説明

吐出容器

【課題】押下ヘッドの外観形状や大きさを殆んど変えず、密封性を向上させ、使用の際に煩わしさがなく、確実に連通孔内の残留物の固化や液垂れを防止することを目的とする。
【解決手段】押下ヘッド30を押し下げることにより、容器本体2内の内容物が連通孔30b内に移送されてノズル30aから吐出される吐出容器1において、押下ヘッド30の上壁部30eに、孔30fを形成し、連通孔30bの内周面に、連通孔30b全周に亘って延在するリング状の弁座30cを形成し、連通孔30bの内側に、孔30f及び弁座30cの内周孔30dにそれぞれ挿通され上部が孔30fから押下ヘッド30の外部に突出された弁棒40と、弁棒40に設けられ弁座30cの下方に配置された弁体42と、弁棒40及び弁体42を上方へ付勢して弁体42を弁座30cに当接させる付勢材41と、を備えるバルブ4を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、容器本体の口部に吐出ポンプを取り付けた構成からなる吐出容器が提供されている。上記吐出ポンプには、ノズルを有する押下ヘッドが備えられており、また、この押下ヘッドには、ノズルに連通された連通孔が形成されている。このような吐出容器では、押下ヘッドを押し下げることで、容器本体内の内容物が連通孔を経由してノズルに送られてノズル先端から吐出される。
【0003】
上記した構成からなる吐出容器では、ノズル先端が開放されている。このため、一旦使用した後の不使用期間中、ノズルに連通された連通孔の内部が外気に晒され、連通孔に残留した内容物が固化するという問題が生じる。
【0004】
そこで、従来、押下ヘッドにレバー式のカバーを設ける技術が提案されている。この技術によれば、使用するときは、レバーを揺動させることでカバーが開けられてノズル先端が開放される。一方、前述の不使用期間中は、カバーが閉じられてノズル先端が閉塞される。このため、保管中、連通孔の内部が外気に晒されず、連通孔内における残留物の固化或いは液垂れを防止することができる。(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、従来、押下ヘッドに着脱式のカバーを設ける技術が提案されている。この技術によれば、使用するときは、カバーが外され、ノズル先端が開放される。そして、使用後、押下ヘッドにカバーを着けることで、ノズル先端が閉塞される。このため、前述の不使用期間中、連通孔の内部が外気に晒されず、連通孔内における残留物の固化や液垂れを防止することができる。(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平10−258866号公報
【特許文献2】特開2006−206135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記したレバー式のカバーを設ける従来技術では、押下ヘッドに被せるようにカバーが取り付けられるため、押下ヘッドの大きさが大きくなるという問題が生じるおそれがあった。
【0007】
また、上記した着脱式のカバーを設ける従来技術では、使用する度にカバーを脱着させなければならず、煩わしさがあるという問題がある。また、使用後に、カバーを着け忘れたり、カバーが正確に着いていなかったり、カバーを紛失したりする場合があり、この場合、連通孔内の残留物の固化や液垂れを防止することができない。
【0008】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、(1)押下ヘッドの外観形状や大きさを殆んど変えず、(2)密封性を向上させ、(3)使用の際に煩わしさがなく、(4)確実に連通孔内の残留物の固化や液垂れを防止することができる吐出容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る吐出容器は、内容物を収容する容器本体と、該容器本体の口部に取り付けられた吐出ポンプと、が備えられ、該吐出ポンプには、前記内容物を吐出するノズルを有する押下ヘッドが備えられ、該押下ヘッドには、該押下ヘッドの押し下げ方向に延在し前記ノズルに連通した連通孔が形成され、前記押下ヘッドを押し下げることにより、前記容器本体内の内容物が前記連通孔に移送されて前記ノズルから吐出される吐出容器において、前記押下ヘッドの上壁部には、孔が形成され、前記連通孔の内周面には、該連通孔全周に亘って延在するリング状の弁座が形成され、前記連通孔の内側には、前記孔及び前記弁座の内周孔にそれぞれ挿通され上部が前記孔から前記押下ヘッドの外部に突出された弁棒と、該弁棒に設けられ前記弁座の下方に配置された弁体と、前記弁棒及び前記弁体を上方へ付勢して前記弁体を前記弁座に当接させる付勢材と、を備えるバルブが設けられていることを特徴としている。
【0010】
このような特徴により、不使用時は、バルブが閉じられて連通孔が密封される。すなわち、付勢材の付勢力によって上方に押し上げられた弁体が弁座に当接され、弁座の内周孔が閉塞され、弁座よりも下方の連通孔の内部が密封される。一方、使用時には、押下ヘッドの上面から突出した弁棒の上部を指等で押し下げることでバルブが開けられる。すなわち、弁棒が押し下げられると、弁棒に設けられた弁体も下がり、弁体と弁座との間に隙間があいて弁座の内周孔が開放され、内容物が通る通路が出来る。続いて、弁棒の上部を押し下げた指等でそのまま押下ヘッドを押し下げると、容器本体内の内容物が連通孔内に移送される。そして、当該内容物は、上記した隙間(通路)を通って上方に送られ、ノズルから吐出される。また、押し下げていた指等を押下ヘッドから離すと、吐出ポンプが復元され、内容物の供給が止まる。また、指等を押下ヘッドから離すと、バルブが復元されて閉じられる。すなわち、弁棒及び弁体が付勢材により付勢されて上方へ押し上げられ、弁体が弁座に当接される。これにより、弁座の内周孔が閉塞され、弁座よりも下方の連通孔の内部は密封される。
【0011】
また、本発明に係る吐出容器は、前記押下ヘッドの上壁部に設けられ前記弁棒の上部を収容して密閉された可撓性を有するカバーが備えられていることが好ましい。
【0012】
これにより、使用時には、指等でカバーの上から弁棒の上部を押し下げることで、バルブが開けられる。このとき、可撓性を有するカバーは、柔らかく変形し易いため、指等で押圧されて変形する。また、押下ヘッドの上壁部の孔から内容物が漏れても、カバー内に溜まり外部に漏れ出ない。また、使用後に、押し下げていた指等をカバーから離すと、吐出ポンプ及びバルブが復元され、カバーも元の形状に復元される。
【0013】
また、本発明に係る吐出容器は、前記弁棒の上方に配置されたボタンと、前記押下ヘッドの上壁部に設けられ前記ボタンを前記押し下げ方向へ案内するボタンガイドと、が備えられていることが好ましい。
【0014】
これにより、指等でボタンを押し下げると、ボタンがボタンガイドに案内されて押下ヘッドの押し下げ方向に沿って下降する。下降したボタンは、弁棒の上端面に当接され、弁棒の上部を押し下げ方向に沿って下方に押圧する。これにより、弁棒が押し下げ方向に沿って押し下げられてバルブが開けられる。さらに、ボタンを押し下げると、ボタンは、押下ヘッドの上壁部に当接され、押下ヘッドを押し下げ方向に沿って下方に押圧する。これにより、押下ヘッドが押し下げ方向に沿って押し下げられ、内容物が連通孔内に移送されてノズルから吐出される。また、押し下げていた指等をボタンから離すと、吐出ポンプ及びバルブが復元されるとともに、付勢材による付勢力によってボタンも復元される。すなわち、付勢材によって弁棒が上方へ押し上げられると、この弁棒によってボタンが上方に押圧される。これにより、ボタンは、ボタンガイドに案内されて押し下げ方向に沿って上昇し、元の位置に戻る。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る吐出容器によれば、連通孔の内側にバルブを設けるため、押下ヘッドの外観形状や大きさを殆んど変えず製作することができる。また、付勢材によって弁体が弁座に押し付けられるため、連通孔内の密封性を向上させることができる。また、使用する際は、指等で弁棒の上部及び押下ヘッドを一度に押し下げるだけでよく、また、使用後は、指等を離すだけで、バルブが閉じられて連通孔が密閉されるので、使用の際に煩わしさが無く使い易く、また、バルブを閉め忘れたり正確に閉めなかったりバルブを紛失したりする問題がないため、連通孔内の残留物の固化や液垂れを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る吐出容器の第1〜第4の実施の形態について、図面に基いて説明する。なお、容器本体の口側(図1における上側)が上方であり、容器本体の底側(図1における下側)が下方である。また、図1に示す符号Oは、後述する押下ヘッド30の軸線(ヘッド軸)を示している。
【0017】
[第1の実施の形態]
本発明に係る吐出容器の第1の実施の形態について説明する。図1は第1の実施の形態における吐出容器1の破断図であり、図2は第1の実施の形態におけるスプリング栓4の斜視図であり、図3は第1の実施の形態における押下ヘッド30の断面図である。
【0018】
図1に示すように、吐出容器1は、液状の内容物を収容する容器本体2と、容器本体2の口部2aに取り付けられた吐出ポンプ3と、を備える構成からなる。
吐出ポンプ3には、内容物を吐出するノズル30aを有する押下ヘッド30が備えられている。
【0019】
押下ヘッド30は、ヘッド軸Oに沿って押し下げられる部材であり、容器本体2の口部2aに装着されたキャップ5にキャップ軸(ヘッド軸O)方向に往復動可能に取り付けられている。詳しく説明すると、キャップ5の上壁部5a中央に形成された筒部5bに押下ヘッド30の下部が挿装されており、押下ヘッド30はキャップ5の上壁部5aから上方に突出されている。
【0020】
押下ヘッド30には、ノズル30aに連通された連通孔30bが形成されている。この連通孔30bは、押下ヘッド30の押し下げ方向に延在されており、その下方側が開放されている。また、連通孔30bの内周面には、連通孔30bの全周に亘って延在するリング状の被係止フランジ30c(弁座)が形成されている。この被係止フランジ30cは、ノズル30aと後述するホルダー31(発泡部材39)との間の位置に配設されている。また、連通孔30bの内周面には、連通孔30bの軸方向(押下ヘッド30の押し下げ方向)に延在する溝30hが形成されている。この溝30hは、上記した被係止フランジ30cと後述するホルダー31との間の範囲に亘って延在されている。また、この溝30hは、連通孔30bの周方向に間隔を置いて複数形成されている。
【0021】
また、押下ヘッド30の上壁部30eには、連通孔30bに連通されたピン孔30f(孔)が形成されている。このピン孔30fは、ヘッド軸O上に形成されており、上記した被係止フランジ30cの内周孔30dと同一軸線上に形成されている。
【0022】
連通孔30bの内側には、図2に示すスプリング栓4(バルブ)が配置されている。図1、図2に示すように、スプリング栓4は、ピン40(弁棒)と、スプリング41(付勢材)と、係止フランジ42(弁体)とから構成されている。これらピン40とスプリング41と係止フランジ42とは、樹脂で一体成形されている。
【0023】
ピン40は、中空の円柱形状の部材であり、押下ヘッド30の押し下げ方向に延設されている。このピン40は、同一軸線上に形成されたピン孔30fと被係止フランジ30cの内周孔30dとにそれぞれ挿通されている。ピン40の上部はピン孔30fから押下ヘッド30の外部に突出され、ピン40の下部は被係止フランジ30cの内周孔30dから当該被係止フランジ30cの下方に突出されている。
【0024】
係止フランジ42は、ピン40の全周に亘って延在するリング状の鍔部である。この係止フランジ42は、ピン40の下端部の外周面に設けられており、被係止フランジ30cの下方に配設されている。また、リング状の係止フランジ42の外径は、被係止フランジ30cの内径(内周孔30dの直径)よりも大きい。
【0025】
スプリング41は、上記したピン40及び係止フランジ42を上方へ付勢するつる巻きバネ状の付勢材である。スプリング41は、係止フランジ42の下面から垂設されており、押下ヘッド30の押し下げ方向に延設され、ピン40及び係止フランジ42と同一軸線上に配設されている。また、スプリング41は、係止フランジ42の下面と後述する発泡部材39の上端面との間に介在されており、発泡部材39の上端面から反力をとる構成となっている。
【0026】
また、図1に示すように、吐出ポンプ3には、液シリンダ32Aと、液ピストン32B、弁部材33と、ステム34と、コイルスプリング35と、エアシリンダ36Aと、エアピストン36Bと、気液混合室37と、液吐出弁38と、発泡部材39と、ホルダー31と、が備えられている。
【0027】
液シリンダ32Aは、筒状の部材であり、容器本体2内に配置され、押下ヘッド30の押し下げ方向に延設されている。
液ピストン32Bは、押下ヘッド30の押し下げ方向に延在する筒状の部材であり、液シリンダ32Aの内部にヘッド軸Oに沿って往復動可能に配置されている。
弁部材33は、押下ヘッド30の押し下げ方向に延設されたロッド状の部材である。弁部材33の下端には、液シリンダ32Aの下端開口部に着座/離反可能な弁体33aが設けられ、弁部材33の上端には、液ピストン32Bの上端開口部に着座/離反可能な弁体33bが設けられている。
【0028】
ステム34は、押下ヘッド30の押し下げ方向に延在する筒状の部材である。ステム34の下部の内側には、液ピストン32Bが挿嵌されている。また、ステム34の上部は、押下ヘッド30の連通孔30b内に挿嵌されている。
コイルスプリング35は、押下ヘッド30の押し下げ方向に延設され、液ピストン32Bを上方に付勢する付勢部材である。コイルスプリング35は、液シリンダ32Aの内部において液ピストン32Bと弁部材33の下端の弁体33aとの間に介装されている。なお、コイルスプリング35の付勢力F1は、上記したスプリング栓4のスプリング41の付勢力F2よりも大きい。
【0029】
ホルダー31は、発泡部材39を保持する筒状の部材である。ホルダー31は、押下ヘッド30の連通孔30b内に挿嵌されており、連通孔30b内のスプリング栓4の下方に配置されている。ホルダー31の下部は、ステム34内に挿嵌されている。
発泡部材39は、筒部の端面にメッシュ材を張った構成からなる部材であり、ホルダー31内に保持されている。
気液混合室37は、ステム34の上部の内部に形成された室であり、ホルダー31に連通されている。
【0030】
エアシリンダ36Aは、押下ヘッド30の押し下げ方向に延在する筒状の部材であり、液シリンダ32Aの上方に設けられている。
エアピストン36Bは、エアシリンダ36Aの内部に摺動可能に配置されている。また、エアピストン36Bは、押下ヘッド30の下方に配置されており、押下ヘッド30が下降すると押下ヘッド30に押圧されて液シリンダ32A内で下降する構成となっている。
液吐出弁38は、気液混合室37内に配置された球状の部材である。液吐出弁38は、気液混合室37の液入口部37aに着座/離反可能に設けられている。
【0031】
次に、上記した構成からなる吐出容器1の作用について説明する。
【0032】
不使用時には、図3(a)に示すように、スプリング41が発泡部材39の上端面から反力をとって上方へ向けて付勢力F2が作用するため、ピン40及び係止フランジ42が上方に押し上げられる。これにより、係止フランジ42が、被係止フランジ30cに当接され、被係止フランジ30cの内周孔30dが閉塞され、当該被係止フランジ30cよりも下方の連通孔30b内は密閉されている。
【0033】
一方、使用時には、図3(b)に示すように、まず、押下ヘッド30のピン孔30fから突出したピン40の上部を指で押し下げる。ピン40が押し下げられると、ピン40に設けられた係止フランジ42は、ピン40とともに下降し、発泡部材39の上端面に支持されたスプリング41は、係止フランジ42を介して押圧されて軸方向に圧縮変形される。係止フランジ42が下降すると、係止フランジ42と被係止フランジ30cとの間に隙間があき、被係止フランジ30cの内周孔30dが開放される。これにより、内容物が通る通路ができる。なお、コイルスプリング35の付勢力F1はスプリング栓4のスプリング41の付勢力F2よりも大きいため、この段階では、コイルスプリング35は圧縮変形せず、ステム34及び液ピストン32Bは下降しない。したがって、容器本体2内の内容物は連通孔30b内に移送されない。
【0034】
続いて、ピン40を押し下げた指でそのまま押下ヘッド30の上壁部30eを押圧して、押下ヘッド30を押し下げる。押下ヘッド30が押し下げられると、ステム34及び液ピストン32Bを介してコイルスプリング35が圧縮変形されつつステム34及び液ピストン32Bが下降される。これによって、容器本体2内の内容物がステム34内を通って気液混合室37内に送られる。また、押下ヘッド30が押し下げられると、押下ヘッド30に押圧されてエアピストン36Bがエアシリンダ36A内で下降する。エアピストン36Bが下降すると、エアシリンダ36A内の空気が押し出されて気液混合室37内に供給される。
【0035】
上記したように押下ヘッド30が押し下げられると、気液混合室37内に内容物及び空気がそれぞれ供給され、これら内容物と空気とは気液混合室37内において混合される。その後、空気が混合された内容物は、ホルダー31内に送られ、ホルダー31内の発泡部材39を通過することで発泡される。発泡された内容物は、押下ヘッド30の連通孔30b内に入り、連通孔30b内周面の溝30hから被係止フランジ30cの内周孔30dを通って当該被係止フランジ30cの上方に送られ、連通孔30bからノズル30aに送られて、ノズル30aから吐出される。
【0036】
また、使用後に、指を押下ヘッド30から離すと、図3(a)に示すように、コイルスプリング35の付勢力F1により、液ピストン32Bが上方に付勢され、ステム34及び押下ヘッド30が上昇する。これにより、容器本体2内の内容物の移送が停止される。このとき、連通孔30b内の内容物は下方に流れ落ちてステム34側に戻される。また、指等を押下ヘッド30から離すと、スプリング栓4のピン40及び係止フランジ42がスプリング41により付勢されて上方へ押し上げられ、係止フランジ42が被係止フランジ30cに当接される。これにより被係止フランジ30cの内周孔30dが閉塞され、当該被係止フランジ30cよりも下方の連通孔30bの内部が密封される。
【0037】
上記した構成からなる吐出容器1によれば、連通孔30bの内側にスプリング栓4を設置するだけであるため、押下ヘッド30の外観形状や大きさを殆んど変えずに製作することができる。
また、スプリング栓4のスプリング41によって係止フランジ42が被係止フランジ30cに押し付けられるため、連通孔30b内の密封性を向上させることができる。
【0038】
また、使用する際は、指でピン40の上部及び押下ヘッド30を一度に押し下げるだけでよく、カバーを外したり揺動させたりする煩わしさが無く、使い易い。また、使用後も、押下ヘッド30から指を離すだけで、スプリング栓4が閉じられて連通孔30bが密閉されるので、カバーを着ける煩わしさが無く、また、スプリング栓4を閉め忘れたり正確に閉めなかったりスプリング栓4を紛失したりする問題がないため、確実に連通孔30b内を密閉することができ、連通孔30b内における残留物の固化や液垂れを確実に防止することができる。
【0039】
[第2の実施の形態]
本発明に係る吐出容器の第2の実施の形態について説明する。なお、上述した第1の実施の形態と同様の構成については説明を省略する。図4は第2の実施の形態における押下ヘッド30の断面図である。
【0040】
図4(a)、図4(b)に示すように、第2の実施の形態における吐出容器101では、押下ヘッド30の上壁部30eにカバー106が設けられている。このカバー106は、内部にピン140の上端を収容するドーム状の部材である。カバー106の外周部は、押下ヘッド30の上壁部30eに突設された被係止部30iに係止される押さえ部材107により押下ヘッド30の上壁部30eに固定されており、カバー106の内部は密閉されている。また、カバー106は、可撓性を有する部材であり、例えばゴムや樹脂などからなる。
【0041】
また、第2の実施の形態における吐出容器101では、押下ヘッド30の上壁部30eに押下ヘッド30の押し下げ方向に延在する筒状のピン孔30f1が設けられており、このピン孔30f1の中にスプリング栓104のピン140が挿通されている。
【0042】
また、スプリング栓104は、ピン140と、スプリング141と、係止フランジ142と、ガイド筒143とから構成されている。ピン140と係止フランジ142とガイド筒143とは一体に成形されており、スプリング141だけが別部品になっている。ガイド筒143は、ピン140及び係止フランジ142の昇降を案内するガイド部材であり、係止フランジ142の下面から垂設され、ヘッド軸Oに沿って延設されている。スプリング141は、係止フランジ142の下面とホルダー31の上端面との間に介在されており、スプリング141の中にガイド筒143が配置されている。
【0043】
上記した構成の吐出容器101では、使用時に、指でカバー106の上からピン140の上部を押し下げることで、スプリング栓104が開けられる。このとき、可撓性を有するカバー106は、柔らかく変形し易いため、指で押圧されて変形する。また、ピン140の上部を下方に押圧したとき、ピン140、係止フランジ142及びガイド筒143からなる部材が、筒状のピン孔30f1及びガイド筒143に案内されてヘッド軸Oに沿って真直ぐ下降する。さらに、ピン孔30f1から内容物が漏れても、カバー106内に溜まり外部に漏れ出ない。一方、使用後に、指をカバー106から離すと、吐出ポンプ3及びスプリング栓104が復元される。このとき、カバー106も元の形状に復元される。
【0044】
上記した構成からなる吐出容器101によれば、ピン孔30f1から内容物が漏れてもカバー106の外部に漏れ出すことがないため、漏出した内容物が押下ヘッド30を押す指に付着することがなく、指が内容物で汚れることを防止することができる。
【0045】
また、上記した構成からなる吐出容器101によれば、筒状のピン孔30f1とガイド筒143によってピン140、係止フランジ142及びガイド筒143からなる部材がヘッド軸Oに沿って真直ぐ下降するため、操作性を向上させることができる。なお、筒状のピン孔30f1及びガイド筒143のうちの何れか一方だけでも操作性を向上させることができる。
【0046】
[第3の実施の形態]
本発明に係る吐出容器の第3の実施の形態について説明する。なお、上述した第1、第2の実施の形態と同様の構成については説明を省略する。図5は第3の実施の形態における押下ヘッド30の断面図である。
【0047】
図5(a)、図5(b)に示すように、第3の実施の形態における吐出容器201では、ピン40の上部及びカバー106の上方にボタン208が配置されているとともに、押下ヘッド30の上壁部30eにボタンガイド209が設けられている。
【0048】
ボタン208は、上壁部208aと、上壁部208aの下面中央に垂設された円柱形状の押圧部208bと、上壁部208aの外周縁に垂設された円筒形状の側壁部208cと、側壁部208cの外側に突出され側壁部208cの下端部全周に亘って形成された鍔状の係止部208dとから構成されている。押圧部208bは、ピン40と同一軸線上に配設されている。
【0049】
ボタンガイド209は、ボタン208を押下ヘッド30の押し下げ方向に案内するための部材であり、押下ヘッド30の上壁部30eに突設され押下ヘッド30の押し下げ方向に延設された円筒形状の側壁部209aと、側壁部209aの内側に突出され側壁部209aの上端部全周に亘って形成されたリング状の被係止部209bとから構成されている。
【0050】
上記した構成の吐出容器201では、使用時に、ボタン208の上壁部208aの上面を指で押圧すると、ボタン208は、ボタンガイド209の側壁部209aに沿って下降し、押下ヘッド30の押し下げ方向に真直ぐ押し下げられる。そして、押圧部208bの下端面がカバー106を介してピン40の上端面に当接され、ピン40は押下ヘッド30の押し下げ方向に真直ぐ押圧される。これにより、ピン40が押し下げられ、スプリング栓4が開けられる。
【0051】
続いて、ボタン208を更に押し下げると、ボタン208の係止部208dが押下ヘッド30の被係止部30iに当接され、押下ヘッド30はヘッド軸Oに沿って真直ぐ下方に押圧される。これにより、押下ヘッド30が押し下げられ、内容物が連通孔30b内に移送されてノズル30bから吐出される。
【0052】
また、指をボタン208から離すと、吐出ポンプ3及びスプリング栓4が復元される。このとき、スプリング41によって上方へ押し上げられたピン40がボタン208の押圧部208bを押圧する。これにより、ボタン208は、ボタンガイド209の側壁部209aに沿って上昇し、押下ヘッド30の押し下げ方向に真直ぐ押し上げられ、押し下げ前の元の位置に戻る。
【0053】
上記した構成からなる吐出容器201によれば、ボタン208がボタンガイド209によって押下ヘッド30の押し下げ方向に案内されるため、ピン40を押下ヘッド30の押し下げ方向に沿って真直ぐ押し下げることができ、操作性を向上させることができる。
【0054】
[第4の実施の形態]
本発明に係る吐出容器の第4の実施の形態について説明する。なお、上述した第1、第2、第3の実施の形態と同様の構成については説明を省略する。図6は第4の実施の形態における押下ヘッド30の断面図である。
【0055】
図6(a)、図6(b)に示すように、第4の実施の形態における吐出容器301では、スプリング栓304のスプリング341が押下ヘッド30の外部に配設されている。詳しく説明すると、スプリング栓304は、天板部343と、天板部343の下面中央に垂設されたピン340と、ピン340の下端に設けられた拡径部342(弁体)と、天板部343の下面と押下ヘッド30の上壁部30eの上面との間に介在された押下ヘッド30の押し下げ方向に延在するスプリング341とから構成されている。ピン340と拡径部342と天板部343とは一体に成形されており、スプリング341だけが別部品となっている。拡径部342の径は、被係止フランジ30cの内径よりも大きく、また、拡径部342は、被係止フランジ30cの下方に配置されている。
【0056】
上記した構成の吐出容器301では、不使用時に、図6(a)に示すように、スプリング341が押下ヘッド30の上壁部30eから反力をとって、ピン340、拡径部342及び天板部343を上方に付勢する。これにより、拡径部342が、被係止フランジ30cに当接され、被係止フランジ30cの内周孔30dが閉塞される。
一方、使用時には、図6(b)に示すように、カバー106の上から天板部343を指で押圧することでピン340を押し下げる。これにより、ピン340とともに拡径部342が下降し、被係止フランジ30cの内周孔30dが開放される。
【0057】
上記した構成からなる吐出容器301によれば、スプリング341によってピン340がヘッド軸Oに案内されているため、操作性を向上させることができる。
また、連通孔30b内にスプリング341が配置されていないため、連通孔30b内において内容物が流れ易くなり、ノズル30aから十分な量の内容物を確実に吐出させることができる。
【0058】
以上、本発明に係る吐出容器の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記した第1〜第4の実施の形態では、スプリング栓4、104、304の付勢材として、コイルバネ状のスプリング41、141、341が用いられているが、本発明は、他の付勢材を用いることも可能である。
【0059】
例えば、図7に示すように、鉛直面に沿って配置された楕円リング状の弾性体443を有する付勢材441を用いることができる。この付勢材441の下端部には、ホルダー31の上端面に当接されて反力をとるベース444が設けられており、ピン40とベース444との間に楕円リング状の弾性体443が配置されている。この付勢材441によれば、指でピン40を押し下げると、楕円リング状の弾性体443が、図7(a)に示す状態から図7(b)に示す潰れた状態に変形する。一方、ピン40から指を離すと、楕円リング状の弾性体443は、その弾性力により図7(b)に示す潰れた状態から図7(a)に示す元の状態に戻る。これにより、ピン40及び係止フランジ42が上昇する。
【0060】
また、図8、図9に示すように、係止フランジ42の外側に配置された筒状体544と、この筒状体544と上記係止フランジ42との間に架設された複数の弾性体543とからなる付勢材541を用いることもできる。上記筒状体544は、被係止フランジ30cの下面に固定されている。この付勢材541によれば、指でピン40を押し下げると、複数の弾性体543が弾性変形する。一方、ピン40から指を離すと、弾性体543が、元の状態に戻る。これにより、ピン40及び係止フランジ42が上昇する。
【0061】
また、上記した実施の形態では、エアシリンダ36A、エアピストン36B、気液混合室37、液吐出弁38、発泡部材39及びホルダー31が備えられ、容器本体2内の内容物を発泡させた状態で吐出させるフォーマーポンプの例を説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、エアシリンダ36A、エアピストン36B、気液混合室37、液吐出弁38、発泡部材39及びホルダー31が無く、容器本体2内の内容物をそのままの状態で吐出させる吐出容器であってもよい。
【0062】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施の形態を説明するための吐出容器の破断図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を説明するためのバルブの斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を説明するための押下ヘッドの断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を説明するための押下ヘッドの断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態を説明するための押下ヘッドの断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態を説明するための押下ヘッドの断面図である。
【図7】本発明の他の実施の形態を説明するための押下ヘッドの断面図である。
【図8】本発明の他の実施の形態を説明するための押下ヘッドの断面図である。
【図9】本発明の他の実施の形態を説明するためのバルブの斜視図である。
【符号の説明】
【0064】
1、101、201、301 吐出容器
2 容器本体
2a 口部
3 吐出ポンプ
30 押下ヘッド
30a ノズル
30b 連通孔
30c 被係止フランジ(弁座)
30d 内周孔
30e 上壁部
30f、30f1 ピン孔(孔)
4、104、304 スプリング栓(バルブ)
40、140、340 ピン(弁棒)
41、141、341 スプリング(付勢材)
42、142 係止フランジ(弁体)
106 カバー
208 ボタン
209 ボタンガイド
342 拡径部(弁体)
441、541 付勢材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する容器本体と、該容器本体の口部に取り付けられた吐出ポンプと、が備えられ、
該吐出ポンプには、前記内容物を吐出するノズルを有する押下ヘッドが備えられ、
該押下ヘッドには、該押下ヘッドの押し下げ方向に延在し前記ノズルに連通した連通孔が形成され、
前記押下ヘッドを押し下げることにより、前記容器本体内の内容物が前記連通孔に移送されて前記ノズルから吐出される吐出容器において、
前記押下ヘッドの上壁部には、孔が形成され、
前記連通孔の内周面には、該連通孔全周に亘って延在するリング状の弁座が形成され、
前記連通孔の内側には、前記孔及び前記弁座の内周孔にそれぞれ挿通され上部が前記孔から前記押下ヘッドの外部に突出された弁棒と、該弁棒に設けられ前記弁座の下方に配置された弁体と、前記弁棒及び前記弁体を上方へ付勢して前記弁体を前記弁座に当接させる付勢材と、を備えるバルブが設けられていることを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
請求項1記載の吐出容器において、
前記押下ヘッドの上壁部に設けられ前記弁棒の上部を収容して密閉された可撓性を有するカバーが備えられていることを特徴とする吐出容器。
【請求項3】
請求項1または2記載の吐出容器において、
前記弁棒の上方に配置されたボタンと、前記押下ヘッドの上壁部に設けられ前記ボタンを前記押し下げ方向へ案内するボタンガイドと、が備えられていることを特徴とする吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−213849(P2008−213849A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−50183(P2007−50183)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】