説明

台所火災用危険性実演装置

【課題】台所火災での行為が実際にはこのように危険なものであるという現実を目の前での実演により明確な印象として焼付け教訓とすることができるようにした台所火災用危険性実演装置を提供すること。
【解決手段】台所空間部をミニチュア版としてあらわす金属製のケース本体1と、少なくとも油による揚げ料理用フライパン等のミニチュア油物調理器具14を含んで同ケース本体内に配備された台所必要備品と、天井板3の前端に開閉自在に取り付けられた上扉18と、底面板4の前端に開閉自在に取り付けられた下扉20と、側面板5の各前端に取り付けられた左右観音開き式に開いた状態とを得ることのできる左右一対の側面扉21とを備えており、台所必要備品は内装したままにして上下扉および側面扉を閉止して一括的に携行可能に構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台所火災用危険性実演装置に関する。
【背景技術】
【0002】
台所においては、例えば、天ぷら揚げ料理などの用をしていてそのまま放置してしまって火災になったり、あるいはその火災を回避するため消火用に水を鍋にかけたりする行為は非常に危険度の高いものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特になし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そうした行為が極めて危険であることはTVなどで報じられてはいるものの、現実問題として主婦の方は体験していないのが現状である。
【0005】
本発明は、このような従来の方法が有していた問題を解決しようとするものであり、台所火災での行為が実際にはこのように危険なものであるという現実を目の前での実演により明確な印象として焼付け啓蒙してもらうことができるようにした台所火災用危険性実演装置を提供することを目的とする。特に、そうした装置をどこでも容易に運んで主婦の方や生徒らの前ですぐに実演して現実の怖さを実感してもらうことができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、背面板と天井・底面板および左右の側面板とを有して前面開放状にし台所空間部をミニチュア版としてあらわす金属製のケース本体と、少なくとも油による揚げ料理用フライパン等のミニチュア油物調理器具を含んで同ケース本体内に配備された台所必要備品と、前記天井板の前端に開閉自在に取り付けられて前記前面開放状の開口に閉じられた状態と上方に跳ね上げられて開かれた状態とを得ることのできる上扉と、前記底面板の前端に開閉自在に取り付けられて前記前面開放状の開口に閉じられた状態と前方手前に開かれた状態とを得ることのできる下扉と、前記側面板の各前端に取り付けられて前記前面開放状の開口側に閉じられた状態と左右観音開き式に開いた状態とを得ることのできる左右一対の側面扉とを備えており、台所必要備品は内装したままにして上下扉および側面扉を閉止して一括的に携行可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の台所火災用危険性実演装置は上述のように構成されているので、台所火災での行為が実際にはこのように危険なものであるという現実を目の前での実演により明確な印象として焼付け教訓とすることができるようにした台所火災用危険性実演装置を提供することができる。特に、そうした装置をどこでも容易に運んですぐに実演することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の台所火災用危険性実演装置の携行可能な状況での一実施形態を示す正面からみた斜視図。
【図2】図1の実演装置の実演状況を示す斜視図。
【図3】他の実施形態を同時に示す図2の中央縦断側面図。
【図4】他の実施形態を示す側断面図。
【図5】他の実施形態を示す側断面図。
【図6】図5の装置を利用して紙芝居を構成した状態を示す斜視図。
【図7】紙芝居の他の実施形態を示す側面図。
【図8】図1に対応する実演装置の平面図。
【図9】図8の正面図。
【図10】図9の背面図。
【図11】図9の底面図。
【図12】図9の右側面図。
【図13】図9のA−A線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の一形態を図1〜図3ならびに図8〜図13に基づいて説明する。
【0010】
これらの図に示すように、Sは台所火災用危険性実演装置で図1は携行(持ち運び)可能な状態、図2は実演状態でそれぞれ示す。1はケース本体でステンレス板金製であり、同本体1は、背面板2と天井板3・底面板4および左右の側面板5,5とを有して前面開放状にし台所空間部をミニチュア版としてあらわすものである。
【0011】
背面板2は、横幅Lが500mmで高さHが300mmの矩形板とされ、天井板3は幅Lが500mmで奥行きWが150mmとされるとともに、底面板4は天井板3と同じ寸法とされている。側面板5は奥行きWが150mmで高さHが300mmとされている。同本体1は横長状で矩形の前面開口6を有し、その上下および左右前端縁にはヒンジ7…を備えている。側面板5には通覧窓板8が取り付けられて炎などの危険なくして横や斜め方向からも見通すことができるようになっている。9は取っ手で、天井板3の中央個所に取り付けられており、この取っ手9には、先端に引っ掛けリング10を備えた引きチェーン11が設けられている。
【0012】
ケース本体1内には、流し台13と油物調理器具(フライパン)14付きコンロ台15および冷蔵庫16などの台所必要備品がミニチュア版として固定して配備されている。これらは脱着可能にしてもよい。
これら台所必要備品の奥行きW1は100mmで、その前端とケース本体1の前端との間の控え寸法W2は50mmとしてある。このW2は殆ど0にしたり10mmあるいは20mmなどと前記50mmよりも小さくしてもよい。
【0013】
18は上扉で、矩形をしたステンレス板金製で幅Lは500mmで高さが1/2H(150mm)として前記ヒンジ7で天井板3の前端に開閉自在に取り付けられて、前記前面開放状の開口6の上半分に閉じられた状態と上方に跳ね上げられて開かれた状態とを得ることができる。上扉18が跳ね上げられたとき、同扉18の2個所(あるいは1個所)に突設した係合タブ19に前記リング10を引っ掛けることでチェーン11が引かれた状態で開き状態を得ることができる。
【0014】
20は下扉で、矩形をしたステンレス板金製で幅Lは500mmで高さが1/2H(150mm)として前記ヒンジ7で底面板4の前端に開閉自在に取り付けられ、前記開口6の下半分に閉じられた状態と前方手前に水平に突き出した開き状態とを得ることができる。
21は側面扉で、ステンレス板金製で通覧板22を備えて幅Bが150mmで高さHが300mmとして形成されており、前記ヒンジ7を介して開口6の左右端縁に開閉自在に取り付けられている。同側面扉21は、上扉18と下扉20を閉じたのちにその表面に閉じられるようになっている。そして、この閉じた状態は、図2のように下扉20側のスチール片23と側面扉21側のマグネット24との吸着で得られるようにしたり、図1のように面ファスナーバンド(ゴムバンドでも可能)25により締付けるようにして携行時に勝手に開かないようにする。
【0015】
尚、27は座で、実演台28と装置Sとの間に間隔を置いて台28の火災損傷を防ぐために設けられ、同座27は、キャスター29にしてもよい。このキャスター29は、4個所に設けたり、例えば、左側2個所のみとすることがある。
また、図2に仮想線で示すように、下扉20の周りには、飛び散った油がこぼれ出ないようにフランジ30を付してもよい。
さらに、側面扉21の下端には、下扉20が乗り掛かる曲げ片31を備えてもよい。
【0020】
装置Sは、図1のように、台所必要備品を内装したまま上下扉18,20を閉じ側面扉21をその上に閉じた状態で閉止状態にして携行される。実演に際しては、図2のように、これらの扉18,20,21を開いてフライパン14に油を入れて加熱し、そのまま放置して火災現場をつくったり、加熱されたフライパン14内に水をかけることで異常火災を実演する。
尚、32は布巾入れ、33は補充油びん入れである。
【0021】
図3のように、上扉18には火災報知器35を取り付けるようにしてもよい。
また、ケース本体1の天井裏面は実演による火炎によって黒く煤けることがあり、そのため、脱着保持具36により耐熱パッド37を交換自在に設けてもよい。
さらに、図3ないし図5に示すように、ケース本体1の裏面、天面、側面を通じて注滴具38を設けてスポイド39で水を少量ずつ注ぐようにしてもよい。図5の40は耐熱台である。
【0022】
尚、図6に示すように、装置Sの開口7前に啓蒙用の紙芝居42を設けてもよい。この紙芝居42は、図7のようにケース本体1の上面に設けてもよい。43はカタログ44の容器で、ケース本体1の裏面部に設けるようにしてある。
【符号の説明】
【0023】
1…ケース本体 9…取っ手 10…引っ掛けリング 11…引きチェーン 14…油物調理器具 18…上扉 19…係合タブ 20…下扉 21…側面扉。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面板と天井・底面板および左右の側面板とを有して前面開放状にし台所空間部をミニチュア版としてあらわす金属製のケース本体と、少なくとも油による揚げ料理用フライパン等のミニチュア油物調理器具を含んで同ケース本体内に配備された台所必要備品と、前記天井板の前端に開閉自在に取り付けられて前記前面開放状の開口に閉じられた状態と上方に跳ね上げられて開かれた状態とを得ることのできる上扉と、前記底面板の前端に開閉自在に取り付けられて前記前面開放状の開口に閉じられた状態と前方手前に開かれた状態とを得ることのできる下扉と、前記側面板の各前端に取り付けられて前記前面開放状の開口側に閉じられた状態と左右観音開き式に開いた状態とを得ることのできる左右一対の側面扉とを備えており、台所必要備品は内装したままにして上下扉および側面扉を閉止して一括的に携行可能に構成されていることを特徴とする台所火災用危険性実演装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−22545(P2011−22545A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182841(P2009−182841)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(594100838)フジワラ産業株式会社 (51)
【Fターム(参考)】