説明

同軸ケーブル用コネクタ

【課題】 同軸ケーブルの回転を阻止して作業者の不安を取り除き,その結果,作業能率が向上できる同軸ケーブル用コネクタを提供する。

【解決手段】同軸ケーブルの端部に装着する挿着部を備えた同軸ケーブルコネクタであって、該挿着部は、筒形状のコネクタ本体1と、抜け止め具3と、該抜け止め具3を前記コネクタ本体1に固定する筒形状の固定具5と、挿入した同軸ケーブル7の回転を阻止するための回転阻止手段4を備えると共に,前記コネクタ本体の他端部に枢着すると共に接続対象の外部導体に螺合するよう形成した接続筒2とを具備し、前記,抜け止め具3はリング形状の枠体3bと、該枠体から枠体の中心へ向けて複数の爪部3aを突設し、前記コネクタ本体1の中間部にコネクタ本体1と同一中心軸を有するよう内設し、前記固定具5を介して挿入された同軸ケーブル7を前記回転阻止手段4が回転を阻止しつつ前記抜け止め具3が抜脱阻止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,同軸ケーブルを電子機器の筐体に接続するための同軸ケーブル端部に装着する同軸ケーブル用コネクタに関するものであり,詳しくは同軸ケーブルの回転を阻止できる同軸ケーブル用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
同軸ケーブルに同軸用コネクタを装着する場合,従来はケーブルの抜けを防ぐために,かしめ用環状金具でかしめて固定していた。(例えば特許文献1参照)。
また,カシメ以外の固定方法として,爪部を有するリング状の抜け止め具を同軸ケーブルに外嵌して,爪部をケーブルに食い込ませて抜けを防止させるようにした同軸ケーブル用コネクタが知られている。(例えば,特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11-288767号公報
【特許文献2】特開2002-184536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし,上記特許文献1及び2で開示した技術は,同軸ケーブルを同軸コネクタに装着したのち,同軸コネクタを固定した状態で同軸ケーブルを軸中心に回転すると同軸ケーブルと同軸コネクタの当接部が滑ってしまい,同軸ケーブルが回転してしまうという問題があった。
このように,同軸ケーブルが回転すると作業する者が不安に思い,作業に要する時間がかかり作業能率が低下するという問題があった。
また,時間の経過と共に接触不良となる危険性が増大するといった問題があった。
【0005】
そこで本願においては,こうした問題点を解決するためになされたものであり,その目的は,ペンチや専用工具がなくても同軸ケーブルの装着・固定が容易に行える同軸ケーブル用コネクタを提供することである。
他の目的は,同軸ケーブルの回転を阻止して作業者の不安を取り除き,その結果,作業能率が向上できる同軸ケーブル用コネクタを提供することである。
他の目的は,経年変化により同軸ケーブルが塑性変形しても接触不良を起こさない同軸ケーブル用コネクタを提供することである。
他の目的は,爪部による同軸ケーブルの挿入阻止力を弱めると共に,同軸ケーブルの接続作業を容易に行うことができ,さらに,同軸ケーブルに対する爪部先端の食い込み角を大きくすることで強い抜け止め力が得られる同軸ケーブル用コネクタを提供することである。
他の目的は,同軸ケーブルの外形寸法が少し変わっても同軸ケーブルの回転阻止力が変化しない同軸ケーブル用コネクタを提供することである。
他の目的は,同軸ケーブルを同軸コネクタに装着する際,装着が容易な同軸ケーブル用コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために,請求項1の発明は,同軸ケーブルの端部に装着する挿着部を備えた同軸ケーブルコネクタであって、該挿着部は、筒形状のコネクタ本体と、抜け止め具と、該抜け止め具を前記コネクタ本体に固定する筒形状の固定具と、挿入した同軸ケーブルの回転を阻止するための回転阻止手段を備えると共に,前記コネクタ本体の他端部に枢着すると共に接続対象の外部導体に螺合するよう形成した接続筒とを具備し、前記,抜け止め具はリング形状の枠体と、該枠体から枠体の中心へ向けて複数の爪部を突設し、前記コネクタ本体の中間部にコネクタ本体と同一中心軸を有するよう内設し、前記固定具を介して挿入された同軸ケーブルを前記回転阻止手段が回転を阻止しつつ前記抜け止め具が抜脱阻止するように構成される。
【0007】
請求項2の発明は,請求項1記載の同軸ケーブルコネクタにおいて,抜け止め具の爪部を、枠体から同軸ケーブルの挿入方向へ向けて突設すると共に、爪部の付け根の突設方向よりも爪部の先端の突設方向が枠体の内側へ向くように形成して構成される。
【0008】
請求項3の発明は,請求項1または請求項2に記載の同軸ケーブルコネクタにおいて,前記コネクタ本体内に,装着する同軸ケーブルの内部絶縁体と外部導体との間に挿入されるスリーブ体を備えさせるように構成される。
【0009】
請求項4の発明は,請求項3に記載の同軸ケーブルコネクタにおいて,前記スリーブ体は前記同軸ケーブルの軸線方向に移動可能に備えるように構成される。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば,同軸ケーブルの端部に装着する挿着部を備えた同軸ケーブルコネクタであって、該挿着部は、筒形状のコネクタ本体と、抜け止め具と、該抜け止め具を前記コネクタ本体に固定する筒形状の固定具と、挿入した同軸ケーブルの回転を阻止するための回転阻止手段を備えると共に,前記コネクタ本体の他端部に枢着すると共に接続対象の外部導体に螺合するよう形成した接続筒とを具備し、前記,抜け止め具はリング形状の枠体と、該枠体から枠体の中心へ向けて複数の爪部を突設し、前記コネクタ本体の中間部にコネクタ本体と同一中心軸を有するよう内設し、前記固定具を介して挿入された同軸ケーブルを前記回転阻止手段が回転を阻止しつつ前記抜け止め具が抜脱阻止するように構成したので,
ペンチや専用工具がなくても同軸ケーブルの装着・固定が容易に行えると共に,同軸ケーブルの回転を阻止して作業者の不安を取り除き,その結果,作業能率が向上できる同軸ケーブル用コネクタを提供することができる。また,経年変化により同軸ケーブルが塑性変形しても接触不良を起こさない同軸ケーブル用コネクタを提供することができる。
【0011】
請求項2の発明によれば,請求項1記載の同軸ケーブルコネクタにおいて,抜け止め具の爪部を、枠体から同軸ケーブルの挿入方向へ向けて突設すると共に、爪部の付け根の突設方向よりも爪部の先端の突設方向が枠体の内側へ向くように形成して構成したので,
請求項1の効果に加えて,爪部による同軸ケーブルの挿入阻止力を弱めると共に,同軸ケーブルの接続作業を容易に行うことができ,さらに,同軸ケーブルに対する爪部先端の食い込み角を大きくでき,強い抜け止め力が得られる同軸ケーブル用コネクタを提供することができる。
【0012】
請求項3の発明によれば,請求項1または請求項2に記載の同軸ケーブルコネクタにおいて,前記コネクタ本体内に,装着する同軸ケーブルの内部絶縁体と外部導体との間に挿入されるスリーブ体を備えさせるように構成したので,
上記効果に加えて,同軸ケーブルの外形寸法が少し変わっても同軸ケーブルの回転阻止力が変化しない同軸ケーブル用コネクタを提供することができる。
【0013】
請求項4の発明によれば,請求項3に記載の同軸ケーブルコネクタにおいて,前記スリーブ体は前記同軸ケーブルの軸線方向に移動可能に備えるように構成したので,
上記効果に加えて,同軸ケーブルを同軸コネクタに装着する際,装着が容易な同軸ケーブル用コネクタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に,本発明を具体化した実施形態の例を,図面を基に詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は本発明を適用した同軸ケーブル用コネクタの第1の実施形態を示し,(A)は同軸ケーブル挿入前の一部断面で示した側面図,(B)は同軸ケーブル挿入後の一部断面で示した側面図である。
図1において,1は内部にケーブル装着手段を備え,同軸ケーブル(以下,単にケーブルと称する。)に外嵌する筒状のコネクタ本体,2はレセプタクル等の接続対象に接続する接続手段としてのナット体である。ケーブル装着手段は,装着したケーブルの抜けを防止する抜け止め具3,ケーブルの回転を阻止する係止体(回転阻止手段)4,抜け止め具3を固定する固定具5,装着するケーブル7の外部導体(アルミ箔)7cと外部導体7dの間に挿入するスリーブ体6とから成り,以下図示左方向を前方として説明する。なお,7aはケーブルの中心導体,7bは内部絶縁体,7cは外部導体(アルミ箔),7dは外部導体(網状導体),7eは保護被覆である。
【0016】
コネクタ本体1,ナット体2は共に,導電材料で形成されている。コネクタ本体1は,後部にケーブル挿入口を有し,前面にナット体2を装着するための細径の筒状嵌合部8が突出形成され,筒状嵌合部8には装着するケーブル7の内部絶縁体7b,外部導体(アルミ箔)7c及び中心導体7aを挿通する挿通孔8aが形成されている。そして,ナット体2は,内部に雌ネジが切られ,後部にコネクタ本体1の筒状嵌合部8を挿通嵌合する連結孔2aを有し,回転可能にコネクタ本体1前面にて連結されている。尚,筒状嵌合部8は,ナット体2と嵌合した後に先端部8bが拡径され,ナット体2が抜け落ちることはない。
なお,本実施例ではナット体で形成したが,外部に雄ねじを切ったボルト体であっても良いし,ネジ式に限定されるものではなく,接続対象と確実に接続できればなんでもよい。例えば板バネ等による結合体であっても良い。
【0017】
抜け止め具3は,図4(A)の正面図に示すように,略円盤状に形成され,弾性を有する金属,例えばバネ用ステンレスで形成されている。そして,内周側から放射状に切り欠き3d,3d・・が形成され,内周部が同軸ケーブルを咬持する咬持部3a,外周部はコネクタ本体1に係止固定する係止部3bである。また,内径は装着するケーブル7の外形より小さな径で形成され,咬持部3a先端はケーブル7に線接触するように内周は,ケーブルの径に合わせたアールを設けて形成されている。このようにケーブルに線接触させることで先端を鋭角にしてケーブルに食い込ませる従来の抜け止め具に比べて,確実に咬持動作させ,抜け止め力を向上できる。
本実施例では爪片を16個設けたが,この数に限定されるものではなく,16より多くても少なくても良い。また,本実施例では咬持部3aの先端はアールを設けたが,爪片(咬持部3a)を10個程度より多くすることにより,爪片の先端は直線で切断してもケーブルに線接触でき,良好に咬持動作する。
【0018】
そして,咬持部3aは図4(B)のB−B線断面図に示すように,コネクタ前方となるコネクタ本体1の内部方向に,折り曲げ角θを約45°として折り曲げ形成され,抜け止め具3全体は前方に窄み形成した略円錐形状となっている。
このように折り曲げることにより,抜け止め具3が径方向に弾性を有し咬持部3aも径方向に伸縮する作用と合わせて,ケーブルの挿入操作の際,咬持部3aは容易に拡径するので,挿入操作もスムーズに実施できるまた,挿入したケーブルに引っ張り応力が加わった場合,咬持部がケーブルに確実に食い込むので,抜け落ちることはない。
【0019】
係止体4は回転阻止手段として機能する。図2はその係止体4を示し,(A)は係止体の側面図,(B)は係止体の正面図である。図1に示すように,係止体4はスリーブ体6と同程度の長さを有する円筒状として形成されている。そして,スリット4aを設けて径を変更可能とし,バネ用ステンレスを用いて全体の径方向に弾性を有するように形成され,さらに周囲4箇所に係止刃4dが打ち抜き形成されている。
4bは係止刃4dを形成するために打ち抜かれた開口部であり,係止刃4dは,その開口部4bの1辺に,内側に折り曲げられて形成され,中心軸であるコネクタ中心軸に平行に帯状に形成されている。また,同軸ケーブル7に食い込む先端部は打ち抜く際に鋭角に形成され同軸ケーブル7の保護被覆7dに食い込み易くなっている。また,係止刃4dの突出量は,コネクタ本体1に組み付けた際にスリーブ体6との間の隙間が,挿入する同軸ケーブル7の保護被覆7dの厚みより所定量狭くなるように設定されている。なお,係止刃4dは1つだけであっても良い。
また,同軸ケーブル7挿入側となる後端部4eは拡開され,同軸ケーブル7を挿入し易くしている。
そして,係止体4前面の対向する2箇所には,環状連結部9に係止させるための突起4cを係止する凹部(図示せず)が設けられている。
【0020】
このように形成した係止体4は,環状連結部9組付け時に合わせて組みつけられ,係止体4の一端先端部がコネクタ本体1に係止して,コネクタ本体に連結される。そして,挿入した同軸ケーブル7の保護被覆7dに係止刃4dを食い込ませることができる。
また,係止体により,挿入した同軸ケーブルが回転するようなことがない。特に,スリーブ体を覆うように係止体を配置することで,同軸ケーブル挿入操作により,内部絶縁体と外部導体の間にスリーブ体が侵入し,保護被覆がスリーブ体周囲にせり上がって行くので,係止刃が確実に保護被覆に食い込む。したがって,確実に同軸ケーブルの回転を阻止できる。また,係止体は弾性を有するので,経年変化により同軸ケーブルの保護被覆が組成変化しても同軸ケーブルの回転阻止機能を維持できる。
【0021】
固定具5はコネクタ本体1に抜け止め具3を固定するためのである。なお,固定状態においても前記抜け止め具3が軸中心に回転できるようになっている。これは,前記説明したように抜け止め具3の咬持部3aの先端がケーブル7の保護被覆7eに食い込ませて咬持動作させている。また,ケーブルはその端部が係止体4でケーブルが回転するのを阻止するようになっているが,前記係止体の作用点の位置と前記抜け止め具の作用点の位置が異なるため,ケーブルの他端側を中心導体を中心に回転した際,抜け止め具の作用点においてわずかに回転することが考えられる。そこで,この回転に伴いケーブル7の前記保護被覆7eが切れてしまうのを防止するためである。このように,抜け止め具3を回転できるようにしているので,ケーブルの保護被覆の切れを防止できる。特に径の細いケーブルの場合や前記係止体の作用点の位置と前記抜け止め具の作用点の位置が離れている場合は効果が大きい。
【0022】
スリーブ体6は,コネクタ本体1に連結するための環状連結部9の背部に一体形成され,後方端部にかけて肉厚を徐々に薄くかつ先端を細く,円錐状に形成されている。ただし,貫通孔はコネクタ本体1の貫通孔と同一径に形成されている。こうすることで,ケーブル7の外部導体(アルミ箔)7cと外部導体7dの間に挿入し易くしている。
【0023】
次に,上記コネクタの組み立て及びケーブルへの装着手順を説明する。コネクタの組み立ては,まず,コネクタ本体1に係止体4を介してスリーブ体6を備えた環状連結部9が後方から圧入され連結され固着一体化される。この際,環状連結部9に係止させるための突起4cをスリーブに設けられた凹部に嵌合させておく。そして,筒状嵌合部8にナット体2を嵌合した後,嵌合部8の先端部8bを拡径させることによってナット体2は回転自在にコネクタ本体1に連結される。その後,抜け止め具3を挿入し,固定具5をコネクタ本体1に圧入することでコネクタは完成する。
【0024】
ケーブル7の装着操作は次のように実施される。最初に挿入するケーブル7の端部を図1に示すように加工する。ケーブル7の挿入は保護被覆7dがコネクタ本体1の前面背部(より詳しくは環状連結部9に当接する所定位置)まで行われる。こうすることで,スリーブ体6は外部導体(アルミ箔)7cと外部導体7dの間に挿入され,保護被覆がスリーブ体周囲にせり上がり,係止刃が確実に保護被覆に食い込む。これにより,ケーブルに回転応力が加わっても容易に回転することがなく良好な接続状況が維持できる。
ところで,ケーブルの外径寸法は製造メーカや種類により誤差(10%程度)があるがスリーブを使用することによりこの誤差を吸収できる。
【0025】
このように,コネクタを装着した同軸ケーブルは,抜け止め具の作用により引っ張り応力が加わっても抜けてしまうことがなく,堅牢な装着ができる。
また,抜け止め具は全体が径方向に弾性を有するのでケーブルの挿入をスムーズに実施できる。さらに,回転阻止手段を有しているので,ケーブルの回転応力が加わってもケーブルが容易に回転することなく作業者の不安を取り除き,その結果,作業能率が向上できる。さらに,経年変化により同軸ケーブルが塑性変形しても接触不良を起こすことなく耐久性が向上する。
【実施例2】
【0026】
次に本発明の第2の実施形態として図3を参照して説明する。尚,以下の説明では,上記第1の実施形態の同軸ケーブル用コネクタと同様の構成要素については同一符号を付与し,詳細な説明は省略する。
第1の実施形態の同軸ケーブル用コネクタに対して,第2の実施形態の同軸ケーブル用コネクタはスリーブ6を使用する代わりにケーブルの外径に対応する内径を持つ環状溝11を形成したコネクタ本体100を備えている。
また,第2の実施形態の同軸ケーブル用コネクタはケーブルの回転阻止手段の方法が異なっており,第1の実施形態では回転阻止手段として別部材の係止体4を使用したが,第2の実施形態では,コネクタ本体100の内側に形成した環状溝11の内側に,さらに帯状の突起10を形成している。対向する帯状突起10の先端における長さはケーブルの径より短くなっており,コネクタ本体100にケーブルを挿入することにより,帯状突起がケーブルの保護被覆7eに食い込み,ケーブルに回転応力が加わってもケーブルが容易に回転しなくなる。
なお,コネクタ本体100の径が小さくなることに伴い,抜け止め具および固定具の径もそれに対応する寸法に設定されている。具体的には抜け止め具30の係止部30b及び,固定具50の径がコネクタ本体100に対応する寸法になっている。尚,図5は抜け止め具30の(A)は正面図,(B)はC−C線端面図である。
【実施例3】
【0027】
次に本発明の第3の実施形態として図6を参照して説明する。尚,以下の説明では,上記第1の実施形態の同軸ケーブル用コネクタと同様の構成要素については同一符号を付与し,詳細な説明は省略する。
第1の実施形態の同軸ケーブル用コネクタに対して,第3の実施形態の同軸ケーブル用コネクタはスリーブ体60がコネクタ本体110の軸心方向に移動するようになっている。このように構成することにより,ケーブルを挿入する際,ケーブルの嵌合が容易になる。尚,61はスプリングバネである。バネ力により常時スリーブ体をコネクタ本体110の端部に移動させるようになっている。
また,第2の実施例と同様にコネクタ本体110の環状溝11が形成されており,その内側に帯状の突起10を形成している。そして,対向する帯状突起10の先端における長さはケーブルの径より短くなっており,コネクタ本体110にケーブルを挿入することにより,帯状突起がケーブルの保護被覆7eに食い込み,ケーブルに回転応力が加わってもケーブルが容易に回転しなくなる。
【0028】
尚,本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく,以下に例示するように,本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各部を適宜に変更して実施することも可能である。
たとえば,同軸ケーブルを接続する電子機器の接続手段として,その電子機器の筐体に一体的に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明を適用した同軸ケーブル用コネクタの第1の実施形態を示し,(A)は同軸ケーブル挿入前の一部断面で示した側面図,(B)は同軸ケーブル挿入後の一部断面で示した側面図である。
【図2】図1の係止体を示し,(A)は一部断面で示した側面図,(B)は正面図である。
【図3】同軸ケーブル用コネクタの第2の実施形態を示し,(A)は同軸ケーブル挿入前の一部断面で示した側面図,(B)は同軸ケーブル挿入後の一部断面で示した側面図,(C)はは正面図である。
【図4】図1の抜け止め具を示し,(A)は正面図,(B)はB−B線端面図である。
【図5】図3の抜け止め具を示し,(A)は正面図,(B)はC−C線端面図である。
【図6】同軸ケーブル用コネクタの第3の実施形態を示し,(A)は同軸ケーブル挿入前の一部断面で示した側面図,(B)は同軸ケーブル挿入途中の一部断面で示した側面図,(C)は同軸ケーブル挿入後の一部断面で示した側面図,(D)は正面図である。
【符号の説明】
【0030】
1…コネクタ本体,2…ナット体,3…抜け止め具,4…係止体(回転阻止手段),5…固定具,6…スリーブ体,7…同軸ケーブル,8…筒状嵌合部,9…環状連結部,10…帯状突起(回転阻止手段),11…環状溝,30…抜け止め具,50…固定具,60…スリーブ体,61…バネ,100…コネクタ本体,110…コネクタ本体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸ケーブルの端部に装着する挿着部を備えた同軸ケーブルコネクタであって、
該挿着部は、筒形状のコネクタ本体と、
抜け止め具と、該抜け止め具を前記コネクタ本体に固定する筒形状の固定具と、
挿入した同軸ケーブルの回転を阻止するための回転阻止手段を備えると共に,
前記コネクタ本体の他端部に枢着すると共に接続対象の外部導体に螺合するよう形成した接続筒とを具備し、
前記,抜け止め具はリング形状の枠体と、該枠体から枠体の中心へ向けて複数の爪部を突設し、前記コネクタ本体の中間部にコネクタ本体と同一中心軸を有するよう内設し、前記固定具を介して挿入された同軸ケーブルを前記回転阻止手段が回転を阻止しつつ前記抜け止め具が抜脱阻止することを特徴とする同軸ケーブルコネクタ。
【請求項2】
抜け止め具の爪部を、枠体から同軸ケーブルの挿入方向へ向けて突設すると共に、爪部の付け根の突設方向よりも爪部の先端の突設方向が枠体の内側へ向くように形成してなる請求項1記載の同軸ケーブルコネクタ。
【請求項3】
前記コネクタ本体内に,装着する同軸ケーブルの内部絶縁体と外部導体との間に挿入されるスリーブ体を備えさせたことを特徴とした請求項1または請求項2に記載の同軸ケーブルコネクタ。
【請求項4】
前記スリーブ体は前記同軸ケーブルの軸線方向に移動可能に備えられていることを特徴とした請求項3に記載の同軸ケーブルコネクタ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−32299(P2006−32299A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−213572(P2004−213572)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000113665)マスプロ電工株式会社 (395)