説明

吐出容器

【課題】使用後にノズル孔内に内容物が残存するのを抑制する。
【解決手段】吐出ポンプ13は、下端面に開口しノズル孔12に連通する連通孔13aが形成された押下ヘッド13cと、連通孔13aと連結して押下ヘッド13cの下方に向けて延設されたステム14と、このステム14の下方に配置されて容器本体11内に挿通された筒状のシリンダ16と、このシリンダ16内の下端開口部に着座および離反可能に設けられた弁体15と、シリンダ16内に上下摺動可能に設けられたピストン17と、シリンダ16の内部においてピストン17と弁体15との間に設けられ、ピストン17を上方に付勢する第1弾性部材18と、を備え、押下ヘッド13cとステム14との間に、押下ヘッド13cをステム14に対して上方に付勢する第2弾性部材37が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吐出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
吐出容器として、従来から、容器本体と、この容器本体の口部に取り付けられノズル孔から内容物を吐出する吐出ポンプとが備えられ、吐出ポンプは、下端面に開口し前記ノズル孔に連通する連通孔が形成された押下ヘッド(ノズルヘッド)と、前記連通孔と連結して押下ヘッドの下方に向けて延設されたステムと、このステムの下方に配置されて前記容器本体内に挿通された筒状のシリンダと、このシリンダ内の下端開口部に着座および離反可能に設けられた弁体と、シリンダ内に上下摺動可能に設けられたピストンと、シリンダの内部においてピストンと前記弁体との間に設けられ、前記ピストンを上方に付勢する弾性部材と、を備え、前記押下ヘッドを押し下げることによりステムを介して前記ピストンを押し下げ、容器本体内の内容物をノズル孔から吐出する構成が知られている。
この種の容器では、従来から、ノズル孔内に残存した内容物が垂れ落ちたり、残存した内容物が変質してしまうという問題があった。このような問題を解決するための手段として、例えば下記特許文献1に示されるような、使用後にノズル孔に残存した内容物を容器本体側に向けて吸引する構成が提案されている。
【特許文献1】特開2006−027654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の吐出容器では、押下ヘッド内に特殊な弁機構を配置していることから構造が複雑であり、組み立て工数が増加するという問題があった。
【0004】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、簡易な構造で、使用後にノズル孔内に内容物が残存するのを抑制できる吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の吐出容器は、容器本体と、この容器本体の口部に取り付けられノズル孔から内容物を吐出する吐出ポンプとが備えられ、吐出ポンプは、下端面に開口し前記ノズル孔に連通する連通孔が形成された押下ヘッドと、前記連通孔と連結して押下ヘッドの下方に向けて延設されたステムと、このステムの下方に配置されて前記容器本体内に挿通された筒状のシリンダと、このシリンダ内の下端開口部に着座および離反可能に設けられた弁体と、シリンダ内に上下摺動可能に設けられたピストンと、シリンダの内部においてピストンと前記弁体との間に設けられ、前記ピストンを上方に付勢する第1弾性部材と、を備え、前記押下ヘッドを押し下げることによりステムを介して前記ピストンを押し下げ、容器本体内の内容物をノズル孔から吐出する吐出容器であって、前記押下ヘッドとステムとの間には、押下ヘッドをステムに対して上方に付勢する第2弾性部材が設けられていることを特徴とする。
この発明では、前記第2弾性部材が設けられているので、内容物をノズル孔から吐出するのに押下ヘッドを押し下げた際、第1弾性部材のみならず第2弾性部材も圧縮変形することにより、押下ヘッドがステムに対して押し下げられることになる。したがって、押下ヘッドの押し下げを解除して第2弾性部材を復元変形させると、押下ヘッドがステムに対して押し上げられ、押下ヘッド内においてノズル孔に連なる内部空間の体積を、押下ヘッドの押し下げを解除したときに、この解除前と比べて増大させることが可能になり、この内部空間を負圧化することができる。これにより、押下ヘッドを押し下げた際に吐出されずノズル孔内に残存していた内容物を、この押し下げの解除と略同時に、前記負圧化によってノズル孔から前記内部空間内に吸引することが可能になり、使用後にノズル孔内に内容物が残存するのを抑えることができる。
【0006】
ここで、前記ノズル孔は、その先端開口部から前記連通孔に向かうに従い漸次流路断面積が小さくされてもよい。
この場合、ノズル孔の流路断面積が、その先端開口部から前記内部空間を構成する連通孔に向かうに従い漸次小さくされているので、前記負圧化によるノズル孔から前記内部空間内への残留内容物の吸引効率を高めることが可能になる。
【0007】
また、前記第2弾性部材は、第1弾性部材よりも上方付勢力が小さくされてもよい。
この場合、内容物をノズル孔から吐出するのに押下ヘッドを押し下げると、まず、第2弾性部材が圧縮変形し、その後、第1弾性部材が圧縮変形して内容物がノズル孔から吐出されることになる。これにより、内容物を吐出するためには、第2弾性部材を圧縮変形させなければならないので、押下ヘッドの押し下げを解除したときの前記吸引を確実に実現することが可能になる。
すなわち、これとは逆に、押下ヘッドを押し下げたときに、まず、第1弾性部材が圧縮変形して内容物がノズル孔から吐出され、その後、さらに押し下げたときに第2弾性部材が圧縮変形される構成では、使用者において、第1弾性部材が圧縮変形されて内容物が吐出された時点で押し下げるのを止めて、第2弾性部材を圧縮変形させるまでは押し下げないおそれがある。この場合、押し下げを解除する前後で前記内部空間の体積が変化しないので、前記の作用効果が奏効されることはない。
【0008】
さらに、前記吐出ポンプにおいて、前記シリンダは液用シリンダとされるとともに前記ピストンは液用ピストンとされ、さらに、前記吐出ポンプは、内部を空気用ピストンが摺動する空気用シリンダを備えるとともに、前記液用シリンダから送出された内容物と空気用シリンダから送出された空気とが合流する気液混合室と、この気液混合室の液入口に設けられた弁座に着座および離反可能な液吐出弁と、前記ノズル孔と気液混合室との間に設置された発泡部材と、を備え、前記押下ヘッドを押し下げることにより容器本体内の内容物と空気とを気液混合室で合流させた後に、発泡部材を通過させて内容物を発泡させノズル孔から泡の状態の内容物を吐出するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る吐出容器によれば、使用後にノズル孔内に内容物が残存するのを抑制して、このノズル孔からの液垂れを防止することができる。
また、ノズル孔内に残存する内容物の変質、固化という問題も抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。この実施形態に係る吐出容器10は、容器本体11と、この容器本体11の口部11aに取り付けられノズル孔12から内容物を吐出する吐出ポンプ13とを備えている。
吐出ポンプ13は、下端面に開口しノズル孔12に連通する連通孔13aが形成された押下ヘッド13cと、連通孔13a内から押下ヘッド13cの下方に向けて延設されたステム14と、このステム14の下方に配置されて容器本体11内に挿通された筒状の液用シリンダ(シリンダ)16と、この液用シリンダ16内の下端開口部に着座および離反可能に設けられた下部弁体(弁体)15と、液用シリンダ16内に上下摺動可能に設けられた液用ピストン(ピストン)17と、液用シリンダ16の内部において液用ピストン17と下部弁体15との間に設けられ、液用ピストン17を上方に付勢する第1コイルスプリング(第1弾性部材)18とを備えている。そして、押下ヘッド13cを押し下げることにより、ステム14を介して第1コイルスプリング18を圧縮変形させつつ液用ピストン17を押し下げ、容器本体11内の内容物をノズル孔12から吐出する概略構成とされている。
【0011】
さらに、図示の例では、吐出ポンプ13は、内部を空気用ピストン19が摺動する空気用シリンダ20を備えるとともに、液用シリンダ16から送出された内容物と空気用シリンダ20から送出された空気とが合流する気液混合室21と、気液混合室21の液入口に設けられた弁座21aに着座および離反可能な液吐出弁22と、ノズル孔12と気液混合室21との間に設置された発泡部材23とが備えられ、押下ヘッド13cを押し下げることにより容器本体11内の内容物と空気とを気液混合室21で合流させた後に、発泡部材23を通過させて内容物を発泡させ、連通孔13aを介してノズル孔12から泡の状態の内容物を吐出するいわゆるフォーマポンプとされている。なお、ノズル孔12から内容物を吐出する際、ノズル孔12の流路断面の全体に内容物が満たされる。また、ノズル孔12は、上下方向に延びる連通孔13aの上端部から径方向外方に延在している。
【0012】
以下、前述した各部材について詳細に説明する。
空気用シリンダ20は、液用シリンダ16よりも大径とされ、容器本体11の口部11aからこの容器本体11の内部、つまり下方に向けて延在している。そして、この空気用シリンダ20の底板部24から液用シリンダ16が同心状に下方に延び、さらに、液用シリンダ16の下端から接続筒25が下方に延びている。また、空気用シリンダ20の上部外周面にはフランジ部26が突設されている。
【0013】
そして、これらの空気用シリンダ20、液用シリンダ16および接続筒25は、口部11aの上面に配したパッキン27の上にフランジ部26が載置された状態で口部11aに装着筒28が螺着され、フランジ部26が口部11aの上面に向けて押し付けられることによって、容器本体11に取り付けられている。なお、接続筒25には吸い上げパイプ29が連結されており、この吸い上げパイプ29の下端開口部は容器本体11内の底部に配置されている。
【0014】
ここで、装着筒28の天板部28aの径方向中央部には中央筒部28bが垂設されており、押下ヘッド13cは、この中央筒部28bの内側に上下動可能に配置され、天板部28aから上方に突出している。また、装着筒28の天板部28aの外周縁部から略垂下した上周壁部28dの外周面に、オーバーキャップ30の開放端部と係合するキャップ係合部28cが形成されている。
【0015】
液用シリンダ16内の下端開口部に配置された下部弁体15の上面には、軸部31が連結され、この軸部31の上端部に逆円錐状の上部弁体32が設けられている。一方、液用シリンダ16内に上下動可能に設けられた液用ピストン17は、上下方向に延びる筒状体とされ、その内周面において上下方向中央部に弁筒部17aが設けられている。そして、この弁筒部17aの下面と下部弁体15の上面との間に、第1コイルスプリング18が、その内側に軸部31が挿入された状態で設けられ、この第1コイルスプリング18により液用ピストン17が下部弁体15に対して上方付勢されている。これにより、押下ヘッド13cを押し下げる前の待機状態において、液用ピストン17の弁筒部17aの内周面が、逆円錐状の上部弁体32の外周面に下方から押し付けられ、液用シリンダ16の内部と、液用ピストン17の内部において弁筒部17aよりも上方に位置する部分とを遮断している。
【0016】
なお、液用ピストン17の上部外周面にはフランジ部17bが突設され、押下ヘッド13cを押し下げたときに、このフランジ部17bの下面が、空気用シリンダ20の底板部24の内面において液用シリンダ16の上端開口周縁部に当接することにより、液用ピストン17の下降が規制されるようになっている。また、液用ピストン17の下端部外周面は下方に向けて漸次拡径されており、液用ピストン17が液用シリンダ16内で昇降移動したときに、この液用ピストン17が液用シリンダ16の内周面を液密に上下摺動するようになっている。
【0017】
そして、液用ピストン17の上部には筒状のピストンガイド33が連結されている。このピストンガイド33の上部の内側が前記気液混合室21とされ、ピストンガイド33の下部に液用ピストン17の上部が嵌合されている。また、ピストンガイド33の内周面における上下方向中央部には、平面視リング状の段部33aが設けられており、この段部33aの内周縁に前記弁座21aが立設されている。また、ピストンガイド33の下部は、段部33aから下方に延在した内筒部33bと、段部33aから下方に向かうに従い漸次拡径された拡径筒部33cとからなる2重構造とされ、これらの筒部33b、33c同士の間に液用ピストン17の上部が嵌合されている。さらに、拡径筒部33cの下端部外周面にはフランジ部33dが設けられており、このフランジ部33dの下面と、液用ピストン17のフランジ部17bの上面とが、押下ヘッド13cを押し下げるか否かにかかわらず当接している。
【0018】
空気用ピストン19は、空気用シリンダ20の内周面を上下方向に液密に摺動自在に設けられた摺動筒部34と、この摺動筒部34の天板部34aに形成された貫通孔内にこの天板部34aから上下方向に突出した状態で配置された内筒部35と、内筒部35の下部35bの外周面に嵌合された空気弁36とを備えている。この空気用ピストン19によって空気用シリンダ20の内部は上室と下室とに分断され、これらの上室および下室は空気弁36により連通および遮断可能とされている。
ここで、内筒部35は、摺動筒部34の天板部34aから上方に突出した上部35aと、天板部34aから下方に突出し、かつ上部35aより大径の下部35bと、これらの上部35aと下部35bとを連結する段部35cとを備えている。そして、内筒部35は、上部35aの内周面がピストンガイド33の外周面に沿い、かつ下部35bの内周面が拡径筒部33cの外周面に当接して設けられている。また、内筒部35の下部35bの下端は、ピストンガイド33のフランジ部33dの上面に当接している。
【0019】
ステム14の内周面における上下方向中央部には、平面視リング状の仕切り部14aが突設されており、この仕切り部14aよりも下方に位置する下部筒部14bの内側に、その上下方向の略全域にわたってピストンガイド33の上部が挿入されている。また、前記待機状態において、ステム14の下端部内周面と、ピストンガイド33の上部外周面との間に、内筒部35の上端部が挿入されており、この上端部の外周面は、その上端から上方に隙間を設けた状態で、ステム14の内周面に当接している。さらに、ステム14において、仕切り部14aよりも上方に位置する上部筒部14c内に発泡部材23が設けられている。そして、このステム14は、その下端部を除く全体が押下ヘッド13cの連通孔13a内に嵌合されている。
【0020】
以上の構成において、押下ヘッド13cを図3に示すように押し下げると、ステム14の下端が内筒部35の段部35cに当接することにより、この内筒部35は、摺動筒部34、空気弁36、ピストンガイド33および液用ピストン17とともに、第1コイルスプリング18を圧縮変形させながら下降することになる。この際、液用ピストン17の下降、および下部弁体15による液用シリンダ16の下端開口部の閉塞によりこの液用シリンダ16の内圧は上昇し、この上昇した内圧が弁座21aに着座している液吐出弁22に作用してこの液吐出弁22が弁座21aから離反することにより、液用シリンダ16内の内容物が気液混合室21内に流入する。
【0021】
一方、押下ヘッド13cの押し下げにより、この押下ヘッド13cの外周面と、装着筒28の中央筒部28bの内周面との間から、空気が空気用シリンダ20の上室に流入し、その後、この空気は内筒部35の外周面と摺動筒部34の前記貫通孔との間に設けられた隙間、および空気弁36と摺動筒部34の天板部34aの内面との間を通過して、空気用シリンダ20の下室に流入しつつ、空気用ピストン19が下降することにより、この下室内の空気が圧縮されてその内圧が上昇する。そして、この内圧の上昇によって、空気弁36が摺動筒部34の天板部34aの内面に密接し前記上室から下室への空気の流入が停止し、かつ内筒部35の下端と、ピストンガイド33のフランジ部33dとの間の隙間から、内筒部35の内周面とピストンガイド33の外周面との間の隙間を通して、前記下室内の空気が気液混合室21内に流入する。
以上より、気液混合室21内に容器本体11内の内容物と空気とを合流させ、その後、発泡部材23を通過させて内容物を発泡させた後に、この状態で連通孔13aを介してノズル孔12から吐出させるようになっている。
【0022】
そして、本実施形態では、押下ヘッド13cとステム14との間に、押下ヘッド13cをステム14に対して上方に付勢する第2コイルスプリング(第2弾性部材)37が設けられている。第2コイルスプリング37は、押下ヘッド13cの連通孔13aの内周面と、ステム14の外周面との間に設けられ、これら13a、14、37は同心状に配置されている。また、連通孔13aの下部内周面には、表面がその中心軸線方向、つまり上下方向に直交する方向に延びる第1段部13bが形成されるとともに、ステム14の下部外周面にも、表面が上下方向に直交する方向に延びる第2段部14dが形成されている。そして、これらの第1、第2段部13b、14dの各表面は、上下方向で互いに対向している。以上より、第2コイルスプリング37は、第1、第2段部13b、14dの各表面によって上下方向で挟まれて設けられている。
【0023】
さらに本実施形態では、第2コイルスプリング37は、第1コイルスプリング18よりも上方付勢力が小さくされている。なお、ノズル孔12は、その先端開口部12aから連通孔13aに向かうに従い漸次流路断面積が小さくなるように縮径されていても良い。
【0024】
以上説明したように本実施形態に係る吐出容器10によれば、第2コイルスプリング37が設けられているので、内容物をノズル孔12から吐出するのに押下ヘッド13cを押し下げた際、第1コイルスプリング18のみならず第2コイルスプリング37も圧縮変形することにより、押下ヘッド13cがステム14に対して押し下げられることになる。したがって、押下ヘッド13cの押し下げを解除して第2コイルスプリング37を復元変形させると、押下ヘッド13cがステム14に対して押し上げられ、押下ヘッド13c内においてノズル孔12に連なる内部空間の体積を、押下ヘッド13cの押し下げを解除したときに、この解除前と比べて増大させることが可能になり、この内部空間を負圧化することができる。これにより、押下ヘッド13cを押し下げた際に吐出されずノズル孔12内に残存していた内容物を、この押し下げの解除と略同時に、前記負圧化によってノズル孔12から前記内部空間内に吸引することが可能になり、使用後にノズル孔12内に内容物が残存するのを抑えることができる。
【0025】
また、ノズル孔12の流路断面積が、その先端開口部12aから内部空間を構成する連通孔13aに向かうに従い漸次小さくされている場合には、前記負圧化によるノズル孔12から前記内部空間内への残留内容物の吸引効率を高めることが可能になる。
【0026】
さらに、本実施形態では、第2コイルスプリング37の上方付勢力が、第1コイルスプリング18よりも小さいので、内容物をノズル孔12から吐出するのに押下ヘッド13cを押し下げると、まず、図2に示されるように、第2コイルスプリング37が圧縮変形し、その後、図3に示されるように、第1コイルスプリング18が圧縮変形して内容物がノズル孔12から吐出されることになる。これにより、内容物を吐出するためには、第2コイルスプリング37を圧縮変形させなければならないので、押下ヘッド13cの押し下げを解除したときの前記吸引を確実に実現することが可能になる。
【0027】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、ノズル孔12の流路断面積を、先端開口部12aから連通孔13aに向かうに従い漸次大きくしてもよいし、先端開口部12aから連通孔13aにわたった全域を同等にしてもよい。
また、前記実施形態では、第2コイルスプリング37の上方付勢力を、第1コイルスプリング18よりも小さくしたが、これに代えて、例えば、第1コイルスプリング18の上方付勢力を、第2コイルスプリング37よりも小さくしてもよいし、両コイルスプリング18、37の上方付勢力を同等にしてもよい。
さらに、発泡部材23を押下ヘッド13c内に配置し、押下ヘッド13cをステム14内に挿入するように構成してもよい。
【0028】
さらに、前記実施形態では、吐出容器10として、ノズル孔12から内容物を泡の状態にして吐出するいわゆるフォーマポンプを示したが、これに代えて、例えば、空気用ピストン19、空気用シリンダ20、気液混合室21、および発泡部材23等を有さず、内容物を泡立たせずに吐出する容器にも適用可能である。
また、前記実施形態では、第1、第2コイルスプリング18、37を示したが、これに代えて、例えば軟材質、および樹脂バネなどを押下ヘッド13cに一体成形や別体で設けても良いし、ゴム部材等を設けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
使用後にノズル孔内に内容物が残存するのを抑制してこのノズル孔からの内容物の垂れ落ちを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る一実施形態として示した吐出容器の待機状態を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す吐出容器において、押下ヘッドを押し下げて、第2コイルスプリングのみを圧縮変形させ、第1コイルスプリングは圧縮変形させていない状態を示す縦断面図である。
【図3】図1および図2に示す吐出容器において、押下ヘッドを押し下げて、第1、第2コイルスプリングの双方を圧縮変形させた状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0031】
10 吐出容器
11 容器本体
11a 口部
12 ノズル孔
12a 先端開口部
13 吐出ポンプ
13a 連通孔
13c 押下ヘッド
14 ステム
15 下部弁体(弁体)
16 液用シリンダ(シリンダ)
17 液用ピストン(ピストン)
18 第1コイルスプリング(第1弾性部材)
19 空気用ピストン
20 空気用シリンダ
21 気液混合室
21a 弁座
22 液吐出弁
23 発泡部材
37 第2コイルスプリング(第2弾性部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、この容器本体の口部に取り付けられノズル孔から内容物を吐出する吐出ポンプとが備えられ、
吐出ポンプは、下端面に開口し前記ノズル孔に連通する連通孔が形成された押下ヘッドと、
前記連通孔と連結して押下ヘッドの下方に向けて延設されたステムと、
このステムの下方に配置されて前記容器本体内に挿通された筒状のシリンダと、
このシリンダ内の下端開口部に着座および離反可能に設けられた弁体と、
シリンダ内に上下摺動可能に設けられたピストンと、
シリンダの内部においてピストンと前記弁体との間に設けられ、前記ピストンを上方に付勢する第1弾性部材と、を備え、
前記押下ヘッドを押し下げることによりステムを介して前記ピストンを押し下げ、容器本体内の内容物をノズル孔から吐出する吐出容器であって、
前記押下ヘッドとステムとの間には、押下ヘッドをステムに対して上方に付勢する第2弾性部材が設けられていることを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
請求項1記載の吐出容器であって、
前記ノズル孔は、その先端開口部から前記連通孔に向かうに従い漸次流路断面積が小さくされていることを特徴とする吐出容器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の吐出容器であって、
前記第2弾性部材は、第1弾性部材よりも上方付勢力が小さくされていることを特徴とする吐出容器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の吐出容器であって、
前記吐出ポンプにおいて、前記シリンダは液用シリンダとされるとともに前記ピストンは液用ピストンとされ、
さらに、前記吐出ポンプは、内部を空気用ピストンが摺動する空気用シリンダを備えるとともに、
前記液用シリンダから送出された内容物と空気用シリンダから送出された空気とが合流する気液混合室と、
この気液混合室の液入口に設けられた弁座に着座および離反可能な液吐出弁と、
前記ノズル孔と気液混合室との間に設置された発泡部材と、を備え、
前記押下ヘッドを押し下げることにより容器本体内の内容物と空気とを気液混合室で合流させた後に、発泡部材を通過させて内容物を発泡させノズル孔から泡の状態の内容物を吐出することを特徴とする吐出容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−320594(P2007−320594A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−151209(P2006−151209)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】