説明

可変配線バックボード

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、伝送装置、交換装置等の通信機器のバックボードにおいて、可変配線を可能とする可変配線バックボードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】マルチCPU構成の装置においては、CPU間の通信はバックボード上にアドレス、データ等を備えた共通バスを設けるか、シリアルバスを設けて通信を行っている。VMEバス等の汎用バスでは共通バスとシリアルバスの両方を備えた仕様となっている。
【0003】従来のバックボードは前記のように構成されており、マルチCPU構成の装置の場合はバス上の競合を避けるために、共通バスの場合はラウンド・ロビン等の競合制御方式をとり、シリアルバスの場合はCSMA、トークン、ポーリング等の競合制御方式をとっている。また、バックボードを備えた装置においては、機能動作を試験するための端子をバックボードからとる場合が多くなっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来のバックボードでは、上述のような競合制御方式をとっているが、その場合でも通信ができるのは1つのCPUであり、他のCPUは通信中のCPUが通信を終えるまで待ちの状態となり、CPUの数が多くなる場合または通信量が多い場合は待ち時間が無視できないものとなる。このような方式をとらなければいけなかったのは、バックボードの配線は固定であるという先入観によるところが大きい。また、バックボードの配線を運用状態のままで変更する手段がなかったことにもよる。また、試験用端子を各パッケージからバックボードに引き出して、試験用端子から異常状態を発生させる制御をする場合、装置の高機能化につれて、試験用端子の数が増大し、バックボードに接続するケーブルの数が非常に多くなり、パッケージのピンネックの原因となっている場合もあり、また、装置の共通部のように他の部分へのケーブル配線が多い場合には、この様なケーブルのコネクタネックのためにすべての試験用端子を設けられない場合もある。
【0005】本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、バックボードの配線を可変とし、必要に応じてパッケージ間のパスをはることで、CPU間通信パスの生成・削除、試験用配線の引き出し等を可能とし、CPUの数が多い場合または通信量が多い場合でも、CPU間の通信の待ち時間が増加せず、試験端子も少なくすることができる可変配線素子及び可変配線バックボードを得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】第1発明に係る可変配線バックボードは、内側と外側の端子を有し、外側端子が低インピーダンス駆動能力を持ち、入出力の方向が制御される複数のインターフェース部と、それぞれのインターフェース部の内側の端子と接続された入出力線が行と列のマトリックス状に交差して配置され、その交差部において入出力線は遮断され、接続線により行の入出力線と列の入出力線の端点が相互に結節され、その各結節部において、同一の入出力線の端点に接続された1対の接続線が第1のスイッチを介して相互に接続され、更に、該第1のスイッチが接続された接続線の両端点と入出力線の端点との間に第2及び第3のスイッチがそれぞれ挿入されたスイッチング・マトリックスと、インターフェース部の入出力の方向を制御する制御信号及びスイッチング・マトリックスの各スイッチのオン・オフ信号がそれぞれ入力されて記憶され、その記憶情報をインターフェース部及びスイッチに制御信号として出力する記憶手段とからなる可変配線素子がマトリックス状に配置され、各可変配線素子のインターフェース部の外側の端子がそれぞれ相互に接続された可変配線素子群と、複数のCPUと、複数のCPUからの要求に基づいて、可変配線素子群の各可変配線素子に、インターフェース部の入出力の方向を制御する制御信号及びスイッチング・マトリックスの各スイッチのオン・オフ信号を入力させ、複数の可変配線素子を制御する制御部とを備えたものである。
【0007】第2の発明に係る可変配線バックボードは、制御部は、複数のCPUから送信される通信用パスの生成要求メッセージを受信し、その通信用パスの生成要求メッセージに基づいて、生成要求メッセージを受信した時点の各可変配線素子の既設の配線状態を確認し、使用中の確認あるいは配線が可能かどうかを判定し、CPU間の配線が可能ならば各可変配線素子を制御して配線し、配線後配線生成要求を出したCPUに対して配線が完了したことを通知する通信パス生成手段と、CPU間の通信が終了した際にそのCPUから送信される通信パスの削除要求メッセージを受信し、その通信パスの削除要求メッセージに基づいて、各可変配線素子を制御してCPU間の配線を削除する通信パス削除手段とを備えるものである。
【0008】
【作用】第1発明においては、可変配線素子群の各可変配線素子の各インターフェース部の入出力方向が記憶手段に記憶された制御信号により制御される。また、そのインーフェース部と接続された入出力線はスイッチング・マトリックスにおいてマトリックス状に配置され、その交差部は上述のように第1〜第3のスイッチを介して相互に接続されており、この第1〜第3のスイッチのオン・オフは記憶手段に記憶された制御信号により制御される。したがって、各可変配線素子の記憶手段に記憶された制御信号により各インターフェース部の入出力方向及びスイッチング・マトリックスの交差部の各スイッチのオン・オフを適宜制御することにより、入出力線のデータの方向及び接続を変更することができる。しかも、その変更をする際には、そのためのデータは記憶手段に記憶されているので、外部からデータを読み込むことなしに処理できる。また、その可変配線素子群の各可変配線素子を、制御部により、複数のCPUからの要求に基づいて、可変配線素子群の各可変配線素子に、インターフェース部の入出力の方向を制御する制御信号及びスイッチング・マトリックスの各スイッチのオン・オフ信号を入力させ制御することにより、バックボード上の配線が必要に応じて変更され、CPU間の通信パスが生成される。
【0009】第2の発明においては、制御部の通信パス生成手段により、複数のCPUから送信される通信用パスの生成要求メッセージが受信され、その通信用パスの生成要求メッセージに基づいて、生成要求メッセージを受信した時点の各可変配線素子の既設の配線状態が確認され、使用中の確認あるいは配線が可能かどうかが判定され、CPU間の配線が可能ならば各可変配線素子が制御されて配線され、配線後配線生成要求を出したCPUに対して配線が完了したことが通知され、制御部の通信パス削除手段により、CPU間の通信が終了した際にそのCPUから送信される通信パスの削除要求メッセージが受信され、その通信パスの削除要求メッセージに基づいて、各可変配線素子を制御してCPU間の配線が削除される。
【0010】
【実施例】
実施例1.図1は本発明の一実施例に係る可変配線素子の概要図であり、全体の回路構成、スイッチング・マトリックス、このマトリックスの交差部及び結節部がそれぞれ図示されている。図において、1は入出力端子、2は制御用端子、3はインターフェース部、4はスイッチング・マトリックス、5Aは制御情報メモリ、6は行の入出力線と列の入出力線を相互に接続する接続線、7は識別用端子、15、16及び17はそれぞれスイッチング・マトリックス4のスイッチ、18は交差部、19は結節部である。入出力端子1は他の可変配線素子あるいはバックボードに実装するパッケージのコネクタに接続される。これらの入出力端子はそれぞれ双方向のインターフェース部3に接続される。インターフェース部3は低インピーダンスの配線であってもドライブできる能力を持ち、入出力の方向は制御情報メモリ5Aによって制御される。インターフェース部3を経由した入出力線はスイッチング・マトリックス4に接続される。
【0011】スイッチング・マトリックス4の内部はインターフェース部3の一方の端子と接続された入出力線がマトリックス状に交差して配置され、その交差部18において入出力線は遮断され、接続線6により行の入出力線と列の入出力線が相互に接続され、その各結節部19において、同一の入出力線に接続された1対の接続線がスイッチ15を介して相互に接続され、スイッチ15が接続された接続線の接続点と入出力線の端部との間にスイッチ16及びスイッチ17がそれぞれ挿入される。各スイッチ15、16及び17のオン・オフは、制御情報メモリ5Aにより制御される。
【0012】可変配線素子はバックボード上に複数個配置するものであるから、他の可変配線素子と区別するための信号を入力する識別用端子7を備えている。識別用端子7は、バックボード上で接地及び電源に接続され、接続の仕方はバックボード上に配置されたときの位置によって個別に決定される。制御情報メモリ5Aは、識別用端子7の入力と、デコーダで再生したアドレス信号を照合し、アドレスが識別用端子7で指示する特定の範囲にあるときは、選択信号を可変配線素子内で生成しメモリセルへのアクセスを可能とする。
【0013】図2は実施例1に係る可変配線素子のスイッチング・マトリックス4の交差部の説明図であり、入出力線の交差の一例を示している。図において、行の入出力線(1....m....)と列の入出力線(1....n....)があり、行の入出力線(m)と列の入出力線(n)の交点P(m,n)、交点P(m,n)とP(m,n+1)を接続する線をR(m,n)、交点P(m,n)とP(m+1,n)を接続する線をC(m,n)とする。
【0014】スイッチング・マトリックス4の内部では、上述のように、入出力線がマトリックス状に交差して配置され、その交差部18において、接続線6により行の入出力線と列の入出力線が相互に接続され、その各結節部19において、スイッチ15、スイッチ16及びスイッチ17がそれぞれ図示のように挿入されている。即ち、それぞれの結節点19のスイッチ番号は入出力線に対向するスイッチをスイッチ15、入出力線から見て右方向の接続線6に挿入されたスイッチをスイッチ16、同じく左方向の接続線6に挿入されたスイッチをスイッチ17とする。このような接続にすると、交差部で入出力線を互いに接続することもできるし、接続しないこともできる。交点P(m,n)の4つの結節点を上、左、下、右の属性で表す。
【0015】このような、トポロジーとすると、交差部のひとつの入出力線を交差部の他の入出力線から独立することができるので、配線のアルゴリズムが簡単になる。たとえば、線R(m,n)と線C(m,n)及び線R(m,n−1)と線C(m−1,n)を接続するには交点P(m,n)のスイッチの設定は次のようにする。
上(オフ、オン、オフ);
左(オフ、オフ、オン);
下(オフ、オン、オフ);
右(オフ、オフ、オン);
ただし、スイッチ属性は(スイッチ15,スイッチ16,スイッチ17)の順でオン/オフを表示した。
【0016】また、線R(m,n−1)と線R(m,n)を接続するときの交点P(m,n)のスイッチの設定は次のようにする。
上(オン、オフ、オフ);
左(オフ、オフ、オン);
下(オフ、オフ、オフ);
右(オフ、オン、オフ);
または、上(オフ、オフ、オフ);
左(オフ、オン、オフ);
下(オン、オフ、オフ);
右(オフ、オフ、オン);
この場合、線C(m−1,n)と線C(m,n)は使用できないが、交点P(m,n)はこれらの線に対して影響を与えないので交点P(m−1,n)、交点P(m+1,n)は接続しない交点P(m,n)については考慮する必要がない。
【0017】また、このスイッチング・マトリックス4では線R(m,n−1)と線R(m,n)を接続すると、線C(m−1,n)と線C(m,n)は接続できないことになるため、スイッチング・マトリックス4内での配線は交差させることはできないが、スイッチング・マトリックス4の構造を2面にすることにより交差させることが可能となる。
【0018】また、各結節点19のスイッチ15〜17のオン・オフ及びインターフェース部3の入出力の方向の決定は電気的に制御できる。また、メモリは外部からデータを読みだしてこなくても、その情報は保持されるので、それぞれの制御はメモリで保持している情報で行うことができる。即ち、SRAMの各メモリセル、DRAMのメモリセルのストレージ・キャパシティのレベルを高インピーダンスのバッファで受けて、スイッチのオン・オフ及び入出力方向制御をすることができる。メモリをデバイスに内蔵し、外部からデータを読み込むことなしに、その保持している情報でスイッチやI/Oの制御を行えるようにすることは回路の高集積化を計る上で有効である。このメモリへの書き込み・読みだし制御はアドレス、データ等を多重化したシリアルな制御信号として入出力する。あるいは同期化したシリアルデータ列として入出力するなどの手段で実現することができる。
【0019】図3は実施例1に係る可変配線素子の制御情報メモリ5Aの構成を示すブロック図であり、10はメモリセルアレイ、20Aは制御用端子2及び識別用端子7が接続される制御デコーダ、21はコントロール回路、22はアドレス生成回路、23はデータ生成回路、24は行セレクタ、25は列セレクタ、26は列I/O回路である。
【0020】制御情報メモリ5AはSRAM構造であり、制御用端子2にはアドレス信号、データ信号、リード/ライト等の制御信号がシリアル信号に多重化されて入出力される。外部のCPU等をもつ制御部がアドレス信号、データ信号、制御信号等を多重化して可変配線素子のこの制御用端子2にアクセスすることで、後述のように可変配線素子が制御される。制御用端子2及び識別用端子7から入力された信号は制御用デコーダ20Aによりアドレス信号、データ信号及びリード/ライト等の制御信号に分離される。リード/ライト等の制御信号はコントロール回路21により制御情報として出力される。例えば、制御信号がライト命令のときには、アドレス信号からアドレス生成回路22により行と列のアドレスが生成され、行セレクタ24及び列セレクタ25により特定のメモリセルにアクセスし、データ信号からデータ生成回路23によりデータが生成され、列I/O回路26を経てメモリセルアレイ10の該当するメモリセルに記憶される。
【0021】図4は実施例1に係る可変配線素子のスイッチング・マトリックス4の結節部の詳細図であり、制御情報メモリ5Aのメモリセルとスイッチング・マトリックス4の各スイッチとの関係を示している。図において、10Aはスイッチ15を制御するメモリセル、10Bはスイッチ16を制御するメモリセル、10Cはスイッチ17を制御するメモリセルである。したがって、各スイッチ15、16及び17はそれぞれメモリセル10A、10B及び10Cに記憶されたデータによりオン・オフ制御されている。
【0022】図5は実施例1に係る可変配線素子のインターフェース部3の詳細図であり、入出力バッファとメモリセルとの関係を示している。図において、8は入力方向のバッファ、9は出力方向のバッファ、10Dはデータの入出力の方向を制御するメモリセルである。インターフェース部3は、入力方向のバッファ8と出力方向のバッファ9とを並列に配置し、制御情報メモリ5Aのメモリセルアレイ10内の1つのメモリセル10Dにより一方のバッファをハイ・インピーダンス制御をすることにより他方のバッファだけが動作可能となるようにする。したがって、各バッファ8及び9はそれぞれメモリセル10Dに記憶されたデータにより制御され、いずれか一方のバッファのみが動作してデータの入出力の方向が制御される。
【0023】以上のように、図1〜図5から構成された可変配線素子において、制御情報メモリ5Aの識別用端子7によりその素子が識別され、制御用端子2を介して制御データが入力されると、上述のように図3の制御デコーダ20A等の動作により該当するメモリセルにデータが書き込まれる。そして、各メモリセルは図4及び図5R>5に示されるようにスイッチング・マトリックス4のスイッチ15、16及び17のオン・オフを制御し、また、インターフェース部3のバッファ8及び9を制御することにより、図1に示されるスイッチング・マトリックス4の回路網そのものを適宜変更したり、インターフェース部3のデータの方向を制御したりすることができる。
【0024】実施例2.図6は本発明の他の実施例に係る可変配線素子概要図であり、図1の識別用端子7に代えて選択用端子11を設けている。図7はその制御情報メモリ5Aのブロック図であり、20Bは制御用端子2及び選択用端子11が接続される制御デコーダである。この実施例においては、インターフェース部3の入出力の方向及びスイッチング・マトリックス4のスイッチが制御情報メモリ5Aに記憶された情報により制御され、他の可変配線素子と区別するための信号を入力する選択用端子11を備えているものである。
【0025】スイッチング・マトリックス4の各スイッチとインターフェース部3の入出力バッファとレジスタの関係は実施例1と同様である。選択用端子11には選択信号が入力され、この選択信号は可変配線素子の外部においてアドレスがデコードされた、各素子を選択する信号である。そして、選択用端子11を介して制御デコーダ20Bにその選択信号を入力することで、該当するひとつの可変配線素子のみが選択される。選択された可変配線素子はアドレスデコードを有効とし、素子内のメモリセルアレイ10に図3の例と同様にしてアクセスする。
【0026】選択用端子11を使うと、可変配線素子の端子数を減らすことができるという利点がある。図1の実施例の識別用端子7を使った場合、例えば100個の可変配線素子をバックボード上に配置すると、個々を区別するためには端子数を「7(27 )」としなければいけないが、選択用端子11の場合には既にデコードされた信号を選択信号として入力するので、端子数は「1」で済む。
【0027】実施例3.図8は本発明の他の実施例に係る可変配線素子の概要図であり、図1の制御情報メモリ5Aに代えて制御情報レジスタ5Bを設けたものである。したがって、制御情報レジスタ5Bのレジスタアレイ内の1つのレジスタのSRラッチの極性により、インターフェース部3の入出力の方向及びスイッチング・マトリックス4の各スイッチ15〜17が制御される。さらに、この制御は、外部からデータを読み込むことなしに、レジスタに保持された情報により処理できる。
【0028】図9は実施例3に係る可変配線素子の制御情報レジスタ5Bのブロック図であり、12はレジスタアレイである。制御用端子2及び識別用端子7から入力された信号は制御用デコーダ20Aによりアドレス信号、データ信号及びリード/ライト等の制御信号に分離される。リード/ライト等の制御信号はコントロール回路21により制御情報として出力される。例えば、制御情報がライト命令のときには、アドレス信号からアドレスが生成されレジスタアレイ12にアクセスし、データ信号からデータが生成されレジスタアレイ12に記憶される。
【0029】図10は実施例3に係る可変配線素子のスイッチング・マトリックス4の結節部の詳細図であり、制御情報レジスタ5Bのレジスタとスイッチング・マトリックス4の各スイッチの関係を示している。図において、12Aはスイッチ15を制御するレジスタ、12Bはスイッチ16を制御するレジスタ、12Cはスイッチ17を制御するレジスタである。したがって、各スイッチ15、16及び17はそれぞれレジスタ12A、12B及び12Cに記憶されたデータによりオン・オフ制御されている。
【0030】図11は実施例3に係る可変配線素子のインターフェース部の詳細図であり、入出力バッファとレジスタの関係を示している。図において、8は入力方向のバッファ、9は出力方向のバッファ、12Dはデータの入出力の方向を制御するレジスタである。したがって、各バッファ8及び9はそれぞれレジスタ12Dに記憶されたデータにより制御され、データの入出力の方向が制御されている。
【0031】以上のように図8〜図11から構成された可変配線素子において、制御情報レジスタ5Bの識別用端子7によりその素子が識別され、制御用端子2を介して制御データが入力されると、上述のように図9の制御デコーダ20A等の動作により該当するレジスタにデータが書き込まれる。そして、各レジスタは図10及び図1111に示されるようにスイッチング・マトリックス4のスイッチ15、16及び17のオン・オフを制御し、また、インターフェース部3のバッファ8及び9を制御することにより、図8に示されるスイッチング・マトリックス4の回路網そのものを適宜変更したり、インターフェース部3のデータの方向を制御したりすることができる。
【0032】実施例4.図12は本発明の他の実施例に係る可変配線素子の概要図であり、図6の制御情報メモリ5Aに代えて制御情報レジスタ5Bを設けている。図1313はその制御情報レジスタ5Bのブロック図である。この実施例においては、インターフェース部3の入出力の方向及びスイッチング・マトリックス4の各スイッチが制御情報レジスタ5Bのレジスタアレイ12内の1つのレジスタの出力により制御される。
【0033】スイッチング・マトリックス4の各スイッチとインターフェース部3の入出力バッファとレジスタの関係は実施例3と同様である。選択用端子11に入力される選択信号は実施例2と同様であり、選択された可変配線素子はアドレスデコードを有効とし、素子内のレジスタアレイ12に図9の例と同様にしてアクセスする。
【0034】実施例5.図14は本発明の一実施例に係るバックボードの概念図であり、可変配線素子がマトリックス状に配置され、各可変配線素子のインターフェース部がそれぞれ相互に接続されている。13i、13j、13k及び13mはそれぞれ可変配線素子であり、上述の実施例のいずれかが配置されている。14は外部の制御部から可変配線素子13i、13j、13k及び13mを制御する制御線であり実施例1〜4の制御用端子等と接続されている。PKGi、PKGj、PKGk及びPKGmは各パッケージi、j、k及びm(図示せず)へ接続される接続線である。
【0035】マルチCPU構成の装置において、あるCPUが他のパッケージのCPUにメッセージを送りたい場合、通信用パスの生成要求メッセージを複数の可変配線素子を制御する制御部に送信すると、制御部は要求を受けた時点の各可変配線素子の既設の配線状態を確認し、使用中の確認あるいは配線が可能かどうかを判定する。制御部は配線可能ならば各可変配線素子を制御して配線し、配線後配線生成要求を出したCPUに対して配線が完了したことを通知し、配線不可能ならばビジー状態であると通知する。配線完了通知を受信すると、CPU間の通信を行い、終了すると通信パスの削除要求メッセージを制御部に送信する。
【0036】また、ビジー通知を受信すると、ビジー解除の通知待ちあるいはリトライの処理を行う。制御部は通信パスの削除要求メッセージを受信すると、対応する配線を削除するために各可変配線素子を制御する。配線の削除が終わると、他の通信パスの生成要求がないか確認し、あればまた配線可能であるか判定して配線を行い、要求元のCPUに対して配線が完了したことを通知する。このようにして、CPU間通信パスの生成・削除を行うことができる。
【0037】図15は図14の実施例において、各可変配線素子の配線の一例を示した図である。図において、接続線PKGiは可変配線素子13i及び13jを介して接続線PKGjに接続されており、この場合にはパッケージi(図示せず)とパッケージj(図示せず)との間に通信パスが生成されている。接続線PKGkは可変配線素子13k、13m及び13jを介して可変配線素子13jの入出力線に接続されており、この場合には、パッケージkとこれらの可変配線素子13k、13m及び13jとで形成される通信パスが生成されている。
【0038】ところで、図14のバックボードの可変配線素子に対して、各パッケージの試験用端子を接続することもできる。この場合には、相互に接続した可変配線素子を経由して試験用ケーブルを収容する端子に接続する。試験用ケーブルは可変配線素子を制御する信号線も収容しており、外部の試験機から配線の変更を制御することができるようにする。外部の試験機は試験手順にしたがって、試験用端子の配線の変更を行い、異常状態を発生させることにより装置の動作を試験することができる。
【0039】
【発明の効果】第1発明に係る可変配線バックボードは、各インターフェース部の入出力方向が記憶手段に記憶された制御信号により制御される。また、インーフェース部と接続された入出力線はスイッチング・マトリックスにおいてマトリックス状に配置され、その交差部は上述のように第1〜第3のスイッチを介して相互に接続されており、この第1〜第3のスイッチのオン・オフは記憶手段に記憶された制御信号により制御される。したがって、記憶手段に記憶された制御信号により各インターフェース部の入出力方向及びスイッチング・マトリックスの交差部の各スイッチのオン・オフを適宜制御することにより、外部からの読み出し無しに入出力線の接続を可変することができる。このことは、回路の高集積化を計る上で有効となる。また、その可変配線素子群の各可変配線素子を、制御部により、複数のCPUからの要求に基づいて、可変配線素子群の各可変配線素子に、インターフェース部の入出力の方向を制御する制御信号及びスイッチング・マトリックスの各スイッチのオン・オフ信号を入力させ制御することにより、バックボード上の配線を必要に応じて変更することができ、必要に応じてCPU間の通信パスをはることができる。
【0040】第2の発明に係る可変配線バックボードは、制御部の通信パス生成手段により、複数のCPUから送信される通信用パスの生成要求メッセージを受信し、その通信用パスの生成要求メッセージに基づいて、生成要求メッセージを受信した時点の各可変配線素子の既設の配線状態を確認し、使用中の確認あるいは配線が可能かどうかを判定し、CPU間の配線が可能ならば各可変配線素子を制御して配線し、配線後配線生成要求を出したCPUに対して配線が完了したことを通知し、制御部の通信パス削除手段により、CPU間の通信が終了した際にそのCPUから送信される通信パスの削除要求メッセージを受信し、その通信パスの削除要求メッセージに基づいて、各可変配線素子を制御してCPU間の配線を削除するようにしたので、CPUからの要求メッセージにより、バックボード上の配線を必要に応じて変更することができ、必要に応じてCPU間の通信パスをはることができる。
【0041】また、CPU間通信の生成要求がポアソン分布状に発生することが予想されることより、交換機における呼発生の場合と同じように、アーラン多項式が適用でき、すべてのパッケージ間に配線するよりもかなり少ない配線量で所用の性能を達成でき、この様な方式のCPU間通信は、画像データのように情報の転送量が非常に多くて競合制御を伴うような方式では待ち時間が大きすぎる場合、あるいは伝送装置のように通信パスを張ると長時間にわたってそのまま張り続ける場合などに有効となる。
【0042】また、試験用端子を各パッケージからバックボードに引き出して、試験用端子から異常状態を発生させる制御をする場合には、各パッケージの試験用端子を可変配線素子に接続し、相互に接続した可変配線素子を経由して試験用ケーブルを収容する端子に接続することにより、可変配線素子により試験用端子の配線の変更を行い、少ない試験用端子で異常状態を発生させて装置の動作を試験することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の可変配線素子の概要図である。
【図2】図1のスイッチング・マトリックスの交差部の説明図である。
【図3】図1の制御情報メモリの構成を示すブロック図である。
【図4】図1のスイッチング・マトリックスの結節部の詳細図である。
【図5】図1のインターフェース部の詳細図である。
【図6】実施例2の可変配線素子の概要図である。
【図7】図6の制御情報メモリの構成を示すブロック図である。
【図8】実施例3に係る可変配線素子の概要図である。
【図9】図8の制御情報レジスタの構成を示すブロック図である。
【図10】図8のスイッチング・マトリックスの結節部の詳細図である。
【図11】図8のインターフェース部の詳細図である。
【図12】実施例4の可変配線素子の概要図である。
【図13】図12の制御情報レジスタの構成を示すブロック図である。
【図14】実施例5のバックボードの概念図である。
【図15】実施例5にの各可変配線素子の配線を示した図である。
【符号の説明】
3 インターフェース部
4 スイッチング・マトリックス
5A 制御情報メモリ
5B 制御情報レジスタ
6 接続線
8 入力方向のバッファ
9 出力方向のバッファ
10A、10B、10C、10D メモリセル
12A、12B、12C、12D レジスタ
13i、13j、13k、13m 可変配線素子
15、16、17 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 内側と外側の端子を有し、外側端子が低インピーダンス駆動能力を持ち、入出力の方向が制御される複数のインターフェース部と、それぞれのインターフェース部の内側の端子と接続された入出力線が行と列のマトリックス状に交差して配置され、その交差部において入出力線は遮断され、接続線により行の入出力線と列の入出力線の端点が相互に結節され、その各結節部において、同一の入出力線の端点に接続された1対の接続線が第1のスイッチを介して相互に接続され、更に、該第1のスイッチが接続された接続線の両端点と入出力線の端点との間に第2及び第3のスイッチがそれぞれ挿入されたスイッチング・マトリックスと、前記インターフェース部の入出力の方向を制御する制御信号及び前記スイッチング・マトリックスの各スイッチのオン・オフ信号がそれぞれ入力されて記憶され、その記憶情報を前記インターフェース部及び前記スイッチに制御信号として出力する記憶手段とからなる可変配線素子がマトリックス状に配置され、各可変配線素子のインターフェース部の外側の端子がそれぞれ相互に接続された可変配線素子群と、複数のCPUと、前記複数のCPUからの要求に基づいて、前記可変配線素子群の各可変配線素子に、前記インターフェース部の入出力の方向を制御する制御信号及び前記スイッチング・マトリックスの各スイッチのオン・オフ信号を入力させ、前記複数の可変配線素子を制御する制御部とを備えたとを特徴とする可変配線バックボード。
【請求項2】 前記制御部は、前記複数のCPUから送信される通信用パスの生成要求メッセージを受信し、その通信用パスの生成要求メッセージに基づいて、生成要求メッセージを受信した時点の前記各可変配線素子の既設の配線状態を確認し、使用中の確認あるいは配線が可能かどうかを判定し、CPU間の配線が可能ならば各可変配線素子を制御して配線し、配線後配線生成要求を出したCPUに対して配線が完了したことを通知する通信パス生成手段と、CPU間の通信が終了した際にそのCPUから送信される通信パスの削除要求メッセージを受信し、その通信パスの削除要求メッセージに基づいて、前記各可変配線素子を制御してCPU間の配線を削除する通信パス削除手段とを備えることを特徴とする請求項1記載の可変配線バックボード。

【図4】
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【図5】
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【図10】
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【図11】
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【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図3】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【特許番号】特許第3060269号(P3060269)
【登録日】平成12年4月28日(2000.4.28)
【発行日】平成12年7月10日(2000.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−31790
【出願日】平成5年2月22日(1993.2.22)
【公開番号】特開平6−250766
【公開日】平成6年9月9日(1994.9.9)
【審査請求日】平成9年2月6日(1997.2.6)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【参考文献】
【文献】特開 昭61−198919(JP,A)
【文献】特開 平1−321726(JP,A)
【文献】特開 平1−216623(JP,A)
【文献】特開 昭59−161839(JP,A)
【文献】特開 平2−62654(JP,A)