説明

可変な大きさに共通に使用可能なネジとネジ回し

【目的】大きさの違うネジに対しても、単一のネジ回しで作業ができる構造を持つネジとネジ回しの組を提供し、ネジ回し作業の効率化と堅実性、および錆びにくいネジを提供することを目的とする。
【構成】ネジの溝を、ネジの中心から周辺に行くに従って放射状に広くなるように切れ込みを入れる構造にすることにより、口径の異なる様々な大きさのネジに対して、十分な大きさの単一のネジ回しを使用することでネジとネジ回しの中心軸が自動的に一致し、両者の接触面が相互にフィットすることで、ネジ回し先端の回転力(トルク)がネジに確実に伝達されることで、効率的で堅実な作業が可能になることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【産業上の利用分野】
【0001】
広く一般建築用に使用できるネジとネジ回しの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、広く一般建築用に使用できるネジとネジ回しにはマイナス(−)またはプラス(+)用があり、ネジの種類(マイナス(−)またはプラス(+))や大きさに応じて、使用できるネジ回しも対応する種類と大きさのものを用意し使い分ける必要があった。また、マイナス(−)用のネジ回しは、左右に動きの自由度があるためネジの中心軸とネジ回しの中心軸を、通常は人の目分量で合わせるため、回転の中心軸がずれて作業しづらいことがあった。さらに、プラス(+)用のネジは、プラス(+)用のネジ回しの形状がネジの溝の形にぴったり合っていないときにはネジ山がつぶれ易いことがあった。また、プラス(+)のネジはネジ穴に水分が溜まり易く、マイナス(−)のネジに比べて錆びやすいという欠点があった。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来のネジとネジ回しの欠点や不便さを克服し、大きさの違うネジでも単一のネジ回しで、ネジとネジ回しの中心軸が自然に一致するように作業が容易にできるようにし、ネジ穴に溜まった水分が自然に流れ易くすることで錆びにくくすることを解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、ネジの溝にネジの中心から周辺に向かうに連れて放射状に傾斜しながら広がる構造を持たせ、大きさの異なるネジに対応できるネジ回しも単一の構造をもつものをただ一種類用意することにより解決する。
【作用】
【0005】
ネジの溝がネジの中心から周辺に向かうに連れて放射状に傾斜しながら広がる構造を持つため、大きさの異なるネジに対応できるネジ回しも単一の構造をもつものをただ一種類用意するだけでよい。すなわち、様々な大きさのネジに対し、個別に用意すべき大小のネジ回しを一本で兼用することができる。また作業の開始時に自動的にネジとネジ回しの中心軸が一致するだけでなく、ネジ溝とネジ回しの先端の形状がいつもぴったりと一致するため、ネジ回しからの回転力(トルク)がネジに適切に伝わることで作業が行い易く、ネジ山がつぶれ難い。ネジ溝が中心から周辺に向かうに連れて傾斜がついていることで、溝に溜まった水分が自然に流れるため、従来のネジに比べて錆び難いという作用をもつ。
【実施例】
【0006】
図1は、本発明の実施例を示すマイナス(−)用のネジとネジ回し(ドライバー)の構造を示す図であり、それぞれ平面図、正面図、側面図を示している。図中、Oはネジ中心、10は小ネジ、100は小ネジの溝、11は中ネジ、110は中ネジの溝、12は大ネジ、120は大ネジの溝を表す。説明上、大中小の3種の大きさのネジを示したが、任意の直径をもつネジでよい。ネジの溝がネジの中心0から、放射状に周辺に向かうに連れて広くなるように傾斜しながら切れている。各溝の形状は三角錐である。2はネジ回し、21はネジの溝100〜120の形状にぴたりと合う先端部分の形状を示したものである。ネジ溝の放射角θは15°〜20°位が適当である。この図を見てわかるように、溝の形状が中心Oから二方向に放射状をしているため、ドライバー2の先端部分21は各大きさのネジ10〜12の溝100〜120の形状にフィットし、一本のドライバーで共通に作業することができる。また、作業の開始に当たって、21の先端部分の中心がネジの中心Oに自動的に一致するため、ネジとネジ回しの中心軸がずれることなく作業が容易になり、しかもネジ溝とネジ回しの形状がいつもぴったりと一致するため、ネジ回しからの回転力(トルク)がネジに適切に伝わることでネジ山がつぶれ難い。さらに、ネジの溝の形状に放射状に傾斜がついているため、溝に溜まった水分が流れ易く錆び難い。
図2は、同様に本発明の実施例を示すプラス(+)用のネジとネジ回し(ドライバー)の構造を示す図であり、それぞれ平面図、正面図、側面図を示している。図中、Oはネジ中心、30は小ネジ、300は小ネジの溝、31は中ネジ、310は中ネジの溝、32は大ネジ、320は大ネジの溝を表す。ネジの溝がネジの中心Oから、四方の放射状に周辺に向かうに連れて広くなるように傾斜しながら切れている。4はネジ回し、41はネジの溝300〜320の形状にぴたりと合う先端部分の形状を示したものである。ネジ溝の放射角θは、図1と同様に15°〜20°位が適当である。この図を見てわかるように、溝の形状が四方に放射状をしているため、ドライバー4の先端部分41は各大きさのネジ30〜32の溝300〜320の形状にフィットし、一本のドライバーで共通に作業することができる。また、作業の開始に当たって、41の先端部分の中心がネジの中心Oに自動的に一致するため、中心軸がずれることなく作業が容易になるだけでなく、従来のプラスのネジ回しのように、ネジ溝の形状とネジ回しの形状が不一致の際にネジ山がつぶれ易いといったことも起こり難い。さらに、ネジの溝が放射状に傾斜がついているため、溝に溜まった水分が流れ易くさび難い。
図3は、同様に、本発明の実施例を示すY字型のネジとネジ回し(ドライバー)の構造を示す図である。図中、同様にOはネジ中心、50は小ネジ、500は小ネジの溝、51は中ネジ、510は中ネジの溝、52は大ネジ、520は大ネジの溝を表す。ネジの溝がネジの中心Oから、放射状に周辺に向かうに連れて広くなるように傾斜しながら切れている。6はネジ回し、61はネジの溝500〜520の形状にぴたりと合う先端部分の形状を示したものである。ネジ溝の放射角θは同様に、15°〜20°位が適当である。
なお、本発明におけるネジ回し(ドライバー)は、図1の2、図2の4、図3の6に、それぞれマニュアル(手動)式のものを示したが、電動式のネジ回し(電動ドライバー)であっても、各々のネジの溝の形状に応じた先端部分21、41、61を取り付けることで同様に適用することが可能である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、様々な大きさのネジを回すために、ネジの大きさに合った複数のネジ回しを用意する必要がなく、単一のネジ回しだけで大小さまざまな大きさのネジを共通に作業することができる。また、ネジとネジ回しの中心軸が自動的に一致することで、ネジ山をつぶし難いため、回転力(トルク)が適切に掛かり易く、確実な作業が容易となる。さらに、ネジ溝に傾斜がついているため、ネジ溝に水分が溜まり難く、ネジが錆び難いという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すマイナス(−)用のネジとネジ回し(ドライバー)の構造を示す図である。[符号の説明]O:ネジ中心、10:小ネジ、100:小ネジの溝、11:中ネジ、110:中ネジの溝、12:大ネジ、120;大ネジの溝、2:マイナス(−)用ネジ回し、21:マイナス(−)用ネジ回しの先端部分。
【図2】本発明の実施例を示すプラス(+)用のネジとネジ回し(ドライバー)の構造を示す図である。[符号の説明]O:ネジ中心、30:小ネジ、300:小ネジの溝、31:中ネジ、310:中ネジの溝、32:大ネジ、320;大ネジの溝、4:プラス(+)用ネジ回し、41:プラス(+)用ネジ回しの先端部分。
【図3】本発明の実施例を示すY字型(Y)用のネジとネジ回し(ドライバー)の構造を示す図である。[符号の説明]O:ネジ中心、50:小ネジ、500:小ネジの溝、51:中ネジ、510:中ネジの溝、52:大ネジ、520;大ネジの溝、6:Y字型(Y)用ネジ回し、61:Y字型(Y)用ネジ回しの先端部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネジの溝がネジの中心から周辺に向かうに連れて放射状に広がる構造を持つネジと、上記ネジの溝にフィットする接触面をもつことを特徴とするネジ回し。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−2629(P2013−2629A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150416(P2011−150416)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(511165050)