説明

台車コンベア

【課題】前後の被搬送物の間隔を広げた状態と狭めた状態との切換えを可能としながら、コストを削減し、安定かつ円滑な走行を可能とする。
【解決手段】基台2上の支柱3により支持された前後の支持部材4A,4Bの上側に位置する、被搬送物W1,W2を積載するための治具6A,6Bが設けられた受部材5A,5B、前支持部材4A及び前受け部材5A並びに後支持部材4B及び後受け部材5Bをそれぞれ連結する前後方向に揺動する平行リンク7,8を一方が前方又は後方に揺動する際に他方が逆方向に揺動するように連動させる連結リンク17、前後の受け部材5A,5Bが前後方向の内側又は外側に移動した移動端で平行リンク7,8の揺動を規制する揺動規制手段、並びに、平行リンク7,8を駆動して受け部材5A,5Bを移動端の一方から他方へ移動させる、搬送経路の所定位置に設置された駆動手段24〜26を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基台上に前後2個の被搬送物を載せた台車を所定搬送経路に沿って搬送する台車コンベアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車のバンパー塗装ラインに用いられる従来の台車コンベアとして、1個の基台上に1個のバンパーを載せて搬送する台車構成(以下、「1個載せ台車方式」という。)に対して、コストを削減するために、1個の基台(台車本体)上に立設した前後の支持部材にバンパーを載置し、基台上に前後2個のバンパーを載せた台車構成としたものがある(例えば、特許文献1の第4図参照。以下、「2個載せ台車方式」という。)。
また、2個載せ台車方式において、前支持部材が立設された前台車及び後支持部材が立設された後台車並びに前台車と後台車とを連結する連結リンクにより基台(台車本体)を構成し、連結リンクを上方に屈曲可能とした屈曲リンクとしてその屈曲部にガイドローラを設け、このガイドローラを搬送経路に沿って敷設したガイドレール内を転動させることにより、屈曲リンクの真直状態(前後の被搬送物(バンパー)の間隔が広い状態。以下、「広間隔状態」という。)及び屈曲リンクの屈曲状態(前後の被搬送物(バンパー)の間隔が狭い状態。以下、「狭間隔状態」という。)とを切り換え可能としたものがある(例えば、特許文献1の第1図及び第2図参照。)。
【0003】
【特許文献1】実公平4−2126号公報(第1−2図、第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の2個載せ台車方式の台車コンベアによれば、塗装工程においては広間隔状態として作業性向上により塗装品質を確保しながら、オーブン焼付工程等においては狭間隔状態として省スペース化によりオーブン室等の設備コストを低減することができる。
しかし、広間隔状態と狭間隔状態とを切り換えるための構成として、基台(台車本体)を前台車と後台車とに分離し、前台車及び後台車を屈曲リンクにより連結する特殊な台車構成とする必要があるとともに、屈曲リンクのガイドローラを沿わせるガイドレールを搬送経路の全長にわたって敷設する必要があるため、台車及び付帯設備等のコストが増大する。
また、基台を前台車と後台車とに分離していることから基台の強度及び剛性が低下しやすく、さらに前台車と後台車とを連結する連結リンクが、屈曲部にガイドローラを備えた、上方に屈曲する屈曲リンクであることから連結リンクの強度及び剛性も低下しやすいとともに、下側の走行レールに加えて傾斜経路を有する上側のガイドレールにもローラを係合させていることから、台車が円滑に走行しない場合がある。
【0005】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、2個載せ台車方式の台車コンベアにおいて、広間隔状態と狭間隔状態とを切り換えることを可能としながら、台車及び付帯設備等のコストを削減するとともに、一般的な台車の走行と同様に円滑な走行が可能な台車コンベアを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る台車コンベアは、前記課題解決のために、1個の基台上に前後2個の被搬送物を載せた台車を所定搬送経路に沿って搬送する台車コンベアであって、前記基台上に立設された支柱と、該支柱により支持された前後の支持部材と、該前後の支持部材のそれぞれ上側に位置する、被搬送物を積載するための治具が設けられた前後の受部材と、前記前支持部材及び前受け部材並びに後支持部材及び後受け部材をそれぞれ連結する、前後方向に揺動する前後の平行リンクと、該前後の平行リンクを一方が前方又は後方に揺動する際に他方が逆方向に揺動するように連動させる、前記前後の平行リンク間を連結する連結リンクと、前記前後の受け部材が前後方向の内側又は外側に移動した所定移動端で、前記平行リンクの揺動を規制する揺動規制手段と、前記平行リンク又は連結リンクを駆動して前記受け部材を前記内側又は外側の所定移動端の一方から他方へ移動させる、搬送経路の所定位置に設置された駆動手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る台車コンベアは、1個の基台上に前後2個の被搬送物を載せた台車を所定搬送経路に沿って搬送する台車コンベアであって、前記基台上に立設された支柱と、該支柱により支持された前後の支持部材と、該前後の支持部材のそれぞれ上側に位置する、被搬送物を積載するための治具が設けられた前後の受部材と、前記前支持部材及び前受け部材並びに後支持部材及び後受け部材をそれぞれ連結する、前後方向に揺動する前後の平行リンクと、該前後の平行リンクを一方が前方又は後方に揺動する際に他方が逆方向に揺動するように連動させる、前記前後の平行リンク間を連結する連結リンクと、前記前後の受け部材が前後方向の内側又は外側に移動した所定移動端で、前記平行リンクの揺動を規制する揺動規制手段と、前記平行リンク又は連結リンクを駆動して前記受け部材を前記内側又は外側の所定移動端の一方から他方へ移動させる、搬送経路の所定位置に設置された駆動手段とを備えたので、2個載せ台車方式であるため、1個載せ台車方式に対してコストを削減することができるとともに、搬送経路の所定位置に設置された駆動手段により平行リンク又は連結リンクを駆動することにより前後の受け部材を移動させ、作業工程に合わせて広間隔状態と狭間隔状態とを切り換えることができるため、作業性の向上による製品品質の向上及び省スペース化による設備コストの削減を両立することができる。
【0008】
その上、広間隔状態と狭間隔状態とを切り換えるために、特殊な台車構成とする必要がなく、ガイドレールを搬送経路の全長にわたって敷設する必要もないため、特許文献1のような2個載せ台車方式の台車コンベアに対して台車及び付帯設備等のコストを削減することができる。
その上さらに、基台を前部と後部とに分離していないため、基台の強度及び剛性を高くすることが容易であり、また、ガイドレールにローラを係合させておらず、基台の下側に設けたトロリのローラをフリーレールに係合させ、フリーレールに沿って台車が走行する一般的な台車と同様の構成であるため、特許文献1のような台車コンベアよりも台車の走行が安定かつ円滑になる。
その上、前後の平行リンクの一方が前方又は後方に揺動する際に他方が逆方向に揺動するように、連結リンクにより前後の平行リンクが連動することから、慣性力又は重力による前後の被搬送物を前方又は後方の同方向へ移動させようとする作用力が、前後の平行リンクの逆方向への連動により打ち消されるため、前後の被搬送物の位置が安定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。
本発明の実施の形態に係る台車コンベアは、1個の基台2上に前後2個の被搬送物W1,W2を載せた台車1,…を所定搬送経路に沿って搬送するものであり、本明細書において、台車1の走行方向(図中矢印A参照。)を前方とし、左右は前方に向かっていうものとする。
【0010】
実施の形態1.
図1〜図4は本発明の実施の形態1に係る台車コンベアの概略側面図であり、図1は広間隔状態Lを、図2は狭間隔状態Sを、図3は狭間隔状態Sで上昇傾斜経路を走行している状態を、図4は狭間隔状態Sで前後の台車間を詰めた状態を示している。
【0011】
図1〜図4に示すように、基台2の下側前後に取り付けられた前トロリ30A及び後トロリ30Bのローラがフリーレール28に係合しているため、台車1,…はフリーレール28に沿って移動可能であり、前トロリ30Aには被牽引用のドライビングドッグ33が設けられている。
また、図示しないギヤドモータ等の駆動装置により駆動されるパワーチェーン31は、パワーレール27に係合するローラを備えたパワートロリ29により支持されており、パワートロリ29には、左右方向軸まわりに揺動する牽引用のカムドッグ32が取り付けられている。
したがって、台車1の前トロリ30Aのドライビングドッグ33にカムドッグ32が係合し、パワーチェーン31により牽引することにより、台車1はフリーレール28に沿って搬送される。
【0012】
基台2上には、その前後方向中央に支柱3が立設され、支柱3の上端部には、前方に延びる前支持部材4A及び後方に延びる後支持部材4Bが取り付けられ、前支持部材4Aと、その上側に位置し、被搬送物W1を積載するための治具6Aが設けられた前受け部材5Aとは、前後方向に揺動する平行リンク7により連結され、後支持部材4Bと、その上側に位置し、被搬送物W2を積載するための治具6Bが設けられた後受け部材5Bとは、前後方向に揺動する平行リンク8により連結される。
【0013】
ここで、平行リンク7は、前受け部材5A前部の左右方向軸11aまわりに上端部が、前支持部材4A前部の左右方向軸11bまわりに前記上端部よりも下部が揺動可能に連結された前第1リンク9Aと、左右方向軸11aの後側の左右方向軸12aまわりに上端部が、左右方向軸11bの後側の左右方向軸12bまわりに前記上端部よりも下部が揺動可能に連結された前第2リンク10Aとからなり、前支持部材4A及び前受け部材5A並びに前第1リンク9A及び前第2リンク10Aにより平行四辺形リンク機構が構成され、前受け部材5Aは、平行リンク7の揺動により前第1リンク9A及び前第2リンク10Aの上端部とともに揺動し、基台2と平行を保った状態で前後方向に移動する。
【0014】
また、平行リンク8は、後受け部材5B後部の左右方向軸14aまわりに上端部が、後支持部材4B後部の左右方向軸14bまわりに前記上端部よりも下部が揺動可能に連結された後第2リンク10Bと、左右方向軸14aの前側の左右方向軸13aまわりに上端部が、左右方向軸14bの前側の左右方向軸13bまわりに前記上端部よりも下部が揺動可能に連結された後第1リンク9Bとからなり、後支持部材4B及び後受け部材5B並びに後第1リンク9B及び後第2リンク10Bにより平行四辺形リンク機構が構成され、後受け部材5Bは、平行リンク8の揺動により後第1リンク9B及び後第2リンク10Bの上端部とともに揺動し、基台2と平行を保った状態で前後方向に移動する。
【0015】
さらに、前後の平行リンク7,8は、左右方向軸12bよりも下方に前第2リンク10Aから真っ直ぐ延びるリンク18と、リンク18下端部の左右方向軸21aに一端部が、左右方向軸13aに他端部が揺動可能に連結されたリンク19とからなる連結リンク17により連結されており、この連結リンク17により、平行リンク7,8の一方が前方又は後方に揺動する際に他方が逆方向に揺動するように連動する。
【0016】
図1に示す前後の被搬送物W1,W2の間隔が広い状態(広間隔状態L)では、平行リンク7が前方へ、平行リンク8が後方へ揺動した状態であり、前第2リンク10Aの前面が前支持部材4Aに突設された当止ピン15Aに、後第1リンク9Bの後面が後支持部材4Bに突設された当止ピン16Bに当て止めされ、前後の受け部材5A,5Bが前後方向の外側に移動した所定移動端であり、これ以上の外側への移動が規制されるように、平行リンク7,8の揺動が規制される。
【0017】
また、図2に示す前後の被搬送物W1,W2の間隔が狭い状態(狭間隔状態S)では、平行リンク7が後方へ、平行リンク8が前方へ揺動した状態であり、前第2リンク10Aの後面が前支持部材4Aに突設された当止ピン16Aに、後第1リンク9Bの前面が後支持部材4Bに突設された当止ピン15Bに当て止めされ、前後の受け部材5A,5Bが前後方向の内側に移動した所定移動端であり、これ以上の内側への移動が規制されるように、平行リンク7,8の揺動が規制される。
以上の当止ピン15A,15B,16A,16Bが、前後の受け部材5A,5Bが前後方向の内側又は外側に移動した所定移動端で、平行リンク7,8の揺動を規制する揺動規制手段を構成するが、揺動規制手段としてこのような当止ピンからなる構成に限定されるものではなく、平行リンク7,8の揺動を所定範囲とするものであればよい。
【0018】
次に、広間隔状態Lから狭間隔状態Sへの切り換えについて説明する。
図1に示すように、前第1リンク9Aには、その長手方向から前側に屈曲するように左右方向軸11bよりも下方に延びる操作リンク22Aが一体化され、操作リンク22Aの下端(遊端)にはローラ23Aが取り付けられ、後第2リンク10Bには、その長手方向から後側に屈曲するように左右方向軸14bよりも下方に延びる操作リンク22Bが一体化され、操作リンク22Bの下端(遊端)にはローラ23Bが取り付けられている。
【0019】
したがって、例えば図1に示す広間隔状態Lで走行している台車1において、パワーチェーン式駆動装置のカムドッグ32を押し下げて、ドライビングドッグ33との係合を解除して台車1を停止させ、台車1を搬送経路の所定位置に位置決めした状態とし、搬送経路の所定位置に設置された駆動手段であるエアーシリンダ24の伸縮ロッド24Aの先端をローラ23Aに下側から押し当てるとともに、前記駆動手段であるエアーシリンダ25の伸縮ロッド25Aの先端をローラ23Bに下側から押し当て、エアーシリンダ24及び25を同期させて、伸縮ロッド24A及び25Aを伸ばすことにより(図1中の矢印B及びC参照。)、受け部材5A,5Bが前後方向の内側に移動し、図2に示す狭間隔状態Sとなる。
【0020】
なお、このような広間隔状態Lから狭間隔状態Sへの切り換え動作時における搬送経路の所定位置には、図2中に示す二点鎖線のエアーシリンダ26は無い。
また、前後の平行リンク7,8は連結リンク17により連動するため、搬送経路の所定位置に設置する駆動手段として、前後2個のエアーシリンダ24,25の両方が必ずしも必要ではなく、一方のみであってもよい。
【0021】
次に、狭間隔状態Sから広間隔状態Lへの切り換えについて説明する。
図2の二点差線のように、後第1リンク9Bには、その長手方向から前側に屈曲するように左右方向軸13bよりも下方に延びる操作リンク22Cが一体化され、操作リンク22Cの下端(遊端)にはローラ23Cが取り付けられている。
したがって、例えば図2に示す狭間隔状態Sで走行している台車1において、パワーチェーン式駆動装置のカムドッグ32を押し下げて、ドライビングドッグ33との係合を解除して台車1を停止させ、台車1を搬送経路の所定位置に位置決めした状態とし、搬送経路の所定位置に設置された駆動手段である図2中二点差線のエアーシリンダ26の伸縮ロッド26Aの先端をローラ23Aに下側から押し当て、伸縮ロッド26Aを伸ばすことにより、受け部材5A,5Bが前後方向の外側に移動し、図1に示す広間隔状態Lとなる。
なお、このような狭間隔状態Sから広間隔状態Lへの切り換え動作時における搬送経路の所定位置には、図2中に示す実線のエアーシリンダ24,25は無い。
【0022】
以上のような構成の台車コンベアによれば、2個載せ台車方式であるため、1個載せ台車方式に対してコストを削減することができるとともに、搬送経路の所定位置に設置された駆動手段である、例えばエアーシリンダ24〜26により平行リンク7,8を駆動することにより前後の受け部材5A,5Bを移動させ、作業工程に合わせて広間隔状態Lと狭間隔状態Sとを切り換えることができる。
したがって、例えば塗装工程においては広間隔状態Lとすることにより、前後の被搬送物W1,W2の間にロボット又は人手でスプレーガン(ノズル)を回り込ませるように深く入れ、被搬送物(塗装対象物)に対して作業性を向上させて塗装することができることから、被搬送物W1,W2の被塗装表面全体をより均等に塗装することができるため、塗装品質を向上することができる。
【0023】
また、例えばオーブン焼付工程又はストレージエリア等においては狭間隔状態Sとすることにより、図4に示すように、台車1,1の間隔を詰めても被搬送物W1,W2が干渉しないため、省スペース化により設備コストを削減することができる。
さらに、広間隔状態Lと狭間隔状態Sとを切り換えるために特殊な台車構成とする必要がないことから、特殊な台車構成とするものよりも台車及び付帯設備等のコストを削減することができるとともに、通常使用される一般的な台車と同様に、水平経路及び傾斜経路での安定かつ円滑な走行が可能となる。
【0024】
さらにまた、前後の平行リンク7,8の一方が前方又は後方に揺動する際に他方が逆方向に揺動するように、連結リンク17により前後の平行リンク7,8が逆方向に連動することから、例えば搬送経路中に台車1を停止させる目的で設けられた台車停止装置(ストッパー)で台車1が停止する際、又は、ストレージエリアで停止している先行台車1に後行台車1が衝突する際等において、慣性力により前側被搬送物W1及び後側被搬送物W2が共に前方へ移動しようとするが、このような慣性力による被搬送物W1,W2を前方へ移動させようとする作用力は、平行リンク7,8の前記逆方向への連動により打ち消されるため、前後の被搬送物W1,W2の位置が安定する。
【0025】
また、図3に示すような上昇傾斜経路部において、重力により前側被搬送物W1及び後側被搬送物W2が共に後方へ移動しようとするが、このような重力による被搬送物W1,W2を後方へ移動させようとする作用力は、平行リンク7,8の前記逆方向への連動により打ち消されるため、前後の被搬送物W1,W2の位置が安定する。
同様に下降傾斜経路部においても、重力により前側被搬送物W1及び後側被搬送物W2が共に前方へ移動しようとするが、このような重力による被搬送物W1,W2を前方へ移動させようとする作用力も、平行リンク7,8の前記逆方向への連動により打ち消されるため、前後の被搬送物W1,W2の位置が安定する。
【0026】
実施の形態2.
図5〜図7は本発明の実施の形態2に係る台車コンベアの概略側面図であり、図5は広間隔状態Lを、図6は狭間隔状態Sを、図7は狭間隔状態Sで上昇傾斜経路を走行している状態を示している。また、図5〜図7において、実施の形態1の図1〜図4と同一符号は同一又は相当部分を示しており、実施の形態2は実施の形態1と連結リンク17の構成のみが異なっているため、連結リンク17の構成以外の説明は省略する。なお、図5〜図7においては、図1〜図4記載の揺動規制手段である当止ピン15A,15B,16A,16Bの記載を省略している。
【0027】
図5〜図7に示すように、前後の平行リンク7,8は、左右方向軸12bよりも下方に前第2リンク10Aから真っ直ぐ延びるリンク18と、左右方向軸13bよりも下方に後第1リンク9Bから真っ直ぐ延びるリンク20と、リンク18下端部の左右方向軸21aに一端部が揺動可能に連結されたリンク19Aと、リンク20下端部の左右方向軸21bに一端部が揺動可能に連結されるとともに、リンク19A他端部の左右方向軸21cに他端部が揺動可能に連結されたリンク19Bとからなる連結リンク17により連結されており、この連結リンク17により、実施の形態1と同様に、前後の平行リンク7,8の一方が前方又は後方に揺動する際に他方が逆方向に揺動するように、平行リンク7,8が連動する。
【0028】
また、図5及び図6に示す搬送経路の所定位置に設置された駆動手段であるエアーシリンダ24〜26による広間隔状態Lと狭間隔状態Sとの切り換え動作も実施の形態1と同様であるが、図5及び図6の構成では、連結リンク17を構成するリンク19A,19Bが前後対称に動き、これらリンク19A,19Bを連結する左右方向軸21cが上下方向に往復移動するため、搬送経路の所定位置に設置された駆動手段により連結リンク17の前記往復移動する部分を駆動することにより、広間隔状態Lと狭間隔状態Sとの切り換え動作を行う構成としてもよい。
【0029】
なお、本実施の形態ではリンク19A,19Bが比較的長く、図5に示す広間隔状態Lにおいてリンク19A,19Bが上に凸の山形となっており、これらのリンク19A,19Bの重力トルクが左右方向軸12b,13bまわりに作用するが、受け部材5A,5B上に被搬送物W1,W2を積載していない空荷の状態においても平行リンク7,8等の位置が安定するように、前後の受け部材5A,5B等の重量配分を決定している。
【0030】
以上の説明においては、基台2上に1本の支柱3を立設し、支柱3の上端部に前方に延びる前支持部材4A及び後方に延びる後支持部材4Bを取り付ける構成を示したが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、基台2上に前後2本の支柱を立設して、これらの支柱により前後に分離した支持部材を各々支持する構成等を適宜採用することができる。すなわち、一体化された前後の支持部材又は分離した前後の支持部材を支柱により支持する構成であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態1に係る台車コンベアの広間隔状態Lを示す側面図である。
【図2】同じく狭間隔状態Sを示す側面図である。
【図3】同じく狭間隔状態Sで上昇傾斜経路を走行している状態を示す側面図である。
【図4】同じく狭間隔状態Sで前後の台車間を詰めた状態を示す側面図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る台車コンベアの広間隔状態Lを示す側面図である。
【図6】同じく狭間隔状態Sを示す側面図である。
【図7】同じく狭間隔状態Sで上昇傾斜経路を走行している状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 台車
2 基台
3 支柱
4A,4B 支持部材
5A,5B 受け部材
6A,6B 治具
7,8 平行リンク
15A,15B,16A,16B 当止ピン(揺動規制手段)
17 連結リンク
22A,22B,22C 操作リンク
24,25,26 駆動手段
A 走行方向
L 広間隔状態
S 狭間隔状態
W1,W2 被搬送物


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1個の基台上に前後2個の被搬送物を載せた台車を所定搬送経路に沿って搬送する台車コンベアであって、
前記基台上に立設された支柱と、
該支柱により支持された前後の支持部材と、
該前後の支持部材のそれぞれ上側に位置する、被搬送物を積載するための治具が設けられた前後の受部材と、
前記前支持部材及び前受け部材並びに後支持部材及び後受け部材をそれぞれ連結する、前後方向に揺動する前後の平行リンクと、
該前後の平行リンクを一方が前方又は後方に揺動する際に他方が逆方向に揺動するように連動させる、前記前後の平行リンク間を連結する連結リンクと、
前記前後の受け部材が前後方向の内側又は外側に移動した所定移動端で、前記平行リンクの揺動を規制する揺動規制手段と、
前記平行リンク又は連結リンクを駆動して前記受け部材を前記内側又は外側の所定移動端の一方から他方へ移動させる、搬送経路の所定位置に設置された駆動手段と、
を備えたことを特徴とする台車コンベア。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−102105(P2009−102105A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274120(P2007−274120)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【出願人】(000211695)中西金属工業株式会社 (222)