説明

口腔用光照射装置

本発明の目的は、簡単かつ安全に口腔内に光を照射することを可能とする手段を提供することである。本発明によれば、エレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子を用いることを特徴とする、口腔用光照射装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、口腔用光照射装置、例えば、真性ELを備えたマウスピースを用いた口腔用光照射装置に関する。
【背景技術】
歯科治療時またはボクシングなどの過激な運動時における口腔内の保護、あるいは睡眠時における歯軋りの防止などを目的として、マウスピース、マウスガードあるいはナイトフォームプレガードと称されるものが一般的に用いられている。また、特開平6−217996号公報には、熱可塑性樹脂製の歯磨き用マウスガードを加熱して可塑性にし、該マウスガードに歯型に対応する溝部を形成し、該溝部内面に歯磨き剤を塗布して、歯磨き剤をマウスガードにより歯茎に支持可能にすることを特徴とする内面に歯磨き剤が塗布された歯磨き用マウスガードの形成方法が記載されている。
他方、歯科治療においては歯牙の審美性の改善の要望が強く、歯牙の漂白が行なわれている。歯牙は、タバコ又はコーヒー等の嗜好品の有色物質の沈着や、色素生成菌の繁殖により変色または着色される。また、歯牙の変色としては、口腔内での金属材料等の影響による外因性の変色もある。さらに、内因性の歯牙変色もあり、例えば、加齢や代謝異常や遺伝性によるもの、その他、歯の障害などによっても変色する。このような外因性の変色及び内因性の変色に対して行われている歯牙の漂白方法としては、光触媒、酸化チタン、過酸化水素又は過酸化尿素などの過酸化剤、還元剤、酸又はアルカリを使用する方法が使用されており、これらの漂白効果を促進するために、加熱や光照射を併用する場合もある。さらに、口腔内の除菌や、及びう蝕の治療に用いる樹脂の硬化、チタニアの活性化などの際にも、口腔内に光照射を施す場合が多い。光照射の手段としては、現在、キセノン、ハロゲン、レーザー等の光源が使用されている。しかし、光照射と同時に発熱するため、生体・歯牙にダメージを与えてしまうという問題があり、特に、レーザーはパワーが強すぎるため、生体に与えるダメージが大きいという問題がある。また、歯面全体に、均一な光を照射できないという問題もある。
また、特開2000−70292号公報には、口腔内除菌あるいは充填樹脂硬化に用いる光照射装置であって、該光照射装置の光源が複数の発光ダイオードからなる歯科用光照射装置において、歯列を挿入する凹部を有し、該歯列を前後から挟持するマウスピースと、該マウスピースの凹部内側にあり、発光面が歯列に沿って配置された複数の発光ダイオードと、該発光ダイオードをON/OFFさせるスイッチとを備えたことを特徴とする歯科用光照射装置が記載されている。しかし、特開2000−70292号公報の方法では、歯面全体に、均一な光を照射できない。LEDを縦列で並べると、20mm程度、またはそれ以上の幅が必要な分厚いマウスピースになり、現実的ではない。
【発明の開示】
本発明は、簡単かつ安全に口腔内の歯面全体に均一な光を照射することを可能とする手段を提供することを解決すべき課題とした。さらに本発明は、可視光域波長の光を照射することができ、発熱することなしに口腔内に光を照射することを可能とする手段を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、エレクトロ・ルミネッセンス(EL)は、薄いシート状で、消費電力が非常に低く、均質で、発熱しない光を発生することができ、さらに元とは異なるサイズや形状に切り取ることができるため、口腔内に光を照射する手段として好適であることを見出した。そこで、本発明者らは、マウスピースにEL素子を適用し、このEL素子を備えたマウスピースを口腔内に適用することにより、口腔内を光照射できることを想到し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、エレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子を用いることを特徴とする、口腔用光照射装置が提供される。
好ましくは、エレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子を備えたマウスピースから構成される、口腔用光照射装置が提供される。
好ましくは、エレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子は、300nm〜1000nmの可視光を照射することができるエレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子であり、さらに好ましくは可視光を照射することができるエレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子であり、特に好ましくは青色又は緑色の可視光を照射することができるエレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子である。好ましくは、エレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子がシート状であり、さらに好ましくは厚さ2mm以下のシート状である。好ましくは、エレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子は有機ELである。
好ましくは、エレクトロ・ルミネッセンス(EL)をガラス基板に蒸着し、電圧をかけて発光するディスプレイ型EL素子を用いる、好ましくは、エレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子の表面に、プラスチックが重層されている。好ましくは、マウスピースは歯列に適合した凹凸形状を有し、該凹凸形状部分にエレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子が設置されている。
【図面の簡単な説明】
図1は、EL照射による変色テトラサイクリンの分解実験の結果を示す。
図2は、EL照射した酸化チタンによるメチレンブルーの分解実験の結果を示す。
図3は、EL照射した過酸化水素によるヘマトポルフィリンの分解実験の結果を示す。
図4は、可視光照射した酸化チタンによるヘマトポルフィリンの分解実験の結果を示す。
図5は、本発明のマウスピースの一実施態様の模式図を示す。図中、1はマウスピース、2は溝部、3は側壁部、4は側壁部、及び5は端部を示す。
図6は、マウスピース(マウスガード)へのELシートの装着を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施方法および実施態様について説明する。
本発明の口腔用光照射装置は、エレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子を用いることを特徴とするものであり、例えば、エレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子を備えたマウスピースから構成されるものである。本発明は、マウスピースにエレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子を装着することにより、歯科用光照射装置を実用化したものである。あるいは、ELを簡易なマウスピース状に成形して使用することもできる。
さらに具体的には、本発明は、歯牙漂白、口腔内除菌及び樹脂硬化に用いる光照射装置に関するものである。本発明で用いるマウスピースは、好ましくは、人の歯型またはその一部に適合させるのに適した形状に形成されている。
本発明の特徴の一つは、マウスピースを、エレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子を保持するために用いる点にある。従来においてマウスピースは主として、運動時における口腔内の保護、睡眠時における歯軋りの防止、あるいは歯磨き剤または漂白剤の投与(なお、歯磨き剤または漂白剤の投与の場合、マウスピースの着用時間は一般的には数分程度の短時間である)などを目的として用いられていた。口腔内への光照射を目的として、マウスピースを用いることができることは、本発明者により今回初めて見出されたものである。
即ち、マウスピースに装着せしめたエレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子により発生する光照射よって、歯牙漂白、口腔内除菌又は樹脂硬化を行い、それぞれ所定の効果を達成できるという本発明者による今回の知見は、全く新規で独創的なものである。
本明細書で言う「マウスピース」とは、口内に装着して歯及び/又は歯茎を覆うことができる道具を意味し、従来から知られている歯科用トレー、マウスガードまたはナイトフォームプレガードなどを全て含む概念である。マウスピースの形状、大きさ、材質などは、本明細書に記載した条件を充足する限り特に限定されない。特に好ましくは、呼吸や会話などの口腔機能を妨げることがなく、着脱容易で、装着中は容易に脱落することがなく、違和感なく使用することができるものである。
マウスピースの構造は、その機能により本体部分と歯型部分(歯及び歯茎に接触する部分)とに分けることができる。本体部分と歯型部分とを誰が成形するかにより、マウスピースは(1)ストックタイプ(本体および歯型部分ともに製造業者により成形される)、(2)マウスフォームドタイプ(本体および歯型部分ともに使用者により成形される)、並びに(3)カスタムメイドタイプ(本体および歯型部分ともに歯科医または技工士などの専門技術者により成形される)の3タイプに分類することができる。本発明のマウスピースは上記3タイプの何れでもよい。さらに、本発明のマウスピースは、本体部分を製造業者または専門技術者が成形し、歯型部分のみを使用者が成形するといったストックタイプまたはカスタムメイドタイプとマウスフォームドタイプとを組み合わせたタイプなど、上記3タイプを適宜組合せたタイプのものでもよい。
本発明で用いるマウスピースは、好ましくは、人の歯型またはその一部に適合させるのに適した形状に形成することができる。「適合させるのに適した形状」とは、マウスピースが平均的な人の歯型に適合するのに適した形状を有していればよいことを意味し(例えば、治療の対象が成人である場合には、平均的な成人の歯型に対応するような大きさと形状を有する大人用マウスピースとして製造したり、治療の対象が子供である場合には平均的な子供の歯型に対応するような大きさと形状を有する子供用マウスピースを製造することができる)、必ずしも特定の一個人の歯型に完全に適合する形状を初めから有していなくてもよいことを意味する。例えば、マウスフォームドタイプのマウスピースの場合には、平均的な人の歯型に適合させるのに適した形状を有する熱可塑性樹脂で形成されたマウスピースを作製し、特定の患者への使用直前に、熱によって(例えば、熱水に浸すなどによって)樹脂を可塑化してから該患者の歯型に適合する形状とし、その後にエレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子をマウスピースに装着して、それを該患者に適用することができる。
一方、ストックタイプまたはカスタムメイドタイプのマウスピースの場合には、患者の歯型に適合したマウスピースを最初から作製し、可塑化することなくそのまま使用することができる。このような場合には、マウスピースの材質として熱硬化性樹脂などを用いることができる。
本明細書で言う「歯型またはその一部」とは、上顎または下顎の歯型の全部に適用するためのマウスピースのみならず、歯型の一部にのみ適用するためのマウスピースも本発明の範囲内に包含されることを意味する。即ち、本発明で用いるマウスピースは、上顎または下顎の左側のみの歯、あるいは前歯のみといった一部の歯型に適合するようなマウスピースでもよい。マウスピースは治療の対象となる患者の歯型に適合するような形状で患者に適用されるので、一部のみの歯型を対象とするマウスピースでも確実に装着することができる。しかしながら、一部のみの歯型を対象とするマウスピースを使用する場合には、歯に装着した際にマウスピースが容易に外れたり、ずれたりしないような保持手段を用いてもよい。このような保持手段は特に限定されず、患者に苦痛などの不快感を与えることがないか少なく、また治療後に容易にマウスピースを除去することができる手段であればいかなる手段でもよい。このような保持手段としては、金属またはプラスチック等で形成された留め具、接着剤、接着テープなどが挙げられる。
本発明のマウスピースの作製に用いる材料は特に限定されず、当技術分野で既知の材料を使用することができる。材料としては、耐久性、成形性および衝撃吸収性などが良好で、生体有害性がない(又は少ない)ものが好ましく、また低価格で入手容易なものが好ましい。材質としては、硬質材料(金属、硬質樹脂など)または軟質材料(軟質樹脂など)の何れでもよく、また透明材料でも半透明材料でも着色材料でもよい。材料は、製造するマウスピースの種類(ストックタイプ、マウスフォームドタイプ、カスタムメイドタイプ、またはこれらの組合せ)に応じて適宜選択することができる。
例えば、ストックタイプまたはカスタムメイドタイプのマウスピースで用いられる比較的高い軟化点を有する材料としては、加硫ゴム、弾性プラスチックなどが挙げられ、より具体的にはシリコンゴム、エチレンビニルアセテート(EVA)またはポリオレフィンなどのゴム弾性体を使用することができる。好ましくは、熱硬化性樹脂を使用することができる。
また、マウスフォームドタイプで用いられる低軟化点を有する熱可塑性樹脂としては、プラスチック弾性体をベースとしたホットメルト材料で約60℃〜約100℃程度の熱湯で軟化するものを使用することができる。このようなホットメルト材料としては、エチレンビニルアセテート(EVA)などが挙げられる。
本体部分および歯型部分ともに熱可塑性樹脂から形成されたマウスピース(マウスフォームドタイプ)は、患者自身が使用直前にマウスピースを自分の歯型に適合した形状に容易に成形できるという観点から好ましい。一方、歯科医療の臨床現場で用いる場合には、熱硬化性樹脂から形成されたマウスピース(カスタムメイドタイプ)が好ましく用いられる。
本発明で用いるマウスピースは、1回使用する毎に捨てる使い捨てタイプ、あるいは使用後に回収し、適宜洗浄などを施した後に再使用する再使用タイプの何れでもよい。材質などを適宜選択することにより、所望により、使い捨てタイプまたは再使用タイプの何れかを作製することができる。
本発明で用いるマウスピースはEL素子を有している。本発明では、EL素子をマウスピースに装着して使用することができる。本発明の一例としては、EL素子を、マウスピースから取り外し可能なようにマウスピースに装着することができる。具体的には、マウスピース下層または側面(唇頬側面)にEL素子を組みこむことができる。または、マウスピースを分離可能な2層構造とし、上層と下層の間にEL素子を入れ、脱着することができる。
本発明においてマウスピースに含有又は装着されるEL素子は、光を放出できるものであれば特に限定されないが、具体的には300nm〜1000nmの光を照射することができるものが好ましく、可視光(例えば、400nm〜700nmの可視光)を照射できるものがさらに好ましい。また、EL素子の形状は、マウスピースに装着可能であるものであれば特に限定されないが、好ましくは切り貼りできるシート状であり、さらに好ましくは厚さ2mm以下のシート状である。
EL素子は、蛍光性化合物に電場を加えることによって発光するものであり、発光層の種類によって有機ELと無機ELがある。本発明では、有機EL又は無機ELの何れも使用することができる。
本発明では、エレクトロルミネッセンス(EL)シートを使用することが好ましい。ELシートは、交流電圧をかけることにより発光する面発光素子であり、薄く、曲げることができ、消費電力が少なく、ハサミ等で簡単にカットでき、かつ発熱しないという特徴を有している。 本発明で用いることができるELシートの具体例としては、セイコープレシション社、太陽工業株式会社などから市販されているELシートを挙げることができる。また、無機ELディスプレイや有機ELディスプレイも本目的に使用することができる。
本発明の光照射装置には、ELから光を照射させるための電源が装着されている。電源としては、電池(好ましくは、マウスピース内に装着できる小型電池)を使用することができ、あるいは通常のAC電源がらDC電源に変換されたものを電源ラインによって供給してもよい。
EL素子の表面には、プラスチックを重層して用いることが好ましい。プラスチックとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフィン、ポリエステル、塩化ビニル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このようなプラスチックを重層することにより、EL上に直接薬剤を適用できるマウスガードができる。また、歯列形状に沿ったELのみからなる、EL・マウスピースを作製することもできる。
本発明で用いるマウスピースには少なくとも1種のエレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子を装着して使用されるが、その他に(1)歯科治療剤、(2)患部の消毒剤;または(3)唾液、血液または膿みなどの体液を吸収するための吸収剤;などの任意の補助薬剤を併用してもよい。なお、本発明で用いるマウスピースは歯科疾患を治療するために口内に一定時間保持されているが、その間には、唾液、血液または膿みなどの体液が患部に発生または浸出してくる場合がある。このような体液の存在が、歯科疾患の治療に悪影響を及ぼす可能性がある場合、あるいは患者に不快感などを与えて好ましくない場合などには、これら体液を吸収するための吸収剤をマウスピースに保持させることが好ましい。
本発明で用いるマウスピースの着用期間は特に限定されないが、患者の生活に大きな不便をもたらすことがなく、同時に十分な治療効果を達成できる程度の期間が好ましい。着用期間の具体例としては、数分から数時間(例えば、1分から10時間など)、数十時間(例えば、10時間から24時間など)、数日間(例えば、1日間から9日間)、あるいは数十日間(例えば、10日間から30日間またはそれ以上)など任意の期間を設定することができる。
以下、マウスピースの形状並びに使用方法について、図5を参照してより具体的に説明する。但し、図5に記載のマウスピースは本発明の一実施態様を示すものにすぎず、マウスピースはこの形状に限定されるものではない。
マウスピース1は好ましくは熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂から形成されており、歯型に沿って、溝部2が形成されている。この溝部2の一方の側には、顎側および唇側の側壁部3が形成されており、他方の側には、口蓋側の側壁部4が形成されている。なお、側壁部3および4の高さ、並びに端部5までの長さなどは、使用者の歯及び歯茎の長さに応じて適宜調整して作製することができ、あるいは使用直前に鋏などにより適宜裁断して使用することができる。
マウスピース1が熱可塑性樹脂で形成されている場合には、熱湯を入れた容器を用意し、マウスピース1をその熱湯に浸し、可塑性にした後、上顎あるいは下顎の歯および歯茎に装着して、軽く噛むか、あるいはマウスピースを指で押さえつけるなどして、マウスピース内に歯型をとる。
次いで、歯型を形成したマウスピースを口から取り出し、溝部2内(即ち、患者の歯及び/又は歯茎に接触する部分)にエレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子を装着し、再度、歯および歯茎に装着する。なお、本発明のマウスピースを使用する際には、マウスピース1を歯および歯茎に密に接触させることができるように、予め歯ブラシで歯磨きを行っておくことが好ましい。
所定の着用時間が経過した後、マウスピース1を顎から外して治療を終えることができる。使用後、マウスピース1(再使用タイプの場合)は、温水、洗剤などによりきれいに洗浄し、再使用するまで保存しておくことができる。
マウスピース(マウスガード)へのELシートの装着を様子を図6に示す。ELシートはマウスガードの外側(歯面と反対側)に装着してもよいし、マウスガードの内側(歯面の側)に装着してもよい。ELシートをマウスガードの外側に装着した場合、ELシートが発する光はマウスガードを通過して、歯面へと達することになる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されることはない。
【実施例】
以下の実施例1〜4では、何れも高輝度ELシート(セイコー社)130×120mmを使用した。
[実施例1]
変色させた5,000ppm塩酸テトラサイクリン溶液5mLに、▲1▼〜▲4▼としたサンプルを加えた。▲1▼、▲3▼は暗室で37℃で15分40秒間保温、また、▲2▼、▲4▼は、上面から黄色ELシート(セイコー社製)で40秒間照射し、さらに37℃で15分間保温した。各サンプルは、8,000rpmで5分間遠心分離し、その上澄みを、塩酸テトラサイクリンの極大吸収波長である358nmの吸光度を測定した。各サンプルは、▲1▼及び▲2▼は35%過酸化水素5mL、▲3▼及び▲4▼は酸化チタン1g、蒸留水5mLとした。結果を図1に示す。図1は、▲1▼の吸光度を100、▲3▼の吸光度を100として示した。
[実施例2]
変色させた0.1%メチレンブル溶液5mLに、▲1▼〜▲4▼としたサンプルを加えた。▲1▼、▲3▼は暗室で37℃で15分間保温、また、▲2▼、▲4▼は、上面から緑色ELシート(セイコー社製)で40秒間照射し、さらに37℃で15分間保温した。各サンプルは、8,000rpmで5分間遠心分離し、その上澄みを、メチレンブルーの極大吸収波長である665nmの吸光度を測定した。各サンプルは、▲1▼及び▲2▼は35%過酸化水素5mL、▲3▼及び▲4▼は酸化チタン1g、蒸留水5mLとした。結果を図2に示す。図2は、▲1▼の吸光度を100、▲3▼の吸光度を100として示した。
[実施例3]
直径6mmのろ紙を0.1%ヘマトポルフィリン溶液に浸漬し、乾燥させ、色差計で初期色を測定(E1)した。直径50mmのプラスチックシャーレに、35%過酸化水素8mL、前述したろ紙を加え、赤色ELシート(セイコー社製)、青色ELシート(セイコー社製)で40秒照射し、37℃で15分間保温した。また、非照射ブランクは、シャーレの上からアルミで被い、37℃、15分40秒間保温した。保温後、ろ紙を蒸留水40mLで水洗、乾燥し、色差計(カラーメイト)で測定(E2)した。結果を図3に示す。図3は、サンプルを作用させた色(E2)から初期色(E1)をひいた、△L、△Eについて示した。
[実施例4]
直径6mmのろ紙を0.1%ヘマトポルフィリン溶液に浸漬し、乾燥させ、色差計で初期色を測定(E1)した。直径50mmのプラスチックシャーレに、蒸留水8mL、酸化チタン0.2g、前述したろ紙を加え、赤色ELシート(セイコー社製)、青色ELシート(セイコー社製)、青色LED、歯科用光照射器で40秒照射し、37℃で15分間保温した。また、非照射ブランクは、シャーレの上からアルミで被い、37℃、15分40秒間保温した。保温後、ろ紙を蒸留水40mLで水洗、乾燥し、色差計(カラーメイト)で測定(E2)した。結果を図4に示す。図4は、サンプルを作用させた色(E2)から初期色(E1)をひいた、△L、△Eについて示した。
【産業上の利用可能性】
本発明により、簡単、安全、かつ発熱することなしに口腔内に光を照射することを可能とする手段を提供することが可能になった。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子を用いることを特徴とする、口腔用光照射装置。
【請求項2】
エレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子を備えたマウスピースから構成される、請求項1に記載の口腔用光照射装置。
【請求項3】
エレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子が、300nm〜1000nmの可視光を照射することができるエレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子である、請求項1又は2に記載の口腔用光照射装置。
【請求項4】
エレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子が、可視光を照射することができるエレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子である、請求項1から3の何れかに記載の口腔用光照射装置。
【請求項5】
エレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子が、青色又は緑色の可視光を照射することができる、請求項4に記載の口腔用光照射装置。
【請求項6】
エレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子がシート状である、請求項1から5の何れかに記載の口腔用光照射装置。
【請求項7】
エレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子が厚さ2mm以下のシート状である、請求項6に記載の口腔用光照射装置。
【請求項8】
エレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子が有機ELである、請求項1から7の何れかに記載の口腔用光照射装置。
【請求項9】
エレクトロ・ルミネッセンス(EL)をガラス基板に蒸着し、電圧をかけて発光するディスプレイ型EL素子を用いる、請求項1から8の何れかに記載の口腔用光照射装置。
【請求項10】
エレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子の表面に、プラスチックが重層されている、請求項1から9の何れかに記載の口腔用光照射装置。
【請求項11】
マウスピースが歯列に適合した凹凸形状を有し、該凹凸形状部分にエレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子が設置されている、請求項1から10の何れかに記載の口腔用光照射装置。

【国際公開番号】WO2005/055864
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【発行日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516262(P2005−516262)
【国際出願番号】PCT/JP2004/019150
【国際出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(000187220)昭和薬品化工株式会社 (16)
【Fターム(参考)】