説明

合掌部付き袋体

【課題】内容物の取り出し容易性・製造工程の煩雑化の回避・資源の無駄使いの防止などこれらを満足させることのできる合掌部付き袋体を提供する。
【解決手段】袋体11の場合は、袋両側部における表側構成要素12と裏側構成要素13との間にガゼット片14が介在され、ガゼット片14の介在により当該両構成要素12・13の端部が間接的に対接し、表側構成要素12と裏側構成要素13とのうちのいずれか一方がその外面側に合掌部15を有し、各ガゼット片14が合掌部15と交差する向きに配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は合成樹脂製袋体の技術分野に属するものであり、より詳しくは、機能面で改良された合掌部付きの袋体に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂製の袋体で開口部となる合掌部が袋の背に設けられたものは、テーブルやその他の上に置いた状態で内容物を取り出すことができ、しかもその使用状態において内容物がこぼれたりしないので使い勝手がよい。この種の袋体としては、容量の大きさや置いたときの安定性、さらには陳列や箱詰めなどの便宜性から、ガゼット付のものが広く知られるに至っている。
【0003】
既成の袋体でガゼットと合掌部とを併せもつものは、内容物を収納したときに合掌部両端に加わる引張力が合掌部に及び、その長手方向にテンションが作用するため、合掌部の倒れてしまうことが少なくない。これについては安定した起立状態にするのが難しい。一方では、このようなことが内容物を取り出しにくいものにしている。下記の特許文献にはこうしたことへの対策が開示されている。これら文献技術は応分の成果をおさめており、現に実用に供されているものもある。
【0004】
【特許文献1】特開平07−215348号公報
【特許文献2】実開平05−046747号公報
【特許文献3】特開2002−234552号公報
【特許文献4】特開平08−091429号公報
【特許文献5】特開平07−257605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献に開示された袋体に関する技術にはつぎのような課題が残されている。一つは既述のテンション波及を回避するために合掌部の両端を切り落とさねばならず、それが原因で袋体製造時の工程が煩雑化することである。この工程の煩雑化は生産性を低下させたりコストアップを招いたりする要因になる。他の一つは切り落とし分に応じて開口部が狭くなることから、それを見込んで合掌部を大き目に設定しなければならないことである。このような合掌部のサイズアップやテンション対策のための切り落としは、自明のとおり、資源(材料)の無駄使いにほかならない。したがってこれが、さらなる生産性の低下要因やコストアップ要因になる。
【0006】
本発明はこのような技術上の課題に鑑み、内容物の取り出し容易性・製造工程の煩雑化の回避・資源の無駄使いの防止などこれらを満足させることのできる合掌部付き袋体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る合掌部付き袋体は所期の目的を達成するために下記の課題解決手段を特徴とする。すなわち請求項1に記載の合掌部付き袋体は、袋両側部における表側構成要素と裏側構成要素との間にガゼット片が介在されているとともに当該ガゼット片の介在により当該両構成要素の端部が間接的に対接していること、および、表側構成要素と裏側構成要素とのうちのいずれか一方がその外面側に合掌部を有していること、および、袋両側部において表側構成要素と裏側構成要素との間に介在されたそれぞれのガゼット片が合掌部と交差する向きに配設されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2に係る合掌部付き袋体は、請求項1に記載の袋体において、開口部となる合掌部を有し、その開口部開閉用のチャックが合掌部の長手方向にわたって設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る合掌部付き袋体はつぎのような効果を有する。
(1) 「開口部となる合掌部」の両端にある屈伸自在なガゼット片が、袋両側部において表側構成要素と裏側構成要素との間に介在して両構成要素相互を間接的に対接させている。したがって袋体が内容物で膨らむとしても、合掌部の両端ではガゼット片の伸びでその膨らみがほとんど吸収されてしまう。すなわち合掌部には、その長手方向などにテンションが作用したりはしない。このような開口部(合掌部)は倒伏しがたいものであり、別の観点では開口部(合掌部)の起立状態に安定性があるから、起立状態の開口部から内容物の取り出すのが容易に行える。
(2) 安定した起立状態の合掌部は、自明のとおり、内容物入り袋体を設置したときに目立ちやすいものである。これは合掌部の外面側に表示(例:印刷表示)を施したときにそれがよく目立ち、判読なども容易に行えるということである。したがって袋体について、合掌部の外面側に注意事項・商品名・ブランド・宣伝文など所望ないし所要の表示を施しておけば、それが消費者やユーザなどの受け手に伝わりやすくなる。
(3) 袋両側部にわたる合掌部(開口部)は袋幅を最大限活用した大きさのものである。このような開口部は広くて内容物が取り出しやすく、上記との相乗効果で内容物の取り出しがさらに簡単に行える。
(4) テンションの影響を回避するために合掌部の一部の切り落としたり、その切り落としに起因した開口部の狭小化を補償するために合掌部をサイズアップしたりすることがないから資源の無駄使いを誘発せず、そのために要していた加工手数も省略できるから、これらを総合して生産性の向上やコストダウンがはかれる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る合掌部付き袋体とその製造方法について、これらの実施形態を添付図面に基づき説明する。
【0011】
図1〜図4に例示された袋体11は表側構成要素12と裏側構成要素13とを主体にして構成されているものである。具体的にいうと、袋体11の表側構成要素12と裏側構成要素13は、袋両側部において一対のガゼット片14・14を挟んで対接している。表側構成要素12と裏側構成要素13とのうちのいずれか一方たとえば表側構成要素12は、開口部となる合掌部15をその外面側に有する。合掌部15についていえば、これには使用上の利便性を高めるためにチャックや粘着テープなどの再開閉手段が設けられるのが望ましく、また、封緘部の開封を必要とする場合にノッチや傷痕群などの引裂手段が設けられのが望ましい。さらにいうと、たとえば一軸延伸フィルムのような材料からなるティアテープ(引き裂き用テープ)がこの種の引裂手段に組み合わされるのも望ましい実施形態の一つである。ちなみに図示の実施形態では、チャック16が合掌部15の長手方向にわたって設けられており、封緘部開封のためのI形のノッチ17がチャック16の上部に設けられている。
【0012】
図1〜図4で袋体11の袋両側部に設けられている一対のガゼット片14・14はたとえば四角形をした面状のもので二つ折りのような折り込み形状を有するものである。この一対のガゼット片14・14は、合掌部15と交差する向きを保持して表側構成要素12と裏側構成要素13との間に介在され、かつ、該各ガゼット片14・14の介在された表側構成要素12・裏側構成要素13の所要部(袋両側部)が接着されているものである。さらにいうと、各ガゼット片14・14は袋体11を偏平に折り畳んだとき谷折り状態で袋内方へ折り込まれるものである。かくて袋体11が構成される。この場合に接着される袋両側部の少なくとも一方は、内容物(袋詰物)の充填口として使用されたりする。したがって内容物の充填口として使用される場合の袋両側部の少なくとも一方は、一実施形態として内容物の充填後に接着封緘され、他の一実施形態として充填口たる開口部にチャックなどの再開閉手段が設けられるとともに内容物の収納後にそのチャックで開口部(充填口)が閉鎖されるものである。
【0013】
図1〜図4の袋体11で斜めの接着部18は、表側構成要素12・裏側構成要素13とガゼット片14・14との接着状態を強化するためのものである。これには、また、袋体11の隅角部に内容物が侵入して取り出し難くなるのを防止するという機能もある。
【0014】
上述した所要部の接着について詳述すると、合掌部15の場合は当該合掌部付き袋構成要素(図示例:表側構成要素12)における合掌部15の左右両側縁が接着されるが、合掌部15におけるチャック16上の縁部については、接着または非接着のいずれかが選択される。ちなみにこの図示例ではチャック16上の縁部が接着封緘されている。左右両側のガゼット片14・14が介在された部分のうちで、そのうちの左側部(図1の左側部)は当該左側部の表側構成要素12・裏側構成要素13とガゼット片14との対接部分が接着され、右側部(図1の右側部)は当該右側部の表側構成要素12・裏側構成要素13とガゼット片14との対接部分が接着される。袋体11の上下両側部(図1の上側部と下側部)について、ガゼット片14・14が介在されていない部分では表側構成要素12と裏側構成要素13とが直接接着され、ガゼット片14・14が介在されている部分については、表側構成要素12・裏側構成要素13とガゼット片14・14との対接部分が接着される。その際にガゼット片14・14の一部が切り欠かれ、その切り欠き部で表側構成要素12と裏側構成要素13とが直接接着されることにより該部が強化される。
【0015】
表側構成要素12・裏側構成要素13やガゼット片14・14など袋体11の構成材料は、単一のフィルム(シートも含む)または材質の異なるフィルムの積層物(シートの積層物も含む)からなる。これらが積層物からなる場合の層数は二層以上である。その場合の望ましい一例として、袋体11の内側を構成するための表側構成要素12・裏側構成要素13のフィルム層やガゼット片14・14のフィルム層は、熱接着性の良好な樹脂層たとえば低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体のごときもので形成される。これに対し、袋体11の外側を構成するための表側構成要素12・裏側構成要素13のフィルム層やガゼット片14・14のフィルム層としては、上記内側フィルム層相互を熱接着するための条件では接着が生じないもの、たとえばポリエステル製、ポリアミド製、紙製、不織布製、箔製(アルミ箔製)のフィルム状物(シート状物)とかその他の材質からなるフィルム状物(シート状物)であって、耐熱性・耐候性・防気性・遮光性・保香性・対薬品性・機械的強度など所要の特性を袋体11に具備させることのできる単層または複層の資材が選択される。
【0016】
袋体11を積み重ねて陳列したり箱詰めしたりするときに合掌部15は、図2のごとく表側構成要素12の外面上で伏せた状態に置かれる。この状態のとき、合掌部15の長手方向にはテンションが作用しない。したがって合掌部15は、図3のように簡単に立ち起こすことができる。こうして合掌部15を起立状態にしたときは、それをノッチ17の箇所から引き裂き開封したりチャック16で開閉したりすることができ、これによって内容物の取り扱いを円滑にすることができる。
【0017】
合掌部15に粘着剤による再開閉手段を具備させるときは、図2のような形態をなす合掌部15の対接面に粘着剤層を施すようにしても構わない。あるいは、内圧の影響など不測の事態で粘着剤層が剥離してしまうのを避けるというときは、図4に示すように合掌状態にあるフィルムの一方を延長して舌片とし、この長くした舌片を折り返し、その折り返し片の内面と、これに対接するもう一方の片と、当該両片間に介在する粘着剤層9とで合掌部15を粘着封緘したり開放したりするようにしてもよい。図4における再開閉手段の粘着剤層9は、相対開閉するいずれか一方の片または両片に設けられる。
【0018】
本発明に係る合掌部付き袋体で上述したものは、一例として特公平06−028921号公報に開示された発明の製造方法や製造装置を応用して製造することができる。以下、その応用による上記袋体11の製造方法について、これの実施形態を図面と実施例に基づき説明する。
【実施例1】
【0019】
実施例1においては、フィルム21が供給始点側から供給終点側へ連続供給される間に下記(11)〜(15)の各工程が実施されて袋体11が製造される。
(11) 折り込み工程
折り込み工程においては帯状フィルム21が図5(a)のように二つ折りにされる。この帯状フィルム21において、二つ折りされて互いに対面する一端部側の内面と他端部側の内面には、雌雄一対の部材からなるチャック16の雄形部材・雌形部材がその両端部に沿って設けられている。したがって、折り込み工程を終えたときの帯状フィルム21は、図5(a)のような二つ折り状態になるとともにチャック16の雄形部材と雌形部材とが互いに咬み合った状態になる。
(12) 折り変え工程
折り変え工程においては、二つ折り状態でチャック16の咬み合った帯状フィルム21が、ガイド部材を介した操作によって図5(b)の状態に折り変えられる。この工程を経ることで、帯状フィルム21のチャック16を有する部分(合掌部15)が上面側に位置するようになる。
(13) 切り離し工程
切り離し工程のとき、折り変え後の帯状フィルム21が図5(b)の左側折り曲げ部と右側折り曲げ部とが切開されて上下に切り離される。これで上下に二分された帯状フィルム21の各分離部は、袋体11における二つの構成要素、すなわち、チャック16付き合掌部15を有する表側構成要素12や単に偏平な裏側構成要素13になるものである。
(14) ガゼット仮付け工程
ガゼット仮付け工程では、上下に分離した帯状フィルム21・21の間に二つ折り状のガゼット片14・14が介在されてそこに仮付けされる。この場合の各ガゼット片14・14は、帯状フィルム21の長手方向すなわち図5(b)の横方向と交差(直角交差)する向きを保持している。
(15) 接着切断工程
接着切断工程によるときは、ガゼット片14・14が仮付けされた後の上下帯状フィルム21・21が所定部で接着切断される。かくて既述の袋体11すなわち図1〜図4で説明したような袋体11が得られる。
【0020】
実施例1において工程の一部を変更したり工程数を変更したりする場合は、つぎのような実施形態も実施できる。その一例においては、二つ折り状態でチャック16の咬み合った帯状フィルム21に対して一定間隔で前接着するという前接着工程(実施例3の(32)参照)が上記折り込み工程(11)と上記折り変え工程(12)との間に介在する。他の一例においては、図8に示を参照して後述する折り返し工程が上記ガゼット仮付け工程(14)と上記接着切断工程(15)との間に介在する。
【0021】
図8の折り返し工程においては、ガゼット片仮付け後の上下帯状フィルム21・21が同図の矢印方向へ折り返される。これにつき図8を参照して詳述すると、ガゼット片仮付け後の上下帯状フィルム21・21は、上側帯状フィルム21と合掌部17との交差部側を基点にしてその合掌部表面に沿う方向(図8の矢印方向)へと折り返され、図8の仮想線の状態になる。この場合に帯状フィルム21・21の折り返し部は対面平行または対接するようになる。帯状フィルム21・21は、この後、反転して次工程に移行することになる。
【実施例2】
【0022】
実施例2においては、フィルム21が供給始点側から供給終点側へ連続供給される間に下記(21)〜(25)の各工程が実施されて袋体11が製造される。
(21) 折り込み工程
折り込み工程においては口径が一定の筒状フィルム21が図6(a)のように偏平に折り込まれる。この筒状フィルム21の内面で一方の筒口から他方の筒口にわたる直線状の対向部には、雌雄一対の部材からなるチャック16の雄形部材・雌形部材が設けられている。したがって、折り込み工程を終えて図6(a)の偏平状態に折り込まれた筒状フィルム21は、チャック16の雄形部材と雌形部材とが咬み合い状態になる。筒状のフィルム21をこのように折り込んだものはフラットなフィルムを二つ折りしたものと実質的に同一といえる。
(22) 折り変え工程
折り変え工程においては、偏平に折り込まれてチャック16の咬み合った筒状フィルム21がガイド部材による操作で図6(b)の状態に折り変えられる。この工程を経ることで、筒状フィルム21のチャック16を有する部分(合掌部15)が上面側に位置するようになる。
(23) 切り離し工程
切り離し工程では、折り変え後の筒状フィルム21について、図6(b)の左側折り曲げ部と右側折り曲げ部とが切開されてそれらの箇所が切り離される。これで所定部が切り離された筒状フィルム21の各分離部は、袋体11における二つの構成要素、すなわち、チャック16付き合掌部15を有する表側構成要素12や単に偏平な裏側構成要素13になる。
(24) ガゼット仮付け工程
ガゼット仮付け工程のときは、互いに分離した二枚のフィルム21・21の間に二つ折り状のガゼット片14・14が介在されてそこに仮付けされる。この場合の各ガゼット片14・14もフィルム21の長手方向すなわち図6(b)の横方向と交差(直角交差)する向きを保持している。
(25) 接着切断工程
接着切断工程によるときは、ガゼット片14・14が仮付けされた後の上下帯状フィルム21・21が所定部で接着切断される。これで既述の袋体11が得られる。
【0023】
実施例2の場合も実施例1と同様、前接着工程(実施例3の(32)参照)が上記折り込み工程(21)と上記折り変え工程(22)との間に介在するという実施形態や、図8の折り返し工程が上記ガゼット仮付け工程(24)と上記接着切断工程(25)との間に介在するという実施形態がある。
【実施例3】
【0024】
実施例3においては、フィルム21が供給始点側から供給終点側へ連続供給される間に下記(31)〜(35)の各工程が実施されて袋体11が製造される。
(31) 折り込み工程
折り込み工程においては帯状フィルム21が図7(a)のように二つ折りにされる。この帯状フィルム21で互いに対面する折り曲げ部付近の直線状対向部には、雌雄一対の部材からなるチャック16の雄形部材・雌形部材が設けられている。したがって、かかる折り込み工程を終えたときの帯状フィルム21も前例と同様、二つ折り状態になるとともにチャック16の雄形部材と雌形部材とが互いに咬み合った状態になる。
(32) 前接着工程
前接着工程では、図7(a)の二つ折り状態にある帯状フィルム21がその所定部を一定間隔で前接着される。それによって帯状フィルム21には二つの前接着部22・22が形成される。図7(a)を参照して、前接着部22・22の寸法(丈)Hは合掌部15の丈に等しく、前接着部22・22間の寸法Wは袋体11の袋幅に等しいものである。したがって、この工程での前接着は合掌部15の丈や袋幅を決定するものといえる。
(33) 折り変え工程
折り変え工程においては、偏平に折り込まれてチャック16の咬み合った帯状フィルム21で前接着後のものが前述したガイド部材による操作で折り変えられる。この場合も前記と同様、帯状フィルム21のチャック16を有する部分(合掌部15)が上面側に位置するようになる。
(34) 切り離し工程
切り離し工程では、前接着かつ折り変え後の筒状フィルム21について、左側折り曲げ部と右側折り曲げ部とが図7(b)のごとく切開されてそれらの箇所が切り離される。これで所定部が切り離された筒状フィルム21の各分離部は、袋体11における二つの構成要素、すなわち、チャック16付き合掌部15を有する表側構成要素12や単に偏平な裏側構成要素13になる。
(35) ガゼット仮付け工程
ガゼット仮付け工程のときは、互いに分離した二枚のフィルム21・21の間に二つ折り状のガゼット片14・14が介在されてそこに仮付けされる。この場合の各ガゼット片14・14もフィルム21の長手方向すなわち図7(b)の横方向と交差(直角交差)する向きを保持している。
(36) 接着切断工程
接着切断工程によるときは、ガゼット片14・14が仮付けされた後の上下帯状フィルム21・21が所定部で接着切断される。これで既述の袋体11が得られる。
【0025】
実施例3においても、図8で説明した折り返し工程がガゼット仮付け工程(35)と接着切断工程(36)との間に介在するという実施形態がある。
【0026】
実施例1〜3の折り込み工程(11)(21)(31)や折り変え工程(12)(22)(32)は、以降の工程とは別のラインで実施されることが多い。そのような場合における実施例1〜3の一例として、折り込み工程(11)(21)(31)や折り変え工程(12)(22)(32)がそれ用の製造ラインで実施された後、以降の工程が図9の製造ラインで実施される。
【0027】
図9の製造ラインを用いる実施例1〜2では、フィルム21の左右の折り曲げ部をカット装置23で切開すること、切開後のフィルム21・21を案内ロール24で上下に分離すること、偏平筒状に折り畳まれたガゼット片14・14用のフィルムをガゼット片挿入装置でフィルム21・21の走行方向と直交する方向(合掌部15と交差する方向)から上下分離フィルム21・21間に挿入かつ介在するとともにそのガゼット片用フィルムを所定の長さに切断してフィルム21・21に仮付けすることなど、これらが記載の順序で実施される。これに対し、カット装置23が不要な実施例3では、案内ロール24の段階より上記と同様の製造工程をたどる。
【0028】
図9の製造ラインを用いる実施例1〜3において、前段の案内ロール24から後段の案内ロール26を経由して前方へ走行する上下フィルム21・21はそれぞれの所定位置で以下のような加工を受ける。それは、上下フィルム21・21の左右両側部(袋両側部)を接着装置27・28で接着するとともにその接着箇所を冷却装置29で冷却すること、ガゼット片24・24があって袋体11の四隅となる部分を斜め接着装置(コーナ接着装置)31で接着するとともにその接着箇所を冷却装置32で冷却すること、残りの接着所要部を下側シール装置33・上側シール装置34で接着するとともにその接着箇所を冷却装置35で冷却することなどである。
【0029】
袋体11において充填口となる部分は、内容物の充填後、接着またはチャックなどで封緘する。さらにフィルム21は、これを所要の袋幅に切断するため、ドローロール36で次工程のカッタ部37へ送り込む。
【0030】
本発明の製造方法で図9の製造ラインを用いる各実施例相互は、カット装置23の要不要について相違があるものの、長手方向に沿う合掌部15を有する帯状フィルム21と偏平な帯状フィルム21とを互いに並行させること、屈伸自在な折り込み形状のものであって合掌部15と交差する向きを保持したガゼット片14・14を並行状態の両帯状フィルム21・21間に介在させること、および、ガゼット片14・14のある袋両側部間の寸法を袋一単位分の幅とした場合、ガゼット片介在後の当該両帯状フィルム21・21を袋一単位分の幅ごとに接着切断することなどが技術的に共通している。本発明の合掌部付き袋体11は、このような製造技術に依存して連続的かつ容易に製造することができるものである。さらにいうと、合掌部15にテンションの影響が及ばないからテンション対策のために一部を切り落とす必要がなく、切り落としがないからその分を見込んで合掌部15を大き目に設定しておく必要もなく、テンション対策のための切り落としや合掌部15のサイズアップがないから資源の無駄使いもないという効果の連鎖が生じ、これらの相乗効果として袋体11を廉価に提供することができる。
【0031】
本発明に係る合掌部付き袋体の製造方法で実施形態などで説明したものは単なる例示しにすぎない。したがって本発明の製造方法は、既述のものに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る合掌部付き袋体は、使いやすく、つくりやすく、資源の無駄もないから、産業上の利用可能性が高い。本発明に係る合掌部付き袋体は、その袋体が合理的に製造できるものであるから、これも産業上の利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る合掌部付き袋体の一実施形態を略示した正面図
【図2】図1のII−II線に沿う断面矢視図
【図3】図1の袋体の斜視図
【図4】本発明に係る合掌部付き袋体の他の一実施形態を略示した要部断面図
【図5】本発明に係る合掌部付き袋体の製造方法についてその一実施形態を略示した要部斜視図
【図6】本発明に係る合掌部付き袋体の製造方法について他の一実施形態を略示した要部斜視図
【図7】本発明に係る合掌部付き袋体の製造方法について上記以外の一実施形態を略示した要部斜視図
【図8】本発明の袋体の製造過程での一例を示す斜視図
【図9】本発明に係る合掌部付き袋体の製造方法についてその要部工程の製造ラインを略示した説明図
【符号の説明】
【0034】
11 袋体
12 表側構成要素
13 裏側構成要素
14 ガゼット片
15 合掌部
16 チャック
17 ノッチ
18 斜め接着
19 粘着剤層
21 フィルム
22 前接着部
23 カット装置
24 案内ロール
25 仮付け装置
26 案内ロール
27 接着装置
28 接着装置
29 冷却装置
31 斜め接着装置
32 冷却装置
33 下側シール装置
34 上側シール装置
35 冷却装置
36 ドローロール
37 カッタ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋両側部における表側構成要素と裏側構成要素との間にガゼット片が介在されているとともに当該ガゼット片の介在により当該両構成要素の端部が間接的に対接していること、および、表側構成要素と裏側構成要素とのうちのいずれか一方がその外面側に合掌部を有していること、および、袋両側部において表側構成要素と裏側構成要素との間に介在されたそれぞれのガゼット片が合掌部と交差する向きに配設されていることを特徴とする合掌部付き袋体。
【請求項2】
開口部となる合掌部を有し、その開口部開閉用のチャックが合掌部の長手方向にわたって設けられている請求項1に記載の合掌部付き袋体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−91871(P2012−91871A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−285572(P2011−285572)
【出願日】平成23年12月27日(2011.12.27)
【分割の表示】特願2005−162015(P2005−162015)の分割
【原出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【出願人】(000147316)株式会社生産日本社 (34)
【Fターム(参考)】