説明

可逆性感熱記録材料

【目的】 良好なコントラストで画像の形成・消去が可能で、日常生活の環境下で経時的に安定な画像を保持可能な可逆性感熱記録材料を提供することである。
【構成】 通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体と、加熱後の冷却速度の違いにより該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる電子受容性化合物とを含有する可逆性感熱記録材料。炭素数6以上の脂肪族炭化水素基を少なくとも一つ有するフェノール性化合物を電子受容性化合物として用いることにより、良好なコントラストで画像の形成・消去が可能で、日常生活の環境下で経時的に安定な画像を保持可能な可逆性感熱記録材料を得ることができた。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱エネルギーを制御することにより画像の形成及び消去が可能な可逆性感熱記録材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】感熱記録材料は一般に支持体上に電子供与性の通常無色ないし淡色の染料前駆体と電子受容性の顕色剤とを主成分とする感熱記録層を設けたものであり、熱ヘッド、熱ペン、レーザー光等で加熱することにより、染料前駆体と顕色剤とが瞬時反応し記録画像が得られるもので、特公昭43−4160号、特公昭45−14039号公報等に開示されている。
【0003】一般にこのような感熱記録材料は、一度画像を形成するとその部分を消去して再び画像形成前の状態に戻すことは不可能であるため、さらに情報を記録する場合には画像が未形成の部分に追記するしかなかった。このため感熱記録部分の面積が限られている場合には、記録可能な情報が制限され必要な情報を全て記録できないという問題が生じていた。
【0004】近年、この様な問題に対処するため画像形成・画像消去が繰り返して可能な可逆性感熱記録材料が考案されており、例えば、特開昭54−119377号公報、特開昭63−39377号公報、特開昭63−41186号公報では、樹脂母材とこの樹脂母材中に分散された有機低分子から構成された感熱記録材料が記載されている。しかしこの方法は、熱エネルギーによって感熱記録材料の透明度を可逆的変化させる物であるため、画像形成部と画像未形成部のコントラストが不十分である。
【0005】また、特開昭50−81157号公報、特開昭50−105555号公報に記載された方法においては、形成する画像は環境温度に従って変化するものであるため、画像形成状態と消去状態を保持する温度が異なっており、常温下ではこの2つの状態を任意の期間保持することが出来ない。
【0006】さらに、特開昭59−120492号公報には、呈色成分のヒステリシス特性を利用し、記録材料をヒステリシス温度域に保つことにより画像形成状態・消去状態を維持する方法が記載されているが、この方法では画像形成及び消去に加熱源と冷却源が必要な上、画像の形成状態及び消去状態を保持できる温度領域がヒステリシス温度領域内に限られる欠点を有しており、日常生活の温度環境で使用するには未だ不十分である。
【0007】一方、特開平2−188293号公報、特開平2−188294号公報、国際公開番号WO90/11898号には、ロイコ染料と加熱によりロイコ染料を発色及び消色させる顕減色剤から構成される可逆性感熱記録媒体が記載されている。顕減色剤は、ロイコ染料を発色させる酸性基と、発色したロイコ染料を消色させる塩基性基を有する両性化合物で、熱エネルギーの制御により酸性基による発色作用または塩基性基による消色作用の一方を優先的に発生させ、発色と消色を行うものである。しかしこの方法では、熱エネルギーの制御のみで完全に発色反応と消色反応を切り換えることは不可能で、両反応がある割合で同時に起こるため、十分な発色濃度が得られず、また、消色が完全には行えない。そのために十分な画像のコントラストが得られない。また、塩基性基の消色作用は常温で発色部にも作用するため、経時的に発色部の濃度が低下する現象が避けられない。
【0008】このように、従来の技術では良好な画像コントラストを持ち、画像の形成・消去が可能で、日常生活の環境下で経時的に安定な画像を保持可能な可逆性感熱記録材料は存在しない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、良好なコントラストで画像の形成・消去が可能で、日常生活の環境下で経時的に安定な画像を保持可能な可逆性感熱記録材料を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究の結果、通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体と、加熱後の冷却速度の違いにより該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる電子受容性化合物とを含有し、且つ該電子受容性化合物が炭素数6以上の脂肪族炭化水素基を少なくとも一つ有するフェノール性化合物であることを特徴とする可逆性感熱記録材料を作成することにより、本課題を解決した。本発明の可逆性感熱記録材料おいて、発色を行うには加熱後の冷却速度が速ければ良く、消去を行うには加熱後の冷却速度が遅ければ良い。
【0011】本発明による電子受容性化合物としては、例えば一般式化1で表されるものなどがあるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0012】
【化1】


【0013】式化1中、nは1以上3以下の整数を、mは0または1の整数を表す。R1、R2は脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子から選ばれる置換基または水素原子を表し、互いに同一でも異なっていても良い。R3は脂肪族炭化水素基を表す。Yは式化2で表される基である。
【0014】また、化1で表される化合物の中、R3の炭素数の多い方が好ましく、R3の炭素数が5以下であるものは消色効果が十分ではない。また、R3の炭素数が23以上であるものは製造コストが高いため、R3は炭素数6以上22以下の脂肪族炭化水素基であるものが特に好ましい。
【0015】一般式化1で表される化合物は電子受容性化合物であり、ロイコ染料を発色させる能力を持つにも係わらず、特異的に消色効果すなわち可逆効果も持ち合わせていることを本発明者等は見出した。このことは全く予期しないことであり、通常の感熱記録材料に用いている電子受容性化合物、即ち、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル等ではこのような可逆効果は全く見られない。
【0016】
【化2】


【0017】式化2中、l1、l2は各々0または1の整数を表す。X1、X2は各々少なくとも1つのヘテロ原子を有する2価の基を表し、互いに同一でも異なっていても良い。Arは置換基を有してもよい芳香族基を示し、化3で表される芳香族基が特に好ましい。
【0018】
【化3】


【0019】式化3中、k1、k2は各々0または1の整数を表し、X3、X4は各々少なくとも1つのヘテロ原子を有する2価の基を示し、互いに同一でも異なっていても良い。k1が0のとき、R4は脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子から選ばれる置換基または水素原子を表し、k1が1のとき、R4は脂肪族炭化水素基を示す。また、k2が0のとき、R5は脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子から選ばれる置換基または水素原子を表し、k2が1のとき、R5は脂肪族炭化水素基を示す。
【0020】式化3中、R4、R5が脂肪族炭化水素基であるときには、R4、R5は各々炭素数6以上22以下の脂肪族炭化水素基であることが特に好ましい。
【0021】また、式化1および式化3中、R1〜R5が脂肪族炭化水素基であるときには、R1〜R5はアルキル基、シクロアルキル基またはアルケニル基であることが特に好ましい。
【0022】式化2〜3中、X1〜X4で表される少なくとも1つのヘテロ原子を有する2価の基としては、例えばアミド結合、スルホンアミド結合、エステル結合、炭酸エステル結合、エーテル結合、スルフィド結合、チオエステル結合、カルボニル基、アミノ結合、尿素結合、チオ尿素結合、ウレタン結合、アゾメチン結合などが挙げられ、特にアミド結合、スルホンアミド結合、スルフィド結合、尿素結合、アゾメチン結合から選ばれる2価の基が特に好ましいが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】また、一般式化1で表される電子受容性化合物のうち、一般式化4で表される化合物が特に好ましい。
【0024】
【化4】


【0025】式化4中、n、l1、l2、R1〜R3、Ar、X2は上記と同じである。X5はアミド結合、スルホンアミド結合、スルフィド結合、尿素結合、アゾメチン結合から選ばれる結合を示す。
【0026】また、式化4中、例えば化5、化6で表されるアミド化合物、化7で表されるスルホンアミド化合物、化8で表されるスルフィド化合物、化9で表される尿素化合物、化10、化11で表されるアゾメチン化合物等が特に好ましい。なお、式化5〜化11中、n、l1、l2、R1〜R3、Ar、X2は上記と同じである。
【0027】
【化5】


【0028】式化5中、R6は脂肪族炭化水素基または水素原子を表す。
【0029】
【化6】


【0030】式化6中、R7は脂肪族炭化水素基または水素原子を表す。
【0031】
【化7】


【0032】式化7中、R8は脂肪族炭化水素基または水素原子を表す。
【0033】
【化8】


【0034】
【化9】


【0035】
【化10】


【0036】式化10中、R9は脂肪族炭化水素基または水素原子を表す。
【0037】
【化11】


【0038】式化11中、R10は脂肪族炭化水素基または水素原子を表す。
【0039】次に、本発明による電子受容性化合物として好ましいものの具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0040】例えば、式化5で表される如きアミド化合物としては、4′−ヒドロキシヘプタンアニリド、4′−ヒドロキシ−3−メチルオクタンアニリド、4′−ヒドロキシトリデカンアニリド、4′−ヒドロキシヘプタデカンアニリド、4′−ヒドロキシノナデカンアニリド、3′−ヒドロキシノナデカンアニリド、4′−ヒドロキシ−10−オクタデセンアニリド、4′−ヒドロキシ−ドカサンアニリド、15−シクロヘキシル−4′−ヒドロキシペンタデカンアニリド、4′−ヒドロキシ−5−テトラデセンアニリド、4′−ヒドロキシ−3′−メチルノナンアニリド、3′−シクロヘキシル−4′−ヒドロキシヘプタデカンアニリド、3′−アリル−4′−ヒドロキシペンタデカンアニリド、4′−ヒドロキシ−3′−メトキシオクタデカンアニリド、3′−クロロ−4′−ヒドロキシオクタデカンアニリド、3′−ヒドロキシドデカンアニリド、2′,4′−ジヒドロキシヘプタデカンアニリド、
【0041】4′−ヒドロキシ−4−ヘキシルベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ドデシルベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−4−テトラデシルベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ペンタデシルアミノカルボニルベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ヘキシルカルボニルアミノベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−4−(ヘプチルチオ)ベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ドデシルスルホニルベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ノニルスルホニルオキシベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシスルホニルベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ペンタデシルアミノスルホニルベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−4−(N−ペンタデシリデンアミノ)ベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−4−(N−ヘプタデシリデンアミノ)ベンズアニリド、
【0042】4′−ヒドロキシ−3,4−ジオクチルオキシベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−3,4,5−トリオクタデシルオキシベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−3−オクチル−4−(オクチルチオ)ベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−3−(ヘプタデシルチオ)−5−ペンタデシルオキシベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−3−ヘプタデシルカルボニルアミノ−5−ドデシルベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−3−オクタデシルアミノカルボニル−5−テトラデシルアミノカルボニルベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−3−オクタデシルスルホニルアミノ−5−オクタデシルオキシベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−3−ヘプタデシルオキシスルホニル−5−テトラデシルオキシスルホニルベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−3,5−ビス(N−ドコシリデンアミノ)ベンズアニリド、
【0043】4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルカルボニルアミノベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−3−オクタデシルカルボニルアミノ−5−オクタデシルオキシベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−3′−メチル−4−ノニルベンズアニリド、3′−アリル−4′−ヒドロキシ−4−ペンタデシルベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−3′−メトキシ−4−オクタデシルベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−3′−メチル−4−ノニルオキシベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−3′−プロピル−4−ノナデシルカルボニルオキシベンズアニリド、3′−ブチル−4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシカルボニルベンズアニリド、3′−ヒドロキシ−4−ペンタデシルカルボニルオキシベンズアニリド、3′−ヒドロキシ−4−ノナデシルスルホニルベンズアニリド、3′,4′−ジヒドロキシ−4−ヘプタデシルスルホニルオキシベンズアニリド、3′,4′,5′−トリヒドロキシ−4−テトラコシルアミノスルホニルベンズアニリド、3′,5′−ジヒドロキシ−4−ペンタコシルアミノカルボニルベンズアニリド、3′−ヒドロキシ−4−(N−ドデシリデンアミノ)ベンズアニリド、N−〔4−(3−ヒドロキシフェニルアミノカルボニル)ベンジリデン〕ペンタデシルアミン等が挙げられる。
【0044】また、式化6で表される如きアミド化合物としては、N−シクロヘキシル−4−ヒドロキシベンズアミド、N−シクロヘキシルメチル−4−ヒドロキシベンズアミド、N−オクチル−4−ヒドロキシベンズアミド、N−ドデシル−4−ヒドロキシベンズアミド、N−オクタデシル−4−ヒドロキシベンズアミド、N−メチル−N−オクタデシル−4−ヒドロキシベンズアミド、N−オクタコシル−4−ヒドロキシベンズアミド、N−(3−メチルヘキシル)−4−ヒドロキシベンズアミド、N−(8−オクタデセニル)−4−ヒドロキシベンズアミド、
【0045】4−ヒドロキシ−4′−ドデシルベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−テトラデシルベンズアニリド、N−メチル−4−ヒドロキシ−4′−オクタデシルベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−オクチルオキシベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−オクタデシルオキシベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−(オクタデシルチオ)ベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−ペンチルカルボニルベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−ヘキサデシルカルボニルベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−ヘプタデシルオキシカルボニルオキシベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−ドデシルオキシカルボニルベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−ドコシルオキシカルボニルベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−ヘプタデシルカルボニルオキシベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−シクロヘキシルアミノベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−オクチルアミノベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−オクタデシルアミノベンズアニリド、
【0046】4−ヒドロキシ−4′−ヘプチルカルボニルアミノベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−ヘプタデシルカルボニルアミノベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−オクタデシルアミノカルボニルベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−(8−オクタデセニル)アミノカルボニルベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−ドデシルスルフォニルベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−オクチルオキシスルフォニルベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−オクタデシルオキシスルフォニルベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−ドデシルスルフォニルオキシベンズアニリド、N−4−ヒドロキシベンゾイル−N′−オクタデシリデン−1,4−フェニレンジアミン、N−4−(4−ヒドロキシフェニルカルボニルアミノ)ベンジリデンドデシルアミン、4−ヒドロキシ−4′−オクチルオキシカルボニルアミノベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−テトラデシルオキシカルボニルアミノベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−オクタデシルウレイレンベンズアニリド、
【0047】N−ドデシル−3−ヒドロキシベンズアミド、N−オクタデシル−3,4−ジヒドロキシベンズアミド、N−オクタデシル−2,3,4−トリヒドロキシベンズアミド、3−ヒドロキシ−4′−ドデシルオキシベンズアニリド、N−メチル−4−ヒドロキシ−3′−オクタデシルオキシベンズアニリド、3−ヒドロキシ−4′−オクチルベンズアニリド、3−ヒドロキシ−4′−テトラデシルベンズアニリド、N−メチル−3−ヒドロキシ−4′−オクタデシルベンズアニリド、N−ドデシル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンズアミド、3−メトキシ−4−ヒドロキシ−4′−オクタデシルオキシベンズアニリド、3−アリル−4−ヒドロキシ−4′−オクタデシルオキシベンズアニリド、3−クロロ−4−ヒドロキシ−4′−オクタデシルベンズアニリド、N−オクタデシル−4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンズアミド、N−オクタデシル−4−ヒドロキシ−3−エチルベンズアミド、4−ヒドロキシ−4′−オクチルオキシ−3′−メチルベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−オクタデシルオキシ−3′−クロロベンズアニリド、4−ヒドロキシ−3′,4′−ジデシルオキシベンズアニリド、4−ヒドロキシ−3′−オクタデシルアミノ−4′−オクタデシルオキシベンズアニリド、4−ヒドロキシ−2′−クロロ−3′,5′−ジデシルオキシベンズアニリド、4−ヒドロキシ−3′,4′−ジオクタデシルオキシベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−オクチル−3′−メチルベンズアニリド、3−ヒドロキシ−4−メチル−4′−テトラデシルベンズアニリド、N−メチル−4−ヒドロキシ−3′−オクタデシルベンズアニリドなどが挙げられる。
【0048】式化7で表される如きスルホンアミド化合物としては、4−(N−オクチルスルホニルアミノ)フェノール、4−(N−ドデシルスルホニルアミノ)フェノール、4−(N−オクタデシルスルホニルアミノ)フェノール、4−(N−メチル−N−オクタデシルスルホニルアミノ)フェノール、4−(N−3−メチルヘキシルスルホニルアミノ)フェノール、
【0049】4′−ヒドロキシ−4−シクロヘキシルベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−オクチルベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ドデシルベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−(ドデシルチオ)ベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ヘキシルカルボニルベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ヘキサデシルカルボニルベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−(8−ヘプタデセニル)カルボニルベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−オクチルオキシカルボニルオキシベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシカルボニルベンゼンスルホンアニリド、′−ヒドロキシ−4−オクタコシルオキシカルボニルベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ドデシルカルボニルオキシベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ヘキシルアミノベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルアミノベンゼンスルホンアニリド、
【0050】4′−ヒドロキシ−4−ヘプタデシルカルボニルアミノベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ドデシルアミノカルボニルベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ドデシルスルホニルベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−オクチルオキシスルホニルベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシスルホニルベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ドデシルスルホニルオキシベンゼンスルホンアニリド、N−オクチリデン−4−(4−ヒドロキシフェニル)アミノスルホニルアニリン、N−ドデシリデン−4−(4−ヒドロキシフェニル)アミノスルホニルアニリン、N−4−(4−ヒドロキシフェニルアミノスルホニル)ベンジリデンオクタデシルアミン、4′−ヒドロキシ−4−オクチルオキシカルボニルアミノベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシカルボニルアミノベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルウレイレンベンゼンスルホンアニリド、
【0051】3−(N−ドデシルスルホニルアミノ)フェノール、4−(N−オクタデシルスルホンアミノ)カテコール、4−(N−オクタデシルスルホンアミノ)レゾルシノール、4−(N−オクタデシルスルホニルアミノ)ピロガロール、4′−ヒドロキシ−3−オクチルオキシベンゼンスルホンアニリド、3′−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゼンスルホンアニリド、N−メチル−4′−ヒドロキシ−3−オクタデシルオキシベンゼンスルホンアニリド、3′−ヒドロキシ−4−ドデシルベンゼンスルホンアニリド、3−メチル−4−(N−ドデシルスルホンアミノ)フェノール、4−メチル−3−(N−テトラデシルスルホンアミノ)フェノール、3′−メトキシ−4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシベンゼンスルホンアニリド、3′−クロロ−4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−2,5−ジメチル−4−オクタデシルベンゼンスルホンアニリド、3−メチル−4−(N−オクタデシルスルホンアミノ)フェノール、4′−ヒドロキシ−3,4−ジオクタデシルオキシベンゼンスルホンアニリドなどが挙げられる。
【0052】式化8で表される如きスルフィド化合物としては、1−(4−ヒドロキシフェニルチオ)ヘキサン、1−(4−ヒドロキシフェニルチオ)ドデカン、1−(4−ヒドロキシフェニルチオ)オクタデカン、1−(3−ヒドロキシフェニルチオ)オクタデカン、1−(4−ヒドロキシフェニルチオ)ドコサン、1−(4−ヒドロキシフェニルチオ)テトラコサン、2−ヘプチル−1−(4−ヒドロキシフェニルチオ)オクタン、1−(4−ヒドロキシフェニルチオ)−9−オクタデセン、1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルチオ)オクタデカン、1−(3−アリル−4−ヒドロキシフェニルチオ)ヘキサデカン、1−[4−ヒドロキシ−3−(1,1−ジメチルエチル)フェニルチオ]テトラコサン、1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニルチオ)オクタデカン、1−(2−エトキシ−4−ヒドロキシフェニルチオ)オクタデカン、1−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニルチオ)オクタデカン、1−(2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニルチオ)オクタデカン、1−(2−ヒドロキシフェニルチオ)オクタン、1−(3−ヒドロキシフェニルチオ)オクタデカン、1−(3,4−ジヒドロキシフェニルチオ)オクタデカン、1−(3,4−ジヒドロキシフェニルチオ)イコサン、
【0053】4′−ヒドロキシ−4−ヘキシルジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−4−ドデシルジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−4−テトラデシルジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルカルボニルアミノジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−4−ドデシルスルホニルジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシスルホニルジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルスルホニルアミノジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−4−トリデシルカルボニルジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−4−(N−ヘプタデシリデンアミノ)ジフェニルスルフィド、
【0054】4′−ヒドロキシ−3,4−ジデシルオキシジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−3,4−ジオクタデシルオキシジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−3−オクチル−4−(オクチルチオ)ジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−3−オクタデシル−5−トリデシルスルホニルジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−3−(ヘプタデシルチオ)−5−ペンタデシルオキシジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−3−ヘプタデシルカルボニルアミノ−5−ドデシルジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−3−オクタデシルカルボニルアミノ−5−オクタデシルオキシジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−3−ヘプタデシルオキシスルホニル−5−テトラデシルオキシスルホニルジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−3,5−ビス(N−ドコシリデンアミノ)ジフェニルスルフィド、4−(15−シクロヘキシルペンタデシル)−4′−ヒドロキシジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−4−(5−テトラデセニル)ジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−4−(10−オクタデセニルオキシカルボニル)ジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−3′−メチル−4−ノニルジフェニルスルフィド、
【0055】3′−アリル−4′−ヒドロキシ−4−ペンタデシルジフェニルスルフィド、3′−クロロ−4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルジフェニルスルフィド、3′−クロロ−4′−ヒドロキシ−4−オクタデシル−5−ぺンタデシルオキシジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−3′−メチル−4−ノニルオキシジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−3′−(1−メチルエチル)−4−ペンタコシルスルホニルアミノジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−3′−(2−メチルプロピル)−4−ノナデシルオキシスルホニルジフェニルスルフィド、3′−ヒドロキシ−4−ドデシルジフェニルスルフィド、3′−ヒドロキシ−4−オクタデシルジフェニルスルフィド、2′,4′−ジヒドロキシ−4−ヘプタデシルジフェニルスルフィド、3′,4′−ジヒドロキシ−4−ヘプタデシルジフェニルスルフィド、3′−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシカルボニルジフェニルスルフィド、などが挙げられる。
【0056】式化9で表される如き尿素化合物としては、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−ヘキシル尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−オクチル尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−ドデシル尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−オクタデシル尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−ドコシル尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−(2−ヘプチルオクチル)尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−(14−シクロヘキシルテトラデシル)尿素、N−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−N′−オクタデシル尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−(9−オクタデセニル)尿素、N−(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)−N′−オクタデシル尿素、N−[3−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]−N′−オクタデシル尿素、N−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−N′−オクタデシル尿素、N−(2−ヒドロキシフェニル)−N′−オクチル尿素、N−(3−ヒドロキシフェニル)−N′−オクタデシル尿素、N−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−N′−オクタデシル尿素、N−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)−N′−トリコシル尿素
【0057】N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−(4−テトラデシルフェニル)尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−(4−ヘキシルフェニル)尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−(3,4−ジオクタデシルフェニル)尿素などが挙げられる。
【0058】式化10で表される如きアゾメチン化合物としては、N−(4−ヒドロキシベンジリデン)ドデシルアミン、N−(4−ヒドロキシベンジリデン)オクタデシルアミン、
【0059】N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4′−ヘキシルアニリン、N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4′−オクチルアニリン、N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4′−テトラデシルアニリン、N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4′−ドデシルオキシアニリン、N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4′−オクタデシルオキシアニリン、N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4′−(オクチルチオ)アニリン、N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4′−ヘキサデシルカルボニルアニリン、N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4′−オクチルオキシカルボニルアニリン、N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4′−オクタデシルオキシカルボニルアニリン、N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4′−ドデシルカルボニルオキシアニリン、N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4′−テトラデシルカルボニルオキシアニリン、N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4′−オクタデシルオキシカルボニルオキシアニリン、N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4′−シクロヘキシルアミノアニリン、N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4′−ドデシルアミノアニリン、
【0060】N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4′−ヘプタデシルカルボニルアミノアニリン、N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4′−ドデシルアミノカルボニルアニリン、N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4′−オクタデシルアミノカルボニルアニリン、N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4′−ドデシルスルフィニルアニリン、N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4′−ドデシルスルフォニルアニリン、N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4′−オクタデシルスルフォニルアニリン、N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4′−オクチルオキシスルフォニルアニリン、N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4′−オクタコシルオキシスルフォニルアニリン、N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4′−(3−メチルヘキシル)オキシスルフォニルアニリン、N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4′−ドデシルスルフォニルオキシアニリン、N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4′−(オクチルチオカルボニル)アニリン、N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4′−オクチルオキシカルボニルアミノアニリン、N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4′−オクタデシルオキシカルボニルアミノアニリン、N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4′−オクタデシルウレイレンアニリン、
【0061】N−(3−ヒドロキシベンジリデン)ドデシルアミン、N−(3,4−ジヒドロキシベンジリデン)オクタデシルアミン、N−(2,4−ジヒドロキシベンジリデン)オクタデシルアミン、N−(3,4,5−トリヒドロキシベンジリデン)オクタデシルアミン、N−(4−ヒドロキシ−3−メチルベンジリデン)ドデシルアミン、N−(3−ヒドロキシ−4−メチルベンジリデン)ドデシルアミン、N−(4−ヒドロキシ−α−メチルベンジリデン)−4′−ドデシルアニリン、N−(4−ヒドロキシ−α−メチルベンジリデン)−4′−オクタデシルアニリン、N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジリデン)ドデシルアミン、等が挙げられる。
【0062】式化11で表される如きアゾメチン化合物としては、N−オクチリデン−4−ヒドロキシアニリン、N−テトラデシリデン−4−ヒドロキシアニリン、N−オクタデシリデン−4−ヒドロキシアニリン、
【0063】N−(4−ドデシル)ベンジリデン−4′−ヒドロキシアニリン、N−(4−オクチルオキシ)ベンジリデン−4′−ヒドロキシアニリン、N−(4−オクタデシルオキシ)ベンジリデン−4′−ヒドロキシアニリン、N−(4−オクタデシルチオ)ベンジリデン−4′−ヒドロキシアニリン、N−(4−ウンデシルカルボニル)ベンジリデン−4′−ヒドロキシアニリン、N−(4−トリデシルカルボニル)ベンジリデン−4′−ヒドロキシアニリン、N−(4−ヘプタデシルカルボニル)ベンジリデン−4′−ヒドロキシアニリン、N−{4−(8−ヘプタデセニリルカルボニル)ベンジリデン}−4′−ヒドロキシアニリン、N−(4−ドデシルオキシカルボニル)ベンジリデン−4′−ヒドロキシアニリン、N−(4−オクタデシルオキシカルボニル)ベンジリデン−4′−ヒドロキシアニリン、N−(4−オクチルカルボニルオキシ)ベンジリデン−4′−ヒドロキシアニリン、N−(4−オクタデシルカルボニルオキシ)ベンジリデン−4′−ヒドロキシアニリン、N−(4−ヘキシルアミノ)ベンジリデン−4′−ヒドロキシアニリン、N−(4−オクタデシルアミノ)ベンジリデン−4′−ヒドロキシアニリン、
【0064】N−(4−オクタデシルカルボニルアミノ)ベンジリデン−4′−ヒドロキシアニリン、N−(4−ドデシルアミノカルボニル)ベンジリデン−4′−ヒドロキシアニリン、N−(4−オクタデシルアミノカルボニル)ベンジリデン−4′−ヒドロキシアニリン、N−(4−ドデシルスルフィニル)ベンジリデン−4′−ヒドロキシアニリン、N−(4−オクチルスルフォニル)ベンジリデン−4′−ヒドロキシアニリン、N−(4−ドデシルスルフォニル)ベンジリデン−4′−ヒドロキシアニリン、N−(4−オクチルスルフォニルオキシ)ベンジリデン−4′−ヒドロキシアニリン、N−(4−ドデシルスルフォニルオキシ)ベンジリデン−4′−ヒドロキシアニリン、N−(4−ドデシルオキシスルフォニル)ベンジリデン−4′−ヒドロキシアニリン、N−(4−オクタデシルオキシスルフォニル)ベンジリデン−4′−ヒドロキシアニリン、N−(4−オクチルチオカルボニル)ベンジリデン−4′−ヒドロキシアニリン、N−(4−ドデシルオキシカルボニルアミノ)ベンジリデン−4′−ヒドロキシアニリン、N−(4−オクタデシルオキシカルボニルアミノ)ベンジリデン−4′−ヒドロキシアニリン、N−(4−オクタデシルウレイレン)ベンジリデン−4′−ヒドロキシアニリン、
【0065】N−ドデシリデン−3−ヒドロキシアニリン、N−オクタデシリデン−3,4−ジヒドロキシアニリン、N−オクタデシリデン−3,4,5−トリヒドロキシアニリン、N−(4−オクタデシル)ベンジリデン−3′,4′−ジヒドロキシアニリン、N−(4−テトラデシル)ベンジリデン−3′−メチル−4′−ヒドロキシアニリン、N−(4−テトラデシル−3,5−ジメチル)ベンジリデン−4′−ヒドロキシアニリン、N−(4−テトラデシル)ベンジリデン−2′−クロロ−4′−ヒドロキシアニリン、N−(4−オクタデシル−3−メチル)ベンジリデン−3′,4′−ジヒドロキシアニリンなどが挙げられる。
【0066】本発明による電子受容性化合物は公知の方法で製造することができるが、その構造中に大きな脂肪鎖(疎水基)とフェノール性水酸基(極性基)を有する為、常温における溶媒溶解性が低いものが多い。それ故、加熱下で反応を行い、目的とする化合物を製造することが好ましい化合物が多い。
【0067】本発明による電子受容性化合物の幾つかの具体例について、以下にその合成例を示すが本発明は何等これに限定されるものではない。
【0068】(合成例1)4′−ヒドロキシ−n−ヘプタデカンアニリド(実施例3)の合成例窒素雰囲気下、p−アミノフェノール(109g)をメチルエチルケトン(2000ml)中に懸濁させ、70℃に加熱する。懸濁液を激しくかくはんしながら、ヘプタデカノイルクロリド(152g)を加え、2時間加熱還流した。この反応液を激しくかくはんしながら、5%塩酸水溶液500mlを加えた。反応液を室温まで冷却すると、白色結晶が析出したので減圧下濾別した。メチルエチルケトンで再結晶を行い、目的物150gを得た。収率80%。融点137℃。
【0069】(合成例2)4′−ヒドロキシ−n−ノナデカンアニリド(実施例4)の合成例窒素雰囲気下、p−アミノフェノール(109g)をメチルエチルケトン(2000ml)中に懸濁させる。この懸濁液にトリエチルアミン(253g)を加えた後、ノナデカノイルクロリド(331g)を加え、2時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却すると、白色結晶が析出したので減圧下濾別した。メチルエチルケトンより再結晶を行い、目的物323gを得た。収率80%。融点138℃。
【0070】(合成例3)4´−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンズアニリド(実施例12)の合成例窒素雰囲気下、4−n−オクタデシルオキシ安息香酸(100.0g)及びジメチルホルムアミド(5ml)をクロロホルム(800ml)に懸濁させ、ここに塩化チオニル33.4gを加えた。滴下終了後1時間加熱還流し、対応する酸クロリドを合成した。反応液を冷却後、この溶液にp−アミノフェノール30.8g及びトリエチルアミン28.6gを加え、2時間加熱還流をした。反応液を室温まで冷却すると、白色結晶が析出したので減圧下濾別した。この結晶を蒸留水にて洗浄した後、イソプロパノールより再結晶を行い、目的物98.7gを得た。収率80%。融点193℃。
【0071】(合成例4)N−n−オクタデシル−4−ヒドロキシベンズアミド(実施例17)の合成例窒素雰囲気下、4−アセトキシ安息香酸(100.0g)およびジメチルホルムアミド(3ml)をクロロホルム(500ml)に懸濁させ、ここに塩化チオニル(79.2g)を約30分かけて滴下する。滴下終了後、1時間加熱還流し、対応する酸クロリドを合成した。反応液を冷却後、この溶液にn−オクタデシルアミン(149.6g)およびトリエチルアミン(67.4g)を加え、3時間加熱還流をした。反応液を室温まで冷却すると、白色結晶が析出したので減圧下濾別した。この結晶を蒸留水にて洗浄した後、イソプロパノールより再結晶を行い、N−n−オクタデシル−4−アセトキシベンズアミド(206.0g)を得た。収率86%。融点106℃。これを、1,4−ジオキサン(1000ml)に懸濁させ、ここにKOH水溶液(50%)(160.7g)を加えた。反応溶液の温度を40〜45℃に保ち、一昼夜反応させた。反応終了後、室温まで冷却し希塩酸を加えると白色結晶が析出したので減圧下濾別した。この結晶を蒸留水にて洗浄した後、クロロホルムより再結晶を行い、目的物(137.6g)を得た。収率74%。融点105℃。
【0072】(合成例5)4−ヒドロキシ−4´−n−オクタデシルオキシベンズアニリド(実施例18)の合成例窒素雰囲気下、4−アセトキシ安息香酸(100.0g)およびジメチルホルムアミド(3ml)をクロロホルム(800ml)に懸濁させ、ここに塩化チオニル(79.2g)を約30分かけて滴下する。滴下終了後、1時間加熱還流し、対応する酸クロリドを合成した。反応液を冷却後、この溶液にn−オクタデシルオキシベンズアニリン(200.0g)およびトリエチルアミン(67.4g)を加え、3時間加熱還流をした。反応液を室温まで冷却すると、白色結晶が析出したので減圧下濾別した。この結晶を蒸留水にて洗浄した後、イソプロパノールより再結晶を行い、4−アセトキシ−4´−n−オクタデシルオキシベンズアニリド(255.8g)を得た。収率88%。融点154℃。これを、1,4−ジオキサン(1000ml)に懸濁させ、ここにKOH水溶液(50%)(164.4g)を加えた。反応溶液の温度を40〜45℃に保ち、一昼夜反応させた。反応終了後、室温まで冷却し希塩酸を加えると白色結晶が析出したので減圧下濾別した。この結晶を蒸留水にて洗浄した後、クロロホルムより再結晶を行い、目的物(169.4g)を得た。収率72%。融点170℃。
【0073】(合成例6)4−ヒドロキシ−3´,4´−ジ−n−デシルオキシベンズアニリド(実施例21)の合成例窒素雰囲気下、4−アセトキシ安息香酸(100.0g)およびジメチルホルムアミド(3ml)をクロロホルム(800ml)に懸濁させ、ここに塩化チオニル(79.2g)を約30分かけて滴下する。滴下終了後、1時間加熱還流し、対応する酸クロリドを合成した。反応液を冷却後、この溶液に3´,4´−ジ−n−デシルオキシベンズアニリン(225.1g)およびトリエチルアミン(67.4g)を加え、3時間加熱還流をした。反応液を室温まで冷却すると、白色結晶が析出したので減圧下濾別した。この結晶を蒸留水にて洗浄した後、イソプロパノールより再結晶を行い、4−アセトキシ−3´,4´−ジ−n−デシルオキシベンズアニリド(280.5g)を得た。収率89%。融点117℃。これを、1,4−ジオキサン(1000ml)に懸濁させ、ここにKOH水溶液(50%)(166.3g)を加えた。反応溶液の温度を40〜45℃に保ち、一昼夜反応さた。反応終了後、室温まで冷却し希塩酸を加えると白色結晶が析出したので減圧下濾別した。この結晶を蒸留水にて洗浄した後、クロロホルムより再結晶を行い、目的物(215.6g)を得た。収率83%。融点137℃。
【0074】(合成例7)4−ヒドロキシ−3´,4´−ジ−n−オクタデシルオキシベンズアニリド(実施例22)の合成例窒素雰囲気下、4−アセトキシ安息香酸(100.0g)およびジメチルホルムアミド(3ml)をクロロホルム(800ml)に懸濁させ、ここに塩化チオニル(79.2g)を約30分かけて滴下する。滴下終了後、1時間加熱還流し、対応する酸クロリドを合成した。反応液を冷却後、この溶液に3´,4´−ジ−n−オクタデシルオキシベンズアニリン(349.7g)およびトリエチルアミン(67.4g)を加え、3時間加熱還流をした。反応液を室温まで冷却すると、白色結晶が析出したので減圧下濾別した。この結晶を蒸留水にて洗浄した後、イソプロパノールより再結晶を行い、4−アセトキシ−3´,4´−ジ−n−オクタデシルオキシベンズアニリド(351.7g)を得た。収率80%。融点107℃。これを、1,4−ジオキサン(1000ml)に懸濁させ、ここにKOH水溶液(50%)(149.5g)を加えた。反応溶液の温度を40〜45℃に保ち、一昼夜反応させた。反応終了後、室温まで冷却し希塩酸を加えると白色結晶が析出したので減圧下濾別した。この結晶を蒸留水にて洗浄した後、クロロホルムより再結晶を行い、目的物(277.5g)を得た。収率82%。融点133℃。
【0075】(合成例8)4−(N−オクタデシルスルホニルアミノ)フェノール(実施例25)の合成例窒素雰囲気下、オクタデカンスルホン酸ナトリウム(357g)をジメチルホルムアミド(600ml)に懸濁させ、ここに塩化チオニル(119g)を約30分かけて滴下する。滴下終了後、80℃で1時間加熱し、対応するスルホン酸クロリドを合成した。反応液を冷却後、この溶液にp−アミノフェノール(109g)およびトリエチルアミン(202g)を加え、3時間加熱還流をした。反応終了後、反応液を水に注ぐと白色固体が析出した。5%塩酸を加えpHを酸性にした後、白色固体を減圧下濾別した。メチルエチルケトンより再結晶を行い、目的物(302g)を得た。収率71%。融点142℃。
【0076】(合成例9)1−(4−ヒドロキシフェニルチオ)−n−オクタデカン(実施例31)の合成例窒素雰囲気下、p−ヒドロキシチオフェノール(126g)をジメチルホルムアミド(600ml)に溶解し、炭酸カリウム(152g)を加えた。ここにオクタデシルクロリド(318g)を加え、80℃で2時間加熱した。反応終了後、反応液を水に注ぐと白色固体が析出した。5%塩酸を加えpHを酸性にした後、白色固体を減圧下濾別した。メチルエチルケトンより再結晶を行い、目的物(261g)を得た。収率70%。融点95℃。
【0077】(合成例10)4´−ヒドロキシ−4−n−オクダデシルオキシジフェニルスルフィド(実施例39)の合成例窒素雰囲気下、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルフィド(100.0g)、n−オクタデシルブロマイド(179.0g)および炭酸カリウム(89.0g)をジメチルホルムアミド(1000ml)に加え、反応溶液を90〜100℃に保ち3時間反応させた。反応終了後、反応液を氷水にあけると、白色結晶が析出したので減圧下濾別した。この結晶を蒸留水にて洗浄した後、イソプロパノールより再結晶を行い、結晶化したビスアルキル体を濾別した。濾液を濃縮し残渣をn−ヘキサンに懸濁加熱し、熱時濾過を行った。その濾液を濃縮し、目的物(70.8g)を得た。収率28%。融点81℃。
【0078】(合成例11)4´−ヒドロキシ−4−n−ヘプタデシルカルボニルアミノジフェニルスルフィド(実施例40)の合成例窒素雰囲気下、ステアリン酸(100.0g)およびジメチルホルムアミド(3ml)をクロロホルム(500ml)に懸濁させ、ここに塩化チオニル(50.2g)を約30分かけて滴下した。滴下終了後、1時間加熱還流し、対応する酸クロリドを合成した。窒素雰囲気下、4´−ヒドロキシ−4−n−アミノジフェニルスルフィド(76.4g)およびトリエチルアミン(42.4g)をクロロホルム(500ml)に懸濁し、懸濁液を激しく攪拌しながら、冷却した先ほどの酸クロリドを加え、3時間加熱還流をした。反応液を室温まで冷却すると、白色結晶が析出したので減圧下濾別した。この結晶を蒸留水にて洗浄した後、イソプロパノールより再結晶を行い、目的物(122.4g)を得た。収率72%。融点143℃。
【0079】(合成例12)N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−n−オクタデシル尿素(実施例44)の合成例窒素雰囲気下、p−アミノフェノール(109g)をメチルエチルケトン(2000ml)中に懸濁させ、70℃に加熱する。懸濁液を激しくかくはんしながら、n−オクタデシルイソシアネート(296g)を約30分かけて滴下する。この時、反応熱が発生する為、反応液の温度を70〜75℃に保つ速度でn−オクタデシルイソシアネートを滴下する。滴下終了後、反応溶液の温度を75〜80℃に上げ、更に30分反応させる。反応終了後、室温まで冷却すると、白色固体が析出する。ろ過して溶媒を除去し、減圧乾燥すると、ほぼ純粋な目的物(385g)が得られる。収率95%。融点144℃。
【0080】(合成例13)N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−n−オクタデシルアミン(実施例49)の合成例窒素雰囲気下、p−ヒドロキシベンズアルデヒド99.6g、n−オクダデシルアミン200.0g及びp−トルエンスルホン酸13.4gをトルエン1200mlに加え、加熱還流すると同時に共沸する水を除去した。約2時間後、反応液を室温まで冷却すると結晶が析出したのでこれを減圧下濾別した。この結晶をイソプロパノールから再結晶を行い、目的物207.9gを得た。収率75%。融点101℃。
【0081】(合成例14)N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4−n−オクダデシルオキシアニリン(実施例51)の合成例窒素雰囲気下、p−ヒドロキシベンズアルデヒド99.6g、n−オクダデシルアニリン250.0g及びp−トルエンスルホン酸12.5gをトルエン2000mlに加え、加熱還流すると同時に共沸する水を除去した。約3時間後、反応液を室温まで冷却すると結晶が析出したのでこれを減圧下濾別した。この結晶をイソプロパノールから再結晶を行い、目的物225.4gを得た。収率70%。融点125℃。
【0082】(合成例15)N−(4´−n−オクタデシルオキシ)ベンジリデン−4−ヒドロキシアニリン(実施例54)の合成例窒素雰囲気下、p−オクタデシルオキシベンズアルデヒド100.0g、p−アミノフェノール32.0g及びp−トルエンスルホン酸4.8gをトルエン1000mlに加え、加熱還流すると同時に共沸する水を除去した。約2時間後、反応液を室温まで冷却すると結晶が析出したのでこれを減圧下濾別した。この結晶をイソプロパノールから再結晶を行い、目的物101.9gを得た。収率82%。融点115℃。
【0083】本発明による電子受容性化合物はそれぞれ1種または2種以上を混合して使用してもよく、通常無色ないし淡色の染料前駆体に対する本発明による電子受容性化合物の使用量は、5〜5000重量%、好ましくは10〜3000重量%である。
【0084】本発明に用いられる通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体としては一般に感圧記録紙、感熱記録紙、感光感圧紙、通電感熱記録紙、感熱転写紙等に用いられるものに代表されるが、特に制限されるものではない。具体的な例としては、例えば下記に挙げるものなどがあるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0085】(1)トリアリールメタン系化合物3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド等、
【0086】(2)ジフェニルメタン系化合物4,4′−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等、
【0087】(3)キサンテン系化合物ローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、
【0088】3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−フェネチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等、
【0089】(4)チアジン系化合物ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等、
【0090】(5)スピロ系化合物3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3′−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン等
【0091】本発明に用いる前記通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体はそれぞれ1種または2種以上を混合して使用してもよい。
【0092】次に本発明の可逆性感熱記録材料の具体的製造方法について述べるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0093】本発明の可逆性感熱記録材料の製造方法の具体例としては、本発明に用いる通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体と本発明による電子受容性化合物を主成分とし、これらを支持体上に塗布して可逆性感熱記録層を形成する方法が挙げられる。
【0094】本発明に用いる通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体と、本発明による電子受容性化合物を可逆性感熱記録層に含有させる方法としては、各々の化合物を単独で溶媒に溶解もしくは分散媒に分散してから混合する方法、各々の化合物を混ぜ合わせてから溶媒に溶解もしくは分散媒に分散する方法、各々の化合物を加熱溶解し均一化した後冷却し、溶媒に溶解もしくは分散媒に分散する方法等が挙げられるが特定されるものではない。
【0095】また、可逆性感熱記録層の強度を向上する等の目的でバインダーを可逆性感熱記録層中に添加する事も可能である。本発明に用いるバインダーの具体例としては、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性高分子、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体等のラテックスなどがあげられるがこれらに限定されるものではない。
【0096】また、可逆性感熱記録層の発色感度及び消色温度を調節するための添加剤として、熱可融性物質を可逆性感熱記録層中に含有させることができる。本発明に用いる熱可融性物質としては60℃〜200℃の融点を有するものが好ましく、特に80℃〜180℃の融点を有するものが好ましい。また、一般の感熱記録紙に用いられている増感剤を使用することもできる。本発明に用いる熱可融性物質の具体例としては、N−ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミドなどのワックス類、2−ベンジルオキシナフタレン等のナフトール誘導体、p−ベンジルビフェニル、4−アリルオキシビフェニル等のビフェニル誘導体、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、2,2′−ビス(4−メトキシフェノキシ)ジエチルエーテル、ビス(4−メトキシフェニル)エーテル等のポリエーテル化合物、炭酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ビス(p−メチルベンジル)エステル等の炭酸またはシュウ酸ジエステル誘導体等があげられ、2種以上併用して添加することもできる。
【0097】本発明の可逆性感熱記録材料に用いる支持体としては、紙、各種不織布、織布、合成樹脂フィルム、合成樹脂ラミネート紙、合成紙、金属箔、ガラス等、あるいはこれらを組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0098】本発明の可逆性感熱記録材料の層構成は、可逆性感熱記録層のみであっても良い。必要に応じて、可逆性感熱記録層上に保護層を設けることも又、可逆性感熱記録層と支持体の間に中間層を設けることもできる。この場合、保護層および/または中間層は2層ないしは3層以上の複数の層から構成されていてもよい。更に可逆性感熱記録層中および/または他の層および/または可逆性感熱記録層が設けられている面または反対側の面に、電気的、磁気的、光学的に情報が記録可能な材料を含んでも良い。また、可逆性感熱記録層が設けられている面と反対側の面にカール防止、帯電防止を目的としてバックコート層を設けることもできる。
【0099】可逆性感熱記録層は、各発色成分を微粉砕して得られる各々の分散液を混合し、支持体上に塗布乾燥する方法、各発色成分を溶媒に溶解して得られる各々の溶液を混合し、支持体上に塗布乾燥する方法などにより得ることができる。この場合、例えば、各発色成分を一層ずつに含有させ、多層構造としてもよい。
【0100】また、可逆性感熱記録層及び/または保護層及び/または中間層には、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、尿素−ホルマリン樹脂等の顔料、その他に、ヘッド摩耗防止、スティッキング防止等の目的でステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ステアリン酸アミド、カスターワックス等のワックス類を、また、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等の分散剤、さらに界面活性剤、蛍光染料などを含有させることもできる。
【0101】
【作用】本発明の可逆性感熱記録材料における画像の形成及び消去の原理は以下の様に考えている。本発明に用いる通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体は、フェノール性化合物のような電子受容性化合物と共に加熱すると電子供与性染料前駆体から電子受容性化合物への電子移動が起こり発色する。この時、電子受容性化合物分子は発色した染料分子の極めて近傍に存在していると考えられる。また、発色した染料分子から電子受容性化合物分子を引き離すと、発色した染料分子は再び電子を受け取り、発色前の電子供与性染料前駆体の状態となる。本発明は加熱により、電子受容性化合物分子と電子供与性染料前駆体分子(染料分子)との距離を変化させ発色及び消色を行うものと考えられる。
【0102】さらに詳しく述べるならば、本発明による電子受容性化合物は、その構造の中に大きな脂肪鎖を持つため、本発明に用いる電子供与性染料前駆体分子および発色した染料分子との相溶性は非常に低い。それ故、分子が自由に運動できる溶融状態では、電子供与性染料前駆体分子と本発明による電子受容性化合物分子は互いにある割合で溶け合い発色状態となるが、発色している溶融状態の混合物をゆっくり冷却すると、降温するに従い相分離しながら固化する為に消色する。一方、急速な冷却(急速な固化)を行うと、相分離が起こる前、即ち発色状態を保持したままで固化する。すなわち、本発明の可逆性感熱記録材料は、加熱後の冷却速度の違いにより、電子供与性染料前駆体と本発明による電子受容性化合物との相溶状態および相分離状態を作りだし、発色状態および消色状態を発現させるものである。
【0103】本発明の可逆性感熱記録材料において、発色を行うには加熱に引き続き急速な冷却が起これば良く、消色を行うには加熱後の冷却速度が遅ければ良い。例えば、適当な熱源(サーマルヘッド、レーザー光、熱ロール、熱スタンプ、高周波加熱、電熱ヒーターからの輻射熱、熱風等)で比較的長い時間加熱すると、記録層だけでなく支持体等も加熱される為に冷却速度が遅く、相分離状態(消色状態)になる。一方、適当な方法で加熱した後、低温の金属ブロックなどを押し当てる等して急速に冷却することにより、発色状態を発現させることができる。また、サーマルヘッド、レーザー光等を用いて極めて短い時間だけ加熱すると、加熱終了後に直ちに冷却(固化)が始まる為、発色状態を発現させることができる。従って、同じ加熱温度および/または同じ熱源を用いても、冷却速度を制御することにより発色状態および消色状態を任意に発現させることができる。
【0104】
【実施例】以下実施例によって本発明を更に詳しく説明する。
【0105】実施例1(A)可逆性感熱塗液の作成染料前駆体である3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン40部を2.5%ポリビニルアルコール水溶液90部と共にボールミルで24時間粉砕し、染料前駆体分散液を得た。次いで4′−ヒドロキシ−n−ヘプタンアニリド100部を2.5%ポリビニルアルコール水溶液400部と共にボールミルで24時間粉砕し分散液を得た。上記2種の分散液を混合した後、10%ポリビニルアルコール水溶液200部、水400部を添加、よく混合し、可逆性感熱塗液を作成した。
【0106】(B)可逆性感熱記録材料の作成(A)で調製した可逆性感熱塗液をポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、固形分塗抹量4g/m2となる様に塗抹し、乾燥後、スーパーカレンダーで処理して可逆性感熱記録材料を得た。
【0107】実施例2〜55実施例1で用いた4′−ヒドロキシ−n−ヘプタンアニリドの分散液のかわりに、各々下記に記した化合物100部を2.5%ポリビニルアルコール水溶液400部と共にボールミルで24時間粉砕して得た分散液を使用した他は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録材料を得た。
(実施例2)4′−ヒドロキシ−n−トリデカンアニリド、(実施例3)4′−ヒドロキシ−n−ヘプタデカンアニリド、(実施例4)4′−ヒドロキシ−n−ノナデカンアニリド、(実施例5)3′−ヒドロキシ−n−ノナデカンアニリド、(実施例6)4′−ヒドロキシ−10−n−オクタデセンアニリド、(実施例7)4′−ヒドロキシ−n−ドコサンアニリド、(実施例8)4′−ヒドロキシ−4−n−ヘキシルベンズアニリド、(実施例9)4′−ヒドロキシ−4−n−ドデシルベンズアニリド、(実施例10)4′−ヒドロキシ−4−n−テトラデシルオキシベンズアニリド、(実施例11)4′−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルベンズアニリド、(実施例12)4′−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンズアニリド、(実施例13)4′−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルカルボニルアミノベンズアニリド、(実施例14)4′−ヒドロキシ−3−n−オクタデシルカルボニルアミノ−5−n−オクタデシルオキシベンズアニリド、(実施例15)N−n−オクチル−4−ヒドロキシベンズアミド、(実施例16)N−n−ドデシル−4−ヒドロキシベンズアミド、(実施例17)N−n−オクタデシル−4−ヒドロキシベンズアミド、(実施例18)4−ヒドロキシ−4′−n−オクタデシルオキシベンズアニリド、(実施例19)4−ヒドロキシ−4′−n−ドデシルベンズアニリド、(実施例20)4−ヒドロキシ−4′−n−テトラデシルベンズアニリド、(実施例21)4−ヒドロキシ−3′,4′−ジ−n−デシルオキシベンズアニリド、(実施例22)4−ヒドロキシ−3′,4′−ジ−n−オクタデシルオキシベンズアニリド、(実施例23)4−(N−n−オクチルスルホニルアミノ)フェノール、(実施例24)4−(N−n−ドデシルスルホニルアミノ)フェノール、(実施例25)4−(N−n−オクタデシルスルホニルアミノ)フェノール、(実施例26)4′−ヒドロキシ−4−n−ドデシルベンゼンスルホンアニリド、(実施例27)4′−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゼンスルホンアニリド、(実施例28)4′−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンゼンスルホンアニリド、(実施例29)1−(4−ヒドロキシフェニルチオ)−n−ヘキサン、(実施例30)1−(4−ヒドロキシフェニルチオ)−n−ドデカン、(実施例31)1−(4−ヒドロキシフェニルチオ)−n−オクタデカン、(実施例32)1−(3−ヒドロキシフェニルチオ)−n−オクタデカン、(実施例33)1−(4−ヒドロキシフェニルチオ)−9−n−オクタデセン、(実施例34)1−(4−ヒドロキシフェニルチオ)−n−ドコサン、(実施例35)4′−ヒドロキシ−4−n−ヘキシルジフェニルスルフィド、(実施例36)4′−ヒドロキシ−4−n−ドデシルジフェニルスルフィド、(実施例37)4′−ヒドロキシ−4−n−テトラデシルオキシジフェニルスルフィド、(実施例38)4′−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルジフェニルスルフィド、(実施例39)4′−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシジフェニルスルフィド、(実施例40)4′−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルカルボニルアミノジフェニルスルフィド、(実施例41)4′−ヒドロキシ−3,4−ジ−n−デシルオキシジフェニルスルフィド、(実施例42)N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−n−ヘキシル尿素、(実施例43)N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−n−ドデシル尿素、(実施例44)N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−n−オクタデシル尿素、(実施例45)N−(3−ヒドロキシフェニル)−N′−n−オクタデシル尿素、(実施例46)N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−(9−n−オクタデセニル)尿素、(実施例47)N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−n−ドコシル尿素、(実施例48)N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−n−デシルアミン、(実施例49)N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−n−オクタデシルアミン、(実施例50)N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4−n−テトラデシルアニリン、(実施例51)N−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4−n−オクタデシルオキシアニリン、(実施例52)N−n−テトラデシリデン−4−ヒドロキシアニリン、(実施例53)N−(4′−n−テトラデシル)ベンジリデン−4−ヒドロキシアニリン、(実施例54)N−(4′−n−オクタデシルオキシ)ベンジリデン−4−ヒドロキシアニリン、(実施例55)N−(4′−n−オクタデシルチオ)ベンジリデン−4−ヒドロキシアニリン、
【0108】比較例1実施例1で用いた4′−ヒドロキシ−n−ヘプタンアニリドの分散液のかわりに、没食子酸とステアリルアミンとの塩100部を2.5%ポリビニルアルコール水溶液400部と共にボールミルで24時間粉砕して得た分散液を使用した他は、実施例1と同様にした。
【0109】比較例2実施例1で用いた4′−ヒドロキシ−n−ヘプタンアニリドの分散液のかわりに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン100部を2.5%ポリビニルアルコール水溶液400部と共にボールミルで24時間粉砕して得た分散液を使用した他は、実施例1と同様にした。
【0110】比較例3実施例1で用いた4′−ヒドロキシ−n−ヘプタンアニリドの分散液のかわりに、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル100部を2.5%ポリビニルアルコール水溶液400部と共にボールミルで24時間粉砕して得た分散液を使用した他は、実施例1と同様にした。
【0111】試験1(発色濃度=熱応答性)
実施例1〜55および比較例1〜3で得た感熱記録材料を、京セラ製印字ヘッドKJT−256−8MGF1付き大倉電気製感熱ファクシミリ印字試験機TH−PMDを用いて印加パルス1.0ミリ秒で印加電圧26ボルトの条件で印字し、得られた発色画像の濃度を濃度計マクベスRD918を用いて測定した。結果を表1〜6に示した。
【0112】試験2(発色濃度の経時変化=画像安定性)
実施例1〜55および比較例1〜3で得た感熱記録材料を、京セラ製印字ヘッドKJT−256−8MGF1付き大倉電気製感熱ファクシミリ印字試験機TH−PMDを用いて、印加パルス1.0ミリ秒で印加電圧26ボルトの条件で印字し、温度25℃、相対湿度60%の雰囲気下に96時間保存した後、試験1と同様にして、発色部の濃度を測定し、下記数1により画像残存率を計算した。結果を表1〜6に示した。
【0113】
【数1】A=(C/B)×100A:画像残存率(%)
B:試験前の画像濃度C:試験後の画像濃度
【0114】試験3(画像の消去性)
実施例1〜55および比較例1〜3で得た感熱記録材料を、京セラ製印字ヘッドKJT−256−8MGF1付き大倉電気製感熱ファクシミリ印字試験機TH−PMDを用いて印加パルス1.0ミリ秒で印加電圧26ボルトの条件で印字し、これを熱スタンプを用いて120℃で1秒間加熱した後、試験1と同様にして濃度を測定した。結果を表1〜6に示した。
【0115】
【表1】


【0116】
【表2】


【0117】
【表3】


【0118】
【表4】


【0119】
【表5】


【0120】
【表6】


【0121】表1〜6中、○は消去部の濃度が発色部の濃度の30%未満で発色部と消去部のコントラストが良好、△は消去部の濃度が発色部の濃度の30%以上80%未満でコントラストが不十分、×は消去部の濃度が発色部の濃度の80%以上で可逆性が認められないことを表す。
【0122】
【発明の効果】表1〜6に示したように、通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体と、加熱後の冷却速度の違いにより該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる電子受容性化合物とを含有する可逆性感熱記録材料において、炭素数6以上の脂肪族炭化水素基を少なくとも一つ有するフェノール性化合物を電子受容性化合物として用いることにより、良好なコントラストで画像の形成・消去が可能で、日常生活の環境下で経時的に安定な画像を保持可能な可逆性感熱記録材料を得ることができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体と、加熱後の冷却速度の違いにより該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる電子受容性化合物とを含有し、且つ該電子受容性化合物が炭素数6以上の脂肪族炭化水素基を少なくとも一つ有するフェノール性化合物であることを特徴とする可逆性感熱記録材料。

【公開番号】特開平6−210954
【公開日】平成6年(1994)8月2日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−347032
【出願日】平成4年(1992)12月25日
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)