説明

各台対応装置および景品交換システム

【課題】持玉データを特殊景品と交換した場合に発生すると予想される持玉データの端数と、1個の特殊景品との交換に必要な遊技媒体数との差に相当する持玉データを前もって補填することができる各台対応装置を提供する。
【解決手段】制御部80は、持玉データと交換可能な最小特殊景品数より1つ多い景品数に相当する特殊景品と交換するために不足している持玉数(不足数)を算出する。また、制御部80は、その不足数以上のパチンコ玉を払い出すために最低限必要となる貸玉数を補填目標数として算出する。不足数が所定のしきい値以下であるという第1条件と、現遊技者に対するプリペイド価値データが、補填目標数に相当する数の貸玉を払い出すための金額以上であるという第2条件とを満たしている場合において、所定時間内に、貸出ボタン44a,44bが押下されると、制御部80は、補填目標数に相当する数の貸玉を払い出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各遊技機に1対1対応で設けられる各台対応装置および遊技客が獲得した遊技媒体を景品に交換するための景品交換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ店等の遊技施設には、パチンコ機等の遊技機が設置されている。各遊技機に対して、1対1対応で各台計数装置などの各台対応装置が設けられている場合がある(たとえば、下記特許文献1参照)。各台対応装置においては、対応する遊技機において遊技客が獲得したパチンコ玉が計数されるとともに、その計数結果が表示される。計数結果は、持玉データとして各台対応装置の記憶部に記憶される。なお、同じ遊技機において同じ遊技客が遊技を継続して行っている場合において、複数回にわたってパチンコ玉の計数が行われた場合には、その都度、計数値が持玉データに加算されることにより、持玉データが更新される。また、持玉払出操作が遊技客によって行なわれた場合には、パチンコ玉の払い出しが行なわれるとともに、払い出されたパチンコ玉に相当する数が持玉データから減算されることにより、持玉データが更新される。遊技客が遊技終了操作を行うと、その時点での持玉データが遊技用記録媒体(会員カードまたは一般カード)に関連付けられた後、当該遊技用記録媒体が返却される。また、各台対応装置の記憶部に記憶されている持玉データが零にされる。
【0003】
遊技客は、遊技施設内の景品カウンタに設置された景品管理機(特許文献2参照)等を利用することにより、遊技用記録媒体に関連付けられた持玉データを、景品に交換することができる。持玉データを景品に交換した場合には、当該カードに関連付けられている持玉データが更新される。つまり、持玉データの値は、景品交換に使用された分だけ、減少する。
【0004】
なお、景品には、通常景品と、所定の金銭価値を有する特殊景品とがある。特殊景品には、たとえば、1000円、5000円といった金銭価値に応じた複数の種類が存在する。遊技客は、持玉データ等を特殊景品と交換した場合には、当該特殊景品を遊技施設外に設置された景品交換所に持参し、景品交換所にて、特殊景品に相当する価値で買い取ってもらうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-229112号公報
【特許文献2】特開2008-221013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
遊技用記録媒体に関連付けられた持玉データを景品管理機によって特殊景品に交換した場合、通常、余り玉(端数玉)が発生する。1個の特殊景品と交換するために必要なパチンコ玉数と、余り玉の数(端玉数)との差が小さい場合には、可能であれば、その差に相当する数だけ持玉数を増加(追加)させたいと考える遊技客も多いと思われる。しかしながら、現状では、景品管理機において、持玉数を増加させることはできない。
【0007】
前記のような場合に、持玉数を追加するためには、遊技客は、次のような行動をとる必要がある。つまり、まず、遊技客は、景品管理機のある景品カウンタから各台対応装置のあるところまで行き、各台対応装置によって追加で玉貸しを行う。それから、遊技客は、払い出されたパチンコ玉を計数機によって計数させ、その計数値が記録されたレシートを発行させる。そして、遊技客は、そのレシートを景品カウンタに持ち込み、景品管理機によって先ほどの端玉数に、当該レシートに記録されている計数値を加算させる。この加算値が1個の特殊景品と交換するために必要なパチンコ玉数以上であれば、1個の特殊景品との交換が可能となる。しかしながら、このような方法は、時間と手間がかかる。
【0008】
この発明は、持玉データを特殊景品と交換した場合に発生すると予想される持玉データの端数と、1個の特殊景品との交換に必要な遊技媒体数との差に相当する持玉データを前もって補填することができる各台対応装置を提供することを目的とする。
また、この発明は、持玉データを特殊景品と交換した場合に発生する持玉データの端数と、1個の特殊景品との交換に必要な遊技媒体数との差に相当する持玉データを、容易に補填することができる景品交換システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、各遊技機(4)に1対1対応で設けられ、遊技媒体の貸出処理を行なう各台対応装置(5)であって、遊技客が獲得した遊技媒体の数を計数する計数手段(71)と、前記計数手段による計数値に基づいて、前記遊技客が保持している遊技媒体の数を表す持玉データを生成する持玉データ生成手段(80)と、所定の指示が入力されたときにおいて、前記持玉データと交換可能な特殊景品数より1つ多い数の特殊景品と交換するために最低限必要な遊技媒体数と前記持玉データとの差を、不足数として算出する算出手段(80,S3)と、所定の補填条件が満たされている場合に、前記不足数を補填するために遊技媒体を払い出す遊技媒体補填手段(80,S8)と、を含む各台対応装置である。なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、むろん、この発明の範囲は当該実施形態に限定されない。以下、この項において同じ。
【0010】
遊技客が獲得した遊技媒体の数が計数手段によって計数されると、その計数値に基づいて、遊技客が保持している遊技媒体の数を表す持玉データが生成される。所定の指示が入力されたときには、算出手段によって、持玉データと交換可能な特殊景品数より1つ多い数の特殊景品と交換するために最低限必要な遊技媒体数と持玉データとの差が、不足数として算出される。そして、所定の補填条件が満たされている場合には、前記不足数を補填するために遊技媒体が遊技媒体補填手段によって払い出される。
【0011】
遊技媒体補填手段によって払い出された遊技媒体を計数手段によって計数させることにより、持玉データを計数値分だけ増加させることができる。増加後の持玉データを特殊景品と交換した場合には、増加前の持玉データを特殊景品と交換する場合に比べて、交換できる特殊景品の数を1個増加させることができるとともに、交換後に残る持玉データ(端数)を低減させることができる。つまり、持玉データを特殊景品と交換した場合に発生すると予想される持玉データの端数と、1個の特殊景品との交換に必要な遊技媒体数との差に相当する持玉データを前もって補填することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、各遊技機(4)に1対1対応で設けられ、予め関連付けられるプリペイド価値データを使って遊技媒体を貸し出す機能を有する各台対応装置(5)であって、遊技客が獲得した遊技媒体の数を計数する計数手段(71)と、前記計数手段による計数値に基づいて、前記遊技客が保持している遊技媒体の数を表す持玉データを生成する持玉データ生成手段(80)と、所定の遊技終了指令が入力されたときにおいて、前記持玉データと交換可能な特殊景品数より1つ多い数の特殊景品と交換するために最低限必要な遊技媒体数と前記持玉データとの差を、不足数として算出する算出手段(80,S3)と、所定の補填条件が満たされている場合に、前記不足数を補填するために遊技媒体を払い出す遊技媒体補填手段(80,S8)とを含む各台対応装置である。
【0013】
遊技客が獲得した遊技媒体の数が計数手段によって計数されると、その計数値に基づいて、遊技客が保持している遊技媒体の数を表す持玉データが生成される。所定の遊技終了指令が入力されたときには、算出手段によって、持玉データと交換可能な特殊景品数より1つ多い数の特殊景品と交換するために最低限必要な遊技媒体数と持玉データとの差が、不足数として算出される。そして、所定の補填条件が満たされている場合には、前記不足数を補填するために遊技媒体が遊技媒体補填手段によって払い出される。
【0014】
遊技媒体補填手段によって払い出された遊技媒体を計数手段によって計数させることにより、持玉データを計数値分だけ増加させることができる。増加後の持玉データを特殊景品と交換した場合には、増加前の持玉データを特殊景品と交換する場合に比べて、交換できる特殊景品の数を1個増加させることができるとともに、交換後に残る持玉データ(端数)を低減させることができる。つまり、持玉データを特殊景品と交換した場合に発生すると予想される持玉データの端数と、1個の特殊景品との交換に必要な遊技媒体数との差に相当する持玉データを前もって補填することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、各遊技機(4)に1対1対応で設けられ、予め関連付けられるプリペイド価値データを使って遊技媒体を貸し出す機能を有する各台対応装置(5)であって、遊技客が獲得した遊技媒体の数を計数する計数手段(71)と、前記計数手段による計数値に基づいて、前記遊技客が保持している遊技媒体の数を表す持玉データを生成する持玉データ生成手段(80)と、所定の遊技終了指令が入力されたときにおいて、前記持玉データと交換可能な特殊景品数より1つ多い数の特殊景品と交換するために最低限必要な遊技媒体数と前記持玉データとの差を、不足数として算出する算出手段(80,S3)と、所定の補填条件が満たされている場合に、当該各台対応装置に関連付けられているプリペイド価値データから前記不足数分を補填する個数の遊技媒体を払い出すために必要な価値を減算することにより、前記プリペイド価値データを更新させるとともに、前記持玉データに前記不足数に応じた値を加算することにより、前記持玉データを更新させる手段(80,S21)と、を含む各台対応装置である。
【0016】
遊技客が獲得した遊技媒体の数が計数手段によって計数されると、その計数値に基づいて、遊技客が保持している遊技媒体の数を表す持玉データが生成される。所定の遊技終了指令が入力されたときには、算出手段によって、持玉データと交換可能な特殊景品数より1つ多い数の特殊景品と交換するために最低限必要な遊技媒体数と持玉データとの差が、不足数として算出される。そして、所定の補填条件が満たされている場合には、当該各台対応装置に関連付けられているプリペイド価値データから前記不足数分を補填する個数の遊技媒体を払い出すために必要な価値が減算されることにより、当該プリペイド価値データが更新される。また、持玉データに前記不足数に応じた値が加算されることにより、持玉データが更新される。
【0017】
更新後の持玉データを特殊景品と交換した場合には、更新前の持玉データを特殊景品と交換する場合に比べて、交換できる特殊景品の数を1個増加させることができるとともに、交換後に残る持玉データ(端数)を低減させることができる。つまり、持玉データを特殊景品と交換した場合に発生すると予想される持玉データの端数と、1個の特殊景品との交換に必要な遊技媒体数との差に相当する持玉データを前もって補填することができる。
【0018】
請求項2または3に記載の発明において、前記補填条件は、たとえば、請求項4に記載の発明のように、前記不足数が所定値以下であるという条件であってもよい。
請求項2〜4に記載の発明において、前記補填条件は、たとえば、請求項5に記載の発明のように、当該各台対応装置に関連付けられているプリペイド価値データが、前記不足数分を補填する個数の遊技媒体を払い出すために必要な価値以上であるという条件であってもよい。
【0019】
請求項2〜5に記載の発明において、前記補填条件は、たとえば、請求項6に記載の発明のように、補填貸出処理を実行する旨の指示入力があった場合(S7)という条件であってもよい。
請求項7に記載の発明は、遊技客が保有する持玉データを取得して、前記持玉データに基づいて景品交換を行う景品交換システム(11)であって、遊技客が保有するプリペイド価値データを取得するプリペイド価値データ取得手段(90,S32)と、取得された前記持玉データを特殊景品と交換した場合に発生する持玉データの端数と、1個の特殊景品との交換に最低限必要な遊技媒体数との差を、不足数として算出する算出手段(90,S35)と、所定の補填条件が満たされている場合に、前記プリペイド価値データ取得手段によって取得されたプリペイド価値データから前記不足数分を補填する個数の遊技媒体を払い出すために必要な価値を減算することにより、当該プリペイド価値データを更新させるとともに、前記持玉データの端数に前記不足数に応じた値を加算することにより、当該持玉データを更新させるデータ更新手段(90,S41)と、を含む景品交換システムである。
【0020】
プリペイド価値データ取得手段によって遊技客が保有するプリペイド価値データが取得される。遊技客が保有する持玉データを特殊景品と交換した場合に発生する持玉データの端数と、1個の特殊景品との交換に最低限必要な遊技媒体数との差が、不足数として算出される。そして、所定の補填条件が満たされている場合には、プリペイド価値データ取得手段によって取得されたプリペイド価値データから前記不足数分を補填する個数の遊技媒体を払い出すために必要な価値が減算されることにより、当該プリペイド価値データが更新される。また、持玉データの端数に前記不足数に応じた値が加算されることにより、当該持玉データが更新される。
【0021】
更新後の持玉データを特殊景品と交換した場合には、更新前の持玉データを特殊景品と交換する場合に比べて、交換できる特殊景品の数を1個増加させることができるとともに、交換後に残る持玉データ(端数)を低減させることができる。つまり、持玉データを特殊景品と交換した場合に発生する持玉データの端数と、1個の特殊景品との交換に必要な遊技媒体数との差に相当する持玉データを、容易に補填することができる。
【0022】
請求項7に記載の発明において、前記補填条件は、たとえば、請求項8に記載の発明のように、前記不足数が所定値以下であるという条件であってもよい。
請求項7または8に記載の発明において、前記補填条件は、たとえば、請求項9に記載の発明のように、前記プリペイド価値データ取得手段によって取得されたプリペイド価値データが、前記不足数分を補填する個数の遊技媒体を払い出すために必要な価値以上であるという条件であってもよい。
【0023】
請求項7〜9に記載の発明において、前記補填条件は、たとえば、請求項10に記載の発明のように、前記補填条件は、補填貸出処理を実行する旨の指示入力があった場合(S39)という条件であってもよい。
【発明の効果】
【0024】
請求項1〜6に記載の発明によれば、持玉データを特殊景品と交換した場合に発生すると予想される持玉データの端数と、1個の特殊景品との交換に必要な遊技媒体数との差に相当する持玉データを前もって補填することができる各台対応装置を実現できる。
請求項7〜10に記載の発明によれば、持玉データを特殊景品と交換した場合に発生する持玉データの端数と、1個の特殊景品との交換に必要な遊技媒体数との差に相当する持玉データを、容易に補填することができる景品交換装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の一実施形態に係る貸出処理機を備えた管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】遊技機および端末装置の外観を示す正面図である。
【図3】端末装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】景品管理機の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】カード処理機の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】管理装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】データ管理テーブルの内容の一例を示す模式図である。
【図8】端末装置の動作例を示すフローチャートである。
【図9】端末装置の他の動作例を示すフローチャートである。
【図10】端末装置のさらに他の動作例を示すフローチャートである。
【図11】端末装置のさらに他の動作例を示すフローチャートである。
【図12】景品管理機の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る貸出処理機(各台対応装置に相当)を備えた管理システムの構成を示している。
遊技施設には、島毎に、複数の遊技機(この例では、パチンコ台)4が設置されている。また、島毎に、1つの島コントローラ3が設けられている。島内の各遊技機4には、各台計数機能を有する貸出処理機(以下、「端末装置」という)5がそれぞれ設けられている。つまり、各端末装置5は、遊技機4と1対1対応している。島内の各端末装置5は、その島に対応して設けられた島コントローラ3とバス10を介して、管理装置(ターミナルコントローラ(T/C))1および会員サーバ(会員管理装置)2に接続されている。バス10には、さらに、精算機6および景品交換装置(景品交換システム)11が接続されている。
【0027】
景品交換装置11は、景品管理機7、カード処理機8および景品払出機9を含む。景品管理機7、カード処理機8および景品払出機9は、景品カウンタ上に隣接して設けられており、互いに接続されている。
管理装置1は、遊技客に対して発行されるプリペイドカードの有価価値の残高(以下、「プリペイド価値」という)および持玉データの管理等を行う。会員サーバ2は、会員データおよび貯玉データを管理する。プリペイドカード(遊技用記録媒体の一種に相当する。以下、単に「カード」という。)の種類には、会員に対して発行される会員カードと、会員カードを所持していない遊技客のために発行される一般カードとがある。
【0028】
「持玉データ」とは、遊技客が当日に獲得したパチンコ玉のうちの一部または全部を、現物として所有するのではなく数値データとしてカードに関連付けて所有する場合の、数値データをいう。一般カードに関連付けられている持玉データは、当日のみ有効であり、その日の営業が終了した時点で効力を失う。これに対して、会員カードに関連付けられている持玉データは、そのデータが発生した日の営業が終了した時点で、持玉データとしての効力は失うが、「貯玉データ」として会員カードに関連付けられる。
【0029】
この実施形態では、一般カードには、カードID、プリペイド価値データ、持玉データなどのデータが記録される。また、会員カードには、会員ID、プリペイド価値データ、持玉データなどのデータが記録される。カードに記録されているデータを総称して、カードデータという場合がある。
各端末装置5は、現金、カード(会員カード,一般カード)を利用したパチンコ玉の貸出を行う機能、持玉の払出を行なう機能、貯玉に基づくパチンコ玉の貸出を行う機能(貯玉再プレイ機能)、遊技客が獲得したパチンコ玉の計数を行う機能(各台計数機能)等を備えている。
【0030】
精算機6は、会員カード、一般カードに関連付けられているプリペイド価値データを現金に精算するものである。つまり、精算機6は、遊技客が所持するカードに関連付けられているプリペイド価値データを現金化するものである。景品交換装置11(景品管理機7、カード処理機8および景品払出機9)は、一般カードに関連付けられている持玉データまたは会員カードに関連付けられている持玉データまたは貯玉データを、景品に交換するためのものである。なお、景品には、通常景品と、所定の金銭価値を有する特殊景品とがある。特殊景品には、たとえば、1000円、5000円といった金銭価値に応じた複数種類が存在し、特殊景品は景品払出機9から払い出される。遊技客は、持玉データ等を特殊景品と交換した場合には、当該特殊景品を遊技施設外に設置された景品交換所に持参し、景品交換所にて、特殊景品に相当する価値で買い取ってもらうことができる。なお、特殊景品のうち、金銭価値(単価)が最も低い特殊景品(この例では金銭価値が1000円の特殊景品)を、「最小特殊景品」という場合がある。
【0031】
図2は、遊技機4および端末装置5の外観を示している。
端末装置5は、遊技機4の左側において遊技機4の左側面に沿って配置された縦長の台間カード処理部51と、台間カード処理部51の下端部に一体的に設けられた各台計数部52とからなる。通常、複数の遊技機4が横方向に並んで設置されているので、端末装置5の台間カード処理部51は、隣り合う2つの遊技機の間に配置されていることが多い。
【0032】
遊技機4の内部には、貸玉や賞球を払い出すための玉払出機構41が設けられている。遊技機の前面には、遊技機4に打ち出すためのパチンコ玉を一時的に貯留するための上皿42および下皿43が設けられている。上皿42のパチンコ玉が一杯になると、パチンコ玉が下皿43に流れてくるようになっている。上皿42の前面には、パチンコ玉貸出指令(以下、単に「貸出指令」という)を入力するための第1貸出ボタン44a、カード返却指令(遊技を終了するための指令)を入力するための第1カード返却ボタン45aおよびカードのプリペイド価値を表示するためのプリペイド価値表示部46が設けられている。
【0033】
台間カード処理部51の前面には、状態表示部61、紙幣挿入部62、表示部64、操作部65、玉払出用ノズル66、カード挿入/返却部67などが設けられている。台間カード処理部51の内部には、紙幣挿入部62から挿入された紙幣を鑑別して取り込むための紙幣識別部81(図3参照)、カードからデータを読み取ったり、カードにデータを書き込んだりするためのカードリード/ライタ部(カードR/W部)82(図3参照)、玉払出用ノズル66を介して遊技機4の上皿42に、パチンコ玉を供給するための玉払出部83(図3参照)などが設けられている。状態表示部61は、端末装置5の運転状態を表示するものである。
【0034】
各台計数部52は、台間カード処理部51の下端部に一体的に形成されかつ内部に計数部71を有する計数部本体72と、下皿43の下方に配置された玉受け皿73と、玉受け皿73内のパチンコ玉を計数部本体72内の計数部71に送るための玉通路74とを備えている。玉受け皿73の前面には、持玉払出ボタン75と持玉表示部76とが設けられている。
【0035】
持玉払出ボタン75は、持玉払出指令を入力するためのボタンである。持玉表示部76には、計数値、持玉データなどが表示される。なお、下皿43の底面にはシャッタ(図示略)が設けられており、このシャッタを開放することにより、下皿43に貯留されているパチンコ玉を、玉受け皿73に送り込むことができるようになっている。
図3は、端末装置5の電気的構成を示している。
【0036】
端末装置5は、制御部80によって制御される。制御部80は、CPUおよびそのプログラム等を記憶したメモリ(ROM、RAM等)を備えており、プログラムにしたがって所定の処理を実行する。制御部80には、状態表示部61、紙幣識別部81、表示部64、操作部65、カードR/W部82、玉払出部83、上位通信I/F部84、台I/F部85、遊技機通信I/F部86、メモリ部87、各台計数部52、電源部88などが接続されている。各台計数部52は、計数部71、持玉払出ボタン75および持玉表示部76を含む。
【0037】
操作部65には、テンキー(図示略)、再プレイボタン(図示略)、貸出指令を入力するための第2貸出ボタン44b、カード返却指令(遊技を終了するための指令)を入力するための第2カード返却ボタン45b等の操作ボタンが設けられている。第2貸出ボタン44bは発光ダイオードを内蔵しており、点灯状態となったり、点滅状態になったりすることが可能となっている。第2貸出ボタン44bは、通常は、消灯状態となっている。
【0038】
カードR/W部82には、複数枚の一般カードが収納されている。上位通信I/F部84は、島コントローラ3を介して管理装置1、会員サーバ2等と通信するためのインタフェースであり、島コントローラ3に接続されている。台I/F部85は、遊技機4の第1貸出ボタン44a、第1返却ボタン45aおよびプリペイド価値表示部46を、制御部80に接続するためのインタフェースであり、これらのボタン44a,45aおよび表示部46に接続されている。遊技機通信I/F部86は、遊技機4と通信を行うためのインタフェースであり、遊技機4の制御部に接続されている。メモリ部87は、作業用メモリとして用いられる。電源部88は、入力電力から端末装置5の各部に必要とされる出力電力を生成する。
【0039】
図4は、景品管理機7の電気的構成を示している。
景品管理機7は、制御部90を備えている。制御部90は、CPUおよびそのプログラム等を記憶したメモリ(ROM、RAM等)を備えており、プログラムにしたがって所定の処理を実行する。制御部90には、表示部91、操作部92、印字部93、上位通信I/F部94、カード処理機用通信I/F部95、景品払出機用通信I/F部96、電源部97、メモリ部98などが接続されている。
【0040】
上位通信I/F部94は、管理装置1、会員サーバ2等と通信するためのインタフェースであり、バス10に接続されている。カード処理機用通信I/F部95は、カード処理機8と通信を行うためのインタフェースであり、カード処理機8に接続されている。景品払出機用通信I/F部96は、景品払出機9と通信を行うためのインタフェースであり、景品払出機9に接続されている。電源部97は、入力電力から景品管理機7の各部に必要とされる出力電力を生成する。メモリ部98は作業用メモリとして用いられる。
【0041】
図5は、カード処理機8の電気的構成を示している。
カード処理機8は、制御部100を備えている。制御部100は、CPUおよびそのプログラム等を記憶したメモリ(ROM、RAM等)を備えており、プログラムにしたがって所定の処理を実行する。制御部100には、カードリード/ライタ部(カードR/W部)101、表示部102、操作部103、上位通信I/F部104、景品管理機用通信I/F部105、電源部97などが接続されている。
【0042】
上位通信I/F部104は、管理装置1、会員サーバ2等と通信するためのインタフェースであり、バス10に接続されている。景品管理機用通信I/F部105は、景品管理機7と通信を行うためのインタフェースであり、景品管理機7に接続されている。電源部106は、入力電力からカード処理機8の各部に必要とされる出力電力を生成する。
図6は、管理装置1の電気的構成を示している。
【0043】
管理装置1は、制御部110によって制御される。制御部110は、CPUおよびそのプログラムなどを記憶したメモリ(ROM、RAM等)を備えており、プログラムにしたがって所定の処理を実行する。制御部110には、不揮発性メモリ部111、電源部112、下位通信I/F部113、メモリ部114などが接続されている。
不揮発性メモリ部111は、たとえば、書き換え可能な不揮発性メモリからなる。不揮発性メモリ部111には、データ管理テーブル111aなどが設けられている。データ管理テーブル111aには、図7に示すように、一般カードのカードIDまたは会員カードの会員IDに関連付けて、プリペイド価値データと持玉データとが記憶される。
【0044】
図6に戻り、電源部112は、入力電力から管理装置1の各部に必要とされる出力電力を生成する。メモリ部114は、作業用メモリとして用いられる。下位通信I/F部113は、島コントローラ3を介して各端末装置5と通信したり、精算機6、景品管理機7、カード処理機8等と通信したりするためのインタフェースである。図示していないが、制御部110には、会員サーバ2と通信するためのインタフェースが接続されている。
【0045】
遊技客が遊技機4で遊技を行なう際の端末装置5の基本的な動作について説明する。まず、現金(紙幣)に基づいて玉貸が行なわれる場合の、端末装置4の基本的な動作について説明する。端末装置5の紙幣挿入口62に紙幣が投入されると、挿入された紙幣の金額に相当する度数(プリペイド価値)が遊技機4のプリペイド価値表示器46に表示される。また、カードR/W部82内に収納されている一般カードのうちの1枚のカードIDが仮発行され(この時点では、当該一般カードからカードIDが読み取られるだけで、当該カードは排出されない)、当該カードIDに関連して、プリペイド価値データ(この場合は挿入された紙幣の金額に相当する値)が、メモリ部87に一時的に記憶されるとともに、管理装置1に送信される。管理装置1は、データ管理テーブル111aに、受信したカードIDに関連付けて、受信したプリペイド価値データを記憶する。このとき、プリペイド価値データは、カードIDに関連付けられるとともに、当該端末装置5に関連付けられることになる。
【0046】
遊技機4の第1貸出ボタン44aまたは端末装置5の第2貸出ボタン44bが押下されると、遊技機4側の玉払出機構41から、1回分の貸玉払出数に相当するパチンコ玉(貸玉)が、上皿42に払い出される。たとえば、100個のパチンコ玉が払い出される。これにより、前記プリペイド価値データが減算される。つまり、仮発行されたカードIDに関連付けられているプリペイド価値データ(メモリ部87上のプリペイド価値データおよび管理装置1側で管理しているプリペイド価値データ)が更新される。遊技客は、より多くの貸玉の払出を受けたい場合には、再度、貸出ボタン44a,44bを押下すればよい。
【0047】
端末装置5の計数部71によって計数処理が行なわれたときには、その計数値がメモリ部87に持玉データとして記憶される。このとき、持玉データは、前記仮発行されたカードIDに関連付けられるとともに、当該端末装置5に関連付けられることになる。メモリ部87に持玉データが記憶されている状態において、端末装置5の計数部71によって計数処理が行なわれる場合および持玉払出指令に基づいて端末装置5により遊技機4にパチンコ玉が払い出された場合には、当該持玉データは更新(加算または減算)される。
【0048】
遊技客が遊技機4の第1カード返却ボタン45aまたは端末装置1の第2カード返却ボタン45bを押下すると、後述する補填制御処理が行なわれた後、原則的にはカード返却処理が行なわれる。カード返却処理においては、仮発行されたカードIDに関連してメモリ部87に記憶されている持玉データが、当該カードIDとともに、管理装置1に送られる。管理装置1は、データ管理テーブル111aに、受信した持玉データを、受信したカードIDに関連付けて記憶する。また、端末装置5側では、端末装置5の内部にストックされておりかつ前述の仮発行されたカードIDが記録された一般カードに、メモリ部87上のプリペイド価値データおよび持玉データが記録された後、当該一般カードが発行(返却)される。また、メモリ部87上のプリペイド価値データおよび持玉データが消去される。
【0049】
遊技客は、他の遊技機4に台移動した後、この一般カードを挿入して、プリペイド価値データに基づく貸玉の払出や持玉データに基づく持玉の払出を受けることが可能である。また、遊技客は、遊技施設に設置された精算機6において、一般カードに関連付けられたプリペイド価値データを精算することができる。さらに、遊技客は、遊技施設内の景品カウンタに設置された景品交換装置11によって、一般カードに関連付けられた持玉データを、景品に交換することができる。持玉データを、景品に交換した場合には、当該カードに関連付けられている持玉データ(管理装置1側で管理されている持玉データおよびカードに記録されている持玉データ)が更新される。つまり、持玉データの値は、景品交換に使用された分だけ、減少する。
【0050】
なお、会員カードについても、同様に、精算機6において、会員カードに関連付けられたプリペイド価値データを精算することができる。また、景品管理機7およびカード処理機8において、会員カードに関連付けられた持玉データまたは貯玉データを、景品に交換することができる。
端末装置5に一般カードまたは会員カードが挿入され、挿入されたカードに関連付けられているプリペイド価値データに基づいて玉貸が行なわれる場合の、端末装置5の基本的な動作について説明する。端末装置5のカード挿入/返却口67に一般カードまたは会員カードが挿入されると、カードIDまたは会員IDを含むカードデータが読み取られる。端末装置5は、当該カードIDまたは会員IDを管理装置1に送信する。
【0051】
管理装置1は、端末装置5から受信したカードIDまたは会員IDに対応するプリペイド価値データおよび持玉データを、データ管理テーブル111aから検索して、端末装置5に送信する。端末装置5は、管理装置1から送信されてきたプリペイド価値データおよび持玉データを、当該カードIDまたは会員IDに関連してメモリ部87に一時的に記憶する。このとき、カードIDまたは会員IDに関連付けられているプリペイド価値データおよび持玉データは、当該端末装置5にも関連付けられることになる。また、端末装置5は、取得したプリペイド価値データに対応する度数を遊技機4のプリペイド価値表示器46に表示させる。
【0052】
そして、第1貸出ボタン44aまたは第2貸出ボタン44bが押下されると、遊技機4側の玉払出機構41から、1回分の貸玉払出数に相当するパチンコ玉(貸玉)が、上皿42に払い出される。また、プリペイド価値データが減算される。つまり、遊技客によって挿入されたカードに関連付けられているプリペイド価値データ(メモリ部87上のプリペイド価値データおよび管理装置1側で管理しているプリペイド価値データ)が更新される。
【0053】
なお、当該カードIDに関連してメモリ部87に記憶された持玉データは、端末装置5の計数部71によって計数処理が行なわれる場合および持玉払出指令に基づいて端末装置5により遊技機4に持玉が払い出された場合には、更新される。
遊技客が遊技機4の第1カード返却ボタン45aまたは端末装置1の第2カード返却ボタン45bを押下すると、後述する補填制御処理が行なわれた後、原則的にはカード返却処理が行なわれる。カード返却処理においては、メモリ部87に記憶されている持玉データが、対応するカードIDまたは会員IDとともに、管理装置1に送られる。管理装置1は、データ管理テーブル111a内の受信したカードIDまたは会員IDに対応する持玉データを、受信した持玉データに書き換える。また、端末装置5側では、遊技客により挿入されているカードにメモリ部87上のプリペイド価値データおよび持玉データが記録された後、当該カードが返却される。ただし、挿入されたカードが一般カードであって、プリペイド価値データおよび持玉データとも零である場合には、当該カードは収納され、再利用される。また、メモリ部87上のプリペイド価値データおよび持玉データが消去される。
【0054】
遊技客が獲得したパチンコ玉を計数部71によって計数させる場合の端末装置5の基本的な動作について説明する。遊技客が下皿43の底面のシャッタを開放すると、下皿43に貯留されているパチンコ玉が、玉受け皿73に送り込まれる。玉受け皿73に送り込まれたパチンコ玉は、玉通路74を通って計数部71に送られる。計数部71に送られてきたパチンコ玉の数が計数部71によって計数される。計数動作中においては、計数開始前にメモリ部87に記憶されている持玉データに、その時点での計数値が加算された値が演算されることにより、持玉データが更新される。そして、更新された持玉データが持玉表示部76に表示される。つまり、計数動作中においては、持玉表示部76に表示される持玉データが変化する。
【0055】
持玉払出ボタン75が押下された場合の端末装置5の基本的な動作について説明する。持玉払出ボタン75が押下されると、端末装置5は、カードIDまたは会員IDに関連してメモリ部87に記憶されている持玉データが所定数以上あれば、持玉払出単位に相当する所定個数のパチンコ玉を払い出し、持玉データが所定数未満であれば持玉データに相当する数のパチンコ玉を払い出す。端末装置5は、カードIDまたは会員IDに関連してメモリ部87に記憶されている持玉データを更新する。具体的には、端末装置5は、カードIDまたは会員IDに関連してメモリ部87に一時的に記憶されている持玉データから、払出されたパチンコ玉の数(持玉払出数)を減算することにより、メモリ部87上の持玉データを更新する。
【0056】
図8は、端末装置5の制御部80によって実行される補填制御処理の手順を示している。
以下において、端末装置5によって現在受け付けられているカードのカードIDまたは会員ID若しくは現在仮発行されているカードIDを総称して「現遊技客に対するカードID」という場合がある。また、「現遊技客に対するカードID」に対応するプリペイド価値データを「現遊技客に対するプリペイド価値データ」といい、「現遊技客に対するカードID」に対応する持玉データを「現遊技客に対する持玉データ」という場合がある。
【0057】
第1カード返却ボタン45aまたは第2カード返却ボタン45bが押下されると(ステップS1)、制御部80は、ステップS2〜S11からなる補填制御処理を開始する。つまり、制御部80は、現遊技客に対する持玉データと、パチンコ玉の貸出レート[円](玉1個当たりの貸出金額である)と、交換率[%](パチンコ玉を特殊景品に交換するときのレート)と、最小特殊景品の単価(金銭価値)[円]とに基づいて、当該持玉データと交換可能な最小特殊景品数(景品数)Xと余り玉数(端玉数)αを算出する。具体的には、「交換単位玉数」を、最小特殊景品と交換するのに必要なパチンコ玉数と定義すると、制御部80は、次式(1)に基づいて、現遊技客に対する持玉データと交換可能な最小特殊景品数Xと端玉数αを算出する。
【0058】
[持玉データ]÷[交換単位玉数]=[景品数X]…[端玉数α] …(1)
[交換単位玉数]=[最小特殊景品の単価]÷([貸出レート]×[交換率]/100)
以下においては、遊技台4が低レート(この例では、貸出レートが4円未満を意味する)の台である場合の例について説明する。最小特殊景品の単価が1000円、貸出レートが1円、交換率が50%とすると、交換単位玉数は、1000÷(1×50/100)=2000となる。持玉データが”3720”である場合には、それを交換単位玉数の”2000“で割ると、3720÷2000=1…1720となる。したがって、この場合には、景品数Xは1個となり、端玉数αは1720個となる。なお、貸出レートや交換率は開店処理時に管理装置1から端末装置5に送信され、端末装置5のメモリ部87に記憶される。
【0059】
参考のために、遊技台4が通常レート(この例では、貸出レートが4円を意味する)の台である場合の景品数Xおよび端玉数αの算出例を示しておく。たとえば、最小特殊景品の単価が1000円、貸出レートが4円、交換率が100%(等価交換)とすると、交換単位玉数は、1000÷(4×100/100)=250となる。持玉データが”3720”である場合には、それを交換単位玉数の”250“で割ると、3720÷250=14…220なる。したがって、この場合には、景品数Xは14個となり、端玉数αは220個となる。
【0060】
次に、制御部80は、前記ステップS2で算出された景品数Xより1つ多い数の特殊景品と交換するために不足している持玉数(不足数)Yを算出するとともに、その不足数Y以上のパチンコ玉を払い出すために最低限必要となる貸玉数を補填目標数Zとして算出する(ステップS3)。
具体的には、制御部80は、まず、不足数Yを、次式(2)に基づいて算出する。
【0061】
[不足数Y]=[交換単位玉数]−[端玉数]…(2)
上記低レートの例では、不足数Yは、280(=2000−1720)となる。
次に、制御部80は、不足数Y以上のパチンコ玉を払い出すために最低限必要となる貸玉数を補填目標数Zとして算出する。これは、一回の貸玉払出動作によって払い出される貸玉数(貸玉払出単位)が決められているため、不足数Yに相当する数のパチンコ玉を払い出すためには、貸玉払出単位の整数倍であって、不足数Y以上の数に相当するパチンコ玉を払い出す必要があるためである。貸玉払出単位は、この例では、100である。
【0062】
具体的には、制御部80は、[貸玉払出単位]×n≧[不足数Y]の条件を満たす整数nのうちの最小値nminを求める。そして、次式(3)に基づいて、補填目標数Zを算出する。
[補填目標数Z]=[貸玉払出単位]×nmin …(3)
前記低レートの例では、不足数Yが280である。貸玉払出単位が100である場合には、nmin=3となるため、補填目標数Zは300となる。
【0063】
次に、制御部80は、不足数Yが所定のしきい値A以下であるという第1条件を満たしているか否かを判別する(ステップS4)。しきい値Aとしては、たとえば、500が設定される。第1条件を満たしていない場合(Z>A)には(ステップS4:NO)、補填すべき貸玉数が多くなりすぎると判断し、制御部80は、カード返却処理を行なう(ステップS12)。不足数Yが0の場合もここに含まれる。そして、通常待機状態に戻る。
【0064】
カード返却処理においては、制御部80は、メモリ部87に記憶されている現遊技客に対する持玉データを、現遊技者に対するカードIDとともに、管理装置1に送る。管理装置1は、データ管理テーブル111a内の受信したカードIDに対応する持玉データを、受信した持玉データに書き換える。また、制御部80は、遊技客により挿入されているカードまたは仮発行されたカードIDが記録された一般カードにメモリ部87に記憶されている現遊技客に対するプリペイド価値データおよび持玉データを記録した後、当該カードを返却する。ただし、挿入されたカードが一般カードであって、プリペイド価値データおよび持玉データとも零である場合には、当該カードは収納され、再利用される。また、制御部80は、メモリ部87に記憶されている前記プリペイド価値データおよび持玉データを消去する。
【0065】
前記ステップS4において、第1条件を満たしていると判別された場合(Z≦A)には(ステップS4:YES)、現遊技者に対するプリペイド価値データが、補填目標数Zに相当する数の貸玉を払い出すための金額(度数)以上であるという第2条件を満たしているか否かを判別する(ステップS5)。第2条件を満たしていない場合には(ステップS5:NO)、貸玉の払出を行なうことができないので、制御部80は、カード返却処理を行なう(ステップS12)。そして、通常待機状態に戻る。
【0066】
前記ステップS5において、第2条件を満たしていると判別された場合には(ステップS5:YES)、貸出ボタンを押下することによって後述する補填玉貸処理が行なわれることを遊技客に報知するために、制御部80は、第2貸出ボタン44bを点滅させる(ステップS6)。そして、制御部80は、第1貸出ボタン44aまたは第2貸出ボタン44bが押下されるのを待つ(ステップS7)。ステップS6で第2貸出ボタン44bが点滅されてから所定時間内に、第1貸出ボタン44aまたは第2貸出ボタン44bが押下されると(ステップS7:YES)、制御部80は、補填玉貸処理およびプリペイド価値データの更新処理を行なう(ステップS8)。
【0067】
具体的には、制御部80は、補填目標数Zに相当する数の貸玉を払い出すための処理(補填玉貸処理)を行う。前記低レートの例では、Z=300であるので、100個の貸玉を払い出すための貸玉払出動作が3回連続して行われる。また、制御部80は、プリペイド価値データの更新処理を行なう。具体的には、制御部80は、メモリ部87に記憶されている現遊技客に対するプリペイド価値データから、補填目標数Zに相当する数の貸玉を払い出すために必要な金額(出金額)を減算することにより、現遊技客に対するプリペイド価値データを更新する。また、制御部80は、管理装置1に、現遊技客に対するカードID、前記出金額等を含む更新用データを送信する。管理装置1は、端末装置5から更新用データを受信すると、データ管理テーブル111a内に受信したカードIDに関連して記憶されているプリペイド価値データを、受信した出金額に基づいて更新する。
【0068】
ステップS8の処理が終了すると、制御部80は、計数部71による計数処理が開始されるのを待つ(ステップS9)。計数部71は、遊技者の操作によって計数部71にパチンコ玉が送り込まれてくると、計数処理を開始する。ステップS8の処理が終了してから所定時間に、計数部71による計数処理が開始されたときには(ステップS9:YES)、制御部80は、持玉データ更新処理を行う(ステップS10)。具体的には、制御部80は、計数部71による計数処理が行なわれているときには、計数開始前にメモリ部87に記憶されている遊技客に対する持玉データに、その時点での計数値を加算することにより、当該持玉データを更新する。
【0069】
計数部71による計数処理が終了すると、制御部80は、第1カード返却ボタン45aまたは第2カード返却ボタン45bが押下されるのを待機する(ステップS11)。計数部71による計数処理が終了してから所定時間内に、いずれかのカード返却ボタン45a,45bが押下された場合には(ステップS11:YES)、制御部80はカード返却処理を行う(ステップS12)。そして、通常待機状態に戻る。
【0070】
ステップS6で第2貸出ボタン44bが点滅されてから所定時間内に、貸出ボタン44a,44bのいずれもが押下されなかった場合には(ステップS7:NO)、制御部80は、遊技客は補填玉貸処理を希望していないと判断し、カード返却処理を行なう(ステップS12)。そして、通常待機状態に戻る。
ステップS8の処理が終了してから所定時間に計数部71による計数処理が開始されなかった場合には(ステップS9:NO)、制御部80は、遊技客は、補填玉貸処理によって払い出されたパチンコ玉に対して計数処理を行なう意思がなく、遊技を継続する意向であると判断し、カード返却処理を行なわずに、通常待機状態に戻る。
【0071】
ステップS9で開始された計数処理が終了してから所定時間内に、カード返却ボタン45a,45bのいずれもが押下されなかった場合には(ステップS11:NO)、制御部80は、遊技客は遊技を継続する意向であると判断し、カード返却処理を行なわずに、通常待機状態に戻る。
図8を参照して、遊技客が遊技終了を希望し、かつ遊技終了時に補填玉貸処理を希望する場合には、遊技客は次のような操作を行なえばよい。
【0072】
すなわち、まず、遊技客は、いずれかのカード返却ボタン45a,45bを押下する。すると、ステップS2,S3の処理が行なわれ、補填目標数Zが算出される。そして、前述した第1条件および第2条件を満足する場合には(ステップS4,S5参照)、第2貸出ボタン44bが点滅されるので(ステップS6参照)、遊技客は、いずれかの貸出ボタン44a,45bを押下する(ステップS7参照)。これにより、補填玉貸処理およびプリペイド価値データ更新処理が実行され(ステップS8参照)、補填目標数Zに相当する数の貸玉が払い出される。
【0073】
そこで、遊技客は、下皿43の底面のシャッタを開放させる。これにより、下皿43に貯留されているパチンコ玉が玉受け皿73および玉通路74を介して計数部71に送り込まれ、計数部71による計数処理が開始される(ステップS9)。計数処理が行なわれているときには、メモリ部87内の遊技客に対する持玉データが更新される(ステップS10)。計数処理が終了した後に、遊技客はいずれかのカード返却ボタン45a,45bを押下する(ステップS11参照)。これにより、カード返却処理が行なわれ、カードが返却される(ステップS12参照)。
【0074】
このカードには、遊技客に対するプリペイド価値データおよび持玉データが関連付けられている。この場合、当該カードに関連付けられている持玉データは、補填玉貸処理(ステップS8参照)が行なわれる前の持玉データに補填目標数Zが加算された値となる。したがって、当該カードを景品カウンタに持参して特殊景品と交換する場合には、補填玉貸処理が行なわれる前の持玉データを特殊景品と交換する場合に比べて、当該カードに関連付けられているプリペイド価値データが補填目標数Zに応じた額だけ減少するが、特殊景品の交換数が1個多くなるとともに、端玉数が減少する。
【0075】
図9は、端末装置1の制御部80によって行なわれる補填制御処理の他の例を示している。図9の各ステップのうち、図8のステップと同じ処理が行なわれるステップには、図8と同じステップ番号が付されている。
図9においても、いずれかのカード返却ボタン45a,45bが押下されることによって、補填制御処理が開始される。補填制御処理は、ステップS2〜S7およびS21とからなる。このうち、ステップS2〜S7の処理は、図8のステップS2〜S7の処理と同じである。 図9を参照して、ステップS6において第2貸出ボタン44bが点滅されてから所定時間内に第1貸出ボタン44aまたは第2貸出ボタン44bが押下された場合には(ステップS7:YES)、制御部80は補填用データ処理を行なう(ステップS21)。
【0076】
この補填用データ処理は、プリペイド価値データの更新処理と持玉データの更新処理とからなる。プリペイド価値データの更新処理は、図8のステップS8で行なわれるプリペイド価値データの更新処理と同じである。つまり、制御部80は、現遊技客に対するプリペイド価値データから、補填目標数Zに相当する数の貸玉を払い出すために必要な金額(度数)を減算することにより、当該プリペイド価値データを更新する。これにより、メモリ部87に記憶されている現遊技客に対するプリペイド価値データが更新されるとともに、管理装置1に管理されている現遊技客に対するプリペイド価値データが更新される。また、制御部80は、メモリ部87に記憶されている遊技客に対する持玉データに、補填目標数Zを加算することにより、メモリ部87に記憶されている遊技客に対する持玉データを更新する。
【0077】
ステップS21の処理が終了すると、制御部80は、カード返却処理を行なう(ステップS12)。これにより、通常待機状態となる。
図9の補填制御処理では、ステップS6において第2貸出ボタン44bが点滅された場合に、遊技客が所定時間内に第1貸出ボタン44aまたは第2貸出ボタン44bを押下すると(ステップS7:YES)、メモリ部87に記憶されている現遊技客に対する持玉データが、その値に補填目標数Zを加算した値に更新される(ステップS21)。また、メモリ部87に記憶されている現遊技客に対するプリペイド価値データおよび管理装置1に管理されている現遊技客に対するプリペイド価値データが、その値から補填目標数Zに相当する数の貸玉を払い出すために必要な金額を減算した値に更新される(ステップS21)。このようにして、持玉データおよびプリペイド価値データが更新されると、ステップS12のカード返却処理が行なわれる。
【0078】
つまり、図9の補填制御処理では、図8の補填制御処理のように補填目標数Zに相当する数の貸玉が実際に払い出されないので、払い出された貸玉を計数部によって計数させる必要も必要がない。言い換えれば、図9の補填制御処理では、図8の補填制御処理に比べて、補填目標数Zに相当する数のパチンコ玉を持玉データに補填するための処理を、データ処理のみで行なえるので、制御の簡素化と時間の短縮化が図れる。
【0079】
図9の補填制御処理においても、補填用データ処理が行なわれた後にカード返却処理によって返却されたカードを特殊景品と交換する場合には、補填用データ処理が行なわれる前の持玉データを特殊景品と交換する場合に比べて、当該カードに関連付けられているプリペイド価値データが補填目標数Zに応じた額だけ減少するが、特殊景品の交換数が1個多くなるとともに端玉数が減少する。
【0080】
図10は、端末装置5によって行われる補填制御処理のさらに他の例を示している。図10の各ステップのうち、図8のステップと同じ処理が行なわれるステップには、図8と同じステップ番号が付されている。
第1カード返却ボタン45aおよび第2カード返却ボタン45bを「通常カード返却ボタン」と呼ぶことにする。第2端末装置5の操作部65には、通常カード返却ボタン45aの他に、図3に破線で示すように補填制御処理専用のカード返却ボタン(補填用カード返却ボタン)45cが設けられている。この補填用カード返却ボタン45cも、遊技を終了するために指令を入力させるためのボタンである。
【0081】
図10の動作例では、通常カード返却ボタン45a,45bのいずれかが押下された場合には(ステップS1:YES)、制御部80は、図8の動作例と異なり、カード返却処理を行う(ステップS12)。一方、補填用カード返却ボタン45cが押下された場合には(ステップS22:YES)、制御部80は、補填制御処理を開始する。補填制御処理は、ステップS2〜S5およびS8〜S11とからなる。このうち、ステップS2〜S5の処理およびステップS8〜S11の処理は、それぞれ図8のステップS2〜S5およびステップS8〜S11の処理と同じである。但し、ステップS11では、通常カード返却ボタン45a,45bだけでなく、補填用カード返却ボタン45cが押下された場合にもステップS12へ進むものとする。
【0082】
図10を参照して、ステップS4の第1条件およびステップS5の第2条件を満たしていると判別された場合には(ステップS5:YES)、図8のステップS6,S7の処理を行なうことなく、ステップS8の補填玉貸処理およびプリペイド更新処理を行なっている点が、図8の補填制御処理と異なっている。つまり、図10の補填制御処理では、第1条件および第2条件を満たしていると判別された場合には、貸出ボタン44a、44bの押下を待つことなく、補填玉貸処理およびプリペイド更新処理が行なわれる。
【0083】
図10の動作例では、遊技客が遊技終了を希望し、かつ遊技終了時に補填玉貸処理を希望する場合には、遊技客は補填用カード返却ボタン45cを押下すればよい。一方、遊技客が単に遊技終了を希望する場合には、遊技客は通常カード返却ボタン45a,45bのいずれかを押下すればよい。
図10の補填制御処理は、図8の補填玉貸処理と比べて、図8のステップS6,S7の処理が省略されているので、処理の簡素化および処理時間の短縮化が図れる。
【0084】
図11は、端末装置5によって行われる補填制御処理のさらに他の例を示している。図11の各ステップのうち、図8のステップと同じ処理が行なわれるステップには、図8と同じステップ番号が付されている。
第1カード返却ボタン45aおよび第2カード返却ボタン45bを「通常カード返却ボタン」と呼ぶことにする。第2端末装置5の操作部65には、通常カード返却ボタン45aの他に、図3に破線で示すように補填制御処理専用のカード返却ボタン(補填用カード返却ボタン)45cが設けられている。この補填用カード返却ボタン45cも、遊技を終了するために指令を入力させるためのボタンである。
【0085】
図11の動作例では、通常カード返却ボタン45a,45bのいずれかが押下された場合には(ステップS1:YES)、制御部80は、図8の動作例と異なり、カード返却処理を行う(ステップS12)。一方、補填用カード返却ボタン45cが押下された場合には(ステップS22:YES)、制御部80は、補填制御処理を開始する。補填制御処理は、ステップS2〜S5およびS21とからなる。このうち、ステップS2〜S5の処理は、図8のステップS2〜S5の処理と同じである。
【0086】
図11を参照して、ステップS4の第1条件およびステップS5の第2条件を満たしていると判別された場合には(ステップS5:YES)、制御部80は補填用データ処理を行なう(ステップS21)。
この補填用データ処理は、プリペイド価値データの更新処理と持玉データの更新処理とからなる。プリペイド価値データの更新処理は、図8のステップS8で行なわれるプリペイド価値データの更新処理と同じである。つまり、制御部80は、現遊技客に対するプリペイド価値データから、補填目標数Zに相当する数の貸玉を払い出すために必要な金額(度数)を減算することにより、当該プリペイド価値データを更新する。これにより、メモリ部87に記憶されている現遊技客に対するプリペイド価値データが更新されるとともに、管理装置1に管理されている現遊技客に対するプリペイド価値データが更新される。また、制御部80は、メモリ部87に記憶されている遊技客に対する持玉データに、補填目標数Zを加算することにより、メモリ部87に記憶されている遊技客に対する持玉データを更新する。
【0087】
ステップS21の処理が終了すると、制御部80は、カード返却処理を行なう(ステップS12)。これにより、通常待機状態となる。
図11の補填制御処理では、図8の補填制御処理のように補填目標数Zに相当する数の貸玉が実際に払い出されないので、払い出された貸玉を計数部によって計数させる必要も必要がない。このため、処理の簡素化および処理時間の短縮化が図れる。また、図11の補填制御処理では、図9の補填制御処理に比べて、図9のステップS6,S7の処理が省略されているので、処理の簡素化および処理時間の短縮化が図れる。
【0088】
図12は、景品管理機7によって行なわれる景品交換処理の手順を示している。
カード処理機8によって一般カードまたは会員カードのカードデータが読み取られた場合には、そのカードデータが景品管理機7に送られてくる。
景品管理機7の制御部90は、カード処理機8からのカードデータを受信すると(ステップS31)、管理装置1と通信することにより、受信したカードデータに含まれているカードIDまたは会員ID(以下、「受信カードID」という)に関連付けられているプリペイド価値データおよび持玉データを取得して、メモリ部98に一時的に記憶する(ステップS32)。
【0089】
遊技客が特殊景品との交換を希望した場合には、係員の操作に基づいて、制御部90は、特殊景品への交換処理を行なう(ステップS33)。つまり、制御部90は、前記ステップS32で取得した持玉データに基づいて、持玉データと交換可能な特殊景品の種類および数を演算して、景品払出機9に送る。景品払出機9は、受信した特殊景品の種類および数に応じて、特殊景品を払い出す。また、制御部90は、前記受信カードIDに関連付けられている持玉データを、その値から特殊景品の交換のために使用された持玉数を減算した値(景品交換後の端玉数に相当する)に更新させるための処理を行なう。
【0090】
制御部90は、前記ステップS33の特殊景品への交換処理を行なったときに、端数玉が発生したか否かを判別する(ステップS34)。端数玉が発生しなかった場合には(ステップS34:NO)、制御部90は、今回の景品交換処理を終了する。
前記ステップS34において、端数玉が発生した場合には(ステップS34:YES)、制御部90は、最小特殊景品と交換するために不足している持玉数(不足数)Y1を算出する(ステップS35)。具体的には、制御部90は、不足数Y1を、次式(4)に基づいて算出する。ただし、[交換単位玉数]は、最小特殊景品と交換するのに必要なパチンコ玉数である。
【0091】
[不足数Y1]=[交換単位玉数]−[端玉数]…(4)
そして、制御部90は、不足数Y1が所定のしきい値A以下であるという第1条件を満たしているか否かを判別する(ステップS36)。第1条件を満たしていない場合(Y1>A)には(ステップS36:NO)、制御部90は、端数玉を端数景品(ガム、チョコレート等の小額の通常景品)に交換するための端数玉交換処理を行なう(ステップS43)。そして、今回の景品交換処理を終了する。
【0092】
第1条件を満たしている場合には、前記ステップS32で取得したプリペイド価値データが、不足数Y1に相当する数の貸玉を払い出すための金額(度数)以上であるという第2条件を満たしているか否かを判別する(ステップS37)。第2条件を満たしていない場合には(ステップS37:NO)、制御部90は、端数玉交換処理を行なう(ステップS43)。そして、今回の景品交換処理を終了する。
【0093】
第2条件を満たしていると判別された場合には(ステップS37:YES)、制御部90は、カード処理機8に所定の指令を送信することによって、カード処理機8の表示部102に、持玉補填OKボタンおよびキャンセルボタンを表示させる(ステップS38)。カード処理機8は、持玉補填OKボタンが押下された場合にはその旨を景品管理機7に通知し、キャンセルボタンが押下されたときにはその旨を景品管理機7に通知する。ここで、持玉補填OKボタンおよびキャンセルボタンは、遊技客自身によって押下されたり、遊技客の意図を確認した店員によって操作されたりする。
【0094】
制御部90は、カード処理機8からの通知に基づいて、持玉補填OKボタンが押下されたか否か(ステップS39)およびキャンセルボタンが押下されたか否か(ステップS40)を判別する。持玉補填OKボタンが押下された場合には(ステップS39:YES)、制御部90は、補填用データ処理を行なう(ステップS41)。
この補填用データ処理は、プリペイド価値データの更新処理と持玉データの更新処理とからなる。まず、制御部90は、受信カードIDに関連付けられているプリペイド価値データから、不足数Y1に相当する数の貸玉を払い出すために必要な金額(度数)を減算することにより、当該プリペイド価値データを更新する。これにより、メモリ部98に記憶されている当該プリペイド価値データおよび管理装置1に管理されている当該プリペイド価値データが更新される。また、制御部90は、受信カードIDに関連付けられている持玉データに、不足数Y1を加算することにより、当該持玉データを更新する。これにより、メモリ部98に記憶されている当該持玉データおよび管理装置1に管理されている当該持玉データが、1個の最小特殊景品と交換するために最低限必要な持玉数に相当する値に更新される。
【0095】
そして、制御部90は、更新後の持玉データに基づいて、特殊景品への交換処理を行なう(ステップS42)。この場合、更新後の持玉データは、1個の最小特殊景品と交換するために最低限必要な持玉数と一致するので、制御部90は、1個の最小特殊景品を払い出させるための指令を景品払出機9に送信する。これにより、景品払出機9は1個の最小特殊景品を払い出す。また、制御部90は、前記受信カードIDに関連付けられている持玉データを、その値から特殊景品(この場合には1個の最小特殊景品)の交換のために使用された持玉数を減算した値(零)に更新させるための処理を行なう。これにより、メモリ部98に記憶されている当該持玉データおよび管理装置1に管理されている当該持玉データが零に更新される。そして、今回の景品交換処理を終了する。
【0096】
前記ステップS38においてカード処理機8の表示部102に、持玉補填OKボタンおよびキャンセルボタンが表示された後に、キャンセルボタンが押下されたときには(ステップS40:YES)、制御部90は、端数玉交換処理を行なう(ステップS43)。そして、今回の景品交換処理を終了する。
なお、制御部90は、前記ステップS33における景品払出機9への景品データの送信を保留しておき、一連の持玉補填処理(S34〜S41)を行った後に、保留しておいた景品データと、補填用データ処理によって交換可能となった1個の特殊景品を表す景品データとを合わせて、景品払出機9へ送信するようにしてもよい。このようにすると、一回の払出操作で全ての景品が払い出されるので、払い出された景品の取り忘れが生じにくい。
【0097】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。例えば、図8〜図11の補填制御処理では、プリペイド価値データが補填目標数Zに相当する貸玉を払い出すために必要な金額以上でない場合(ステップS5の第2条件を満たしていない場合)には、補填玉貸処理(図8,図10のステップS8参照)または補填用データ処理(図9,図11のステップS21参照)は行なわれない。このような場合に、現金が挿入されるのを待機し、補填目標数Zに相当する貸玉を払い出すために必要な金額以上の現金が挿入されたときに、補填玉貸処理(図8,図10のステップS8参照)または補填用データ処理(図9,図11のステップS21参照)を行うようにしてもよい。
【0098】
同様に、図12の景品交換処理において、ステップS37の第2条件を満たしていない場合)に、現金が挿入されるのを待機し、不足数Y1に相当する貸玉を払い出すために必要な金額以上の現金が挿入されたときに、補填用データ処理(図12のステップS41参照)を行うようにしてもよい。
このように、図8〜図11の補填制御処理または図12の景品交換処理において、現金の挿入を待機し、必要な金額以上の現金が挿入されたときに、補填玉貸処理または補填用データ処理を行なう実施形態において、現金に代えて、プリペイド価値が関連付けられた他のカードを受け付けて補填玉貸処理または補填用データ処理を行なうようにしてもよい。
【0099】
また、非接触リーダライタと非接触通信が行える非接触ICチップが搭載された携帯型電話機等の携帯端末を利用して、価値移動や景品交換を行うことが可能な管理システムにもこの発明を適用することが可能である。価値移動とは、一般カードのカードID(仮発行されたカードIDも含まれる)に関連付けられている現遊技客に対するプリペイド価値データや持玉データを、携帯端末の端末ID(たとえばIdm)に関連付けることをいう。携帯端末を利用した価値移動を行うために、図2および図3に破線で示すように、端末装置5に携帯リーダ部(非接触リーダ)63が設けられるとともに、操作部65に価値移動ボタン47が設けられる。また、携帯端末を利用した景品交換を行うために、図5に破線で示すように、カード処理機8には携帯リーダ部(非接触リーダ)107が設けられる。
【0100】
たとえば、価値移動を行いたいときには、遊技客は、価値移動ボタン47を押下した後、携帯リーダ部(非接触リーダ)63に携帯端末をかざせばよい。これにより、端末装置5は、一般カードのカードID(仮発行されたカードIDも含まれる)に関連付けられている現遊技客に対するプリペイド価値データや持玉データを、携帯リーダ部63によって読み取られた携帯端末IDに関連付けるための処理を行なう。
【0101】
前記実施形態の図12では、カード処理機8のカードR/W部101によって読み取られたカードデータに基づいて景品管理機7が景品交換処理を行なう場合について説明したが、カード処理機8の携帯リーダ部107によって読み取られた携帯端末IDに基づいて景品管理機7が景品交換処理を行なう場合にも、この発明を適用することができる。具体的には、図12のステップS32において、景品管理機7は、カード処理機8から受信した携帯端末IDに関連付けられているプリペイド価値データおよび持玉データを管理装置1から取得すればよい。
【0102】
なお、この発明は、前述した実施形態では、プリペイド価値データおよび持玉データは管理装置(T/C)1で管理され、会員データおよび貯玉データは会員サーバ2で管理されているが、これらのデータを単一の管理装置で管理するようにしてもよい。
この発明は、端末装置5が玉払出部83(および玉払出用ノズル66)を備えておらず、持玉を遊技台の玉払出機構41から払い出すタイプの各台計数機能付きの貸出処理機にも適用することができる。
【0103】
また、この発明は、遊技客が獲得した遊技媒体を計数する計数装置と、プリペイド価値に関する処理を行なうカードユニットとが別体かつ通信可能に設けられる所謂「ダブルサンド」方式の各台計数システムにも適用することができる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0104】
1 管理装置
4 遊技機
5 端末装置
7 景品管理機
8 カード処理機
9 景品払出機
11 景品交換装置
71 計数部
80 制御部
90 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各遊技機に1対1対応で設けられ、遊技媒体の貸出処理を行なう各台対応装置であって、
遊技客が獲得した遊技媒体の数を計数する計数手段と、
前記計数手段による計数値に基づいて、前記遊技客が保持している遊技媒体の数を表す持玉データを生成する持玉データ生成手段と、
所定の指示が入力されたときにおいて、前記持玉データと交換可能な特殊景品数より1つ多い数の特殊景品と交換するために最低限必要な遊技媒体数と前記持玉データとの差を、不足数として算出する算出手段と、
所定の補填条件が満たされている場合に、前記不足数を補填するために遊技媒体を払い出す遊技媒体補填手段と、
を含む各台対応装置。
【請求項2】
各遊技機に1対1対応で設けられ、予め関連付けられるプリペイド価値データを使って遊技媒体を貸し出す機能を有する各台対応装置であって、
遊技客が獲得した遊技媒体の数を計数する計数手段と、
前記計数手段による計数値に基づいて、前記遊技客が保持している遊技媒体の数を表す持玉データを生成する持玉データ生成手段と、
所定の遊技終了指令が入力されたときにおいて、前記持玉データと交換可能な特殊景品数より1つ多い数の特殊景品と交換するために最低限必要な遊技媒体数と前記持玉データとの差を、不足数として算出する算出手段と、
所定の補填条件が満たされている場合に、前記不足数を補填するために遊技媒体を払い出す遊技媒体補填手段と、
を含む各台対応装置。
【請求項3】
各遊技機に1対1対応で設けられ、予め関連付けられるプリペイド価値データを使って遊技媒体を貸し出す機能を有する各台対応装置であって、
遊技客が獲得した遊技媒体の数を計数する計数手段と、
前記計数手段による計数値に基づいて、前記遊技客が保持している遊技媒体の数を表す持玉データを生成する持玉データ生成手段と、
所定の遊技終了指令が入力されたときにおいて、前記持玉データと交換可能な特殊景品数より1つ多い数の特殊景品と交換するために最低限必要な遊技媒体数と前記持玉データとの差を、不足数として算出する算出手段と、
所定の補填条件が満たされている場合に、当該各台対応装置に関連付けられているプリペイド価値データから前記不足数分を補填する個数の遊技媒体を払い出すために必要な価値を減算することにより、前記プリペイド価値データを更新させるとともに、前記持玉データに前記不足数に応じた値を加算することにより、前記持玉データを更新させる手段と、
を含む各台対応装置。
【請求項4】
前記補填条件は、前記不足数が所定値以下であるという条件である、請求項2または3に記載の各台対応装置。
【請求項5】
前記補填条件は、当該各台対応装置に関連付けられているプリペイド価値データが、前記不足数分を補填する個数の遊技媒体を払い出すために必要な価値以上であるという条件である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の各台対応装置。
【請求項6】
前記補填条件は、補填貸出処理を実行する旨の指示入力があった場合という条件である、請求項2〜5のいずれか一項に記載の各台対応装置。
【請求項7】
遊技客が保有する持玉データを取得して、前記持玉データに基づいて景品交換を行う景品交換システムであって、
遊技客が保有するプリペイド価値データを取得するプリペイド価値データ取得手段と、
取得された前記持玉データを特殊景品と交換した場合に発生する持玉データの端数と、1個の特殊景品との交換に最低限必要な遊技媒体数との差を、不足数として算出する算出手段と、
所定の補填条件が満たされている場合に、前記プリペイド価値データ取得手段によって取得されたプリペイド価値データから前記不足数分を補填する個数の遊技媒体を払い出すために必要な価値を減算することにより、当該プリペイド価値データを更新させるとともに、前記持玉データの端数に前記不足数に応じた値を加算することにより、当該持玉データを更新させるデータ更新手段と、
を含む景品交換システム。
【請求項8】
前記補填条件が、前記不足数が所定値以下であるという条件である、請求項7に記載の景品交換システム。
【請求項9】
前記補填条件が、前記プリペイド価値データ取得手段によって取得されたプリペイド価値データが、前記不足数分を補填する個数の遊技媒体を払い出すために必要な価値以上であるという条件である、請求項7または8に記載の景品交換システム。
【請求項10】
前記補填条件は、補填貸出処理を実行する旨の指示入力があった場合という条件である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の景品交換システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−194104(P2011−194104A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65721(P2010−65721)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】