説明

口輪結合型動物制御用具

【課題】 部品点数を極力減らして、効果的に行動を制御し得る、取り扱い性も申し分ない口輪結合型動物制御用具を提供する。
【解決手段】 犬Dの首周りに、その犬Dに応じて調節して着脱可能に装着する構成とした首輪2と、この首輪2に連結環3を介して、移動自在に挿通して、犬Dの鼻先から目元に至る箇所と、下顎付根近傍を取り囲むように差し入れて保持する口輪4とを備え、この口輪4は、犬Dに応じて口元を取り囲む寸法を調節する構成とし、前記連結環3に引き綱Lを連結する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、愛玩動物の本能や、習性に基づく行動を、無理強いすることなく規制して、飼い主の求めるふるまいに誘導することができる、口輪結合型動物制御用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、愛玩動物、特に犬を飼い主の意のままにふるまいをさせるための道具として、例えば首輪と引き綱がある。
首輪には、金属製の鎖でできたものがあり、引き綱によってこの首輪に引っ張り力を加え、時には、強い力で犬の暴走を抑えたり、地面に踏ん張って動こうとしない犬を引きずったりするなど、無理強いして犬を引き連れることがあった。 しかしながら、これでは、犬は嫌がるだけで、思うようなコントロールは困難であることがわかっている。というのは、犬をはじめ、動物の敏感な口周りに、引き綱による力が及ばされず、飼い主の意向が犬に伝わっていないからである。
そこで、犬の口周りに口輪を装着して、この口輪に引き綱を連結して、引き綱を引っ張ることにより、口輪に引っ張り力が加えられることによって、犬にシグナルを送るということが提案されてきた。
【0003】
例えば、
【特許文献1】特公平6−91781号公報 ここでは、二本の輪(首輪と鼻輪)を具備することにより、犬などの動物を飼い慣らすために、行動を規制する動物制御器具を開示している。 すなわち、この動物制御器具は、二本の輪で構成され、首のうしろと横及び鼻づらの先に対して、同時に締め付けられるようになっている。 これによって、コントロールと従順なふるまいをさせるために、直接の圧迫が、引き綱から直接鼻輪に、鼻づらの前に対して加えられると共に、同時に、首輪のループの位置は耳のすぐ後で、動物の首に直接の圧迫が同時に加えられるとしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1によれば、首のうしろと横及び上下のあごに引き綱が締め付けられたときに、窒息させるような圧迫を、首の下の器官や咽頭のような敏感な部分に加えることなしに、同時に加えられる変化する直接の圧力コントロールを可能にしている。
しかしながら、上記動物制御器具では、鼻輪が、首輪に対し、金属リングを介して止め着けられているため、この金属リングが首輪に固定されているところから、鼻輪は、金属リング取り付け箇所を中心に進退移動するだけで、鼻輪は、決して、首輪に沿って移動するようには造られていない。
しかも、上記金属リングの分、どうしても部品点数が増加し、さらにコストダウンが難しいという難点がある。
本発明は以上のような諸難点を除去するために提案されたものであって、部品点数を極力減らして、効果的に行動を制御し得る、取り扱い性も申し分ない、口輪結合型動物制御用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記した課題を解決するために、本発明では、請求項1において、動物の首周りに、装着する構成とした首輪と、この首輪に連結環を介して、口輪とを連結し、前記連結環に引き綱を連結するように構成した口輪結合型動物制御用具を提案する。
また本発明では、請求項2において、前記首輪は帯状体を有して、この帯状体の長さ寸法を調節する調節手段と、首周りを取り囲んで、着脱可能に連結する着脱連結手段とを備えた口輪結合型動物制御用具を提案する。
また本発明では、請求項3において、前記口輪は、帯状体で構成して、動物に応じて口元を取り囲む寸法を調節する調節手段を備えた口輪結合型動物制御用具を提案する。
さらに本発明では、請求項4において、前記着脱連結手段は、前記首輪を構成する帯状体の一端側を取着してなる係合受枠と、帯状体の他端側を挿通すると共に他端側を調節手段にもたらして止め着けた、前記係合受枠に弾性変形して係合する係合突片とで構成した口輪結合型動物制御用具を提案する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、動物の本能や、習性に基づく行動を、無理強いすることなく規制して、飼い主の求めるふるまいに誘導することができ、しかも、部品点数を極力減らして、効果的に行動を制御し得る、取り扱い性も申し分ない口輪結合型動物制御用具を提供することができる。
【0007】
請求項1によれば、動物の首周りに装着する首輪と、動物の目元から、下顎付根近傍を取り囲む口輪とを、連結環を介して連結しただけの構成であるので、構成は簡略化され、部品点数もすくなく、前記連結環に引き綱を連結するだけであるので、取扱いが容易である。
【0008】
請求項2によれば、首輪を構成する帯状体の長さを調節手段により調節してその動物に対応した長さとし、首周りを取り囲んで、着脱連結手段により簡単に装着することができる。
【0009】
請求項3によれば、口輪を、動物に応じて口元を取り囲む寸法を調節手段で調節して、動物の鼻先から差し入れて目元に至らしめ、下顎付根近傍を取り囲むことで装着が完了する。
【0010】
請求項4によれば、首輪を構成する帯状体の長さを調節手段により調節してその動物に対応した長さとし、首周りを取り囲んで、着脱連結手段を構成する係合受枠に、係合突片を弾発的に係合することで、装着が完了する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明にかかる口輪結合型動物制御用具につき、一つの実施の態様を挙げ、添付の図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0012】
図1、図2に口輪結合型動物制御用具1を示す。この口輪結合型動物制御用具1は、犬Dの首周りに、その犬Dに応じて調節して着脱可能に装着する構成とした首輪2と、この首輪2に連結環3を介して、移動自在に挿通して、犬Dの鼻先から目元に至る箇所と、下顎付根近傍を取り囲むように差し入れて保持する口輪4とを備え、この口輪4は、犬Dに応じて口元を取り囲む寸法を調節する構成とし、前記連結環3に引き綱Lを連結する構成としている。
【0013】
また、前記首輪2は周知の素材、例えば合成繊維を用いて織りこんで形成した帯状体2sで構成している。勿論、帯状体2sの素材としては、他の周知の素材も可能である。
この場合、前記帯状体2sには、犬Dの首周りの大きさに対応して帯状体2sの長さ寸法を調節するための調節手段5を設けると共に、前記帯状体2sにより犬Dの首周りを取り囲んで、帯状体2sをループ状に着脱可能に連結する着脱連結手段6を設けている。この場合、前記帯状体2sの一端側を前記着脱連結手段6の例えば係合受枠6a側(後述)に挿通して折り返し、この係合受枠6a近傍に縫着され、帯状体2sの他端側を、前記着脱連結手段6の係合部6b側(後述)に挿通して折り返し、前記調節手段5を構成するスライドリング部材7に挿通すると共に折り返し、スライドリング部材7近傍に縫着している。
【0014】
前記調節手段5は、例えば首輪2を構成する帯状体2s中途にスライド可能に挿通されたスライドリング部材7を、帯状体2sに沿ってスライドさせることで、帯状体2sが、前記着脱連結手段6の係合部6bを介して中継として折り返し移動することで、スライドリング部材7の位置を調節して、前記着脱連結手段6の係合部6bを、実質的な帯状体2sの他端側として帯状体2sの長さ寸法を調節するようにしている。
勿論、上述の調節手段5は一例であり、この他、帯状体2sに複数のスナップファスナを設けて、調節する構成としてもよい。あるいは、前記帯状体2sに調節用の面ファスナを設けて構成してもよい。
【0015】
そして、前記着脱連結手段6は一例として上述のように係合受枠6aと係合部6bとで構成し、このうち前記係合受枠6aは、前記帯状体2sの一端側を挿通して折り返す受枠基部8を備える一方、先端に設けた一対の係合突片9、9を受け入れる係合空間を有し、両側部に、前記係合突片9、9先端側を露出させるようにした切欠部10、10を設けている。
一方、前記係合部6bの一対の係合突片9、9には、先端側に、係合突片9、9形成幅方向外方に膨出する押込先端部9t、9tを形成している。また前記一対の係合突片9、9間には、前記係合受枠6aに一対の係合突片9、9を係合する際に、係合突片9、9を所定方向に位置決め案内するための案内軸11を突設している。
さらに、前記係合部6bには、基部側に帯状体2sの他端側を、挿通して折り返す中継としての挿通基部枠12を備えている。
【0016】
以上のような構成の首輪2で、係合突片9、9を形成した係合部6bを係合受枠6aに向かって、案内軸11を押し込んでいくことで、前記係合突片9、9先端側の押込先端部9t、9tが、弾性的に形成幅内側に変形して、係合受枠6a先端を乗り越えて切欠部10、10に露出して係合状態となることで、着脱連結手段6により、首輪2を構成する帯状体2sをループ状に結合保持する構成である。
なお前記着脱連結手段6は、この他、着脱可能に連結する構成のものであれば周知の構成のものを用いることができる。すなわち、首輪2を構成する帯状体2sをスナップファスナで着脱可能に連結したり、または、面ファスナで着脱連結する構成のものも含まれる。
【0017】
次に前記口輪4について説明する。
口輪4も、前記首輪2同様、周知の素材、例えば合成繊維を用いて織りこんで形成した帯状体4sで構成して、犬Dに応じて口元を取り囲む寸法を調節する調節手段13を備えている。勿論、帯状体4sの素材としては、他の周知の素材も可能である。
前記調節手段13は、例えば挿通枠13aと、リング部材13bとで構成して、帯状体4s一端側を前記挿通枠13aに挿通させて、前記リング部材13bで折り返し、リング部材13b近傍で逢着する一方、帯状体4s他端側を前記リング部材13bに挿通させると共に、前記挿通枠13a中軸(図示省略)で折り返し逢着する構成として、リング部材13bを前記挿通枠13aに近付けたり離したり移動させることで、口元を取り囲む寸法を調節する構成である。
勿論、前記調節手段13も、一つの調節手段であるから、この他、帯状体4sに複数のスナップファスナを設けて、調節する構成としてもよい。あるいは、前記帯状体4sに調節用の面ファスナを設けた構成も含まれる。
【0018】
そして、以上の口輪4を前記首輪2と連結する連結環3は、適宜な金属製の閉ループ状の環体で構成しており、前記口輪4と前記首輪2とを緩やかに連結可能とすると共に、引き綱Lを余裕をもって連結可能な径寸法を有している。勿論、連結環3は、形状が円形でなくてもよく、どのような形状のもの、そしてその大きさも自由に選定すればよい。
なお引き綱Lは、周知の構成のもので、着脱自在な連結具(図示省略)によって連結可能としている。
【0019】
以上のような口輪結合型犬制御用具1において、装着手順を説明する。
この口輪結合型犬制御用具1を犬Dに装着する順として、口輪4を先に犬Dの鼻先から差し入れて目元近傍に至らしめ、下顎付根近傍を取り囲むように装着する。なお、この時、首輪2は、着脱連結手段6を操作して、係合受枠6aと係合部6bとを分離し、帯状体2sを開放しておく(図2参照)。
前記口輪4を、口元を取り囲む寸法に調節するには、調節手段13のリング部材13bを前記挿通枠13aに近付けたり離したりスライドさせることで、簡単に調節することができる。このとき、口輪4の調節は、犬Dの口がある程度自由に開けることができるように、余裕を持たせることに留意する。
【0020】
前記口輪4の調節が終わったら、口輪4を、犬Dの鼻先から差し入れて目元近傍に至らしめ、下顎付根近傍を取り囲んだ状態にする。このとき、首輪2は、連結環3によって、口輪4に吊下げた状態にある(図3参照)。
次いで、この首輪2を犬Dの首周りに装着するが、その犬Dの首周りに合わせて、首輪2を構成する帯状体2sの長さを調節する操作を行う。
この場合、帯状体2sの長さを調節するには、帯状体2s中途にスライド可能に挿通された、調節手段5を構成するスライドリング部材7を、帯状体2sに沿ってスライドさせることで、帯状体2sが、着脱連結手段6の係合部6bにおける挿通基部枠12を中継として折り返し移動することで、前記着脱連結手段6の係合部6bを、実質的な帯状体2sの他端側として帯状体2sの長さ寸法を調節することができる。
【0021】
そして、飼い主は、着脱連結手段6の係合部6bと係合受枠6aとを持って、係合突片9、9を形成した係合部6bを係合受枠6aに向かって、案内軸11が臨入するように押し込んでいくことで(図4参照)、前記係合突片9、9先端側の押込先端部9t、9tが、弾性的に形成幅内側に変形して、係合受枠6a先端を乗り越えて切欠部10、10に露出して係合状態となることで、着脱連結手段6により、首輪2を構成する帯状体2sをループ状に結合保持することができる(図1参照)。
なお、前記首輪2と口輪4とを連結する連結環3は、口輪4と前記首輪2とを緩やかに連結し、且つ、引き綱Lを余裕をもって連結可能な径寸法を有しているので、首輪2と口輪4とが相互によじれるようなことはなく、例え犬Dが首を横に振っても、連結環3が首輪2の帯状体2sを遊動するので犬Dの動きに充分、追従させることができる。
【0022】
以上のようにして装着した口輪結合型犬制御用具1を用いて、引き綱Lを口輪4のリング部材13に連結して、引き連れることができる。この際、口輪4は、犬Dの口がある程度自由に開けることができるように、余裕を持って調節されているので、犬Dは、呼吸が妨げられるようなことはなく、自然に犬Dを歩かせたりすることができる。
そして、犬Dがいきなり思わぬ行動をとろうとするときは、飼い主は、引き綱Lを軽く引っ張ることによって、余裕を持って調節された口輪4が、犬Dの敏感な口周りに当たって、引き綱Lによる力が及ばされ、飼い主の意向が伝わり、無理強いすることなく、犬Dの暴走を抑えたり、意向に添うふるまいに、良好に導くことができる。
【0023】
以上のように、この口輪結合型犬制御用具1を用いれば、犬Dの本能や、習性に基づく行動を、無理強いすることなく規制して、飼い主の求めるふるまいに導くことができる。
しかも、首輪2と口輪4とを連結環3で連結する構成としたことにより、構成自体を簡単化することができ、部品点数を極力減らしてコストダウンが可能で、また取り扱い性も申し分ない口輪結合型犬制御用具1を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明にかかる口輪結合型犬制御用具の一つの実施の形態を示す、使用説明図である。
【図2】図1に示す口輪結合型犬制御用具の構成を示す、斜視図である。
【図3】図1に示す口輪結合型犬制御用具を装着する際の説明図である。
【図4】図1に示す口輪結合型犬制御用具を装着する際の説明図である。
【符号の説明】
【0025】
1 口輪結合型犬制御用具
2 首輪
2s 帯状体
3 連結環
4 口輪
4s 帯状体
5 調節手段
6 着脱連結手段
6a 係合受枠
6b 係合部
7 スライドリング部材
8 受枠基部
9 係合突片
9t 押込先端部
10 切欠部
11 案内軸
12 挿通基部枠
13 調節手段
13a 挿通枠
13b リング部材
D 犬
L 引き綱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の首周りに、装着する構成とした首輪と、この首輪に連結環を介して、口輪とを連結し、前記連結環に引き綱を連結するように構成したことを特徴とする口輪結合型動物制御用具。
【請求項2】
前記首輪は帯状体を有して、この帯状体の長さ寸法を調節する調節手段と、首周りを取り囲んで、着脱可能に連結する着脱連結手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の口輪結合型動物制御用具。
【請求項3】
前記口輪は、帯状体で構成して、動物に応じて口元を取り囲む寸法を調節する調節手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の口輪結合型動物制御用具。
【請求項4】
前記着脱連結手段は、前記首輪を構成する帯状体の一端側を取着してなる係合受枠と、帯状体の他端側を挿通すると共に他端側を調節手段にもたらして止め着けた、前記係合受枠に弾性変形して係合する係合突片とで構成したことを特徴とする請求項2記載の口輪結合型動物制御用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−262733(P2006−262733A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−82643(P2005−82643)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(505070508)株式会社スリーアローズ (3)