽頭の電気的な刺激が報告されて来た。機械的及び化学的刺激は、動物種における嚥下を惹き起こすことができる。人間における前扁桃柱の低温機械的刺激作用の報告は多様であり、幾人かの筆者は、嚥下の潜在性の減少及び嚥下頻度の増大を報告しており(16)、他の筆者は、食塊の口腔咽頭通過、食道の強調、又は嚥下の一時的パターンに対するこのタイプの刺激の作用を見つけていない。3つの研究によって、嚥下ストローク障害患者の小さな検体における前扁桃柱に適用される低温の機械的刺激作用が検査された。これらの研究によって、幾人かの患者においては、関連する吸引の減少が無い状態で口腔咽頭嚥下の遅延を減じるという点について測定された短期間の嚥下補助が報告された。嚥下生理学のみならず栄養及び呼吸保健に対する口腔咽頭過敏化の潜在的な長期間に亘る作用を調べる長期間の研究は報告されていない。味覚刺激作用についての報告も多様である。酸味のある食塊は発作時の嚥下を補助することが報告されている。幾人かの著者は、嚥下の潜在性は、機械、低温、味覚(酸味)の刺激の組み合わせによって著しく減じられることを報告しているのに対して、他の著者は、低温プラス酸味の食塊が嚥下の速度を遅くすることを報告している。
【0006】
空気−パルス列もまた、咽頭嚥下を促進する刺激と考えられて来た。例えば、単一空気−パルスは、GPNph及びSLNの両方によって刺激される領域を含む多数の受容野に適用できる動的刺激である。更に、空気−パルス列は、特定の周波数及び特定の圧力で適応できる繰り返しの刺激を表わしている。例えば、米国特許出願2010/0016908号に開示されているような空気−パルス列を送り込むための幾つかの器具が示唆されて来ている。該米国特許出願の全開示内容は、これに言及することによって本明細書に参考として組み入れられている。空気−パルス列は、種々の器具によって位置決めされ且つ固定される口腔用器具によって口腔へ導かれる。例えば’908公開公報には、一つの実施形態において“オーバー・ザ・イヤ”型口腔器具が記載されており、この器具は、空気−パルス列を送り込む可撓性のチューブがユーザーの耳のまわりを取り巻く構造とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、特許請求の範囲によって規定されており、この節における記載はいずれも特許請求の範囲に対する限定と考えられるべきではない。
【0008】
本発明の特徴の一つにおいては、口腔用器具すなわちマウスピースが、刺激薬(例示であり且つ液体に限られない)をユーザーの口又は中咽頭へ送り込むために提供されている。一つの実施形態においては、口腔用器具は3つの部分、すなわち口腔内部分と口腔外部分と補助支持器具とを備えている。補助支持器具は、2つの耳用ループ(すなわち、マウスピースの右側及び左側に配置されている)又はユーザーの頭を取り巻くバンドを備えており、これは該口腔用器具を安定させる機能を果たす。一つの実施形態においては、該耳用ループは編み上げられた弾性材料である。口腔内部分は、概ね少なくとも1つの出口ポートを備えており、該少なくとも1つの出口ポートを介して、少なくとも1つの薬剤又は刺激薬が口腔又は中咽頭に送り込まれる。一つの実施形態においては、該口腔外部分は、概ね、制御装置(すなわち、前記の“薬剤”を発生する装置)に結合されている少なくとも1つの(近位の)入口ポート(又はコネクタ)と、口腔用器具の口腔内部分につながっている少なくとも1つの遠位端とを備えている。
【0009】
他の実施形態においては、前記の補助支持器具は1以上の支持フレーム又は部材を備えており、該支持フレームとしては、限定的ではないが、Y字形状の管、U字形状のフレーム、又は上唇の上又は上唇においてユーザーの顔に係合する横断方向に延びている支持部材がある。
【0010】
他の実施形態においては、前記の口腔用マウスピースは、一対の横断方向において互いに隔置されていて口腔内導管を形成している口腔内部分を備えており、該口腔内部分の各々が、少なくとも1つの流体パルスを計量分配するようになされている少なくとも1つの出口ポートと、該口腔内部分の各々と一体に形成されている口腔外部分とを備えている。該口腔外部分は、口腔内部分とつながっている一対の隔置されている唇湾曲部と、該唇湾曲部から下方へ延びている一対の顎部分とを備えており、該顎部分は、ユーザーの顎の下に位置決めすることができるループを形成している。該口腔用マウスピースは、補助支持器具と共に/又は補助支持器具無しで配備される。
【0011】
もう一つ別の特徴においては、流体をユーザーの口の中の所定の位置へ流体を送り込む方法は、歯列の外側と頬の内側面との間に可撓性のチューブを配置するステップと、該可撓性のチューブを、該可撓性のチューブとは別個であり該可撓性のチューブと異なる材料によって作られている補助支持器具によってユーザーに固定するステップと、流体を出口ポートから計量分配するステップと、を含んでいる。
【0012】
該種々の口腔用器具及びその使用方法は種々の利点を提供する。例えば限定的ではないが、該口腔用器具は、ユーザーの顔に突き当たることなく且つユーザー上に位置決めされている眼鏡又は補聴器具のような他のアクセサリと干渉することのない信頼性の高い方法で、ユーザー上に容易に且つ確実に位置決めできる。
【0013】
上記の各パラグラフは、一般的な導入として提供されたものであり、特許請求の範囲の範囲を限定することは意図していない。種々の好ましい実施形態は、更なる利点と共に、添付図面と組み合わせてなされている以下の詳細な説明を参考にすることによって最も良く理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下、本発明を添付図面を参照して実施例のみによって説明する。
【0015】
【図1】図1は、本発明の口腔用マウスピースの平面図である。
【0016】
【図2】図2は、作動位置に配置されている図1の口腔用マウスピースを装着しているユーザーの前面図である。
【0017】
【図3】図3は、本発明の口腔用マウスピースの代替的な実施形態の平面図である。
【0018】
【図4】図4は、作動位置に配置されている図3の口腔用マウスピースを装着しているユーザーの前面図である。
【0019】
【図5】図5は図4のユーザーの側面図である。
【0020】
【図6】図6は、図1に示されているものと似ているが複数のポートを示している本発明の口腔用マウスピースの代替実施例の平面図である。
【0021】
【図7】図7は、本発明の口腔用マウスピースの別の実施形態の斜視図である。
【0022】
【図8】図8は、実験プロトコルの概略表示図である。
【0023】
【図9】図9は、マウスピースの遠位端から複数の距離で測定した供給圧対表面圧のグラフである。
【0024】
【図10】図10は、5ミリ秒パルスについての供給圧対給送体積のグラフである。
【0025】
【図11】図11は、唾液嚥下率を示しているグラフである。
【0026】
【図12】図12は、空気−パルス列継続時間の作用を示しているグラフである。
【0027】
【図13】図13は、空気−パルス列 継続時間対疑似吹き出しのグラフである。
【0028】
【図14】図14は、空気−パルス振幅の作用を示しているグラフである。
【0029】
【図15】図15は、空気−パルス振幅対疑似吹き出しのグラフである。
【0030】
【図16】図16は、空気−パルス周波数の作用を示しているグラフである。
【0031】
【図17】図17は、空気−パルス周波数対疑似吹き出しのグラフである。
【0032】
【図18】図18は、グループ別嚥下率を示している柱状グラフである。
【0033】
【図19】図19は、代替実施形態による口腔用器具の平面図である。
【0034】
【図20】図20は、図19に示されているY字管の斜視図である。
【0035】
【図21】図21は、図20に示されているY字管の前面図である。
【0036】
【図22】図22は、図20に示されているY字管の頂部斜視図である。
【0037】
【図23】図23は、図20に示されているY字管の側面図である。
【0038】
【図24】図24は、代替実施形態による口腔用器具の部分斜視図である。
【0039】
【図25】図25は、ユーザーに装着されている図24に示されている口腔用器具の側面図である。
【0040】
【図26】図26は、ユーザーに装着されている図24に示されている口腔用器具の前面図である。
【0041】
【図27】図27は、代替実施形態による口腔用器具の部分斜視図である。
【0042】
【図28】図28は、ユーザーに装着されている図27に示されている口腔用器具の斜視図である。
【0043】
【図29】図29はY字管の代替実施形態の斜視図である。
【0044】
【図30】図30は、図29に示されているY字管の一方の側面の部分端面図である。
【0045】
【図31】図31は、代替実施形態による口腔用器具の斜視図である。
【0046】
【図32】図32は、図3に示されている口腔用マウスピースの前方斜視図である。
【0047】
【図33】図33は、図32に示されている口腔用マウスピースの頂面図である。
【0048】
【図34】図34は、ユーザーに装着されている図32に示された口腔用マウスピースの前面図である。
【0049】
【図35】図35は、ユーザーに装着されている図32に示された口腔用マウスピースの側面図である。
【0050】
【図36】図36は、図33に示されている口腔用マウスピースの代替的な頂面図である。
【0051】
【図37】図37は、図7に示されている口腔用マウスピースの頂面図である。
【0052】
【図38】図38は、ユーザーに装着されている図37に示された口腔用マウスピースの側面図である。
【0053】
【図39】図39は、ユーザーに装着されている図1に示された口腔用マウスピースの前面図である。
【0054】
【図40】図40は、ユーザーに装着されている図29に示されている口腔用マウスピースの側面図である。
【0055】
【図41】図41は、補助支持器具が固定されていない図1に示された口腔用マウスピースの側面図である。
【0056】
【図42】図42は、図41に示されている口腔用マウスピースの前面図である。
【0057】
【図43】図43は、補助支持器具が固定されている図42に示されている口腔用マウスピースの前面図である。
【0058】
図44は、口腔用マウスピースの一実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1,2及び39〜43を参照すると、口腔用マウスピースの一実施形態が全体を符号10で示されている。口腔用マウスピース10は、口腔内部分12、口腔外部分14、及び本実施形態においては耳用コネクタ18として形成されている補助支持器具を備えている。口腔外部分14は供給部分16を備えている。口腔内部分12は口腔内導管を形成している。口腔外部分14は口腔外導管を形成している。口腔内導管は口腔外導管と流体連通状態にある。
【0060】
マウスピース10の口腔内部分12は、ユーザーの右側又は左側の口角又はすなわち口の隅部において口の中へ入る。口腔内部分12は、口の右側又は左側で、口腔前庭又は前庭、歯の側部、頬の中央に沿って延びている。口腔内内側の長さは、大人の人間のユーザー用の場合典型的には20mm〜50mmであり、小児ユーザー用の場合には更に短かい。口腔内部分の長さは、口腔外区分と流体連通状態にある口腔内部分を補助支持器具に対して進入させるか又は後退させることによって改造することができる。このことはユーザー特有の口腔の解剖学的構造に適合するように口腔内部分を改造することができる点で該器具の利点である。口腔内部分又は口腔内側12は、出口ポート20において尾状に終端しており、その結果、薬剤又は物質又は食塊は、この出口ポート20から右側及び左側の口腔後方又は中咽頭の全領域内へ送り込まれる。
【0061】
一つの実施形態においては、口腔内部分12は、口腔前庭内を上方へ尾状に配向されており、その結果、出口ポート20は使用時に上顎の小臼歯又は大臼歯の横に配置される。口角におけるその起点から上方向に角度が付けられている口腔内部分又は口腔内側12を有することによってもたらされる一つの利点は、マウスピースの出口ポート20が、下顎の歯列弓領域に溜まった唾液と接触する状態とならない点である。しかしながら、マウスピースの口腔内部分12は、口腔構造及び歯生状態を含むユーザー固有の状態及び条件に応じて、水平面に対して種々の角度で配向させて下顎の大臼歯の側部に又は咬合面に沿って出口ポート20を位置決めする手段を提供する。
【0062】
別の特徴においては、マウスピース10の口腔内部分12は、ユーザーの矢状面に対して種々の角度で傾けられ且つこの主要な矢状面からずれた向きに沿って優しく湾曲せしめられており、その結果、口腔前庭の本来の輪郭及び上顎又は下顎の歯列弓に沿い、ユーザーにとって最適な心地良さを提供する。口腔内部分12の概ねの向き及び局部的な湾曲は、マウスピース10の製造された外形として提供される。別の方法として、マウスピースは、口腔内部分12のこれらの外形を、医師、介護者、又はユーザーが手動によって成形することができるように提供される。マウスピース口腔内の外形を配向させ且つ湾曲させる機能は、口の左側及び右側上でマウスピースの口腔内部分12内に嵌め込まれる細い順応性のあるワイヤによって提供される。このことは、マウスピースを個々のユーザー固有の解剖学的構造に適合するように成形する手段をユーザー又は介護者に提供するという利点を表わしている。
【0063】
もう一つ別の特徴においては、マウスピースの口腔内部分12及び口腔外部分14は、使用中にユーザーの口の右側口角及び左側口角又は隅部に位置決めされるマウスピースの右側及び左側すなわち対をなしている第一のループ状領域22として連続している。唇の湾曲を形成しているこれらの2つのループ状領域は、口角の高さにおけるユーザーの軸線方向の面すなわち水平面とほぼ平行に向けられている。
【0064】
マウスピースの口腔内部分12と口腔外部分14とが口角において合致するループ状の領域22は、補助支持器具の取り付け部位又は起点部位を提供している第二の口腔外のループ状又は湾曲領域24とつながっている。他の実施形態においては、ループ状領域24は省略されていても良い。一つの実施形態においては、補助支持器具は、マウスピース10の右側及び左側に取り付けられている耳用コネクタ18として形成されている。耳用コネクタ18は、口腔内部分又は口腔外部分と異なる材料によって作られている耳用ループとすることができる。一つの実施形態においては、該耳用ループは編み上げられた弾力性の耳用ループである。第二のループ状領域24は、マウスピースの右側及び左側においてユーザーの矢状面に対して約45度に傾けられている。使用時には、第二のループ領域24は、右側及び左側において口角のすぐ隣で顔を覆うように位置し、ユーザーの耳に結合できるように後方/又は上方に延びていない。これらのループ領域24はむしろ、マウスピースの右側及び左側の耳の周りの柔らかい弾性の耳用ループ18のような補助支持器具のための起点を提供している。口腔内部分に対する向きによって、これらの耳用ループの起点部位及びそれに関連する耳用ループは、口腔内部分12を口から引っ張る弾性傾向が無い状態で口腔内部分12を安定化させる手段を提供している。これらのループ領域22及び24は、連絡領域と連続しており、該連絡領域は、第二のループ状にされた部分の下側の外形から下方向に約30mm〜100mmに亘って延びており、次いで、ユーザーの正中面に向かって中央へ湾曲して顎用ループを形成している。マウスピースの右側部分と左側部分とが中心に近づくと、これらの部分は、Y型コネクタ26と接合して薬剤を第一の入口柱部からマウスピースの右側及び左側の口腔内部分へと給送する手段を提供している。
【0065】
一つの実施形態においては、Y型コネクタ26はマウスピース10の供給部分16に接続されており、該マウスピースの供給部分は約90cmに亘って続いている。供給部分16の長さは、図44に示されているように、約0.50メートル〜約2.0メートルに亘って延びていても良い。比較的長い供給部分16は、マウスピースのユーザーが流体制御ユニットに対して自由に適正に動くことができるという点において一つの利点である。例えば、マウスピースのユーザーは、流体制御ユニットがベッドの頭部又は側方レール上に取り付けられている状態で病院のベッドに横になった状態と座った状態との間を移動することができる。この特徴は、健康管理及び家庭内設置でのマウスピースシステムの医療用途を増大させる。供給部分のチューブの端部には、雄型ルアーコネクタが設けることができる。別の方法として、低圧一方向逆止弁型ルアーコネクタ17が設けられる。これは、制御ユニットが、チューブ16を通り抜ける流体、体液、又は別のものによって汚染されるのを防止する。逆止弁17は、マウスピース内の流れを減らし、流速を2.4〜2.5リットル/分まで低下させる。この流れは、2.0リットル/分より高く維持される。周波数及び振幅は逆止弁の介在によって影響を受けない。
【0066】
制御ユニット28が、マウスピース10の供給部分16の遠位端に接続されている。制御ユニット28は、少なくとも1つの薬剤を発生させるか又は少なくとも1つの薬剤をマウスピース10の供給部分16へ送り込む。前記Y型コネクタは、頬/顎を通り過ぎて延びて患者がマウスピースを取り払う傾向を最少にするように調節できることが好ましい。しかしながら、例えば顔及び口の周りへの接触に極めて敏感な患者におけるように比較的長い部分14が望ましい場合がある。
【0067】
図3〜5及び32〜36に示されている別の実施形態においては、連続している顎用ループ又は領域30が設けられており、該ループ又は領域は、図4及び32において最も良くわかるように、右側の弾性取り付けループ24(図3〜5に示されている)から延び且つユーザーの顎の高さの下へと延びており、顎のすぐ前の中心線を横切り、顔の他方の側まで延び、そこで上方へ延びて左側の弾性取り付けループ24として続いている。
【0068】
もう一つ別の特徴においては、補助支持器具の一つの実施形態は、上記したマウスピース10の口腔外部分14の第二のループ状にされた外形24に取り付けられる耳用ループ18として形成されている。一つの実施形態においては、耳用ループ18は、編み上げられたナイロンポリエステル樹脂によって作られており、長さが4cm〜25cmであり且つ幅が1mm〜7mmである。耳用ループ18は、マウスピース10の第二の湾曲部分24上の単一の部位から始まっている。この耳用ループ24によってもたらされる幾つかの利点がある。一つの実施形態においては、該補助支持器具特に耳用ループ又はヘッドバンドは、口腔外部分及び/又は口腔内部分よりも従順であるか又は可撓性である(剛性が低い)。例えば、耳用ループ又はヘッドバンドは、例えば熱成形されたチューブによって作られた口腔内部分及び口腔外部分よりも弾性係数が遙かに低い。該耳用ループ又はヘッドバンドは、使用中にマウスピースを安定化する手段を提供する。耳用ループは、ナイロンポリエステルのような軟らかい編み上げられた弾性材料によって作られているので伸びることができ、その結果、マウスピースは効率良く且つ心地良く安定化され且つ頭蓋及び顔構造が異なる個々の人に装着され得る。軟らかい編み上げ材料は、マウスピースが顔又は耳介の毛の生えた皮膚に不快感又は組織の損傷を惹き起す可能性を減らす。編み上げられた弾性の耳用ループの狭い幅及び展延性/可撓性は、該耳用ループが、オーバー・ザ・イヤ補聴器又は眼鏡のオーバー・ザ・イヤ部分と干渉しない点において別の利点である。このことは、マウスピースのユーザーには先天性症候群又は病気の結果として眼鏡及び補聴器を必要とする老人並びに小児ユーザーが含まれるので、特に重要である。軟らかい編み上げられた耳用のループは、マウスピースが長期間亘って使用されるときでさえユーザーに心地良さを付与する。
【0069】
使用時に、点20,22,24における幾らかの可撓性は、種々の形状及び大きさの顔に対する、マウスピースの適合性、効果、心地良さを改良する手段を提供する。顎用部材30(図3〜5に示されている)及び口腔外部分14(図1及び2に示されている)におけるある程度の展延性もまた、口角に向かって立ち上がっている2つの部分の改良された位置決めを許容する点で有利である。
【0070】
編み上げられた耳用ループ18のもう一つ別の利点は、多くのユーザー、介護者、及び医師が、医療用マスクに設けられている耳用ループによる事前の経験によってこれらの耳用ループに親しんでいる点である。従って、耳用ループ18は、編み上げられた耳用ループのあたりでの処置に対して一般的に親しんでいることによって、ユーザーによるマウスピースの容易な位置決めを補助する。編み上げられた耳用ループを以前に使用したことがないユーザーの場合でさえ、耳用ループの周りに直感的な部品があり、これは素朴なユーザーが耳用ループの周りに正しく位置決めできる可能性を増す。
【0071】
マウスピース10は、可撓性のチューブ例えばユーザーの顔の両側に位置決めされる構造とされている一対の可撓性のチューブによって作られている。該口腔器具は、例えば薬剤を口又は中咽頭の一方の側部へ送り込む目的でユーザーの顔の一方の側部に位置決めされる単一のチューブのみを備えていても良い。これは、例えば、口腔癌のために片側に外科手術を受けた患者、又は顔、口、又は中咽頭の片側に感覚障害がある場合に有利である。
【0072】
該可撓性のチューブは、所定の形状に形成することができるがユーザーの顔及び口に合致する何らかの可撓性及び機能を有しているチューブによって作られている。該チューブは、管腔を形成している1/8インチ(3.175ミリメートル)の外径と、1/16インチ(1.588ミリメートル)の内径とを有している。種々の実施形態においては、口腔内部分及び/又は口腔外部分は種々の材料によって作られ、該材料としては、限定的ではないが、ポリウレタン、ポリエチレン、PVC、シリコーン、ラバー、又はその他の適当且つ生体適合性の材料、及び/又はこれらの組み合わせがある。一つの実施形態においては、該チューブは、オハイオ州アクロンにあるSaint-Gobain(セイント−ベイン)から入手できるTYGON(タイゴン:登録商標)MPF−100によって作られた1.6mmID(内径)×3.2mmOD(外径)のチューブである。
【0073】
口腔内部分12は該口腔内部分12の遠位端に配置されているポート20に加えて複数のポート40が設けられていることが当業者にわかるであろう。
【0074】
図7,37及び38を参照すると、これらの図に示されており且つUS 2010/0016908及びWO 2009/12794に詳しく記載されている口腔器具50は耳用ループ52として示されている補助支持器具を付け加えることによって改良することができるが、これらの特許出願公開公報は、両方ともこれらに言及することにより本明細書に参考として組み入れられている。耳用ループ52は、上記したものと似ているが、口腔外部分54が口腔内部分56に接合する場所の近くにおいて口腔外部分54に取り付けられている。一方、耳用ループ52は口腔器具50をユーザーに固定形態で固定する機能を果たす。耳用ループが無い場合には、この実施形態は、対象者が自分の口を開けたときに位置が動き、口/唇が弱い患者の場合には、マウスピース50が使用中に位置が動くという欠点を有する。
【0075】
図19〜23、29〜30、及び44を参照すると、口腔器具のもう一つ別の実施形態が示されている。該口腔器具は一対の横方向に配置されている口腔内部分112を備えており、該口腔内部分は、各々が少なくとも1つの流体パルスを分配投与するようになされている少なくとも1つの出口ポート120を備えている口腔内導管を形成している。口腔外部分114が前記の内腔内部分の各々と一体に形成されている。該口腔外部分は口腔内導管と流体連通している口腔外導管を規定している。補助支持器具がY字管を備えている。一つの実施形態においては、該Y字管は一対のアーム部分134と入口部分136とを備えているY字形状フレーム132として形成されており、アーム部分134と入口部分136との各々には、口腔外部分が配置され且つ固定されている溝又はチャネルが形成されている。図23に示されているように、前記アーム部分は入口部分から後方へ湾曲している。一つの実施形態においては、該アーム部分は約20〜60度の角度αで延びており、一つの実施形態においては約30〜45度の角度αで延びており、一つの実施形態においては38.5度の角度αで延びている。該フレームは口腔外部分を形成し且つ保持している。更に、アーム部分134の対の各々は取付け部材140を有する翼部を備えている。例えば限定的ではないが、弾性バンドとして形成されている少なくとも1つの固定部材142が取付け部材140に固定されている。該バンドは、ユーザーの頭を取り巻き且つY字管を定位置に配置し且つ保持する一対の耳用ループとして又は単一のヘッドバンドとして形成されている。
【0076】
図29及び30を参照すると、一つの実施形態において、翼部440は凹状湾曲部444を備えており、該凹状湾曲部は、Y字管のアームの端部442がユーザーの口へ延び且つチューブの口腔内部分を口の中に位置決めした状態でユーザーの唇又は口角と連結される。基本的には、端部442と取付け部材140とは、ユーザーの唇/口に押し付ける固定部材18によってかけられる力によって、Y字管を、ユーザー特にユーザーの唇/口に対して配置するために、それらの間に凹部446を備えている。図30を参照すると、翼部440の幅(W)は、組織との接触圧を低くするために、ユーザーの唇/口との接触領域における端部442と翼部440との接合部448において広くされている。
【0077】
図24〜26を参照すると、口腔器具のもう一つ別の実施形態は一対のチューブ200を備えており、チューブ200の各々が、口腔内部分及び口腔外部分を画成しており且つ概ね真直ぐな可能性のチューブとして形成されるか又は上記した唇湾曲部を備えている。横断方向に延びている支持部材230は、チューブ200に対して横断方向に延びており且つ口腔外部分214の上方に位置決めされている。支持部材230は、ユーザーの上唇の上方又は上唇の上方/上唇上においてユーザーの顔と係合している。支持部材230は、布状材料によって作られており且つ弾性であっても非弾性であっても良い。該支持部材は、一対のクリップ232によってチューブ200に結合されている。クリップ232は、チューブの周りに巻き付けられており、且つ取り付け部材、接着剤、又はこれらの組み合わせによって支持部材に固定されている。クリップ232は、ユーザーの上唇の周りに巻き付けられている唇湾曲部を備えている。少なくとも1つの固定部材242が支持部材の両端に結合されている。該固定部材は、一対の耳用ループとして又はヘッドバンドとして形成されている。使用時には、口腔内部分212は、ユーザーの上唇によって支持され且つ固定部材242によって上唇に固定保持された状態でユーザーの口の中に配置される。この器具は特に、顎の周り及び顎の下に疾患を有しているか又は敏感である人たちに適している。
【0078】
図27及び28を参照すると、補助支持器具のもう一つ別の実施形態は、ユーザーの顎の下に位置決めされる形状及び構造とされているU字形状のフレーム330を備えている。該フレームは、口腔外部分314に結合されている両端部332と、両端部332に結合されている少なくとも1つの固定部材342とを備えている。例えば、口腔外部分を形成しているチューブが、該端部内に形成されている穴344の中を通されて延びている。該U字形状のフレームは、プラスチック製のストリップのような可撓性で半剛性の材料によって作られている。口腔外部分314は、一体の固定部材を形成している耳用ループ316を備えるか、又は例えば図1の実施形態に示されているように顎に沿って下方へ延びていても良い。独立した耳用ループとして又はヘッドバンドとして形成されている少なくとも1つの固定部材342が、端部に付加的に固定されてもいても良く又は端部のための単独の支持部材であっても良い。該固定部材は該支持器具を定位置に確実に保持する。
【0079】
図31を参照すると、口腔器具のもう一つ別の実施形態500は一対の下方へ延びている口腔外入口部分502を備えており、これらの口腔外部分の各々には、耳用ループ又はヘッドハンドのような固定部材に結合されている取付け部材504又はループが形成されている。入口部分は穴508を含んでおり、穴508は補助口腔外チューブ506を収容できる形状及び大きさとされている。該口腔器具は更に、一体に形成されている口腔内部分510を備えており、これらの口腔内部分は、歯と内側頬/唇との間のユーザーの口の前庭内に位置決めされる形状及び外形とされている。口腔内部分は、口腔外入口部分従って入口部分に位置決めされたチューブ506と流体連通している。口腔内部分の端部には各々流体出口ポート512が形成されている。口腔内ブリッジ514が入口部分と口腔内部分との対向する対間に延びている。ブリッジ514は、湾曲しており且つ前庭内に位置決めされる形状及び大きさとされている。切欠き516すなわちクリアランス開口部がブリッジの中央/中間部分に形成されていて上顎唇小帯のための隙間を提供している。一つの実施形態においては、口腔内部分510とブリッジ514とは、入口部分502が下方へ延びている状態で上の歯とユーザーの頬との間に位置決めされる。もう一つ別の実施形態においては、口腔内部分は、入口部分が上方に延びている状態で下の歯と頬との間に位置決めされる。固定部材18例えば耳用ループ又はヘッドバンドが取り付け部材に結合されて該口該器具をユーザーに固定させる。該口腔器具は、成形されたラバー化合物又は別の場合にはここに記載されている種々のポリマーによって作れる。
【0080】
これらの実施形態の幾つかにおいては、ワイヤが、口腔内部分と口腔外部分とのどちらか又は両方を形成している可撓性のチューブの少なくとも一部分のある長さに沿って延びている。該ワイヤは該可撓性チューブに更なる形状記憶を提供する。例えば、ここに開示されている口腔器具は、ある長さの細いワイヤを該チューブ内に挿入し次いで該ワイヤを曲げることによって整形される。
【0081】
本発明の口腔用マウスピースの種々の実施形態によって実現される多くの利点がある。特に該マウスピースは、例えば限定的ではないが、耳の周りに適合する軟らかい弾性のループを含む補助支持器具によって使用中にユーザーによって安定化される。この利点は、(唇が衰弱している患者のように)会話中及びあくびをしているとき、食事中、咀嚼中、グラス又はストローで飲んでいるときに唇が開いているときでさえ、マウスピースの口腔内面を適切な位置に維持する手段を提供する。大切なことは、該マウスピースのこの特徴によって、マウスピースの口腔内部分が、人が使用中に咽頭に向かって又は他の方向に動くのを防止して器具の安全面を高める点である。
【0082】
補助支持器具を使用することによって、マウスピースが安定化され、マウスピースの安定化部品がユーザーによる苛立ちとわかり且つ長期間に亘る使用による組織の損傷が生じる可能性が低減される。
【0083】
ヘッドバンドと柔らかい弾性の耳用ループとは、位置決めに関して直感的である。なぜならば、これらは、ユーザーが以前に経験したことがある他の器具例えば医療用顔用マスクにおいて使用されるからである。ヘッドバンドと柔らかい弾性の耳用ループとは、操作が複雑ではなく患者が正しく位置決めできるのを容易にする。弾性のバンドはまた、幅が狭くて耳介の上及び周り又は頭蓋の後方の極めて小さい領域を占め、従って、眼鏡又はオーバー・ザ・イア型補聴器をかけている人が容易に位置決めし且つ使用するのを可能にしている。
【0084】
種々の実施形態においては、口の中心線領域を占めるマウスピースの材料が存在しない。むしろ、マウスピースの口腔内部分は、左側及び右側において口角として口の中に入り、中心線口腔領域を、会話、食事、飲用、及びその他の口の動きにおいて自由に係合できる状態のままとし、マウスピースの外観が、中心線口腔領域を占める器具の場合よりも社会的に更に適当であると考えられる状況を提供する。もちろん、導管は顎の中心線に沿って延び、次いで、口の左側及び右側へと分岐することが理解できるはずである。
【0085】
マウスピースを構成しているチュ−ブは、左側及び右側の口腔内部分が、右側と左側との間を連続している口腔外部分のように口角の位置で口の外側を延び且つ下方へ延び且つ顎の高さで横断方向に延びるように形成されている。該マウスピースのこの特徴の重要な利点は、マウスピースが嚥下されるのが阻止される点である。一つの実施形態においては、マウスピースのこの口腔外部分は、マウスピースを更に繋ぎ又は他の器具を取り付けるために使用できる。
【0086】
該マウスピースは比較的小さく且つ軽量である。一つの好ましい実施形態においては、該マウスピースは、設計の簡素さ、必要とされるチューブの最小長さ、弾性材料のような他の必要材料のコストの低減が付与されて、最小コストで容易に製造することができることが予期される。
【0087】
該マウスピースは、下顎領域においてマウスピースの口腔外部分から延びている所定長さのチューブを介して空気圧レギュレータの出力に容易に接続することができる。
【0088】
該マウスピースは、水平面上に配向されるループ形状で製造されるようになっており、口角の周りに適合する。該チューブのこの場所は、口角のすぐ横の口腔外に配置され且つユーザーの正中矢状面に対して約45度で配向される第二のループに隣接している。柔らかい弾性の耳用ループは、第二のループ状領域から始まり且つ耳介の上及び周りに延びている。この設計においては、弾性の耳用ループは、マウスピースの口腔内部分を直接引っ張ることなくこれらを移動させる。むしろ、弾性の耳用ループは、(上記した)第二のループ状領域を引っ張り、その結果、マウスピースの口腔内部分は使用中に静止したままである。
【0089】
該マウスピースは、他の口腔器具又は口腔器具の構成部品のための取り付け用プラツトホームを提供することができる。
【0090】
該マウスピースは口腔吸引カテーテルとして使用することができる。
【0091】
該マウスピースの口腔内部分は、口の中に挿入される器具の部分に関する合図をユーザーに提供する着色された部品として提供されている。該着色部品は、2つの口腔内区分及び/又は口腔外区分に異なる色で着色し且つこれらに関する使用説明書(例えば、緑=右、赤=左)を付与することによって形成され、該マウスピースは、正しく位置決めされ且つ上下逆さに位置決めされないように高い確実性を提供する。“右”及び“左”のアイコンも設けられると共に、配置中に指が配置されるべき位置を示す“指用アイコン“も設けることができる。
【0092】
ユーザーにマウスピースが使用中の典型的な顔上の載置位置を維持することができるようにさせる位置にマウスピースがある間、ユーザーは唇を閉じることができる。
【0093】
大切なことは、上の歯と下の歯との接触面間に配置されるマウスピースの材料が存在しないことである。上の歯と下の歯との間にかなりの距離があることは、器具が定位置にある状態で嚥下するユーザーの能力を低くするので、このことは有利である。
【0094】
舌の上面と口蓋との間には材料が存在しない。このことはまた、嚥下は、舌の上面と口蓋とが接近して摂取された物質を口から咽頭へ運ぶことを必要とするので、嚥下に関して有利な点である。
【0095】
マウスピースは、口腔内部分の内部又は口腔内部分の表面上又はユーザーの上唇と下唇の間を外方へ延びている口腔外部分上若しくは内部に、風味を付けた部材を設けることができる。この風味付けは、マウスピースの受け入れ性を増すと共に唾液の流れ及び嚥下を増進させる。
【0096】
マウスピースは小さく且つ持ち運び可能である。該マウスピースは、サイフ若しくは小さなキャリーバック内に適合させることができ、又は容易且つ清潔な持ち運びのための典型的な“サンドイッチバッグ”内に適合させることができる。
【0097】
ここに記載されているマウスピースを介して、口及び中咽頭へ送り込まれる薬剤としては、限定的ではないが、気体又は液体を含む流体がある。例えば、該マウスピースを介して空気が口腔後部及び中咽頭へ送り込まれる。この点に関して、我々の以前の研究並びに他の研究所による研究は、空気−パルス列を中咽頭に適用することによって若い人及び老人の唾液の嚥下率が高められ、人間の大脳皮質領域が活性化される。中咽頭の空気−パルスの効果すなわち嚥下困難障害発作時の唾液嚥下率の列継続時間、振幅、周波数を判定するため、及び、嚥下困難障害発作における疑似吹き出し状態に関連する嚥下率とは異なる空気−パルスの適用に関連する唾液嚥下率を判定するための試験を行った。
【0098】
2つの実験のうちの一番目の実験においては、発作に対する二次的な不全失語症を有する23人の入院患者が対象者として引き受けた。彼らの平均年齢は69歳であり、15人が男性であった。大部分の人が右中脳大動脈領域を含む発作を患ったが他の発作場所もまた検体内に表わされていた。試験時点での後期発作の中間日は12日であった。総研究登録者はある程度まで経管栄養補給に依存していた患者に限られ、従って、サンプルのための中間FOIS評価点は1〜3のレンジで1.5であった。実験プロトコルが図8に示されている。
【0099】
空気−パルス列は、対象者の上の歯と頬との間に位置決めされたプロトタイプの頬マウスピースを介して後口腔と中咽頭とに対して左右両側から送り込んだ。
【0100】
空気−パルス列は、病院の壁に取り付けられた医療用圧縮空気供給源に取り付けられているアジレント信号発生器及びLABneb空圧レギュレータによって制御した。4つのレベルの空気−パルス列継続時間、すなわち単一パルス、二重吹出し又は2つの連続パルス、2秒間の列、及び3秒間の列を実験し、4つのレベルの空気−バルスの振幅を2,4,6,8psi(13.8,27.6,41.4,55.2kPa)の供給圧力に関して定義し、最後に4つのレベルのパルス周波数すなわち2,4,8,12Hzを試験した。台上試験に基づくと、この範囲の供給圧力は、図9に示されているようにマウスピースの遠位端から2mm〜8mmのところで測定した267Pa(2mmHg)以下の先端圧力に対応していた。
【0101】
下に提供された表及び図10のグラフに示されているように、この供給圧力範囲で単一のパルスによって送り込まれる空気の体積は1.2ml〜4.2mlであった。
【表1】

【表2】

【表3】

【0102】
パルス継続時間は、全体を通して50ミリ秒であった。
【0103】
空気−パルスのタイプは、列継続時間及び疑似吹き出し状態のブロック内に表わされている。すなわち、トータルで5個のブロック、すなわち、単一パルス、二重吹出し、2秒間パルス列、3秒間パルス列、及び疑似吹き出し状態があり、そのうちの2つがここに示されている。連続した継続時間のブロックは1分毎の基準期によって分けた。
【0104】
これらのブロックの順序は対象者全体に亘って無作為とした。4つの空気−パルス振幅状態を列の継続時間内にブロックとして組み込み、更に、4つのレベルの空気−パルス周波数を振幅ブロック内に組み込んだ。対象者全体に亘る振幅条件及び周波数条件の各々の2つの順序が存在した。連続するパルス列の立ち上がり間の継続時間は約20秒であった。
【0105】
疑似吹き出し状態中においては、空圧レギュレータは“0”に切り換えたが、信号発生器は、対象者及び実験者が空気−パルス状態と疑似吹き出し状態との期間中にソレノイドの同じノイズを聞くように作動した。
【0106】
空嚥下は、ガラス製の咽喉マイク、喉頭動作センサ、及び呼吸動作センサの出力信号によって特定した。ここでは3つの単一の空気−パルス列試験について2つの嚥下を示した。1人の実験者が、試験中を通して対象者を監視し且つ嚥下及びその他の現象のためのコンピュータファイルにマークを付けた。嚥下率は、1つの試験の立ち上がりから次の試験の立ち上がりまでの電気パルス状態の継続期間中の嚥下の数として計算した。
【0107】
繰り返し測定の1−方向ANOVAは、唾液嚥下率(p<0.05)に対して列継続時間の十分な効果があることを示した。ボンフェローニ(Bonferroni)補正によるポストホック(post-hoc:事後)比較は、2秒間列継続時間状態及び3秒間列継続時間状態に伴う平均嚥下率が、図11に示されている単一パルス状態(p<0.008)に伴う平均嚥下率よりも著しく高いことを示した。
【0108】
疑似吹き出し状態に関して、再度ボンフェローニ補正されたペアt検定は、2秒間列継続期間状態に関係付けられる平均嚥下率が、図12及び13に示されている疑似吹き出し状態に関係付けられる嚥下率(p<0.013)より著しく高いことを示した。
【0109】
次に空気−パルス振幅に移ると、空嚥下率に対する空気−パルス振幅の十分な作用は存在しなかった。疑似吹き出し状態と比較すると、6psi(41.4kPa)状態は0.013(p=0.015)の補正された有意水準に近づいた。そして、振幅の4つのレベルに亘る平均嚥下率は、図14及び15に示されているように、疑似吹き出し状態(p<0.05)に関連付けられた平均的嚥下率より著しく高かった。
【0110】
次に、空気−パルスの周波数を見ると、空嚥下率に対する空気−パルス周波数の平均的な効果は無かった。疑似吹き出し状態と比較すると12Hz状態は補正された有意水準(p=0.018)に近づいた。4つのレベルの空気−パルス周波数に亘る平均嚥下率は、図16及び17に示されているように、疑似吹き出し状態(p<0.05)に関連する平均嚥下率よりも著しく高かった。
【0111】
試験された空気−パルス期間、振幅、及び周波数の条件について、大きな標準偏差によって示されているように、空嚥下率においてかなりの変動があった。
【0112】
大まかには、嚥下率は試験された空気−パルスのタイプに対して実質的な変動を示したと判断された。比較的長い空気−パルスの列は、単一パルスと比較してより大きな嚥下率に関連付けられ、2秒間空気−パルス列に関連付けられる嚥下率は疑似吹き出しよりも著しく高かった。嚥下率は、空気−パルスの(i)振幅状態及び(ii)周波数状態の関数として大きく異ならず、振幅レベル又は周波数レベルに亘って溜まった唾液の嚥下率は疑似吹き出しよりも著しく大きかった。バッカル用マウスピースを介して口腔後部及び中咽頭に送り込まれた空気−パルス列は、嚥下困難発作における速い唾液嚥下率に関連付けられる。
【0113】
空嚥下率は、嚥下困難発作において口腔後部及び中咽頭に送り込まれる空気−パルス列の特定の特性によって影響を受ける。空気−パルス用途は、嚥下困難発作における速い唾液嚥下率に関連付けられ、これは、嚥下リハビリテーションにおける空気−パルス方法の潜在能力を支援する。
【0114】
研究によると空気−パルスパラメータの幾つかの重要な効果があるけれども、空気−パルスの周波数及び振幅の効果はマークしなかった。パルス−列の持続時間に関して、2秒間パルス列は、嚥下困難障害のある患者における嚥下を容易にする点に関して他のタイプのパルスよりも優れていることがわかる。しかしながら、持続時間の場合おいてさえ、関連する嚥下率に関して他のものよりも絶対的に優れていることが証明されている単一の設定はされなかった。このことは、ある範囲のパルスタイプに含まれる空気−パルスが嚥下障害を有する患者における高い嚥下と関連付けることができることを示唆している。このことは、この現象がパルスタイプの極めて狭い組に限られることが明らかではないという点において該空気−パルス方法の利点である。
【0115】
空気−パルスの振幅及び周波数が嚥下率に対してより顕著な効果を有しないという本発見は、空気圧以外のファクタが嚥下応答を決定する際に重要である可能性を示唆している。
【0116】
この研究に基づくと、2秒間の空気−パルス列は、脳損傷に続く嚥下困難を有する患者における嚥下を喚起するのに特に有効であることがわかる。6psi(41.4kPa)の供給圧及び12Hzの周波数を含む、すなわち68ミリリットルmlsの範囲の流量を含む空気−パルス列もまた、嚥下困難患者における現在の試験結果に基づけば、特に有効であることもわかる。
【0117】
この研究は、バッカル用マウスピースによって送り込まれ且つ267Pa(2mmHg)より小さいか又は等しい先端圧力(すなわち、台上試験によって先端から2mm〜8mmの位置で測定された圧力)を含む中咽頭空気−パルス列は、発作に続く嚥下困難を有する患者における唾液嚥下率を増大させる際に有効であることを示している。
【0118】
この研究における主題は、持続時間が約75分間の試験セッションにおいても共有されている。この期間中、空気−パルス列は、空気−パルス列の持続時間に基づいて6分毎のブロックで約20分間に亘って送り込まれ、その順序は対象者全体について無作為とした。種々の空気−パルス持続時間ブロック中に嚥下する対象者を観察した。該試験セッションの過程を通して嚥下が減少する傾向はなかった。この経験に基づくと、約20分間の空気−パルス適用期間が、発作に続く嚥下困難を有する患者における嚥下率を増す点において適当であり且つ好ましい。
【0119】
連続する空気−パルス列同士の間の時間は、(i)患者がセッション毎に適切な数の炸裂を受け取るように十分に短いか、(ii)患者が過剰な数の嚥下無呼吸による脱飽和の危険に曝されることがないように十分に長くなければならない。上記の実験に基づくと、炸裂が2秒で6psi(41.4kPa)で12Hzで刺激間時間が20秒で平均+1の標準偏差の好ましい空気パルス列の嚥下率は、1分当たり3未満である。従って、空気−パルスに対して全く良好に応答する患者でさえも、20秒の炸裂間時間で1分間に3回より多い嚥下は予期されなかった。1分間に3回の嚥下率は、コップでの飲用時又は食事時間での食事のための典型的な嚥下率よりも低い。この論理に基づくと、連続する空気−パルス列の立ち上がり間の20秒の間隔は適当であり且つ好ましい。
【0120】
12Hzの空気−パルス列が特に効果的であるという我々の発見、並びに空気の流れに対する我々の仮説に基づいて、更に高い周波数及び種々の空気の流れを調べるために以下のような二番目の研究を計画した。2〜12Hzの範囲の中咽頭空気−パルスは、制御及び嚥下困難患者における高い嚥下率と関連付けられる。しかしながら、周波数が更に高い空気−パルス及び空気の流れの効果は知られていない。従って、健常な大人の空嚥下率に対する中咽頭空気−パルスの周波数及び空気の流れの効果を調べ、予め採用された比較的低い周波数の空気−パルス列と比較した。方法:空気−パルス列(継続時間=3秒)をプロトタイプの頬用オーバー・ザ・イヤ型マウスピースを介して25人の大人(平均±標準偏差年齢:26.7±7.9歳;18人が女性)の咽頭へ送り込んだ。喉頭信号、呼吸信号、及び音響信号を、6個の空気−パルス状態(図18に示されているように、3つの周波数状態(すなわち、26H、40Hz、59Hz);2つの流れ状態(すなわち、低い空気の流れと高い空気の流れ))をランダムに各対象者に管理投与しながら記録した。疑似吹き出し状態及び予め嚥下と関連付けられた8Hzの空気−パルス列をも検査した。結果:周波数、空気の流れ、及び周波数×空気の流れの相互作用は、統計的に重要ではなかったけれども(繰り返し測定の2−方向のANOVA、pcrit<0.05)、空気の流れは有意なもの(probs=0.056)に近づいた。データを周波数状態全体について平均すると、8Hz状態中の平均嚥下率は低い流れ状態中のものより著しく高かったが、8Hzで高い流れ状態は著しく異ならなかった(ペアt検定、pcrit<0.025)。更に、高い流れで8Hzの状態中での嚥下率は、疑似吹き出しでの嚥下率より著しく高かったが、低い流れ状態と疑似吹き出し状態とは大きく異ならなかった(ペアt検定、pcrit<0.016)。結論:特に比較的高い空気の流れにおいて、ある範囲の周波数に亘って送り込まれた中咽頭空気−パルスは、健常な大人における空嚥下率を増大させて嚥下困難障害のリハビリテーションにおける潜在能力を支援する。
【0121】
空気−パルス適用期間中の空嚥下の増加に加えて、幾人かの対象者を観察して空気−パルスの適用に関する増大した全体の覚醒及び増大せしめられた全運動現象を表示した。例えば、幾人かの患者は、空気−パルスの適用に対して、自分の眼を開き、腕及び脚を動かし、椅子上での位置を変える等した。この監察に基づくと、口腔の後方及び/又は中咽頭への空気−パルスの適用によって脳に損傷がある人における全覚醒を増大させる方法が提供され、更に、脳に損傷がある人の運動現象を増す方法が提供されることがわかる。これらの方法は特に、脳の損傷がある患者例えば発作のある患者において特に重要であり、この場合には、覚醒が少なく且つ運動現象が欠落することは、発作の回復期間中においてリハビリテーションによる効果を制限する重大な問題である。従って、空気−パルス方法は、脳の損傷おそらくは痴呆患者のリハビリテーションにおいて、嚥下を増大させることに加えて覚醒及び運動現象を増大させるために使用することができる。
【0122】
口腔の後方及び咽頭への空気−パルスの適用に関連付けられる発作を有する患者において増大した覚醒及び運動現象が認められ、このことは、中咽頭への空気−パルスの適用は健康管理対象者における大脳制御を活性化させるという我々の以前の発見と合致している。これらの発見の種々の特徴は更に、method of brain activation(脳の活性化方法)という名称の米国特許出願公開第2010/0010400A1号に開示されている。該米国特許出願公開は、これに言及することによって、その全開示内容が本明細書に参考として組み入れられている。従って、例えば、空気−パルスの適用に対する二次的な皮質の活性化は、本研究においては、発作患者の間で観察される覚醒及び運動現象の増大を左右させる。
【0123】
一般的に言うと、ここに記載されている装置は口腔用マウスピースに関連付けられている。必要とされる本発明の実施形態が本明細書に開示されている。しかしながら、ここに開示されている実施形態は単なる例示であり、本発明は多くの種々の且つ代替的な形態で実施化できることは理解できるはずである。図面は等尺ではなく、幾つかの特徴は、特別な構成要素の細部を示すために誇張されているか最少化されており、一方、関連する構成要素は、新規な特徴を曖昧にするのを防止するために除去されている。従って、ここに開示されている特定の構造及び機能の細部は、限定的なものと解釈されるものではなく且つ特許請求の範囲の根拠及び当業者に本発明の種々の方法で採用することを教示するための単に代表的な基礎となるものと解釈されるべきものである。教示及び非限定的な目的で、開示されている実施形態は口腔用マウスピースに関するものとされている。
【0124】
本明細書において使用されている“備えている”及び“含む”という用語は、包括的であり且つ排他的ではなく限定範囲を定めるものではないと解されるべきである。特に、特許請求の範囲を含む本明細書において使用されている場合に、“備えている”及び“含む”という用語並びにこれらの変態は、特定の特徴、ステップ、又は構成要素が含まれていることを意味している。これらの用語は、他の特徴、ステップ、又は構成要素の存在を排除するものと解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0125】
12 口腔内部分、 14 口腔外部分、
16 供給部分、 17 ルアーコネクタ、
18 耳用コネクタ、 20 出口ポート、
22 第一のループ状領域、
24 第二の口腔外のループ状又は湾曲領域、
26 Y型コネクタ、 28 薬剤制御ユニット、
30 顎用ループ、 50 口腔器具、
52 耳用ループ、 54 口腔外部分、
56 口腔内部分、 112 口腔内部分、
114 口腔外部分、 132 Y字形状フレーム、
134 アーム部分、 136 入口部分、
140 取り付け部材、 142 固定部材、
200 チューブ、 212 口腔内部分、
214 口腔外部分、 230 支持部材、
232 クリップ、 242 固定部材、
314 口腔外部分、 316 耳用ループ、
330 U字形状のフレーム、 332 両端部、
342 固定部材、 344 穴、
440 翼部、 442 アームの端部、
444 凹状湾曲部、 446 凹部、
448 アームの端部と翼部との接合部、
500 口腔器具、 502 口腔外入口部分、
504 取り付け部材、 506 補助口腔外チューブ、
508 穴、 510 口腔内部分、
512 流体出口ポート、 514 口腔内ブリッジ、
516 切欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔用マウスピースであり、
少なくとも1つの流体パルスを計量分配するようになされている少なくとも1つの出口ポートを備えている口腔内導管を形成している口腔内部分と、
該口腔内部分と一体に形成されており且つ前記口腔内導管と流体連通状態にある口腔外導管を形成している口腔外部分であって、該口腔外部分は流体供給源に接続可能で、前記口腔内部分と口腔外部分とが給送導管を形成するようになされている、前記口腔外部分と、
該口腔外部分に結合されており、前記口腔内部分及び前記口腔外部分とは別個に形成されており且つ該口腔内部分及び口腔外部分と異なる材料からなる補助支持器具と、
を備えている口腔用マウスピース。
【請求項2】
前記補助支持器具が一対の耳用コネクタを備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の口腔用マウスピース。
【請求項3】
前記口腔内部分が、その両側に設けられている一対の第一のループ領域において前記口腔外部分と合わさり、第一のループ領域の各々がユーザーの口角に位置決めされるようになされている、ことを特徴とする請求項2に記載の口腔用マウスピース。
【請求項4】
前記口腔外部分が更に、第一のループの各々から頬の方に隔置されている一対の第二のループ領域を備えており、前記耳用のコネクタの対の各々が対応する第二のループ領域に結合されている、ことを特徴とする請求項3に記載の口腔用マウスピース。
【請求項5】
前記口腔外部分が、前記第二のループ領域の対の各々から下方へ延びている一対の顎部分を備えている、ことを特徴とする請求項4に記載の口腔用マウスピース。
【請求項6】
前記対をなしている顎部分同士が互いに合わさって前記流体供給源と流体連通している、ことを特徴とする請求項5に記載の口腔用マウスピース。
【請求項7】
前記対をなしている顎部分同士が調節可能なY型コネクタ内で互いに合わさっている、ことを特徴とする請求項5に記載の口腔用マウスピース。
【請求項8】
前記口腔内部分がユーザーの口の中心からユーザーの口の両側部まで延びている、ことを特徴とする請求項1に記載の口腔用マウスピース。
【請求項9】
前記口腔内部分から外方に向かって単一の口腔外部分が延びている、ことを特徴とする請求項8に記載の口腔用マウスピース。
【請求項10】
前記補助支持器具が前記単一の口腔外部分に結合されている、ことを特徴とする請求項8に記載の口腔用マウスピース。
【請求項11】
前記口腔内部分が複数の出口ポートを備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の口腔用マウスピース。
【請求項12】
各耳用コネクタが耳用ループである、ことを特徴とする請求項2に記載の口腔用マウスピース。
【請求項13】
各耳用ループが弾性材料からなる、ことを特徴とする請求項12に記載の口腔用マウスピース。
【請求項14】
各耳用ループが編み上げ材料からなる、ことを特徴とする請求項12に記載の口腔用マウスピース。
【請求項15】
前記口腔内部分が内部に埋め込まれた整形可能なワイヤを備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の口腔用マウスピース。
【請求項16】
前記ワイヤが前記口腔外部分の少なくとも一部分内へと延びている、ことを特徴とする請求項15に記載の口腔用マウスピース。
【請求項17】
前記補助支持器具が、前記口腔外部分の上方に位置決めされ且つ上唇の上方でユーザーの顔と係合するようになされている横断方向に延びている支持部材と、該支持部材の両端に結合されている少なくとも1つの固定部材とを備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の口腔用マウスピース。
【請求項18】
前記少なくとも1つの固定部材がバンドを備えている、ことを特徴とする請求項17に記載の口腔用マウスピース。
【請求項19】
前記バンドが耳用ループを備えている、ことを特徴とする請求項18に記載の口腔用マウスピース。
【請求項20】
前記補助支持器具が、Y字管と該Y字管に結合されている少なくとも1つの固定部材とを備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の口腔用マウスピース。
【請求項21】
前記Y字管が、前記口腔外部分を支持しているY字形状のフレームと、該フレームの両側に位置決めされている一対の取り付け部材とを備えており、前記少なくとも1つの固定部材が前記取り付け部材に結合されている、ことを特徴とする請求項20に記載の口腔用マウスピース。
【請求項22】
前記補助支持器具が、ユーザーの顎と係合する形状及び構造とされているU字形状のフレームを備えており、該フレームは、前記口腔外部分に結合されている互いに対向している端部を備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の口腔用マウスピース。
【請求項23】
前記互いに対向している端部に結合されている少なくとも1つの固定部材を更に備えており、該少なくとも1つの固定部材がバンドからなる、ことを特徴とする請求項22に記載の口腔用マウスピース。
【請求項24】
流体をユーザーの口の中の所定の位置へ送り込む方法であり、
歯列の外側と頬の内面との間に可撓性のチューブを配置するステップであって、該可撓性のチューブは口の後方領域に配置される出口ポートを備えており、上の歯と下の歯とが相互に当接して閉じられるように前記可撓性のチューブのどの部分もユーザーの上の歯と下の歯との間に配置されないようになされている、前記チューブを配置するステップと、
前記可撓性のチューブを、該可撓性のチューブとは別個で且つ該可撓性のチューブと異なる材料からなる補助支持器具によってユーザーに固定するステップと、
流体を、前記出口ポートを介して計量分配するステップと、
を含むことを特徴とする流体を送り込む方法。
【請求項25】
流体を前記出口ポートを介して計量分配する前記ステップが、流体を2秒間の空気−パルス列によって計量分配することを含んでいる、ことを特徴とする請求項24に記載の流体を送り込む方法。
【請求項26】
前記出口ポートが267Pa(2mmHg)に等しいかそれ以下の遠位先端圧力を有している、ことを特徴とする請求項24に記載の流体を送り込む方法。
【請求項27】
前記流体が12Hz〜59Hzの範囲内のパルス周波数で計量分配される、ことを特徴とする請求項24に記載の流体を送り込む方法。
【請求項28】
前記流体が、50ミリ秒当たり1.2ml〜50ミリ秒当たり4.2mlの流れで且つ12〜59Hzのパルス周波数で計量分配される、ことを特徴とする請求項24に記載の流体を送り込む方法。
【請求項29】
前記流体が20分間の全継続期間に亘ってパルス列で計量分配される、ことを特徴とする請求項24に記載の流体を給送する方法。
【請求項30】
前記流体が、連続するパルス列同士の間が20秒の間隔のパルス列で計量分配されることを特徴とする請求項24に記載の流体を給送する方法。
【請求項31】
前記可撓性のチューブを前記補助支持器具によってユーザーに固定するステップが、少なくとも1つの耳用ループをユーザーの耳の周りに固定することを含んでいる、ことを特徴とする請求項24に記載の流体を給送する方法。
【請求項32】
前記可撓性チューブを前記補助支持器具によってユーザー固定するステップが、ユーザーの頭部の周りにバンドを固定することを含んでいる、ことを特徴とする請求項24に記載の流体を給送する方法。
【請求項33】
前記可撓性チューブを前記補助支持器具によってユーザーに固定するステップが、支持部材を上唇の上方でユーザーの顔と係合することを含んでいる、ことを特徴とする請求項24に記載の流体を給送する方法。
【請求項34】
前記可撓性チューブを前記補助支持器具によってユーザー固定するステップが、U字形状のフレームをユーザーの顎の下方に位置決めすることを含んでいる、ことを特徴とする請求項24に記載の流体を給送する方法。
【請求項35】
口腔用マウスピースであり、
各々が少なくとも1つの流体パルスを計量分配するようになされている少なくとも1つの出口ポートを備えている内導管を有する一対の横断方向に隔置されている口腔内部分と、
該口腔内部分の各々と一体に形成されている口腔外部分であって、前記内導管と流体連通している外導管を有し且つ流体供給源に結合して前記口腔内部分と共に給送導管を形成する前記口腔外部分とを備えており、
該口腔外部分は、前記口腔内部分と連通している一対の隔置されている唇湾曲部と、該唇湾曲部から下方へ延びている一対の顎部分とを備えており、該顎部分は、ユーザーの顎の下に位置決めできるループを形成している、ことを特徴とする口腔用マウスピース。
【請求項36】
前記口腔外部分に結合された補助支持器具を更に備えており、該補助支持器具が、前記口腔内部分及び口腔外部分とは別個に形成されており且つ該口腔内部分及び口腔外部分と異なる材料からなる、ことを特徴とする請求項35に記載の口腔用マウスピース。
【請求項37】
前記補助支持器具が耳用ループバンドを備えている、ことを特徴とする請求項36に記載の口腔用マウスピース。
【請求項38】
口腔用マウスピースであり、
各々が少なくとも1つの流体パルスを計量分配するようになされている少なくとも1つの出口ポートを備えている口腔内導管を形成している一対の横断方向に隔置されている口腔内部分と、
該口腔内部分の各々と一体に形成され且つ前記口腔内導管と流体連通している口腔外導管を形成しており且つ流体供給源に結合されて前記口腔内部分と共に給送導管を形成することができる口腔外部分と、
Y字管と該Y字管に結合されている少なくとも1つの固定部材とを備えている補助支持器具であって、前記Y字管が前記口腔外部分を支持しているY字形状のフレームと、該フレームの両側に位置決めされている一対の取り付け部材とを備えている、前記補助支持器具と、を備えており、
前記少なくとも1つの固定部材が前記取り付け部材に結合されている、
ことを特徴とする口腔用マウスピース。
【請求項39】
前記少なくとも1つの固定部材が弾性バンドを備えている、ことを特徴とする請求項38に記載の口腔用マウスピース。
【請求項40】
口腔用マウスピースであり、
少なくとも1つの流体パルスを計量分配するようになされている少なくとも1つの出口ポートを備えている口腔内導管を形成している口腔内部分と、
該口腔内部分に結合されており且つ前記口腔内導管と流体連通している口腔外導管を形成しており且つ流体供給源と結合して前記口腔内部分と共に給送導管を形成することができる口腔外部分と、
該口腔外部分に結合されている補助支持器具であって、前記口腔外部分よりも従順である前記補助支持器具と、
を含むことを特徴とする口腔用マウスピース。
【請求項41】
前記口腔外部分の弾性率が前記補助支持器具よりも大きい、ことを特徴とする請求項40に記載の口腔用マウスピース。
【請求項42】
前記補助支持器具が弾性バンドを備えている、ことを特徴とする請求項41に記載の口腔用マウスピース。
【請求項43】
各々が一対の導管を形成している一対の口腔内部分に結合されており且つ少なくとも1つの流体出口を備えている一対の口腔外部分と、
前記口腔外部分に結合されている一対の取り付け部材と、
前記口腔外部分と口腔内部分との間に延びている口腔内ブリッジと、
を備えている口腔用器具。
【請求項44】
前記口腔内ブリッジが湾曲しており且つその中間部分に形成された切欠きを備えている、ことを特徴とする請求項43に記載の口腔用器具。
【請求項45】
前記口腔内部分の長さが可変である、ことを特徴とする請求項1に記載の口腔用器具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate

【図42】
image rotate

【図43】
image rotate

【図44】
image rotate


【公表番号】特表2013−521094(P2013−521094A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556601(P2012−556601)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【国際出願番号】PCT/IB2011/000450
【国際公開番号】WO2011/107865
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(501393922)トルーデル メディカル インターナショナル (14)
【出願人】(510274913)ザ ユニヴァーシティ オブ ウェスタン オンタリオ (3)