説明

合成樹脂製外装材

【課題】 プラスチックの特長を生かして耐久性に優れ、表面の意匠性を向上させて重厚感や質感に富み、かつ、全体としての強度と耐熱性にも富む合成樹脂製外装材(サイディング材)を開発する。
【解決手段】 本発明の合成樹脂製外装材1は、基材2と装飾材包容層3と装飾材包容層に保持された装飾材4とからなることを特徴とする。前記装飾材が、装飾材包容層の包絡面から突出していることが好ましい。
また、装飾材側表面に、撥水塵埃付着防止層5が形成されていることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、 合成樹脂製の建築物の外装材に関し、特には、装飾性を有し、かつ、それ自体で強度を有する合成樹脂製の建築物の外装材に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の外装材としては、コンクリートを主材としてバインダーを添加した窯業系サイディング材や、金属板にエンボス加工や塗装を施し、発泡の裏打ち材を接着した金属系サイディング材、コンクリートを発泡させ成型したALC板、レンガやタイルを貼り付けたレンガ調サイディング材、さらにはプラスチックを素材としたものなど、種々の外装材が存在している。その中でも塩ビサイディング材は、プラスチックの特性を生かし耐久性に優れ、塩害による錆や凍結融解によるひび割れもなく、また目地にコーキングを必要とせず、撥水性や耐衝撃性に優れ、軽量で施工性も良好であることから、建物の長寿命の外装化粧材として新築もしくは既存壁のリフォームに使用されている。
【0003】
このようなサイディング材は、その形状は杉板を模した下見板張り様のクリップボード型や、ドイツ張りのダッチラップ型があり、働き幅や長さなども様々なタイプが用意されている。
しかし、塩ビサイディング材は、厚みが1mm程度と薄く、表面の意匠もエンボス加工や木目等の模様を印刷したシートをラミネート加工する程度で、重厚感や意匠性が乏しく、窯業系サイディング材などの質感と比較して見劣りする意匠となっていた。
【0004】
質感や重厚感を持たせられるように、自然石やタイルなどの石片を金型面に散布し、プラスチックシートをその上からプレスして一体化する石片装飾板も用いられている(特許文献1参照)。
しかし、特許文献1に示される外装板では、装飾面が平面であって、装飾性の面で物足りない憾みが残ること、異質の材料が混在しており、全体を繋ぐ材料部分に厚さの差異が大きいことおよび素材がプラスチックであることに起因して、強度と耐火性に欠ける憾みがあること、等の問題点が含まれている。
【0005】
【特許文献1】特開平5−301208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みて、プラスチックの特長を生かして耐久性に優れ、表面の意匠性を向上させて重厚感や質感に富み、かつ、全体としての強度と耐熱性にも富む合成樹脂製外装材(サイディング材)を開発することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の合成樹脂製外装材1は、基材2と装飾材包容層3と装飾材包容層に保持された装飾材4とからなることを特徴とする。前記装飾材が、装飾材包容層の包絡面から突出していることが好ましい。
また、装飾材側表面に、撥水塵埃付着防止層5が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の合成樹脂製外装材によれば、所期の課題とした耐久性に優れ、表面の意匠性を向上させて重厚感や質感に富み、かつ、全体としての強度と耐熱性にも富む合成樹脂製外装材(サイディング材)が提供できる。特に、立体感のある意匠とすることもでき、また、撥水性あり、塵埃の付着も防ぐことができるようにもすることができ、清掃・メンテナンス性にも優れたものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、建物の外壁として用いるサイディング材としての規格に適合させるべく、プラスチック素材を主体としつつも、強度と耐熱性を備えた基材を併用することを基本とする。
以下、添付図面を用いて、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の合成樹脂製外装材の基本構造を断面で示す模式的説明である。
図2は、本発明の合成樹脂製外装材の一具体例の構造を断面で示す模式的説明である。
【0010】
図1に示すとおり、本発明の合成樹脂製外装材1は、基材2と装飾材包容層3と装飾材包容層に保持された装飾材4とからなる。
また、図2に示すとおり、装飾材4側の最外表面には、撥水塵埃付着防止層5が形成されていることが望ましい。
基材2は、外装材の強度と、少なくとも片面側における耐熱性・耐火性とを担うものであって、不燃性材、準不燃材、または難燃材として、無機質板や無機質複合板、また金属シートや合成樹脂板が好ましく、特に、繊維強化セメント板、ケイ酸カルシウム板、水酸化アルミニウム板、火山性ガラス質複層板、アルミニウム製シート、アルミニウム合金製シート、金属製シート、難燃材や強化材やガラス繊維やガラス不織布などを含有した合成樹脂板(塩化ビニル樹脂板、フェノール樹脂板、ポリエステル樹脂板等)等からなることができる。
【0011】
装飾材包容層3は、本発明の外装材の主体をなす合成樹脂材料からなる。装飾材包容層3は、装飾材4を保持する役を担う。合成樹脂材料としては格別限定されないが、例えば、難燃性や自己消化性に優れ、耐候性のある塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、ポリカーボネート樹脂等に適宜、安定剤や充填剤、紫外線吸収剤、顔料、滑剤、発泡剤等を含有したものが例示される。特に撥水塵埃付着防止層5を含まない場合、上記樹脂の耐候性を向上させるため、紫外線吸収剤等を含有した方が好ましい。
装飾材包容層3の色は、装飾剤4の外観等を考慮し適宜選択することができる。
【0012】
装飾材4は、天然物(砕石、小石、マイカ、珪砂、ガラス等)、着色骨材、セラミックス製チップ(酸化クロム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、炭化タングステン、炭化クロム等)や金属粉、硬質合成樹脂チップ、軟質合成樹脂チップ等からなる人造石材等からなる、質感と装飾性を兼ね備えた材料であり得る。これらを混合して用いることもできる。
撥水塵埃付着防止層5としては、セルフクリーニング機能を有する材料で防汚性を上げることができる。この場合、装飾材包容層3によって耐候性を向上させることもでき、相乗効果で長期にわたり汚れ防止や耐候性に優れ、外観の美観を維持することができる。
【0013】
撥水塵埃付着防止層5は、クリアー層(透明な塗膜)であって、例えば、シリコーン系樹脂に光触媒性を有する化合物(酸化チタン、酸化亜鉛など)を添加したり、フッ素系樹脂や珪素含有硬化型樹脂等が好ましい。
撥水塵埃付着防止層5は、外観に質感が必要な場合には、上記樹脂にシリカ等の粒形状無機質材料を添加して光沢度を下げることもできる。
装飾材包容層3の外側表面は、平面をなすことで差し支えないが、装飾性その他を勘案して、全体として緩やかな凹凸をなすものとすることができる。
【0014】
装飾材4は、装飾材包容層3の外側表面と面一としても差し支えないが、装飾材包容層3の外側表面から、適宜の量、例えば0.3〜3mm程度、突出させることができ、各装飾材4毎の突出量も、同位置とすることも、異ならせることも、可能である。
装飾材4の配置は、例えば、装飾材包容層3の外側表面上に適宜ばらまくことによるもののような、偶然に生起する分布でも良く、デザインに基づく人工的な模様を形成するように意図的に配置されたものであることもできる。
装飾材包容層3の外側表面または装飾材包容層3の全面を加熱軟化させて装飾材4を装飾材包容層3表面に一部埋め込むようにすることが、装飾材4の固着性の面で好ましいが、表面に接合・接着されるものであっても良い。
撥水塵埃付着防止層5は、エアースプレー、ローラー・刷毛・グラビア等によるコーティング、オフセット印刷、等の適宜の方策で形成される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の合成樹脂製外装材の基本構造を断面で示す模式的説明である。
【図2】本発明の合成樹脂製外装材の一具体例の構造を断面で示す模式的説明である。
【符号の説明】
【0016】
1:(本発明の)合成樹脂製外装材
2:基材
3:装飾材包容層
4:(装飾材包容層に保持された)装飾材
5:撥水塵埃付着防止層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と装飾材包容層と装飾材包容層に保持された装飾材とからなることを特徴とする合成樹脂製外装材。
【請求項2】
前記装飾材が、装飾材包容層の包絡面から突出している請求項1に記載の合成樹脂製外装材。
【請求項3】
前記合成樹脂製外装材の装飾材側表面に、撥水塵埃付着防止層が形成されている請求項1または請求項2に記載の合成樹脂製外装材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−275428(P2009−275428A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−128522(P2008−128522)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】