説明

合成ペプチド、並びにそれを用いたエイズおよびプリ・エイズの検出方法

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は、体液中のHIV(HTLV−III又はAIDSウィルス)に対する抗体の検出及びAIDS(後天性免疫不全症候群)、ARC(AIDS Related Complex)もしくはプリ−AIDS(Pre−AIDS)の診断のために用いる合成ペプチドとそれを用いる検出及び診断方法に関するものである。ペプチドのアミノ酸配列は、HIVのエンベロープ蛋白質、p41のセグメントに一致し、またこのペプチドはAIDS、ARCあるいはプリ−AIDS患者の血清中の抗体と特異的に免疫反応することが判明した。本発明のペプチドは、AIDS、ARC又はプリ−AIDS患者の体液中のHIVウィルスに対する抗体の検出のために設定された配列の約21個のアミノ酸から構成されるセグメントを含む化学合成ペプチドとその類似体ペプチドをも含んでいる。本発明の検出方法は、該ベプチドを抗原として用いて、ELISA(enzyme−linked immunosorbent assay)、IRMA(immnoradiometric assay)、及びニトロセルロース膜等を用いる酵素免疫ブロッティング及び血球凝集反応等の免疫測定法のいずれを用いてもよい。
〔従来の技術および発明が解決しようとする課題〕
後天性免疫不全症候群(AIDS)患者は、最近、多くの国で確認されている。患者の同定と発症の原因物質の究明に多くの努力が費やされ、疫学的データによると、AIDSは感染性の物質が血液等の体液を媒体として水平感染することが示唆されていた。
1983年に、パスツール研究所のバール−シナウシ(Barre−Sinoussi)らはAIDS患者からT−リンパ球指向性レトロウィルスの単離に成功した。そのレトロウィルスは、人のT−細胞白血病ウィルス(HTLV)の一種と考えられていたが、その免疫学的応答は公知のHTLV−I又はHTLV−IIとは異なるものであった〔エフ・バール・シナウシ他、サイエンス(Science),220,PP.868 1983年5月〕。
また、米国国立癌研究所のアール・シー・ガロ(R.C.Gallo)のグループは、多くのAIDS及びARC患者の血液とH9−T細胞株とを共に培養することにより、類似のウィルスが単離されることを見いだし、このウィルスをHIVと命名した〔ポポビック(Popovic)他、サイエンス,224 PP.497(1984);ガロ、他、サイエンス、224,PP.500(1984)]。
ジョージア州、アトランタ所在の病理管理センターのブイ・エス・カリアナラマン(V.S.Kalyanaraman)他は、AIDSの患者のリンパ腺症関連ウィルス(LAV)の単離、及びLAVの核(コア)を構成しているp25を使用する放射免疫沈降法の開発を発表した。彼らの試験法は、リンパ球と共に培養されたLAVウィルスを単離した後、その核を構成している蛋白質p25をI125で標識したものを抗原として使用した。彼らは、加えた標識抗原の15%が沈降物として認められた時、陽性と判断している。
しかしながら、その結果はAIDS患者の41%に対してだけが陽性であり、またARCとして知られたリンパ腺症症候群(LAS)の患者に対しては72%が陽性であった〔ブイ・エス・カリアナラマン他、サイエンス,225,PP.321(1984年7月)〕。これは、その方法が、AIDSウィルスに対する抗体の検出に使用するには感度的、精度的に十分ではないことを意味している。
AIDS患者から単離されたLAV及びHIVは、いくつかの重要な特徴を有している〔フェリオノ(Feorino)他、サイエンス、225,PP.69(1984年);レビー(Levy)他、サイエンス,225,PP.840(1984年)〕。
これらは、生体内及び生体外でOKT4+ヒトT白血球細胞との応答性を持ち、それらの白血球内で増殖する〔モンタグニール(Montagnier)他、ヒトT細胞白血病ウィルス(Human T Cell Leukemia Virus)、PP.363、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)、1984;ポポビック他、前掲;クラッツマン(Klatzmann)他、サイエンス、225 PP.59(1984)〕。
また、これらLAV、HIVはAIDS、ARC患者の血清中の抗体により認識される〔モンタグニール他、前掲;レビー他、前掲;ソーンガドハラン(Sorngadharan)他、サイエンス,224 PP.505(1984年);ソファイ(Sofai)他、ランセット(Lancet),i PP.1438(1984年);ブルン−ベジネット(Brun−Vezinet)他、ランセット,i,PP.1253(1984年);ブリン−ベジネット他、サイエンス、226,PP.453(1984);ゴールドバート(Goldbert)他、ランセットii,PP.711(1984年);及びローレンス(Laurence)他、ニュー・イングランド(New England)J.Med.,311,PP.1269(1984年11月)〕。
1984年11月にエル・ダブリュー・キッチン(L.W.Kitchen)らは、H9/HIVと命名されたHIVの感染細胞株を用いて、血友病患者のAIDS診断を行なうことを発表した。その方法は、リン酸緩衝液中で2%のパラホルムアルデヒドを用いてウィルスの不活性化を行ない、抗原として使用するものである。彼らは血友病患者が、過去の輸血により、AIDSウィルスに接触した機会の有無をチェックした。血友病患者の血清検査結果は、生命を維持するために輸血の必要性のある血友病患者がAIDSに感染する危険性がますます増えることを示唆している〔キッチン他、ネイチャー(Nature),312,PP.367(1984年11月)〕。血友病患者及び外科の患者のように輸血を受けなければならない患者の間で、AIDSの不注意な感染を防止するために高感度で簡便で信頼性のあるHIVウィルス汚染血液の検査法の早急な開発が望まれている。
1984年11月及び1985年1月に、米国国立癌研究所のアール・シー・ガロのグルーブ及び他の協力者は、HIVがAIDSの原因物質であるということを認め、且つHIVのヌレクレオチド配列を発表した〔ベアトリス・ハーン(Beatrice Hahn)他、ネイチャー,312,PP.166(1984年11月);ジョージ・エム・ショー(George M.Shaw)他、サイエンス,226 PP.1165(1984年12月);リー・ラットナー(Lee Ratner)他、ネイチャー,313,PP.277(1985年1月)〕。
その間、他の3グループもまた、AIDSウィルスの完全なヌレクレオチド配列を発表した〔ミューシング(Muesing)他、ネイチャー,313,PP.450(1985年2月);サンチェス−ペスカドス(Sanchez−Pescados)他、サイエンス,227 PP.484(1985年2月)、ウェイン−ホブソン(Wain−Hobson)他、セル(Cell),40,PP.9(1985年1月)〕。
これらの発表は、遺伝子レベル及び翻訳された蛋白質レベルの両方におけるHIVの構造を明らかにし、HIVに関する異なったエピトープについての血清学的研究を可能にしている。
同時に、パスツール研究所のグループは、LAVがAIDSの原因物質として確認されたこと、及びそれがHIVと同一であると見なされることを発表した。このグループにより使用された分析法もまた健康な個人のT4+細胞内に繁殖するLAVを使用するものである。そのウィルス性抗原は、濃縮され、37℃で15分間、0.5%ラウリル硫酸ナトリウム溶液中で処理することで不活性化された。血清サンプルは、基質としてオルトフェニレンジアミン(O.P.D.)を用いた酵素免疫分析法で試験された。抗体の存在は、AIDS患者の68%に、カポジ肉腫の患者の100%に、プリ−AIDSの患者の100%に確認された(ローレス他、前掲)。
最近、米国特許4,520,113がアール・シー・ガロ他に対して許可された。ガロらの特許は、ELISA又は、ウェスタンブロッティング法もしくは間接免疫蛍光法に基づくストリップRIAにおける抗原として、H9/HIVと命名された細胞のライセートを使用することにより、AIDS及びプリ−AIDS患者の血清中の抗体を検出する方法を記述している。その方法は、約85%の精度である。
ガロらの特許は、さらに、HIVのp65(MW65,000)、p60(MW60,000)、p55(MW55,000)、p24(MW24,000)及びp41(41,000)等の抗原が、AIDS患者、同性愛者及びヘロイン常用者の血清中の抗体と反応することが判明したと記述している。これらについての、主要な免疫反応性又は特異性は、HIVのエンベロープ抗原を構成する蛋白質、p41に対して向けられている。この特許はさらに、p41により純度の高い精製により、より高感度なELISA分析が可能であろうと記述している。この記述により、試薬として適当な抗原は、H9細胞株で培養されるHIVに由来するp41セグメントであると思われる。
さらに、大腸菌(E.coli)の発現系を用いてAIDS患者の血清中の抗体と反応するHIV上に発現されたペプチドと同一のペプチドを産生させることに成功したことを発表している〔ガロ他、サイエンス,228,PP.93(1985年4月)〕。クローン化されたHIVの遺伝子は、いくつかのフラグメントに切断され、発現ベクターに挿入され、大腸菌に導入され、それから形質転換大腸菌で発現された。
試験された300のクローンのうち、20がAIDS患者からの血清に反応を示した。その20のクローンは、HIVのORFセグメントのいくつかのセグメントを含むことが分析確認され、クローン175、191、13、31、162、113、121及び127であることが確認された。8つのクローンのうち、ORFクローン113、121及び127がHIV感染細胞により産生されるenv−lor領域の一部を翻訳してできた蛋白質が大部分のAIDS患者の血清中の抗体と反応することが確認された。
今までの、HIVに対する抗体を検知するため或いはAIDS又はプリ−AIDSを診断するための分析法は、HIV又はLAVのウィルスそのものの使用を伴なうものである。それらの方法は、100%の正確さはないため、血液銀行等における血清のスクリーニングでの使用には耐えない。これは、汚染された血清がスクリーニングで見のがされる可能性を与え、その結果輸血において、受血者に重い傷害を与えるであろう。さらに試薬としてのHIVの使用は、試薬を作るための準備段階において、極度な警戒を必要とする。健康な研究所作業員にとって非常に危険である。さらに、たとえ不活性化されたウィルスを使用したとしても、不活性化されたウィルスへの接触は健康な作業員の抗体産生の原因となりうるし、もし抗体が産生された場合、彼らはAIDS、ARCあるいはプリ−AIDSであると誤診断される恐れがある。さらに、試薬におけるH9細胞又は大腸菌(E.coli)の細胞内物質の存在は、大腸菌(E.coli)又はH9細胞に対する抗体を有する個人から、HIV抗体スクリーニング試験において、まちがった結果を引き出す可能性がある。これらまちがった陽性反応は、健康な個人及びその家族に対する苛酷な心配をもたらし、又AIDSに感染しているとして誤って診断される可能性があり、それらの人は通常な社会的活動から追放される恐れがある。
さらに、今日まで、HIVに対する防御のための方法または実施可能なワクチンは見い出されていない。不活性化されたウィルスをワクチンとして使用することは、その病気にかかる恐れがあるため、実施不可能である。
同様に、哺乳動物を使用したHIVに対するモノクローナル及びポリクローナル抗体の製造は、免疫原としてHIVの使用を避けられないため、同様な危険性が存在する。
従って、本発明の目的は、試薬としてウィルス又はその断片の使用を必要としない測定方法又は診断方法を開発することにある。
さらなる目的は、簡便、高感度且つ正確な試験方法を開発することにある。
さらに少量のサンプルと少量な試薬を用いる安価な試験を開発することにある。
また、体液中のHIVに対する抗体の存在を検出するため、或いはAIDS、ARCもしくはプリ−AIDSを診断するための試験試薬を、HIVを利用したものではなく、化学的手段により開発することにある。これにより、ウィルス又はそのセグメントへの接触の危険及びウィルスの不必要な増殖の危険を避けることである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明では、特殊な順序に配列された約21個のアミノ酸を持つペプチドを、固相ペプチド合成法により作製した。本発明のペプチドを用いて血清及び体液中のHIVに対する抗体の検出及びAIDS、ARC又はプリ−AIDSの診断のための高感度な測定方法が開発された。そのペプチドは又、Balb/cマウスのような健康な哺乳動物におけるHIV又はLAVに対する抗体の産生を誘発するのに有用であることが見い出された。
本発明の、血清又は体液中の、HIVに対する抗体の検出及びAIDS、ARCもしくはプリ−AIDSの診断のために有用なペプチドは、以下の配列式を有するペプチド及びその類似体より選択される。
なお、この明細書中に記載されているアミノ酸配列式はすべて、左端のアミノ酸がペプチドのN−末端を、右端のアミノ酸がペプチドのC−末端を表わすものとする。


上記式において Ala=アラニン Arg=アルギニン Asp=アスパラギン酸 Gln=グルタミン Glu=グルタミン酸 Leu=ロイシン Lys=リジン Gly=グリシン Ile=イソロイシン Ser=セリン Trp=トリプトファン Tyr=チロシン Val=バリンおよび Cys=システインである。
体液中のHIVに対する抗体の検出及びAIDS、ARCもしくはプリ−AIDSの診断についての高感度な測定方法は以下の段階からなる:A.以下の配列式を有するペプチドおよびその類似体より選択されたペプチドを準備すること。


B.免疫分析方法における抗原として試験毎にpH約7〜10の緩衝液中で約0.1〜20μgのペプチドを使用すること。
さらに本発明では、ペプチドを、蛋白質又はポリマー等のキャリアーに結合すると、ヒトを含む哺乳動物でHIV又はLAVに対する抗体の産生を誘発することができる。その方法は、腹腔内又は皮下注射により哺乳動物の体内へ前記キャリアー結合ペプチドを投与することからなる。
本発明のペプチドは化学合成によって得られるものであり、体液中のHIV抗体の検出、AIDS、ARC及びプレ−AIDSの診断、哺乳動物におけるHIVまたはLAV抗体の産生誘発、そして哺乳動物におけるHIVへのモノクローナル及びポリクローナル抗体の製造のために利用できるものである。
そのペプチドは、以下の配列式を有するペプチド及びその類似体より選択される。


該ペプチドは、上記配列のターミナル(末端)アミノ酸、−Arg−又は−Ser−にアミノ酸及び他の物質を付加させ、或いはいずれかのターミナルから数個のアミノ酸を削除することにより得られるペプチド鎖から構成されたペプチド類似体をも含むものである。
優位なHIV抗体と反応する三次元構造が維持される限り、本発明のペプチドは、上記配列式のアミノ酸類似物から成っていてもよいし、又は、どちらかのターミナルにアミノ酸が付加されていてもよい。或いは、ターミナルアミノ酸の幾つかを削除して構成するアミノ酸を約15個位まで減少させてもよい。
さらに本発明のペプチドの重合体を用いてHIVに対する抗体を産生することができる。
体液中のHIV抗体の検出及びAIDS、ARC及びプリ−AIDSの診断用試薬として有用な本発明のペプチドの基本となるアミノ酸配列は、HIVを構成する蛋白質のアミノ酸配列の一部のセグメントに一致し、そのセグメントはp120の一部であるp41であり、HIVのエンベロープ蛋白質を定めるLOR(long open reading)の一部である。
本発明のペプチドは、次の式のとおり固相ペプチド合成のメリフィールド原法により合成された。


前記式に従い、Bocアミノ酸を以下に示す順序でレジンに付加し、本発明のペプチドを調製した。


本発明のペプチドは、所望のBocアミノ酸を付加するか又は削除することにより、配列を変えて調製することができる。なお本発明のペプチドは、上述した21個のアミノ酸を持つペプチド(以下:21merペプチドと称する)またはその類似体であり、類似体は21merペプチドからN個(Nは自然数)のアミノ酸を削除したもの、または21mer中のアミノ酸残基を置換したペプチド、または21merペプチドにN個のアミノ酸を付加したものを含む。
所望のブロックされたペプチドをレジン上で結合させることを完了してから、ペプチド−レジンを無水フッ化水素酸で処理して、ベンジルエステル結合を切断することでペプチドをレジンより遊離させた。アミノ酸の側鎖官能基をブロックしているベンジル誘導体のブロッキンググループは、同時にペプチドから切断された。得られたペプチドは、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製され、そしてアミノ酸分析により、配列式の確認が行なわれた。
本発明のペプチドは、次の式による4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂を使用して合成することもできる。


上記方法により合成されたペプチドは、HIV抗体に対し、高い反応性を有し、HIV抗体検出用の高感度で特異的な免疫吸着剤として使用できる。
本発明によるペプチドを使用した検出方法は、米国特許第4,520,113号に記載されたHIVの断片を用いる検出方法よりも体液中のHIV抗体に高感度かつ特異的な結果を示した。表II参照。
本発明のペプチドは、HIV抗体に対し、高い免疫特異性を有するため、AIDS、ARC、又はプリ−AIDS用のワクチン、哺乳動物のHIVに対するモノクローナル及びポリクローナル抗体製造のための免疫原として有用である。
本発明のペプチドは、それ自体、またはそれ自体の重合体、又は蛋白質かポリマー等のキャリアーと結合させて、正常な動物に導入して、HIVに対する抗体の産生を誘発する。また、健康人におけるHIV又はLAVによる感染を防御することもできる。本発明のペプチドは、HIV由来のペプチドでないため、正常動物に投与しても何ら危険性はない。
キャリア蛋白質としてのヒト血清アルブミン(HSA)に結合させた本発明のペプチドを、健康なBalb/cマウスの腹腔内又は皮下への注射により、HIVと反応する本発明のペプチドに対する抗体が、そのBalb/cマウスに産生された。このことが実施例7に記載されている。
実施例7で得られた結果に基づき、本発明のペプチドは、哺乳動物のHIVに対するモノクローナル及びポリクローナル抗体の製造のための免疫原として使用できる。
〔発明の効果〕
本発明のペプチドは以下の利点を有する。
本ペプチドは、化学的に合成される。このことは、試薬又はワクチンの製造工程中いかなる時もHIVを使用しないということを意味する。それはワクチンの製造中又はワクチン化プロセス中、製造労働者や衛生業の人やワクチン注射をした人をHIVにさらす危険がないことを意味する。同様に、哺乳動物のHIVに対するモノクローナル又はポリクローナル抗体の製造において、本発明のペプチドの使用はHIVに感染する危険を防止する。更に、本発明のペプチドを用いれば、試薬からの感染はないので、HIVに対する抗体検出テストでは、テストする血清又は体液のサンプルを30分間56℃で加熱することにより、存在するかもしれないHIVを不活性にする予防手段を講じるだけで、研究所で働く者がHIVにさらされる危険を完全に防止することができる。
本発明の方法は、HIVを培養するために用いるH9細胞株、又はE.coli産生蛋白質から生じる物質に起因する偽陽性反応を解消した。
ある正常人が、E.coli又はヒト白血球抗原(HLA)に対する抗体を有する時、そのHLA抗体は、H9細胞株から生じる抗原物質と反応するため、これらの正常人から採取した血清サンプルは、たとえそれがHIVにさらされていなくても、ELISA又はIRMAテストにおいて陽性反応を呈する可能性がある。ある人がこの種の偽陽性反応によって、AIDSに感染したかもしれないという診断を受けることは、本人はもとより、その者の家族に対し重大な不安を起こさせ、本人は通常の社会活動ができなくなる恐れがある。これらの問題は、全て本発明のペプチドを試薬として使用することにより、回避できる。
更に、適当なアミノ酸類似置換物を持つ、本発明のペプチドをベースとした種々のペプチド誘導体は、HIV抗体スクリーニング法に有用な特性を持つ。
本発明のペプチド、及び本発明のペプチドとAIDS及びARC患者の血清中に存するHIV抗体との反応性が、実施例8と表VIに記載されている。ELISAテストにおける各ペプチドの反応性は21merペプチドの反応性を100%として表わした。
その結果によれば、本発明の21merペプチドは、その規模と配列が次の点でユニークであることがわかった。それはN末端のArg及びN末端から2番目のIle、或いはC末端からのTrp−Gly−Cys−Serの削除、又はLysとAspとの間で切断して10個と11個のアミノ酸より構成される全てのペプチドは、21merペプチドに比べ、抗体との反応性が劇的に低下したことである。
更に、上記11merペプチドにLysを付加することが抗原性を顕著に復元するということから、C末端から12番目の位置のLysの重要性が示唆されている。本発明のペプチドは合成的に作られるため、品質管理が容易であり、一定した品質の試薬の供給により、テスト結果の再現性の向上が期待できる。各テストに必要なペプチドの量は極く少量でよく、そして該ペプチドの製造コストが低額であるため、HIVの抗体やAIDS、ARC又はプリ−AIDSの診断のための体液をスクリーニングする費用やワクチン製造の費用は、低減される。
本発明に従って作られたペプチドは、それをELISA、酵素免疫ドット法、血球凝集法又はIRMA試薬として使用することにより、HIVの感染を検出し、AIDS、ARC及びプリ−AIDSを診断するために使用できる。ELISAの技術は実施例に記載されていて、IRMA技術は実施例3に、血球凝集法は実施例3Aと5Aにそれぞれ記載されている。
以下の実施例において、コーティング緩衝液に0.25(w/v)%のグルタルアルデヒドを添加することにより、ペプチドをプレートやビーズ上に共有結合させることもできる。更に、西洋わさびペルオキシダーゼ標識マウス抗ヒトIgGモノクローナル抗体(POD−M.α.HIgG)は、第2抗体として西洋わさびペルオキシダーゼ標識(POD−G.α.HIgG)の代りに使用してもよい。
[実施例]
実施例1ELISAによるHIV抗体の検出 96−穴プレートのウェルを4℃で一晩(又は室温で3時間)pH9.5の10mM NaHCO3緩衝液100μ■中で、前述のように調製された0.5μg/ウェルの21merペプチドでコーティングした。そのウェルを生理食塩リン酸緩衝液(PBS)で3回洗浄し、それから1時間37℃で3(w/v)%ゼラチンPBS溶液250μ■を注入してインキュベートし、非特異的結合部をブロックした。続いて0.05(v/v)%Tween 20含有PBSで3回洗浄した。テスト用血清(患者又は正常人から採取した血液)を20(v/v)%正常ヤギ血清と1(w/v)%ゼラチンと0.05(v/v)%Tween 20とを含有するPBSで稀釈した。その稀釈比(体積比)は1:20と1:200である。200μ■の前述稀釈血清を各ウェルに添加し、37℃で1時間反応させた。それから、そのウェルを3回0.05(v/v)%のTween 20を含むPBSで洗浄して未結合IgGを除去した。POD−G.α.HIgGを第2抗体として使用し、陽性ウェル中で形成されたHIV抗体−ペプチド複合物と結合させるため、1(v/v)%正常ヤギ血清、0.05(v/v)%Tween 20を含むPBSでPOD−G.α.HIgGを1:3,000に稀釈した溶液100μ■を各ウェルに添加し、37℃で更に1時間インキュベートした。
該ウェルを0.05(v/v)%Tween 20を含むPBSで5回洗浄して未結合抗体を除去し、そして0.04(w/v)%のオルトフェニレンジアミン(OPD)と0.012(v/v)%の過酸化水素を含有するpH5.0のクエン酸ナトリウム緩衝液100μ■を添加した後、発色反応をさせた。この溶液は着色生成物を形成することによりペルオキシダーゼを検出するために用いられた。その後、2.5モルのH2SO4溶液を50μ■添加して反応を停止した。そして着色生成物量を、ELISAリーダーを使って492nmで測定した。測定は上述した2種類の血清稀釈比(それぞれ1:20と1:200)で行なった。
正常血清を陰性のコントロールとして使用した。90の正常サンプルの平均吸光度+4SD(標準偏差)より大きい吸光度を陽性とした。その結果を表Iに示す。


+このグループの陽性の2つの血清はボーダーライン近辺の反応を示した。
注: AIDS、ARC、初期免疫不全、白血病/リンパ腫患者及び正常人の血清は、アービンのカリフォルニア大学のエス・グプタ(S.Gupta)博士;ニューヨークのスローン・ケタリング記念癌センター血液銀行のエス・カニンガム・ランデルス(S.Cunningham−Rundels)博士;ニューヨークのスローン−ケタリング記念癌センター感染性疾患部のジェイ・ゴールド(J.Gold)博士によって支給された。リウマチ様関節炎、狼癌紅斑、アレルギーを含む自己免疫疾患患者の血清は、ニューヨークのロックフェラー大学病院のエヌ・チオエッジ(N.Chioezzi)博士によって支給された。肝癌患者の血清は、国立台湾病院のキング・テン・チャン(King−Ten Chang)博士によって支給された。表Iの結果は、534の血清サンプルで試験した本発明のELISAは非常に正確で高い特異性を有することを示している。正常被験者又はAIDSもしくはARCに感染していないと認められる患者においては免疫反応は見られなかった。
血液銀行からウィルスに侵された血液を排除するためのスクリーニングテストにおいて、陽性反応と確定するための基準をより厳重にできる。例えば、正常血清サンプルの平均吸光度+4SDを陽性を見做す代りに、正常血清サンプルの平均吸光度+2SDを有するサンプルを陽性と見做すことができる。
実施例2 実施例2は実施例1の手順と同様に実施した。Galloらの米国特許4,520,113に示す、熱不活性化されNP40で可溶化されたHIVでコーティングしたプレートを用いて、実施例Iと同じ血清サンプルを使用してくり返した。結果を表IIに示す。


実施例Iで得た結果と比較すると、この方法は正確さで劣り、従って信頼性が劣る。
実施例3IRMAによるHIVに対する抗体の検出 96穴軟質ポリ塩化ビニール(PVC)プレートのウェルは、4℃で一晩(又は室温で3時間)、pH9.5の10mM NaHCO3緩衝液100μ■で、前述のように調製された21merペプチド0.5μg/ウェルでコーティングする。ウェルは生理食塩リン酸緩衝液(PBS)で3度洗浄し、非特異的結合部をブロックするために37℃1時間、3(w/v)%ゼラチンを含むPBS250μ■を注入しインキュベートして、0.05(w/v)%Tween 20を含むPBSで3度洗浄する。検査する血清は、1(w/v)%ゼラチン及び0.05(v/v)%Tween 20を含むPBSで1:10と1:200に稀釈する。稀釈された血清200μ■を各ウェルに加え、37℃で1時間反応させる。それから、未結合のIgGを除去するためにウェルを0.05(v/v)%Tween 20を含むPBSを用いて3度洗浄する。アフィニィティークロマトグラフィで精製されたI125標識のヤギ抗ヒトIgG(Fe)抗体を陽性ウェル内で形成される抗体抗原複合物と結合する第2抗体として使用する。50,000〜20,000cpmのI125標識抗ヒトIgGを含む1(v/v)%正常ヤギ血清と0.05(v/v)%Tween 20を含むPBS 100μ■をウェルに加え、37℃でもう1時間インキュベートする。
ウェルは未結合の第2抗体を除去するために0.05(v/v)%Tween 20を含むPBSで5度洗浄し乾燥する。プレートはウェル毎に切断し、ガンマーシンチレーションカウンターによって測定する。分析は2つの血清稀釈比1:20及び1:200で各々2度行なう。陰性コントロールとしての正常血清サンプルも同時にテストする。正常血清サンプルの平均CPM+4SDよりも大きいCPMは陽性とされる。
実施例3A固相免疫吸着剤として21merペプチドでコーティングされたゼラチン粒子、ヒツジ赤血球又はラテックス粒子を用いる血球凝集法によるHIVに対する抗体の検出 徹底的に洗浄されたヒツジ赤血球、ゼラチン粒子又はポリスチレンラテックス粒子等の微粒子を5μg/mlから1mg/mlの範囲の濃度の21merペプチドでコーティングする。21merペプチドでコーティングされた微粒子を、96穴U底マイクロプレートにおいて段階的に薄められた血清サンプルと共にインキュベートする。室温で1時間程放置した後、底部の凝集パターンを判読し、陽性反応を示す最大の稀釈比を記録する。本法はワンステップ法であり、血清又は体液等の検出に含まれる抗HIV抗体の定性及び定量分析に使用できる。
実施例4 この実施例はHIV抗体検出用AIDS、ARC、プリ−AIDS診断のためのテストキットに関するものである。本実施例のテストキットは、1ウェル当り本発明のペプチド0.5μgを含むpH9.5の10mM NaHCO3緩衝液100μ■を用いて、本発明のペプチドでコーティングされた96穴プレートを備えている。さらにテストキットは以下の物を備えている:(1)正常ヒト血清(陰性コントロール);(2)熱不活性化されNP40で可溶化されたAIDS患者血清(陽性コントロール);(3)正常ヤギ血清;(4)ペルオキシターゼ標識ヤギ抗ヒトIgG;(5)オルトフェニジンアミン(OPD)及び過酸化水素を含むクエン酸リン酸緩衝液からなる発色試薬。本テストキットは実施例1に記述された手順で用いられる。
上記のテストキットでは本発明のペプチドでコーティングされた96穴プレートを固相免疫吸着剤(抗原)として使用しているが、固相はこれに限定されるものではなく、例えばミニカラムに充填されているガラスや合成樹脂ビーズ又はニトロセルロース膜ストリップ等も使用できる。
実施例5 この実施例はIRMAを用いる抗体検出用のテストキットに関するものである。本実施例のテストキットは、1ウェル当り21merペプチド0.5μgを含むpH9.5の10mM NaHCO3緩衝液100μ■を用いて21merペプチドでコーティングした96穴の切断可能なポリ塩化ビニール(PVC)プレート及び以下のものを備える:(1)正常ヒト血清(陰性コントロール);(2)熱不活性化されNP40で可溶化されたAIDS患者血清(陽性コントロール);(3)正常ヤギ血清;(4)I125標識ヤギ抗ヒトIgG。本テストキットは実施例3に記述された手順で用いられる。
上記のテストキットでは、本発明のペプチドでコーティングされた96穴PVCプレートを固相免疫吸着剤(抗原)として使用しているが、固相としてこれに限定されるものではなく、例えば、ガラスビーズ、ポリスチレンビーズ、ニトロセルロース膜ストリップ等も固相として使用できる。
実施例5A この実施例は血液凝集法を用いるHIV抗体検出用のテストキットに関するものである。本実施例のテストキットは96穴U底マイクロプレート及び以下のものを備える:(1)21merペプチドでコーティングされたヒツジ赤血球、又はゼラチン粒子、又はポリスチレンラテックス粒子;(2)正常ヒト血清(陰性コントロール);(3)熱不活性化されNP40で可溶化されたAIDS患者血清(陽性コントロール)。
本テストキットは実施例3Aに記述された手順で用いられる。
実施例6 この実施例では、実施例1の方法を用いたAIDSスクリーニング結果と、米国特許4,520,113による熱不活性化されNP40で可溶化されたHIVを用いたAIDSスクリーニング結果との比較検討を行なった。正常血清、AIDS、ARC患者の血清は1:20及び1:2,000に稀釈した。各稀釈血清サンプルに対して本発明のペプチドを用いたテスト及び米国特許によるHIVを用いたテストを行なった。4正常ヒト血清を陰性コントロールとして用い、また、熱不活性化HIVと反応するAIDS患者血清サンプルを陽性コントロールとして用いた。その結果を表IIIに示す。


表IIIの結果は本発明の測定方法が高感度であることを示している。AIDS患者血清を用いた測定結果では、本発明のペプチドを用いた吸光度は不活性化されたHIVを用いた吸光度と較べ非常に高い値となることが判明した。
また、サンプルNo.335、336、340、345、347、357及び361の吸光度を見ると不活性化されたHIVを用いた結果は陰性と判断され得るが、本発明のペプチドを用いた方法が高い特異性と感度を有していることが証明された。
実施例7この実施例は免疫原及びワクチンに関するものである 4匹の健康なBalb/cマウスから採血し、実施例1及び2の方法によりその血清を試験した。その結果、Balb/cマウスは、表IVに示すように、HIV及び21merペプチドの双方に対する抗体を有しないことが明らかとなった。次に4匹のマウスをAおよびBの2群に分け、次の方法で免疫した。
A群 庶糖密度勾配法で精製されたHIVに同量の完全フロインドアジュバンドを混合したもの20μg/0.2mlを2匹のBalb/cマウスに、腹腔内および皮下の双方に注射した。次の日程に従い、免疫を行なった。
第1回免疫 0日 第2回免疫 14日後 第3回免疫 21日後 第4回免疫 28日後 第5回免疫 35日後 第6回免疫 42日後B群 上記と同様に、2匹のBalb/cマウスに、キャリアとしてのヒト血清アルブミン(HSA)に結合した21merペプチドを20μg/20μgHSA10.2ml注射した。免疫日程もA群のそれと同様とした。
第6回免疫後、AおよびBの両群から採血し、西洋わさびペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIgGを第2抗体として使用し、実施例1および2の方法で血清を測定した。その結果を表Vに示す。
その結果によれば、HIVで免疫されたマウスから得られた血清は、21merペプチドに対する高力価抗体とともにHIVに対する高力価抗体を含むので、21merペプチドはHIVに存在する高免疫原エピトープを表現することが明らかとなった。さらに、キャリアとしてのヒト血清アルブミンに結合した21merペプチドで免疫されたマウスから得た血清中のHIVに対する高力価抗体の存在によって、本発明のペプチドは健康な哺乳動物におけるHIVに対する抗体の産生を誘発する有力な免疫原であることが実証された。
加えて、本発明のペプチドの重合体もHIVに対する抗体産生を誘発するために使用されうる。
合成ペプチドはウィルスの表面に存在する抗原性又は免疫原性部位の代用として使用され、さらにワクチンとしても使用され得る。大きなウィルスの微小部位を表す構造の一部を模倣させ、中和力又は防御力を持つ抗体を準備できることは非常に重要なことである。合成ワクチンの利点は、費用および安全性にあり、なおかつ容易に実現できるものである。本発明ペプチドはHIVの優位なエピトープを表現することが判明しているため、本発明のペプチドをキャリアと結合させた複合物および本発明のペプチドの重合体はHIVに対する高力価の抗体を誘発することができる。従って本発明のペプチドは防御の目的のためにHIVに対する抗体を誘発させる合成ワクチンとして使用できる最良の候補である。
実施例8この実施例は本発明のペプチドおよびそれらとHIV抗体との反応性に関するものである 上述のMerrifield原法により21merペプチド(No.6)と10個の類似ペプチド(No.1〜5、No.7〜11)を調製した。各ペプチドのアミノ酸配列を表VIに示す。
AIDSと診断され、HIVに対する抗体をもつ患者から血清サンプルを得た。上記AIDS血清サンプルに対して、コーティング抗原として各ペプチドを用いて、実施例1によるELISAテストを行なった。各ペプチドの反応性は、21merペプチド(No.6)の結果を100%として表わした。その結果を表VIIに示す。










実施例9 以下のアミノ酸配列を有する21merペプチドの類似体を、HIVの種々の株のトランスメンブラン領域の既知のアミノ酸配列に基づいて合成した。


上記合成ペプチド(1)および(2)を、HIVに対する抗体陽性であることが知られている血清に対して試験したところ、これらペプチドはHIVに対する抗体に対して免疫反応性であることが確認された。
本実施例は、HIVの種々の株の既知のアミノ酸配列に基づく情報を用いることによって体液中のHIVの種々の株に対する抗体の存在を試験するための免疫反応性剤としてペプチド類似体が合成できることを示している。
【図面の簡単な説明】
第1図は、(A)本発明のペプチドと(B)不活性HIVでマイクロプレートのウェル内をコーティングしたマイクロプレートを用いたELISA法を使用してAIDS患者の血清を検査した際のデータと、(a)本発明のペプチドと(b)不活性HIVウィルスを使ってELISA法で正常な血清を検査した際のデータとを比較したグラフ図である。

【特許請求の範囲】
1.AIDS、ARC、プリ−AIDSの診断及びHIVに対する抗体の検出のためのペプチドであって、次のアミノ酸配列を有するペプチド、

又は次のa)〜c)を満たす上記ペプチドの類似体。
a)HIVに対する抗体との免疫反応性が保持されており、b)上記配列の11〜21のアミノ酸残基が置換されずに保存されており、c)上記配列の端部のアミノ酸残基が除去又は端部にアミノ酸残基が付加されていてもよいが、全体で15〜25のアミノ酸残基を有し、ただし、次のアミノ酸配列を有するペプチド類似体を除く。


2.ペプチドが、前記アミノ酸配列の端部のアミノ酸残基が除去されたペプチドである、特許請求の範囲第1項記載のペプチド。
3.ペプチドが、以下のアミノ酸配列:

から選択されるアミノ酸配列をペプチドの一部に有する、特許請求の範囲第1項記載のペプチド。
4.AIDS、ARC、プリ−AIDSの診断及びHIVに対する抗体の検出のためのペプチドであって、次のアミノ酸配列を有するペプチド、

又は次のa)〜c)を満たす上記ペプチドの類似体a)HIVに対する抗体との免疫反応性が保持されており、b)上記配列の11〜21のアミノ酸残基が置換されずに保存されており、c)上記配列の端部のアミノ酸残基が除去又は端部にアミノ酸残基が付加されていてもよいが、全体で15〜25のアミノ酸残基を有し、ただし、次のアミノ酸配列を有するペプチド類似体を除く、

を抗原として、免疫測定法でHIVに対する抗体を検出する方法。
5.免疫測定法がELISAである、特許請求の範囲第4項記載の方法。
6.免疫測定法がIRAMAである、特許請求の範囲第4項記載の方法。
7.pH7〜10の緩衝液中で、0.1〜20μgの前記ペプチドを抗原として使用する、特許請求の範囲第5項記載の方法。
8.pH7〜10の緩衝液中で、約1μgの前記ペプチドを抗原として使用する、特許請求の範囲第7項記載の方法。
9.緩衝液が、pH9〜10の10mM重炭酸塩緩衝液である、特許請求の範囲第7項記載の方法。
10.緩衝液が、pH約9.5の10mM重炭酸塩緩衝液である、特許請求の範囲第9項記載の方法。
11.緩衝液が、pH7〜8の50mMのTRIS緩衝液である、特許請求の範囲第7項記載の方法。
12.緩衝液が、pH約7.5の50mMのTRIS緩衝液である、特許請求の範囲第11項記載の方法。
13.pH7〜10の緩衝液中で、0.1〜20μgの前記ペプチドを抗原として使用する、特許請求の範囲第6項記載の方法。
14.pH7〜10の緩衝液中で、約1μgの前記ペプチドを抗原として使用する、特許請求の範囲第13項記載の方法。
15.緩衝液が、pH約9.5の10mM重炭酸塩緩衝液である、特許請求の範囲第13項記載の方法。
16.緩衝液が、pH約9.5の10mM重炭酸塩緩衝液である、特許請求の範囲第14項記載の方法。
17.緩衝液が、pH7〜8の50mMのTRIS緩衝液である、特許請求の範囲第13項記載の方法。
18.緩衝液が、pH約7.5の50mMのTRIS緩衝液である、特許請求の範囲第17項記載の方法。
19.免疫測定法が血球凝集法である、特許請求の範囲第4項記載の方法。
20.免疫測定法が酵素免疫ドット法である、特許請求の範囲第5項記載の方法。
21.AIDS、ARC、プリ−AIDSの診断及びHIVに対する抗体の検出のためのペプチドであって、次のアミノ酸配列を有するペプチド、

又は次のa)〜c)を満たす上記ペプチドの類似体a)HIVに対する抗体との免疫反応性が保持されており、b)上記配列の11〜21のアミノ酸残基が置換されずに保存されており、c)上記配列の端部のアミノ酸残基が除去又は端部にアミノ酸残基が付加されていてもよいが、全体で15〜25のアミノ酸残基を有し、ただし、次のアミノ酸配列を有するペプチド類似体を除く、

を含む試薬キット。

【第1図】
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【特許番号】第2702911号
【登録日】平成9年(1997)10月3日
【発行日】平成10年(1998)1月26日
【国際特許分類】
【出願番号】特願昭61−99296
【出願日】昭和61年(1986)4月28日
【公開番号】特開昭62−61996
【公開日】昭和62年(1987)3月18日
【前置審査】 前置審査
【出願人】(999999999)