説明

可変容量式液圧回転機

【課題】可変容量式液圧回転機の傾転制御機構を構成するサーボピストンの位置を簡易な機構によって確実に検出できるようにする。
【解決手段】シリンダブロック3と斜板2とを設けた本体ケーシングにサーボピストン12を装着したピストン収納部11を設け、このピストン収納部11に制御圧室16を形成して、この制御圧室16とタンク圧が作用するタンク圧室22との間に検出チャンバ30が設けられ、検出チャンバ30と制御圧室16との間にサーボピストン12の変位により流路面積が変化する可変絞りとしての絞り流路32a〜32cが設けられ、また検出チャンバ30とタンク圧室22との間を固定絞り31により連通させ、検出チャンバ30内の圧力を検出して、この圧力変動に基づいてサーボピストン12の位置検出を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベルやホイールローダ等に搭載される油圧ポンプ等の可変容量式液圧回転機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
油圧ポンプや油圧モータ等からなる可変容量式液圧回転機は、本体ケーシング内にシリンダブロックを設け、このシリンダブロックには円周方向に所定ピッチ間隔をもって複数のシリンダを装着し、これら各シリンダにピストンを往復移動可能に設ける構成としたものである。そして、シリンダブロックを回転することによって、各シリンダ内でピストンを往復移動させるようにしている。容量を変化させるための構成としては、シリンダブロックと回転軸とに角度を持たせ、この角度を変化させる斜軸式のものと、シリンダブロックと対面させるようにピストンが摺接する斜板を設けて、この斜板を傾けるようにする斜板式のものとがある。
【0003】
この液圧回転機を油圧ポンプとして作動させる場合には、回転軸をエンジン等の動力源に連結し、この回転軸と共にシリンダブロックを回転駆動させることによって、ピストンがシリンダ内で往復運動する。ピストンがシリンダから伸長する際にシリンダ内に作動油を吸い込み、ピストンがシリンダ内に進入する際に加圧して吐出する。また、油圧モータとして用いる場合には、圧油がシリンダ内に導入されて、ピストンを押動することになる結果、シリンダブロックが回転駆動され、このシリンダブロックに連結した回転軸が回転駆動される。
【0004】
例えば、この液圧回転機を油圧ポンプとして機能させる場合には、シリンダブロックまたは斜板の角度を変化させることによって、つまり傾転制御を行うことによって、ピストンのシリンダに対する往復ストロークを変化させ、つまりピストンによる押し退け容積を可変なものとなし、もって吐出容量を変化させる。
【0005】
このように、傾転制御して油圧ポンプとしての容量を変化させる傾転駆動機構としては、本体ケーシングにピストン収納部を形成して、このピストン収納部にサーボピストンを摺動可能に装着する構成とするのが一般的である。そして、このサーボピストンを斜板式液圧回転機の場合には斜板に連結するか、または斜軸式液圧回転機の場合にはシリンダブロックが摺接される弁板に連結させる。そして、サーボピストンの端面を押動することによって、これら斜板若しくは弁板が駆動される。このために、ピストン収納部に制御圧室を形成して、この制御圧室内に圧力を導いて、サーボピストンの端面に制御圧として作用させるように構成したものは、従来から広く用いられている。そして、このような傾転駆動機構において、サーボピストンの位置を検出する手段を備える構成としたものが、特許文献1に開示されている。
【0006】
この特許文献1によるサーボピストンの位置検出は、サーボピストンと一体にコアを設けると共に、サーボピストンが装着されているケーシングにブリッジ回路に接続したコイルを設けて、このコイルによってコアの位置を検出するように構成している。この検出機構は傾転制御のために設けられる。即ち、コイルのインダクタンス変化をブリッジ回路の出力端から取り出し、この信号と指令値と比較して、その差分に応じてサーボピストンの位置を変化させることにより、目標とする傾転角を得る構成としている。
【特許文献1】実公平6−8306号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、油圧ショベルやホイールローダ等に設置される油圧ポンプにあっては、この油圧ポンプの吐出圧を検出する機構や斜板等の傾転機構の位置を機械的に検出してフィードバックする機構を備えていること等から、傾転制御を行うサーボピストンの動きや位置を検出するのは必ずしも必須のものではない。勿論、サーボピストンが作動しているか否かを何らかの方法で検出する手段を設ける意義はある。例えば、油圧シリンダや油圧ポンプといったアクチュエータを作動させる操作レバーを操作したにも拘らず、必要な吐出流量が得られない場合には、その原因がサーボピストンにあるのか、それとも他の原因であるのかの診断を行うことになるが、この故障診断に当っては、操作レバーの操作に応じてサーボピストンが実際に動くか否かの情報を取得することが必要となる。
【0008】
従って、サーボピストンの移動を検出するために、前述した特許文献1のように、サーボピストンに連結したコアと、このコアの変位を検出するコイルという複雑な構成を用いる必要はない。つまり、傾転制御を行うサーボピストンが実際に動くか否かの情報を取得することが必要であるにしても、特許文献1にあるような複雑で大掛かりな装置を設けるのは、コストの面等から好ましいものとはいえない。
【0009】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、簡易な機構によりサーボピストンの位置を確実に検出できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために、本発明は、ピストンが往復移動するシリンダを複数設けたシリンダブロックを本体ケーシングに設け、この本体ケーシングにサーボピストンを摺動可能に設けたピストン収納部を形成し、前記サーボピストンを前記ピストン収納部に形成した制御圧室に臨ませ、この制御圧室に制御圧を導入して前記サーボピストンを摺動変位させることによって、前記シリンダブロックの容量を変化させるようにした可変容量式液圧回転機であって、前記本体ケーシングには、検出チャンバと、タンク圧が作用する低圧室とを設け、前記検出チャンバと前記制御圧室との間に前記サーボピストンの変位により流路面積が変化する可変絞りを形成し、また、前記検出チャンバと前記低圧室との間を固定絞りにより連通させ、前記検出チャンバ内の圧力を検出して、この圧力変動に基づいて前記サーボピストンの位置検出を行う構成としたことをその特徴とするものである。
【0011】
液圧回転機のケーシング内に複数のピストンを往復動可能に装着したシリンダブロックを備えるが、さらにシリンダブロックには回転軸と弁板とが連結されている。また、斜板式液圧回転機の場合には、ピストンに連結したシューが摺接する斜板を設けている。シリンダブロックと斜板または回転軸の間で相対的に角度を変化させることによって、ピストンの往復ストロークが変化することになる。この場合、斜板を傾斜させるか、シリンダブロックを傾斜させることにより傾転動作が行われる。なお、シリンダブロックは回転することから、直接的には、シリンダブロックが連結される弁板を傾斜させることになる。即ち、斜板式液圧回転機の場合には、斜板を傾転駆動し、斜軸式液圧回転機の場合には弁板を傾転駆動するように構成する。
【0012】
傾転駆動機構として、斜板または弁板に連結したサーボピストンを設けるが、このサーボピストンは本体ケーシングに形成したピストン収納部に装着される。このピストン収納部には、サーボピストンの端面が臨む制御圧室が形成され、この制御圧室に制御圧を導入することによって、このサーボピストンをピストン収納部内で摺動変位させる。ここで、制御圧室はサーボピストンの片側端部に設けるか、またはサーボピストンの両側の端面に制御圧室を設けるようにしても良い。一方側の端面のみを制御圧室に臨ませる構成とした場合には、他側の端面には復帰ばね等からなる復帰手段を作用させるように構成することもできる。
【0013】
このように、斜板式のものであれ、斜軸式のものであれ、サーボピストンの動作によって、傾転制御が行われる。本発明では、サーボピストンの移動を検出するにしても、このサーボピストンの位置そのものを検出するのではなく、サーボピストンがピストン収納部内で移動することにより流路面積が変化する可変絞りを設け、この可変絞りを介して制御圧室の圧力を検出チャンバに導くようにすると共に、この検出チャンバを低圧で、しかもほぼ一定の圧力状態となっている部位、つまりタンク圧が作用している低圧室と固定絞りを介して連通させている。従って、サーボピストンが移動して、可変絞りの流路面積の変化に起因して生じる絞りの前後における差圧の変動に基づいて、サーボピストンの移動を検出できる。制御圧室及び低圧室の圧力が常に一定であれば、サーボピストンの位置を正確に検出できる。ここで、油圧ショベルやホイールローダ等に設置される油圧ポンプにおいては、通常、制御圧室内の圧力とタンク圧とは常時検出される構成となっているから、検出チャンバの圧力を検出する構成を追加するだけで、制御圧室または低圧室の圧力が多少変動する場合でも、少なくともサーボピストンの位置が変化したか否かの検出を行うことはできる。
【0014】
本体ケーシングに設けた検出チャンバは、タンク圧となった低圧室との間に固定絞りを介して連通させ、また検出チャンバと制御圧室との間に可変絞りが設けられるから、低圧室に連通する固定絞りは制御圧が導かれる制御圧室に対するリーク流路となる。従って、圧力の低下を最小限に抑制するために、固定絞りの流路面積は、圧力検出に支障を来たさないことを条件としてできるだけ細くする。これによって、リーク量を実質的に無視できる程度に抑制できる。そして、検出チャンバと制御圧室との間を連通させる可変絞りの流路面積の変化によって、検出チャンバに圧力変動を生じさせることから、この可変絞りは、当然、固定絞りより流路面積を大きいものとする。この可変絞りはサーボピストンの移動に応じて流路面積が増減するが、この変化は連続的であっても、また段階的なものであっても良い。検出チャンバ内にはその圧力を検出する圧力センサを設け、この圧力センサからの信号に基づいてサーボピストンの動きを検出することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、極めて簡単な構成によって、傾転動作を行うサーボピストンの位置なり移動なりを確実に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。図1は容量可変式液圧回転機の一例としての容量可変型の斜板式液圧回転機の断面図である。また、図2はサーボピストン等を外観にして示す図1の要部拡大図である。これらの図において、1は液圧回転機の本体ケーシングであって、この本体ケーシング1内には斜板2と、シリンダブロック3とが設けられている。シリンダブロック3には円周方向に複数(図1においては9個)のシリンダ4が形成されており、各シリンダ4にはピストン5が摺動可能に装着されている。
【0017】
この液圧回転機を油圧ポンプとして構成する場合には、シリンダブロック3に回転軸6を接続させ、この回転軸6をエンジン等の動力源により回転駆動することによって、シリンダブロック3が回転することになる。そして、斜板2をシリンダ4の軸線と直交する方向から所定角度傾転させた状態で、回転軸6によりシリンダブロック3を回転駆動すると、シリンダ4内でピストン3が往復動することになり、斜板2の傾転角に応じた押し退け容積を有するポンプ作用を行うことになる。なお、シリンダブロック3には弁板が摺接するように設けられており、この弁板は非回転状態に保持されており、シリンダブロック3が回転すると、各シリンダがこの弁板に設けた一対のポートに切り換え接続されることになる。ただし、この液圧回転機の構成については、従来から周知であるので、図示及び説明は省略する。
【0018】
斜板2には斜板傾転部材7が延在されており、この斜板傾転部材7を図1の左右方向に回動させることによって、斜板2の傾転制御が行われる。斜板傾転部材7を駆動するために、本体ケーシング1には傾転制御機構10が連結して設けられている。傾転制御機構10はピストン収納部11を有し、このピストン収納部11にはサーボピストン12が設けられており、このサーボピストン12に斜板傾転部材7が連結して設けられている。斜板傾転部材7とサーボピストン12との連結部の構成としては、サーボピストン12に円弧状凹部13を形成し、この円弧状凹部13には斜板傾転部材7の先端に設けた球面形状の軸受部材14を摺動可能に嵌合させている。
【0019】
サーボピストン12はピストン収納部11の内面に沿って軸線方向に移動可能に装着されている。そして、ピストン収納部11の両端には蓋体15A,15Bが装着され、サーボピストン12の両端面と蓋体15Aとの間には制御圧室16が、蓋体15B側にはタンク圧が作用する低圧室17が形成されている。また、サーボピストン12の両端面と蓋体15A,15Bとの間には、中立位置への復帰用のばね18が設けられている。ばね18の両端はばね座19,20に当接しており、一方のばね座19はサーボピストン12の端面と共にピストン収納部11に形成した段差部11aに当接している。また、他方のばね座20は蓋体15Aまたは15Bに常時当接している。なお、21はばね座20をサーボピストン12の軸線方向の位置からずれないようにするための調芯部材である。
【0020】
ここで、サーボピストン12のうち、制御圧室16及び低圧室17に臨んでいるのはその両端面であって、このサーボピストン12の外周面において、ピストン収納部11の内周面と摺接しているのは両端部から所定の長さ分で、ピストン収納部11の内周面がサーボピストン12への摺動部である。サーボピストン12は、斜板傾転部材7の連結部を含む中間部分に縮径部12aが形成されており、従ってサーボピストン12の両端近傍のみがピストン収納部11と摺接している。また、縮径部12aはピストン収納部11の内面とは非接触状態となっている。そして、この非接触部はタンク圧が作用しているタンク圧室22に臨んでいる。さらに、本体ケーシング1の内部はこのタンク圧室22に通じており、従って本体ケーシング1の内部はタンク圧に保持されている。
【0021】
傾転制御機構10における制御圧室16は、図示しない制御弁を介して油圧ポンプと接続されており、低圧室17はタンク圧室22と共に常時作動油タンクに接続されている。制御圧室16をタンク圧に保つと、サーボピストン12の両端に作用するばね18の付勢力により図2に示した位置となり、これが中立位置である。そこで、制御圧室16に圧力を導入すると、図3に示したように、導入された圧力が制御圧となって、この制御圧に応じて低圧室17側に設けたばね18の付勢力に抗する方向にサーボピストン12が摺動変位する。その結果、斜板2に連結した斜板傾転部材7が移動することになり、傾転角が大きくなる方向に変位する。従って、シリンダブロック3を回転させたときに、傾転角を大きくした分だけピストン5のストロークが長くなって、油圧ポンプとしての容量が増大する。
【0022】
さらに、この斜板式液圧回転機は、サーボピストン12の位置検出手段を備えている。この位置検出手段は、図4から明らかなように、本体ケーシング1に設けた検出チャンバ30を有し、この検出チャンバ30は、サーボピストン12の軸線と直交する方向に設けた3箇所の縦孔と、サーボピストン12の軸線と平行な方向に設けた横孔とから構成されるものであり、これら全ての孔は連通している。そして、この検出チャンバ30は横穴の先端に設けた固定絞り31を介してタンク圧室22と連通している。この固定絞り31が開口するタンク圧室22は、低圧室17と同様、タンク圧状態となっている。
【0023】
また、検出チャンバ30と制御圧室16との間には、それぞれ縦穴の先端に通じる絞り流路32a〜32cが設けられており、これら絞り流路32a〜32cは3段階からなる段階的に流路面積が変化する可変絞りを構成するものである。そして、各絞り流路32a,32b,32cは、制御圧室16において、サーボピストン12の軸線方向に位置を違えて配置されている。また、可変絞りを構成する各絞り流路32a,32b,32cの流路面積は固定絞り31より大きくなっている。さらに、検出チャンバ30内の圧力変動を検出するために、この検出チャンバ30に圧力センサ33が接続して設けられている。
【0024】
サーボピストン12が図2に示した中立位置に配置していると、全ての絞り流路32a〜32cはサーボピストン12により検出チャンバ30と制御圧室16との間の連通を遮断した状態となる。この状態から、制御圧室16に圧力が導入されて、サーボピストン12が移動し始めると、まず絞り流路32aが制御圧室16に開口することになり、この絞り流路32aを介して検出チャンバ30内に制御圧室16内の圧力が導かれる。そして、固定絞り31により検出チャンバ30内の圧力がタンク圧室22に開放されているので、絞り流路32aと固定絞り31との流路面積の差に応じた分だけ検出チャンバ30内の圧力が上昇する。また、サーボピストン12が最大傾転角位置に向けてさらに変位すると、絞り流路32aに加えて絞り流路32bも制御圧室16に開口するので、検出チャンバ30の圧力が上昇する。サーボピストン12が最大傾転角位置となる直前位置まで摺動変位すると、図3に示したように、絞り流路32cも制御圧室16に開口することになり、段階的な可変絞りを構成する全ての絞り流路32a〜32cを介して制御圧室16と検出チャンバ30とが連通することになる。その結果、検出チャンバ30内の圧力がさらに上昇する。
【0025】
従って検出チャンバ30に設けた圧力センサ33によって、サーボピストン12の位置を検出することができる。即ち、検出チャンバ30が制御圧室16とは遮断されて、タンク圧となっていることが圧力センサ33で検出されると、斜板2が中立位置になっていることが検出される。ここで、サーボピストン12に接続した斜板傾転部材7により斜板2が傾転することがなく、シリンダブロック3の軸線と直交する中立位置に保持される。一方、全ての絞り流路32a〜32cが制御圧室16に開口して、検出チャンバ30内の圧力が最大になったことが圧力センサ33で検出されると、斜板2が傾転最大となる位置であって、油圧ポンプとした場合にあっては、シリンダブロック3の1回転当たりの吐出流量が最大となる。さらに、これらの中間の圧力状態、つまり絞り流路32aと絞り流路32bとが制御圧室16に開口した状態を、例えばスタンバイ位置に設定することができる。
【0026】
このように、検出チャンバ30内の圧力を圧力センサ33で検出することによって、サーボピストン12が中立位置にあるか、スタンバイ位置に変位したか、最大傾転位置となったかの検出を行うことができる。つまり、固定絞り31と可変絞りを構成する絞り流路32a〜32cとを検出チャンバ30に設けるだけの簡単な構成で、確実にサーボピストン12の位置検出を行うことができることになり、従って傾転制御機構が正常に作動しているか否かの判定を行うことができる。そして、サーボピストン12の位置検出を行うに当って、このサーボピストン12の動きそのものを直接検出するのではなく、サーボピストン12で閉鎖している絞り流路32a〜32cが開放されたことを検出することによって、このサーボピストン12がピストン収納部11内で摺動変位したことを検出するものである。従って、これら検出チャンバ30,固定絞り31及び可変絞りを構成する絞り流路32a〜32cを形成し、検出チャンバ30に圧力センサ33を設けるという簡単な構成で、確実にサーボピストン12が動いたことを検出することができる。
【0027】
ここで、サーボピストン12の位置検出を行うために、制御圧室16内の圧力を検出チャンバ30に流出させており、これが作動油タンクに流入するリーク油となるが、実際にタンク圧側にリークするのは固定絞り31からタンク圧室22に流出する分だけであり、従ってリーク量も僅かなものとなり、制御圧室16に圧力を導入するために、制御用の補助ポンプを使用している場合には、このリーク量は無視できる程度のものとなる。
【0028】
次に、図5及び図6に本発明の第2の実施の形態を示す。この実施の形態では、可変絞りを、前述した第1の実施の形態のように、段階的に流路面積が変化する3箇所の絞り流路32a〜32cではなく、サーボピストン12の移動により連続的に流路面積が変化するスリット状の可変絞り133として構成している。また、検出チャンバ130は、複数の円形n孔を連結する構成としたものではなく、先端に可変絞り133を形成した1箇所の大きな凹部と、先端に固定絞り31が形成され、この大きな凹部と交差するように設けた孔から構成している。なお、これ以外の構成については、前述した第1の実施の形態とは実質的に差はないので、同一または均等な部材については、この第1の実施の形態で使用した符号と同じ符号を用いるようになし、それらの具体的な説明は省略する。
【0029】
可変絞り133はサーボピストン12の軸線方向に向けて長手となっており、サーボピストン12が中立位置から最大傾転位置に向けて変位するに応じて、制御圧室16の検出チャンバ30内への流路面積が連続的に大きくなる。従って、検出チャンバ130内の圧力を圧力センサ133で検出することによって、サーボピストン12がどの位置となっているかをより微細に検出することができるようになる。特に、制御圧室16とタンク圧室22との圧力が一定であれば、サーボピストン12の位置を極めて正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す可変容量式液圧回転機の断面図である。
【図2】サーボピストン等を外観にして示す図1の要部拡大図である。
【図3】傾転制御機構の切り換え状態を示す図2と同様の図である。
【図4】第1の実施の形態の検出チャンバ及び絞り流路を示す構成説明図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示す図2と同様の図である。
【図6】第2の実施の形態の検出チャンバ及び絞り流路を示す構成説明図である。
【符号の説明】
【0031】
1 本体ケーシング 2 斜板
3 シリンダブロック 4 シリンダ
5 ピストン 6 回転軸
7 斜板傾転部材 10 傾転制御機構
11 ピストン収納部 12 サーボピストン
16 制御圧室 17 低圧室
18 ばね 22 タンク圧室
30,130 検出チャンバ 31 固定絞り
32a〜32c 絞り流路 132 可変絞り
33,133 圧力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンが往復移動するシリンダを複数設けたシリンダブロックを本体ケーシングに設け、この本体ケーシングにサーボピストンを摺動可能に設けたピストン収納部を形成し、前記サーボピストンを前記ピストン収納部に形成した制御圧室に臨ませ、この制御圧室に制御圧を導入して前記サーボピストンを摺動変位させることによって、前記シリンダブロックの容量を変化させるようにした可変容量式液圧回転機において、
前記本体ケーシングには、検出チャンバと、タンク圧が作用する低圧室とを設け、
前記検出チャンバと前記制御圧室との間に前記サーボピストンの変位により流路面積が変化する可変絞りを形成し、
また、前記検出チャンバと前記低圧室との間を固定絞りにより連通させ、
前記検出チャンバ内の圧力を検出して、この圧力変動に基づいて前記サーボピストンの位置検出を行う
構成としたことを特徴とする可変容量式液圧回転機。
【請求項2】
前記可変絞りは前記サーボピストンの移動に応じて前記制御圧室との連通流路面積が段階的に変化する複数の絞り流路から構成したことを特徴とする請求項1記載の可変容量式液圧回転機。
【請求項3】
前記可変絞りは前記サーボピストンの移動に応じて前記制御圧室との連通流路面積が連続的に変化する構成としたことを特徴とする請求項1記載の可変容量式液圧回転機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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