説明

可搬式排煙装置及びこれを用いた排煙方法

【課題】軽量小型で運び易く、かつ、火災区画内への送風効率が高い可搬式排煙装置を提供する。
【解決手段】可搬式排煙装置1は、圧縮空気を噴射する複数の噴射ノズル5aで構成される噴射ノズル群5と、噴射ノズル群5が配置されたノズル配置部材6とを主体として構成される。ノズル配置部材6は、各噴射ノズル5aに圧縮空気を供給できるように管材で形成され、各横管部6bにそれぞれ複数の噴射ノズル5aが所定間隔で配置される。噴射ノズル群5の外縁側に位置する複数の噴射ノズル5aの各中心を結ぶ輪郭線Aは、開口部2aの形状に適合する矩形状をなす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物等の火災区画で発生する煙や熱気を火災区画外に強制的に排出する可搬式排煙装置及びこれを用いた排煙方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物火災、特に耐火建物火災において、火災区画の消火活動や人命救助活動等を妨げる最大の要因は、火災区画内の濃煙と熱気である。火災区画内の濃煙と熱気は、消防(救命)隊員の火災区画内への侵入を妨げ、火点や要救助者の捜索を困難にすることに加え、隊員自身の安全にとっても脅威となる。
【0003】
建物の中には、建築基準法で排煙設備を設置することが義務付けられているものもあり(建築基準法で定められている基準を満たす劇場、映画館、病院、学校、ホテル、百貨店等の特殊建築物)、そのような建物に固定的に設置される排煙設備については、多くの特許出願がなされている(例えば、特許文献1、2)。
【0004】
一方、排煙設備が設置されていない居住用ビルやオフィスビル等の建物の区画内で火災が発生した場合、消防(救命)隊員が可搬式の排煙装置を火災区画の近くまで運び、排煙装置を作動させて、火災区画の入口等の開口部から火災区画内に空気を強制送風し、火災区画の窓等の排気口から煙及び熱気とともに火災区画外に排出するという排煙方法が採られている。
【0005】
上記のような排煙方法に用いられる可搬式排煙装置としては、一般に可搬式のブロアー装置が用いられている。消防(救命)隊員が、可搬式のブロアー装置を火災区画の近くまで運んで消火・救助活動を行っている。また、送風・排煙用ファン(ブロアー装置)及びこれに接続された専用ダクトを多用途作業車に搭載したものもある(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−19237号公報
【特許文献2】特表2002−536093号公報
【特許文献3】特開2003−81000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
消火・救助活動で用いられている可搬式ブロアー装置は、一般に体積が大きく、重量も数十kgになるため、隊員一人で運ぶことはできない。また、火災時はエレベータが使用できないため、排煙装置を中高層の階の火災区画まで運ぶことは、隊員にとって大きな負担になる。
【0008】
また、ブロアー装置は送風羽根の回転により送風気流を発生させるものであり、発生する送風気流の断面形状は送風羽の回転軌跡と同じ円形になる。一方、居住室や事務室等の火災区画の入口(開口部)は、大抵、縦横比2:1の矩形状であり、図7に示すように、ブロアー装置51からの送風気流を全量、入口2aから火災区画2内に供給しようとすると、入口2aにおける送風領域52は入口2aの一部しか覆うことができない。そのため、ブロアー装置51からの強制送風により、本来は火災区画2の窓等の排気口2bから排出されるべき煙及び熱気が、送風領域52によって覆われていない入口2aの部分を通って逆流するおそれが生じる。逆に、図8に示すように、ブロアー装置51を入口2aから遠ざけて、入口2aにおける送風領域52が入口2aの全部を覆うように送風すると、入口2aから外れた送風領域の部分が火災区画2内に入らず、図9に示すように、送風効率が約50%低下する。また、ブロアー装置51を入口2aから遠ざけて配置するので、火災区画2内に所定の風圧で強制送風するために、より強力なブロアー装置を使用する必要が生じると共に、入口2aの前方スペースが狭い場合(狭い廊下をもつ中高層建築等)、ブロアー装置51の配置自体が困難になる。
【0009】
下記の表1は、市販の可搬式ブロアー装置の性能を示している。
【表1】

【0010】
上記の問題点に鑑み、本発明は、軽量小型で運び易く、かつ、火災区画内への送風効率が高い可搬式排煙装置を提供することを課題とする。
【0011】
本発明の他の課題は、既存の消防車に搭載されている装備を共用でき、装備管理の手間が省けると共に、火災発生現場で迅速な消火活動や人命救助活動等を行うことができる排煙方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は、火災区画の開口部から火災区画内に空気を強制送風し、火災区画の排気口から煙及び熱気とともに排出させる可搬式の排煙装置において、圧縮空気を噴射する複数の噴射ノズルで構成される噴射ノズル群と、噴射ノズル群が配置されたノズル配置部材とを備え、噴射ノズル群は、噴射ノズル群から噴射される圧縮空気により形成される送風気流の断面形状が、上記開口部の形状に適合するようにノズル配置部材に配置されていることを特徴とする可搬式排煙装置を提供する。このような構成を備えたことにより、本願発明の可搬式排煙装置は、軽量小型で火災区画内への送風効率が高いものとなる。
【0013】
上記構成において、噴射ノズル群の外縁側に位置する複数の噴射ノズルを結ぶ輪郭線が、開口部の形状に適合する形状を有するものとすることができる。
【0014】
上記構成において、送風気流の送風範囲を示す指示器をノズル配置部材に配置しても良い。指示器を用いて、送風気流の送風範囲が火災区画の開口部の形状に適合するように可搬式排煙装置の載置位置を調整することで、可搬式排煙装置を適切な位置に容易に載置することができる。これにより、消防(救命)隊員の作業負担が軽減され、また、火災発生現場で迅速な消火活動や人命救助活動等を行うことができる。
【0015】
上記構成において、噴射ノズル群を構成する少なくとも1つの噴射ノズルの単位時間当たりの噴射空気量を他の前記噴射ノズルと異ならせても良い。送風気流の風圧が断面内で均一になるように噴射ノズルの噴射空気量を異ならせて噴射ノズル群を構成することにより、火災区画から煙や熱気が逆流するのを防止することができる。
【0016】
上記構成において、噴射ノズル群を構成する少なくとも1つの噴射ノズルを、圧縮空気の噴射方向が調整可能なものとしても良い。噴射ノズルの圧縮空気の噴射方向を調整することにより、送風気流の断面形状を開口部の形状により一層適合させることができ、また、送風気流の風圧が断面内で均一になるようにすることができる。
【0017】
また、本発明は、上記課題を解決するため、上記の可搬式排煙装置を消防車に搭載された圧縮空気源に接続し、可搬式排煙装置を火災区画の開口部の附近に載置し、消防車に搭載された圧縮空気源からの圧縮空気を噴射ノズル群から噴射させて、火災区画内に空気を強制送風することを特徴とする排煙方法を提供する。
【0018】
上記構成において、消防車が、消火薬剤を加えた水に圧縮空気源から圧縮空気を送り込んで発泡させる圧縮空気泡消火装置を搭載した消防車であることが好ましい。この種の圧縮空気泡消火装置は「CAFS」(Compressed Air Foam System)とも呼ばれているもので、水に少量の消火薬剤を加え、そこへ圧縮空気を送り込むことにより発泡させる装置であり、水の表面積を広げることで効率よく消火することができる。CAFSを搭載した消防車として、例えば、株式会社モリタが製造販売している「Miracle CAFS Car」がある。このCAFS消防車に搭載されているCAFSのエアーコンプレッサ(圧縮空気源)、さらには消防ホース(CAFSの消防ホースは直径40mm程度のものである。)を用いて、可搬式排煙装置に圧縮空気を供給することで、排煙と消火の装備を共用でき、装備管理の手間が省けると共に、火災発生現場で迅速な消火活動や人命救助活動等を行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、軽量小型で運び易く、かつ、火災区画内への送風効率が高い可搬式排煙装置を提供することができる。
【0020】
また、本発明によれば、既存の消防車に搭載されている装備を共用でき、装備管理の手間が省けると共に、火災発生現場で迅速な消火活動や人命救助活動等を行うことができる排煙方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態に係る可搬式排煙装置を用いて建物の火災区画の排煙を行うシステムの全体構成を概念的に示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る可搬式排煙装置を示す図である。
【図3】第2の実施形態に係る可搬式排煙装置を示す図である。
【図4】第3の実施形態に係る可搬式排煙装置を示す図である。
【図5】1つのラバルノズルを用いて圧縮空気の圧力と流量及び推力を測定した測定方法の概略を示す図である。
【図6】図5に示す測定方法で測定した圧縮空気の圧力と流量及び推力を示す図である。
【図7】従来の可搬式ブロアー装置を用いた排煙方法を示す図である。
【図8】従来の可搬式ブロアー装置を用いた排煙方法を示す図である。
【図9】送付形状と入口の形状との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は、第1の実施形態に係る可搬式排煙装置1を用いて建物の火災区画2の排煙を行うシステムの全体構成を概念的に示している。火災区画2の開口部2aの手前附近の適切な位置に可搬式排煙装置1を載置し、CAFS消防車3に搭載されているCAFSのエアーコンプレッサ(図示省略)と消防ホース4を可搬式排煙装置1に接続して、火災区画2の開口部2aから火災区画2内に空気を強制送風し、火災区画2の排気口2bから煙及び熱気とともに排出させる。開口部2aは、通常、居住室や事務室等の建物区画の出入口であり、所定の縦横比(大抵は縦横比2:1)の矩形状をなしている。排気口2bは、建物区画の窓を用いることが多いが、その他の部位の開口部分を排気口2bとして用いても良い。あるいは、建物区画の壁の一部分を破壊して、排気口2bとする場合もある。
【0024】
図2は、第1の実施形態に係る可搬式排煙装置1を示している。この実施形態の可搬式排煙装置1は、圧縮空気を噴射する複数(多数)の噴射ノズル5aで構成される噴射ノズル群5と、噴射ノズル群5が配置されたノズル配置部材6とを主体として構成される。噴射ノズル5aとしては、円形又はスリット形状のオリフィスを有するノズルや、超音速気流を発生することができるラバルノズル等を用いることができる。また、噴射ノズル5aは、水等の消化剤のミストが混在した圧縮空気を噴出して、冷却効果を持たせたものであっても良い。この実施形態において、ノズル配置部材6は、各噴射ノズル5aに圧縮空気を供給できるように管材で形成され、圧縮空気を上下方向に流通させる縦管部6aと、圧縮空気を左右方向に流通させる複数本(同図では5本)の横管部6bとを備えている。複数本の横管部6bは上下方向に所定間隔で配置され、左右方向の中央部で縦管部6aと連通接続される。また、各横管部6bにそれぞれ複数(同図では4つ)の噴射ノズル5aが所定間隔で配置される。噴射ノズル群5の外縁側に位置する複数の噴射ノズル5aの各中心を結ぶ輪郭線Aは、開口部2aの形状(及び寸法)に適合する矩形状をなす。尚、各噴射ノズル5aは、別体のノズル部材をノズル配置部材6に接続したものであっても良いし、ノズル部をノズル配置部材6に直接形成したものであっても良い。
【0025】
さらに、この実施形態では、送風範囲を示す指示器となる複数のレーザーポインタ7(同図では4つ)をノズル配置部材6に取り付けている。同図に示す例では、最上部と最下部の横管部6bの両端部にそれぞれレーザーポインタ7を設置している。また、ノズル配置部材6は、最下部の縦管部6aで基台8に接続されており、基台8を床面に載置することにより、自立できるようになっている。
【0026】
ノズル配置部材6には、接続管9を介して開閉バルブ10、圧力計11、エアーフィルタ12、エアーホース13、接続継手14といった管路部材が接続される。接続継手14には、CAFSの消防ホース4の先端部を接続することができる。
【0027】
上記の可搬式排煙装置1を用いた排煙活動は、例えば次のようにして行われる。まず、火災が発生した建物の周辺に停車させたCAFS消防車3から、消防(救命)隊員が可搬式排煙装置1を降ろし、運搬して、火災区画2の開口部2aの手前附近の適宜の位置に載置する。そして、レーザーポインタ7を作動させ、レーザーポインタ7から出射されるレーザー光線のポイント(この実施形態では4点)が開口部2aの外縁位置に合うように可搬式排煙装置1の位置を調整する。その後、接続継手14にCAFSの消防ホース4の先端部を接続し(消防ホース4は予め接続継手14に接続しておいても良い。)、CAFSのエアーコンプレッサを作動させて圧縮空気を供給する。
【0028】
CAFSのエアーコンプレッサから供給される圧縮空気は消防ホース4及び上記の管路部材を介してノズル配置部材6に流入し、ノズル配置部材6の内部を流通して各噴射ノズル5aから噴射する。各噴射ノズル5aから圧縮空気が火災区画2の開口部2aに向かって噴射することで、エントレイメント(空気の巻き込み現象)により大流量の送風気流が開口部2aから火災区画2内に強制送風される。しかも、ノズル配置部材6に配置された噴射ノズル群5の輪郭線Aは、開口部2aの形状に適合する矩形状を有しているので、開口部2aにおける送風気流の断面形状(矩形形状)が開口部2aの形状(矩形形状)に適合するものとなり、送風効率が高い。尚、ノズル配置部材6を、上下方向及び/又は左右方向に伸縮可能に構成することにより、様々な形状及び寸法の開口部2aに対応することができる。
【0029】
上記の可搬式排煙装置1において、噴射ノズル群5の噴射ノズル5aは、開口部2aにおける送風気流の風圧が断面内で均一になるように、単位時間当たりの噴射空気量が異なるものを組み合わせて用いることができる。例えば、噴射ノズル群5の外縁側の噴射ノズル5aは噴射空気量が相対的に大きいものを用い、噴射ノズル群5の中央側の噴射ノズル5aは噴射空気量が相対的小さいものを用いて、送風気流の風圧が断面内で均一になるように構成することができる。開口部2aにおける送風気流の風圧が不均一であると、風圧の小さい領域から煙や熱気が逆流する可能性があるが、噴射ノズル群5を上記ように構成することで、逆流の発生を防止することができる。
【0030】
また、上記の可搬式排煙装置1において、噴射ノズル群5の噴射ノズル5aは、圧縮空気の噴射方向を調整可能(可変)なものにすることができる。噴射ノズル5aの圧縮空気の噴射方向を調整することにより、送風気流の断面形状を開口部2aの形状により一層適合させることができ、また、送風気流の風圧が断面内で均一になるようにすることができる。噴射ノズル5aの圧縮空気の噴射方向を調整可能にする手段としては、噴射ノズル5aを構成するノズル部材をスイベルジョイントやボールジョイント等でノズル配置部材6に接続することが考えられる。
【0031】
図3は、第2の実施形態に係る可搬式排煙装置21を示している。この実施形態の可搬式排煙装置21において、ノズル配置部材6は、圧縮空気を上下方向に流通させる複数本(同図では3本)の縦管部6cと、圧縮空気を左右方向に流通させる横管部6dとを備えている。複数本の縦管部6cは左右方向に所定間隔で配置され、両端部で横管部6dと連通接続される。噴射ノズル群5の噴射ノズル5aは、各縦管部6cにそれぞれ所定間隔で配置される。噴射ノズル群5の外縁側に位置する複数の噴射ノズル5aの各中心を結ぶ輪郭線Bは、開口部2aの形状(及び寸法)に適合する矩形状をなす。また、送風範囲を示す指示器となるレーザーポインタ7は、上部と下部の横管部6dの両端部にそれぞれ設置されている。さらに、基台8にはキャスター8aが取り付けられている。その他の事項は第2の実施形態に準じるので、重複する説明を省略する。
【0032】
図4は、第3の実施形態に係る可搬式排煙装置31を示している。この実施形態の可搬式排煙装置31において、ノズル配置部材6は、矩形枠状の矩形管部6eを備えている。噴射ノズル群5の噴射ノズル5aは、矩形管部6eに沿って所定間隔で配置される。噴射ノズル群5の複数の噴射ノズル5aの各中心を結ぶ輪郭線Cは、開口部2aの形状(及び寸法)に適合する矩形状(略矩形状)をなす。また、送風範囲を示す指示器となるレーザーポインタ7は、矩形管部6eの上部両側と下部両側にそれぞれ設置されている。その他の事項は第1及び第2の実施形態に準じるので、重複する説明を省略する。
【0033】
図6は、1つのラバルノズルを用いて測定した圧縮空気の圧力と流量及び推力を示している。測定は、図5に概要を示す測定方法により行った。天秤41の上に風受けの円板42を置き、円板42から1m上方に離れた位置(実際の排煙装置と区画入口との想定距離)にラバルノズル43を設置し、噴射方向を変えながら円板42に向かって圧縮空気を噴射させ,天秤41の受ける圧力を記録装置44で記録した。ラバルノズル43には、エアーコンプレッサ45から流量計46を介して圧縮空気を供給した。
【0034】
図6に示すように、上記の測定結果によると、円板42の受ける圧力は空気圧力の増大に伴って大きくなる。0.65MPaの圧力において,圧縮空気の消費流量は147L/minで、発生する推力は186gである。このことから、0.65MPaの圧力において、単位流量(L/min)あたり、1.26gの推力が得られることが分かる。現行のCAFS消防車に搭載されるコンプレッサの流量は3000L/minであるため、3780gの推力が得られる。それを幅0.9m、高さ1.8mの住宅玄関の面積にかけると、約23Paの風圧となる。ベルヌーイの法則に従って風速に変換すると、約6m/sの風速に相当する。それを風量に直すと,約580m3/minとなる。この結果から、圧縮空気を噴射する複数の噴射ノズルで構成される噴射ノズル群を用いて,火災区画の入口に適合する送風形状で送風すれば,現行のCAFS車に搭載されているコンプレッサを利用する可搬式排煙装置は,既存の可搬式排煙装置より大きい換気流量が得られることが分かる。
【符号の説明】
【0035】
1、21、31 可搬式排煙装置
2 火災区画
2a 開口部
2b 排気口
3 CAFS消防車
4 消防ホース
5 噴射ノズル群
5a 噴射ノズル
6 ノズル配置部材
7 レーザーポインタ(指示器)
A、B、C ノズル群の輪郭線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災区画の開口部から該火災区画内に空気を強制送風し、該火災区画の排気口から煙及び熱気とともに排出させる可搬式の排煙装置において、
圧縮空気を噴射する複数の噴射ノズルで構成される噴射ノズル群と、該噴射ノズル群が配置されたノズル配置部材とを備え、
前記噴射ノズル群は、該噴射ノズル群から噴射される圧縮空気により形成される送風気流の断面形状が、前記開口部の形状に適合するように前記ノズル配置部材に配置されていることを特徴とする可搬式排煙装置。
【請求項2】
前記噴射ノズル群の外縁側に位置する複数の前記噴射ノズルを結ぶ輪郭線が、前記開口部の形状に適合する形状を有することを特徴とする請求項1に記載の可搬式排煙装置。
【請求項3】
前記送風気流の送風範囲を示す指示器が、前記ノズル配置部材に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の可搬式排煙装置。
【請求項4】
前記噴射ノズル群を構成する少なくとも1つの前記噴射ノズルは、単位時間当たりの噴射空気量が他の前記噴射ノズルと異なることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の可搬式排煙装置。
【請求項5】
前記噴射ノズル群を構成する少なくとも1つの前記噴射ノズルは、圧縮空気の噴射方向が調整可能であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の可搬式排煙装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れかに記載の前記可搬式排煙装置を消防車に搭載された圧縮空気源に接続し、前記可搬式排煙装置を前記火災区画の開口部の附近に載置し、前記消防車に搭載された圧縮空気源からの圧縮空気を前記噴射ノズル群から噴射させて、前記火災区画内に空気を強制送風することを特徴とする排煙方法。
【請求項7】
前記消防車が、消火薬剤を加えた水に圧縮空気源から圧縮空気を送り込んで発泡させる圧縮空気泡消火装置を搭載した消防車であることを特徴とする請求項6に記載の排煙方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−200531(P2012−200531A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70308(P2011−70308)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000192073)株式会社モリタホールディングス (80)
【Fターム(参考)】