説明

古紙処理装置、及び古紙処理方法

【課題】再生パルプ原料を得るための原材料として好適に適用可能な状態を維持したまま、記された情報が判別困難となるように秘匿処理することのできる古紙処理装置を提供する。
【解決手段】古紙処理装置は、投入口11及び排出口12を有する処理通路Rを内部に形成する処理部材10と、投入口11の外方位置及び処理通路R内において往復動可能に構成される第1押込体23と、排出口12の外方位置及び処理通路R内において往復動可能に構成される第2押込体26とを備えている。投入口11上に配置された古紙Xは、第1押込体23の動作により処理通路R内に押し込まれるとともに、第1押込体23及び第2押込体26の動作により軸線方向に押し潰されることによって丸めた状態とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生パルプ原料を得る原材料として用いられる古紙を、その古紙に記された情報が判別困難となるように秘匿処理するための古紙処理装置、及び古紙処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
企業や官公庁等においては、秘密保持の観点から、書類を処分する際には書類に記された情報が漏洩しないように秘匿処理を施す必要がある。こうした書類の秘匿処理方法としては、記された情報が判別困難となる程度の細かな紙片となるように、シュレッダを用いて書類を裁断する方法が一般的である。
【0003】
一方、近年、製紙に際して古紙の再利用割合が上昇し続けており、現在の古紙の再利用割合は60%を超えるとも言われている。古紙を再利用する方法としては、例えば、特許文献1に開示される方法が知られている。特許文献1の方法では、原材料としての古紙に水を加えてニーディングを施すことにより、古紙から再生パルプ原料を回収する。そして、再生パルプ原料に対して脱墨処理や洗浄処理等を施すことによって製紙用パルプを得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−299479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のとおり、シュレッダを用いた秘匿処理方法を採用した場合には、細かく裁断された多量の紙片が生じることになるが、この細かな紙片は再生パルプ原料を回収するための原材料としての再利用に適したものではない。シュレッダで処理された細かな紙片は、紙を構成する繊維も切断されて短くなっているため、再生紙を作製したとしても、繊維同士の絡み合いが不足した強度の低い紙となってしまうのである。そのため、シュレッダにより裁断された紙片は、再生パルプ原料を得る原材料として再利用されることは少なく、所定量が溜まった段階で古紙回収業者等に渡して焼却処分されている。
【0006】
本発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、再生パルプ原料を得るための原材料として好適に適用可能な状態を維持したまま、記された情報が判別困難となるように秘匿処理することのできる古紙処理装置、及び古紙処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の古紙処理装置は、再生パルプ原料を得るための原材料として用いられる古紙を、その古紙に記された情報が判別困難となるように秘匿処理するための古紙処理装置であって、投入口及び排出口を有する処理通路を内部に形成する処理部材と、前記投入口上に配置された古紙を、前記処理通路内に押し込む第1押込体と、前記処理通路内に押し込まれた古紙を、前記処理通路の軸線方向に押し潰して丸めた状態とする第2押込体とを備えることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、古紙を押し潰して丸めた状態とすることによって、古紙に記された情報を判別困難な状態としている。そのため、秘匿処理後においても古紙を構成する繊維が切断されることはなく、繊維はそのままの長さ又はそれに近い状態で維持される。よって、本装置により秘匿処理された古紙は、再生パルプ原料を得るための原材料として好適に適用することができる。なお、本明細書において、「丸めた状態」とは、古紙がくしゃくしゃに折り曲げられて一定の塊状に丸められた状態を意味する。
【0009】
請求項2に記載の古紙処理装置は、請求項1に記載の発明において、前記第1押込体は、前記投入口の外方位置及び前記処理通路内を往復動可能、且つ前記処理通路内の軸線側位置を移動するように構成され、前記第2押込体は、前記投入口の外方位置及び前記処理通路内を往復動可能、且つ前記処理通路内の内壁側位置を移動するように構成され、前記処理通路内の前記排出口側には、通路断面積が狭められた縮径部が設けられ、前記第1押込体により前記処理通路内に押し込まれた古紙を、前記第2押込体により前記縮径部に押し付けることによって押し潰して丸めた状態とすることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、古紙は、第1押込体により押し込まれて、投入口を通過する際に、第1押込体と投入口の縁とに挟まれて、上方に開口する有底筒状に折り曲げられた状態となる。その後、有底筒状に折り曲げられた古紙は、第2押込体によって縮径部に押し付けられることにより更に端縁側が折り曲げられて丸まった状態となる。よって、効率的に古紙を丸めた状態とすることができる。
【0011】
請求項3に記載の古紙処理装置は、請求項1に記載の発明において、前記第1押込体は、前記投入口の外方位置及び前記処理通路内を往復動可能に構成され、前記第2押込体は、前記排出口の外方位置及び前記処理通路内を往復動可能に構成され、前記処理通路の投入口側には、前記第1押込体が通過可能な挿通孔を有する規制壁が設けられ、前記第1押込体により前記処理通路内に押し込まれた古紙を、前記第2押込体により前記規制壁に押し付けることによって押し潰して丸めた状態とすることを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、古紙は、第1押込体により押し込まれて、規制壁の挿通孔を通過する際に、第1押込体と挿通孔の縁とに挟まれて、上方に開口する有底筒状に折り曲げられた状態となる。その後、有底筒状に折り曲げられた古紙は、第2押込体によって規制壁に押し付けられることにより更に端縁側が折り曲げられて丸まった状態となる。よって、効率的に古紙を丸めた状態とすることができる。
【0013】
請求項4に記載の古紙処理装置は、請求項3に記載の発明において、前記処理通路内には、通路断面が前記第1押込体及び前記第2押込体の断面形状に等しく設定された圧縮部が設けられ、丸めた状態とされた古紙を、前記圧縮部内にて前記第1押込体及び前記第2押込体により挟圧することによって圧縮することを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、丸めた状態とされた古紙が更に圧縮されることによって、情報の秘匿性が高められるとともに、秘匿処理された古紙の減溶化を図ることもできる。なお、処理通路の通路断面が第1押込体及び第2押込体の断面形状に等しいとは、第1押込体及び第2押込体が圧縮部内を移動可能であることを前提として、第1押込体及び第2押込体が圧縮部内に位置したときに、処理通路内面と第1押込体及び第2押込体との間に隙間がほとんど生じないことを意味する。
【0015】
請求項5に記載の古紙処理方法は、再生パルプ原料を得る原材料として用いられる古紙を、その古紙に記された情報が判別困難となるように秘匿処理するための古紙処理方法であって、投入口及び排出口を有する処理通路内に、前記投入口から古紙を押し込む投入工程と、前記処理通路内に押し込まれた古紙を、前記処理通路の軸線方向に押し潰して丸めた状態とする丸め工程と、丸めた状態とされた古紙を、前記排出口を介して前記処理通路から押し出す排出工程とを有することを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、古紙を丸めることによって、古紙に記された情報を判別困難な状態としている。そのため、秘匿処理後においても古紙を構成する繊維が切断されることはなく、繊維はそのままの長さ又はそれに近い状態で維持される。よって、本方法により秘匿処理された古紙は、再生パルプ原料を得るための原材料として好適に適用することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の古紙処理装置、及び古紙処理方法によれば、再生パルプ原料を得るための原材料として好適に適用可能な状態を維持したまま、記された情報が判別困難となるように古紙を秘匿処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態の古紙処理装置の概略図。
【図2】(a)〜(e)は、第1実施形態の古紙処理装置による秘匿処理の説明図。
【図3】(a)〜(e)は、第1実施形態の古紙処理装置による秘匿処理の説明図。
【図4】(a)、(b)は、別例の挿通孔を示す図、(c)は別例の処理通路の断面図。
【図5】(a)、(b)は、補助折り曲げ手段の説明図。
【図6】第2実施形態の古紙処理装置の概略図。
【図7】(a)〜(e)は、第2実施形態の古紙処理装置による秘匿処理の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態の古紙処理装置を図1〜3に基づいて説明する。
図1に示すように、古紙処理装置の中央部分には、内部に処理通路Rを形成する円筒状の処理部材10が上下方向に延びるように配置されている。処理部材10内の処理通路Rは上下両端が開口され、上側の開口端部が投入口11、下側の開口端部が排出口12となっている。また、処理通路Rにおける投入口11側には、投入口11側から排出口12側に向かって徐々に通路内径(通路断面積)が縮小する傾斜部13が形成されている。そして、傾斜部13の先端から排出口12の間には、通路内径が一定の圧縮部14が形成されている。圧縮部14の通路内径は、傾斜部13の先端部分の通路内径と同じになっている。
【0020】
処理部材10の上部には、処理通路Rの投入口11を塞ぐようにして平板状の載置板15が取り付けられている。この載置板15には、処理通路Rの軸線Pを中心とする円形状の挿通孔15aが貫通形成されている。挿通孔15aの径は、処理通路Rの圧縮部14の通路内径よりも大きく、且つ投入口11の径よりも小さくなるように設定されている。したがって、投入口11の周縁部分においては、載置板15が内側に向かって張り出した状態となっている。また、載置板15の上面には挿通孔15aから所定距離離れた位置に突起15bが突設されている。
【0021】
載置板15の上方位置には、処理通路Rの軸線Pの延長線上に沿って延びる棒状の第1スライド部材22と、この第1スライド部材22を同軸線方向に往復移動させる第1アクチュエータ21が配置されている。第1スライド部材22の先端には球状の第1押込体23が取り付けられている。第1押込体23の直径は、処理通路Rの圧縮部14の通路内径と略等しくなる(より具体的には、圧縮部14の通路内径より僅かに小さくなる)ように設定されている。したがって、第1押込体23は載置板15の挿通孔15aの径よりも小さくなっており、挿通孔15aを通過することが可能である。また、第1押込体23の先端には凹部23aが形成されている。第1スライド部材22及び第1押込体23は、第1アクチュエータ21が駆動されることにより、処理通路Rの軸線Pに沿って処理通路R内へスライド移動することができる(図1の二点鎖線部分参照。)。
【0022】
一方、処理部材10の下方位置には、処理通路Rの軸線Pの延長線上に沿って延びる棒状の第2スライド部材25と、この第2スライド部材25を同軸線方向に往復移動させる第2アクチュエータ24が配置されている。第2スライド部材の先端には円柱状の第2押込体26が取り付けられている。第2押込体26の直径は、第1押込体23の直径と同じに設定されている。また、第2押込体26の先端には凸部26aが形成されている。第2スライド部材25及び第2押込体26は、第2アクチュエータ24が駆動されることにより、処理通路Rの軸線Pに沿って処理通路R内へスライド移動することができる(図1の二点鎖線部分参照。)。なお、第1アクチュエータ21及び第2アクチュエータ24の駆動状態は、制御部Cからの制御信号に基づいて制御されている。
【0023】
また、古紙処理装置内には、処理通路R内にて秘匿処理された古紙を収集する箱状の収集部31が設けられている。そして、処理部材10の下部と収集部31の上部との間には、処理通路Rの排出口12から排出された古紙を収集部31へ案内するスロープ状の案内部32が設けられている。
【0024】
なお、処理通路Rの通路断面、投入口11、圧縮部14(排出口12)、載置板15の挿通孔15a、第1押込体23、及び第2押込体26の大きさは、処理対象となる古紙Xの大きさに応じて設定される。たとえば、処理通路Rの通路断面積を古紙Xの大きさ(面積)の2〜10%の範囲に設定する。また、処理通路Rの通路長さは、処理対象となる古紙Xの長辺側の長さの半分よりも大きくなるように設定する。
【0025】
次に、図2及び図3に基づいて、第1実施形態の古紙処理装置を用いて古紙を秘匿処理する態様(作用)について説明する。
[準備工程]
制御部Cは第1アクチュエータ21及び第2アクチュエータ24を駆動して、第1押込体23及び第2押込体26を初期位置に配置する。具体的には、図2(a)に示すように、第1押込体23は、載置板15の外方側において載置板15の上面との間に所定の間隔をあけた位置に配置される。一方、第2押込体26は、処理通路Rの排出口12に僅かに挿入され、排出口12を塞ぐ位置に配置される。そして、ローラフィーダ等の所定の紙送り手段(図示略)により、第1押込体23と載置板15の上面との間に処理対象となる古紙Xが数枚単位(例えば4枚単位)で側方から挿入され、載置板15の上面に載置される。このとき、古紙Xは、載置板15の挿通孔15a上に紙の中心部分が位置するように突起15bによって位置決めされて載置される。
【0026】
[投入工程]
制御部Cは第1アクチュエータ21を駆動して、載置板15の挿通孔15aを通過させつつ、処理通路R内における傾斜部13の中央位置まで第1押込体23を進出させる。第1押込体23が挿通孔15aを通過するに際して、図2(b)に示すように、古紙Xは第1押込体23と挿通孔15aの縁部分とに挟まれて、中央部分を頂点とする錐状に折り曲げられる。第1押込体23が挿通孔15aを通過した後は、図2(c)に示すように、古紙Xは、挿通孔15aの縁部分との摺接によって、その縁部側を後方位置で纏めるように更に折り曲げられる。そして、第1押込体23が処理通路Rを傾斜部13の先端側へ更に進出して古紙Xが完全に処理通路R内に押し込まれると、図2(d)に示すように、纏めるように折り曲げられた古紙Xの縁部が処理通路Rの傾斜部13に沿って広がり、古紙Xは上方に開口する有底の略円筒形状に折り曲げられた状態となる。
【0027】
[丸め工程]
制御部Cは第1アクチュエータ21を駆動して、処理通路R内における傾斜部13の先端位置(圧縮部14の手前)まで第1押込体23を更に進出させた後、第1押込体23を載置板15の位置まで退避させ、第1押込体23により挿通孔15aを塞いだ状態とする。第1押込体23が処理通路Rの傾斜部13内を先端側へ進出するに際して、図2(e)に示すように、古紙Xは傾斜部13の傾斜面に沿って次第により細く折り曲げられていく。
【0028】
続いて、制御部Cは第2アクチュエータ24を駆動して、処理通路R内における傾斜部13の基端側(投入口11側)位置まで第2押込体26を進出させる。このとき、処理通路Rの傾斜部13内にある古紙Xは、図3(a)に示すように、第2押込体26に押されて傾斜部13の基端側へ移動して、載置板15の下面及び第1押込体23に押し付けられる。これにより、略円筒形状に折り曲げられた古紙Xの縁部側が内向き又は外向きに折り曲げられる。
【0029】
そして、第2押込体26が傾斜部13の基端側へ更に進出して、古紙Xが載置板15の下面及び第1押込体23に更に押し付けられると、図3(b)に示すように、略円筒形状であった古紙Xの中腹部分が折れ曲がって、古紙Xは全体としてくしゃくしゃに丸めたような状態となる。その後、制御部Cは第2アクチュエータ24を駆動して、初期位置である排出口12を塞ぐ位置まで第2押込体26を退避させる(図3(c)参照。)。なお、第1実施形態においては、載置板15が規制壁として機能している。
【0030】
[圧縮工程]
制御部Cは第1アクチュエータ21を駆動して、処理通路R内の圧縮部14まで第1押込体23を進出させる。このとき、上記丸め工程において丸めた状態とされた古紙Xは、図3(d)に示すように、第1押込体23により処理通路R内の圧縮部14に押し込められるとともに、圧縮部14内にて第1押込体23と第2押込体26とに挟圧されて、より小さく円柱状に圧縮された状態となる。
【0031】
[排出工程]
制御部Cは第2アクチュエータ24を駆動して、処理通路Rの外側位置まで第2押込体26を退避させるとともに、第1アクチュエータ21を駆動して、処理通路Rの排出口12まで第1押込体23を進出させる。これにより、上記圧縮工程にて圧縮された古紙Xは、図3(e)に示すように、第1押込体23によって排出口12を介して処理通路Rから押し出される。そして、処理通路Rから押し出された古紙Xは、案内部32の上に落下するとともに案内部32より案内されて収集部31へと運ばれる(図1参照)。
【0032】
次に、第1実施形態における効果について、以下に記載する。
(1)古紙処理装置は、投入口11及び排出口12を有する処理通路Rを内部に形成する処理部材10と、投入口11の外方位置及び処理通路R内において往復動可能に構成される第1押込体23と、排出口12の外方位置及び処理通路R内において往復動可能に構成される第2押込体26とを備えている。投入口11上に配置された古紙Xは、投入工程において第1押込体23の動作により処理通路R内に押し込まれるとともに、丸め工程において第1押込体23及び第2押込体26の動作により処理通路R内にて往復動させることによって丸めた状態とされる。
【0033】
上記構成によれば、古紙Xを丸めることによって、古紙Xに記された情報を判別困難な状態としている。そのため、秘匿処理後においても古紙Xを構成する繊維が切断されることはなく、繊維はそのままの長さ又はそれに近い状態で維持される。よって、本装置により秘匿処理された古紙Xは、再生パルプ原料を得るための原材料として好適に適用することができる。
【0034】
(2)処理部材10の上部に、処理通路Rの投入口11を塞ぐようにして平板状の載置板15を取り付けるとともに、載置板15に対して、投入口11よりも径が小さく、且つ第1押込体23が通過可能な挿通孔15aを設けている。そして、投入工程において、第1押込体23は載置板15の上面に載置された古紙Xを、挿通孔15aから処理通路R内に押し込むように動作し、第2押込体26は古紙Xを載置板15の下面に押し付けるように動作する。
【0035】
上記構成によれば、古紙Xは、第1押込体23に押し込まれて載置板15の挿通孔15aを通過する際に、第1押込体23と挿通孔15aの縁とに挟まれて、上方に開口する有底筒状に折り曲げられた状態となる。その後、有底筒状に折り曲げられた古紙Xは、第2押込体26によって載置板15の下面に押し付けられることにより更に端縁側が折り曲げられて丸まった状態となる。よって、効率的に古紙を丸めた状態とすることができる。
【0036】
(3)処理通路R内における排出口12側の位置に、通路内径(通路断面)が第1押込体23及び第2押込体26の直径(断面形状)に略等しい圧縮部14を設けている。そして、第1押込体23及び第2押込体26は、丸めた状態とされた古紙Xを圧縮部14内にて挟圧して圧縮するように動作する。上記構成によれば、丸めた状態とされた古紙Xが更に圧縮されることによって、情報の秘匿性が高められるとともに、秘匿処理された古紙の減溶化を図ることもできる。
【0037】
(4)丸め工程において、第1押込体23を載置板15の位置まで退避させ、第1押込体23により挿通孔15aを塞いだ状態として、第2押込体26により古紙Xを載置板15の下面に押し付けるようにしている。上記構成によれば、古紙Xを載置板15の下面に押し付けたときに、挿通孔15a内に古紙Xの縁部が入り込むことが規制されて、より確実に古紙Xの縁部を折り曲げることができる。
【0038】
(5)第1押込体23の先端に凹部23aが形成されるとともに、第2押込体26の先端に凸部26aが形成されている。上記構成によれば、投入工程、丸め工程、及び圧縮工程の各工程において、第1押込体23及び第2押込体26によって古紙Xを移動させる際に、古紙Xに対して凹部23a及び凸部26aが引っ掛かるようになる。これにより、処理通路R内を古紙Xが移動する際における各押込体と古紙Xとの間の位置ずれが抑制されて、古紙Xに対してより確実に折り曲げを付与していくことができる。
【0039】
(6)第1実施形態の古紙処理装置、及び同装置を用いた処理方法によれば、従来のシュレッダ及びシュレッダを用いた処理方法と比較して、処理後の古紙Xが再利用に適するという点の他にも以下に示すような様々な効果が得られる。
【0040】
第1に、単純な構成で古紙Xを秘匿処理することができるため、装置の小型化を図ることが容易である。そのため、設置場所を選ばす、特にオフィス内の設置に適している。また、消費電力も低く抑えることができる。
【0041】
第2に、古紙Xを裁断する刃が存在しないため、刃を交換するメンテナンス作業を必要としない。
第3に、処理時に発生する騒音が小さい。そのため、消音能力の低い消音部材を利用した場合であっても、装置から発生する騒音を十分に低減させることが可能であり、消音部材等を配置する際の設計の自由度が向上する。
【0042】
第4に、処理後の古紙Xは塊状に圧縮されているため、処理後の古紙Xが嵩張ることはなく、大きな保管スペースを必要としない。一方、シュレッダによる処理後の古紙は、細かい紙片となっているため、嵩張りやすく大きな保管スペースを必要とする。また、処理後の古紙Xが嵩張らないという点は、運送時のコスト削減にも大きく寄与する。
【0043】
第5に、本装置により秘匿処理された古紙Xは、丸められて塊状になっているため、再生パルプ原料を得るに際して、パルパー(古紙を溶かして、繊維を取り出す装置)に沈みやすく、溶けやすい。一方、シュレッダによる処理後の古紙は、細かい紙片となっているため、パルパーに張られた水に浮いてしまい、沈み難く、溶け難いという問題がある。
【0044】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態の古紙処理装置を図6及び7に基づいて説明する。
図6に示すように、古紙処理装置の中央部分には、内部に処理通路Rを形成する円筒状の処理部材40が上下方向に延びるように配置されている。処理部材40内の処理通路Rは上下両端が開口され、上側の開口端部が投入口41、下側の開口端部が排出口42となっている。また、処理通路Rにおける排出口42側の端部には、投入口41側から排出口42側に向かって徐々に通路内径(通路断面積)が縮小するテーパ状の縮径部43が形成されている。そして、縮径部43における最小径部分が排出口42となっている。
【0045】
処理部材40の上部には、処理通路Rの投入口11を塞ぐようにして平板状の載置板44が取り付けられている。この載置板44には、処理通路Rの軸線Pを中心とする円形状の挿通孔44aが貫通形成されている。挿通孔44aの径は、処理通路Rの投入口41の径に等しくなるように設定されている。また、載置板44の上面には挿通孔44aから所定距離離れた位置に突起44bが突設されている。
【0046】
載置板44の上方位置には、処理通路Rの軸線Pの延長線上に沿って延びる押込部材52が配置されている。図6の左上に示すように、押込部材52は、その外側部分を構成する第2押込体53と、第2押込体53に対して、突出及び没入可能に取り付けられる第1押込体54とから構成されている。第2押込体53は、内部に収容空間Sを形成する中空状の部材であって、その下壁中央部分には、下壁中央部分には貫通孔53aが形成されている。第2押込体53の収容空間S内には、円柱状の第1押込体54が、その下側の先端部分を貫通孔53aから突出させた状態で収容されている。第1押込体54の上端部分には貫通孔53aよりも径の大きい係止部54aが形成されている。そして、この係止部54aが第2押込体53の下壁内面に当接することによって、第2押込体53からの第1押込体54の脱落が防止されている。
【0047】
第2押込体53の収容空間S内において、第2押込体53の上壁内面と第1押込体54との間には、第1押込体54を下方側へ付勢する付勢手段としてのコイルばね55が配置されている。したがって、第1押込体54は、係止部54aを第2押込体53の下壁内面に当接させた状態、即ち第1押込体54の先端側の大部分を、貫通孔53aを通じて第2押込体53の下方へ突出させた状態で位置決めされている。また、コイルばね55の付勢力に抗して、第1押込体54を上方側へ押し上げる力が作用した場合には、第1押込体54はコイルばね55を圧縮させつつ、第2押込体53の収容空間S内に没入するように構成されている。
【0048】
また、第2押込体53の外径は、処理通路Rの通路内径と略等しく(より具体的には、処理通路Rの通路内径より僅かに小さい)なるように設定されている。第1押込体54の先端部の径は、処理通路Rの通路内径よりも小さく、排出口42の径と同じかそれよりも大きくなるように設定されている。
【0049】
また、載置板44の上方位置には、押込部材52を処理通路Rの軸線Pに沿って往復移動させるアクチュエータ51が配置されている。アクチュエータ51は押込部材52の第2押込体53部分に取り付けられ、第2押込体53を処理通路Rの軸線Pに沿って往復移動させるように動作するように構成されている。そして、押込部材52は、アクチュエータ51が駆動されることにより、処理通路Rの軸線Pに沿って処理通路R内へスライド移動することができる(図6の二点鎖線部分参照。)。なお、アクチュエータ51の駆動状態は、制御部Cからの制御信号に基づいて制御されている。
【0050】
さらに、古紙処理装置内には、処理通路R内にて秘匿処理された古紙を収集する箱状の収集部61が設けられている。そして、処理部材40の下部と収集部61の上部との間には、処理通路Rの排出口42から排出された古紙を収集部61へ案内するスロープ状の案内部62が設けられている。
【0051】
次に、図7に基づいて、第2実施形態の古紙処理装置を用いて古紙を秘匿処理する態様(作用)について説明する。
[準備工程]
制御部Cはアクチュエータ51を駆動して、押込部材52を初期位置に配置する。具体的には、図7(a)に示すように、押込部材52は、載置板44の外方側において載置板44の上面との間に所定の間隔をあけた位置に配置される。そして、ローラフィーダ等の所定の紙送り手段(図示略)により、押込部材52と載置板44の上面との間に処理対象となる古紙Xが数枚単位(例えば4枚単位)で側方から挿入され、載置板44の上面に載置される。このとき、古紙Xは、載置板44の挿通孔44a上に紙の中心部分が位置するように突起44bによって位置決めされて載置される。
【0052】
[投入工程]
制御部Cはアクチュエータ51を駆動して押込部材52の第2押込体53を下方へ移動させて、載置板44の挿通孔44aを通過させつつ、処理通路Rの中央位置まで第1押込体54を進出させる。第1押込体54は、処理通路R内における中央側(軸線P側)の位置を移動する。第1押込体54が挿通孔44aを通過するに際して、図7(b)に示すように、古紙Xは第1押込体54と挿通孔44aの縁部分とに挟まれて、中央部分を頂点とする錐状に折り曲げられる。第1押込体54が挿通孔15aを通過した後は、図7(c)に示すように、古紙Xは、挿通孔44aの縁部分との摺接によって、その縁部側を後方位置で纏めるように更に折り曲げられて、上方に開口する有底の略円筒形状に折り曲げられた状態となる。
【0053】
[丸め工程]
制御部Cはアクチュエータ51を駆動して、押込部材52の第2押込体53を更に下方へと移動させる。これにより、古紙Xは第1押込体54に押されて処理通路Rの縮径部43に到達し、縮径部43内に徐々に押し込められていく。このとき、古紙Xが縮径部43内に押し込められるにつれて、第1押込体54に作用する抵抗が大きくなっていく。そして、第1押込体54に作用する抵抗がコイルばね55の付勢力を上回ると、図7(d)に示すように、第1押込体54の位置は固定されたまま、第2押込体53のみがコイルばね55を圧縮させつつ処理通路R内を下方へ移動していく。このとき、第2押込体53は処理通路R内における、処理通路Rにおける第1押込体54の外側位置(内壁側の位置)を移動する。これにより、略円筒形状に折り曲げられた古紙Xの縁部側は、第2押込体53の下壁部分に押されて縮径部43の内面に押し付けられる。そして、古紙Xの縁部側が内向き又は外向きに折り曲げられつつ、古紙X全体が縮径部43内に更に押し込められて、全体として、くしゃくしゃに丸めたような状態となる。
【0054】
その後、制御部Cはアクチュエータ51を駆動して、押込部材52を初期位置まで退避させる。そして、秘匿処理が繰り返し行われる。なお、2回目以降の秘匿処理における各工程は、前回処理した古紙Xaが処理通路Rの縮径部43内に押し込められた状態のままで行われる(図7における破線部分参照)。そして、2回目以降の秘匿処理における丸め工程において、新たな古紙Xが縮径部43内に押し込められるに伴って、前回処理した古紙Xaが排出口42を介して処理通路Rから押し出される。つまり、第2実施形態においては、次回の処理における丸め工程が前回の処理における排出工程を兼ねている。そして、処理通路Rから押し出された古紙Xaは、案内部62の上に落下するとともに案内部62より案内されて収集部61へと運ばれる(図6参照)。
【0055】
第2実施形態の古紙処理装置においても、第1実施形態における上記(6)と同様の効果を得ることができる。また、第2実施形態の古紙処理装置においては、以下のような効果が得られる。
【0056】
(7)古紙処理装置は、投入口41及び排出口42を有する処理通路Rを内部に形成する処理部材10と、投入口41の外方位置及び処理通路R内を往復動可能な押込部材52とを備えている。押込部材52は処理通路R内の軸線P側位置を移動する第1押込体54と、処理通路R内の内壁側位置を移動する第2押込体53とから構成されている。また、処理通路R内の排出口42側には、通路断面積が狭められた縮径部43が設けられている。そして、投入口41上に配置された古紙Xは、投入工程において第1押込体54により処理通路R内に押し込まれるとともに、丸め工程において第2押込体53により縮径部43に押し込められることによって、押し潰して丸めた状態とされる。
【0057】
上記構成によれば、古紙Xを丸めることによって、古紙Xに記された情報を判別困難な状態としている。そのため、秘匿処理後においても古紙Xを構成する繊維が切断されることはなく、繊維はそのままの長さ又はそれに近い状態で維持される。よって、本装置により秘匿処理された古紙Xは、再生パルプ原料を得るための原材料として好適に適用することができる。
【0058】
(8)第2押込体53に対して、第1押込体54を突出及び没入可能に取り付けるとともに、第1押込体54を突出状態とするように付勢するコイルばね55を設けている。そして、コイルばね55の付勢力に抗する程の抵抗が第1押込体54に付加された場合に、第2押込体53内に第1押込体54が没入するように構成されている。上記構成によれば、第1押込体54を移動させるためのアクチュエータを設けることなく、第2押込体53を移動させるアクチュエータ51を設けるのみで各工程を実施することができる。
【0059】
なお、上記各実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。また、次の変更例を互いに組み合わせ、その組み合わせの構成のように上記各実施形態を変更することも可能である。
【0060】
・ 上記各実施形態では、処理通路Rを上下方向に配置していたが、処理通路Rの配置方向は特に限定されるものではない。なお、処理通路Rの配置方向の変更に応じて、第1押込体23(第1押込体54)及び第2押込体26(第2押込体53)の配置位置及び移動方向も適宜変更される。
【0061】
・ 上記各実施形態において、処理通路Rの断面形状は特に限定されるものではなく、例えば楕円状であってもよいし、多角形状であってもよい。
・ 上記各実施形態において、載置板に形成される挿通孔の形状は特に限定されるものではなく、例えば楕円状であってもよいし、多角形状であってもよい。なお、挿通孔の形状は、図4(a)に示す四角形の四隅を突出させた形状や、図4(b)に示す星型形状のように、内周の一部が内側に突出する形状とすることが好ましい。この場合には、投入工程において、古紙Xが上記突出部分によって内側に折り曲げられるため、後の丸め工程において、より効率的に古紙を丸めた状態とすることができるようになる。
【0062】
・ 上記各実施形態における投入工程において、第1押込体23(第1押込体54)を処理通路Rに進出させる際に、処理通路Rの軸線Pを中心に第1押込体23(第1押込体54)を回転させるようにしてもよい。この場合、投入工程において処理通路R内を古紙Xが移動するときに、第1押込体23(第1押込体54)と共に古紙Xが回転して、処理通路Rの内壁に対して古紙Xが螺旋状に摺接するようになり、古紙Xに捻じるような折り曲げが加えられる。同様に、丸め工程において、第2押込体26(第2押込体53)を処理通路Rに進出させる際に、処理通路Rの軸線Pを中心に第2押込体26(第2押込体53)を回転させるようにしてもよい。これら第1押込体23(第1押込体54)及び第2押込体26(第2押込体53)の回転は、古紙Xを丸め加工する際に有利になるだけでなく、古紙Xの印刷面が擦れることで印刷を不鮮明にすることができる。
【0063】
・ 上記各実施形態において、処理通路Rの内面を粗面状に加工した構成としてもよい。この場合には、投入工程及び丸め工程において、処理通路R内を古紙Xが移動するときに、古紙Xと処理通路Rの内面との間に引っ掛かりが生じやすくなる。古紙Xと処理通路Rの内面とが引っ掛かることにより、古紙Xに対して付加的な折り曲げが加えられるようになる。また、古紙Xの印刷面が粗面状の内面に擦れることで印刷を不鮮明にすることができる。
【0064】
・ 上記各実施形態において、処理通路Rの内面に対して突条又は溝を設けた構成としてもよい。この場合にも、処理通路Rの内面を粗面状に加工した場合と同様に、処理通路R内を古紙Xが移動するときに、古紙Xと処理通路Rの内面との間に引っ掛かりが生じて、古紙Xに対して付加的な折り曲げが加えられるようになる。とくに図4(c)に示すように、処理通路Rの内面に対して螺旋状の突条17を設けた場合には、処理通路R内を古紙Xが移動するときに、突条17に沿って古紙Xが捻じれて、捻じれ状の折り曲げが加えられる。また、古紙Xの印刷面がより積極的に突条又は溝に擦れることになるため、印刷の不鮮明化に有利である。
【0065】
・ 第1実施形態では、処理通路R内において、投入口11側から排出口12側に向かって、通路断面積が減少する部位(傾斜部)と、通路断面積が一定の部位(圧縮部14)とを形成していたが、これらの部位の処理通路Rにおける配置構成を適宜変更してもよい。たとえば、投入口11側から排出口12側に向かって、通路断面積が一定の部位と通路断面積が減少する部位とが交互に配置されていてもよいし、処理通路R全体を、通路断面積が減少する部位のみ、又は通路断面積が一定の部位のみにより形成してもよい。また、排出口12側から投入口11側に向かって、通路断面積が減少する部位を形成してもよい。
【0066】
・ 第1実施形態において、処理通路Rに圧縮部14を設けることなく、丸め工程にて丸めた状態とされた古紙Xをそのまま排出口12から排出するように構成してもよい。また、丸め工程での第1押込体23及び第2押込体26の往復動回数を複数回としてもよい。
【0067】
・ 第1実施形態では、処理通路Rの投入口11上に取り付けた載置板15を規制壁として利用していたが、図4(c)に示すように、載置板15とは別に処理通路R内に規制壁16を設けてもよい。この場合、載置板15に設けられる挿通孔15aは処理通路Rの投入口11と同形状に形成される。そして、規制壁16に対して、第1押込体23が通過可能な挿通孔16aを設ける。この場合にも、載置板15を規制壁とした場合と同様の作用効果が得られる。なお、このように構成した場合には、載置板15を省略することも可能である。
【0068】
・ 第1実施形態において、処理通路Rの投入口11側を封鎖する閉位置と、開放する開位置との間でスライド移動可能な扉状の規制壁とし、投入工程では規制壁を開位置に位置させ、丸め工程では規制壁を閉位置に位置させるように構成してもよい。
【0069】
・ 第1実施形態において、第1押込体23及び第2押込体26の形状及び大きさは特に限定されるものではなく、処理通路Rの形状に合わせて適宜変更することができる。また、第1押込体23と第2押込体26とを異なる形状に形成していたが、両部材を同じ形状に形成してもよい。さらに、第1押込体23及び第2押込体26の各先端に設けられる凹部23a及び凸部26aの形状は特に限定されるものではなく、古紙Xとの間に引っ掛かりを生じさせるような形状であればよい。もちろん、第1押込体23に凸部を形成し、第2押込体26に凹部を形成してもよい。なお、凹部23a及び凸部26aを省略してもよい。
【0070】
・ 第1実施形態において、処理通路R内にて、処理通路Rの軸線P方向とは異なる方向において古紙Xを折り曲げる補助折り曲げ手段を設けてもよい。たとえば、図5に示すように、処理通路Rを断面四角形状に形成し、各壁面に孔を設けるとともに、各孔に柱状の移動壁18を挿入配置する。通常時においては、各移動壁18はその先端面が処理通路Rの内面と面一となる位置に配置される(図5(a)参照。)。そして、処理通路R内の所為定置に古紙Xがある状態(例えば、図2(e)や図3(c)に示す状態)において、図5(b)に示すように、各移動壁18が処理通路R内に突出移動することにより、軸線Pに直交する方向にて古紙Xが補助的に折り曲げられる。移動壁18により補助的に折り曲げられた古紙Xを丸め工程に供することにより、丸め工程において更に効率的に古紙を丸めた状態とすることができる。なお、ここでいう処理通路Rの断面形状、出没可能な移動壁18の形状や個数、移動壁18の出没タイミングについては、適宜変更可能である。
【0071】
・ 第1実施形態において、第1押込体23は第1スライド部材22に対して、第2押込体26は第2スライド部材25に対して着脱可能に設けてもよい。古紙Xの大きさが変更されるのに対応して第1押込体23及び第2押込体26の大きさも適宜変更することが可能となる。また、規制壁としての載置板15を、枠体と該枠体に着脱可能で挿通孔15aを設けた規制板体とで構成するようにしてもよい。この場合、規制板体に設けられる挿通孔15aの大きさを規制板体ごとに異ならしめれば、古紙Xの大きさが変更されるのに対応して挿通孔15aの大きさを適宜変更することが可能となる。
【0072】
・ 第2実施形態において、コイルばね55を省略し、第2押込体53に第1押込体54を突出位置にて固定するロック機構を設けてもよい。そして、投入工程においてはロック機構をロック状態として、第2押込体53と第1押込体54とを一体に移動させるようにし、丸め工程においては、ロック機構をロック解除状態として、第2押込体53のみを移動させるようにする。このように構成した場合にも、第2押込体53を移動させるアクチュエータ51を設けるのみで、各工程を実施することができる。
【0073】
・ 第2実施形態において、コイルばね55を省略し、第1押込体54を移動させるアクチュエータを設けるとともに、第1押込体54及び第2押込体53をそれぞれ異なるアクチュエータにより別々に移動させるようにしてもよい。
【0074】
・ 第2実施形態において、第2押込体53に対する第1押込体54の突出量を調整できるようにしてもよい。たとえば、ソレノイド等を利用することによって、コイルばね55の付勢力に抗して第1押込体54の第2押込体53に対する突出量を調整し、その状態でそれら押込体を処理通路R内で往復動させてもよい。
【0075】
・ 第2実施形態において、投入工程と丸め工程とで各押込体が古紙Xから離間できるように各押込体を制御するようにしてもよい。たとえば、投入工程後に各押込体を一旦、処理通路R内を上動させて古紙Xから離間させ、その後、処理通路R内を下動させるようにしてもよい。また、丸め工程時に各押込体を複数回上下動させて古紙Xから離間させるようにしてもよい。
【0076】
・ 第2実施形態において、1つの構成としての押込体によって各工程を実施するようにしてもよい。たとえば、第1押込体54を複数の分割柱から構成し、投入工程時には、これら分割柱を互いに接触させて実施し、丸め工程時には、これら分割柱を互いに離間させて実施するようにしてもよい。この場合、第2押込体53は省略することができる。
【0077】
・ 第2実施形態において、縮径部43の長さは変更可能である。たとえば、投入工程が複数回実施される間、丸め工程を経た古紙Xが縮径部43に留まるようにしてもよい。
・ 第2実施形態において、処理通路Rに対して、径方向に移動可能な規制板を設けるようにしてもよい。たとえば、投入工程及び丸め工程の際には、この規制板を処理通路R内に配置されるように進入させ、各押込体と古紙Xを挟んで対向配置させ、排出工程では、この規制板を処理通路R内に配置されないように退避させ、各押込体が縮径部43側へ移動できるようにする。
【0078】
・ 第2実施形態において、第1押込体54及び第2押込体53の少なくとも一方の下端面に凹部を設けるようにしてもよい。たとえば、軸線に近いほど深くなるテーパ状(凹球面状)の凹部をそれら押込体の下端面に設けることで、古紙Xを丸める際に、古紙Xに丸みを付与することができる。
【0079】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ) 前記第1押込体及び前記第2押込体の少なくとも一方は回転可能に構成されている前記古紙処理装置。
【0080】
(ロ) 処理通路の軸線方向とは異なる方向において古紙を折り曲げる補助折り曲げ手段を備える前記古紙処理装置。
(ハ) 前記第1押込体により前記挿通孔を塞いだ状態として、前記第2押込体は、前記処理通路内に押し込まれた古紙を、前記規制壁に押し付けることを特徴とする前記古紙処理装置。
【符号の説明】
【0081】
R…処理通路、X,Xa…古紙、10,40…処理部材、11,41…投入口、12,42…排出口、14…圧縮部、15…載置板、15a,16a,44a…挿通孔、
16…規制壁、23,54…第1押込体、26,53…第2押込体、43…縮径部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生パルプ原料を得るための原材料として用いられる古紙を、その古紙に記された情報が判別困難となるように秘匿処理するための古紙処理装置であって、
投入口及び排出口を有する処理通路を内部に形成する処理部材と、
前記投入口上に配置された古紙を、前記処理通路内に押し込む第1押込体と、
前記処理通路内に押し込まれた古紙を、前記処理通路の軸線方向に押し潰して丸めた状態とする第2押込体とを備えることを特徴とする古紙処理装置。
【請求項2】
前記第1押込体は、前記投入口の外方位置及び前記処理通路内を往復動可能、且つ前記処理通路内の軸線側位置を移動するように構成され、
前記第2押込体は、前記投入口の外方位置及び前記処理通路内を往復動可能、且つ前記処理通路内の内壁側位置を移動するように構成され、
前記処理通路内の前記排出口側には、通路断面積が狭められた縮径部が設けられ、
前記第1押込体により前記処理通路内に押し込まれた古紙を、前記第2押込体により前記縮径部に押し付けることによって押し潰して丸めた状態とすることを特徴とする請求項1に記載の古紙処理装置。
【請求項3】
前記第1押込体は、前記投入口の外方位置及び前記処理通路内を往復動可能に構成され、
前記第2押込体は、前記排出口の外方位置及び前記処理通路内を往復動可能に構成され、
前記処理通路の投入口側には、前記第1押込体が通過可能な挿通孔を有する規制壁が設けられ、
前記第1押込体により前記処理通路内に押し込まれた古紙を、前記第2押込体により前記規制壁に押し付けることによって押し潰して丸めた状態とすることを特徴とする請求項1に記載の古紙処理装置。
【請求項4】
前記処理通路内には、通路断面が前記第1押込体及び前記第2押込体の断面形状に等しく設定された圧縮部が設けられ、
丸めた状態とされた古紙を、前記圧縮部内にて前記第1押込体及び前記第2押込体により挟圧することによって圧縮することを特徴とする請求項3に記載の古紙処理装置。
【請求項5】
再生パルプ原料を得る原材料として用いられる古紙を、その古紙に記された情報が判別困難となるように秘匿処理するための古紙処理方法であって、
投入口及び排出口を有する処理通路内に、前記投入口から古紙を押し込む投入工程と、
前記処理通路内に押し込まれた古紙を、前記処理通路の軸線方向に押し潰して丸めた状態とする丸め工程と、
丸めた状態とされた古紙を、前記排出口を介して前記処理通路から押し出す排出工程とを有することを特徴とする古紙処理方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−87375(P2013−87375A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227017(P2011−227017)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(391011814)株式会社大善 (9)
【Fターム(参考)】