説明

口腔疾患の予防または抑制用の光照射歯ブラシ

【課題】 効果的、且つ簡便に歯周病等の予防効果が得られる光照射歯ブラシの提供。
【解決手段】 複数の異なる光源を内蔵し、そのうち少なくとも2つの光源が異なる特性をもち、且つ複数の光源の少なくとも1つからの光の照射方位が他と異なる、歯周病等の原因となる細菌を抑制等させ、口腔に発生する疾患などを予防、または抑制する歯ブラシ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は口腔に発生する疾患の原因となる細菌などを複数の異なる特性をもつ光源を用い効果的に抑制等し、口腔疾患を予防、または抑制する光照射歯ブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、歯科の二大疾患の1つである歯周病は一説によれば、成人の8割以上の人がかかっていると言われている。このような状況を考えると、より効果的で簡便な方法により口腔疾患を予防、または抑制することが必要である。
【0003】
一例として、歯周病の原因となる細菌は、黒色色素産生菌(BPB)により集積するポルフィリンの光感受性を利用し抑制できると言われている。この抑制効果を得るため用いる光としては、波長380から520nmの光に効果が期待できると、例えば非特許文献1に記載がある。この文献に記載されている試験では、光源として435nmにピーク波長があり、第2ピーク波長が405、420、450、及び455nmにあるライトが用いられている。また、ポルフィリンの吸収線スペクトルは波長405nm近傍にピークがあり、その他505、540、575、及び630nmに弱いピークがあると非特許文献1に引用がある。
さらに、国内においても400nmから700nmの範囲のある特定の波長を照射すると、代表的歯周病原性細菌であるP.gingivalisの増殖抑制効果が認められたとの報告がある。
【0004】
最近、様々な波長をもつLEDや半導体レーザー等の小型光源が市販されており、前述の歯周病等の原因となる細菌を抑制するための光源として利用可能である。また、異なる特性のLEDやフィルターを組合わせ、光の波長成分を調整できる。
【非特許文献1】Phototargeting Oral Black−Pigmented Bacteria ANTIMICROBIAL AGENTS AND CHEMOTHERAPY,Apr.2005、p.1391−1396
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
すでに歯周病予防等の光照射歯ブラシは発明されているが、より効果的な抑制効果を得る歯ブラシが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するため、複数の光源を内蔵させ、そのうち少なくとも2つを異なる特性をもつ光源とし、且つ複数の光源の少なくとも1つからの光の照射方位を他と変えることにより、細菌の抑制効果をあげ、複雑な形状の照射対象を効率的に照射、且つ/もしくは光の照射量をあげる、歯周病等の原因となる細菌を抑制等するための光照射歯ブラシを提供する。
【0007】
また、動作条件や大きさの制約等により、歯ブラシに内蔵することが難しい光源に関しては、光源を歯ブラシの外部に置き光ファイバー等により歯ブラシへ導き、内蔵光源と併用する。
【0008】
さらに、光源に照射したくない波長成分が含まれる場合、フィルターを歯ブラシに内蔵させ、その波長成分を調整する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の歯ブラシは、歯周病等を予防する効率的、且つ簡便な光照射歯ブラシである。
【実施例】
【0010】
(実施例1)
図1は光源を歯ブラシ内におさめた本発明の実施例である。歯ブラシ本体1にLED2(2個)とLED3(1個)、スイッチ・回路4、及び電源5を配置する。LED2には405nmの波長を含み、且つUV−CやUV−Bの紫外線を含まない市販の紫外発光チップタイプLEDを、LED3には600nmから650nmの間にピーク波長がある市販の赤色チップダイプLEDを用いる。
ここで、市販の紫外発光チップタイプLEDは波長405nmの光の相対発光強度が弱いため、1回のブラッシングでの当該照射量を上げるとともに、歯と歯の隙間部をより効率的に照射するため、光軸6を異なる方位に向け2個配置する。また、さらに細菌の抑制効果をあげるため、前述の文献で引用されている630nmの波長成分をもつLED3を配置する。
【0011】
(実施例2)
図2は光源の一部を歯ブラシの外部に置いた実施例である。歯ブラシの外部に半導体レーザー光源7を置き、歯ブラシへ光を導くため光ファイバー8を設けた。また、歯ブラシ内部にLED9を設置する。半導体レーザー光源7には市販の波長405nmの青紫色半導体レーザー光源をLED9には波長500nmから550nmの間にピーク波長がある市販の緑色チップタイプLEDを用いる。
本実施例の場合、半導体レーザー光源7は比較的小型で、その本体を歯ブラシに内蔵可能と考えられるが、その動作温度が最高40度と体温に近いことから歯ブラシの外部に置いた。また、実施例1と同様に、細菌の抑制効果をさらにあげるため、前述の文献で引用されている505nmと540nmの波長成分もつLED9を配置する。
【0012】
(実施例3)
図3は実施例1の光照射歯ブラシに関し、LED2の光照射方位にフィルター10を置いた実施例である。このフィルターには透過限界波長が400nmのUVカットフィルターを用いる。これによりLED2の照射光に含まれる400nm未満の波長成分をカットし、LED2からの照射光を浴びた場合の健康影響の懸念を排除する。
【0013】
(実施例4)
図4は実施例2の光照射歯ブラシに同実施例と同じ特性のLED11を内蔵させ、ブラシ面と反対側への光照射を加えた実施例である。この光照射により、ブラシ側を主照射すると同時に、照射光の届く反対面の予備照射が可能となる。また、照射条件によっては、主照射と同等の照射が行なえる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明の歯ブラシにより、効果的、且つ簡便に歯周病等の予防効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】 3個の内蔵光源をもつ光照射歯ブラシの側断面図(概要図)
【図2】 外部光源と2個の内蔵光源をもつ光照射歯ブラシの側断面図(概要図)
【図3】 フィルターと3個の内蔵光源をもつ光照射歯ブラシの側断面図(概要図)
【図4】 外部光源と3個の内蔵光源をもつ光照射歯ブラシの側断面図(概要図)
【符号の説明】
【0016】
1 歯ブラシ本体
2 LED
3 LED
4 スイッチ・制御基板
5 電源
6 光軸
7 半導体レーザー
8 光ファイバー
9 LED
10 フィルター
11 LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源を内蔵し、そのうち少なくとも2つの光源が異なる特性をもち、且つ複数の光源の少なくとも1つからの光の照射方位が他と異なる、歯周病等の原因となる細菌を抑制等させ、口腔に発生する疾患を予防、または抑制する光照射歯ブラシ。
【請求項2】
請求項1に記載の口腔に発生する疾患などを予防、または抑制する光照射歯ブラシに関し、一部の光源を歯ブラシに内蔵させず外部に設けた、口腔に発生する疾患を予防、または制御する光照射歯ブラシ。
【請求項3】
照射する光に含まれる波長成分を調整するため、フィルターを内蔵させた請求項1、及び請求項2に記載の光照射歯ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−183665(P2009−183665A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56983(P2008−56983)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(000222509)東洋リビング株式会社 (7)
【Fターム(参考)】