説明

可動床板式の寝台装置

【課題】利用者の体重情報と重心位置情報を組み合わせた情報を判断することによって、より正確に利用者の動きを監視でき、可動床板式の電動ベッドにおいても、誤検出が少なくまた検出精度が高く、高信頼性で利用者の動きを監視できる離床予測・検知システムを備えた可動床板式の寝台装置を提供する。
【解決手段】体重閾値判定部がベッド上の利用者の体重が体重閾値以上であり、重心位置領域判定部がその重心位置が異常位置(監視対象領域)に移動したと判定した場合であって、体重重心位置監視部がこの状態が所定時間以上継続したことを検知したときに、ベッド利用者が異常位置にいることを検知する。そして、背上げ動作が行われた場合には、可動床板判定部が可動床板情報を入力し、管理対象領域変更部が監視対象領域を変更する。これにより、監視対象領域が、可動床板の状態に応じて、常に適正な領域に設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認知症の高齢者及び手術後間もない患者等を対象に、離床・在床の判別と、ベッド上での利用者の動きから離床予測を実現する離床予測・検知システムを備えた寝台装置に関し、特に、背上げ動作及び/又は膝上げ動作を行う可動床板式の寝台装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、認知症の高齢者の徘徊及びベッド周りでの転倒・転落の事故が社会的な問題となっており、その対策が求められている。また、高齢者及び術後間もない患者等、長期間にわたってベッドに在床している利用者のベッド上での動きをベッドの荷重情報によって監視することで、異常事態の際に、より迅速な対応ができることを期待されている。
【0003】
特許文献1が開示している技術は、重量情報を利用して、利用者がベッドに在床しているか離床しているかを判断しており、ベッド上の利用者の動きを監視することができない。
【0004】
この問題点を改善すべく、特許文献2乃至4及び非特許文献1が開示している技術は、ベッド上の4点の荷重情報から重心位置を求め、この重心位置情報を利用して在床時の利用者の動きを監視するというものである。
【0005】
【特許文献1】特開平2−280733
【特許文献2】特許3093745号公報
【特許文献3】特許3322632号公報
【特許文献4】USP 5,276,432
【非特許文献1】J.C.Barbenel et al., Monitoring the mobility of patients in bed, Medical & Biological Engineering & Computing, pp.466-468(Sep 1985)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2乃至4の技術においては、利用者のベッド上の重心位置に関する情報のみによる監視では、例えばベッドの端に利用者がいることは検知できても、それが寝返り等の動作によってベッド端部にいる状態であるのか、離床しようとしてベッド端部にいる状態なのか、又は利用者が寝ている寝床部に品物を置いたり、利用者でない別の人間が寝床部に寄りかったり、座ったりしたことによる重心位置の変動なのかの区別ができない。また、柵などの付帯物を取り除く等といった行為によって重心移動が発生した場合に、起き上がり動作と区別ができず、誤判定することがあるという問題点がある。
【0007】
また、非特許文献1には、ベッド上の患者の動きを監視するために4本のベッド足の荷重をロードセルにより測定してベッド上の患者の体重を測定し、各ベッド足の荷重測定値の相違からベッド上の重心位置を演算し、重心位置の移動距離を演算する技術及びベッド上の患者の移動回数から患者の状態を判断する技術が開示されている。
【0008】
しかしながら、非特許文献1に開示されている技術においても、ベッド上の利用者の動きをベッド上の重心位置の移動距離のみによって監視しているため、利用者が寝ている寝床部に品物を置いたり、利用者でない別の人間が寝床部に寄りかったり、座ったりしたことによる重心位置の移動なのかの区別ができず、誤判定をすることがあるという問題点がある。
【0009】
また、上述の従来技術は、ベッドのフレームに、例えば、背ボトム(背床板)、腰ボトム(腰床板)及び膝ボトム(膝床板)が設置され、腰ボトムがフレームに固定され、背ボトムが腰ボトム側の端部を中心として揺動することにより、背ボトムが電動で起き上がるタイプの可動床板を備えた寝台装置においては、背上げ状態においては、重心位置が変動するため、誤報の発生及び検知精度の低下が問題となる。これは、膝ボトムが腰ボトム側の端部を中心として揺動することにより、膝ボトムが膝の位置を持ち上げるようになっている電動ベッドにおいても同様である。
【0010】
このように、従来の可動床板式の電動ベッドにおいては、背上げ動作及び膝上げ動作により、ベッド利用者の重心位置が変動し、ベッド利用者がベッド上で移動していないにも拘わらず、例えば、ベッド利用者が端座位に移動したという誤報が発生したり、ベッド利用者がベッド端部にいるか否かの検知精度が低下するという問題点がある。
【0011】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、利用者の体重情報と重心位置情報を組み合わせた情報を判断することによって、より正確に利用者の動きを監視でき、可動床板式の電動ベッドにおいても、誤検出が少なくまた検出精度が高く、高信頼性で利用者の動きを監視できる離床予測・検知システムを備えた可動床板式の寝台装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願第1発明に係る可動床板式の寝台装置は、寝床部の荷重を検出して荷重信号を生成する荷重計測手段と、前記荷重信号に基づいて寝床部上に位置する利用者の体重を演算する体重演算手段と、前記体重が所定の閾値以上にあるか否かを判定する体重閾値判定手段と、前記荷重信号に基づいて前記利用者の重心位置を演算する重心位置演算手段と、前記重心位置が寝床部の監視対象領域にあるか否かを判定する重心位置領域判定手段と、前記体重閾値判定手段及び重心位置領域判定手段の判定結果を基に前記体重が所定の閾値以上であり且つ前記重心位置が前記監視対象領域にある時間を監視する体重重心位置監視手段と、寝台の可動床板の状態を入力する可動床板情報認識手段と、前記可動床板情報認識手段の可動床板情報に基づき前記監視対象領域を変更する監視対象領域変更手段と、を有し、前記可動床板情報認識手段に入力された可動床板情報が変更された場合に、前記監視対象領域変更手段が監視対象領域を変更して変更後の監視対象領域を前記重心位置領域判定手段に設定し、前記体重重心位置監視手段が監視する時間が継続して所定時間を超えたときに、前記利用者の状態を検知することを特徴とする。
【0013】
利用者がベッド上で移動すると、利用者の重心はベッド上で移動する。このとき、体重重心位置監視手段が、利用者の体重が所定の閾値以上であり、重心位置が監視対象領域にあるときに、利用者が監視対象領域(例えば、異常位置)にあり、危険であることを検知する。即ち、利用者が監視対象領域にいることから、正常時の寝姿勢とは異なった状態であり、また、利用者の体重が所定の閾値以上であるから、利用者又は利用者の身体の一部がベッド上にあり、利用者が柵に寄りかかっているか、又はベッドからずり落ちて利用者の身体の一部がベッドの一部に引っかかっている可能性があると判断される。体重重心位置監視手段がこのような状態にある時間を監視しており、この状態が継続して所定時間を超えたときに、一時的な寝返り等により重心位置が監視対象領域内に入ったのではなく、利用者が確かに危険な状態にあるということが判別される。即ち、利用者の状態が危険であるということ(看護師等に警報を発すべきであること)が検知される。
【0014】
ところで、可動床板が移動した場合、例えば、背上げ動作が行われた場合には、ベッド利用者がベッド上で移動していなくても、重心位置が移動する。このため、ベッド利用者が移動していなくても、背上げ後においては、その重心位置が監視対象領域内に入り、利用者の状態が危険であると誤検知されてしまう。これは、膝上げ動作が行われたときも同様であり、可動床板式の電動ベッドの場合は、ベッド利用者が移動していなくても、危険であると誤報が発せされる可能性が高い。逆に、ベッド利用者が横臥のまま端座位に移動する等、危険な状態であっても、背上げ動作等の床板の移動により、利用者の重心位置が監視対象領域から外れてしまい、危険を検知できない場合がある。これに対し、本発明においては、寝台の背ボトム等の可動床板の状態が可動床板情報認識手段に入力されているので、寝台の状態が可動床板の動作によって変更された場合に、監視対象変更手段が、この可動床板情報認識手段に入力された可動床板情報に基づいて、監視対象領域を変更し、この変更後の監視対象領域を重心位置領域判定手段に設定する。このため、監視対象領域が、可動床板の状態に応じて、常に適正な領域に設定される。
【0015】
本願第2発明に係る可動床板式の寝台装置は、寝床部の荷重を検出して荷重信号を生成する荷重計測手段と、前記荷重信号に基づいて寝床部上に位置する利用者の体重を演算する体重演算手段と、前記体重が所定の範囲内であるか否かを判定する体重範囲判定手段と、前記荷重信号に基づいて前記利用者の重心位置を演算する重心位置演算手段と、前記重心位置が寝床部の監視対象領域にあるか否かを判定する重心位置領域判定手段と、前記体重範囲判定手段及び重心位置領域判定手段の判定結果を基に前記体重が所定の範囲内であり且つ前記重心位置が前記監視対象領域にある時間を監視する体重重心位置監視手段と、寝台の可動床板の状態を入力する可動床板情報認識手段と、前記可動床板情報認識手段の可動床板情報に基づき前記監視対象領域を変更する監視対象領域変更手段と、を有し、前記可動床板情報認識手段に入力された可動床板情報が変更された場合に、前記監視対象領域変更手段が監視対象領域を変更して変更後の監視対象領域を前記重心位置領域判定手段に設定し、前記体重重心位置監視手段が監視する時間が継続して所定時間を超えたときに、前記利用者の状態を検知することを特徴とする。
【0016】
前記第1発明においては、体重演算手段により求められたベッド上の利用者の体重が、体重閾値判定手段により所定の閾値以上であると判定された場合に、その他の条件を満足すると、利用者が例えば寝床部の異常位置にいるという状態を検知した。これに対し、本願第2発明においては、体重範囲判定手段が、体重が所定の範囲内であるか否かを判定し、体重が所定の範囲内にある場合に、更に、重心位置領域判定手段が重心位置が監視対象領域にあると判定し、所定時間、これが継続した場合に、利用者の状態を検知する。この第2発明も第1発明と同様に、ベッド上の利用者の体重検出値を、ベッド利用者が異常位置にいることの検知に使用するが、下限値だけではなく、上限値も判定に使用する。これは、介護者等がベッド上に荷物を置いたような場合に、重心位置の演算結果がベッド利用者の位置を示さなくなり、誤検知となるが、本第2発明のように、体重検出値に上限値を設けることにより、ベッド上に荷物をおいたような場合にはその体重検出値が上限値を超えるので、重心位置が監視対象領域内に入っていたとしても、ベッド利用者が異常位置にいるとは検知しない。これにより、誤検知が回避される。そして、本第2発明においても、寝台の可動床板の状態を入力する可動床板情報認識手段と、前記可動床板情報認識手段の可動床板情報に基づき前記監視対象領域を変更する監視対象領域変更手段とが設けられているので、寝台の可動床板の状態が変化しても、監視対象領域が常に適切に設定されるので、誤検知及び検知精度の低下を防止することができる。
【0017】
これらの第1発明及び第2発明の場合に、例えば、前記監視対象領域は、寝床部の異常位置であり、前記利用者の状態は不自然な状態又は不自然な位置にいることを示すものである。
【0018】
本願第3発明に係る可動床板式の寝台装置は、寝床部の荷重を検出して荷重信号を生成する荷重計測手段と、前記荷重信号に基づいて寝床部上に位置する利用者の体重を演算する体重演算手段と、前記体重が体重閾値以下であるか否かを判定する体重閾値判定手段と、前記荷重信号に基づいて前記利用者の重心位置を演算する重心位置演算手段と、前記重心位置の演算結果から重心位置の重心移動量を演算する重心移動量演算手段と、前記重心位置の移動量が重心移動量閾値を超えているか否かを判定する重心移動量閾値判定手段と、寝台の可動床板の状態を入力する可動床板情報認識手段と、前記可動床板情報認識手段の可動床板情報に基づき前記重心移動量閾値を変更する閾値変更手段と、を有し、前記可動床板情報認識手段に入力された可動床板情報が変更された場合に、前記閾値変更手段が重心移動量閾値を変更して変更後の重心移動量閾値を前記重心移動量閾値判定手段に設定し、前記重心移動量閾値判定手段が前記重心位置の移動量が前記重心移動量閾値を超えたと判定し、前記体重閾値判定手段が前記体重が前記体重閾値以下であることを判定したときに、前記利用者の状態を検知することを特徴とする。
【0019】
本願第4発明に係る可動床板式の寝台装置は、寝床部の荷重を検出して荷重信号を生成する荷重計測手段と、前記荷重信号に基づいて寝床部上に位置する利用者の体重を演算する体重演算手段と、前記体重が所定の範囲内にあるか否かを判定する体重範囲判定手段と、前記荷重信号に基づいて前記利用者の重心位置を演算する重心位置演算手段と、前記重心位置の演算結果から重心位置の重心移動量を演算する重心移動量演算手段と、前記重心位置の移動量が重心移動量閾値を超えているか否かを判定する重心移動量閾値判定手段と、寝台の可動床板の状態を入力する可動床板情報認識手段と、前記可動床板情報認識手段の可動床板情報に基づき前記重心移動量閾値を変更する閾値変更手段と、を有し、前記可動床板情報認識手段に入力された可動床板情報が変更された場合に、前記閾値変更手段が重心移動量閾値を変更して変更後の重心移動量閾値を前記重心移動量閾値判定手段に設定し、前記重心移動量閾値判定手段が前記重心位置の移動量が前記重心移動量閾値を超えたと判定し、前記体重範囲判定手段が前記体重が前記所定の範囲内であると判定したときに、前記利用者の状態を検知することを特徴とする。
【0020】
利用者がベッド上で起き上がり動作を行うとき、利用者の重心は頭側から足側へ寝床部の長手方向に移動する。そして、基本的には、重心移動量閾値判定手段が、前記重心位置の移動量が重心移動量閾値を超えたと判定したときに、ベッド利用者がベッド上で起き上がったことが検知される。しかし、ベッド上に重い荷物がおかれた場合においても、重心位置の移動が生じる。そこで、このような外乱による起き上がりの誤検知を防止するために、本願第3発明においては、重心位置の移動量が重心移動量閾値を超えた場合であって、体重測定値が体重閾値以下であると判定されたときに、これを起き上がりと検知する。また、本願第4発明においては、ベッド上に利用者が寝ていると考え、利用者体重を基準とし、その近傍を所定の体重範囲とした場合、ベッド上で上半身のみを起こした場合は、ベッド上の重量は前記所定の範囲内にあるため、重心移動量閾値を超えた重心移動が生じると、これを起き上がりと検知する。しかし、上半身を起こすと同時に身体を回転させて床に足を着く動作をした場合に、足を床に着くことによりベッド上の重量が軽くなり、体重測定値は前記所定の体重範囲から外れてしまう。このため、この場合は、重心移動が生じていても、起き上がりとは検知しない。このように、本願第3発明又は第4発明においては、体重検出値が所定の値(体重閾値)以下であるか、又は所定の体重範囲内にあることを前提として、重心位置の移動量が重心移動量閾値を超えたときに、これを起き上がりと検知する。
【0021】
そして、本発明においては、寝台の可動床板の状態を入力する可動床板情報認識手段と、前記可動床板情報認識手段の可動床板情報に基づき前記重心移動量閾値を変更する閾値変更手段とが設けられているので、寝台の可動床板の状態が変化しても、重心移動量閾値が常に適切に設定されるので、誤検知及び検知精度の低下を防止することができる。即ち、床板が水平の場合に起き上がったときの重心位置移動量は、背上げ動作時のように、床板が立ち上がっているとき、即ち、ベッド利用者の上半身が傾斜している状態で、そこから起き上がったときの重心位置移動量とは異なる。よって、背上げ動作時には、この重心移動量閾値を、寝床部が水平であるときに比して、小さくする必要がある。本発明は、このような調整を、可動床板情報認識手段と閾値変更手段とが行うので、誤検知を防止し、また高検知精度を確保することができる。
【0022】
本願第5発明に係る寝台装置は、寝床部の荷重を検出して荷重信号を生成する荷重計測手段と、前記荷重信号に基づいて寝床部上に位置する利用者の体重を演算する体重演算手段と、前記体重が第1の値域の範囲内であるか否かを判定する第1の体重範囲判定手段と、前記体重が第2の値域の範囲内であるか否かを判定する第2の体重範囲判定手段と、前記荷重信号に基づいて前記利用者の重心位置を演算する重心位置演算手段と、前記重心位置の演算結果から重心位置の移動量を演算する重心移動量演算手段と、前記重心位置の移動量が重心移動量閾値を超えているか否かを判定する重心移動量閾値判定手段と、寝台の可動床板の状態を入力する可動床板情報認識手段と、前記可動床板情報認識手段の可動床板情報に基づき前記重心移動量閾値を変更する閾値変更手段と、を有し、前記可動床板情報認識手段に入力された可動床板情報が変更された場合に、前記閾値変更手段が重心移動量閾値を変更して変更後の重心移動量閾値を前記重心移動量閾値判定手段に設定し、前記重心移動量閾値判定手段が前記重心位置の移動量が前記重心移動量閾値を超えたと判定したときに、前記重心位置の移動量が前記重心位置移動量閾値を超える前に前記体重が前記第1の値域の範囲内にあると前記第1の体重範囲判定手段が判定し、前記重心位置の移動量が前記重心位置移動量閾値を超えた時またはその後に前記体重が前記第2の値域の範囲内にあると前記第2の体重範囲判定手段が判定したときに、前記利用者の状態を検知することを特徴とする。
【0023】
本願第5発明においては、第1の体重範囲判定手段が、体重検出値が第1の値域の範囲内にあると判定し、第2の体重範囲判定手段が、体重検出値が第2の値域の範囲内にあると判定し、起き上がりに伴い、重心位置が移動するので、重心移動量閾値判定手段がこの重心位置の移動量が重心移動量閾値を超えたと判定したときに、これを、例えば、ベッド利用者がベッド上で起き上がったと判定する。このような判定をするときに、本発明においては、重心位置の移動量が重心移動量閾値を超える前に体重検出値が第1の値域内であると共に、重心位置の移動量が重心移動量閾値を超えた時又はその後に体重検出値が第2の値域内であることが必要である。第1の値域は起上り動作前の状態を判定するためにあり、第2の値域は起上り動作後の状態を判定するためにある。第1の値域は、確実にベッド上に利用者がいることを判断するため、利用者の体重近傍の値域に設定される。第2の値域はベッド上に利用者がいる可能性もあれば、足を降ろして端座位になっている可能性もあるために比較的広い範囲に設定される。なお、第2の値域として、第1の値域と同様に、利用者の体重近傍の値域にすることも考えられる。しかし、ベッド利用者が端座位にいて床に足をおろしているような場合には、体重測定値は大きく減少する。このため、第2の値域の下限値は第1の値域の下限値よりも小さくなる。一方、極端な例でいうとベッド上から勢い良く立ち上がるとか、ベッドから飛び降りるといったようなベッド上の重量が急激に減少する際に、重心が重心移動量閾値以上に動いてしまうことがあり、実際には起上り動作ではないが、起上り動作と誤検知してしまうことがある。そこで、このような誤検知を防止するために、第2の値域にも下限値を設けることが必要である。
【0024】
本第5発明においても、寝台の可動床板の状態を入力する可動床板情報認識手段と、前記可動床板情報認識手段の可動床板情報に基づき前記重心移動量閾値を変更する閾値変更手段と、を有するので、前記可動床板情報認識手段に入力された可動床板情報が変更された場合には、前記閾値変更手段が重心移動量閾値を変更して変更後の重心移動量閾値を前記重心移動量閾値判定手段に設定するから、背上げ動作等により可動床板の状態が変動しても、重心移動量閾値が、常に適切なものに設定される。
【0025】
この第3発明乃至第5発明の場合に、例えば、前記重心位置移動量閾値は、前記利用者の起き上がり時の移動量に基づいて設定され、前記利用者の状態は、起き上がりである。
【0026】
そして、これらの第1乃至第5発明において、前記寝床部は、例えば、その背部の床板が床板本体に対して揺動可能な可動床板であり、前記可動床板情報は、前記可動床板の背上げ角度である。また、前記利用者の状態を検知したときに警報を発生する警報手段を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、利用者の体重情報と重心位置情報とを組み合わせて判断することによって、より正確に利用者の動きを監視することができる。また、可動床板が移動して、ベッド利用者の重心位置が変動しても、監視対象領域又は重心移動量閾値が適切に変更されて設定されるので、誤検出及び検出精度の低下を防止することができる。これにより、システムの信頼性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態に係る寝台装置について、添付の図面を参照して具体的に説明する。先ず、異常位置検知機能を備えた第1実施形態の寝台装置について説明する。この異常位置検知機能とは、ベッド上の患者(利用者)が、ベッドの縁部に位置する等、ベッド上で不自然な位置に所定時間以上いることを検知する機能である。図1は本発明の第1実施形態に係る寝台装置の概略図、図2は寝床部1の4端に4つの荷重センサ3−1乃至3−4を配置した例を示す概略図、図3は各荷重センサ3の信号をコントローラ5で情報処理し、各機能を動作させるときのブロック図を示す。図1に示すように、寝床部1を支持する脚付のフレーム2の4隅に寝床部1の上の荷重を検出して荷重信号を生成する荷重センサ3(3−1,3−2,3−3,3−4)が1個ずつ計4個備えられている。この荷重センサ3によって生成された荷重信号は、寝床部1の2つの短辺に設けられた壁部4の一方に備えられた離床予測・検知システムコントローラ5(以下、コントローラ5)によって一定時間毎に読み込まれる。
【0029】
コントローラ5には、体重演算部、重心位置演算部、体重閾値判定部、重心位置領域判定部、体重重心位置監視部、可動床板情報認識部、監視対象領域変更部、体重閾値設定部、重心位置監視対象領域設定部、記憶部、警報装置、警報選択部等が設けられており、各部の検知がソフトウェアによって実施されるようになっている。コントローラ5は、荷重センサ3によって生成された荷重信号を一定時間毎に読み込む。体重演算部は、この読み込んだ信号を基に、寝床部1の上の利用者の体重を演算する。寝床部1には、マットレス、掛け布団及び柵等(図示せず)の付帯物が設置されているので、体重演算部は、この状態を基準(=0kg、重心位置の原点補正)とし、利用者が寝床部1の上に寝たときの寝床部1の荷重信号をコントローラ5によって読み込み、基準からの荷重増加分を演算することによって利用者の体重Wを演算する。
【0030】
重心位置演算部は、コントローラ5が一定時間毎に読み込む荷重センサ3によって生成された荷重信号を基に、寝床部1の上の利用者の重心位置を演算する。図2に示すように、第1の荷重センサ3−1と第3の荷重センサ3−3とを結ぶ辺を頭側、第2の荷重センサ3−2と第4の荷重センサ3−4とを結ぶ辺を足側とする。寝床部1の頭側左端(図2において寝床部1の左下端部)を原点(0,0)とし、第1の荷重センサ3−1と第2の荷重センサ3−2との間の距離をB、第1の荷重センサ3−1と第3の荷重センサ3−3との間の距離をBとする。利用者が寝床部1の上に寝たときの、第1乃至4の荷重センサ3−1乃至3−4によって生成される荷重信号の基準からの荷重増加分の演算値をW乃至W(W+W+W+W=W)とすると、利用者の重心位置(X,Y)は下記の数式1で表すことができる。この式に従って、重心位置演算部は、寝床部1の上の利用者の重心位置を演算する。
【0031】
【数1】

【0032】
体重閾値判定部は体重演算部によって演算される寝床部1の上の利用者の体重Wを監視して、利用者の体重Wが所定の体重閾値WT1以上にあるか否かを判定する。即ち、ベッド利用者が、ベッドの端座位置に座っており、足が床についているときは、体重検出値が利用者の体重よりも低下し、体重閾値WT1未満となる。このように、ベッド利用者がベッドの端座位置に着座しているときは、危険な又は異常な状態とはいえない。また、重心位置領域判定部は、利用者の重心位置(X,Y)を監視して、利用者の重心位置(X,Y)が寝床部1の重心位置監視対象領域にあるか否かを判定する。この重心位置監視領域は、図5にハッチングにて示すように、ベッドの縁部、即ち端座位置を含み、ベッド利用者がこの監視対象領域にいることは、不自然又は危険であると考えられる領域である。従って、重心位置監視対象領域は、ベッドを取り囲む4縁部の全てでも良いし、縁部の一部の領域でも良い。また、重心位置監視対象領域は必ずしも端座に限らず、患者の異常状態を監視しようとする対象によって監視対象領域が設定される。ベッド利用者がベッド上に横臥しており、その体重の殆どがベッド上に印加されているときに、ベッド利用者の重心位置がベッドの縁部にくるということは、ベッド利用者がベッドから落下する虞があり、危険な又は異常な状態である。
【0033】
体重閾値設定部は、寝床部1の上の利用者がベッド上に位置しているか否かを判定するときの体重閾値WT1を設定する。また、重心位置監視対象領域設定部は、重心位置の監視対象領域の初期値を設定する。体重閾値WT1及び監視対象領域初期値はコントローラ5に接続されたパソコンから入力され、コントローラ5の演算部において演算され、記憶部に記憶される。
【0034】
警報装置は体重閾値判定部及び重心位置領域判定部の判定結果によって警報を発生し、また、警報選択部は、警報の有無及び種類を選択する機能を有している。
【0035】
図3は図1の第1の荷重センサ3−1乃至第4の荷重センサ3−4の信号をコントローラ5で情報処理し、各機能を動作させるときのブロック図を示したものである。第1乃至4の荷重センサ3−1乃至3−4によって生成される荷重信号は、コントローラ5の演算部21によって一定時間毎に読み込まれ、演算される。演算部21は寝床部1の上の利用者の体重Wを演算する体重演算部、寝床部1の上の利用者の重心位置を演算する重心位置演算部、利用者の体重が所定の体重閾値WT1以上にあるかどうかを判定する体重閾値判定部、利用者の重心位置(X,Y)を監視して、利用者の重心位置(X,Y)が寝床部1の重心位置監視対象領域にあるかどうかを判定する重心位置領域判定部、各判定部の判定結果を基に体重が所定の閾値以上であり且つ重心位置が監視対象領域にある時間を監視する体重重心位置監視部、寝台の可動床板の状態を入力してこの可動床板の状態を認識する可動床板情報認識部、この可動床板情報に基づき重心位置監視対象領域を変更する監視対象領域変更部、体重の閾値を設定する体重閾値設定部、重心位置監視対象領域の初期値を設定する重心位置監視対象領域設定部、記憶部、警報装置、警報選択部等を有し、また、判定に使用する体重閾値及び重心位置監視対象領域等が記憶される記憶部22、各判定部の判定結果により警報を発生する警報信号発信部31を有している。また、更にコントローラ5は、操作スイッチ、電源スイッチ等の設定操作部24、警報表示部25及びナースコール29等の警報/停止操作部26を有している。
【0036】
そして、本実施形態においては、ベッドコントローラ41から、可動床板の状態を示す可動床板情報が入力部40に入力されるようになっている。所謂、ギャッジベッドは、水平に設けられたフレームに対し、背床板(背ボトム)、腰床板(腰ボトム)、膝床板(膝ボトム)、足床板(足ボトム)がこの順に取り付けられており、背ボトムは腰ボトム側の端部を中心として揺動し、膝ボトムは腰ボトム側の端部を中心として揺動するようになっている。腰ボトムはフレームに固定され、足ボトムは、膝ボトムに連結され、膝ボトムの上昇につれて膝ボトムとの連結点が持ち上げられることにより膝ボトムと連動して上昇する。これにより、背ボトムは利用者の背が起き上がるように上昇し、膝ボトム及び足ボトムは、膝と足とが山なりになるように上昇する。ギャッジベッドとしては、背ボトムのみが上昇するタイプと、膝ボトムも上昇するタイプとがあり、いずれの場合も、背角度、膝角度等の可動床板の状態が、ベッドコントローラ41からギャッジ情報入力部40に入力される。演算部21の可動床板情報認識部は、ギャッジ情報入力部40に入力された床板情報から、可動床板の状態を認識し、背ボトムの角度、膝ボトムの角度等を認識する。そして、演算部21の監視対象領域変更手段は、この背ボトムの角度及び/又は膝ボトムの角度等により、所定の基準に従って、監視対象領域を変更し、これを体重重心位置監視部に設定して、この体重重心位置監視部の監視対象領域を時々刻々と更新する。
【0037】
図5(a)に示すように、ベッドが水平状態にあるときは、ベッド利用者がベッドの長手方向の中央に仰臥していれば、重心位置はベッド中央よりも若干頭側に位置する。このため、監視対象領域(異常位置検知領域)は、ベッドの両側縁部と、頭部側の比較的幅狭の端部と、足部側の比較的幅広の端部(ベッドの足部側の略半分)とになる。しかし、背ボトムが上昇して、ベッド利用者の上半身が起きてきたときは、図5(b)に示すように、重心位置は、足側に移動する。このため、監視対象領域変更部は、監視対象領域を足側に移動させる。ベッドの背上げ機構に通常使用されるリニアアクチュエータは、ポテンショメータによりそのストローク量を把握することができる。背上げ角度に応じたストローク量と、背上げ角度の変化による重心位置の変化とを関係付けることにより、背上げ姿勢に応じた異常位置検知領域の更新が可能となる。又は、ベッドの背上げ操作前と、背上げ操作後の重心位置を記憶し、その移動量をもとに異常位置検知領域を更新してもよい。なお、本実施形態は、ベッドコントローラ41から可動床板情報を入力部40に入力するものであるが、これに限らず、背上げ角度等の可動床板情報を、パーソナルコンピュータを介して介護者等が入力することとしても良いし、スイッチ等の切り換えにより可動床板情報を入力しても良い。
【0038】
各警報装置は、コントローラ5より警報信号を発信し、ナースコール29を介してナースステーション30に通報するか又は複数台のベッドを管理する場合は通信コネクタ12よりLAN(Local Area Network)アクセスポイント27を中継して遠隔地のパソコン30に通報することができる。
【0039】
次に、上述の如く構成された本発明の第1実施形態に係る異常位置検知システムの動作について説明する。寝床部1には、マットレス、掛け布団及び柵等(図示せず)の付帯物が設置されているので、体重演算部は、この状態を基準(=0kg、重心位置の原点補正)とし、利用者が寝床部1の上に寝たときの寝床部1の荷重信号をコントローラ5によって読み込み、基準からの荷重増加分を演算することによって利用者の体重Wを演算する。利用者が寝床部1の上に寝た直後の状態でコントローラ5の操作スイッチ(図示せず)を押すか又はパソコンを操作することによって、コントローラ5の記憶部22に利用者の体重を記憶させることができ、このときの利用者の体重を利用者の基準体重Wとする。また、体重計等によって得られた利用者の体重をコントローラ5に接続されたパソコンから入力することによって、利用者の基準体重Wをコントローラ5の記憶部に記憶させることもできる。
【0040】
図4は、異常位置検知のフローチャートを示す。予め、基準時において、コントローラ5の演算部21の体重演算部によって寝床部1の上の利用者の基準体重Wtが演算され、体重閾値設定部によって体重閾値Wdが設定され、重心位置監視対象領域設定部によって異常位置(危険位置)検知領域(監視対象領域)が設定され、更に、体重重心位置監視部において体重が所定の閾値以上であり且つ重心位置が監視対象領域にあることを監視する監視時間Tbが設定され、これらの各値がコントローラ5の記憶部22に記憶される(ステップS1)。
【0041】
そして、一定の時間間隔で、可動床板情報認識部が、背上げ動作等が行われたか否かを判定し(ステップS2)、背上げ動作が行われたときには、監視対象領域変更部が監視対象領域(異常位置s)を変更して、これを重心位置領域判定部に設定する(ステップS3)。可動床板情報認識部が、背上げ動作が行われた判定しなかったときは(ステップS4)、監視対象領域は変更されない。
【0042】
そして、ステップS5において、最初の判定タイミングで(T=0)、体重閾値判定部が体重Wtが体重閾値Wd以上であると判定し、且つ重心位置領域判定部が重心位置が監視対象領域内であると判定した場合は、ステップS6に移り、一定の時間間隔でその状態を確認し、その状態が続く経過時間を計測する。そして、この状態が一定時間Tbを経過したときに、異常位置検知警報が作動する(ステップS7)。一方、ステップS5において(T=0で)、体重閾値判定部により体重Wtが体重閾値Wd以上であると判定されなかった場合、若しくは、重心位置領域判定部により重心位置が監視対象領域内であると判定されなかった場合、又はその双方の場合に、更に、一旦、体重Wtが体重閾値Wd以上であり、且つ重心位置が監視対象領域内であると判定された場合でも、一定時間Tbが経過する前に、体重Wt又は重心位置がその条件から外れた場合には、ステップS2に戻る。そして、一定の制御タイミングで、床板の移動の有無(背上げの有無)並びに体重及び重心位置の判定が繰り返され、体重Wtが体重閾値Wd以上であり、且つ重心位置が監視対象領域内である状態が、時間Tb以上継続したときに、警報が作動する。
【0043】
このようにして、本実施形態においては、ベッド利用者がベッド上の異常位置にいるか否かを、体重を加味して判定すると共に、背上げ動作等の可動床板の状態を考慮して、判定すべき異常位置を修正するから、ベッド利用者が異常位置にいるか否かの検知を、床板の移動に拘わらず、高精度で且つ誤検知することなく、行うことができる。
【0044】
なお、警報装置は端座位の検知結果によって警報を発生し、また、警報選択部は、警報の有無及び種類を選択する機能を有している。警報発生中は、ナースコール29又はパソコン28等を経由して看護師に通報するほか、コントローラ5の警報表示部25で通報することもできる。
【0045】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態における体重閾値判定部の代わりに、体重が所定の範囲内であるか否かを判定する体重範囲判定部を設けたものである。即ち、ベッド利用者が異常位置にいることを検知する際に、体重測定値が体重閾値Wd以上であることを前提にするのではなく、体重測定値が、所定の範囲内にあることを前提にするものである。
【0046】
このように、本実施形態においては、体重測定値が所定の範囲内にあると判定され、且つ、重心位置が異常位置にあると判定された場合に、その状態が一定時間Tb以上継続したときに、ベッド利用者が異常位置にいることが検知される。これは、介護者等がベッド上に荷物を置いたような場合に、重心位置の演算結果がベッド利用者の位置を示さなくなり、誤検知となるが、本第2実施形態のように、体重検出値に上限値を設けることにより、ベッド上に荷物をおいたような場合にはその体重検出値が上限値を超えるので、重心位置が監視対象領域内に入っていたとしても、ベッド利用者が異常位置にいるとは検知しない。これにより、誤検知が回避される。
【0047】
次に、本発明の第3実施形態に係る寝台装置について説明する。本実施形態は、第1実施形態及び第2実施形態の寝台装置のように、ベッド利用者が異常位置にいるか否かを検知するのではなく、ベッド利用者の起き上がり検知機能を備えた寝台装置に関するものである。従って、本実施形態においては、コントローラ5が異常位置検知の機能ではなく起き上がり検知機能を有する点が異なり、それ以外は同様の構成を有するものである。起き上がり検知機能は、利用者が起き上がり動作の状態であること検知するものである。
【0048】
本実施形態の寝台装置のコントローラ5には、第1実施形態の寝台装置のコントローラ5の機能に加え、重心移動量演算部、重心移動量閾値設定部、重心移動量時間差設定部、体重範囲設定部が設けられている。
【0049】
コントローラ5の演算部21が荷重信号を一定時間毎に読み込む度に、重心位置移動量演算部は、現在の重心位置の演算結果と重心移動量時間差設定部によって設定された重心移動量時間差Tだけ遡った過去の重心位置の演算結果とから重心位置の移動量を演算する。利用者が起き上がるときの動作は、仰臥位から長座位又は仰臥位から側臥位を経由して長座位といった動作が考えられるが、いずれの動作においても重心は頭側から足側へベッド長手方向に移動しているため、起き上がり検知においてはX軸方向のみの重心位置移動量を考慮する。
【0050】
ある時刻tの利用者の重心位置を(X,Y)、ある時刻tから重心移動量時間差Tだけ遡った過去t2−T2の重心位置を(X2−T2,Y2−T2)とすると、X軸方向の重心位置の移動量ΔXは下記の数式4で表すことができる。この式に従って、重心移動量演算部は、寝床部1の上の利用者の重心位置の移動量ΔXを演算する。なお、このΔXは、起き上がり検知に適用する場合には、頭側から足側に重心が移動するので、方向性がある。これは、寝るときの動作の逆であり、例えば、ΔXの値が正の場合に、起き上がり、負の場合に、横臥と判断することができる。
【0051】
【数2】

【0052】
体重閾値判定部は体重演算部によって演算される寝床部1の上の利用者の体重Wを監視して、ある時刻tにおける利用者の体重Wが第1の閾値以下にあるか否か及びある時刻tから重心移動量時間差Tだけ遡った過去t2−における利用者の体重Wが所定の範囲内にあるか否かを判定する。また、重心移動量閾値判定部は、利用者のX軸方向の重心位置の移動量|ΔX|を監視して、時間差Tにおける寝床部1上の利用者の重心位置の移動量|ΔX|が重心移動量閾値を超えているか否かを判定する。
【0053】
体重閾値設定部は、寝床部1の上の利用者が起き上がり動作をしたか否かを判定するときの利用者の体重Wの体重閾値を設定し、体重範囲設定部は、体重Wの所定の範囲を設定する。重心移動量閾値設定部は、起き上がり検知の重心位置移動量の重心移動量閾値を設定する。また、重心移動量時間差設定部は重心移動量時間差Tを設定する。これらの設定値はコントローラ5に接続されたパソコンから入力され、コントローラ5の演算部において演算され、記憶部に記憶される。
【0054】
警報装置は体重閾値判定部及び重心移動量判定部の判定結果によって警報を発生し、また、警報選択部は、警報の有無及び種類を選択する機能を有している。警報発生中は、ナースコール29又はパソコン28等を経由して看護師に通報するほか、コントローラ5の警報表示部25で通報することもできる。
【0055】
図6は、起き上がり検知から警報装置が作動するまでのフローを示す。予め、基準時において、コントローラ5の演算部21の体重演算部によって寝床部1の上の利用者の基準体重Wが演算され、体重閾値設定部によって体重閾値WT2、体重範囲設定部によって体重の所定の範囲|WT2−1A,WT2−1B|、重心移動量閾値設定部によって重心移動量閾値X、重心移動量時間差設定部によって重心移動量時間差Tが設定され、これらの各値がコントローラ5の記憶部22に記憶される(ステップ11)。
【0056】
次に、可動床板情報認識部が一定の制御タイミングで背上げ動作が行われたか否かを判定し(ステップS12)、可動床板の状態が変更されている場合は、閾値変更部が重心移動量閾値を変更し、変更後の重心移動量閾値を重心移動量閾値判定部に設定する(ステップS13)。可動床板の状態が変更されていない場合は、重心移動量閾値を変更しない(ステップS14)。起き上がり動作が行われたときの重心移動量は、ベッドが水平な状態で利用者が臥位から起き上がり動作をした際の移動量と、ベッドの背ボトムが立ち上がっている状態で、ベッド利用者が起き上がり動作したときの重心移動量とでは異なり、後者の方が短い。そこで、可動床板(背ボトム)の状態が水平ではなく、傾斜している(立ち上がっている)場合は、ベッド利用者が起き上がり動作をしたか否かの判定に使用する重心移動量閾値は短くする必要がある。ベッドの背上げ機構に通常使用するリニアアクチュエータは、ポテンショメータによりそのストローク量を把握することができる。背上げ姿勢(背上げ角度)に応じたストローク量と、背上げ姿勢(背上げ角度)の変化による重心位置の変化を関係付けることにより、背上げ姿勢(背上げ角度)に応じた重心移動量閾値の更新が可能となる。また、ベッドが水平状態であるときに、起き上がりを検知するための重心移動量閾値を基準閾値、背上げ角度をαとすると、背上げ角度がαのときの重心移動量閾値は、(基準閾値)×cos(α)により求めることもできる。
【0057】
次に、重心移動量閾値判定部が、利用者の起き上がりを検知する(ステップS15)。利用者が起き上がり動作を行う際、ベッド長手方向(X方向)の重心位置移動が発生する。コントローラ5の演算部21が荷重信号を一定時間毎に読み込む度に、現在の重心位置の演算結果と重心移動量時間差T(例えば5秒)だけ遡った過去の重心位置の演算結果とから利用者の重心位置移動量|ΔX|が演算され、ある時刻tにおける利用者のX軸方向の重心位置の演算結果と、ある時刻tから重心移動量時間差T(例えば5秒)だけ遡った過去t2−T2の重心位置の演算結果とから演算される重心位置の移動量|ΔX|(時間差T(例えば5秒)における重心位置のX軸方向における移動量)が第2の閾値である重心移動量閾値X(例えばX=30cm)よりも大きい場合(|ΔX|>X)に、第2の判定部が重心位置の移動量|ΔX|が重心移動量閾値Xを超えたと判定する(ステップ2)。
【0058】
しかし、X軸方向の重心位置移動量のみを監視すると、例えば利用者が寝ている寝床部1に品物を置いたり、利用者でない別の人間が寝床部に寄りかったり座ったりしたことによる重心位置の変動なのかの区別ができず、起き上がり動作と誤判定するケースがあると考えられる。この誤判定を防ぐため、時間差TにおけるX軸方向の重心位置の移動量|ΔX|が重心移動量閾値を超えたと重心移動量閾値判定部が判定したとき(t=t)における寝床部1の上の利用者の体重Wが第1の閾値以下(W≦WT2、例えば利用者の基準体重Wの125%以下、即ち体重Wが利用者の体重のみによる荷重)であるかどうかの体重閾値判定部による判定を行う。又は、t=tから時間差Tだけ遡った過去(t=t2−T2)における利用者の体重Wが所定の範囲内(WT2−1A≦W≦WT2−1B、例えば利用者の基準体重Wの75乃至125%、即ち利用者が在床している状態)にあったかどうかの体重範囲判定部による判定を行う(ステップ3)。
【0059】
重心移動量閾値判定部が、ある時刻tにおける利用者のX軸方向の重心位置の演算結果と、ある時刻tから重心移動量時間差Tだけ遡った過去t2−T2の重心位置の演算結果とから演算される重心位置の移動量|ΔX|が重心移動量閾値Xを超えたと判定し、且つ、時刻tにおける利用者の体重Wの値が体重閾値WT2以下であると共に、ある時刻tから重心移動量時間差Tだけ遡った過去t2−T2における利用者の体重Wの値が所定の範囲内(WT2−1A≦W≦WT2−1A)であると判定したとき、利用者が起き上がり動作の状態であることを検知する(ステップ4)。また、この結果に応じて、警報を発生することもできる(ステップ5)。
【0060】
警報装置は起き上がり検知結果によって警報を発生し、また、警報選択部は、警報の有無及び種類を選択する機能を有している。警報発生中は、ナースコール29又はパソコン28等を経由して看護師に通報するほか、コントローラ5の警報表示部25で通報することもできる。
【0061】
上述のように、起き上がり検知は、重心位置移動量が重心移動量閾値を超えたときに、寝床部1の上の利用者の体重Wが体重閾値以下であるか否かの判定と、重心位置移動量が重心移動量閾値を超えた時点から時間差Tだけ遡った過去における利用者の体重Wが所定の範囲内にあったか否かの判定のいずれか又は双方行うことにより、例えば利用者が寝ている寝床部1に品物を置いたり、利用者でない別の人間が寝床部に寄りかったり座ったりしたことによる重心位置の変動と起き上がり動作とを区別することができ、起き上がり検知に対して誤報を減少させることができる。なお、この体重閾値判定手段が体重測定値が体重閾値以下であるか否かを判定するタイミングは、重心移動量演算部が重心位置の移動量を演算して、その値が重心移動量閾値を超えた時、若しくはその後とすることができる。又は、重心位置の移動量が、重心移動量閾値を超えた時点より遡った時点の体重測定値が体重閾値以下であるか否かを判定してもよい。
【0062】
また、柵などの付帯物を取り除く等といった行為によって重心移動が発生し、重心移動量閾値判定部が、時間差Tにおいて利用者の重心位置の移動量|ΔX|が重心移動量閾値Xを超えたと判定した場合においても、これに併せて体重範囲判定部が重心位置の移動量が重心移動量閾値を超えた時点から時間差Tだけ遡った過去における利用者の体重Wの値が所定の範囲内であるか否かを判定しているため、誤判定を防ぐことができる。
【0063】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態も、ベッド利用者の起き上がりを検知するものであるが、本実施形態においては、体重測定値が第1の値域にあるか否かを判定する第1の体重範囲判定部と、体重測定値が第2の値域にあるか否かを判定する第2の体重範囲判定部とを設け、重心移動量閾値判定部と共に、ベッド利用者の起き上がりを検知する。即ち、第1の体重範囲判定部が体重測定値が第1の値域の範囲内にあると判定し、第2の体重範囲判定部が体重測定値が第2の値域の範囲内にあると判定し、重心移動量閾値判定部が重心位置の移動量が重心移動量閾値を超えたと判定したときに、起き上がりが生じたことが検知される。そして、本実施形態においても、背上げ動作等の可動床板の状態が変化した場合には、重心移動量閾値が変更されるので、背上げ動作等の影響を受けずに、ベッド利用者の起き上がりを誤検知することなく、また高精度で検知することができる。
【0064】
本実施形態においては、起き上がり前に、体重測定値が第1の値域にあると判定され、起き上がり後に、体重測定値が第2の値域にあると判定されたことを条件として、重心位置の移動量が重心移動量閾値を超えた場合に、これを起き上がりと検知する。具体的には、重心移動量の演算に際し、重心移動量演算部がある時刻tにおける利用者のX軸方向の重心位置の演算結果と、ある時刻tから重心移動量時間差Tだけ遡った過去t−Tの重心位置の演算結果とから重心位置の移動量|ΔX|を演算し、時刻tにおいて、重心移動量判定部がこの重心位置の移動量|ΔX|が重心移動量閾値Xを超えたと判定したときに、基本的には起き上がりによる重心移動が生じたと検知される。そこで、この時刻t2から重心移動量時間差T2だけ遡った時刻t2−T2における体重測定値が第1の値域内にあるか否かを第1の体重範囲判定部が判定し、時刻t2における体重測定値が第2の値域内にあるか否かを第2の体重範囲判定部が判定して、いずれも判定結果が該当した場合に、これを起き上がりとして検知する。これにより、本実施形態においては、(起上り動作による)ベッド上の利用者の重心位置の移動量が重心移動量閾値を超えた場合で、かつ、重心移動時(起上り動作開始時)の体重測定値が第1の値域内にあると判定され、重心移動量閾値を超えた時点の体重測定値が第2の値域にあると判定されたときに、これを起上りと検知することになる。
【0065】
起き上がり前に体重測定値が第1の値域の範囲内にあるとき、利用者が確実にベッド上にいることが判断される。このため、第1の値域は、利用者の体重近傍の範囲に設定される。また、起き上がり後にも、体重測定値が第2の値域の範囲内にあるときに、利用者がベッド上にいることが判断される。よって、起き上がりでない動作を起き上がりと誤検知することを防止するために、重心位置の移動量が重心移動量閾値を超えたときに、重心移動時(起上り動作開始時)の体重測定値が第1の値域にあり、重心移動量閾値を超えた時点の体重測定値が第2の値域にあることを条件として、これを起上りと検知する。
【0066】
なお、起き上がり後には、ベッド利用者がベッド上にいる可能性もあれば、足を降ろして端座位になっている可能性もある。ベッド利用者が端座位にいて床上に足をおろしている状態では、体重測定値は極めて小さくなる。このような場合も起き上がりと検知するためには、第2の値域の下限値は、第1の値域の下限値よりも小さく設定する必要がある。
【0067】
一方、極端な例でいうとベッド上から勢い良く立ち上がるとか、ベッドから飛び降りるといったようなベッド上の重量が急激に減少する際に、重心が重心移動量閾値以上に動いてしまうことがあり、実際には起上り動作ではないが、起上り動作と誤検知してしまうことがある。この場合に、第2の値域のように下限値を設けることでこの誤検知を防ぐことができる。また、ベッド利用者が端座位にいる場合に、この端座位から立ち上がり動作をしたときに、完全に立ち上がった弾みで重心移動が生じるが、第2の値域に下限値がないと、重心移動の前には、体重測定値は第1の値域内にある可能性があるため、これを立ち上がりと誤検知してしまう可能性がある。しかし、この場合にも、第2の値域として下限値を設けておくことにより、体重測定値が0になる離床(端座位からの離床)と、起き上がりとを区別することができ、誤検知を防止することができる。
【0068】
なお、第1の値域及び第2の値域において、上限値を設けたのは、ベッド上の頭部側又は足側に物をおいた場合に、重心移動が生じる可能性があり、また、ベッド上に利用者がいないにも拘わらず、何らかの外乱で重心移動が生じたと検知される可能性があるため、重心移動が検知されても、体重測定値が、その上限値を超えていれば、その重心移動は起き上がりによるものではなく、これを起き上がりと検知してはいけないことが判定されるからである。
【0069】
以上、本発明の第1乃至第4実施形態において、各閾値、所定の範囲、端座位置等は、コントローラ5に接続されたパソコンより入力し、コントローラ5の演算部21によって演算されるものとしているが、この演算操作をパソコンによって行うこともでき、この演算結果をパソコンよりコントローラ5に入力することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1実施形態に係る寝台装置の概略図である。
【図2】寝床部1の4端に4つの荷重センサ3−1乃至3−4を配置した例を示す概略図である。
【図3】各荷重センサ3の信号をコントローラ5で情報処理し、各機能を動作させるときのブロック図を示したものである。
【図4】第1実施形態の異常位置検知のフローを示す図である。
【図5】寝床部1の異常位置領域の例を示す図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る寝台装置の起き上がり検知のフローを示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1 ; 寝床部
2 ; フレーム
3 ; 荷重センサ
3−1; 第1の荷重センサ
3−2; 第2の荷重センサ
3−3; 第3の荷重センサ
3−4; 第4の荷重センサ
4 ; 壁部
5 ; 離床予測・検知システムコントローラ
6 ; 端座位検知領域
20 ; 制御部
21 ; 演算部
22 ; 記憶部
23 ; 操作表示部
24 ; 設定操作部
25 ; 警報表示部
26 ; 警報/停止操作部
27 ; LAN AP
28 ; パソコン
29 ; ナースコール
30 ; ナースステーション
31 ; 警報信号発信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝床部の荷重を検出して荷重信号を生成する荷重計測手段と、前記荷重信号に基づいて寝床部上に位置する利用者の体重を演算する体重演算手段と、前記体重が所定の閾値以上にあるか否かを判定する体重閾値判定手段と、前記荷重信号に基づいて前記利用者の重心位置を演算する重心位置演算手段と、前記重心位置が寝床部の監視対象領域にあるか否かを判定する重心位置領域判定手段と、前記体重閾値判定手段及び重心位置領域判定手段の判定結果を基に前記体重が所定の閾値以上であり且つ前記重心位置が前記監視対象領域にある時間を監視する体重重心位置監視手段と、寝台の可動床板の状態を入力する可動床板情報認識手段と、前記可動床板情報認識手段の可動床板情報に基づき前記監視対象領域を変更する監視対象領域変更手段と、を有し、前記可動床板情報認識手段に入力された可動床板情報が変更された場合に、前記監視対象領域変更手段が監視対象領域を変更して変更後の監視対象領域を前記重心位置領域判定手段に設定し、前記体重重心位置監視手段が監視する時間が継続して所定時間を超えたときに、前記利用者の状態を検知することを特徴とする可動床板式の寝台装置。
【請求項2】
寝床部の荷重を検出して荷重信号を生成する荷重計測手段と、前記荷重信号に基づいて寝床部上に位置する利用者の体重を演算する体重演算手段と、前記体重が所定の範囲内であるか否かを判定する体重範囲判定手段と、前記荷重信号に基づいて前記利用者の重心位置を演算する重心位置演算手段と、前記重心位置が寝床部の監視対象領域にあるか否かを判定する重心位置領域判定手段と、前記体重範囲判定手段及び重心位置領域判定手段の判定結果を基に前記体重が所定の範囲内であり且つ前記重心位置が前記監視対象領域にある時間を監視する体重重心位置監視手段と、寝台の可動床板の状態を入力する可動床板情報認識手段と、前記可動床板情報認識手段の可動床板情報に基づき前記監視対象領域を変更する監視対象領域変更手段と、を有し、前記可動床板情報認識手段に入力された可動床板情報が変更された場合に、前記監視対象領域変更手段が監視対象領域を変更して変更後の監視対象領域を前記重心位置領域判定手段に設定し、前記体重重心位置監視手段が監視する時間が継続して所定時間を超えたときに、前記利用者の状態を検知することを特徴とする可動床板式の寝台装置。
【請求項3】
前記監視対象領域は寝床部の異常位置であり、前記利用者の状態は不自然な状態又は不自然な位置にいることを示すものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の可動床板式の寝台装置。
【請求項4】
寝床部の荷重を検出して荷重信号を生成する荷重計測手段と、前記荷重信号に基づいて寝床部上に位置する利用者の体重を演算する体重演算手段と、前記体重が体重閾値以下であるか否かを判定する体重閾値判定手段と、前記荷重信号に基づいて前記利用者の重心位置を演算する重心位置演算手段と、前記重心位置の演算結果から重心位置の重心移動量を演算する重心移動量演算手段と、前記重心位置の移動量が重心移動量閾値を超えているか否かを判定する重心移動量閾値判定手段と、寝台の可動床板の状態を入力する可動床板情報認識手段と、前記可動床板情報認識手段の可動床板情報に基づき前記重心移動量閾値を変更する閾値変更手段と、を有し、前記可動床板情報認識手段に入力された可動床板情報が変更された場合に、前記閾値変更手段が重心移動量閾値を変更して変更後の重心移動量閾値を前記重心移動量閾値判定手段に設定し、前記重心移動量閾値判定手段が前記重心位置の移動量が前記重心移動量閾値を超えたと判定し、前記体重閾値判定手段が前記体重が前記体重閾値以下であることを判定したときに、前記利用者の状態を検知することを特徴とする可動床板式の寝台装置。
【請求項5】
寝床部の荷重を検出して荷重信号を生成する荷重計測手段と、前記荷重信号に基づいて寝床部上に位置する利用者の体重を演算する体重演算手段と、前記体重が所定の範囲内にあるか否かを判定する体重範囲判定手段と、前記荷重信号に基づいて前記利用者の重心位置を演算する重心位置演算手段と、前記重心位置の演算結果から重心位置の重心移動量を演算する重心移動量演算手段と、前記重心位置の移動量が重心移動量閾値を超えているか否かを判定する重心移動量閾値判定手段と、寝台の可動床板の状態を入力する可動床板情報認識手段と、前記可動床板情報認識手段の可動床板情報に基づき前記重心移動量閾値を変更する閾値変更手段と、を有し、前記可動床板情報認識手段に入力された可動床板情報が変更された場合に、前記閾値変更手段が重心移動量閾値を変更して変更後の重心移動量閾値を前記重心移動量閾値判定手段に設定し、前記重心移動量閾値判定手段が前記重心位置の移動量が前記重心移動量閾値を超えたと判定し、前記体重範囲判定手段が前記体重が前記所定の範囲内であると判定したときに、前記利用者の状態を検知することを特徴とする可動床板式の寝台装置。
【請求項6】
寝床部の荷重を検出して荷重信号を生成する荷重計測手段と、前記荷重信号に基づいて寝床部上に位置する利用者の体重を演算する体重演算手段と、前記体重が第1の値域の範囲内であるか否かを判定する第1の体重範囲判定手段と、前記体重が第2の値域の範囲内であるか否かを判定する第2の体重範囲判定手段と、前記荷重信号に基づいて前記利用者の重心位置を演算する重心位置演算手段と、前記重心位置の演算結果から重心位置の移動量を演算する重心移動量演算手段と、前記重心位置の移動量が重心移動量閾値を超えているか否かを判定する重心移動量閾値判定手段と、寝台の可動床板の状態を入力する可動床板情報認識手段と、前記可動床板情報認識手段の可動床板情報に基づき前記重心移動量閾値を変更する閾値変更手段と、を有し、前記可動床板情報認識手段に入力された可動床板情報が変更された場合に、前記閾値変更手段が重心移動量閾値を変更して変更後の重心移動量閾値を前記重心移動量閾値判定手段に設定し、前記重心移動量閾値判定手段が前記重心位置の移動量が前記重心移動量閾値を超えたと判定したときに、前記重心位置の移動量が前記重心位置移動量閾値を超える前に前記体重が前記第1の値域の範囲内にあると前記第1の体重範囲判定手段が判定し、前記重心位置の移動量が前記重心位置移動量閾値を超えた時又はその後に前記体重が前記第2の値域の範囲内にあると前記第2の体重範囲判定手段が判定したときに、前記利用者の状態を検知することを特徴とする可動床板式の寝台装置。
【請求項7】
前記重心位置移動量閾値は、前記利用者の起き上がり時の移動量に基づいて設定され、前記利用者の状態は、起き上がりであることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の可動床板式の寝台装置。
【請求項8】
前記寝床部は、その背部の床板が床板本体に対して揺動可能な可動床板であり、前記可動床板情報は、前記可動床板の背上げ角度であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の可動床板式の寝台装置。
【請求項9】
前記利用者の状態を検知したときに警報を発生する警報手段を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の可動床板式の寝台装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−206866(P2008−206866A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−48168(P2007−48168)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(390039985)パラマウントベッド株式会社 (165)
【Fターム(参考)】