説明

吊り足場

【課題】従来のスカフォードは、天板体と底板体とが立坑の断面円形寸法に対応した円板により形成されており、スカフォードが立坑内を昇降する場合に、天板体や底板体が立坑内の坑壁の出っ張りに衝突して傾いてしまうので、スカフォードに乗った作業者の墜落事故を招いたり、スカフォードが昇降できなくなることがある。そこで、スカフォードに乗った作業者の墜落事故や、スカフォードが昇降不能になってしまうことを防止できるようにする。
【解決手段】本発明による立坑内を昇降可能なスカフォードは、立坑内に降りる際に先頭となる下部と立坑内から昇る際に先頭となる上部とが先細形状に形成されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊り足場に乗った作業者の墜落事故や、吊り足場が昇降不能になってしまうことを防止可能な吊り足場に関する。
【背景技術】
【0002】
石灰石鉱山では、鉱山の採掘場(切羽)から破砕搬送設備が設置された坑内まで延長する立坑を形成し、鉱山で採掘した石灰石を当該立坑に投入することで、立坑を貯蔵ビン(サイロ)として利用しながら運搬車による山上から地上までの石灰石の搬送作業を不要とできるようにしている。
ところで、立坑内を昇降可能な吊り足場(以下、スカフォードという)が知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−269270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のスカフォードは、天板体と底板体とが立坑の断面円形寸法に対応した円板により形成されたので、スカフォードが立坑内を昇降する場合に、天板体や底板体が立坑内の坑壁の出っ張りに衝突して傾いてしまうので、スカフォードに乗った作業者の墜落事故を招いたり、スカフォードが昇降できなくなるといった問題点があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、スカフォードに乗った作業者の墜落事故や、スカフォードが昇降不能になってしまうことを防止できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、立坑内を昇降可能なスカフォードであって、立坑内に降りる際に先頭となる下部と立坑内から昇る際に先頭となる上部とが先細形状に形成されたので、立坑内の坑壁に出っ張りがあって、当該出っ張りに先細形状部分が衝突した場合でも、先細形状部分の傾斜面がガイドとなってスカフォードが横方向に移動するので、スカフォードが坑壁の出っ張りに衝突して傾いてしまうことを防止でき、作業者の墜落事故やスカフォードが昇降できなくなるようなことを防止できる。
上部に屋根床部を備え、屋根床部は、床体と、床体の上に設けられた衝撃緩和層と、衝撃緩和層の上に設けられた保護層とにより構成されたので、衝撃緩和層と保護層とで落石の衝撃を吸収できて落石が床体を貫通してしまうことを防止できるとともに、スカフォードの重量を軽くできて、立坑内を昇降可能にスカフォードを吊り下げる昇降手段の仕様を小さくできる。
衝撃緩和層は、立坑内の坑壁からの落石による衝撃力を緩和して圧縮力に対抗できる材料としての発泡スチロール板により形成され、保護層は、落石が発泡スチロール板を貫通しないように発泡スチロール板を保護できる材料としての芯材入りゴム板により形成されたので、上記効果を確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】スカフォードの縦断面図。
【図2】(a)はスカフォードの平面図、(b)はスカフォードの正面図、(c)はスカフォードの底面図。
【図3】(a)は板状体を作業床の外周部より立ち上がる柵として機能させている状態のスカフォードを示す斜視図、(b)は起立状態維持手段の詳細を示す図。
【図4】板状体を作業床の外周部より外側に延長する足場や屋根として機能させている状態のスカフォードを示す斜視図。
【図5】補助板による補助の足場や屋根を形成する手順を示す図。
【図6】立坑を示す断面図。
【図7】先行立坑を示す断面図。
【図8】拡幅作業中の先行立坑を示す断面図。
【図9】立坑形成方法の手順を示す図。
【図10】立坑形成方法の手順を示す図。
【図11】立坑を示す断面図。
【図12】既存立坑を示す断面図。
【図13】拡幅作業中の既存立坑を示す断面図。
【図14】立坑形成方法の手順を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1乃至図5に基いてスカフォード31の構成について説明する。
図3に示すように、スカフォード31は、作業床51と、複合機能構成体52と、起立状態維持手段53と、張り出し状態維持手段54と、屋根部55と、脚部56とを備える。
【0008】
作業床51は、床下地部61と、床下地部61の上に形成された作業床面62とを備える。床下地部61は、例えば、形鋼を組み合わせて形成される。作業床面62は、例えば、床下地部61の上に敷設された鉄板によって円形の床面に形成される。
【0009】
複合機能構成体52は、作業床51の外周部66に沿って作業床51を囲むように設けられた複数の板状体67により構成される。ここで、作業床51の外周部66とは、例えば、作業床51の外周に近い作業床面62上や作業床51の外周面である。板状体67は、例えば、鋼製の四角枠体68と鋼製の四角網体69とに構成される。板状体67は、四角枠体68の内側貫通孔を塞ぐように四角網体69の四辺部と四角枠体68の四辺部とが溶接などにより接合されて形成される。
複合機能構成体52を構成する各板状体67が柵として機能した場合に下端縁70となる四角枠体68の一辺部70Aは、例えば、円形の作業床面62の円に外接又は内接する正多角形の一辺に相当する位置に設置される。
【0010】
板状体67は、作業床51の外周66tより外側に延長する張り出し状態と、スカフォード31の中心線Cと直交する作業床面62に対して起立する起立状態とに設定可能なように、板状体67の下端縁70となる四角枠体68の一辺部70Aと作業床51の外周部66とがヒンジ71により連結される。
即ち、板状体67は、板状体67の板面としての網面76が、例えば作業床面62と垂直な面となるように起こされた起立状態と、作業床面62と同一平面となるように倒されて作業床51の外周66tより外側に延長する張り出し状態とになるように、ヒンジ71を回転中心として回転可能に構成される。
そして、板状体67は、起立維持手段53により起立状態に維持されることによって柵として機能したり、張り出し状態維持手段54により張り出し状態に維持されることによって足場や屋根として機能する。
【0011】
板状体67を作業床51の外周66tより外側に延長する足場として機能させることで、後述する先行立坑1Xや既存立坑1Aなどの基準立坑内の坑壁1uに対する作業を容易に行えるようになる。
板状体67を作業床面62に対して起立する柵として機能させることで、スカフォード31からの墜落事故を防止できるようになる。
板状体67を作業床51の外周66tより外側に延長する屋根として機能させることで、坑壁1uから崩れた岩などが坑底1eへ落下するのを防止できる。
【0012】
図3に示すように、起立状態維持手段53は、例えば、作業床51の外周部66より立ち上がって隣り合う板状体67;67同士を連結することによって隣り合う板状体67;67を作業床51の外周部66より立ち上がった状態の柵として維持する連結手段により形成される。連結手段は、作業床51の外周部66より立ち上がった状態の互いに隣り合う板状体67;67同士を連結する機能を備えた手段であればよい。例えば、図3(b)に示すように、起立状態維持手段53としての連結手段は、互いに隣り合う板状体67;67のそれぞれに設けられたフランジ72d;72dに形成されたボルト締結孔、ボルト挿入孔、棒体嵌合孔、鍵挿入孔等のような係止孔72a;72aと、各係止孔72a;72aを貫通して互いに隣り合う板状体67;67を作業床51の外周部66より立ち上がった状態で連結するボルト、ボルトナット、連結棒、鍵などのような連結体72bとにより構成される。
板状体67の板面としての網面76が作業床面62と直交する状態となるまで板状体67をヒンジ71を介して回転させ、互いに隣り合う板状体67;67同士を起立状態維持手段53としての連結手段で連結することで、板状体67を柵に設定できる。各板状体67毎に個別に設けられる。
つまり、起立状態維持手段53は、板状体67の網面76を作業床面62に対して垂直に維持する。
尚、板状体67の網面76が作業床51の作業床面62に対して垂直とならないように維持する起立状態維持手段53としてもよい。例えば、板状体67の網面76をスカフォード31の中心線C方向に傾斜する面に維持する起立状態維持手段53としてもよいし、あるいは、板状体67の網面76をスカフォード31の中心線Cから離れる方向に傾斜する面に維持する起立状態維持手段53としてもよい。
【0013】
図4に示すように、張り出し状態維持手段54は、例えば、板状体67を作業床51の外周66tより外側に延長させて板状体67の板面としての網面76が作業床51の作業床面62と延長する面を形成するように板状体67を支持する支持手段により形成される。支持手段は、例えば、屋根部55から板状体67を吊るす吊り手段により形成される。張り出し状態維持手段54としての吊り手段は、例えば、一端が屋根部55の後述する屋根床85に固定され、他端が板状体67の上端縁77となる四角枠体68の他の一辺部77Aに固定された鎖やロープのような吊り部材75Aにより形成される。吊り部材75Aは、例えば、吊り部材75Aにより吊られた板状体67の網面76が作業床51の作業床面62と同一平面上に位置された場合に直線状態に張る長さに調整される。
互いに隣り合う板状体67;67同士の連結手段での連結を解除し、板状体67の網面76が作業床面62と同一平面上に位置される状態となるまで板状体67をヒンジ71を介して回転させることで張り出し状態維持手段54としての吊り部材75Aが突っ張った状態となり、この突っ張った状態の吊り部材75Aが板状体67を吊った状態に支持することで、板状体67を足場や屋根に設定できる。張り出し状態維持手段54は、各板状体67毎に個別に設けられる。
つまり、張り出し状態維持手段54は、板状体67を作業床51の外周66tより外側に延長させ、板状体67の網面76が作業床51の作業床面62と同一平面上に位置されるように維持する。
尚、板状体67の網面76が作業床51の作業床面62に対して同一平面とならないように維持する張り出し状態維持手段54としてもよい。例えば、板状体67の網面76を作業床面62より若干上方に傾斜する面に維持する張り出し状態維持手段54としてもよい。
【0014】
図5に示すように、各板状体67は、作業床51の外周66tより外側に延長する状態に維持された互いに隣り合う板状体67と板状体67との間の隙間78に補助の足場や屋根を形成するための補助板80を備える。
隙間78は、互いに隣り合う板状体67;67が作業床51の外周部66より外側に延長する状態に維持された場合に、四角枠体68の一辺部70A;70Aの互いに対向する端部間の距離が狭く四角枠体68の他の一辺部77A;77Aの互いに対向する端部間の距離が大きい三角形状である。
従って、補助板80は、上記隙間78の半分に対応する三角形状に形成され、互いに隣り合う板状体67;67の互いに隣り合う側縁81;81にヒンジ82を介して180°回転可能に設けられる。即ち、補助板80は、図5(a)に示すような、板状体67の網面76と平行に対向する状態と、図5(b)に示すような、板状体67の網面76と同一平面上に位置される状態とに設定可能なように、ヒンジ82を介して180°回転可能に設けられる。
従って、互いに隣り合う板状体67;67が作業床51の外周部66より外側に延長する状態に維持された後に、互いに隣り合う板状体67;67の補助板80;80を各々180°回転させてこれら2つの補助板80;80で隙間78を半分ずつ塞ぐようにすることで、隙間78に足場や屋根を形成できる。
【0015】
図1;図2に示すように、屋根部55は、動滑車42などの機材を設置するために作業床51の上方に設けられた屋根床部85と、屋根床部85の外周部86より立ち上がるように設けられて屋根床部85を取り囲む屋根柵87とを備える。ここで、屋根床部85の外周部86とは、例えば、屋根床部85の外周面86Aに近い鉄板床面85A上や屋根床部85の外周面86Aである。
【0016】
屋根床部85は、床体としての鉄板床100と、鉄板床100の上に設けられた衝撃緩和層110と、衝撃緩和層110の上に設けられた保護層120とにより構成される。
衝撃緩和層110は、落石による衝撃力を緩和して圧縮力に対抗できる材料を用いて形成する。形態1では、衝撃緩和層110は、発泡スチロール板により形成した。発泡スチロール板の上下方向の厚さは、600mmのものを用いた。
保護層120は、落石が発泡スチロール板を貫通しないように発泡スチロール板を保護できる材料を用いて形成する。形態1では、保護層120は、コンベヤベルトのような芯材入りゴム板により形成した。
【0017】
例えば、立坑の深さが400m以上の場合に、拳大の石が落下してスカフォード31の鉄板床100に衝突した場合、鉄板床100には100tfを超える力が生じるため、石が鉄板床100を貫通してしまう可能性があった。この場合、鉄板床100の鉄板の厚さを厚くすることも考えられるが、鉄板床100の鉄板の厚さを厚くすると、重量が過大となり、スカフォード31を吊るための巻上機34やロープ33の径などを過大な仕様としなければならかった。しかしながら、形態1によれば、鉄板床100の上に衝撃緩和層110と保護層120とを設けたので、衝撃緩和層110と保護層120とで落石の衝撃を吸収できて落石が鉄板床100を貫通してしまうことを防止できるとともに、スカフォード31の重量を軽くできて、立坑内を昇降可能にスカフォード31を吊り下げる昇降手段としての巻上機34やロープ33の径などの仕様を小さくできる。
【0018】
屋根柵87は、複数の外側柵支柱87aと、複数の内側柵支柱87bと、横連結棒87cと、横連結棒87dとにより形成される。
複数の外側柵支柱87aは、外周部86に沿って所定間隔ごとに設けられる。外側柵支柱87aは、外周部86より立ち上がって上部側がスカフォード31の中心線Cの方向に近付くように傾斜して設けられる。互いに隣り合う外側柵支柱87a同士が、横連結棒87cによって連結される。
複数の内側柵支柱87bは、外周部86に沿って所定間隔ごとに設けられる。内側柵支柱87bは、外側柵支柱87aの内側に位置する鉄板床面85Aより外側柵支柱87aの上端を超えて上方に延長するように設けられる。互いに隣り合う内側柵支柱87b同士が、横連結棒87dによって連結される。
屋根床部85と作業床51とが複数本の支柱88により連結されたことで、作業床51の上方に屋根床部85が設けられる。
尚、内側柵支柱87bを外側柵支柱87aの上端より垂直方向に延長するように設けてもよい。
【0019】
図1;2に示すように、脚部56は、作業床51の外周66t又は作業床51の外周側下面より下方に突出するように設けられた複数本の脚89と、下面91が作業床面62と平行面となるように横方向に延長するように設けられて脚89に固定された載置脚92とを備える。この載置脚92を図外の設置面に載せることでスカフォード31の自重が複数本の脚89にかからないようにでき、脚89の損傷を防止できる。複数の脚89は、作業床51の外周66tに沿って所定間隔ごとに設けられる。脚89は、作業床51の外周66t側より立ち上がって下部側がスカフォード31の中心線Cの方向に近付くように傾斜して設けられる。
内側柵支柱87b、外側柵支柱87a、支柱88、脚89、載置脚92は、例えば、形鋼を用いて形成される。
【0020】
図1;2に示すように、スカフォード31の外形は、上部と下部とが中間部よりも小径な樽状である。つまり、スカフォード31は、立坑内に降りる際に先頭となる下部と立坑内から昇る際に先頭となる上部とが先細形状に形成される。即ち、外側柵支柱87aは、上部側がスカフォード31の中心線Cの方向に近付くように傾斜して設けられたことにより、スカフォード31の上部が先細形状に形成される。また、脚89は、下部側がスカフォード31の中心線Cの方向に近付くように傾斜して設けられたことにより、スカフォード31の下部が先細形状に形成される。
このように、スカフォード31の上部を先細形状とするための外側柵支柱87aや、スカフォード31の下部を先細形状とするための脚89を備えたので、既存立坑1A内の坑壁1uに出っ張りがあって、当該出っ張りに外側柵支柱87aや脚89が衝突した場合でも、外側柵支柱87aや脚89の傾斜面がガイドとなってスカフォード31が横方向に移動するので、スカフォード31が既存立坑1A内の坑壁1uの出っ張りに衝突して傾いてしまうことを防止できる。従って、作業者の墜落事故やスカフォード31が昇降できなくなるようなことを防止できる。
【0021】
図8を参照し、スカフォード設備30について説明する。スカフォード設備30は、スカフォード31と、スカフォード31の吊下支持装置32と、巻取り及び巻出し可能なロープ33によりスカフォード31を昇降可能に吊り下げる巻上機34とを備える。吊下支持装置32は、先行立坑1Xの坑口1tを跨ぐように設置され、先行立坑1Xの中心線とスカフォード31の中心線とが一致するようにスカフォード31の吊下位置を決定するための装置である。吊下支持装置32は、例えば、鉄骨組立体により門型に形成される。この吊下支持装置32が、先行立坑1Xの坑口1eを跨いで、吊下支持装置32に設けられた図外のスカフォード通過孔の中心と先行立坑1Xの中心線とが一致するように設置される。スカフォード31の屋根41には、ロープ33を巻き掛けるための動滑車42が設置される。即ち、ロープ33の一端が巻上機34の図外の巻取軸に固定され、ロープ33の他端側が、吊下支持装置32の屋根部32tに設置されたガイド滑車39、吊下滑車36、及び、動滑車42を経由して、ロープ33の他端が例えば吊下支持装置32に固定される。この状態で、スカフォード31がスカフォード通過孔を経由して先行立坑1X内に吊り下げられ、巻上機34でロープ33を巻き取れば、スカフォード31が上昇し、巻上機34でロープ33を巻き出せばスカフォード31が下降する。先行立坑1Xの中心線とスカフォード31の中心線とが一致してスカフォード31が昇降可能なように、吊下滑車36及び動滑車42の位置、個数などが設定される。即ち、巻上機34の巻取り及び巻出し操作によりスカフォード31を先行立坑1X内で昇降可能に吊り下げることができるように構築する。
【0022】
形態1によるスカフォード31を用いた立坑形成方法を図6乃至図10に基いて説明する。図9(a)に示すように、石灰石鉱山90の地中下には形態2で説明する破砕搬送設備10を設置するための設置空間を備えた坑90Aが形成される。図9(b)に示すように、掘削機械90aを用い、掘削機械90aのロッド90bの下端に設けたビット90cを回転させて破砕搬送設備10の上方に位置する採掘場90Tから石灰石鉱山90を掘削し、図9(c)に示すように、採掘場90Tから坑90A近くまで到達する坑径300mm〜400mm程度のパイロット孔1Bを形成する。図示しないが、ロッド90bの下端をパイロット孔1Bの孔底部まで降ろし、ロッド90bの下端にリーミング(拡掘)ビット90d(図9(d)参照)を接続する。尚、この場合、パイロット孔1Bの孔底部にリーミングビット90dを設置するスペースが必要となるため、パイロット孔1Bの孔底部と地上とを繋ぐ図外の坑道を形成し、この坑道を通ってパイロット孔1Bの孔底部に作業者が入り、パイロット孔1Bの孔底部の径を掘削又は発破で拡げたリーミングビット収容部90Bを形成しておく。そして、坑道を通ってリーミングビット90dをリーミングビット収容部90Bまで運んでおく。次に、図9(d)に示すように、ロッド90bを回転させてリーミングビット90dを回転させながらロッド90bを上昇させる。これにより、リーミングビット90dが、パイロット孔1Bを拡掘した基準立坑としての先行立坑1Xを形成する(図9(e);図7参照)。また、先行立坑1Xの坑底1eと坑90Aとを連通させる傾斜路11を形成する。
【0023】
図10(a)に示すように、先行立坑1Xの坑口1tに、先行立坑1X内を昇降可能なスカフォード31の吊下支持装置32を設置する。図10(b)に示すように、スカフォード31を先行立坑1X内で昇降可能に吊り下げることができるように構築する。図10(c)に示すように、スカフォード31の作業床面62上に、後述する拡幅作業に必要な物が搭載されるとともに作業者が乗り、図10(d)に示すように、スカフォード31を先行立坑1Xの坑口1tから先行立坑1Xの坑底1e側まで降ろす。
【0024】
そして、先行立坑1Xの坑壁1uを発破する作業、即ち、発破による拡幅作業を、図10(e)に示すように、先行立坑1Xの坑底1e側から先行立坑1Xの坑口1t側に向かって順次行うことで、先行立坑1Xを拡幅した立坑1を形成する(図10(f);図6参照)。
拡幅作業は、スカフォード31に乗った作業者が、例えば図外の削岩機を用いてスカフォード31の周囲の坑壁1uに図外の発破孔を形成し、発破孔内に図外の爆薬を装填して発破孔を閉塞した後に、スカフォード31を上昇させてから、爆薬に点火して爆薬を爆発させる作業である。
【0025】
図6に示すように、立坑1を形成した後、スカフォード設備30を撤去する。尚、発破により削られたズリは自然落下して先行立坑1Xの下に設けられた坑90A内に移動し、排出される。
【0026】
形態1のスカフォード31によれば、板状体67を作業床51の外周66tより外側に延長する足場として利用できるので、坑壁1uに対する様々な作業を、安全、かつ、効率的に行えるようになる。即ち、先行立坑1Xの坑壁1uに対する発破孔形成作業や爆薬装填作業、完成後の立坑1内で作業する際の安全対策作業、その他の坑壁1uに対する様々な作業を、安全、かつ、効率的に行えるようになる。
また、リーミングビット90dの径よりも小さい径の作業床51を備えたスカフォード31を用いて坑壁1uに対する作業を行えるようになるので、小さいスカフォード31で大きな径の立坑1を形成できるようになる。
また、従来のようにスカフォード31から坑壁1uの方向に張り出すような足場を組み立てる必要がなく、坑壁1uに対する作業を、簡単かつ安全に行えるようになる。
また、スカフォード31が、板状体67を備えることから、従来のように先行立坑1X内に足場を組み立てるための部材を搬入する必要もなく、作業床面62を本来の作業床面として有効に使用できる。
形態1のスカフォード31によれば、スカフォード31を先行立坑1X内で昇降させる場合には、板状体67を作業床面62に対して起立させた柵として利用できるので、スカフォード31からの墜落事故を防止できるようになる。
形態1のスカフォード31によれば、板状体67を作業床51の外周66tより外側に延長して坑壁1uから崩れた岩などを受ける屋根として機能させることで、坑壁1uから崩れた岩などが坑底1eへ落下するのを防止できる。
また、板状体67をヒンジ71を介して回転させるだけで、板状体67を容易に柵又は足場や屋根に設定できる。
さらに、起立状態維持手段53と張り出し状態維持手段54とによって各板状体67を個別に柵又は足場や屋根に設定できるので、坑壁1uの周方向に凹凸があっても個別に対応可能となる。
また、長さを可変可能な板状体67を設ければ、立坑内を昇降可能なスカフォード31と立坑の坑壁1uとの間の隙間が坑壁1uの上下方向で変わる場合でも即座に対応できるようになる。
各板状体67は、作業床51の外周66tより外側に延長する状態に維持された互いに隣り合う板状体67と板状体67との間の隙間78に補助足場を形成する補助板80を備えたので、隙間78に補助の足場や屋根を容易に形成できて、立坑の坑壁1uに対する作業をより容易に行えるとともに、坑底1eへの岩などの落下をより確実に防止できる。
【0027】
形態1では、図10(f);図6に示すように、坑底1e側の坑径寸法1waが坑口1t側の坑径寸法1wbより大きい立坑1を形成する。このような坑底1e側と坑口1t側とで坑径寸法の異なる立坑1は、坑壁1uに形成する発破孔の深さ、及び、爆薬の量を異ならせることで形成可能である。このような構造の立坑1によれば、石灰石が坑口1tから立坑1内に投入されて、石灰石が坑底1eから坑口1tに近い部分まで積み上げられた場合、石灰石は坑径寸法1wbである坑口1t側の坑内の坑壁1uと接触するため、坑口1t側の坑内に位置する石灰石は下方に移動しにくくなる。しかしながら、立坑1は、坑底1e側の坑径寸法1waが坑口1t側の坑径寸法1wbより大きいので、坑口1t側の坑内に位置される石灰石が、後に坑口1tから投入されてくる石灰石に押されて坑口1t側から坑底1e側に移るときに坑口1t側の坑内の坑壁1uとの接触から一気に開放されて坑底1eに落下するため、立坑1内での石灰石の詰まりが解消される。よって、立坑1内に投入された石灰石が立坑1内で詰まりにくくなり、石灰石が坑90Aまでスムーズに供給されるという効果が得られる。
【0028】
現在、リーミングビット90dの掘削径の最大寸法は、6,000mm(6m)であり、掘削径が6mを超えるリーミングビットは非常に高価になることが予想されるが、形態1による立坑形成方法によれば、例えば、掘削径が6mのリーミングビット90dを用いて先行立坑1Xを形成し、その後、安価なスカフォード31を用いた発破による拡幅作業を行うことにより、6mを超える坑径の立坑1を形成できる。即ち、掘削径が6mを超える高価なリーミングビット90d及び付帯設備を用いることなく、6mを超える坑径の立坑1を形成できるので、6mを超える坑径の立坑1を低コストで形成でき、経済的である。
また、掘削径が6mよりも小さいリーミングビット90dを用いて先行立坑1Xを形成し、その後、安価なスカフォード31を用いた発破による拡幅作業を行うことにより、6mを超える坑径の立坑1を形成することも可能となるので、6mを超える坑径の立坑1を、より低コストで形成できる。
また、6m以下の坑径の立坑1を形成する場合であっても、掘削径の小さいリーミングビット90dを用いて先行立坑1Xを形成し、その後、安価なスカフォード31を用いた発破による拡幅作業を行うことにより、立坑1を形成できるので、立坑1を、より低コストで形成できる。
【0029】
また、リーミングビット90dによる拡掘だけで坑径の大きい立坑1を形成する場合には、重くて掘削径の大きいリーミングビット90dを用いて当該リーミングビット90dを吊り上げなくてはならないため、ロッド90bの長さを長くできない。このため、大坑径で大深度の立坑1を形成する場合には、例えば特開2005−30106号公報などに開示されるように、深さ方向に延長する立坑を複数回に分けて形成しなければならないので、不経済である。
一方、本形態1によれば、大坑径で大深度の立坑1を形成する場合でも、軽くて掘削径の小さいリーミングビット90dを用いることが可能となり、また、スカフォード31の昇降はロープ33を用いれば良いので、大坑径で大深度の立坑1を一気に形成できる。よって、上記特開2005−30106号公報などに開示されるように、深さ方向に延長する立坑を複数回に分けて形成する場合に比べて、大坑径で大深度の立坑1を経済的に形成できる。
【0030】
本形態1では、発破による拡幅作業を先行立坑1Xの坑底1e側から先行立坑1Xの坑口1t側に向かって順次行うので、発破による拡幅作業を終えた後、拡幅作業を終えた坑壁部分1fu(図10(e);図8参照)よりも坑底1e側で作業を行うことがない。よって、拡幅作業を終えた坑壁部分1fuからの落石に対する安全対策が不要となり、拡幅作業を終えた坑壁部分1fuへの後述する取付部材の取付作業が不要となるので、先行立坑1Xを拡幅する際の作業にかかる手間、及び、当該作業にかかる時間を少なくできる。
一方、拡幅作業を、先行立坑1Xの坑口1t側から先行立坑1Xの坑底1e側に向かって順次行っていく形態7の方法においては、拡幅作業を終えた後、拡幅作業を終えた坑壁部分よりも坑底1e側で作業を行うことになる。従って、作業者の安全を確保するために、拡幅作業を終えた坑壁部分に落石防止用の後述するような取付部材を取付ける必要があるので、先行立坑1Xを拡幅する際の作業にかかる手間、及び、当該作業にかかる時間が多くなる。
【0031】
形態1によれば、発破により削られたズリは自然落下して先行立坑1Xの下に設けられた坑90A内に移動するので、ズリを狭い先行立坑1X内から坑口1tまで搬送して排出するような作業をなくすことができ、ズリの搬出作業が容易となる。形態1の場合、発破による拡幅作業を、先行立坑1Xの坑底1e側から先行立坑1Xの坑口1tに向かって順次行うので、拡幅作業を行う坑壁1uよりも坑底1e側は既に拡幅されて坑径が大きくなっており、発破により削られたズリの落下を邪魔する坑壁1uの突出部分が少ないので、ズリが坑90Aまでスムーズに落下する。
一方、形態7では、拡幅作業を行う坑壁1uよりも坑底1e側は拡幅作業が行われていないので、発破により削られたズリは、まだ拡幅作業が行われていなくて削られずに先行立坑1Xの中心方向に突出することになる坑底1e側の坑壁1uの上面に堆積しやすくなる。よって、このズリが堆積した部分よりも坑底1e側で坑壁1uに発破孔を形成する作業などを行うときには、ズリが落下して危険なので、堆積しているズリを事前に落下させる作業が必要になる。つまり、作業が多くなるので、先行立坑1Xを拡幅する際の作業にかかる手間、及び、当該作業にかかる時間が多くなる。
【0032】
尚、坑径寸法1waの部分は、上述したようにスカフォード31から先行立坑1Xを発破により拡幅して形成してもよいし、リーミングビット90dで拡掘された先行立坑1Xの坑径寸法のままとしておいても良い。
【0033】
また、作業床面62を多角形状の床面に形成し、四角枠体68の一辺部70Aが、多角形状の作業床面62の多角形の一辺に相当する位置に設置されるように構成してもよい。
また、ヒンジ71は、作業床51の外周面に設けても良いし、作業床面62上に設けても良い。
【0034】
形態2
本発明のスカフォード31を用いた立坑形成方法によれば、既存立坑1Aを拡幅(拡径)することにより立坑1を形成することも可能である。例えば、図12に示すように、既存立坑1Aの坑口1t側の坑壁1uが既存立坑1Aに投入された石灰石により削られて、既存立坑1Aの坑口1t側の坑径1Amが坑底1e側の坑径1Awよりも大きくなることにより、既存立坑1Aの坑径が絞られて漏斗形状のようになり、径の大きい坑内から径の小さい坑内への入口部分1Asで石灰石が詰まりやすくなった場合等に、既存立坑1Aを拡幅することにより立坑を形成する場合である。
【0035】
以下、本形態2による立坑形成方法を説明する。まず、図12に示すように、石灰石鉱山90の採掘場90Tから破砕搬送設備10が設置された坑90Aまで延長する立坑(既存立坑1A)が既に形成されているとする。
【0036】
尚、図12に示すように、坑90A内には、小割室12と、貯鉱槽13と、破砕室14と、搬送室15とが設けられ、当該坑90A内に破砕搬送設備10が設置される。当該破砕搬送設備10は、後述するふるい16、ガイドローラ17、ブレーカ18、ゲート21、コンベヤ装置22、破砕機23、搬送装置25、ベルトコンベヤ装置26などにより構成される。
貯鉱槽13は、傾斜路11の終端と連通して垂直方向に延長した後に傾斜する空間により形成される。貯鉱槽13の入口にはふるい16が設けられる。小割室12は、ふるい16より上方でかつ傾斜路11の終端と連通する空間により形成される。小割室12は、傾斜路11を経由して落下してきた石灰石をふるい16の上に導くガイドローラ17を小割室12の入口の天井19側に備え、かつ、ふるい16の上に位置された石灰石を砕いてふるい16のふるい目に通すブレーカ18を備える。よって、ブレーカ18で砕かれて小割りされた石灰石が貯鉱槽13内に落下して貯蔵される。破砕室14は、ゲート21と、コンベヤ装置22と、破砕機23とを備える。降雨時や拡幅作業時以外の石灰石破砕搬送時には、貯鉱槽13から落下する小割された石灰石がコンベヤ装置22により破砕機23に搬送され、破砕機23で石灰石がより細かく破砕される。降雨時、拡幅作業時には、ゲート21により貯鉱槽13からの水やズリがコンベヤ装置22の上に落下しないように、貯鉱槽13からの水やズリがゲート21により堰き止められる。搬送室15は、破砕機23で破砕された石灰石を石灰工場や港などに搬送するための長距離ベルトコンベヤ装置のような搬送装置25と、破砕機23で破砕された石灰石を搬送装置25に搬送するベルトコンベヤ装置26とを備える。よって、貯鉱槽13から破砕機23に送られ、破砕機23で破砕されてより細粒化された石灰石がベルトコンベヤ装置26及び搬送装置25を経由して石灰工場や港などに搬送される。
【0037】
図13に示すように、スカフォード設備30は、スカフォード31と、スカフォード31の吊下支持装置32と、巻取り及び巻出し可能なロープ33によりスカフォード31を昇降可能に吊り下げる巻上機34とを備える。吊下支持装置32は、既存立坑1Aの坑口1tを跨ぐように設置され、既存立坑1Aの中心軸線とスカフォード31の中心軸線とが一致するようにスカフォード31の吊下位置を決定するための装置である。吊下支持装置32は、ベース35と、ロープ33を吊り下げる吊下滑車36及びガイド滑車39を設置するための屋根骨組37と、ベース35と屋根骨組37とに連結されて屋根骨組37を支持するトラス支柱骨組38とを備える。ベース35にはスカフォード31を通過させる図外の通過孔が形成される。このベース35が、既存立坑1Aの坑口1eを跨いで、通過孔の中心と既存立坑1Aの中心軸線とが一致するように設置される。スカフォード31の屋根41には、ロープ33を巻き掛けるための動滑車42が設置される。即ち、ロープ33の一端が巻上機34の図外の巻取軸に固定され、ロープ33の他端側がガイド滑車39、吊下滑車36、動滑車42を経由して、ロープ33の他端が例えばベース35に固定される。この状態で、スカフォード31がベース35の通過孔を経由して既存立坑1A内に吊り下げられ、巻上機34でロープ33を巻き取れば、スカフォード31が上昇し、巻上機34でロープ33を巻き出せばスカフォード31が下降する。既存立坑1Aの中心軸線とスカフォード31の中心軸線とが一致してスカフォード31が昇降可能なように、吊下滑車36及び動滑車42の位置、個数などが設定される。即ち、巻上機34の巻取り及び巻出し操作によりスカフォード31を既存立坑1A内で昇降可能に吊り下げることができるように構築する。
【0038】
図11乃至図14に基いて、既存立坑1Aを拡幅して立坑1を形成する方法を説明する。まず、クレーン等の揚重機44を用いて、上述したように、既存立坑1Aの坑口1tに吊下支持装置32のベース35を設置する(図12;図14(a)参照)。トラス支柱骨組38及び屋根骨組37を組み立てて、屋根骨組37上にガイド滑車39、吊下滑車36を設置した後、ロープ33の一端を巻上機34の巻取軸に固定し、ロープ33の他端側を順番にガイド滑車39、吊下滑車36、動滑車42に巻き掛けてロープ33の他端をベース35に固定することにより、巻上機34の巻取り及び巻出し操作によりスカフォード31を立坑1A内で昇降可能に吊り下げることができるように構築する(図13;図14(b)参照)。
【0039】
既存立坑1A内の坑壁1uの状態が不明であり、坑壁1uが崩れ易くなっていることも予想されるので、巻上機34でロープ33を巻き出してスカフォード31を既存立坑1A内で下降させながら(図14(c)参照)、既存立坑1A内の現状の坑壁1uが崩れないように安全を確保する。この場合、スカフォード31の作業床面62上に、坑壁状態確認及び後述する取付部材の取付作業に必要な物が搭載されるとともに作業者が乗り、スカフォード31を既存立坑1Aの坑口1t側から既存立坑1Aの坑底1e側に向かって徐々に下降させる。この際、スカフォード31の下降と停止とを繰り返しながら、作業者が、スカフォード31の作業床面62上から坑壁1uの状態を確認する作業を行うとともに、スカフォード31の停止中に、作業者が、坑壁1uの崩れを防止して作業者の安全を図るために、坑壁1uに落石防止用の図外の取付部材を取付けていく。この取付部材は、ネット、金網、シート、帯鉄などであり、取付作業は、取付部材をアンカーのような固定具で坑壁1uに取付ける作業である。既存立坑1A内の坑壁1uの状態確認作業及び坑壁1uに対する取付部材の取付作業を終了した後は、取付部材を坑壁1uに取付けた状態のまま、スカフォード31を坑口1tまで上昇させる。
【0040】
そして、スカフォード31の作業床面62上に、後述する拡幅作業に必要な物が搭載されるとともに作業者が乗り、スカフォード31を既存立坑1Aの坑口1t側から既存立坑1Aの坑底1e側まで降ろす(図14(d)参照)。スカフォード31を既存立坑1Aの坑底1e側まで降ろす際には、坑壁1uに取付けられている取付部材は、スカフォード31と坑壁1uとの衝突を防止する坑壁保護材として機能する。
次に、既存立坑1Aの坑壁1uを発破する作業、即ち、発破による拡幅作業を、既存立坑1Aの坑底1e側から既存立坑1Aの坑口1tに向かって順次行うことで、既存立坑1Aを拡幅する(図14(e);図13参照)。
発破により削られたズリは自然落下して既存立坑1Aの下に設けられた貯鉱槽13に移動し、ゲート21で堰き止められる。ゲート21で堰き止められた当該ズリは、破砕室14で回収され、排出される。
【0041】
本形態2では、拡幅作業対象部位の坑壁1uに取付けられている取付部材を撤去した後に拡幅作業を行う。拡幅作業を終えた後、拡幅作業を終えた坑壁部分1fu(図14(e);図13参照)よりも坑底1e側で作業を行うことがないので、拡幅作業を終えた坑壁部分1fuには取付部材を取付けない。拡幅作業を行う際、作業者の上方の坑壁1uに取付けられている取付部材は、坑壁1uからの落石を防止する落石防止材として機能する。
【0042】
本形態2のように既存立坑1Aを拡幅して立坑1を形成する場合においては、既存立坑1A内における、例えば、弱層部や鍾乳洞などの箇所は、抉り取られて窪んだ坑壁1uとなっている場合があり、この場合、スカフォード31と既存立坑1Aの坑壁1uとの間の隙間が大きくなって、坑壁1uに対する作業をスカフォード31から行えない場合がある。
しかしながら、本形態2によれば、当該スカフォード31を用いることにより、板状体67を作業床51の外周66tより外側に延長する足場として利用できるので、スカフォード31と既存立坑1Aの坑壁1uとの間の隙間があっても、上述したような、坑壁1uに対する作業を、安全、かつ、効率的に行えるようになる。また、従来のようにスカフォード31から坑壁1uの方向に張り出すような足場を組み立てる必要がなく、既存立坑1Aの坑壁1uに対する作業を簡単かつ安全に作業を行えるようになる。
また、既存立坑1Aでは、坑壁1uの凹凸が激しいことが予想されるが、坑壁1uの凹凸が激しくても、起立状態維持手段53と張り出し状態維持手段54とによって各板状体67を個別に柵又は足場や屋根に設定できるので、坑壁1uの周方向に凹凸があっても個別に対応可能となり、また、長さを可変可能な板状体67を設ければ、立坑内を昇降可能なスカフォードと既存立坑1Aの坑壁1uとの間の隙間が坑壁1uの上下方向で変わる場合でも即座に対応できるようになる。
【0043】
形態2によれば、形態1と同じ効果が得られるとともに、以下の効果も得られる。
後述する形態7による方法では、坑壁1uの状態確認作業及び坑壁1uに対する取付部材の取付作業と、拡幅作業の前に取付部材を撤去する撤去作業と、拡幅作業と、拡幅作業を終えた坑壁部分に取付部材を取付けていく取付作業とが必要となるので、立坑1を形成するまでの作業が多くなり、作業にかかる手間、及び、当該作業にかかる時間が多くなる。
一方、本形態2では、坑壁1uの状態確認作業及び坑壁1uに対する取付部材の取付作業と、拡幅作業の前に取付部材を撤去する撤去作業と、拡幅作業とを行うことで立坑1を形成できるので、形態7による方法と比べて、拡幅作業を終えた坑壁部分に取付部材を取付けていく取付作業が不要となって、立坑1を形成するまでの作業が少なくでき、作業にかかる手間、及び、当該作業にかかる時間を少なくできる。
【0044】
また、形態7では、拡幅された坑壁部分に取付部材を取付けるために、スカフォードから拡幅された坑壁部分に張り出す足場を構築しなければならず、足場構築作業が大変かつ危険である。また、作業員が張り出した足場に乗って取付作業を行わなくてはならないので、作業が困難でかつ危険である。
一方、本形態2によれば、拡幅された坑壁部分1fuに取付部材を取付ける必要がないため、足場構築作業が不要となり、拡幅された坑壁部分1fuに対する困難でかつ危険な取付部材の取付作業も不要とできるので、安全に立坑1を形成できる。
【0045】
形態2によれば、発破により削られたズリは自然落下して既存立坑1Aの下に設けられた貯鉱槽13に移動するので、ズリを狭い既存立坑1A内から坑口1tまで搬送して排出するような作業をなくすことができ、ズリの搬出作業が容易となる。形態2の場合、発破による拡幅作業を、既存立坑1Aの坑底1e側から既存立坑1Aの坑口1tに向かって順次行うので、拡幅作業を行う坑壁1uよりも坑底1e側は既に拡幅されて坑径が大きくなっており、発破により削られたズリの落下を邪魔する坑壁1uの突出部分が少ないので、ズリが貯鉱槽13までスムーズに落下する。
【0046】
尚、形態2においては、坑径寸法1wbを、既存立坑1Aの坑口1tの坑径寸法1At(図12参照)よりも大きくしたり、あるいは、立坑1の一定の坑径寸法1wを、既存立坑1A内に投入された石灰石により削られて大きくなった既存立坑1Aの坑口1t側の坑径1Amよりも大きくすることが好ましい。このようにすれば、坑口1t側の坑径寸法が坑底1e側の坑径寸法より大きい場合に比べて、石灰石が立坑1内で詰まりにくくなるので、石灰石投入用の立坑として好ましい立坑1が得られる。
【0047】
また、形態2においては、スカフォード31を既存立坑1A内で下降させながら既存立坑1A内の坑壁1uの状態確認作業及び坑壁1uに対する取付部材の取付作業を行った直後においてスカフォード31を上昇させる際に拡幅作業を行ってもよい。
【0048】
形態3
板状体67を、ヒンジ71を用いずにスカフォード31の外周部66に起立状態と張り出し状態とに選択固定的に取付ける起立状態取付手段及び張り出し状態取付手段を備えた構成としてもよい。例えば、板状体67と外周部66とに板状体67をボルトなどの固定手段で起立状態や張り出し状態に取付けるための構成を設ければよい。
【0049】
形態4
補助板80;80は、互いに隣り合う板状体67;67の互いに隣り合う側縁81;81より隙間78の方向に進退するスライド部材により形成された構成としてもよい。
【0050】
形態5
補助板80;80を備えない構成のスカフォード31でもよい。この場合、隙間78を閉じるように互いに隣り合う板状体67;67間に、別途、足場板を掛け渡すようにすればよい。
【0051】
形態6
立坑1の坑径寸法は一定に形成してもよい。この場合、立坑1の坑径寸法は、例えば、先行立坑1Aや既存立坑1Aのような基準立坑の杭径寸法1Aw(図7;図12参照)の2倍程度の寸法にする。この場合でも、安全対策作業を含む拡幅作業にかかる手間、及び、拡幅作業にかかる時間を少なくできる。
【0052】
形態7
形態1乃至形態6では、立坑1を形成するための発破による拡幅作業を、基準立坑の坑底1e側から基準立坑の坑口1tに向かって順次行うことで、立坑1を形成する形態を示したが、立坑1を形成するための発破による拡幅作業を、基準立坑の坑口1t側から基準立坑の坑底1e側に向かって順次行うことで、立坑1を形成してもよい。この場合でも、基準立坑内を昇降可能なスカフォード31から基準立坑の坑壁を発破することにより基準立坑を拡幅した立坑1を形成するので、低コストで立坑1を形成でき、経済的である。
【0053】
また、上記では、石灰石投入用の立坑を形成する例を示したが、本発明は、鉄鉱石、亜鉛鉱石、銅鉱石などの他の鉱石投入用の立坑を形成する場合にも適用可能である。
また、本発明の立坑形成方法は、特許文献1に示すようなアクセス坑道と呼ばれる立坑を形成する場合にも適用可能である。
【0054】
本発明では、作業員がスカフォード31から坑壁に対する発破による拡幅作業を行える程度(例えば2m以上)の坑径の先行立坑1Xや既存立坑1Aのような基準立坑があれば、当該基準立坑内を作業員がスカフォード31で昇降して発破による拡幅作業を行うことで、経済的に立坑1を形成できる。
【0055】
尚、本発明のスカフォード31の形状や、屋根床部85により形成された保護屋根構造を、作業床51の外周部66に固定の柵を備えたスカフォードに適用してもよいし、柵を備えない簡易なスカフォードに適用してもよい。
【符号の説明】
【0056】
31 スカフォード(吊り足場)、85 屋根床部、100 鉄板床(床体)、
110 衝撃緩和層、120 保護層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立坑内を昇降可能な吊り足場であって、立坑内に降りる際に先頭となる下部と立坑内から昇る際に先頭となる上部とが先細形状に形成されたことを特徴とする吊り足場。
【請求項2】
上部に屋根床部を備え、屋根床部は、床体と、床体の上に設けられた衝撃緩和層と、衝撃緩和層の上に設けられた保護層とにより構成されたことを特徴とする請求項1に記載の吊り足場。
【請求項3】
衝撃緩和層は、立坑内の坑壁からの落石による衝撃力を緩和して圧縮力に対抗できる材料としての発泡スチロール板により形成され、保護層は、落石が発泡スチロール板を貫通しないように発泡スチロール板を保護できる材料としての芯材入りゴム板により形成されたことを特徴とする請求項2に記載の吊り足場。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−236328(P2010−236328A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88134(P2009−88134)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000001317)株式会社熊谷組 (551)