説明

口金付ランプおよび照明器具

【課題】カバー部材を、接着剤を使用することなく固定することが可能な口金付ランプおよびこの口金付ランプを用いた照明器具を提供する。
【解決手段】本体11の一端部側に配設される発光部14と;発光部を覆うように設けられ透光性を有する合成樹脂製のカバー部材15と;カバー部材および本体側のそれぞれに設けられた係合突部または係合受部を有し、これら係合突部および係合受部の嵌め合わせによってカバー部材と本体側とを係合して支持する係合手段16と;係合手段によってカバー部材と本体側とを係合した状態でカバー部材および本体側の間に互いに離反する向きの弾性力を作用させることによってカバー部材を本体側に保持させる保持手段17と;本体の他端部側に設けられる口金部材19と;を具備する口金付ランプ10を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光部を覆うように設けられるグローブ等のカバー部材を有する口金付ランプおよび照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フィラメント電球に代わって、寿命が長くまた消費電力の少ない固体発光素子である発光ダイオードを光源とした電球形LEDランプ等の口金付ランプが各種照明器具の光源として採用されるようになってきている。この種の口金付ランプは、発光部を覆うカバー部材が設けられ、このカバー部材(グローブ)は、特許文献1、特に段落番号[0030]に示されているように、例えば、透明のガラスや合成樹脂などの材質により透光性を有してなり、端部に開口を有する略半球状に形成されている。そして、端部がカバー(本体)のカバー部の内側に嵌合され、例えば、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂などの接着剤により取り付けられて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−91140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、この種の口金付ランプにおける本体は、通常、発光ダイオードの放熱性を高めるために熱伝導性の良好なアルミニウムで構成されている。このため、特許文献1に示されるようにグローブすなわちカバー部材と本体との接着剤による固定は、樹脂やガラスからなるカバー部材とアルミニウムからなる本体との熱膨張差から生じる熱応力を緩和するためにシリコーン接着剤を多めに使用して固定する必要がある。このため、材料コストが上昇する問題が生じる。また、製造工程においても、接着剤の手間のかかる塗布工程や、接着剤を固化するための時間のかかる乾燥工程等が必要となりプロセスコストも上昇する問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、カバー部材を、接着剤を使用することなく固定することが可能な口金付ランプおよびこの口金付ランプを用いた照明器具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の口金付ランプの発明は、本体の一端部側に配設される発光部と;発光部を覆うように設けられ透光性を有する合成樹脂製のカバー部材と;カバー部材および本体側のそれぞれに設けられた係合突部または係合受部を有し、これら係合突部および係合受部の嵌め合わせによってカバー部材と本体側とを係合して支持する係合手段と;係合手段によってカバー部材と本体側とを係合した状態でカバー部材および本体側の間に互いに離反する向きの弾性力を作用させることによってカバー部材を本体側に保持させる保持手段と;本体の他端部側に設けられる口金部材と;を具備していることを特徴とする。本発明によれば、合成樹脂製のカバー部材と本体側とを係合して支持する係合手段と、弾性力によってカバー部材を本体側に保持させる保持手段により、カバー部材を、接着剤を使用することなく確実に支持することが可能な口金付ランプを構成することができる。
【0007】
本発明において、口金付ランプは、一般白熱電球の形状に近似させた電球形の口金付ランプ(A形またはPS形)、ボール形の口金付ランプ(G形)、円筒形の口金付ランプ(T形)、レフ形の口金付ランプ(R形)などに構成してもよい。また本発明は、一般白熱電球の形状に近似させた口金付ランプに限らず、その他各種の外観形状、用途をなす口金付ランプに適用することができる。
【0008】
本体は、発光部を構成する発光ダイオード等における固体発光素子の放熱性を高めるために熱伝導性の良好な金属、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)の少なくとも一種を含む金属、窒化アルミニウム(AlN)、シリコンカーバイト(SiC)などの工業材料、さらには、高熱伝導樹脂等の合成樹脂で構成することが好ましいが、ここでは、熱伝導性を有することが条件ではなく、通常の合成樹脂等で構成したものであってもよい。
【0009】
また、外観形状は、一端部側から他端部側に向けて直径が順次小さくなるような、一般白熱電球におけるネック部分のシルエットに近似させた形状に形成することが、既存照明器具への適用率が向上して好ましいが、ここでは、一般白熱電球に近似させることは条件でなく、限られた特定の外観形状には限定されない。
【0010】
発光部の光源は、発光ダイオード、半導体レーザ、有機ELなどの固体発光素子で構成されることが好ましいが、ここでは、これら固体発光素子に限ることなく、例えば、小形の白熱電球や蛍光ランプ等で構成されたものであってもよい。発光部は、基板の表面に光源となる発光ダイオード等の固体発光素子を実装して構成した発光モジュールとして構成されることが好ましいが、基板を有することなく構成した発光部であってもよい。
【0011】
カバー部材は、白熱電球など一般照明用電球のバルブと同じ外観形状を有するA形、PS形などの通常涙滴形と呼ばれている形状やG形の球形をなすバルブと、さらにはT形、R形をなすバルブと同形ないし略同形をなす類似形状をなすグローブで構成されることが好適であるが、発光ダイオード等の固体発光素子の充電部等を外部から保護するための透明または半透明の皿状をなす保護カバーで構成してもよい。カバー部材は、一例として、その外径寸法が、約200mm以下である。またカバー部材は、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン等の透光性の合成樹脂で構成されることが許容され、要求される特性に応じ無色透明、着色または光拡散などの手段が施されていてもよく、配光特性向上のためグローブなどの一部に反射膜等の反射手段が形成されていてもよい。
【0012】
カバー部材と本体側とを係合して支持する係合手段は、例えば、カバー部材に係合突部を設け、この係合突部が係合する係合受部を本体側に設け、これら係合突部および係合受部の嵌め合わせによって、カバー部材を本体側に支持させることが好ましいが、係合突部を本体側に、係合受部をカバー部材に設けて構成してもよく、上記に例示した具体構成には限定されない。係合手段は、合成樹脂製のカバー部材に一体に形成することによって構成されることが好ましいが、ここでは、金属等で別体に構成した係合手段であってもよい。また、係合手段は、カバー部材が本体側から着脱ができないように支持し固定されることが好ましいが、着脱ができるように構成したものであってもよい。
【0013】
また、カバー部材は係合手段によって、本体自体に係合させて支持しても、本体に設けられた発光部を構成する基板や点灯装置を収納する絶縁ケース等、本体側に設けられる構成部品に対して係合させて支持するものであってもよく、要は、本体自体を含めた本体側に係合して支持する全ての係合手段が許容される。
【0014】
保持手段は、上記の係合手段によってカバー部材を本体側に確実に支持するために必要な遊び寸法(例えば、0.5〜1mm程度)による移動やがたつきを制限するために、係合手段によってカバー部材と本体側とを係合した状態でカバー部材および本体側の間に互いに離反する向きの弾性力を作用させることによってカバー部材を本体側に保持させるもので、合成樹脂製のカバー部材に、例えば、弾性を有するように一体に形成したバネ部材で構成し、合成樹脂の弾性力を利用して構成されることが好ましいが、ここでは、金属製の板バネやコイルスプリング等で別体に構成した保持手段であってもよい。
【0015】
上述した係合手段および保持手段は、それぞれが独立して形成されたものでも、保持手段の、例えば、先端部に係合手段を一体に形成し、単独の部品として構成されたものであってもよい。また、係合手段および保持手段は、適正な強度を確保するため3箇所以上設けることが好ましい。
【0016】
本体の他端部側に設けられる口金部材は、一般白熱電球が取付けられるソケットに装着可能な全ての口金が許容されるが、一般的に最も普及しているエジソンタイプのE17形やE26形等の口金が好適である。また、エジソンタイプの他、ピン形の端子を有する口金でも、引掛シーリングに使用されるようなL字形の端子を有する口金でもよく、特定の口金には限定されない。
【0017】
なお、本発明において、本体の「一端部側」、「他端部側」とは、厳密な意味での端部であってもよいが、互いに相対的な関係での一端部側、他端部側であってもよい。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の口金付ランプにおいて、前記係合手段の係合突部および保持手段は、カバー部材に一体に形成したことを特徴とする。本発明によれば、簡単な構成により、カバー部材を、接着剤を使用することなく確実に支持することが可能な口金付ランプを構成することができる。
【0019】
本発明において、係合手段の係合突部および保持手段は、隣接して形成しても、離間させて設けてもよい。また、例えば、半球状をなすカバー部材に等間隔に3個程度形成することが好ましいが、2個または1個であってもよく設ける個数は限定されない。
【0020】
請求項3に記載の照明器具の発明は、ソケットが設けられた器具本体と;器具本体のソケットに装着される請求項1または2記載の口金付ランプと;を具備していることを特徴とする。本発明によれば、請求項1または2記載の口金付ランプを用いることにより、コスト的に有利な照明器具を構成することができる。
【0021】
本発明において、照明器具は天井埋込形、直付形、吊下形、さらには壁面取付形等が許容され、器具本体に制光体としてグローブ、セード、反射体などが取付けられるものであっても光源となる口金付ランプが露出するものであってもよい。また、器具本体に1個の口金付ランプを取付けたものに限らず、複数個が配設されるものであってもよい。さらに、オフィス等、施設・業務用の大型の照明器具などを構成してもよい。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の発明によれば、合成樹脂製のカバー部材と本体側とを係合して支持する係合手段と、弾性力によってカバー部材を本体側に保持させる保持手段により、カバー部材を、接着剤を使用することなく確実に支持することが可能な口金付ランプを提供することができる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、簡単な構成により、カバー部材を、接着剤を使用することなく確実に支持することが可能な口金付ランプを提供することができる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2記載の口金付ランプを用いることにより、コスト的に有利な照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態である口金付ランプを示し、(a)はカバー部材の側面図、(b)は口金付ランプ全体の縦断面図。
【図2】同じく口金付ランプの側面図。
【図3】同じく口金付ランプを示し、(a)はカバー部材を下から見た斜視図、(b)は本体の一部を切り欠き、カバー部材を取り外して上方から見た示す斜視図。
【図4】同じく口金付ランプの係合手段を拡大して示し、(a)は断面図、(b)は(a)図におけるb−b線に沿う断面図。
【図5】同じく口金付ランプの係合手段を拡大して示し、(a)は押し込んだ状態を示す図、(b)保持手段により係合手段が押し上げられた状態を示す図。
【図6】同じく口金付ランプにおける保持手段の引張応力を確認するための実験に用いた解析モデルで、(a)は押し込み前の状態のモデルの斜視図、(b)は押し込んだ状態のモデルの斜視図、(c)は構造計算を行った仮想モデルを示す斜視図、(d)は仮想モデルによって計算した結果を示すグラフ。
【図7】同じく口金付ランプを装着した照明器具を、天井に設置した状態を概略的に示す断面図。
【図8】同じく口金付ランプの変形例を示し、(a)は第1の変形例におけるカバー部材の側面図、(b)は第2の変形例におけるカバー部材の側面図。
【図9】同じく口金付ランプの第3の変形例における係合手段を拡大して示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る口金付ランプおよび照明器具の実施形態について説明する。
【実施例1】
【0027】
本実施例の口金付ランプは、図1に示すように、ミニクリプトン電球に相当する口金付ランプ10を構成するもので、本体11と、固体発光素子12が実装された基板13からなり本体の一端部側に設けられる発光部14と、発光部を覆うように設けられる透光性のカバー部材15と、カバー部材と本体側とを係合して支持する係合手段16と、弾性力によってカバー部材を本体側に保持させる保持手段17と、固体発光素子を点灯する点灯装置18、点灯装置に接続され本体の他端部側に設けられる口金部材19で構成する。
【0028】
本体11は、熱伝導性の良好な金属、本実施例ではアルミニウムで構成された横断面形状が略円形の円筒状をなし、一端部側に径の大きな開口部11aを他端部側に径の小さな開口部11bを有する収納凹部11cを一体に形成する。また、外周面は図2に示すように、一端部側から他端部側に向かい順次直径が小さくなる略円錐状のテーパー面をなすように形成し、外観がミニクリプトン電球におけるネック部のシルエットに近似させた形状に構成する。外周面には一端部側から他端部側に向かい放射状に突出する多数の放熱フィン11dを一体に形成する。これら構成の本体11は、例えば、鋳造、鍛造または切削加工等で加工され、内部に空洞を有する肉厚の円筒体として構成される。本体11の一端部側の開口部11aには、図3(b)に示すように、環状の凹段部が形成されるように凹段部の底面を平坦な面に形成した基板支持部11eが一体に形成され、この周囲にリング状をなす凸条部11fを一体に形成する。
【0029】
また、本体11に一体に形成された収納凹部11cは、その内部に、後述する点灯装置18を構成する回路基板を配設するための凹部で、横断面が本体11の中心軸x−xを中心とした略円形をなし、一端側から他端部側に向かって内径が小さくなる略円錐台形状をなしている。収納凹部11c内には、点灯装置18とアルミニウムからなる本体11との電気絶縁を図るために絶縁ケース20が嵌め込まれる。絶縁ケースはPBT(ポリブチレンテレフタレート)などの耐熱性で電気絶縁性を有する合成樹脂で構成され、一端部側に開口部20aが形成され他端部側が閉塞されて収納凹部11cの内面形状に略合致する有底の略円錐台形状をなす形状に構成し、後述の基板13により開口部20aを押圧されて収納凹部11c内に固定される。しかし、ネジまたはシリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の接着剤で収納凹部11c内に固定するようにしてもよい。絶縁ケース20は、その他端部側に外周を段状になした口金取付部20cを一体に形成する。
【0030】
固体発光素子12は、本実施例では発光ダイオード(以下「LED」と称す)で構成し、本実施例では4個のLEDからなる。なお、LEDとしては、複数個のLEDチップおよびこのLEDチップにより励起される蛍光体により白色(昼白色、昼光色を含む)を発光するタイプのいわゆるチップオンボード形であってもよい。
【0031】
基板13は、熱伝導性の良好な金属、本実施例では平板状の薄い略円形の板状をなすアルミニウムで構成され、その表面(図1における上方の面)にシリコーン樹脂等の電気絶縁層を介して銅箔からなる配線パターンが形成され、この配線パターン上に4個の各LED12が略同心円状をなすように略等間隔に配設されて実装される(図3(b))。これにより円形で板状をなす基板13に、4個のLED11が略対称となるように配設された発光モジュールからなる発光部14が構成される。
【0032】
上記に構成された発光部14は、本体11の一端部側に形成された基板支持部11eに電気絶縁を図り、かつ密着されるように装着されて配設され、また、必要に応じてシリコーン樹脂等で構成された電気絶縁シート等(図示せず)を介して、平坦な面をなす基板支持部11eの底面にネジ等の固定手段を用い密着して装着される。
【0033】
これにより、本体11の一端部側に発光部14が配設されると共に、基板13の裏面が本体11の基板支持部11eに確実に密着され、基板13が熱伝導性の良好なアルミニウムで構成されていることと相まって、LED12から発生する熱を効果的に本体11に伝達し放熱させることができる。上記構成により、4個のLED12を実装した基板13からなる発光部14の光軸y−yが、本体11の中心軸x−xに略合致し、全体として平面視で略円形の発光面を有する光源部が構成される。
【0034】
カバー部材15は、ランプのグローブを構成するもので、透光性を有し、例えば、厚さが薄いポリカーボネート等の合成樹脂で構成され、透明または光拡散性を有する乳白色等の半透明、ここでは乳白色のポリカーボネートで一端部側に開口15aを有するミニクリプトン電球のシルエットに近似させた滑らかな曲面形状に形成する。
【0035】
カバー部材15は、基板13の発光部14を覆うようにして、開口15aの開口端部に一体に形成された環状の嵌合部15bが基板支持部11eの凸条部11f内に嵌め込まれ、さらに、接着剤を使用することなく、カバー部材15と本体側とを係合して支持する係合手段16と、弾性力によってカバー部材15を本体側に保持させる保持手段17によって、本体11の一端部側に支持し固定される。
【0036】
係合手段16は、図3(a)に示すように、カバー部材15における開口15aの環状の嵌合部15bを、切り欠くことによって形成された係合突部、本実施例では、係合爪16aで構成する。この係合爪16aは、図4に示すように、その先端部を内側、すなわち、本体11の軸線x−x側に向かって突出する係合突起16bを一体に形成し、120°の角度で等間隔に3個形成する(3個以上でもよい)。これにより、係合爪16aからなる係合手段16が、カバー部材15に一体に、その開口15aから下方に突出して形成される。なお、図5中16b1は係合突起16bに形成されたガイドのための傾斜部、16b2は鍵部である。
【0037】
上記に構成された係合手段16は、本体11の基板支持部11eの凸条部11f内に嵌め込まれ、本体側の係合受部、本実施例では、基板13の端縁部13aに、係合爪16aの係合突起16bを係合させることによって、カバー部材15が本体側に係合されて固定される。
【0038】
なお、本体11の基板支持部11eの環状をなす底面には、係合爪16aに対応して、等間隔に120°の角度の位置に凹嵌部11gが形成され(図3(b))、この凹嵌部の略中間部分まで基板13の端縁部13aが張り出して突出し、この突出した端縁部13aの裏側に係合爪16aの係合突起16bが係合される。係合爪16aは、凹嵌部11gに嵌合されることによって左右の移動が阻止され、本体11の軸線x−xを回転中心とする回転方向に係止され、カバー部材15は、本体11に対して回転することなく固定される。なお、図4(b)に示すように、凹嵌部11gの幅寸法L1は、係合爪16aの幅寸法L2と略同等若しくは若干大きめに形成して係止爪16aが凹嵌部11g内に挿入され嵌め込まれることで、係止爪16aの凹嵌部11g内での左右の動きが規制されてカバー部材15の本体11に対する回転が阻止される。
【0039】
一方、上述した係合爪16aと基板13の端縁部13aとの係合によるカバー部材15の取り付け工程では、カバー部材15を本体側に確実に固定するために遊び寸法s(0.5〜1mm程度)が必要となる(図5(a))。このため、係合手段16のみによる固定では、固定が不十分であり、運搬時や振動時に音がしたり、がたつきが商品性を損なったりする可能性があった。これらを防止するために、弾性力によってカバー部材15を本体側に保持させる保持手段17を設ける。
【0040】
保持手段17は、係合手段16によってカバー部材15と本体側とを係合した状態で、カバー部材15および本体側の間に互いに離反する向きの弾性力を作用させることによってカバー部材15を本体側に保持させる。すなわち、保持手段17は、本実施例では、図1(a)、図3(a)に示すように、カバー部材15の環状の嵌合部15bを切り欠いて凹部15c形成し、この凹部15c内に、一体にバネ片17aを形成することによって構成する。この保持手段を構成するバネ片17aは、根元17bが凹部15cの上壁に一体に連結して固定され、この上壁から湾曲して離間し、遊端となった先端部17cを所定の角度θをもって下方に向かって傾斜させて形成する。これにより、根元17bをバネの軸とし、遊端となっている先端部17cが合成樹脂、すなわち、ポリカーボネートの持つ弾性範囲内で本体11の軸線x−x方向(鉛直方向)、すなわち、カバー部材15および本体側の間に互いに離反する向きの弾性力が付与される。
【0041】
このバネ片17aは、図3(a)に示すように、係合手段16と60°の角度範囲で離間し、かつ120°の角度で等間隔に3個形成する(3個以上でもよい)。これにより、3個の係合手段16の間に等間隔に位置して保持手段17がカバー部材15に一体に、その開口15aから下方に突出して形成される。
【0042】
上記に構成されたバネ片17aは、カバー部材15が係合手段16によって基板13に係合して本体側に支持された状態で、バネ片17aの先端部が押圧され、その弾性力でカバー部材15全体を軸線x−x方向、すなわち、カバー部材15および本体側の間に互いに離反する向きに沿って上方に移動させる(図5(a)→図5(b))。この弾性作用によって、係合手段16における係合突起16bと基板13の端縁部13aとの遊び寸法s(0.5〜1mm程度)の稼動範囲内で、係合突起16bを上方に押し上げて基板13の端縁部13aの裏側に確実に係合させる。
【0043】
これら作用により、接着剤を用いることなく、係合突起16aと基板13の端縁部13aとの係合による物理的保持機構によって、遊び寸法sによる稼動が生じることなく、確実にカバー部材15を本体側に固定することができる。同時に、上述したように、本体11に対しても回転することなく確実に固定することができる。
【0044】
また、このバネ片17aは、3個の係合手段16の間に等間隔に位置して形成されており、バネ片による弾性力がカバー部材15の円周方向に沿って略均等に作用し、カバー部材15が傾いて固定されることがない。同時に、適正な固定強度を確保することができる。また、カバー部材15に弾性力を付与させるための作業は、係合手段16の係合爪16aを基板13に係合させることによって、同時に自動的に付与させることができる。さらに、バネ片17aは、カバー部材15の嵌合部15bを切り欠いて形成した凹部15c内にバネ片17aを設ける構成としたので、凹部15cの開口端部がストッパーの作用をなし、バネ片17aに大きな変形が起こらないようにすることができる。
【0045】
また、実験によれば、カバー部材15を本体11の基板支持部11eの凸条部11f内に嵌め込み、バネ片17aを本体11の基板支持部11eの環状をなす底面に押圧した状態、すなわち、バネ片17aに最大変形応力がかかる状態で、バネ片17aにかかる引張応力σは、ポリカーボネートの引張応力の限界値(63.73MPa)内であり、バネ片17aが凹部15c内で長期間にわたってバネ特性を維持できることが判明し、ポリカーボネートの物性の弾性範囲内の変形により、遊び寸法sによる稼動域を十分に制御できることが確認された。
【0046】
すなわち、図6(a)に示すように、厚さ約0.8mmのポリカーボネートで、凹部15cおよびバネ片17aを一体に形成し、バネ片17aに対向して、本体11に相当するアルミニウム板を配置し、バネ片17aをアルミニウム板11に当接することができる解析モデルを構成した。
【0047】
この解析モデルによって、図6(b)に示すように、ポリカーボネートをアルミニウム板11に当接しバネ片17aを押圧した状態にした。ポリカーボネートの強制変位寸法は、約0.5mmである。この状態でバネ片17aにかかる引張応力σは、約45.1MPaであり、ポリカーボネートの引張応力の限界値(63.73MPa)より低く、バネ片17aにおいてバネ特性を維持できることが確認された。なお、解析モデルの温度は、LED点灯時における温度と同様の約70℃に設定した。
【0048】
また、図6(c)に示す仮想モデルによって構造計算を行い、バネ片17aにおける角度θの最適値を求めた。仮想モデルにおける厚さ寸法tは約0.8mm、バネ片17aの縦寸法hは0.5〜1.2mm、バネ片17aの長さ寸法Lは5〜10mm。本体11に相当する支持体は、剛性を有し完全に固定した。仮想モデルの温度は、LED点灯時における温度と同様に70℃に設定した。この構成で、15〜40°の角度θをもった仮想モデルを作成し、強制変位条件での変形応力を求めた。
【0049】
上記仮想モデルによって計算した結果が図6(d)に示すグラフである。グラフの縦目盛は変形応力(MPa)、横目盛はバネ角度θ(°)である。このグラフから明らかなように、バネ角度θは、30°の条件で最も変形応力が少なく、20〜30°の角度であれば、バネ片17aが凹部15c内でバネ特性を維持できることが判明し、ポリカーボネートの物性の弾性範囲内の変形により、遊び寸法sによる稼動域を十分に制御できることが確認された。
【0050】
上記により、カバー部材15が本体11の一端部側に設けられ、本体11の傾斜する外周面が、グローブをなすカバー部材15の曲面状の外周面に一体的に略連続した外観形状になり、ランプ全体がミニクリプトン電球のシルエットに近似させた形状に構成される(図2)。
【0051】
点灯装置18は、図1(b)に示すように、各LED12の点灯回路を構成する回路部品を実装した平板状の回路基板18aからなる。点灯回路は、交流電圧100Vを直流電圧24Vに変換して各LED12に定電流の直流電流を供給するように構成される。回路基板18aは短冊状の縦に長い形状に構成して片面または両面に回路パターンが形成され、その実装面に小形の電解コンデンサ等のリード部品やトランジスタ等のチップ部品等、点灯回路を構成するための複数の小形の電子部品18bが実装され、上述した本体11の収容部11c内に設けられる絶縁ケース20内に、回路基板18aを縦方向にして収容される。これによって、本体内11の収容部11cに収容されLED12を点灯する点灯装置18が構成される。また、回路基板18aの出力端子には各LED12へ給電するための給電用のリード線(図示せず)を接続し、入力端子には入力線(図示せず)を接続する。
【0052】
点灯装置18に接続され、本体11の他端部側に設けられる口金部材19は、図1(b)に示すように、エジソンタイプのE17形を構成する口金で、ねじ山を備えた銅板製の筒状のシェル部19aと、このシェル部の下端の頂部に電気絶縁部を介して設けられた導電性のアイレット部19cを備えている。シェル部19aの開口部が、絶縁ケース20の口金取付部20cに外側から嵌め込まれ、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の接着剤による接着やカシメなどの手段により本体11との電気絶縁をなして本体11の他端部側に固定される。シェル部19aおよびアイレット部19cには、点灯装置18における回路基板18aの入力端子から導出された入力線が接続される。
【0053】
次に、上記に構成される電球形の口金付ランプ10の組立手順につき説明する。先ず、絶縁ケース20を本体11の収納凹部11c内に嵌め込み、絶縁ケース20の外周面と収納凹部11c内周面との接触部分に接着剤を塗布して固定する。
【0054】
次に、点灯装置18の回路基板18aを縦にして絶縁ケース20内に挿入しガイド溝に嵌合させて支持し収容する。このときリード線の先端は本体11の一端部側の開口部11aから引き出す。次に、開口部11aから引き出されたリード線を、LED12を実装した基板13に接続する。
【0055】
次に、基板13を本体11の基板支持部11eに載置し、表面側から周囲4箇所程度をねじ等の固定手段を用いて固定する。このとき熱伝導性を有し電気絶縁性を有する絶縁シート(図示せず)を基板支持部11eの底面と基板13裏面との間に介在させておく。これにより、基板13の裏面と基板支持部11eの平坦な面が密着して固定され、同時に、基板13により絶縁ケース20の開口部20aが押されて収納凹部11c内に確実に固定される。この際、基板13の端縁部13aが基板支持部11eにおける凹嵌部11gの上面の略中間部分まで張り出すように位置される(図3(b))。
【0056】
次に、点灯装置18の回路基板18aの入力端子から導出された入力線を、口金部材19のシェル部19aおよびアイレット部19cに接続し、接続した状態でシェル部19aの開口部を絶縁ケース20の口金取付部20cに嵌め込み接着剤で固着する。
【0057】
次に、カバー部材15を用意し、カバー部材15を本体11の開口部11aに被せるようにして、係合手段16である係合爪16aを本体11の基板支持部11eに形成された3個の嵌合凹部11g内に押圧しながら挿入する。この操作によって、係合突起16bの傾斜面16b1が、嵌合凹部11gの上面に張り出して設けられた基板13の端縁部13aに当接しながら外方に撓み、傾斜部16b1が基板の端縁部13aを乗り越え、係合突起16bの鍵部16b2が端縁部13aの裏面側に落とし込まれて係合する(図5(a)の状態)。この状態で遊び寸法sが形成されるように、係合爪16aが構成されているので、係合突起16bの傾斜部16b1は確実に基板の端縁部13aを乗り越え、鍵部16b2を確実に基板13の裏面側に係合させることができる。
【0058】
次に、カバー部材15から手を離して押圧を解除する。これにより、カバー部材15の保持手段17であるバネ片17aの弾性力によって、カバー部材15が軸線x−x、すなわち、カバー部材15および本体側の間に互いに離反する向きに沿って図5中上方に遊び寸法sの分だけ押し上げられ、係合突起16bの鍵部16b2が基板の端縁部13aの裏面側に係合する(図5(b)の状態)。これにより、カバー部材15は遊び寸法sによる稼動がなくなり確実に本体側に固定される。
【0059】
これにより、一端部側に接着剤によらないで固定されたカバー部材15であるグローブを有し、他端部にE17形の口金部材19が設けられ、全体の外観形状がミニクリプトン電球のシルエットに近似した電球形の口金付ランプ10が構成される。
【0060】
次に、上記のように構成された口金付ランプ10を光源とした照明器具の構成を説明する。図7に示すように、30は店舗等の天井面Xに埋め込み設置され、E17形の口金を有するミニクリプトン電球を光源としたダウンライト式の既存の照明器具で、下面に開口部31aを有する金属製の箱状をなした器具本体31と、開口部31aに嵌合される金属製の反射体32と、ミニクリプトン電球のE17形の口金をねじ込むことが可能なソケット33で構成されている。反射体32は、例えばステンレス等の金属板で構成し、反射体32の上面板の中央部にソケット33が設置されている。
【0061】
上記に構成されたミニクリプトン電球用の既存の照明器具30において、省エネや長寿命化などのためにミニクリプトン電球に替えて、上述したLED12を光源とする電球形の口金付ランプ10を使用する。すなわち、口金付ランプ10は口金部材19をE17形に構成してあるので、上記照明器具のミニクリプトン電球用のソケット33にそのまま差し込むことができる。この際、口金付ランプ10の外周面が略円錐状のテーパー面をなすようにして、外観がミニクリプトン電球におけるネック部のシルエットに近似させた形状に構成されているので、ネック部がソケット周辺の反射体32などに当たることなくスムーズに差し込むことができ、電球形の口金付ランプ10における既存照明器具への適用率が向上する。これにより、LED12を光源とした省エネ形のダウンライトが構成される。
【0062】
この状態で電源を投入すると、ソケット33から口金付ランプ10の口金部材19を介して電源が供給され、点灯装置18が動作し24Vの直流電圧が出力される。この直流電圧は点灯装置18から各LED12に印加され、定電流の直流電流が供給されて全てのLED12が同時に点灯する。
【0063】
各LED12から放射された白色の光は、カバー部材15の内面全体に向かって略均等に放射され、さらに乳白色のグローブで光が拡散されるので、ミニクリプトン電球に近似した配光特性をもった照明を行うことができる。特に、基板13が板状をなし、その表面にLED12が実装され、裏面が本体11の一端部側の凹段部からなる基板支持部11e内に内包されているので、基板13がグローブの内面に影となって現れることがなく、グローブが全体にわたって均等に光ることから、基板13が配光特性を阻害することがない。
【0064】
同時に、電球形の口金付ランプ10が点灯されると、LED12の温度が上昇し熱が発生する。その熱は、熱伝導性の良好なアルミニウムからなる基板13から、基板が直接密着して固定された基板支持部11eに伝達され、アルミニウムからなる本体11から放熱フィン11dを介して外部に効果的に放熱され、LEDの発光効率が低下することを防止することができる。
【0065】
以上、本実施例によれば、合成樹脂製のカバー部材15と本体側とを係合して支持する係合手段16と、弾性力によってカバー部材15を本体側に保持させる保持手段17により、カバー部材15を本体側に支持するようにしたので、係合手段16による物理的保持機構によって、遊び寸法sによる稼動が生じることなく、確実にカバー部材15を本体側に支持し固定することができ、カバー部材15が本体11に対して落下することなく確実に取り付けることができる。また、係合手段16による係合には、遊び寸法sが形成されるように構成されているので、確実に係合させることもできる。これにより、カバー部材と本体とを接着剤を使用することなく固定することができ、シリコーン接着剤の使用による材料コストの上昇および製造工程におけるプロセスコスト上昇による問題を解決することができる。
【0066】
また、係合手段16の係合突部は、係合爪16aと係合突起16bで構成し、保持手段17はバネ片17aで構成し、それぞれを合成樹脂製、すなわち、ポリカーボネートのカバー部材15に一体に形成したので、ポリカーボネート自体の弾性力を利用して係合手段16における係合力および保持手段17における弾性力の付与を行うことができ、製造が容易でかつ簡単な構成により、カバー部材15を本体側に確実に固定することができる。
【0067】
また、係合手段16を構成する係合爪16aは、本体11の基板支持部11eに形成された凹嵌部11gに挿入され、基板13の突出した端縁部13aに対して係合爪16aの係合突起16bが係合されように構成したので、係合爪16aは基板13を利用して係合させることができる。このため、係合爪に対する格別の係合受部を設けることなく構成することができ、さらに構成が簡素化される。同時に、係止爪16aが凹嵌部11gに嵌合されることによって、カバー部材15は、本体11に対して回転することなく、確実に固定することができる。
【0068】
また、保持手段17におけるバネ片17aは、3個の係合手段16の間に等間隔に位置して形成されており、バネ片17aによる弾性力がカバー部材15の円周方向に沿って略均等に作用し、カバー部材15が傾いて固定されることがない。同時に、適正な固定強度を確保することができる。さらに、バネ片17aは、カバー部材15の嵌合部15bを切り欠いて形成した凹部15c内にバネ片17aを設ける構成としたので、凹部15cの開口端部がストッパーの作用をなし、バネ片17aに大きな変形が起こらないように構成した。これにより、一般的に合成樹脂にバネ構造を設ける場合には、弾性変形の範囲内で成型する必要があり、合成樹脂は金属などに比較すると弱い物性を持つため、凹部15c内にバネ片17aを設けることで大きな変形が起こらない構造とすることができ、組立時等にバネ片の破損が生じることない。これら作用により、カバー部材15を本体側に長期にわたり確実に固定することができる。
【0069】
また、カバー部材15に対して弾性を付与させるための作業は、係合手段16の係合爪16aを基板13に係合させることによって、同時に、かつ自動的に保持手段17のバネ片17aによって弾性力を付与させることができ、組立工程を簡素化することができ、量産に適した口金付ランプを提供することができる。
【0070】
以上、本実施例において、保持手段17は、バネ片17aの根元17bが凹部15cの上壁に一体に連結され、この上壁から湾曲して離間し、遊端となった先端部17cを所定の角度θをもって下方に向かって傾斜させて形成したが、図8(a)に示すように、バネ片17aの根元17bを凹部15cの一方の側壁に一体に連結して固定し、この側壁から直線的に離間して遊端となった先端部17cを所定の角度θをもって下方に向かって傾斜させて設けるように構成してもよい。この場合も、上記実施例と同様に、バネ片17aは、係合手段16と60°の角度範囲で離間し、かつ120°の角度で等間隔に3個形成し(3個以上でもよい)、3個の係合手段16の間に等間隔に位置して保持手段17がカバー部材15に一体に、その開口15aから下方に突出するように構成する。
【0071】
この構成によれば、バネ片17aを直線で構成することができ、製造性が向上すると共に、バネ片17aの長さを長くすることが可能となって、より強い反発力による弾性を付与させることができる。
【0072】
また、係合手段16は保持手段17に一体に形成するように構成してもよい。すなわち、図8(b)に示されるように、保持手段17のバネ片17aの根元17bを凹部15cの上壁に一体に連結して固定し、この上壁から水平方向に直線的に、上壁から一定の隙間を有して離間させ延伸させて腕部17dを形成し、遊端となった先端部17cをさらに下方にL字形に成型して先端に、係合手段16の係合突部である係合爪16aおよび係合突起16bを一体に形成する。
【0073】
この構成によれば、その変形方向は、根元17bを中心とした本体11の軸線x−x方向(鉛直方向)と、軸線に直交する方向(水平方向)の2方向になり、さらに腕部17dが長いため変形範囲が広くなるため応力集中を抑制することができる。同時に、係合手段16の係合突起16bを基板13の端縁部13aに確実による係合させることができ、さらに保持手段17のバネ片17aの弾性力によって、カバー部材15を遊び寸法sの分だけ確実に上方に持ち上げることができ、カバー部材15を本体側により確実に固定することができる。
【0074】
本構成によれば、カバー部材15の固定時に発生する変形応力をポリカーボネートにおける引張応力の限界値である63.73MPa以下にすることができ、さらに好ましい範囲である30MPa以下にすることがでた。因みに、3Nの力でポリカーボネート製のカバー部材15を引っ張ったときの応力分布を調べてみたが、本構造にける係合突起16bおよびバネ片17aにかかる応力は、ポリカーボネートにおける引張応力の限界値である63.73MPa以下にすることができた。これにより、合成樹脂すなわち、ポリカーボネートの物性の弾性範囲内の変形により、遊び寸法sによる稼動を十分に制御することができると共に、十分に長い期間、確実に保持することが確認できた。
【0075】
また、一般的に係合爪の係合突起によってポリカーボネートのカバー部材を保持するためには、係合突起の高さを高くする必要がある。しかし、突起を高くすると取り付け時に大きな変形応力が発生して係合爪が破壊されてしまう。また、破壊が起こらない突起の高さに設定すると簡単に取り外すことができ、ランプの点灯・消灯の繰り返しによるヒートサイクルによるポリカーボネートの膨張により自然落下を起こす可能性もあり、突起の高さは必要となる。
【0076】
一方、係合爪を直線状に真っ直ぐ形成して先端に係合突起を形成すると、取り付け時に大きな応力が発生し、一見、取り付けらたように見えていても係合爪の一部が破断している可能性が高い。これに対して、本構成によれば、その変形方向は鉛直方向と、水平方向の2方向になり、さらに腕部17dが長く変形範囲が広くなるため応力集中を抑制することができ、確実に係合させて固定することができ、ヒートサイクル膨張による自然落下を防止することが十分にできる。
【0077】
本構成の場合も、上記実施例と同様に、バネ片17aは、120°の角度で等間隔に3個形成し(3個以上でもよい)、カバー部材15に一体に、その開口15aから係合手段16の係合突起16bが下方に突出するように構成する。また、本構成においては、保持手段17が腕部17dの分だけ長く形成されるので、これを挿入する本体11の凹嵌部11gの幅寸法L1を、腕部17dの長さL2´に対応して大きく形成し、カバー部材15の回転止めも同時に行えるように構成する。
【0078】
また、本実施例において、係合手段16の係合爪16aは、その先端部を内側、すなわち、本体11の軸線x−x側に向かって突出する係合突起16bを一体に形成したが、図9に示すように、係合突起16bを本体11の軸線x−xから外側に向かって一体に形成するように構成してもよい。この場合係合突起16bが係合する係合受部13a1を、本体11の基板支持部11eの内面側に一体に形成する。この構成によれば、ランプの点灯時等において、カバー部材15に対して温度上昇による内部圧力がかかった場合でも、係合突起16bは外側に移動して係合受部13a1との係合をより強固にするため、より一層確実に固定することができる。
【0079】
なお、変形例を示す図8、図9には、図1〜図7と同一部分に同一符号を付し、詳細な説明は省略した。以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上述の実施例に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の設計変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0080】
10 口金付ランプ
11 本体
14 発光部
15 カバー部材
16 係合手段
17 保持手段
19 口金部材
30 照明器具
31 器具本体
33 ソケット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の一端部側に配設される発光部と;
発光部を覆うように設けられ透光性を有する合成樹脂製のカバー部材と;
カバー部材および本体側のそれぞれに設けられた係合突部または係合受部を有し、これら係合突部および係合受部の嵌め合わせによってカバー部材と本体側とを係合して支持する係合手段と;
係合手段によってカバー部材と本体側とを係合した状態でカバー部材および本体側の間に互いに離反する向きの弾性力を作用させることによってカバー部材を本体側に保持させる保持手段と;
本体の他端部側に設けられる口金部材と;
を具備していることを特徴とする口金付ランプ。
【請求項2】
前記係合手段の係合突部および保持手段は、カバー部材に一体に形成したことを特徴とする請求項1記載の口金付ランプ。
【請求項3】
ソケットが設けられた器具本体と;
器具本体のソケットに装着される請求項1または2記載の口金付ランプと;
を具備していることを特徴とする照明器具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−134665(P2011−134665A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294766(P2009−294766)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】