吊り下げ型照明器具
【課題】天井から垂下されたコードによって器具本体の略中心が吊り下げ支持される照明器具において重量バランスをとるためのバランサを不要化し、又はバランサを可及的に小さくする。
【解決手段】平面視が正方形に形成された器具本体3に、第1の円環形蛍光ランプ8と、第2の円環形蛍光ランプ9が支持される。第1の円環形蛍光ランプ8の口金8cが器具本体3の対角位置に配置され、第2の円環形蛍光ランプ9の口金9cが第1の円環形蛍光ランプ8の口金8cと約45°ずらせた位置に配置される。点灯回路の放熱部材21は、器具本体3の中心Cを挟んで各口金8c、9c(ソケット12a、12b)の反対側に配置され、器具の重量バランスを補償する質量を有するアルミニュウム板である。アルミニュウム板21の重心21gは、第1及び第2の円環形蛍光ランプ8、9の口金8c、9cを結ぶ線L1上の点Pと、器具本体3の中心Cとを結ぶ線L2上に配置される。
【解決手段】平面視が正方形に形成された器具本体3に、第1の円環形蛍光ランプ8と、第2の円環形蛍光ランプ9が支持される。第1の円環形蛍光ランプ8の口金8cが器具本体3の対角位置に配置され、第2の円環形蛍光ランプ9の口金9cが第1の円環形蛍光ランプ8の口金8cと約45°ずらせた位置に配置される。点灯回路の放熱部材21は、器具本体3の中心Cを挟んで各口金8c、9c(ソケット12a、12b)の反対側に配置され、器具の重量バランスを補償する質量を有するアルミニュウム板である。アルミニュウム板21の重心21gは、第1及び第2の円環形蛍光ランプ8、9の口金8c、9cを結ぶ線L1上の点Pと、器具本体3の中心Cとを結ぶ線L2上に配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊り下げ型照明器具に関し、詳しくは天井から垂下されたコードによって器具本体の略中心が吊り下げ支持される照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
天井から垂下されたコードによって吊り下げ支持され、円環形蛍光ランプが光源として用いられる吊り下げ型照明器具においては、円環形蛍光ランプの口金や、口金が装着されるソケットの重量が重いために器具の重量バランスが偏りやすい。この問題を解消して吊り下げ支持された照明器具が水平に維持されるようにするために、一般的に金属製の錘(以下、バランサという)がカウンタウエイトとして設けられる。
【0003】
ところが、バランサが設けられる場合には、部品点数の増加やコスト上昇を招くという問題がある。そこで、従来からバランサを不要とするために、照明器具の点灯回路を器具本体から絶縁する合成樹脂製の絶縁部材を備える照明器具において、絶縁部材自体がソケットのカウンタウエイトになるように絶縁部材の固定位置が、電源コードによる吊り下げ位置を挟んでソケットと反対側に配置された吊り下げ型照明器具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、バランサを設けることなく吊り下げ型照明器具の重量バランスを調整する構造を有するものとして器具本体の上側に補助光源を備える吊り下げ型照明器具(例えば、特許文献2参照)や、比較的大重量のチョークコイルが2個に分割され、分割されたチョークコイルが重量バランスがとれるようにプリント基板上に配置された放電灯点灯装置(例えば、特許文献3参照)等が知られている。
【特許文献1】特開2004−95368号公報
【特許文献2】特開平10−172314号公報
【特許文献3】実開平5−69813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載の吊り下げ型照明器具は、合成樹脂製の絶縁部材の配置を工夫することによって器具の重量バランスを調整し、もってバランサの不要化を図るものであるので、バランサを不要化するためには比重の軽い材質(合成樹脂)から構成される絶縁部材を必要以上に大面積にしたり、必要以上に肉厚にして絶縁部材自体の重量を重くしなければならない。
【0006】
そこで、本発明は、天井から垂下されたコードによって器具本体の略中心が吊り下げ支持される照明器具において、無理な設計をする必要がなく容易にバランサを不要化でき、又はバランサを可及的に小さくすることができる吊り下げ型照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、天井から垂下されたコードによって略中心が吊り下げ支持される器具本体と、器具本体に支持される円環形蛍光ランプと、器具本体に設けられ、前記円環形蛍光ランプを点灯駆動する点灯回路と、前記点灯回路から発生する熱を放散させる放熱部材と、前記円環形蛍光ランプの口金が装着されるソケットと、を備える吊り下げ型照明器具において、前記放熱部材が、器具本体の中心を挟んで前記ソケットが設けられた位置の反対側に配置されると共に、器具の重量バランスを補償する質量を有することを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、器具本体が平面視において正方形に形成され、前記円環形蛍光ランプが、第1の円環形蛍光ランプと、これより直径の小さい第2の円環形蛍光ランプを備え、前記第1の円環形蛍光ランプの口金が器具本体の対角位置に配置され、前記第2の円環形蛍光ランプの口金が前記第1の円環形蛍光ランプの口金と約45°ずらせた位置に配置され、前記放熱部材は、その重心が前記第1及び第2の円環形蛍光ランプの口金を結ぶ線上の点と、器具本体の中心とを結ぶ線上に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、天井から垂下されたコードによって器具本体の略中心が吊り下げ支持される照明器具において、点灯回路から発生する熱を放散させる放熱部材が、器具本体の中心を挟んでソケットが設けられた位置の反対側に配置されると共に、器具の重量バランスを補償する質量を有するので、無理な設計をする必要がなく容易にバランサを不要化でき、又はバランサを可及的に小さくすることができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、放熱部材は、さらに、その重心が第1及び第2の円環形蛍光ランプの口金を結ぶ線上の点と、器具本体の中心とを結ぶ線上に配置されるので、直径が異なる第1及び第2の円環形蛍光ランプを備える吊り下げ型照明器具において、無理な設計をする必要がなく容易にバランサを不要化でき、又はバランサを可及的に小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る吊り下げ型照明器具について、図1乃至図7を参照して説明する。第1の実施形態に係る吊り下げ型照明器具1は、図1に示されるように、天井から垂下された1本の電源コード2によって略中心が吊り下げ支持される器具本体3を備える。電源コード2の器具本体3に連結される部分には、コードカバー4が設けられる。
【0012】
器具本体3は、プレス加工によって中央部5aが上方へ膨出された平面視が正方形の板金製上板5(図1及び図2参照)と、上板5の下面に固定され上板5との間に後述の点灯回路11等を収納可能な空間が形成される平面視が円形の板金製下板6(図1及び図2参照)を備える。板金製上板5の縁部5bには、種々にデザインされたシェードが引っ掛け固定される(図示省略)。
【0013】
板金製下板6の下面には、円環形蛍光ランプを懸垂状に支持する支持スプリング7が要所に設けられ、これら支持スプリング7によって直径の大きな2本の円環形蛍光ランプ8(以下、第1の円環形蛍光ランプという)と、直径の小さな2本の円環形蛍光ランプ9(以下、第2の円環形蛍光ランプという)が着脱自在に支持されている。
【0014】
第1の円環形蛍光ランプ8と第2の円環形蛍光ランプ9は、それぞれ図5及び図6に示されるように、2重の円環形蛍光ランプ8a、8b、9a、9bから構成され、円環の1箇所に共通の口金8c、9cを有し、各口金8c、9cからは、後述のソケットに挿入される端子ピン(図示省略)が突出される。このように2重の円環形蛍光ランプ8a、8b、9a、9bに対して共通の1個の口金8c、9cを有する構成になっている円環形蛍光ランプは、1本ごとに口金を有する円環形蛍光ランプに比べて口金自体の重量がより重くなり器具本体の重量バランスが崩れやすい。
【0015】
次に、板金製上板5と板金製下板6の間の空間に収納された円環形蛍光ランプの点灯駆動用の点灯回路11と、円環形蛍光ランプの口金8c、9cに装着されるソケット12a、12bについて、図2及び図3を参照して説明する。図2は、円環形蛍光ランプ8、9が取外された器具本体3を下方から見た状態を示し、図3は、さらに板金製下板6が取外された状態を示す。
【0016】
点灯回路11は、図3に示されるように、第1の円環形蛍光ランプ8の内周に沿った形状に成形され、板金製上板5の上方へ膨出された中央部5a(図3においては窪んで見える)内に挿入されたプリント基板13と、プリント基板13上に実装されたトランス14、スイッチングトランジスタ15、チョークコイル16等の電子回路を備える。
【0017】
プリント基板13上の電子回路は、第1と第2の円環形蛍光ランプ8、9のそれぞれを駆動する電子回路がエリアを分けて配置されており、器具本体3の中心を挟んで図3における右側のエリアに第1の円環形蛍光ランプ8の点灯駆動用の電子回路群11aが配置され、左側のエリアに第2の円環形蛍光ランプ9の点灯駆動用の電子回路群11bが配置されている。
【0018】
そして、第1の円環形蛍光ランプ8の点灯駆動用の電子回路群11aから延びるコード17の先端に第1の円環形蛍光ランプ8の口金8cに装着されるソケット12a(以下、第1のソケットという)が設けられ、第2の円環形蛍光ランプ9の点灯駆動用の電子回路群11bから延びるコード18の先端に第2の円環形蛍光ランプの口金に装着されるソケット12b(以下、第2のソケットという)が設けられる。
【0019】
第1のソケット12aは、図2及び図3に示されるように器具本体3の対角位置において板金製下板6の下面に固定され、第2のソケット12bは、第1のソケット12aから器具本体3の中心Cを中心として45°ずらせた位置において板金製下板6の下面に固定される。第1のソケット12aが器具本体3の対角位置に固定されることによって、第1のソケット12aに第1の円環形蛍光ランプ8の口金8cが装着されたとき、第1の円環形蛍光ランプ8の口金8cの位置も器具本体3の対角位置になる。これによって、光を発しない口金8c部分が器具本体3の対角線上(シェードの角に相当する部分)に位置するので、照度の低い部分が目立たなくなる。
【0020】
また、第2のソケット12bは、第1のソケット12aから器具本体3の中心を中心として45°ずらせた位置に設けられるので、ユーザが第2のソケット12bに第2の円環形蛍光ランプ9の口金9cを装着するとき、直径の小さな第2の円環形蛍光ランプ9を直径の大きな第1の円環形蛍光ランプ8の内側において装着作業を行うことが容易であり、かつ、第1と第2の円環形蛍光ランプ8、9の支持スプリング7の板金製下板6への配置が容易になる。
【0021】
次に、点灯回路11から発生する熱を放散させる放熱部材について、図2乃至図4を参照して説明する。この放熱部材は、第1の円環形蛍光ランプ8の点灯駆動用の電子回路群11aが配置されたエリアのプリント基板13の裏面において、プリント基板13に実装された発熱部品(スイッチングトランジスタ15等)と板金製上板5の両方に接触するように設けられた直方形のアルミニュウム板21である。アルミニュウム板21の斜視図が図7に示される。
【0022】
アルミニュウム板21の上面21aは、板金製上板6に対して直接密着されている。アルミニュウム板21の下面21bと各発熱部品(スイッチングトランジスタ15等)の間には密着性を高くするための伝熱シート22が介装され、各発熱部品からの熱が効率良くアルミニュウム板21に伝達し、さらに板金製上板6に伝達して面積の広い板金製上板6の表面から上方の空間へと放散される。
【0023】
また、アルミニュウム板21の平面視における重心21gの位置は、図2に示されるように、第1のソケット12aと第2のソケット12bを結ぶ線L1の上の点Pと、器具本体3の中心Cとを結ぶ線L2の上になるように配置される。つまり、第1及び第2のソケット12a、12bに第1及び第2の円環形蛍光ランプ8、9の口金12a、12bが装着された状態では、アルミニュウム板21の平面視における重心21gの位置は、第1の円環形蛍光ランプ8の口金8cと第2の円環形蛍光ランプ9の口金9cを結ぶ線L1の上の点Pと、器具本体3の中心Cとを結ぶ線L2の上に位置するように配置される。
【0024】
さらに、アルミニュウム板21の質量は、器具本体3に第1及び第2の円環形蛍光ランプ8、9が装着され、器具本体3が電源コード2によって吊り支持された状態で照明器具1が重量バランスを保ち、水平を維持する大きさに設定される。具体的には、アルミニュウム板21の形状(縦横寸法)が種々変更されてアルミニュウム板21の質量が上記質量に調整される。
【0025】
なお、放熱部材としてのアルミニュウム板21は、第1の円環形蛍光ランプ8の点灯駆動用の電子回路群11aが配置されたエリアに設けられるので、第2の円環形蛍光ランプ9の点灯駆動用の電子回路のうちの発熱部品(例えば、トランス14やチョークコイル16等)は、エリアに関係なく第1の円環形蛍光ランプ8の点灯駆動用の電子回路群11aが配置されたエリアに配置される。
【0026】
以上のように、放熱部材としてのアルミニュウム板21が、器具本体3の中心Cを挟んで第1及び第2のソケット12a、12b(又は、第1の円環形蛍光ランプ8の口金8c及び第2の円環形蛍光ランプ9の口金9c)の反対側に配置され、照明器具1の重量バランスを補償する質量に設定されるので、バランサが不要である。また、放熱部材は、照明器具1において元々必要な部材であるので、部品点数の増加を引起こすことがない。
【0027】
ここで、図15乃至図17を参照して比較例としての吊り下げ型照明器具100における放熱部材の配置について説明しておく。図15は、第1の実施形態における図3と同様に、板金製下板が取外された状態の器具本体103を下方から見た状態を示す。従来の吊り下げ型照明器具100における放熱部材は、2箇所に分けて設けられており、一方の放熱部材121aは、器具本体103の中心Cを挟んで第1のソケット112aの反対側に配置され、他方の放熱部材121bは、器具本体103の中心Cを中心として第2のソケット112bと約90°ずらせた位置に配置されている。
【0028】
放熱部材121aは、図16に示されるように、プリント基板113に実装されたスイッチングトランジスタ115等の発熱部品と板金製上板105の両方を接続するようにして配置された板金131から構成される。
【0029】
放熱部材121bは、図17に示されるように、プリント基板113に実装されたスイッチングトランジスタ115等の発熱部品と板金製上板105の両方を接続するようにして配置された板金132と金属ブロック133とから構成される。
【0030】
このように、比較例としての吊り下げ型照明器具100における放熱部材121a、121bは、重量が重い第1及び第2のソケット112a、112bに対して重量バランスを補償する位置ではなく、プリント基板113上の発熱部品の位置に対応付けて配置されている。また、各放熱部材121a、121bの質量は、器具本体103の重量バランスを補償するようには考慮されていない。従って、第1及び第2のソケット112a、112bや放熱部材121a、121bが配置された図15における右上の領域に対して、器具本体103の中心Cを挟んで反対側(図15における左下)に大きな円弧状のバランサ101が設けられている。
【0031】
これに対して第1の実施形態の吊り下げ型照明器具1では、バランサが不要である上に、部品点数は増加していない。また、放熱部材であるアルミニュウム板21がスイッチングトランジスタ15等の発熱部品に密着されているので、発熱部品からの放熱が効率良く行われる。
【0032】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る吊り下げ型照明器具1について、図8及び図9を参照して説明する。第2の実施形態は、第2の円環形蛍光ランプ9を有さず、円環形蛍光ランプとして第1の円環形蛍光ランプ8(直径の大きな円環形蛍光ランプ8)のみを有する。その他の構成は、第1の実施形態と略同一であるので、同一部分には同一番号を付して説明を省略する(以下、同様)。
【0033】
第2の実施形態における第1の円環形蛍光ランプ8の口金8cは、第1のソケット12aに装着されたときに第1の実施形態と同様に器具本体3の対角位置に配置され、放熱部材21は、器具本体3の中心Cを挟んで第1のソケット12a(第1の円環形蛍光ランプ8の口金8c)の反対側に配置される。具体的には、放熱部材21は、その重心21gが第1の円環形蛍光ランプ8の口金8cと器具本体3の中心Cとを結ぶ線L3の上に配置される。
【0034】
第2の実施形態における放熱部材も、直方形のアルミニュウム板21であり、照明器具1の重量バランスを補償する質量に設定される。従って、この第2の実施形態においてもバランサが不要である。
【0035】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る吊り下げ型照明器具1について、図10及び図11を参照して説明する。第3の実施形態は、放熱部材の質量が小さく放熱部材21のみでは照明器具1の重量バランスが完全には補償されず、放熱部材21の質量を補うために小さなバランサ30が設けられている。その他の構成は、第1の実施形態と略同一である。
【0036】
第3の実施形態は、例えば、点灯回路11のプリント基板13と板金製上板5との間隔が狭く、その間隔には、放熱部材として薄いアルミニュウム板21しか挿入できない等の理由によって、放熱部材の質量が充分には得られない場合である。アルミニュウム板21の重心位置21gは、第1の実施形態と同様に、第1の円環形蛍光ランプ8の口金8cと第2の円環形蛍光ランプ9の口金9cを結ぶ線L1の上の点Pと、器具本体3の中心Cとを結ぶ線L2の上になるように配置される。
【0037】
そして、さらに、器具本体3の中心Cに対してアルミニュウム板21の外周側に円弧状の小さなバランサ30が設けられる。このバランサ30の大きさは、図15に示された比較例の吊り下げ型照明器具100におけるバランサ101の大きさに比べて半分程度に短縮されている。
【0038】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係る吊り下げ型照明器具1について、図12及び図13を参照して説明する。第4の実施形態は、放熱部材の質量が大きく、照明器具1の重量バランスが放熱部材21側に偏り勝ちな場合に、第1及び第2のソケット12a、12b側に小さなバランサ40が設けられている。その他の構成は、第1の実施形態と略同一である。
【0039】
第4の実施形態は、例えば、点灯回路11のプリント基板13と板金製上板5との間隔が広く、その間隔を充填して熱伝達が行われるようにするために、放熱部材として厚いアルミニュウム板21を挿入しなければならない等の理由によって、放熱部材の質量が過剰に大きい場合である。アルミニュウム板21の重心位置21gは、第1の実施形態と同様に、第1の円環形蛍光ランプ8の口金8cと第2の円環形蛍光ランプ9の口金9cを結ぶ線L1の上の点Pと、器具本体3の中心Cとを結ぶ線L2の上になるように配置される。
【0040】
そして、器具本体3の中心Cに対してアルミニュウム板21の反対側に円弧状の小さなバランサ40が設けられる。このバランサ40の大きさも、図15に示された比較例の吊り下げ型照明器具100におけるバランサ101の大きさに比べて半分程度に短縮されている。
【0041】
第4の実施形態において、器具本体3が円形に形成される場合の変形例が図14に示される。この変形例では、板金製上板5が円形に形成されている。
【0042】
以上のように、本発明に係る吊り下げ型照明器具においては、点灯回路11から発生する熱を放散させる放熱部材21が、器具本体3の中心を挟んでソケット12a、12bが設けられた位置の反対側に配置されると共に、照明器具1の重量バランスを補償する質量を有するので、容易にバランサを不要化することができ、又はバランサ30、40を可及的に小さくすることができる。
【0043】
なお、放熱部材は、アルミニュウム板21以外にも、例えば鉄板等の伝熱性に優れ、加工が容易な材質であれば、種々変更が可能である。また、円環形蛍光ランプ8、9は、円環形の蛍光管を2重に備えるものではなく、それぞれ1本の円環形蛍光ランプから構成されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る吊り下げ型照明器具における第1及び第2の円環形蛍光ランプが取外された状態の側断面図。
【図2】同吊り下げ型照明器具における第1及び第2の円環形蛍光ランプが取外された状態の下方から見た平面図。
【図3】同吊り下げ型照明器具におけるさらに板金製下板が取外された状態の下方から見た平面図。
【図4】同吊り下げ型照明器具における点灯回路と放熱部材の構造を示す側断面図。
【図5】同吊り下げ型照明器具における第1の円環形蛍光ランプの平面図。
【図6】同吊り下げ型照明器具における第2の円環形蛍光ランプの平面図。
【図7】同吊り下げ型照明器具におけるアルミニュウム板を示す斜視図。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る吊り下げ型照明器具における第1の円環形蛍光ランプが取外された状態の下方から見た平面図。
【図9】同吊り下げ型照明器具における第1の円環形蛍光ランプが取外された状態の側断面図。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る吊り下げ型照明器具における第1及び第2の円環形蛍光ランプが取外された状態の下方から見た平面図。
【図11】同吊り下げ型照明器具における第1及び第2の円環形蛍光ランプが取外された状態の側断面図。
【図12】本発明の第4の実施形態に係る吊り下げ型照明器具における第1及び第2の円環形蛍光ランプが取外された状態の下方から見た平面図。
【図13】同吊り下げ型照明器具における第1及び第2の円環形蛍光ランプが取外された状態の側断面図。
【図14】同吊り下げ型照明器具における器具本体が円形に形成された変形例を示す下方から見た平面図。
【図15】比較例としての吊り下げ型照明器具における第1及び第2の円環形蛍光ランプと板金製下板が取外された状態の下方から見た平面図。
【図16】同吊り下げ型照明器具における一方の放熱部材の構造を示す側断面図。
【図17】同吊り下げ型照明器具における他方の放熱部材の構造を示す側断面図。
【符号の説明】
【0045】
1 吊り下げ型照明器具
2 コード
3 器具本体
8 第1の円環形蛍光ランプ
8c 口金
9 第2の円環形蛍光ランプ
9c 口金
11 点灯回路
12a 第1のソケット(ソケット)
12b 第2のソケット(ソケット)
21 アルミニュウム板(放熱部材)
21g 重心
C 器具本体の中心
L1 第1及び第2の円環形蛍光ランプの口金を結ぶ線
L2 線L1上の点と器具本体の中心を結ぶ線
P 線L1上の点
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊り下げ型照明器具に関し、詳しくは天井から垂下されたコードによって器具本体の略中心が吊り下げ支持される照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
天井から垂下されたコードによって吊り下げ支持され、円環形蛍光ランプが光源として用いられる吊り下げ型照明器具においては、円環形蛍光ランプの口金や、口金が装着されるソケットの重量が重いために器具の重量バランスが偏りやすい。この問題を解消して吊り下げ支持された照明器具が水平に維持されるようにするために、一般的に金属製の錘(以下、バランサという)がカウンタウエイトとして設けられる。
【0003】
ところが、バランサが設けられる場合には、部品点数の増加やコスト上昇を招くという問題がある。そこで、従来からバランサを不要とするために、照明器具の点灯回路を器具本体から絶縁する合成樹脂製の絶縁部材を備える照明器具において、絶縁部材自体がソケットのカウンタウエイトになるように絶縁部材の固定位置が、電源コードによる吊り下げ位置を挟んでソケットと反対側に配置された吊り下げ型照明器具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、バランサを設けることなく吊り下げ型照明器具の重量バランスを調整する構造を有するものとして器具本体の上側に補助光源を備える吊り下げ型照明器具(例えば、特許文献2参照)や、比較的大重量のチョークコイルが2個に分割され、分割されたチョークコイルが重量バランスがとれるようにプリント基板上に配置された放電灯点灯装置(例えば、特許文献3参照)等が知られている。
【特許文献1】特開2004−95368号公報
【特許文献2】特開平10−172314号公報
【特許文献3】実開平5−69813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載の吊り下げ型照明器具は、合成樹脂製の絶縁部材の配置を工夫することによって器具の重量バランスを調整し、もってバランサの不要化を図るものであるので、バランサを不要化するためには比重の軽い材質(合成樹脂)から構成される絶縁部材を必要以上に大面積にしたり、必要以上に肉厚にして絶縁部材自体の重量を重くしなければならない。
【0006】
そこで、本発明は、天井から垂下されたコードによって器具本体の略中心が吊り下げ支持される照明器具において、無理な設計をする必要がなく容易にバランサを不要化でき、又はバランサを可及的に小さくすることができる吊り下げ型照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、天井から垂下されたコードによって略中心が吊り下げ支持される器具本体と、器具本体に支持される円環形蛍光ランプと、器具本体に設けられ、前記円環形蛍光ランプを点灯駆動する点灯回路と、前記点灯回路から発生する熱を放散させる放熱部材と、前記円環形蛍光ランプの口金が装着されるソケットと、を備える吊り下げ型照明器具において、前記放熱部材が、器具本体の中心を挟んで前記ソケットが設けられた位置の反対側に配置されると共に、器具の重量バランスを補償する質量を有することを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、器具本体が平面視において正方形に形成され、前記円環形蛍光ランプが、第1の円環形蛍光ランプと、これより直径の小さい第2の円環形蛍光ランプを備え、前記第1の円環形蛍光ランプの口金が器具本体の対角位置に配置され、前記第2の円環形蛍光ランプの口金が前記第1の円環形蛍光ランプの口金と約45°ずらせた位置に配置され、前記放熱部材は、その重心が前記第1及び第2の円環形蛍光ランプの口金を結ぶ線上の点と、器具本体の中心とを結ぶ線上に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、天井から垂下されたコードによって器具本体の略中心が吊り下げ支持される照明器具において、点灯回路から発生する熱を放散させる放熱部材が、器具本体の中心を挟んでソケットが設けられた位置の反対側に配置されると共に、器具の重量バランスを補償する質量を有するので、無理な設計をする必要がなく容易にバランサを不要化でき、又はバランサを可及的に小さくすることができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、放熱部材は、さらに、その重心が第1及び第2の円環形蛍光ランプの口金を結ぶ線上の点と、器具本体の中心とを結ぶ線上に配置されるので、直径が異なる第1及び第2の円環形蛍光ランプを備える吊り下げ型照明器具において、無理な設計をする必要がなく容易にバランサを不要化でき、又はバランサを可及的に小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る吊り下げ型照明器具について、図1乃至図7を参照して説明する。第1の実施形態に係る吊り下げ型照明器具1は、図1に示されるように、天井から垂下された1本の電源コード2によって略中心が吊り下げ支持される器具本体3を備える。電源コード2の器具本体3に連結される部分には、コードカバー4が設けられる。
【0012】
器具本体3は、プレス加工によって中央部5aが上方へ膨出された平面視が正方形の板金製上板5(図1及び図2参照)と、上板5の下面に固定され上板5との間に後述の点灯回路11等を収納可能な空間が形成される平面視が円形の板金製下板6(図1及び図2参照)を備える。板金製上板5の縁部5bには、種々にデザインされたシェードが引っ掛け固定される(図示省略)。
【0013】
板金製下板6の下面には、円環形蛍光ランプを懸垂状に支持する支持スプリング7が要所に設けられ、これら支持スプリング7によって直径の大きな2本の円環形蛍光ランプ8(以下、第1の円環形蛍光ランプという)と、直径の小さな2本の円環形蛍光ランプ9(以下、第2の円環形蛍光ランプという)が着脱自在に支持されている。
【0014】
第1の円環形蛍光ランプ8と第2の円環形蛍光ランプ9は、それぞれ図5及び図6に示されるように、2重の円環形蛍光ランプ8a、8b、9a、9bから構成され、円環の1箇所に共通の口金8c、9cを有し、各口金8c、9cからは、後述のソケットに挿入される端子ピン(図示省略)が突出される。このように2重の円環形蛍光ランプ8a、8b、9a、9bに対して共通の1個の口金8c、9cを有する構成になっている円環形蛍光ランプは、1本ごとに口金を有する円環形蛍光ランプに比べて口金自体の重量がより重くなり器具本体の重量バランスが崩れやすい。
【0015】
次に、板金製上板5と板金製下板6の間の空間に収納された円環形蛍光ランプの点灯駆動用の点灯回路11と、円環形蛍光ランプの口金8c、9cに装着されるソケット12a、12bについて、図2及び図3を参照して説明する。図2は、円環形蛍光ランプ8、9が取外された器具本体3を下方から見た状態を示し、図3は、さらに板金製下板6が取外された状態を示す。
【0016】
点灯回路11は、図3に示されるように、第1の円環形蛍光ランプ8の内周に沿った形状に成形され、板金製上板5の上方へ膨出された中央部5a(図3においては窪んで見える)内に挿入されたプリント基板13と、プリント基板13上に実装されたトランス14、スイッチングトランジスタ15、チョークコイル16等の電子回路を備える。
【0017】
プリント基板13上の電子回路は、第1と第2の円環形蛍光ランプ8、9のそれぞれを駆動する電子回路がエリアを分けて配置されており、器具本体3の中心を挟んで図3における右側のエリアに第1の円環形蛍光ランプ8の点灯駆動用の電子回路群11aが配置され、左側のエリアに第2の円環形蛍光ランプ9の点灯駆動用の電子回路群11bが配置されている。
【0018】
そして、第1の円環形蛍光ランプ8の点灯駆動用の電子回路群11aから延びるコード17の先端に第1の円環形蛍光ランプ8の口金8cに装着されるソケット12a(以下、第1のソケットという)が設けられ、第2の円環形蛍光ランプ9の点灯駆動用の電子回路群11bから延びるコード18の先端に第2の円環形蛍光ランプの口金に装着されるソケット12b(以下、第2のソケットという)が設けられる。
【0019】
第1のソケット12aは、図2及び図3に示されるように器具本体3の対角位置において板金製下板6の下面に固定され、第2のソケット12bは、第1のソケット12aから器具本体3の中心Cを中心として45°ずらせた位置において板金製下板6の下面に固定される。第1のソケット12aが器具本体3の対角位置に固定されることによって、第1のソケット12aに第1の円環形蛍光ランプ8の口金8cが装着されたとき、第1の円環形蛍光ランプ8の口金8cの位置も器具本体3の対角位置になる。これによって、光を発しない口金8c部分が器具本体3の対角線上(シェードの角に相当する部分)に位置するので、照度の低い部分が目立たなくなる。
【0020】
また、第2のソケット12bは、第1のソケット12aから器具本体3の中心を中心として45°ずらせた位置に設けられるので、ユーザが第2のソケット12bに第2の円環形蛍光ランプ9の口金9cを装着するとき、直径の小さな第2の円環形蛍光ランプ9を直径の大きな第1の円環形蛍光ランプ8の内側において装着作業を行うことが容易であり、かつ、第1と第2の円環形蛍光ランプ8、9の支持スプリング7の板金製下板6への配置が容易になる。
【0021】
次に、点灯回路11から発生する熱を放散させる放熱部材について、図2乃至図4を参照して説明する。この放熱部材は、第1の円環形蛍光ランプ8の点灯駆動用の電子回路群11aが配置されたエリアのプリント基板13の裏面において、プリント基板13に実装された発熱部品(スイッチングトランジスタ15等)と板金製上板5の両方に接触するように設けられた直方形のアルミニュウム板21である。アルミニュウム板21の斜視図が図7に示される。
【0022】
アルミニュウム板21の上面21aは、板金製上板6に対して直接密着されている。アルミニュウム板21の下面21bと各発熱部品(スイッチングトランジスタ15等)の間には密着性を高くするための伝熱シート22が介装され、各発熱部品からの熱が効率良くアルミニュウム板21に伝達し、さらに板金製上板6に伝達して面積の広い板金製上板6の表面から上方の空間へと放散される。
【0023】
また、アルミニュウム板21の平面視における重心21gの位置は、図2に示されるように、第1のソケット12aと第2のソケット12bを結ぶ線L1の上の点Pと、器具本体3の中心Cとを結ぶ線L2の上になるように配置される。つまり、第1及び第2のソケット12a、12bに第1及び第2の円環形蛍光ランプ8、9の口金12a、12bが装着された状態では、アルミニュウム板21の平面視における重心21gの位置は、第1の円環形蛍光ランプ8の口金8cと第2の円環形蛍光ランプ9の口金9cを結ぶ線L1の上の点Pと、器具本体3の中心Cとを結ぶ線L2の上に位置するように配置される。
【0024】
さらに、アルミニュウム板21の質量は、器具本体3に第1及び第2の円環形蛍光ランプ8、9が装着され、器具本体3が電源コード2によって吊り支持された状態で照明器具1が重量バランスを保ち、水平を維持する大きさに設定される。具体的には、アルミニュウム板21の形状(縦横寸法)が種々変更されてアルミニュウム板21の質量が上記質量に調整される。
【0025】
なお、放熱部材としてのアルミニュウム板21は、第1の円環形蛍光ランプ8の点灯駆動用の電子回路群11aが配置されたエリアに設けられるので、第2の円環形蛍光ランプ9の点灯駆動用の電子回路のうちの発熱部品(例えば、トランス14やチョークコイル16等)は、エリアに関係なく第1の円環形蛍光ランプ8の点灯駆動用の電子回路群11aが配置されたエリアに配置される。
【0026】
以上のように、放熱部材としてのアルミニュウム板21が、器具本体3の中心Cを挟んで第1及び第2のソケット12a、12b(又は、第1の円環形蛍光ランプ8の口金8c及び第2の円環形蛍光ランプ9の口金9c)の反対側に配置され、照明器具1の重量バランスを補償する質量に設定されるので、バランサが不要である。また、放熱部材は、照明器具1において元々必要な部材であるので、部品点数の増加を引起こすことがない。
【0027】
ここで、図15乃至図17を参照して比較例としての吊り下げ型照明器具100における放熱部材の配置について説明しておく。図15は、第1の実施形態における図3と同様に、板金製下板が取外された状態の器具本体103を下方から見た状態を示す。従来の吊り下げ型照明器具100における放熱部材は、2箇所に分けて設けられており、一方の放熱部材121aは、器具本体103の中心Cを挟んで第1のソケット112aの反対側に配置され、他方の放熱部材121bは、器具本体103の中心Cを中心として第2のソケット112bと約90°ずらせた位置に配置されている。
【0028】
放熱部材121aは、図16に示されるように、プリント基板113に実装されたスイッチングトランジスタ115等の発熱部品と板金製上板105の両方を接続するようにして配置された板金131から構成される。
【0029】
放熱部材121bは、図17に示されるように、プリント基板113に実装されたスイッチングトランジスタ115等の発熱部品と板金製上板105の両方を接続するようにして配置された板金132と金属ブロック133とから構成される。
【0030】
このように、比較例としての吊り下げ型照明器具100における放熱部材121a、121bは、重量が重い第1及び第2のソケット112a、112bに対して重量バランスを補償する位置ではなく、プリント基板113上の発熱部品の位置に対応付けて配置されている。また、各放熱部材121a、121bの質量は、器具本体103の重量バランスを補償するようには考慮されていない。従って、第1及び第2のソケット112a、112bや放熱部材121a、121bが配置された図15における右上の領域に対して、器具本体103の中心Cを挟んで反対側(図15における左下)に大きな円弧状のバランサ101が設けられている。
【0031】
これに対して第1の実施形態の吊り下げ型照明器具1では、バランサが不要である上に、部品点数は増加していない。また、放熱部材であるアルミニュウム板21がスイッチングトランジスタ15等の発熱部品に密着されているので、発熱部品からの放熱が効率良く行われる。
【0032】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る吊り下げ型照明器具1について、図8及び図9を参照して説明する。第2の実施形態は、第2の円環形蛍光ランプ9を有さず、円環形蛍光ランプとして第1の円環形蛍光ランプ8(直径の大きな円環形蛍光ランプ8)のみを有する。その他の構成は、第1の実施形態と略同一であるので、同一部分には同一番号を付して説明を省略する(以下、同様)。
【0033】
第2の実施形態における第1の円環形蛍光ランプ8の口金8cは、第1のソケット12aに装着されたときに第1の実施形態と同様に器具本体3の対角位置に配置され、放熱部材21は、器具本体3の中心Cを挟んで第1のソケット12a(第1の円環形蛍光ランプ8の口金8c)の反対側に配置される。具体的には、放熱部材21は、その重心21gが第1の円環形蛍光ランプ8の口金8cと器具本体3の中心Cとを結ぶ線L3の上に配置される。
【0034】
第2の実施形態における放熱部材も、直方形のアルミニュウム板21であり、照明器具1の重量バランスを補償する質量に設定される。従って、この第2の実施形態においてもバランサが不要である。
【0035】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る吊り下げ型照明器具1について、図10及び図11を参照して説明する。第3の実施形態は、放熱部材の質量が小さく放熱部材21のみでは照明器具1の重量バランスが完全には補償されず、放熱部材21の質量を補うために小さなバランサ30が設けられている。その他の構成は、第1の実施形態と略同一である。
【0036】
第3の実施形態は、例えば、点灯回路11のプリント基板13と板金製上板5との間隔が狭く、その間隔には、放熱部材として薄いアルミニュウム板21しか挿入できない等の理由によって、放熱部材の質量が充分には得られない場合である。アルミニュウム板21の重心位置21gは、第1の実施形態と同様に、第1の円環形蛍光ランプ8の口金8cと第2の円環形蛍光ランプ9の口金9cを結ぶ線L1の上の点Pと、器具本体3の中心Cとを結ぶ線L2の上になるように配置される。
【0037】
そして、さらに、器具本体3の中心Cに対してアルミニュウム板21の外周側に円弧状の小さなバランサ30が設けられる。このバランサ30の大きさは、図15に示された比較例の吊り下げ型照明器具100におけるバランサ101の大きさに比べて半分程度に短縮されている。
【0038】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係る吊り下げ型照明器具1について、図12及び図13を参照して説明する。第4の実施形態は、放熱部材の質量が大きく、照明器具1の重量バランスが放熱部材21側に偏り勝ちな場合に、第1及び第2のソケット12a、12b側に小さなバランサ40が設けられている。その他の構成は、第1の実施形態と略同一である。
【0039】
第4の実施形態は、例えば、点灯回路11のプリント基板13と板金製上板5との間隔が広く、その間隔を充填して熱伝達が行われるようにするために、放熱部材として厚いアルミニュウム板21を挿入しなければならない等の理由によって、放熱部材の質量が過剰に大きい場合である。アルミニュウム板21の重心位置21gは、第1の実施形態と同様に、第1の円環形蛍光ランプ8の口金8cと第2の円環形蛍光ランプ9の口金9cを結ぶ線L1の上の点Pと、器具本体3の中心Cとを結ぶ線L2の上になるように配置される。
【0040】
そして、器具本体3の中心Cに対してアルミニュウム板21の反対側に円弧状の小さなバランサ40が設けられる。このバランサ40の大きさも、図15に示された比較例の吊り下げ型照明器具100におけるバランサ101の大きさに比べて半分程度に短縮されている。
【0041】
第4の実施形態において、器具本体3が円形に形成される場合の変形例が図14に示される。この変形例では、板金製上板5が円形に形成されている。
【0042】
以上のように、本発明に係る吊り下げ型照明器具においては、点灯回路11から発生する熱を放散させる放熱部材21が、器具本体3の中心を挟んでソケット12a、12bが設けられた位置の反対側に配置されると共に、照明器具1の重量バランスを補償する質量を有するので、容易にバランサを不要化することができ、又はバランサ30、40を可及的に小さくすることができる。
【0043】
なお、放熱部材は、アルミニュウム板21以外にも、例えば鉄板等の伝熱性に優れ、加工が容易な材質であれば、種々変更が可能である。また、円環形蛍光ランプ8、9は、円環形の蛍光管を2重に備えるものではなく、それぞれ1本の円環形蛍光ランプから構成されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る吊り下げ型照明器具における第1及び第2の円環形蛍光ランプが取外された状態の側断面図。
【図2】同吊り下げ型照明器具における第1及び第2の円環形蛍光ランプが取外された状態の下方から見た平面図。
【図3】同吊り下げ型照明器具におけるさらに板金製下板が取外された状態の下方から見た平面図。
【図4】同吊り下げ型照明器具における点灯回路と放熱部材の構造を示す側断面図。
【図5】同吊り下げ型照明器具における第1の円環形蛍光ランプの平面図。
【図6】同吊り下げ型照明器具における第2の円環形蛍光ランプの平面図。
【図7】同吊り下げ型照明器具におけるアルミニュウム板を示す斜視図。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る吊り下げ型照明器具における第1の円環形蛍光ランプが取外された状態の下方から見た平面図。
【図9】同吊り下げ型照明器具における第1の円環形蛍光ランプが取外された状態の側断面図。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る吊り下げ型照明器具における第1及び第2の円環形蛍光ランプが取外された状態の下方から見た平面図。
【図11】同吊り下げ型照明器具における第1及び第2の円環形蛍光ランプが取外された状態の側断面図。
【図12】本発明の第4の実施形態に係る吊り下げ型照明器具における第1及び第2の円環形蛍光ランプが取外された状態の下方から見た平面図。
【図13】同吊り下げ型照明器具における第1及び第2の円環形蛍光ランプが取外された状態の側断面図。
【図14】同吊り下げ型照明器具における器具本体が円形に形成された変形例を示す下方から見た平面図。
【図15】比較例としての吊り下げ型照明器具における第1及び第2の円環形蛍光ランプと板金製下板が取外された状態の下方から見た平面図。
【図16】同吊り下げ型照明器具における一方の放熱部材の構造を示す側断面図。
【図17】同吊り下げ型照明器具における他方の放熱部材の構造を示す側断面図。
【符号の説明】
【0045】
1 吊り下げ型照明器具
2 コード
3 器具本体
8 第1の円環形蛍光ランプ
8c 口金
9 第2の円環形蛍光ランプ
9c 口金
11 点灯回路
12a 第1のソケット(ソケット)
12b 第2のソケット(ソケット)
21 アルミニュウム板(放熱部材)
21g 重心
C 器具本体の中心
L1 第1及び第2の円環形蛍光ランプの口金を結ぶ線
L2 線L1上の点と器具本体の中心を結ぶ線
P 線L1上の点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井から垂下されたコードによって略中心が吊り下げ支持される器具本体と、
器具本体に支持される円環形蛍光ランプと、
器具本体に設けられ、前記円環形蛍光ランプを点灯駆動する点灯回路と、
前記点灯回路から発生する熱を放散させる放熱部材と、
前記円環形蛍光ランプの口金が装着されるソケットと、を備える吊り下げ型照明器具において、
前記放熱部材が、器具本体の中心を挟んで前記ソケットが設けられた位置の反対側に配置されると共に、器具の重量バランスを補償する質量を有することを特徴とする吊り下げ型照明器具。
【請求項2】
器具本体が平面視において正方形に形成され、
前記円環形蛍光ランプが、第1の円環形蛍光ランプと、これより直径の小さい第2の円環形蛍光ランプを備え、
前記第1の円環形蛍光ランプの口金が器具本体の対角位置に配置され、
前記第2の円環形蛍光ランプの口金が前記第1の円環形蛍光ランプの口金と約45°ずらせた位置に配置され、
前記放熱部材は、その重心が前記第1及び第2の円環形蛍光ランプの口金を結ぶ線上の点と、器具本体の中心とを結ぶ線上に配置されることを特徴とする請求項1に記載の吊り下げ型照明器具。
【請求項1】
天井から垂下されたコードによって略中心が吊り下げ支持される器具本体と、
器具本体に支持される円環形蛍光ランプと、
器具本体に設けられ、前記円環形蛍光ランプを点灯駆動する点灯回路と、
前記点灯回路から発生する熱を放散させる放熱部材と、
前記円環形蛍光ランプの口金が装着されるソケットと、を備える吊り下げ型照明器具において、
前記放熱部材が、器具本体の中心を挟んで前記ソケットが設けられた位置の反対側に配置されると共に、器具の重量バランスを補償する質量を有することを特徴とする吊り下げ型照明器具。
【請求項2】
器具本体が平面視において正方形に形成され、
前記円環形蛍光ランプが、第1の円環形蛍光ランプと、これより直径の小さい第2の円環形蛍光ランプを備え、
前記第1の円環形蛍光ランプの口金が器具本体の対角位置に配置され、
前記第2の円環形蛍光ランプの口金が前記第1の円環形蛍光ランプの口金と約45°ずらせた位置に配置され、
前記放熱部材は、その重心が前記第1及び第2の円環形蛍光ランプの口金を結ぶ線上の点と、器具本体の中心とを結ぶ線上に配置されることを特徴とする請求項1に記載の吊り下げ型照明器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−287469(P2007−287469A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−113249(P2006−113249)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【出願人】(000001074)クロイ電機株式会社 (49)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【出願人】(000001074)クロイ電機株式会社 (49)
【Fターム(参考)】
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