説明

口臭低減飲料

【課題】高い口臭低減効果を有し、かつ、香味特徴、経時安定性、経済性に優れた口臭低減飲料を提供する。
【解決手段】α−シクロデキストリンを0.1〜1.0重量%、水溶性植物抽出エキスを0.01〜0.1重量%、および植物芳香成分含有組成物を0.01〜0.1重量%含有する飲料。水溶性植物抽出エキスが、茶エキスおよびウラジロガシエキスの少なくとも一つであり、また、植物芳香成分含有組成物が、ローズマリー抽出物およびリナロール含有組成物の少なくとも一つである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口臭の低減に有効な成分を含有する口臭低減飲料に関し、特には口臭の低減に有効なα−シクロデキストリンと、水溶性植物抽出エキスと、植物芳香成分含有組成物とを含有する口臭低減飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の清潔志向の高まりにより、口臭を気にする人の割合は非常に大きくなってきている。このような中で、口臭対策商品としてはスプレータイプやフィルム状、粒状タイプ等の口中清涼剤、および、洗口剤や水歯みがき剤等が知られている。しかしながら、これらはいずれも効果が不十分であることが多く、また、日常生活のありふれた食事シーン等の中で、必ずしも手軽に活用できるものとは言えず、より簡便に快適に使用できる形態が望まれている。
【0003】
消臭成分として有効なシクロデキストリンは、D−グルコースが環状にα−1、4結合したオリゴ糖であり、D−グルコースが6個結合したα−シクロデキストリン、7個結合したβ−シクロデキストリン、8個結合したγ−シクロデキストリンが一般的に知られている。シクロデキストリンの最大の特性は、その環状構造の空洞内部に種々の物質を取り込んで包接複合体を形成することにあり、その特性を利用した幅広い製品に活用されている。
【0004】
口臭抑制製品分野では、α、β、γ−シクロデキストリンおよびマルトシル−シクロデキストリン等の分岐シクロデキストリンが利用されているが、歯周病原因菌が食物残渣等を分解して生成する、主要な口臭成分であるメチルメルカプタンに対する抑制効果については不十分である。これまでにメチル化シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル化シクロデキストリン等の種々の化学修飾シクロデキストリンが合成され消臭素材として提案されている(特許文献1)が、これらは食品添加物としての使用が認められていない。
【0005】
また、口臭抑制作用が報告されている水溶性植物抽出エキスとしては、緑茶エキス、ウーロン茶エキス(特許文献2)、マッシュルームエキス(特許文献3)、柿エキス(特許文献4)、甜茶エキス(特許文献5)、ニガウリエキス(特許文献6)、ヨモギエキス(特許文献7)、アマチャズルエキス(特許文献8)、ブドウ果実エキス(特許文献9)ウラジロガシエキス(特許文献10)等があるが、いずれも単独使用の場合、主要な口臭成分であるメチルメルカプタンに対する抑制効果をある程度は有するものの、十分とは言い難いものである。さらに、ポリフェノール高含有植物抽出エキスの消臭効果を高めるために、酸化酵素のポリフェノールオキシダーゼを組み合わせたものが提案されている(特許文献11)が、通常加熱殺菌後に製品化される飲料の形態では酵素が失活してしまうため、飲料には不適である。
【0006】
シクロデキストリンおよび水溶性植物抽出エキスの併用効果については、例えばβ−シクロデキストリンおよび植物焙煎抽出エキスに関する非特許文献1に報告がある。しかしながらこれらを併用した場合でも、主要な口臭成分であるメチルメルカプタンに対する抑制効果をある程度は有するものの、十分とは言い難いものである。
【0007】
歯周病原因菌への抗菌作用を有する植物芳香成分含有組成物としては、オレガノ、ペパーミント、ラベンダー、ローズマリー、クローブ、ティートリー、ナツメグ、レモン等の種々の精油成分、いわゆるエッセンシャルオイルが提案されている(特許文献12)。しかしながら、これらには苦味や刺激等の不快感があるため、味覚的に問題があるものが多く、飲料への添加に適さない。また、これらのエッセンシャルオイル等は一般に安定化が困難であった。したがって、飲料に対して口臭低減効果を付与する程度の量を添加することは難しかった。
【0008】
【特許文献1】特開2007−169228号公報
【特許文献2】特開昭60−185558号公報
【特許文献3】特許第2006234号公報
【特許文献4】特許第1707185号公報
【特許文献5】特許第3633634号公報
【特許文献6】特開2006−101921号公報
【特許文献7】特許第1736324号公報
【特許文献8】特許第3034652号公報
【特許文献9】特許第2134322号公報
【特許文献10】特開平5−146493号公報
【特許文献11】特許第3625976号公報
【特許文献12】特開2007−169250号公報
【非特許文献1】臭気の研究、27(3)、1−10(1996)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、高い口臭低減効果を有し、かつ、香味特徴、経時安定性、経済性に優れた口臭低減飲料を提供することを主目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、α−シクロデキストリンと、水溶性植物抽出エキスと、植物芳香成分含有組成物とを含有することを特徴とする口臭低減飲料を提供する。
【0011】
消臭作用を有するα−シクロデキストリンおよび水溶性植物抽出エキスと、抗菌作用を有する植物芳香成分含有組成物とを併用することで、これら三つの成分の相乗的な作用により、高い口臭低減効果を得ることができる。
【0012】
上記発明においては、上記水溶性植物抽出エキスが、茶エキスおよびウラジロガシエキスの少なくとも一つであることが好ましい。飲料組成物としての諸性状を鑑みると、香味特徴、消臭効力、経時安定性、経済性の観点より、これらの水溶性植物抽出エキスが好ましいからである。
【0013】
また、上記発明においては、上記植物芳香成分含有組成物が、ローズマリー抽出物およびリナロール含有組成物の少なくとも一つであることが好ましい。飲料組成物としての諸性状を鑑みると、香味特徴、消臭効力、経時安定性、経済性の観点より、これらの植物芳香成分含有組成物が好ましいからである。
【0014】
上記発明においては、上記口臭低減飲料が、上記α−シクロデキストリンを0.1〜1.0重量%、上記水溶性植物抽出エキスを0.01〜0.1重量%、上記植物芳香成分含有組成物を0.01〜0.1重量%含有することが好ましい。上記三つの有効成分を上記範囲の割合において含有することにより、より高い口臭低減効果を有し、なおかつ香味特徴、経時安定性、経済性に優れた口臭低減飲料をえることができるからである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、高い口臭低減効果を有し、かつ、香味特徴、経時安定性、経済性に優れた口臭低減飲料を得ることができるといった効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の口臭低減飲料は、α−シクロデキストリンと、水溶性植物抽出エキスと、植物芳香成分含有組成物とを含有することを特徴とするものである。本発明においてはこのように、消臭作用を有するα−シクロデキストリンおよび水溶性植物抽出エキスと、抗菌作用を有する植物芳香成分含有組成物とを併用することで、これら三つの成分の相乗的な作用によって主要な口臭成分であるメチルメルカプタンを効果的に抑制し、高い口臭低減効果を得ることを可能としたものである。
【0017】
このような本発明の口臭低減飲料が、主要な口臭成分であるメチルメルカプタンを低減する作用機構自体は明らかではないが、歯周病原因菌が食物残渣等を分解してメチルメルカプタンを生成する過程において、α−シクロデキストリン、水溶性植物抽出エキス及び植物芳香成分含有組成物が渾然一体となって、相乗的に作用することにより、高い口臭低減効果が実現されるものと考えられる。
以下、本発明における各有効成分、および、それらを含有する口臭低減飲料について、それぞれ詳細に説明する。
【0018】
1.α−シクロデキストリン
まず、本発明の口臭低減飲料に含有されるα−シクロデキストリンについて説明する。
本発明に用いられるα−シクロデキストリン(以下、「CD」とする場合がある。)は、包接するシクロデキストリンの環状構造の空洞内部の大きさにより包接効果が特徴づけられる。そのため、本発明において使用されるα−シクロデキストリンは非分岐タイプのα−シクロデキストリンに限定されるものではなく、例えば分岐タイプのグルコシル−α−シクロデキストリンあるいはマルトシル−α−シクロデキストリン等も用いることができる。
【0019】
本発明の口臭低減飲料において、α−シクロデキストリンの濃度は飲料組成物に応じて適宜設定することが好ましく、特に限定されるものではない。用いられるα−シクロデキストリンの量の目安としては、口臭低減飲料中に0.1〜1.0重量%、中でも0.5〜1.0重量%含まれることが好ましい。口臭低減飲料におけるα−シクロデキストリンの含有量が上記範囲に満たないと、口臭低減効果が十分に得られない可能性があり、含有量が上記範囲を越えると、口臭低減飲料の味や風味に悪影響を及ぼす可能性があるからである。
【0020】
2.水溶性植物抽出エキス
本発明の口臭低減飲料に用いられる水溶性植物抽出エキスは、消臭効果を有するものであれば特に限定されるものではないが、消臭効果が認められているポリフェノール化合物(例えば、歯科審美、15(2)、130−136(2003)参照)を含むものが好適に用いられる。上記ポリフェノール化合物は、フラボノイド系と、クロロゲン酸等の非フラボノイド系とに、また、重合ポリフェノール化合物については結合様式により加水分解型と、縮合型とに大別されるが、本発明においてはこのような種別にかかわらず用いることができる。
【0021】
本発明の口臭低減飲料に用いることができる水溶性植物抽出エキスの具体例としては、緑茶エキス、ウーロン茶エキス、マッシュルームエキス、柿エキス、ヨモギエキス、ブドウ種子エキス、さとうきびエキス、ミントエキス、ウラジロガシエキス等を挙げることができ、これらの水溶性植物抽出エキスは一種類を単独で用いても、二種類以上を併用してもよい。飲料組成物としての諸性状を鑑みると、香味特徴、消臭効力、経時安定性、経済性の観点より、上記の中でも茶エキス、ウラジロガシエキスを用いることが好ましい。
【0022】
本発明の口臭低減飲料においては、水溶性植物抽出エキスの濃度はそれぞれの消臭作用、香味特徴、品質性状、製造作業性、経済性に応じて適宜設定するのが好ましく、特に限定されるものではない。用いられる水溶性植物抽出エキスの目安としては、口臭低減飲料中に0.01〜0.1重量%、中でも0.02〜0.1重量%、特に0.05〜0.1重量%含まれることが好ましい。口臭低減飲料における水溶性植物抽出エキスの含有量が上記範囲に満たないと、口臭低減効果が十分に得られない可能性があり、含有量が上記範囲を越えると、口臭低減飲料の味や風味に悪影響を及ぼす可能性があるからである。
【0023】
また、複数種類の水溶性植物抽出エキスが用いられる場合、それらの水溶性植物抽出エキスの合計の含有量は上記範囲内であることが好ましく、各水溶性植物抽出エキスの含有量は0.01〜0.05重量%、中でも0.025〜0.05重量%の範囲内であることが好ましい。各水溶性植物抽出エキスの含有量が上記範囲に満たないと、含有量が少なすぎて口臭低減効果が十分に得られない可能性があり、一種類の水溶性植物抽出エキスの含有量が上記範囲を越えると、当該水溶性植物抽出エキスに起因する味や香りが強くなりすぎ、口臭低減飲料の味や風味に悪影響を及ぼす可能性があるからである。
【0024】
3.植物芳香成分含有組成物
本発明の口臭低減飲料において用いられる植物芳香成分含有組成物は、口腔微生物、特に歯周病原因菌への抗菌作用が認められているものであればよく、その種類等は特に限定されるものではない。用いることができる植物芳香成分含有組成物の例としてはオレガノ、ペパーミント、ラベンダー、ローズマリー、クローブ、ティートリー、ナツメグ、レモン等の種々の抽出物、あるいはそれらの有効成分、例えばオイゲノール、カルバクロール、チモール、α、γ−テルピネン、α、β−ピネン、サビネン、ミリスチシン、リモネン、メントール、1,8−シネオール、カンフェン、リナロール等を含む水溶化組成物を挙げることができる。
【0025】
これらの植物芳香成分含有組成物は、一種類を単独で用いても、二種類以上を併用してもよい。また、飲料組成物としての諸性状を鑑みると、香味特徴、消臭効力、経時安定性、経済性の観点より、上記の中でもローズマリー抽出物またはリナロール含有組成物が好適に用いられる。
【0026】
本発明の口臭低減飲料においては、植物芳香成分含有組成物の濃度はそれぞれの抗菌作用、消臭作用、香味特徴、品質性状、製造作業性、経済性に応じて適宜設定するのが好ましく、特に限定するものではない。用いられる植物芳香成分含有組成物の目安としては、口臭低減飲料中に0.01〜0.1重量%、中でも0.02〜0.1重量%、特に0.05〜0.1重量%含まれることが好ましい。口臭低減飲料における水溶性植物抽出エキスの含有量が上記範囲に満たないと、口臭低減効果が十分に得られない可能性があり、含有量が上記範囲を越えると、口臭低減飲料の味や風味に悪影響を及ぼす可能性があるからである。
【0027】
また、複数種類の植物芳香成分含有組成物が用いられる場合、それらの植物芳香成分含有組成物の合計の含有量は上記範囲内であることが好ましく、各植物芳香成分含有組成物の含有量は0.01〜0.05重量%、中でも0.025〜0.05重量%の範囲内であることが好ましい。各植物芳香成分含有組成物の含有量が上記範囲に満たないと、含有量が少なすぎて口臭低減効果が十分に得られない可能性があり、一種類の植物芳香成分含有組成物の含有量が上記範囲を越えると、当該植物芳香成分含有組成物に起因する味や香りが強くなりすぎ、口臭低減飲料の味や風味に悪影響を及ぼす可能性があるからである。
【0028】
本発明においては、上記植物芳香成分含有組成物は、乳化等の処理が施されたものが用いられることが好ましい。
上述したように植物芳香成分含有組成物は苦味や刺激等の不快感があるため、従来は食品や飲料には用いるのが困難であった。しかしながら、このように植物芳香成分含有組成物に乳化等の処理を施すことにより、上記不快感をもたらす味や臭いを抑制できるので、口臭低減飲料における有効成分として効果的に用いることができるからである。また、このような処理を施すことにより、飲経時安定性をも向上させることができるからである。
上記乳化処理方法としては、上記植物芳香成分含有組成物に、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の乳化剤やアラビアガム、キサンタンガム等の安定剤を予め十分に作用させ、水溶化する方法等を挙げることができる。
【0029】
4.口臭低減飲料
本発明の口臭低減飲料は、上述したようなα−シクロデキストリン、水溶性植物抽出エキスおよび植物芳香成分含有組成物を含有するものである。本発明において、これらの有効成分の含有量の比率等は特に限定されるものではなく、各有効成分の抗菌作用、消臭作用、香味特徴、品質性状、製造作業性、経済性に応じて適宜設定することができる。得られる口臭低減飲料の上記特性等を考慮すると、口臭低減飲料は、α−シクロデキストリンを0.1〜1.0重量%、水溶性植物抽出エキスを0.01〜0.1重量%、植物芳香成分含有組成物を0.01〜0.1重量%含有していることが好ましく、より具体的にはα−シクロデキストリンを0.1〜1.0重量%、水溶性植物抽出エキスである茶エキスを0.01〜0.05重量%、同じく水溶性植物抽出エキスであるウラジロガシエキスを0.01〜0.05重量%、植物芳香成分含有組成物であるローズマリー抽出物を0.01〜0.05重量%、同じく植物芳香成分含有組成物であるリナロール含有組成物を0.01〜0.05重量%含有していることがさらに好ましい。
【0030】
本発明の口臭低減飲料の飲料としての種類は特に限定されるものではなく、その例としては水、ニアウォーター飲料、茶系飲料、スポーツ飲料、果実飲料、栄養機能性飲料、その他の現在公知の飲料を挙げることができる。このような飲料の中でも、口臭低減効果の観点から、例えば砂糖など、歯周病菌にとっての栄養素となる物質を含んでいないことが好ましい。また、制菌効果をより高める観点から、糖アルコール等の人工甘味料が口臭低減飲料に含有されていてもよい。
【0031】
本発明の口臭低減飲料は、食間等の、口腔内が乾燥しているときに摂取することが好ましい。口腔内が乾燥している時は口臭が強くなりやすいため、本発明の口臭低減飲料の口臭低減効果が得られやすいからである。また、より高い口臭低減効果を得るためには、口臭低減飲料が口腔内に長時間滞留することが好ましい。このような観点から本発明の口臭低減飲料は、飲料の香りを楽しむものなど、上記の中でも口腔内での滞留時間が長いと思われる、香味特徴がある程度濃厚な飲料等であることが好ましい。
【0032】
本発明においては、口臭低減飲料の形態は特に限定されるものではないが、缶、ペットボトル、ビン、紙容器等に密栓、密封された容器詰飲料であることが好ましい。
【0033】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0034】
以下に参考例、実施例および比較例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
【0035】
[口臭低減効果についての試験方法]
本参考例、実施例および比較例においては、口腔衛生会誌、51(5)、778−792(2001)のメチオニン賦活化法に準じて、口臭低減効果についての試験を行った。具体的には、試験飲料組成物(200ml)の飲用の10分前に、パネラーに1%メチオニン液を0.1ml服用させ、予め口腔内のメチルメルカプタン濃度を高い状態に設定し、試験飲料組成物の飲用の5分前のメチルメルカプタン濃度を基準として、試験飲料組成物の飲用の5分後のメチルメルカプタン濃度の抑制を以って口臭低減指数とした。
上記口臭低減指数の算出は、以下の式により行なった。
【0036】
【数1】

【0037】
なお飲用5分前のメチルメルカプタン濃度は200〜1000ppb程度であり、これは一般に口臭がかなり強い状態に相当する。
【0038】
口腔内のメチルメルカプタン濃度は、シリンジにより口腔内からガスを採集し、シリンジ内から注入針により、アビリット社製の口臭測定器を使用してガス濃度(ppb)を測定した。
【0039】
口臭低減効果の評価は下記基準に従って行った。
(口臭低減効果)
◎・・口臭低減効果かなりあり:口臭低減指数30未満
○・・口臭低減効果あり:口臭低減指数30以上70未満
△・・口臭低減効果ややあり:口臭低減指数70以上150未満
×・・口臭低減効果なし:口臭低減指数150以上
【0040】
また、飲料組成物の香味の官能評価は下記基準に従って行った。
(官能評価)
○・・飲みにくくはない
△・・やや飲みにくい
×・・飲みにくい
【0041】
[参考例1]
下記の実施例および比較例の結果と対比するための参考として、試験飲料組成物の飲用なしの場合(なにも飲まない場合)と、試験飲料組成物として水を飲用した場合の口臭低減効果についての試験を行なった。試験結果を下記表1に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
[参考例2]
下記の実施例および比較例の結果と対比するための参考として、下記表2(シクロデキストリン)、3(水溶性植物抽出エキス)、および4(植物芳香成分含有組成物)に示す試験飲料組成物の場合の口臭低減効果についての試験を行なった。試験飲料組成物中の配合物、配合量、口臭低減効果および官能評価の結果を下記表2、3および4に示す。なお、本参考例は、下記の成分を単独で使用した場合の口臭低減効果を調べるものであり、下記の成分を使用し、飲料組成物は常法に従って作製した。
【0044】
【表2】

【0045】
【表3】

【0046】
【表4】

【0047】
上記表2、3および4の結果から、口臭低減効果及び官能評価において、α−シクロデキストリン、茶エキス、ウラジロガシエキス、ローズマリー抽出物、リナロール含有組成物に優れた結果が認められた。またこれらの素材は品質性状、経時安定性、製造作業性、経済性の観点でも特に問題はない。
【0048】
[実施例1および比較例1]
上記参考例2において、単独で使用した場合の効果が認められたα−シクロデキストリンと、水溶性植物抽出エキスである茶エキスおよびウラジロガシエキスと、植物芳香成分含有組成物であるローズマリー抽出物およびリナロール含有組成物とを有効成分として用い、上記有効成分を併用した場合の口臭低減効果についての試験を行なった。試験においては、下記の表5の組成により、上記有効成分を併用した試験飲料組成物であるニアウォーター飲料を常法に従って作製した。試験飲料組成物中の配合物、配合量、口臭低減効果および官能評価の結果を下記表5に示す。
【0049】
実施例1−1から1−3は全て同じ成分を含有するものであるが、配合量が異なる。また、比較例1−1および1−2は、植物芳香成分含有組成物を含まず、その代わりに水溶性植物抽出エキスの配合量が実施例の配合量の2倍であること以外は、実施例と同じ飲料である。比較例1−1は実施例1−2に、また、比較例1−2は実施例1−3に対応する配合量のものである。
【0050】
【表5】

【0051】
[実施例2および比較例2]
試験飲料組成物が緑茶飲料であること以外は上記実施例1および比較例1と同様に、口臭低減効果についての試験を行なった。試験においては、下記の表6の組成により、上記有効成分を併用した試験飲料組成物である緑茶飲料を常法に従って作製した。試験飲料組成物中の配合物、配合量、口臭低減効果および官能評価の結果を下記表6に示す。
【0052】
実施例2−1から2−3は全て同じ成分を含有するものであるが、配合量が異なる。また、比較例2−1および2−2は、植物芳香成分含有組成物を含まず、その代わりに水溶性植物抽出エキスの配合量が実施例の配合量の2倍であること以外は、実施例と同じ飲料である。比較例2−1は実施例2−2に、また、比較例2−2は実施例2−3に対応する配合量のものである。
【0053】
【表6】

【0054】
[評価]
上記実施例および比較例の結果から、α−シクロデキストリンと、水溶性植物抽出エキスと、植物芳香成分含有組成物との三つの有効成分を配合した実施例と、α−シクロデキストリンおよび水溶性植物抽出エキスの二つの有効成分のみを配合した比較例とでは、植物芳香成分含有組成物を含有する実施例の方が飛躍的に高い口臭低減効果を示すことが分かる。
【0055】
また、実施例1−1および2−1は、三つの有効成分の配合量が極めて少ないものであるが、有効成分の配合量が遥かに多い比較例と同等の効果を示している。このことから、上記三つの有効成分を併用することにより、少ない配合量でも高い口臭低減効果が得られることが分かる。上記比較例1−2および2−2においては、水溶性植物抽出エキスである茶エキスおよびウラジロガシエキスの配合量の増加に伴い、官能評価にてやや飲みにくさが認められた。特定の有効成分の配合量が多くなりすぎると、上記比較例1−2および2−2における場合のように、飲料の味や風味に悪影響を及ぼす場合がある。このような観点からも、少量の配合量において高い口臭低減効果を発揮する、α−シクロデキストリンと、水溶性植物抽出エキスと、植物芳香成分含有組成物との組合せは、口臭低減飲料において特に有効である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
α−シクロデキストリンと、水溶性植物抽出エキスと、植物芳香成分含有組成物とを含有することを特徴とする口臭低減飲料。
【請求項2】
前記水溶性植物抽出エキスが、茶エキスおよびウラジロガシエキスの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の口臭低減飲料。
【請求項3】
前記植物芳香成分含有組成物が、ローズマリー抽出物およびリナロール含有組成物の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の口臭低減飲料。
【請求項4】
前記口臭低減飲料が、前記α−シクロデキストリンを0.1〜1.0重量%、前記水溶性植物抽出エキスを0.01〜0.1重量%、前記植物芳香成分含有組成物を0.01〜0.1重量%含有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかの請求項に記載の口臭低減飲料。

【公開番号】特開2009−195185(P2009−195185A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−41273(P2008−41273)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000004569)日本たばこ産業株式会社 (406)
【Fターム(参考)】