説明

同軸ケーブル・コネクタ

同軸ケーブルの内部要素間の連結を強化する同軸ケーブル・コネクタが開示される。この同軸ケーブル・コネクタは、雄型端子アセンブリが内部に固定される雄型コネクタと、コネクタ間の結合時に雄型端子アセンブリに連結される雌型端子アセンブリが内部に固定される雌型コネクタとを含む。端子アセンブリのそれぞれは、係止突起を有する。コネクタのそれぞれは、弾性板を有する。弾性板は、対応する係止突起が係止される係止孔を有する。端子アセンブリのそれぞれは、溝を有する。コネクタのそれぞれは、固定片を有する。固定片は、対応する溝に嵌合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸ケーブルを相互接続するために使用するコネクタに関し、より詳細には、同軸ケーブルの内部構成要素間の結合を強化する同軸ケーブル・コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
同軸ケーブルは、内部導体、すなわちコアと、コアから離間してコアを取り囲む外部導体、すなわちシールド網(shielding net)とを含む伝送線である。コアとシールド網とは、コアを取り囲む可撓性絶縁体によって互いに絶縁されている。シールド網は、導電性金属スレッドで作製することができる。あるいは、導電性テープなど、様々な他の種類の材料を使用してもよい。導電性テープとシールド網とは、外部干渉を最小限に抑えるために互いに重ね合わせることができる。
【0003】
かかる同軸ケーブルは、近接場有線通信(near field wired communication)で広く使用されてきている。近年、同軸ケーブルには、ハイブリッド車の通信用としてかなりの関心が寄せられている。同軸ケーブルを車両に使用する場合、同軸ケーブルの断面積を小さく維持し、一方で空間利用を改善するように同軸ケーブルを上述の構成とする必要がある。さらに、複数の同軸ケーブルを相互接続するコネクタをできるだけ小型に製造する必要がある。
【0004】
従来の同軸ケーブル・コネクタが、米国特許第6,840,822号(US6,840,822)、および米国特許第6,736,653号(US6,736,653)に開示されており、両特許とも、本出願人によって本願の出願前に出願されたものである。
【0005】
図9に示すように、米国特許第6,736,653号は、同軸ケーブル16を保持する誘電体サブ・アセンブリ14が、プラグ・ハウジング10内に矢印Eで示す方向に挿入され、プラグ・ハウジング10の片側にヒンジ結合された開放型ハッチ56が、ラッチ把持部64によって係止され、したがって誘電体サブ・アセンブリ14がプラグ・ハウジング10内に固定的に受容される構造を有するように構成された同軸ケーブル・コネクタを開示している。
【0006】
また、図10に示すように、プラグ・ハウジング10はプロング(prong)120を備えることができ、誘電体サブ・アセンブリ14はラッチ140を備えることができる。したがって、誘電体サブ・アセンブリ14は、プロング120およびラッチ140によってプラグ・ハウジング10に固定されることになる。
【0007】
具体的には、プロング120は、スロット132によって側壁28とは分離されるように、プラグ・ハウジング10の底部壁36からガイド・ビーム84に沿って受容端24の方に延びる。また、間隙136が、プロング120の中央に形成されている。したがって、誘電体サブ・アセンブリ14がプラグ・ハウジング10内に挿入されると、ラッチ140がプロング120に形成された間隙136に嵌合し、それによって誘電体サブ・アセンブリ14とプラグ・ハウジング10との結合が実現される。
【0008】
誘電体サブ・アセンブリ14をプラグ・ハウジング10に固定するこの二重固定構造は、誘電体サブ・アセンブリ14をレセプタクル・ハウジングに固定するのにも同様に応用することができる。
【0009】
図9に戻ると、ラッチ40は、上方および下方に弾性的に動かすことができるように、プラグ・ハウジング10の結合端20から延びている。ラッチ40は、レセプタクル・ハウジングの保持ストリップ(図示せず)に嵌合し、それによってプラグ・ハウジングとレセプタクル・ハウジングとの結合が実現される。
【0010】
また、ラッチ・ビーム44がラッチ40の後端から延び、ユーザがラッチ・ビーム44を押してラッチ40を動かすと、レセプタクル・ハウジングがプラグ・ハウジングから外れることになる。
【0011】
しかしながら、米国特許第6,736,653号に開示のコネクタ構造では、ラッチ把持部64に結合される保持ラッチ60は、その両側が開きやすく、そのためコネクタ近傍に配置された構成要素が干渉するため、開放型ハッチ56とラッチ把持部64との結合力が低減することがある。
【0012】
一方、ラッチ・ビーム44は片持ち梁の形に形成され、そのためラッチ40はプラグ・ハウジング10の表面から高く持ち上げることができ、したがってコネクタの寸法を低減させることが困難である。また、車両の運転中に生じる振動が、片持ち梁型ラッチ40に伝達されると、ラッチ40は疲労が蓄積し、弾性を失い、そのためラッチ40がレセプタクル・ハウジングから外れることがある。
【0013】
一方、米国特許第6,840,822号は、前述の誘電体サブ・アセンブリの構造を開示している。この誘電体サブ・アセンブリは、同軸ケーブルのコアに接続されたコンタクトと、同軸ケーブルのシールド網に連結されたコンタクト・シェルと、コンタクト・シェルおよびコンタクトを同軸ケーブルに固定する絶縁ハウジングとを含む。
【0014】
図11を参照すると、コンタクト・シェル340の後端に形成された変形抑制クランプ364には、アーム365が対向するリップ367から突出して設けられている。コンタクト・シェル340の前端、すなわちコンタクト・シェル340が別のコンタクト・シェルに接触して連結される部分には、円弧状先端353が前端の対向する両壁344から突出して設けられている。
【0015】
また、図12を参照すると、絶縁ハウジング400には、シェル受容スロット405、およびチャネル430が設けられている。円弧状先端353およびアーム365は、シェル受容スロット405およびチャネル430にそれぞれ挿入される。その後、アーム365の、それぞれのチャネル430の反対側端部から突出した部分が折り曲げられ、それにより変形抑制クランプ364が絶縁ハウジング400に強固に固定されることになる。
【0016】
絶縁ハウジング400に固定されるコンタクト・シェル340の前端と後端は、コンタクト・シェル340の製造中、互いに分離されている。このため、コンタクト・シェル340の前端は、円弧状先端353がシェル受容スロット405に挿入されるときに生じる結合力によって絶縁ハウジング400に固定される。その結果、コンタクト・シェル340の前端は、絶縁ハウジング400に強固に結合するように折り曲げられるコンタクト・シェル340の後端よりも結合力が低くなる。したがって、コンタクト・シェル340の前端は、コネクタ搬送中の外的衝撃のため、絶縁ハウジング400から外れることがある。
【0017】
一方、図13に示すように、コネクタによって互いに結合されるプラグ・コンタクト・シェルの前端500と、レセプタクル・コンタクト・シェルの前端600とは、同じ断面寸法のほぼ“[”形に形成されている。プラグ・コンタクト・シェルの前端500と、レセプタクル・コンタクト・シェルの前端600とは、側面同士を順次結合させるようにして(sequential side-to-side coupling manner)互いに結合されて、シールド空間Tを画定している。シールド空間内に配置された隣接する同軸ケーブル同士は、それぞれのコンタクトを介して互いに接続される。
【0018】
しかしながら、プラグ・コンタクト・シェルの前端500と、レセプタクル・コンタクト・シェルの前端600とを、側面同士を順次結合させるようにして互いに結合させると、組立ての欠陥に起因して、それぞれのコンタクト・シェル間の連結が損なわれることがある。
【0019】
すなわち、コンタクト・シェルのいずれか一方がある方向にずれたまま互いに結合される場合、例えば、車両の振動環境において両コンタクト・シェル間の接触および分離が繰り返され得る場合、都市の中心部を介して伝送される電気信号に干渉が生じ得ることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、本発明は、上記の問題に鑑みて行われたものであり、本発明の目的は、同軸ケーブルに連結された端子アセンブリを、コネクタに二重係止の形で強固に固定し、それによって端子アセンブリがコネクタから不意に外れることを防止することである。
【0021】
本発明の別の目的は、端子アセンブリをコネクタに挿入し、コネクタから取り外す方向に対して垂直な方向に、端子アセンブリをコネクタと物理的に係合させ、それによって端子アセンブリがコネクタから外れることを防止するように、端子アセンブリをコネクタに固定することである。
【0022】
本発明の他の目的は、端子アセンブリを固定するコネクタの弾性保持板が、ユーザの操作によって損傷することを防止し、一方で端子アセンブリをコネクタから取り外すために弾性保持板を動かすことを容易に実現することである。
【0023】
本発明の他の目的は、雄型コネクタと雌型コネクタとのラッチを用いた結合時に、振動のためラッチが弾性を失うことを防止し、一方で雄型コネクタおよび雌型コネクタの寸法を低減させることである。
【0024】
本発明の他の目的は、ラッチを押すことによってユーザが容易に、かつ便宜的に、雄形コネクタと雌型コネクタとを分離させることを容易に実現し、一方で雄形コネクタと雌型コネクタとが周囲の物品によって不意に互いから外れることを防止することである。
【0025】
本発明の他の目的は、雄型コネクタと雌型コネクタとの結合時に、雄型コネクタと雌型コネクタとの安定した接触を実現し、それによって一様の遮蔽効率を維持することである。
【0026】
本発明の他の目的は、端子アセンブリを、雄型コネクタおよび雌型コネクタにそれぞれ強固に結合させることである。
【0027】
本発明のさらなる目的は、それぞれの同軸ケーブルのコアに連結され、雄型端子アセンブリと雌型端子アセンブリとの結合時に、互いに接触するように構成された先端を、それぞれの雄型端子アセンブリおよび雌型端子アセンブリに強固に結合させることである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明によれば、上記およびその他の目的は、同軸ケーブルに連結された雄型端子アセンブリが内部に固定される雄型コネクタと、雄型コネクタと雌型コネクタとの結合時に雄型端子アセンブリに連結されるように構成された雌型端子アセンブリが内部固定される雌型コネクタとを含み、雌型端子アセンブリが別の同軸ケーブルに連結される、同軸ケーブル・コネクタを提供することによって実現される。この同軸ケーブル・コネクタにおいて、雄型端子アセンブリおよび雌型端子アセンブリのそれぞれが、上面に設けられた係止突起を有し、雄型コネクタおよび雌型コネクタのそれぞれが、入口上面に形成された弾性板を有する。この弾性板は、対応する係止突起が係止される係止孔を有する。雄型端子アセンブリおよび雌型端子アセンブリのそれぞれが、側部に形成された溝を有し、雄型コネクタおよび雌型コネクタのそれぞれが、入口の側部に形成された固定片を有する。この固定片は、雄型コネクタおよび雌型コネクタの対応する一方の側部に延びる、対応する溝に嵌合し、それによって雄型端子アセンブリおよび雌型端子アセンブリが、雄型コネクタおよび雌型コネクタに二重に固定されることになる。
【0029】
弾性板は、入口を形成するフランジに片側を連結することができ、したがって他方側が弾性的に上方に持ち上がり、係止突起が弾性板の係止孔に係止されることになる。
【0030】
雄型コネクタおよび雌型コネクタのそれぞれは、弾性板の他方側が貫通して把持され、上方に持ち上がる把持孔を有することができる。
【0031】
固定片は、雄型コネクタおよび雌型コネクタの対応する一方の入口の側部から延び、外方に開口する側板と、側板の端部から、雄型コネクタおよび雌型コネクタの対応する一方の側部を貫通して形成された挿入孔の方に延びる係止板とを含むことができる。こうして係止板は、雄型アセンブリおよび雌型アセンブリの対応する一方の溝に固定的に嵌合することになる。
【0032】
雄型コネクタには、結合レバーを設けることができ、この結合レバーは、上面に形成された係止突起を有することができる。こうしてこの係止突起は、雌型コネクタに形成された係止溝に挿入されることになり、この結合レバーは、結合レバーの前端および後端で雄型コネクタに固定され、したがって結合レバーの中央を上方および下方に弾性的に動かすことが可能であるように構成できる。
【0033】
結合レバーの後端には、雌型コネクタの前端と接触して、雄型コネクタの挿入深さを制限する突起を設けることができ、この突起は、押されると、結合レバーを弾性的に下方に動かすように構成されている。
【0034】
雄型コネクタには、突起が干渉を受けて押されることを防止するための側壁をさらに設けることができる。
【0035】
雄型端子アセンブリおよび雌型端子アセンブリは、雄型絶縁ハウジングおよび雌型絶縁ハウジングと、対応する同軸ケーブルのシールド網にそれぞれ連結され、それぞれの雄型絶縁ハウジングおよび雌型絶縁ハウジングの前端を取り囲むように構成された雄型金属シェルおよび雌型金属シェルとをそれぞれ含むことができる。雌型金属シェルは、雄型端子アセンブリと雌型端子アセンブリとの結合時に雄型金属シェルを取り囲んで、シールド空間を画定することができる。
【0036】
雄型金属シェルおよび雌型金属シェルのそれぞれは、前方に配置された接触部と、後方に配置された固定部とに形成された保持脚部を有することができる。これらの保持脚部を、雄型金属シェルおよび雌型金属シェルの対応する一方に形成されたチャネルに挿入し、次いで折り曲げることができ、したがって雄型金属シェルおよび雌型金属シェルは、雄型絶縁ハウジングおよび雌型絶縁ハウジングにそれぞれ結合されることになる。
【0037】
雌型端子アセンブリは、対応する同軸ケーブルのコアに連結される受容先端を有することができる。この受容先端の両側には突起が設けられ、雌型絶縁ハウジングは、それぞれの突起と係合するように構成された突起係合部を有することができる。
【0038】
雄型端子アセンブリは、対応する同軸ケーブルのコアに連結される接触先端を有することができ、この接触先端には片側から弾性的に延びる突起片が設けられ、雄型絶縁ハウジングは、突起片を保持して、接触先端が雄型絶縁ハウジングから外れることを防止する突起ストッパを有することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明の実施形態による同軸ケーブル・コネクタは、端子アセンブリが、弾性片および固定片を用いた二重係止によってコネクタに結合され、したがって端子アセンブリがコネクタから不意に外れることが防止され、それによって製品信頼性が向上するという効果を有する。
【0040】
特に、固定片は、コネクタの側部および端子アセンブリの溝に同時に挿入され、それによって端子アセンブリがコネクタに強固に固定される。また、係止板の動作は、弾性によって実現されるのではない。したがって、係止板が、振動によって生じる疲労のため端子アセンブリの溝から外れることが防止され、それによって端子アセンブリとコネクタとの非常に安定した結合が実現される。
【0041】
一方、弾性板の他方側は、入口を形成するフランジの周りで上方に持ち上がり、したがって入口付近で上方に持ち上がる従来の弾性板に比べて、弾性板が外部干渉によって持ち上がることが防止される。
【0042】
さらに、長手部材を用い、把持孔をさらに設けることによって、ユーザが弾性板を容易に上方に持ち上げることが可能となる。それによって、弾性板を過度に持ち上げることによって生じる弾性限界を超えた弾性板の変形に起因する損傷の可能性が低減する。
【0043】
一方、固定片には、引掛突起がさらに設けられ、そのため固定片が挿入孔からさらに外れにくくなり、それによってコネクタと端子アセンブリとの結合がさらに改善される。
【0044】
一方、雄型コネクタに設けられた結合レバーの両端部が、雄型コネクタに固定され、そのため結合レバーの高さを低減させることが可能となる。これにより、コネクタの全体的な寸法が低減する。したがって、複数のコネクタを狭い面積に使用することができ、それによって空間利用が改善される。
【0045】
また、結合レバーの後端には突起が設けられ、そのためユーザが突起を押すことによって雄型コネクタと雌型コネクタとを互いから容易に、かつ便宜的に取り外すことが可能となる。さらに、雄型コネクタが雌型コネクタに挿入される深さを正確に制限することが可能となる。
【0046】
また、雄型コネクタには側壁がさらに設けられ、そのため突起が外部構成要素の干渉により押されることを防止することが可能となり、それによって雄型コネクタと雌型コネクタとが互いから外れることが防止される。
【0047】
一方、雄型金属シェルと雌型金属シェルとの結合は、雄型端子アセンブリと雌型端子アセンブリとの結合時に、雄型金属シェルが雌型金属シェルによって取り囲まれるようにして実現される。したがって、従来の金属シェルの側面同士を順次結合させる場合に比べて、雄型金属シェルと雌型金属シェルとの結合をより安定して実現することが可能である。
【0048】
一方、金属シェルの接触部、および固定部に設けられた保持脚部は、絶縁ハウジングのチャネルに挿入され、次いで折り曲げられる。したがって、金属シェルを絶縁ハウジングに強固に取り付けることが可能であり、それによって組立てに不具合が生じることが防止される。
【0049】
一方、受容先端および接触先端は、絶縁ハウジングのそれぞれに形成された突起係合部または突起ストッパによって保持され、そのため受容先端および接触先端が押し戻されることを防止することが可能となる。したがって、雄型コネクタと雌型コネクタとを、繰返し何度も互いから取り外し、また互いに連結する場合でも、コア間の安定した連結を維持することが可能であり、それによって製品信頼性が向上する。
【0050】
本発明の上記およびその他の目的、特徴、ならびにその他の利点は、以下の詳細な説明を添付の図面と併せ読めば明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、本発明の実施形態による同軸ケーブル・コネクタを示す部分分解斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す同軸ケーブル・コネクタに採用された雄型コネクタを示す平面断面図である。
【図3】図3は、使用中の図2の雄型コネクタを示す平面断面図である。
【図4】図4は、図1に示す同軸ケーブル・コネクタに採用された雄型コネクタの結合レバーを示す側面断面図である。
【図5】図5(a)は図1に示す同軸ケーブル・コネクタに採用された雄型端子アセンブリの分解図であり、図5(b)は図1に示す同軸ケーブル・コネクタに採用された雌型端子アセンブリの分解図である。
【図6】図6(a)は図5に示す雄型端子アセンブリと雌型端子アセンブリとの連結を示す斜視図であり、図6(b)は図6(a)の線A−Aに沿った断面図である。
【図7】図7は、図5に示す雄型絶縁コネクタの前端および接触先端を示す部分断面図である。
【図8】図8は、図5に示す雌型絶縁コネクタの前端および受容先端を示す平面図である。
【図9】図9は、従来のコネクタを上から見た斜視図である。
【図10】図10は、従来のコネクタを下から見た斜視図である。
【図11】図11は、従来のコンタクト・シェルを示す斜視図である。
【図12】図12は、従来の絶縁ハウジングを示す斜視図である。
【図13】図13は、従来のプラグ・コンタクト・シェルと、従来のレセプタクル・コンタクト・シェルとの連結を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
次に、本発明の好ましい実施形態による同軸ケーブル・コネクタの機能、構成、および動作について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0053】
本発明は、米国特許第6,840,822号(US6,840,822)、および米国特許第6,736,653号(US6,736,653)に開示された発明に基づいて改良されたものであり、両特許とも、本出願人によって本願の出願前に出願されたものである。同軸ケーブル・コネクタの主要な構成要素、および構成要素間の結合は、米国特許第6,840,822号または米国特許第6,736,653号の開示に部分的に類似している。言い換えれば、米国特許第6,840,822号または米国特許第6,736,653号の開示は、これらの米国特許の開示が、以下に示す本発明の説明と矛盾しない範囲で、本発明の機能、構成、および動作を相補的に記載している。
【0054】
また、コネクタ、端子アセンブリ、先端、ハウジング、および金属シェルは、以下でこれらが雄型および雌型の区別なく記載されている場合も、雄型および雌型の対をそれぞれ含むものとして解釈すべきである。同じ機能を有する要素は、それらの要素がそれぞれの雄型および雌型の対として一般に含まれている場合でも、同じ参照番号で示す。
【0055】
図1は、本発明の実施形態による同軸ケーブル・コネクタ100を示す部分分解斜視図である。
【0056】
本発明の実施形態による同軸ケーブル・コネクタ100は、同軸ケーブルCがそれぞれ結合される端子アセンブリ1aおよび1bと、端子アセンブリ1aおよび1bが内部に固定されるコネクタ2aおよび2bとを含み、少なくとも1つの端子アセンブリ1aがコネクタ2aに固定され、少なくとも1つの端子アセンブリ1bがコネクタ2bに固定される。
【0057】
コネクタ2aおよび2bは、互いに取外し可能に結合された雄型コネクタ2aおよび雌型コネクタ2bを含む。雄型コネクタ2aと雌型コネクタ2bとの結合時、雄型端子アセンブリ1aの前端101と雌型端子アセンブリ1bの前端101とが互いに結合され、それによって同軸ケーブルC間の接続が実現される。
【0058】
具体的には、雌型端子アセンブリ1bまたは雄型端子アセンブリ1aが雌型コネクタ2bに結合される。また、雌型コネクタ2b内に収容された端子アセンブリ1bまたは雄型端子アセンブリ1aに対応した、雄型端子アセンブリ1aまたは雌型端子アセンブリ1bが雄型コネクタ2aに結合される。
【0059】
以下では、雌型端子アセンブリ1bが雌型コネクタ2bに結合され、雄型端子アセンブリ1aが雄型コネクタに2aに結合されるものとして説明する。この場合、コネクタ2aおよび2bのそれぞれと、対を成す端子アセンブリ1aおよび1bの対応するそれぞれとは、受容溝と、受容溝に対応する突起とを有することができ、それぞれのコネクタ2aおよび2b、ならびにそれぞれの端子アセンブリ1aおよび1bの雄型と雌型との混同が防止される。
【0060】
雄型端子アセンブリ1aおよび雌型端子アセンブリ1bは、コネクタ2aおよび2bの後端にそれぞれ固定的に挿入されるように構成されている。雄型端子アセンブリ1aおよび雌型端子アセンブリ1bは、雄型端子アセンブリ1aおよび雌型端子アセンブリ1bの、互いに接触するように形成された前端101の形状を除いて、ほぼ同じ形状に形成された本体を有する。傾斜した挿入表面を有する係止突起111が、雄型端子アセンブリ1aおよび雌型端子アセンブリ1bそれぞれの本体上面に形成されている。溝102が、雄型端子アセンブリ1aおよび雌型端子アセンブリ1bそれぞれの本体両側に形成されている。
【0061】
一方、雄型端子アセンブリ1aおよび雌型端子アセンブリ1bが固定的に挿入される、それぞれのコネクタ2aおよび2bの後端24は、開口して入口241を形成している。それぞれの入口241には、それぞれのコネクタの前端25まで延びる空間Pが形成され、雄型端子アセンブリ1aおよび雌型端子アセンブリ1bは、対応する空間Pに挿入されることになる。
【0062】
雄型端子アセンブリ1aおよび雌型端子アセンブリ1bの係止突起111が嵌合する弾性板27が、それぞれのコネクタ2aおよび2bの入口241に形成されている。雄型端子アセンブリ1aおよび雌型端子アセンブリ1bのいずれか一方の溝に結合される固定片28が、コネクタ2aおよび2bそれぞれの入口に隣接した両側に形成されている。したがって、雄型端子アセンブリ1aと雌型端子アセンブリ1bとは、弾性板27および固定片28を用いた二重係止によって互いに固定される。
【0063】
弾性板27それぞれの片側27aは、コネクタ2aおよび2bそれぞれの入口241を形成するフランジ242に連結している。弾性板27それぞれの他方側は、ほぼ“[”の形に切り込まれており、したがって弾性板27それぞれの他方側は、弾性的に上方に持ち上がる。また、係止孔271が弾性板27のそれぞれに形成され、この係止孔271には、雄型端子アセンブリ1aおよび雌型端子アセンブリ1bそれぞれの係止突起111が、対応する係止孔271に係止されるように嵌合する。また、摺動溝272が弾性板27のそれぞれに形成され、それによって対応する係止突起111が、入口から対応する係止孔271付近まで導入される。
【0064】
したがって、雄型端子アセンブリ1aおよび雌型端子アセンブリ1bを、対応するコネクタ2aおよび2bに、それぞれのコネクタ2aおよび2bの入口から押し込むと、係止突起111が、それぞれの入口241から対応する摺動溝272に沿って挿入される。それぞれ傾斜表面を有する係止突起111によって、対応する摺動溝272の内側が押されて、対応する弾性板27が弾性的に上方に持ち上がる。弾性板27をより容易に弾性的に上方に持ち上げることができるように、傾斜表面をそれぞれの摺動溝272の内側に形成してもよい。
【0065】
雄型端子アセンブリ1aおよび雌型端子アセンブリ1bをさらに動かすことによって、係止突起111が対応する係止孔271に到達し、弾性板27は復原力によって元の位置に戻る。その結果、係止突起111は、対応する係止孔271に嵌合することになる。
【0066】
この場合、弾性板27それぞれの他方側は、入口を形成する対応するフランジ242付近で上方に持ち上がり、したがって従来の入口付近で上方に持ち上がる弾性板に比べて、弾性板27のそれぞれが外部干渉によって持ち上がることが防止される。
【0067】
さらに、把持孔273をさらに形成して、それぞれの弾性板27の他方側27bを把持し、それぞれのコネクタ2aおよび2bの前端25の方に持ち上げてもよい。把持孔273はそれぞれ、大きく切り込んだ部分を有する孔の形に形成することができる。
【0068】
ユーザは、弾性板27のそれぞれを容易に弾性的に上方に持ち上げることができるように、クリップなどの長手部材を把持孔272のそれぞれに挿入することができる。しかし、かかるクリップを用いて弾性板27のそれぞれを上方に持ち上げても、弾性板27それぞれが持ち上がる高さは、それほど高くはない。したがって、ユーザは、弾性板27のそれぞれと、入口との間の連結が弾性限界を超えることがないように、したがって変形しないように、弾性板27のそれぞれを過度に上方に持ち上げないようにする必要がある。
【0069】
すなわち、弾性板27は、把持孔をさらに設けることによって容易に上方に持ち上がり、それによって、弾性板27の変形、およびそれに伴う製品への損傷が防止される。
【0070】
図2は、図1に示す同軸ケーブル・コネクタに採用された雄型コネクタを示す平面断面図であり、図3は、使用中の図2の雄型コネクタの平面断面図である。
【0071】
固定片28が、コネクタ2aおよび2bのそれぞれと、端子アセンブリ1aおよび1bの対応する一方それぞれとの物理的係合を安定して実現するように設けられる。各固定片28は、側板281および係止板282を含む。
【0072】
側板281は、対応するコネクタ2aまたは2bの入口241付近の側部26から延びて、外方に開口している。側板281と、対応するコネクタ2aまたは2bの側部26との連結部は、側板281が曲がりやすいように、側板281の残りの部分よりも厚みを小さくすることができる。
【0073】
一方、挿入孔261が、対応するコネクタ2aまたは2bの側部26に形成される。この挿入孔261は、対応するコネクタ2aまたは2bに挿入される対応する雄型端子アセンブリ1aまたは雌型端子アセンブリ1bの対応する溝102と対応することになる。係止板282は、挿入孔261に挿入されるように構成され、側板281の端部からほぼ垂直に延びる。
【0074】
したがって、雄型端子アセンブリ1aおよび雌型端子アセンブリ1bが、対応するコネクタ2aおよび2bに挿入され、側板281が、それぞれのコネクタ2aおよび2bの対応する側部の方に強く押し付けられると、係止板282が対応する挿入孔261に挿入され、次いで対応する溝102に嵌合する。
【0075】
この場合、係止板282は、それぞれのコネクタ2aおよび2bの対応する側部と、それぞれの雄型端子アセンブリ1aおよび雌型端子アセンブリ1bの対応する溝102とに同時に係止され、そのため雄型端子アセンブリ1aおよび雌型端子アセンブリ1bが対応するコネクタ2aおよび2bの後方に動くことが防止される。したがって、ユーザが固定片28を再度開放するまで、雄型端子アセンブリ1aおよび雌型端子アセンブリ1bが、対応するコネクタ2aおよび2bから外れることが防止されることになる。係止板282の動作は、弾性によってではなく、物理的な挿入によって実現される。したがって自動車の運転によって生じる振動のため、係止板282が対応する溝102から外れることが防止され、それによって雄型端子アセンブリ1aおよび雌型端子アセンブリ1bと、対応するコネクタ2aおよび2bとの極めて安定した結合が実現される。
【0076】
さらに、引掛突起283を係止板282それぞれの端部に形成することができる。引掛突起283は、対応する挿入孔261に形成された段差突起262によって係止され、それによって係止板282が対応する挿入孔261から外れることが防止されることになる。
【0077】
具体的には、係止板282それぞれの端部に形成された鈎形の引掛突起283が、コネクタ2aおよび2bそれぞれの側部26から突出し、挿入孔261それぞれの側部を構成する段差突起262を越えて進み、対応する溝102に挿入される。その結果、挿入された係止板282それぞれの引掛突起283が、対応する挿入孔261の段差突起262によって係止され、それによって固定片28が対応する雄型端子アセンブリ1aおよび雌型端子アセンブリ1bから外れることがさらに防止される。
【0078】
図4は、図1に示す同軸ケーブル・コネクタに採用された雄型コネクタの結合レバーを示す側面断面図である。
【0079】
雄型コネクタ2aには、結合レバー21が設けられている。結合レバー21の前端および後端は、結合レバー21の中央が上方および下方に弾性的に動くことができるように雄型コネクタ2aに固定されている。結合レバー21は、上面に形成された係止突起211を有し、この係止突起211は、雌型コネクタ2bに形成された係止溝23に挿入されることになる。
【0080】
結合レバー21は、その前端および後端が、雄型コネクタ2aが雌型コネクタ2bに挿入される長手方向に固定された長手部材である。結合レバー21の中央は、上方および下方に弾性的に動くことができるように、雄型コネクタ2aのハウジングから離間して配置されている。結合レバー21と雄型コネクタ2aとの前方および後方の結合面積、または長手結合レバー21の断面積は、弾性が変わるように調整することができる。
【0081】
係止突起211は、結合レバー21の上面に設けられる。係止突起211は、雌型コネクタ2bに挿入される傾斜表面を有する。
【0082】
したがって、雄型コネクタ2aが雌型コネクタ2bに挿入されると、係止突起211が雌型コネクタ2bの内側によって係止され、結合レバー21の中央が弾性的に下方に動くことになる。したがって、結合レバー21の中央は、雄型コネクタ2aのハウジング外面に近くなる。その後、係止突起211が雌型コネクタ2bの係止溝23に到達すると、結合レバー21は、復原力によって元の位置に戻る。その結果、係止突起211が係止溝23に嵌合することになり、それによって雄型コネクタ2aと雌型コネクタ2bとの結合が実現される。
【0083】
この場合、結合レバー21の両端部が雄型コネクタ2aに固定されているため、結合レバー21の中央と雄型コネクタ2aとの間隔は最小限となる。また、結合レバー21の中央と雄型コネクタ2aとの間隔が最小限となるため、雄型コネクタ2aを受容するように構成された雌型コネクタ2bの全体的な厚みも最小限となる。したがって、同軸ケーブル・コネクタの全体的な寸法を最小限に抑えることが可能となる。
【0084】
さらに、両端部が固定された結合レバー21は、片持ち梁の形状に構築された従来のラッチ構造よりも十分に、車両から生じる振動に耐える。したがって、結合レバー21を振動環境において長期間にわたり使用する場合でも、結合レバー21は、振動から伝達される疲労のため弾性を失うことはなく、それによって結合レバー21を長期間にわたり安定して使用することが可能となる。
【0085】
さらに、結合レバー21の後端には、ユーザが雄型コネクタ2aを雌型コネクタ2bから取り外す際に、ユーザが結合レバー21を容易に弾性的に下方に動かすことができる突起212を設けることができる。この場合、突起212は、結合レバー21の、雌型コネクタ2bには挿入されない後端から突出している。好ましくは、突起212は、雄型コネクタ2aが内部に結合される雌型コネクタ2bよりも低い高さを有する。
【0086】
また、突起212は、ユーザが自身の指(複数可)で突起212を容易に押すことができるように、結合レバー21の横幅よりも広い幅を有することができる。
【0087】
さらに、突起212の両側部213は、さらに左右に延ばすことができ、その場合、雄型コネクタ2aの対応する入口241に連結できるように下方に曲げることができる。したがって、結合レバー21は、ユーザが突起212を押すと、容易に下方に動かすことができる。
【0088】
したがって、突起212は、ユーザが突起212を押すとある程度下方に動き、そのため結合レバー21の中央が動き、したがって係止突起211は対応する係止溝23から外れる。
【0089】
突起212は、雄型コネクタ2aと雌型コネクタ2bとの連結時、雌型コネクタ2bの前端と接触する。したがって、突起21は、雄型コネクタ2aの挿入深さを制限するストッパとして働く。すなわち、ストッパとして働く突起212によって、雄型コネクタ2aと雌型コネクタ2bとの挿入深さを、より正確に維持することができる。なお、この挿入深さは、雄型コネクタ2aおよび雌型コネクタ2b内にそれぞれ収容された雄型端子アセンブリ1aと雌型端子アセンブリ1bとの正確な結合に必要となる。
【0090】
一方、雄型コネクタ2aには、突起212が雄型コネクタ2a付近に配置された他のコネクタ、電線などによって押されるのを防止する側壁22を設けることができる。側壁22は、この場合、側壁22は突起212から離間して配置することが好ましい。また、側壁22は、突起212と同じ高さを有することが好ましい。また、突起212と同様にストッパとして働くように、側壁22それぞれの前端を曲げることができる。
【0091】
図5は、図1に示す同軸ケーブル・コネクタに採用された端子アセンブリを示し、図5(a)は雄型端子アセンブリの分解図であり、図5(b)は雌型端子アセンブリの分解図である。
【0092】
端子アセンブリ1a,1bは、対応する同軸ケーブルCの外側に強固に結合される絶縁ハウジング11a,11bと、絶縁ハウジング11a,11bに結合され、かつ対応する同軸ケーブルCのシールド網に連結される金属シェル12a,12bと、対応する同軸ケーブルCのコアに連結される先端13a,13bとを含む。
【0093】
この場合、絶縁ハウジング11a,11b、金属シェル12a,12b、ならびに先端13a,13bは、2つのグループに分けられる。一方のグループは、雌型端子アセンブリ1bの前端に形成され、雄型絶縁ハウジング11aの前端を受容する雌型絶縁ハウジング11bと、底部121および両側部を含み、雌型絶縁ハウジング11bに結合される雌型金属シェル12bと、長方形バーの形に形成された中空受容先端13bとを含む。他方のグループは、雌型絶縁ハウジング11bの前端に挿入されるように構成された、雄型端子アセンブリ1aの前端にある雄型絶縁ハウジング11aと、雌型金属シェル12bとほぼ対称形に形成された雄型金属シェル12aと、同軸ケーブルCのコアに連結され、かつ受容先端13bに挿入されるように構成された接触先端13aとを含む。
【0094】
雌型端子アセンブリ1bの構造をより詳細に説明する。同軸ケーブルCのコアC1は、雌型絶縁ハウジング11bの内部から前端116の方に突出するように、受容先端13bに電気的に結合される。雌型金属シェル12bは、雌型絶縁ハウジング11bに結合されるとともに、同軸ケーブルCのシールド網C2にも電気的に接続される。雄型端子アセンブリ1aは、雌型端子アセンブリ1bと同様の構造を有する。
【0095】
雄型端子アセンブリ1aおよび雌型端子アセンブリ1bの構造の詳細は、前述の米国特許第6,840,822号に開示のものと同一であり、したがって繰返しとなる説明は省略する。
【0096】
図6(a)は、図5に示す雄型端子アセンブリと雌型端子アセンブリとの連結を示す斜視図である。図6(b)は、図6(a)の線A−Aに沿った断面図である。
【0097】
雄型端子アセンブリ1aの絶縁ハウジング11aおよび雌型端子アセンブリ1bの絶縁ハウジング11bの、係止突起111が形成される側を上側であるとすると、雄型コネクタ2aおよび雌型コネクタ2b内にそれぞれ収容される雄型端子アセンブリ1aおよび雌型端子アセンブリ1bは、雄型端子アセンブリ1aおよび雌型端子アセンブリ1bのうちの一方を裏返すと互いに結合されるように構成されている。したがって、雄型コネクタ2aと雌型コネクタ2bとの連結時に、雄型金属シェル12aの前端123が雌型金属シェル12bの前端123に結合されて、長方形の断面形状を有するシールド空間124が画定される。
【0098】
当然ながら、シールド空間124の断面形状は、互いに結合される雄型金属シェルおよび雌型金属シェルの断面形状に基づいて決まる。したがって、シールド空間124の断面形状は、長方形のみに限られるものではない。
【0099】
図6(b)に示すように、シールド空間124は、雄型金属シェル12aが雌型金属シェル12bによって取り囲まれるように、雄型金属シェル12aを雌型金属シェル12bに結合させることによって画定される。具体的には、雌型金属シェル12bの両側122bが、雄型金属シェル12aの両側122aの外側を覆う。
【0100】
その結果、シールド空間124が安定して画定される。したがって、組立ての不具合のため雄型金属シェル12aの両側122aと雌型金属シェル12bの両側122bとの間に間隙が生じる場合でも、または、製造誤差のため、雄型金属シェル12aの両側が、雌型金属シェル12bの対応する両側と完全に接触しない場合でも、雄型金属シェル12aと雌型金属シェル12bとの電気的接続が安定して維持される。特に、振動が生じる場合でも、雄型金属シェル12aの両側のうち少なくとも一方が、雌型金属シェル12bの対応する側部と常に接触する。その結果、シールド空間の遮蔽効率は一様に維持され、したがって同軸ケーブルのコアを介した電気信号伝送における外部干渉が低減する。
【0101】
したがって、従来の金属シェルの側面同士を順次結合させた場合に比べて、外部電波に起因するコアの周波数妨害をより効果的に防止することが可能となる。
【0102】
図7は、図5に示す雄型絶縁コネクタの前端および接触先端を示す部分断面図である。
【0103】
金属シェル12a,12bは、絶縁ハウジング11a,11bと、同軸ケーブルとの組立てが容易かつ便宜的に実現されるように、一体に形成されている。しかし、金属シェル12a,12bが絶縁ハウジング11a,11bに結合された後は、金属シェル12a,12bは2片に分割される。すなわち、もう一方の金属シェルと接触してシールド空間を画定する前方接触部125と、接触部125の後方に位置し、同軸ケーブルを絶縁ハウジング11a,11bに強固に固定する固定部とに分割される。
【0104】
接触部125および固定部126の両側122a,122bには、保持脚部127が絶縁ハウジング11a,11bの方に突出して設けられ、それによって同軸ケーブルが絶縁ハウジング11a,11bに強固に固定されることになる。また、絶縁ハウジング11a,11bには、それぞれの保持脚部127に対応したチャネル112が設けられている。保持脚部127は、絶縁ハウジング11a,11bに形成された対応するチャネル112に挿入され、その後、保持脚部127の端部は、金属シェル12a,12bと絶縁ハウジング11a,11bとの結合が実現されるように折り曲げられる。
【0105】
この場合、それぞれの脚部127は、絶縁ハウジング11a,11bのチャネルに挿入され、その後、それぞれの脚部が保持されるように折り曲げられ、したがって、従来の円弧状先端挿入構造に比べて、接触部125および固定部126の、絶縁ハウジング11a,11bへのより安定した結合が実現される。
【0106】
図8は、図5に示す雌型絶縁コネクタの前端および受容先端を示す平面図である。
【0107】
雄型端子アセンブリ1aと雌型端子アセンブリ1bとの結合時、接触先端13aが受容先端13bに挿入され、それによって同軸ケーブルのコアが互いに連結されることになる。この時点で、接触先端13aおよび受容先端13bを、絶縁ハウジング11a,11b内の接触先端13aと受容先端13bとの正確な連結が実現される位置に固定しなければならない。
【0108】
特に、雄型端子アセンブリ1aと雌型端子アセンブリ1bとの結合時に、両先端が押し戻されると、コア間の接続が不良となり、同軸ケーブル・コネクタとしての機能を全く実現することができなくなる。したがって、それぞれの先端13a,13bを、それぞれの絶縁ハウジング11a,11bの前端における必要位置に正確に配置することが必要である。
【0109】
この目的で、受容先端13bの長方形バー本体の後端に隣接した両側に突起133を形成してもよい。雌型絶縁ハウジング11bには、突起133と係合するように突起係合部115を形成する。その結果、受容先端12bが雌型絶縁ハウジング11bに結合されると、受容先端12bは、突起133がそれぞれの突起係合部115を越えて進むように強制的に押し込まれ、それによって突起133と突起係合部115との強制結合が実現される。
【0110】
この場合、受容先端13b両側の突起133は、接触先端13aと受容先端13bとの結合時に受容先端13bを押し戻す力が加えられても、突起係合部115によって係止され、それによって受容先端13bが押し戻されることが防止される。
【0111】
一方、雄型端子アセンブリ1aに設けられた接触先端13aは、長手片131と、長手片131の後端に隣接した両側から延びる突起片132とを含む。長手片131は、受容先端13bに挿入されると、接触先端13aと受容先端13bとの電気的接続を実現するように構成される。
【0112】
また、雄型絶縁ハウジング11aの前端にはスリット113が設けられ、このスリット113に接触先端13aが垂直状態で挿入される。スリット113の後部には、突起片132を保持する突起ストッパ114が形成されており、それによって接触先端13aが雄型絶縁ハウジング11aから外れることが防止される。突起ストッパ114は、雄型絶縁ハウジング11aの後端の方に傾斜し、かつ雄型絶縁ハウジング11aの前端に対しては垂直となるように形成される。
【0113】
この場合、接触先端13aが雄型絶縁ハウジング11aのスリット113に挿入されると、突起片132が突起ストッパ114の傾斜表面を越えて進む間、突起片132は弾性変形する。その後、接触先端13aがさらに前方に進んで雄型絶縁ハウジング11aのスリット113と完全に結合すると、突起片132は、突起ストッパ113の他方側まで移動し、次いで突起ストッパ114の垂直表面によって保持される。したがって、接触先端13aと受容先端13bとの結合時に接触先端13aを押し戻す力が加えられても、突起片132は、突起ストッパ113によって保持され、それによって接触先端13aが押し戻されることが防止され、接触先端13aが定位置に固定される。
【0114】
様々な実施形態を、本発明を実施する最良の形態で説明してきた。
【産業上の利用可能性】
【0115】
上記の説明から明白なように、本発明の実施形態による同軸ケーブル・コネクタは、端子アセンブリが、弾性片および固定片を用いた二重係止によってコネクタに結合され、したがって端子アセンブリがコネクタから不意に外れることが防止され、それによって製品信頼性が向上するという効果を有する。
【0116】
特に、固定片は、コネクタの側部および端子アセンブリの溝に同時に挿入され、それによって端子アセンブリがコネクタに強固に固定される。また、係止板の動作は、弾性によって実現されるものではない。したがって、係止板が、振動によって生じる疲労のため端子アセンブリの溝から外れることが防止され、それによって端子アセンブリとコネクタとの非常に安定した結合が実現される。
【0117】
一方、弾性板の他方側は、入口を形成するフランジの周りで上方に持ち上がる。したがって、入口付近で上方に持ち上がる従来の弾性板に比べて、弾性板が外部干渉によって持ち上がることが防止される。
【0118】
さらに、長手部材を用い、把持孔をさらに設けることによって、ユーザが弾性板を容易に上方に持ち上げることが可能となる。それによって、弾性板を過度に持ち上げることによって生じる弾性限界を超えた弾性板の変形に起因して弾性板が損傷する可能性が低減する。
【0119】
一方、固定片には、引掛突起がさらに設けられ、そのため固定片が挿入孔からさらに外れにくくなる。それによって、コネクタと端子アセンブリとの結合がさらに改善される。
【0120】
一方、雄型コネクタに設けられた結合レバーの両端部が、雄型コネクタに固定され、そのため結合レバーの高さを低減させることが可能となる。それによって、コネクタの全体的な寸法が低減する。したがって、複数のコネクタを狭い面積に使用することができ、それによって空間利用が改善される。
【0121】
また、結合レバーの後端には突起が設けられ、そのためユーザが突起を押すことによって雄型コネクタと雌型コネクタとを互いから容易に、かつ便宜的に取り外すことが可能となる。さらに、雄型コネクタが雌型コネクタに挿入される深さを正確に制限することが可能となる。
【0122】
また、雄型コネクタには側壁がさらに設けられ、そのため突起が外部構成要素の干渉により押されることを防止することが可能となる。それによって、雄型コネクタと雌型コネクタとが互いから外れることが防止される。
【0123】
一方、雄型金属シェルと雌型金属シェルとの結合は、雄型端子アセンブリと雌型端子アセンブリとの結合時に、雄型金属シェルが雌型金属シェルによって取り囲まれるようにして実現される。したがって、従来の金属シェルの側面同士を順次結合させる場合に比べて、雄型金属シェルと雌型金属シェルとの結合をより安定して実現することが可能となる。
【0124】
一方、金属シェルの接触部、および固定部に設けられた保持脚部は、絶縁ハウジングのチャネルに挿入され、次いで曲げられる。したがって、金属シェルを絶縁ハウジングに強固に取り付けることが可能であり、それによって組立てに不具合が生じることが防止される。
【0125】
一方、受容先端および接触先端は、絶縁ハウジングのそれぞれに形成された突起係合部または突起ストッパによって保持され、そのため受容先端および接触先端が押し戻されることを防止することが可能となる。したがって、雄型コネクタと雌型コネクタとを、繰返し何度も互いから取り外し、また互いに連結する場合でも、コア間の安定した連結を維持することが可能であり、それによって製品信頼性が向上する。
【0126】
したがって、本発明は産業上の利用可能性を有する。
【0127】
本発明の好ましい実施形態を、例示の目的で開示してきたが、添付の特許請求の範囲に開示される本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、様々な改変、追加、および代替が可能であることが当業者には理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸ケーブルに連結された雄型端子アセンブリが内部に固定される雄型コネクタと、前記雄型コネクタと雌型コネクタとの結合時に前記雄型端子アセンブリに連結されるように構成された雌型端子アセンブリが内部に固定される雌型コネクタとを備え、前記雌型端子アセンブリが別の同軸ケーブルに連結される、同軸ケーブル・コネクタであって、
前記雄型端子アセンブリおよび前記雌型端子アセンブリのそれぞれが、上面に設けられた係止突起を有し、
前記雄型コネクタおよび前記雌型コネクタのそれぞれが、それらの入口上面に形成された弾性板を有し、前記弾性板が、対応する前記係止突起が係止される係止孔を有し、
前記雄型端子アセンブリおよび前記雌型端子アセンブリのそれぞれが、側部に形成された溝を有し、
前記雄型コネクタおよび前記雌型コネクタのそれぞれが、前記入口の側部に形成された固定片を有し、
前記固定片が、前記雄型コネクタおよび前記雌型コネクタの対応する一方の側部に延びる対応する前記溝に嵌合することによって、前記雄型端子アセンブリおよび前記雌型端子アセンブリが、前記雄型コネクタおよび前記雌型コネクタに二重に固定されることになる、同軸ケーブル・コネクタ。
【請求項2】
前記弾性板は、その片側が前記入口を形成するフランジに連結されて、その他方側が弾性的に上方に持ち上がり、前記係止突起が前記弾性板の前記係止孔に係止されることになる、請求項1に記載の同軸ケーブル・コネクタ。
【請求項3】
前記雄型コネクタおよび前記雌型コネクタのそれぞれが、前記弾性板の前記他方側が貫通して把持され、上方に持ち上がる把持孔を有する、請求項2に記載の同軸ケーブル・コネクタ。
【請求項4】
前記固定片が、
前記雄型コネクタおよび前記雌型コネクタの対応する一方の前記入口の前記側部から延び、外方に開口する側板と、
前記側板の端部から、前記雄型コネクタおよび前記雌型コネクタの対応する一方の前記側部を貫通して形成された挿入孔の方に延びる係止板と
を備え、
前記係止板が、前記雄型アセンブリおよび前記雌型アセンブリの対応する一方の前記溝に固定的に嵌合する、請求項1に記載の同軸ケーブル・コネクタ。
【請求項5】
前記雄型コネクタに結合レバーが設けられ、
前記結合レバーが、その上面に形成された係止突起を有し、前記係止突起が、前記雌型コネクタに形成された係止溝に挿入され、
前記結合レバーが、その前端および後端で前記雄型コネクタに固定され、前記結合レバーの中央を上方および下方に弾性的に動かすことが可能であるように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の同軸ケーブル・コネクタ。
【請求項6】
前記結合レバーの後端に、前記雌型コネクタの前端と接触して、前記雄型コネクタの挿入深さを制限する突起が設けられ、
前記突起は、押されると、前記結合レバーを弾性的に下方に動かすように構成される、請求項5に記載の同軸ケーブル・コネクタ。
【請求項7】
前記雄型端子アセンブリおよび前記雌型端子アセンブリが、
雄型絶縁ハウジングおよび雌型絶縁ハウジングと、
対応する前記同軸ケーブルのシールド網にそれぞれ連結され、それぞれの前記雄型絶縁ハウジングおよび前記雌型絶縁ハウジングの前端を取り囲むように構成された雄型金属シェルおよび雌型金属シェルと
をそれぞれ備え、
前記雌型金属シェルが、前記雄型端子アセンブリと前記雌型端子アセンブリとの結合時に前記雄型金属シェルを取り囲んでシールド空間を画定する、請求項1に記載の同軸ケーブル・コネクタ。
【請求項8】
前記雄型金属シェルおよび前記雌型金属シェルのそれぞれが、それらの前方に配置された接触部と、それらの後方に配置された固定部とに形成された保持脚部を有し、
前記保持脚部が、前記雄型金属シェルおよび前記雌型金属シェルの対応する一方に形成されたチャネルに挿入され、次いで折り曲げられることによって、前記雄型金属シェルおよび前記雌型金属シェルが、前記雄型絶縁ハウジングおよび前記雌型絶縁ハウジングにそれぞれ結合されることになる、請求項7に記載の同軸ケーブル・コネクタ。
【請求項9】
前記雌型端子アセンブリが、対応する前記同軸ケーブルのコアに連結される受容先端を有し、前記受容先端の両側には突起が設けられ、
前記雌型絶縁ハウジングが、それぞれの前記突起と係合するように構成された突起係合部を有する、請求項7に記載の同軸ケーブル・コネクタ。
【請求項10】
前記雄型端子アセンブリが、対応する前記同軸ケーブルのコアに連結される接触先端を有し、前記接触先端には片側から弾性的に延びる突起片が設けられ、
前記雄型絶縁ハウジングが、前記突起片を保持して、前記接触先端が前記雄型絶縁ハウジングから外れることを防止する突起ストッパを有する、請求項7に記載の同軸ケーブル・コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2012−505511(P2012−505511A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530930(P2011−530930)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際出願番号】PCT/KR2009/005152
【国際公開番号】WO2010/041823
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(503473149)タイコ エレクトロニクス アンプ コリア リミテッド (21)
【住所又は居所原語表記】1191 Shinsang‐ri,Jinryang‐eub,Kyungsan‐si,Kyungsangbuk‐do 712‐838 Republic of Korea
【Fターム(参考)】