説明

古紙離解促進剤

【課題】
板紙用再生パルプを生産するために用いられ、生産性に優れた古紙離解促進剤を提供することである。
【解決手段】
板紙用再生パルプを生産するために用いられる古紙離解促進剤であって、尿素(A)を必須成分としてなることを特徴とする古紙離解促進剤を用いる。さらに界面活性剤(B)を含有することが好ましい。(B)の含有量は(A)の重量に基づいて0.01〜100重量%が好ましい。古紙は段ボール古紙、紙管古紙及び雑誌古紙からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。また、この古紙離解促進剤を添加して離解する古紙の離解工程を含み、古紙離解促進剤の添加量が、尿素(A)の含有量が古紙の重量に基づいて0.1〜10重量%となる量であることを特徴とする板紙用再生パルプの製造方法を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は古紙離解促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
インク除去及び古紙の離解率の向上のため、一般的にアルカリを使用した古紙処理工程を経て新聞紙用再生パルプが製造されている。
一方、板紙用再生パルプの古紙処理工程では、酸性抄紙工程でピッチトラブルが発生するためアルカリを使用できない。このため、生産性の低下を防止する目的で、ブロモクロロ−5,5−ジメチルヒビントイン等(特許文献1)や高級アルコール界面活性剤(特許文献2)を使用することが提案されている。
【特許文献1】特開2004−270092号公報
【特許文献2】特開平4−257387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ブロモクロロ−5,5−ジメチルヒビントインや高級アルコール界面活性剤では、生産性が十分でないという問題がある。
すなわち、本発明の目的は、板紙用再生パルプを生産するために用いられ、生産性に優れた古紙離解促進剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の古紙離解促進剤の特徴は、板紙用再生パルプを生産するために用いられる古紙離解促進剤であって、
尿素(A)を必須成分としてなる点を要旨とする。
本発明の板紙用再生パルプの製造方法は、上記の古紙離解促進剤を添加して離解する古紙の離解工程を含み、古紙離解促進剤の添加量が、尿素(A)の含有量が古紙の重量に基づいて0.1〜10重量%となる量である点を要旨とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の古紙離解促進剤を用いると、アルカリを用いなくても、優れた生産性で板紙用再生パルプを生産できる。
また、本発明の板紙用再生パルプの製造方法によると、アルカリを用いなくても、優れた生産性で板紙用再生パルプを生産できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
尿素(A)は、その製造方法に限定されず、アンモニアと二酸化炭素とから直接合成された尿素;ホスゲン、クロロギ酸エステル、塩化カルバモイル又は炭酸エステル等にアンモニアを作用させて得た尿素;及び石灰窒素の加水分解によって得た尿素等のいずれも使用できる。
また、尿素(A)の純度(重量%)は、少なくとも90が好ましく、さらに好ましくは少なくとも95、特に好ましくは少なくとも98である。
【0007】
尿素(A)は市場から入手できるものをそのまま使用でき、たとえば、商品名として、尿素(試薬特級、関東化学株式会社)及び工業用尿素(三井化学株式会社)等が挙げられる。
また、尿素(A)の形態は、特に限定されず、水溶液、粒状又は粉状等のいずれも使用できる。
【0008】
本発明の古紙離解促進剤には、さらに界面活性剤(B)を含有することが好ましい。界面活性剤(B)を含有すると、生産性がさらに良好となる。
界面活性剤(B)としては、特に限定されず、公知{たとえば、全改訂新・界面活性剤入門、藤本武彦著、1981年発行}の非イオン性界面活性剤(B1)、アニオン性界面活性剤(B2)、カチオン性界面活性剤(B3)及び両性界面活性剤(B4)が含まれる。
【0009】
好ましい非イオン性界面活性剤(B1)としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(ポリオキシエチレンステアリルエーテル及びポリオキシエチレン第2級トリデシルエーテル等)、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル(ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル及びポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等)、ポリオキシアルキレンヒマシ油エーテル、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油エーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル(ポリエチレングリコールラウリン酸エステル及びポリエチレングリコールオレイン酸エステル等)、脂肪酸アルカノールアミド(ラウリン酸ジエタノールアミド及びステアリン酸モノエタノールアミド等)、アセチレングリコールのアルキレンオキシド付加体、ショ糖のアルキレンオキシド付加体、ポリエーテル変性シリコーン及びパーフルオロアルキルアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。
【0010】
好ましいアニオン性界面活性剤(B2)としては、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化オレフィン、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル・スルホコハク酸部分エステル塩等が挙げられる。
なお、塩としては、アンモニア塩、アルキルアミン(モノエチルアミン、モノブチルアミン及びトリエチルアミン等)塩、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等)塩、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩及びアルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)塩等が挙げられる。また、塩は完全な塩でもよく、部分的な塩でもよい(酸を含んでいてもよい。)。
【0011】
好ましいカチオン性界面活性剤(B3)としては、第4級アンモニウム塩{塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム及び塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム等}、アミン塩{オクタデカン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩及びオレイルアミン乳酸塩等}等が挙げられる。
【0012】
好ましい両性界面活性剤(B4)としては、ベタイン型両性界面活性剤、アミノ酸型両性界面活性剤及びスルホン酸塩型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0013】
これらの界面活性剤のうち、非イオン性界面活性剤(B1)、アニオン性界面活性剤(B2)及び両性界面活性剤(B4)が好ましく、さらに好ましくは非イオン性界面活性剤(B1)、特に好ましくはポリオキシアルキレンアルキル(炭素数4〜24)エーテル、アセチレングリコールのアルキレンオキシド付加体、ショ糖のアルキレンオキシド付加体及びポリエーテル変性シリコーン)である。
【0014】
界面活性剤(B)の静的表面張力{mN/m;0.1重量%水溶液/25℃}は、20〜55が好ましく、さらに好ましくは21〜50、特に好ましくは22〜45である。この範囲であると、再生パルプの生産性がさらに良好となる。なお、静的表面張力は、JIS K2241:2000の「7.3表面張力試験方法」に準拠して測定される。
【0015】
界面活性剤(B)は市場から容易に入手でき、好ましい商品名としては、SNウェット126、同980及び同984(サンノプコ株式会社);ナロアクティーID−40及び同60 三洋化成工業株式会社 ;ライオノールTDL−30、同50及び同70等(ライオン株式会社);並びにノイゲンXL−30、同40、同50、同60及び同70等(第一工業株式会社)等が挙げられる。
【0016】
界面活性剤(B)を含有する場合、界面活性剤(B)の含有量(重量%)は、尿素(A)の重量に基づいて0.01〜100が好ましく、さらに好ましくは0.02〜70、特に好ましくは0.1〜40である。この範囲であると、再生パルプの生産性がさらに向上する
界面活性剤(B)は、使用前に古紙離解促進剤に含有させず、別々に古紙に添加してもよい。
【0017】
本発明の古紙離解促進剤には、必要によりさらに、水(C)を含有させることができる。
水としては、工業用水、水道水、脱イオン水、蒸留水、河川水及び湖水等が挙げられる。これらのうち、工業用水、水道水、脱イオン水及び蒸留水が好ましく、さらに好ましくは工業用水、水道水及び脱イオン水、特に好ましくは工業用水及び水道水である。
【0018】
水(C)を含有する場合、水の含有量(重量%)は、尿素(A)の重量に基づいて、100〜10000が好ましく、さらに好ましくは130〜1900、特に好ましくは150〜900である。この範囲であると、取り扱い性(流動性及び危険性等)がさらに良好となる。
【0019】
本発明の古紙離解促進剤には、必要によりさらに消泡剤(D)を含有させることができる。
消泡剤(D)としては、公知{たとえば、泡トラブルの対策と消泡技術、技術情報協会編、2002年発行}の消泡剤等が含まれ、ワックスエマルション消泡剤、ポリエーテル消泡剤、動植物鉱物油消泡剤及びシリコーン消泡剤等が含まれる。
好ましいワックスエマルション消泡剤としては、高級アルコールをエマルション化したもの、脂肪酸エステルをエマルション化したもの及びアルキルコハク酸無水物をエマルション化したもの等が挙げられる。
好ましいポリエーテル消泡剤としては、数平均分子量が1000〜10万のアルキレンオキシド付加型ノニオン性界面活性剤、このノニオン性界面活性剤を脂肪酸でエステル化したもの、ジヘキシルフェノールにアルキレンオキサイドを付加したもの及びプロピレングリコール脂肪酸モノエステル等が挙げられる。
好ましい動植物鉱物油消泡剤としては、炭化水素油、アミド、疎水性シリカ、脂肪酸エステル及び植物油等を含有するもの等が挙げられる。
好ましいシリコーン消泡剤としては、ジメチルシロキサンを変性したもの及び微粉末シリカを特殊処理したもの等が挙げられる。
これらのうち、ワックスエマルション消泡剤及びポリエーテル消泡剤が好ましい。
【0020】
消泡剤(C)は市場から容易に入手でき、好ましい商品名としては、SNデフォーマー569、同573、同580、同585、同590及びノプコ 1407−K(サンノプコ株式会社製ワックスエマルション消泡剤);SNデフォーマー170、同171、同172、同176及び同265(サンノプコ株式会社製ポリエーテル消泡剤);ノプコ267−A、ノプコ8034−L、SN−0215及びSNデフォーマー475−L(サンノプコ株式会社製動植物鉱物油消泡剤);並びにSNデフォーマー380、同381、同409(サンノプコ株式会社製シリコーン消泡剤)等が挙げられる。
【0021】
消泡剤(D)を含有する場合、消泡剤(D)の含有量(重量%)は、尿素(A)の重量に基づいて、1×10−4〜100が好ましく、さらに好ましくは1×10−3〜50、特に好ましくは1×10−2〜10である。この範囲であると、再生パルプの生産性がさらに良好となる。
消泡剤(D)は、使用前に古紙離解促進剤に含有させず、別々に古紙に添加してもよい。
【0022】
本発明の古紙離解促進剤には、必要によりさらにその他の添加剤(E){酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐水化剤、汚染防止剤、分散剤、防腐防黴剤、殺菌剤、香料、保水剤、増粘剤、流動性改良剤、表面サイズ剤、消臭剤、キレート剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤及び染料等}を含有できる。
その他の添加剤(E)を含有する場合、その他の添加剤(E)の含有量(重量%)は、尿素(A)の重量に基づいて、1×10−4〜10が好ましく、さらに好ましくは1×10−3〜5、特に好ましくは1×10−2〜1である。この範囲であると、再生パルプの生産性がさらに良好となる。
【0023】
本発明の古紙離解促進剤が尿素(A)以外の構成成分{界面活性剤(B)、水(C)、消泡剤(D)及び/又はその他の添加剤(E)}を含む場合、本発明の古紙離解促進剤は、尿素(A)と、界面活性剤(B)、水(C)、消泡剤(D)及び/又はその他の添加剤(E)とを均一混合することにより容易に得られる。
【0024】
本発明において、古紙とは、「使用済み又は加工工程から回収した紙又は板紙(JIS P0001:1998)」を意味する。本発明の古紙離解促進剤を適用できる古紙としては、段ボール古紙、紙管古紙、雑誌古紙、新聞古紙、茶模造紙古紙、台紙古紙、地券古紙及びボール古紙等が挙げられる。これらのうち、段ボール古紙、紙管古紙、雑誌古紙、新聞古紙及び茶模造紙古紙に適しており、さらに段ボール古紙、紙管古紙及び雑誌古紙からなる群より選ばれる少なくとも1種に好適である。
【0025】
本発明の古紙離解促進剤は、古紙の離解工程に添加使用できる。本発明の古紙離解促進剤を用いると、優れたパルプ品質を持つ板紙用再生パルプを高い生産性で製造することができる。
板紙用再生パルプの製造方法としては、本発明の古紙離解促進剤を添加して、古紙を離解する離解工程を含むことが好ましい。
【0026】
本発明の古紙離解促進剤の添加量(重量%)は、尿素(A)の含有量が古紙の重量に基づいて、0.1〜10となる量が好ましく、さらに好ましくは0.3〜7、次に好ましくは0.5〜5、特に好ましくは1〜5,最も好ましくは3〜5となる量である。この範囲であると、再生パルプの生産性及び経済性がさらに良好となる。
なお、古紙の重量は、絶乾重量を意味する。絶乾重量は、重量既知(Z1)のパルプについて、JIS P8203(1998年)に準拠して、絶乾率Q(重量%)を測定した後、次式により求められる値である。
【0027】
【数1】

【0028】
離解工程で使用されるパルパとしては特に制限はなく、低濃度パルパ、高濃度パルパ、地球釜、ドラムパルパ、ニーダ及びディスパーサ等が挙げられる。
【0029】
離解工程の離解条件としては特に制限はなく通常の条件が適用できる。パルプ濃度としては、1〜50重量%程度である。温度としては2〜60℃程度である。離解時間としては3〜180分程度である。
【0030】
本発明の古紙離解促進剤を用いて得られた板紙用再生パルプは、酸性抄紙及び中性抄紙のいずれにおいても使用できる。
【実施例】
【0031】
以下に実施例及び比較例により、本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、部及び%は特に断りのない限り重量部及び重量%を意味する。
<実施例1>
尿素(A1){三井化学株式会社製、工業用尿素、純度99%以上}をそのまま本発明の古紙離解促進剤(1)とした。
【0032】
<実施例2>
尿素(A1)100部、界面活性剤(B11){サンノプコ株式会社製非イオン性界面活性剤、SNウエット 984、表面張力38.3mN/m}0.01部及び水(C1){水道水}100部を均一混合して本発明の古紙離解促進剤(2)を得た。
【0033】
<実施例3>
界面活性剤(B11)0.01部を界面活性剤(B11)0.02部に変更したこと、及び水(C1)100部を水(C1)130部に変更したこと以外、実施例2と同様にして、本発明の古紙離解促進剤(3)を得た。
【0034】
<実施例4>
界面活性剤(B11)0.01部を界面活性剤(B11)0.1部に変更したこと、及び水(C1)100部を水(C1)150部に変更したこと以外、実施例2と同様にして、本発明の古紙離解促進剤(4)を得た。
【0035】
<実施例5>
界面活性剤(B11)0.01部を界面活性剤(B11)25部に変更したこと、及び水(C1)100部を水(C1)900部に変更したこと以外、実施例2と同様にして、本発明の古紙離解促進剤(5)を得た。
【0036】
<実施例6>
界面活性剤(B11)0.01部を界面活性剤(B11)40部に変更したこと、及び水(C1)100部を水(C1)1900部に変更したこと以外、実施例2と同様にして、本発明の古紙離解促進剤(6)を得た。
【0037】
<実施例7>
界面活性剤(B11)0.01部を界面活性剤(B11)70部に変更したこと、及び水(C1)100部を水(C1)10000部に変更したこと以外、実施例2と同様にして、本発明の古紙離解促進剤(7)を得た。
【0038】
<実施例8>
界面活性剤(B11)0.01部を界面活性剤(B11)100部に変更したこと、及び水(C1)100部を水(C1)10000部に変更したこと以外、実施例2と同様にして、本発明の古紙離解促進剤(8)を得た。
【0039】
<実施例9>
尿素(A1)100部、界面活性剤(B21){株式会社 ネオス製 アニオン性界面活性剤、フタージェント 150、表面張力20.0mN/m}25部及び水(C1)900部を均一混合して本発明の古紙離解促進剤(9)を得た。
【0040】
<実施例10>
尿素(A1)100部、界面活性剤(B12){住友スリーエム株式会社 製 非イオン性界面活性剤、ノベック FC−4430、表面張力21.0mN/m}25部及び水(C1)900部を均一混合して本発明の古紙離解促進剤(10)を得た。
【0041】
<実施例11>
尿素(A1)100部、界面活性剤(B13){サンノプコ株式会社製非イオン性界面活性剤、SNウエット 126、表面張力23.4mN/m}25部及び水(C1)900部を均一混合して本発明の古紙離解促進剤(11)を得た。
【0042】
<実施例12>
尿素(A1)100部、界面活性剤(B14){第一工業株式会社製非イオン性界面活性剤、ノイゲンXL−50、表面張力27.0mN/m}25部及び水(C1)900部を均一混合して本発明の古紙離解促進剤(12)を得た。
【0043】
<実施例13>
尿素(A1)100部、界面活性剤(B22){サンノプコ株式会社製アニオン性界面活性剤、SNウエット 970、表面張力31.6mN/m、蒸発残渣50%}50部(50部のうち水が25部)及び水(C1)875部を均一混合して本発明の古紙離解促進剤(13)を得た。
【0044】
<実施例14>
尿素(A1)100部、界面活性剤(B15){サンノプコ株式会社製、非イオン性界面活性剤、リグノソルバー DI−750、表面張力44.8mN/m}25部及び水(C1)900部を均一混合して本発明の古紙離解促進剤(14)を得た。
【0045】
<実施例15>
尿素(A1)100部、界面活性剤(B16){三洋化成工業株式会社製、非イオン性界面活性剤、ニューポール 50HB−400、表面張力49.5mN/m}25部及び水(C1)900部を均一混合して本発明の古紙離解促進剤(15)を得た。
【0046】
<実施例16>
尿素(A1)100部、界面活性剤(B17){三洋化成工業株式会社製、非イオン性界面活性剤、サンニックス GEP−2800、表面張力53.0mN/m}25部及び水(C1)900部を均一混合して本発明の古紙離解促進剤(16)を得た。
【0047】
<実施例17>
尿素(A1)100部、界面活性剤(B22)25部、水(C1)900部及びワックスエマルション消泡剤(D1){サンノプコ株式会社製ワックスエマルション消泡剤、SNデフォーマー573}0.2部を均一混合して本発明の古紙離解促進剤(17)を得た。
【0048】
<実施例18>
実施例1で得た古紙離解促進剤(1)4g、25±2℃の水9600g及び3.5cm×3.5cmに裁断した段ボール(両面段ボール、Aフルート)400g(絶乾重量;パルプ濃度4%)をダイノパルパー{熊谷理機(株)製}に入れ、25±2℃で10分間離解を行い、再生パルプスラリーを得た。
【0049】
<実施例19>
古紙離解促進剤(1)の使用量を「4g」から「12g」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、再生パルプスラリーを得た。
【0050】
<実施例20>
古紙離解促進剤(1)の使用量を「4g」から「20g」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、再生パルプスラリーを得た。
【0051】
<実施例21>
古紙離解促進剤(1)の使用量を「4g」から「28g」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、再生パルプスラリーを得た。
【0052】
<実施例22>
古紙離解促進剤(1)の使用量を「4g」から「40g」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、再生パルプスラリーを得た。
【0053】
<実施例23>
「古紙離解促進剤(1)」を「古紙離解促進剤(2)」に変更したこと、及び離解促進剤の使用量を「4g」から「8g」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、再生パルプスラリーを得た。
【0054】
<実施例24>
「古紙離解促進剤(1)」を「古紙離解促進剤(3)」に変更したこと、及び離解促進剤の使用量を「4g」から「9.2g」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、再生パルプスラリーを得た。
【0055】
<実施例25>
「古紙離解促進剤(1)」を「古紙離解促進剤(4)」に変更したこと、及び離解促進剤の使用量を「4g」から「10g」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、再生パルプスラリーを得た。
【0056】
<実施例26>
「古紙離解促進剤(1)」を「古紙離解促進剤(5)」に変更したこと、及び離解促進剤の使用量を「4g」から「41g」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、再生パルプスラリーを得た。
【0057】
<実施例27>
「古紙離解促進剤(1)」を「古紙離解促進剤(6)」に変更したこと、及び離解促進剤の使用量を「4g」から「81.6g」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、再生パルプスラリーを得た。
【0058】
<実施例28>
「古紙離解促進剤(1)」を「古紙離解促進剤(7)」に変更したこと、及び離解促進剤の使用量を「4g」から「406.8g」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、再生パルプスラリーを得た。
【0059】
<実施例29>
「古紙離解促進剤(1)」を「古紙離解促進剤(8)」に変更したこと、及び離解促進剤の使用量を「4g」から「408g」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、再生パルプスラリーを得た。
【0060】
<実施例30>
「古紙離解促進剤(1)」を「古紙離解促進剤(9)」に変更したこと、及び離解促進剤の使用量を「4g」から「41g」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、再生パルプスラリーを得た。
【0061】
<実施例31>
「古紙離解促進剤(1)」を「古紙離解促進剤(10)」に変更したこと、及び離解促進剤の使用量を「4g」から「41g」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、再生パルプスラリーを得た。
【0062】
<実施例32>
「古紙離解促進剤(1)」を「古紙離解促進剤(11)」に変更したこと、及び離解促進剤の使用量を「4g」から「41g」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、再生パルプスラリーを得た。
【0063】
<実施例33>
「古紙離解促進剤(1)」を「古紙離解促進剤(12)」に変更したこと、及び離解促進剤の使用量を「4g」から「41g」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、再生パルプスラリーを得た。
【0064】
<実施例34>
「古紙離解促進剤(1)」を「古紙離解促進剤(13)」に変更したこと、及び離解促進剤の使用量を「4g」から「41g」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、再生パルプスラリーを得た。
【0065】
<実施例35>
「古紙離解促進剤(1)」を「古紙離解促進剤(14)」に変更したこと、及び離解促進剤の使用量を「4g」から「41g」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、再生パルプスラリーを得た。
【0066】
<実施例36>
「古紙離解促進剤(1)」を「古紙離解促進剤(15)」に変更したこと、及び離解促進剤の使用量を「4g」から「41g」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、再生パルプスラリーを得た。
【0067】
<実施例37>
「古紙離解促進剤(1)」を「古紙離解促進剤(16)」に変更したこと、及び離解促進剤の使用量を「4g」から「41g」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、再生パルプスラリーを得た。
【0068】
<実施例38>
「古紙離解促進剤(1)」を「古紙離解促進剤(17)」に変更したこと、及び離解促進剤の使用量を「4g」から「41g」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、再生パルプスラリーを得た。
【0069】
<実施例39>
「古紙離解促進剤(1)4g」を「古紙離解促進剤(5)4.1g」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、再生パルプスラリーを得た。
【0070】
<実施例40>
「古紙離解促進剤(1)4g」を「古紙離解促進剤(5)12.3g」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、再生パルプスラリーを得た。
【0071】
<実施例41>
「古紙離解促進剤(1)4g」を「古紙離解促進剤(5)20.5g」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、再生パルプスラリーを得た。
【0072】
<比較例1>
「古紙離解促進剤(1)4g」を「水酸化ナトリウム{和光純薬工業株式会社製、純度99%以上}4g」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、再生パルプスラリーを得た。
【0073】
<比較例2>
「古紙離解促進剤(1)4g」を「界面活性剤(B11)4g」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、再生パルプスラリーを得た。
【0074】
<比較例3>
「古紙離解促進剤(1)4g」を「ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン{試薬、東京化成工業(株)製}4g」に変更したこと以外、実施例18と同様にして、再生パルプスラリーを得た。
【0075】
実施例18〜41及び比較例1〜3で得た再生パルプスラリーについて、生産性及びpHを評価し、表1に示した。
<再生パルプの生産性>
再生パルプスラリー(パルプの絶乾重量50g)を0.5%に水希釈し、フラットスクリーン(スリット幅0.15mm)を用いて、10リットル/分の流水条件で10分間スクリーン処理を行った。そして、スクリーンプレート上に残った残渣の絶乾重量(w1)を測定し、次式により離解率を求めた。そして、この離解率を生産性とした。なお、離解率が大きいほど生産性が高いといえる。
【0076】
【数2】



【0077】
<再生パルプスラリーのpH>
JIS Z8802(1984年)に準拠して、pHメーター{F−52、株式会社堀場製作所}を用いて、再生パルプスラリー(パルプ濃度4%)のpH(25℃)を測定した。
【0078】
【表1】




注1)裁断した段ボールの絶乾重量に対する尿素(A)の使用量
注2)ブランクは、「古紙離解促進剤(1)4g」を「水4g」に変更したこと以外、実施例18と同様にして得た再生パルプスラリーについて評価したものである。
【0079】
本発明の古紙離解促進剤を用いると(実施例18〜41)、比較例1〜3やブランクに比較して、著しく離解率が高かった。すなわち、本発明の古紙離解促進剤を用いると、高い生産性で再生パルプを製造することができた。また、比較例1の古紙離解促進剤において離解率が高かったが、パルプスラリーのpHが著しく高く、酸性抄紙により板紙を生産する際にピッチトラブルが発生すると考えられる。これに対して、本発明の古紙促進剤を用いると、パルプスラリーのpHをほとんど変化させることなく離解できた。したがって、酸性抄紙により板紙を生産する際にピッチトラブルが発生しないと考えられる。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
板紙用再生パルプを生産するために用いられる古紙離解促進剤であって、
尿素(A)を必須成分としてなることを特徴とする古紙離解促進剤。
【請求項2】
さらに界面活性剤(B)を含有してなる請求項1に記載の古紙離解促進剤。
【請求項3】
界面活性剤(B)の含有量が尿素(A)の重量に基づいて0.01〜100重量%である請求項2に記載の古紙離解促進剤。
【請求項4】
古紙が、段ボール古紙、紙管古紙及び雑誌古紙からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の古紙離解促進剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の古紙離解促進剤を添加して離解する古紙の離解工程を含み、古紙離解促進剤の添加量が、尿素(A)の含有量が古紙の重量に基づいて0.1〜10重量%となる量であることを特徴とする板紙用再生パルプの製造方法。
【請求項6】
古紙が、段ボール古紙、紙管古紙及び雑誌古紙からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載の製造方法。

【公開番号】特開2008−169498(P2008−169498A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−2263(P2007−2263)
【出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【出願人】(000106438)サンノプコ株式会社 (124)
【Fターム(参考)】