説明

吸入作動衝撃点火システム

吸入作動衝撃点火システムが開示される。システムは空気路を画成するハウジングと、空気路に結合された空気流感知アクチュエータと、患者がマウスピースを通して吸入することにより発生する空気路の空気流によって衝撃イグナイタを作動するように構成された、空気流感知アクチュエータに結合された機構とを備える。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
[001]本発明は、吸入により作動可能な衝撃点火システム、衝撃作動加熱要素、および吸入作動衝撃点火システムを使用して加熱要素を作動することに関する。
【発明の背景】
【0002】
[002]肺送達は、病気および疾患の治療のために患者に生理学的活性化合物を投与する有効な方法として既知である。肺送達のために開発されたデバイスは患者により吸入される生理学的活性化合物のエアロゾルを生成し、この活性化合物は、患者の気道内の症状の治療および/または患者の体循環に入るために使用される。生理学的活性化合物のエアロゾルを生成するデバイスは噴霧器、加圧定量吸入器および乾燥粉末吸入器を含む。噴霧器は液剤溶液の微粒化に基づき、加圧定量吸入器および乾燥粉末吸入器は空気流中の乾燥粉末の浮遊および分散に基づいている。
【0003】
[003]生理学的活性化合物の吸入のためのエアロゾルはまた、物質を気化することにより空気流中に活性化合物を含む凝結エアロゾルを形成することによって、生成できる。凝結エアロゾルは、気相物質が濃縮または反応して微粒子を形成するときに生成される。気化方法を用いて凝結エアロゾルを生成するデバイスおよび方法の例は、2004年6月3日に出願された米国特許第10/861,554号の発明の名称「Multiple Dose Condensation Aerosol Devices and Methods of Forming Condensation Aerosols(凝結エアロゾルを形成する多回投与凝結エアロゾルデバイスおよび方法)」および2004年5月20日に出願された米国特許第10/850,895号の発明の名称「Self−Contained Heating Unit and Drug−Supply Unit Employing Same(内臓加熱ユニットおよびこの加熱ユニットを用いる薬剤供給ユニット)」に開示されており、これら特許出願の全内容は参照として本明細書に組み入れられる。
【0004】
[004]薬剤を含む凝結エアロゾルの効率的な生成は、薬剤を急速に気化することによって、薬剤の劣化を最小にすることで促進される。気化された薬剤は凝結させて、高収率および高純度により特徴付けられるエアロゾルを生成することができる。医療用具における使用に対しては、薬剤を気化するための熱源は小型で、高速熱インパルスを生成できることが有用である。化学ベースの加熱ユニットには、エンクロージャ内で発熱金属酸化還元反応を受ける燃料を含むことができ、これらは、例えば、2004年5月20日に出願された米国特許第10/850,895号の発明の名称「Self−Contained Heating Unit and Drug−Supply Unit Employing Same(内臓加熱ユニットおよびこの加熱ユニットを用いる薬剤供給ユニット)」に開示されており、この特許出願の全内容は参照として本明細書に組み入れられる。
【0005】
[005]燃料を点火して自立酸化還元反応を発生させる。燃料の一部が点火されると、酸化還元反応により生じる熱は、燃料のすべてが化学反応プロセスで消費されるまで近傍の未燃焼燃料を点火できる。発熱酸化還元反応は燃料の少なくとも一部にエネルギーを供給することにより開始できる。燃料によりまたは固体燃料と接触する要素により吸収されるエネルギーは熱に変換される。燃料は作用物質の自己点火温度(例えば、燃焼源または燃焼炎の存在しないときに自立燃焼を開始または発生するために必要な最低温度)より高い温度に加熱されると、酸化還元反応は燃料が消費されるまで、自立反応において固体燃料の点火を開始する。
【0006】
[006]米国特許第10/850,895号の発明の名称「Self−Contained Heating Unit and Drug−Supply Unit Employing Same(内臓加熱ユニットおよびこの加熱ユニットを用いる薬剤供給ユニット)」に開示されているとおり、金属還元剤および金属含有酸化剤を含む固体燃料の自己点火温度は400℃〜500℃の範囲にある。このような高い自己点火温度は、多くの使用状態において(例えば、携帯用医療装置など)燃料の安全な処理および安全な使用を容易にし、同じ理由から、このような高い温度を達成するために、大量のエネルギーを燃料に供給して自立反応を開始する必要がある。
【0007】
[007]当分野で既知のとおり、例えば、花火産業では、火花を利用して燃料組成物を安全および効率的に点火することができる。火花とは誘電性媒体の絶縁破壊または燃焼粒子の放出を指す。第1の意味では、絶縁破壊は、例えば、電圧が印加される間隔を空けた電極間に発生する。火花はまた強力な電磁界中の化合物のイオン化により発生する。燃焼粒子の例は、摩擦により発生されるものおよび断続電流により発生される破壊火花を含む。燃料に十分なエネルギーの火花を投射することにより、自立酸化−還元反応を開始させることができる
【0008】
[008]電気抵抗加熱を利用して金属酸化/還元燃料を点火できる火花発生組成物を点火するための小型開始剤組成物およびイグナイタは、密閉システムに適する少量の気体を生成し、医療、食物および他のこのようなデバイスにおける用途に関して米国運輸省により分類される爆発物を含まず、例えば、米国特許出願第10/851,018号の発明の名称「Stable Initiator Compositions and Igniters(安定した開始剤組成物およびイグナイタ)」に開示されており、この米国特許出願の全内容は参照として本明細書に組み入れられる。バッテリーはこのようなデバイスに使用される電気抵抗加熱器に電力を提供するために使用される。バッテリーは高価でかさばり、また廃棄問題を生じる可能性がある。
【0009】
[009]衝撃機構は開始剤組成物を点火するためにも使用できる。例えば、衝撃点火システムは、例えば、米国特許3,724,991号に開示されているとおり、写真産業で使用される。閃光電球は、ジルコニウム、アルミニウムまたはハフニウムなどの光発生可燃物と共に酸素などの燃焼支援気体を含む密閉された光透過性エンベロープを含む。衝撃点火閃光電球においては、衝撃感知開始剤材料の装填物は、容易に変形可能な金属点火管内に配置され、燃料を含むエンベロープを形成するある一定長さのガラス管内に密閉され、そのガラス管の一端から突き出る。開始剤組成物は点火管内に支持されるワイヤアンビル上に被覆されるか、または変形可能な管内に堆積される。開始剤組成物は管を変形するのに十分である、管への機械的な衝撃により点火される。開始剤組成物への圧縮力により開始剤組成物の急激な燃焼が発生する。燃焼する開始剤組成物により生じる火花が管を通り推進して、エンベロープ内の燃料を点火する。
【0010】
[010]長年にわたる写真産業での使用において、衝撃点火システムは小型で、安全で高信頼性で、大量生産に適していることが示されている。携帯用医療装置、特に、エアロゾル吸入医療デバイスにおいて使用する衝撃点火システムは、2004年5月20日に出願された米国特許出願第10/851,883号の発明の名称「Percussively Ignited or Electrically Ignited Self−Contained Heating Unit and Drug Supply Unit Employing Same(衝撃点火または電気点火される内臓加熱ユニットおよびこのユニットを用いる薬剤供給ユニット)」に開示されており、この特許出願の全内容は参照として本明細書に組み入れられる。しかし、単一のエンクロージャ内のイグナイタおよび/またはイグナイタアンビルおよび燃料の含有物に機械的衝撃を与えるために、吸入作動を利用するこのようなシステムは、これまで開示されていない。金属/酸化還元反応が高温の熱インパルスを提供する、薬剤薄膜を急速に気化することで高純度の薬剤エアロゾルを生成できる携帯用医療装置の出現により、吸入によって作動できる衝撃点火システムの必要性が存在する。
【発明の概要】
【0011】
[011]本発明の特定の態様は、吸入作動衝撃点火システムを提供する。このシステムは、空気路を画成するハウジング(ハウジングは、少なくとも1つの空気吸入口と少なくとも1つの空気排出口を有するマウスピースとを備える)と、空気路に結合された空気流感知アクチュエータと、衝撃イグナイタを作動するように構成された空気流感知アクチュエータに結合された機構とを備え、衝撃イグナイタはマウスピースを通した吸入により発生した空気路内の空気流により作動される。
【0012】
[012]本発明の第2の態様は衝撃イグナイタを作動する方法を提供する。この方法は、マウスピースを通して吸入することにより空気路内に空気流を生成し、かつ空気流感知アクチュエータを作動する、吸入作動衝撃点火システムを提供するステップを含む。
【0013】
[013]本発明の第3の態様は、吸入により衝撃作動される加熱要素を提供する。この加熱要素は、機械的衝撃により変形される領域を備えるエンクロージャと、エンクロージャ内に配置されたアンビルと、エンクロージャ内に配置された衝撃開始剤組成物(開始剤組成物は、エンクロージャの変形可能な領域が変形されると点火されるように構成されている)と、開始剤組成物により点火されるように構成されたエンクロージャ内に配置された燃料とを備える。
【0014】
[014]本発明の第4の態様は、吸入作動加熱熱システムを提供する。このシステムは、空気路を画成するハウジング(ハウジングは、少なくとも1つの空気吸入口と少なくとも1つの空気排出口を有するマウスピースとを備える)と、空気路に結合された空気流感知アクチュエータと、衝撃イグナイタを作動するように構成された空気流感知アクチュエータに結合された機構と、燃料を含む加熱要素とを備え、燃料は衝撃イグナイタにより点火されるように構成され、衝撃イグナイタはマウスピースを通す吸入により発生する空気路内の空気流により作動される。
【0015】
[015]本発明の第5の態様は、衝撃作動ヒートパッケージを作動する方法を提供する。この方法は、空気流を発生するために吸入するステップと、空気流に結合された空気流感知アクチュエータを作動するステップと、空気流感知アクチュエータに結合された衝撃イグナイタを作動するステップと、燃料を点火して熱を発生させるステップとを備える。
【0016】
[016]本発明の第6の態様は吸入作動式衝撃作動加熱要素を用いて物質の凝結エアロゾルを生成する方法を提供する。
【0017】
[017]上述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、単に例示および説明のためのものであり、特許請求項に定義されるとおり、ある特定の実施形態に限定するものではないことは理解されるべきである。
【様々な実施形態の説明】
【0018】
[024]次に、本発明の実施形態を詳細に参照する。本発明の特定の実施形態が開示されるが、本発明の実施形態をこれらの記載された実施形態に限定することを意図するものではないことは理解される。これと反対に、本発明の実施形態の参照は、添付の特許請求の範囲に定義されるとおり、代替形態、変更形態および均等も、本発明の実施形態の精神および範囲内に含まれるものとする。
【0019】
[025]特に指定しない限り、明細書および特許請求の範囲で使用される量および状態などを表すすべての数は、すべての場合に、用語の「約」により修正されると理解されるべきである。
【0020】
[026]本出願においては、単数形の使用は特に指定しない限り複数形を含む。本出願では「または」の使用は特に指定しない限り「および/または」を意味する。さらに、用語の「〜を含んでいる」ならびに、「含む」および「含まれる」といった他の活用形の使用は限定的ではない。また、「要素」または「構成要素」などの用語は、特に指定しない限り、1つのユニットを備える要素および構成要素と、2つ以上のサブユニットを備える要素および構成要素の両方を範囲に含む。
【0021】
[027]衝撃イグナイタは変形可能な部分と、変形可能部分に隣接して配置されるアンビルと、アンビルと変形可能部分の間に配置される開始剤組成物とを備える。いくつかの実施形態においては、衝撃イグナイタ内のアンビルは必要とされない。開始剤組成物は、変形可能部分とアンビルとの間の開始剤組成物を圧縮するには十分な機械的衝撃または力により作動される。衝撃イグナイタの例は図1に示されている。図1は、変形可能なエンクロージャ14内に同軸に配置された、アンビル12を備える衝撃イグナイタ10を示している。アンビル12の外側部分は内部化合物により被覆されている。アンビル12は、エンクロージャ14の内側面に近接するが接触しないように開始剤組成物16を維持する、凹部18により所定の位置に保持される。開始剤組成物16に隣接する、領域20として識別される領域において、エンクロージャ14の外壁に印加される十分な機械的衝撃または力によって、領域20は変形し、開始剤組成物16をアンビル12に押し付ける。この圧縮力が開始剤組成物16を点火し、急激に燃焼し火花を放出する。次に、火花を利用して燃料(図示せず)を点火することができる。特定の実施形態においては、開始剤組成物は直接被覆されるか、または、皮膜されたアンビルの使用とは対照的に変形可能なエンクロージャ内部に配置される。
【0022】
[028]特定の実施形態においては、エンクロージャ14は約0.5in−lb〜約3.0in−lbの範囲の衝撃力を加えて変形できる金属管を備えることができる。当業者には明らかなとおり、加えられる衝撃力の大きさは管およびホルダーの強度により制限され、容易に決定できる。管を形成する厚さおよび材料は、管が力の特定の範囲内の衝撃で確実に変形するが、通常の使用状態では変形しないものである。特定の実施形態においては、管はアルミニウム、ニッケル・クロム鉄合金、真鍮または鋼などの金属から形成され、約0.001インチ〜約0.005インチの範囲の厚さの壁面を有する。特定の実施形態においては、衝撃時に、管はまた構造の保全性を維持して、壁が変形されるときに穿孔または亀裂しないようにすることができる。特定の実施形態においては、エンクロージャは厚さ0.005インチ±0.001インチおよび直径約0.58インチを有するステンレス鋼の管を備え、この管は少なくとも0.75in−lbの力による衝撃によって変形可能である。特定の用途に対しては、エンクロージャに他の材料、寸法および形状を使用し、および/または最適化することができる。
【0023】
[029]特定の実施形態においては、アンビル12は非圧縮性ロッド、ピンまたはワイヤを備える。アンビル12は、変形可能部分が衝撃を受けるときに開始剤組成物16が圧縮される面を提供する、固体材料である。アンビル12を形成する材料は、例えば、金属、合金、セラミック、プラスチック、複合材などである。アンビル12の直径は変形可能な管14の内径より僅かに小さい。例えば、アンビル12は管の内径より小さい約0.01インチの直径を有する。アンビル12の少なくとも一部には衝撃作動開始剤組成物16の被覆が施される。開始剤組成物16の被覆の厚さは約0.001インチ〜約0.05インチの範囲である。被覆の厚さは、意図する用途に対して火花を提供する任意の適切な厚さであってもよい。アンビル12は、開始剤組成物16の外側面の表面が、数千分の1インチ、例えば約0.004インチで管14の内壁から分離されるように、管14内に配置される。アンビル12は開始剤組成物16と管14の内壁との間に数千分の1インチの隙間を提供するように、管14内に配置される。特定の実施形態においては、アンビル12は管14内に同軸に配置される。開始剤組成物の他の厚さおよびエンクロージャの内側寸法に対するアンビルの寸法は、特定の用途および使用状態に応じて、決定および/または最適化することができる。
【0024】
[030]アンビル12は、変形可能なエンクロージャ14内に配置され、開始剤組成物16の被覆とエンクロージャの内壁との間に隙間が維持されるように保持される。アンビル12の位置は、例えば、クリンプ、凹部、突起部、ガスケット、挿入物などにより保持される。アンビル12を位置合わせするためのデバイスは分離されるか、アンビル12に一体化される。図1では、凹部18がエンクロージャ14内で同軸にアンビル12を保持している。特定の実施形態においては、任意のアンビル位置合わせ要素は不燃性であり、高温で保全性を維持し、特定の実施形態においては、熱的に非伝導性であることが望ましい。アンビル12の位置を維持するために使用されるクリンプ、凹部または突起部は、アンビル12の周辺を突き出すか、または、1つまたは複数の空間または空隙がアンビル12とエンクロージャ14の間に設けられるように分離してもよい。空間または空隙は、開始剤組成物16の急激な燃焼により発生する火花が進行できる、実質的に遮られていない領域を提供する。アンビルの位置合わせ特徴部は、アンビル12の開始剤組成物16で皮膜されていない領域でアンビル12に接触する。
【0025】
[031]衝撃作動開始剤組成物は当分野で既知である。衝撃点火システムにおいて使用する開始剤組成物は、衝撃を受けると急激に燃焼して、金属酸化還元燃料などの燃料を容易に確実に点火できる、強力な火花を発生する。密閉システムにおける使用、例えば、ヒートパッケージにおける使用に対しては、開始剤組成物は爆発的に点火せず、過剰な量の気体を生成しないことが有用である。特定の開始剤組成物は、米国特許出願第10/851,018号の発明の名称「Stable Initiator Compositions and Igniters(安定な開始剤組成物およびイグナイタ)」に開示されており、この特許出願の全内容は参照として本明細書に組み入れられる。開始剤組成物は少なくとも1つの金属還元剤、少なくとも1つの酸化剤および場合により少なくとも1つの非活性結合剤を備える。
【0026】
[032]特定の実施形態においては、金属還元剤はモリブデン、マグネシウム、リン、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ホウ素、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオビウム、タンタル、クロム、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、すず、アンチモン、ビスマス、アルミニウムおよびシリコンを含むことができる、これらに限定されない。特定の実施形態においては、金属還元剤は、アルミニウム、ジルコニウムおよびチタンを含むことができる。特定の実施形態においては、金属還元剤は、複数の金属還元剤を含むことができる。
【0027】
[033]特定の実施形態においては、酸化剤は、酸素、酸素ベースの気体および/または固体酸化剤を含むことができる。特定の実施形態においては、酸化剤は、金属含有酸化剤を含む。金属含有酸化剤の例は、過塩素酸塩および遷移金属酸化物を含むが、これらに限定されない。過塩素酸塩は、これらに限定されないが、過塩素酸カリウム(KClO)、塩素酸カリウム(KClO)、過塩素酸リチウム(LiClO)、過塩素酸ナトリウム(NaClO)および過塩素酸マグネシウム(Mg(ClO)、などのアルカリ金属またはアルカリ土金属の過塩素酸塩を含むことができる。特定の実施形態においては、金属含有酸化剤として作用する遷移金属酸化物は、MoOなどのモリブデンの酸化物、Feなどの鉄の酸化物、Vなどのバナジウムの酸化物、CrOおよびCrなどのクロムの酸化物、MnOなどのマンガンの酸化物、Coなどのコバルトの酸化物、AgOなどの銀の酸化物、CuOなどの銅の酸化物、WOなどのタングステンの酸化物、MgOなどのマグネシウムの酸化物およびNbなどのニオビウムの酸化物を含むが、これらに限定されない。特定の実施形態においては、金属含有酸化剤は複数の金属含有酸化剤を含むことができる。
【0028】
[034]特定の実施形態においては、金属還元剤および金属含有酸化剤は粉末の形であってもよい。用語の「粉末」は粉末、粒子、小球、フレークおよび自己伝搬点火を受ける適切なサイズおよび/または表面面積を示す任意の他の微粒子を指す。例えば、特定の実施形態においては、粉末は、0.001μm〜200μm範囲の平均直径を示す粒子を含むことができる。
【0029】
[035]特定の実施形態においては、開始剤組成物中の酸化剤の量は燃料化合物のる共融点におけるまたはその近傍における酸化剤のモル量に関連する。特定の実施形態においては、酸化剤は主要成分であり、他の実施形態においては、金属還元剤が主要成分である。また、当分野で既知のとおり、金属および金属含有酸化剤の粒子サイズを変更することにより、燃焼速度を決定することができ、高速燃焼に対しては小さい粒子サイズが選択され(例えばPCT国際公開公報第2004/01396号を参照)。このように、いくつかの実施形態においては、高速燃焼が望まれる場合、ナノメートルスケールの直径を有する粒子が使用される。
【0030】
[036]特定の実施形態においては、金属還元剤の量は、開始剤組成物の総乾燥重量の25%重量〜75%重量の範囲にできる。特定の実施形態においては、金属含有酸化剤の量は開始剤組成物の総乾燥重量の25%重量〜75%重量の範囲である。
【0031】
[037]特定の実施形態においては、開始剤組成物は、例えば本明細書に記載されているような、少なくとも1つの金属と、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土金属の塩素酸塩または過塩素酸塩または金属酸化物および本明細書に記載されている他のものといった、少なくとも1つの金属含有酸化剤とを含むことができる。
【0032】
[038]特定の実施形態においては、開始剤組成物は、アルミニウム、ジルコニウムおよびホウ素から選択される少なくとも1つの金属還元剤を含むことができる。特定の実施形態においては、開始剤組成物は、三酸化モリブデン、酸化銅、三酸化タングステン、塩素酸カリウムおよび過塩素酸カリウムから選択される少なくとも1つの酸化剤を含むことができる。
【0033】
[039]特定の実施形態においては、アルミニウムを金属還元剤として使用できる。アルミニウムは、ナノ粒子などの様々なサイズで得ることができ、保護酸化物層を形成し、したがって乾燥状態で商業的に得ることができる。
【0034】
[040]特定の実施形態においては、開始剤組成物は複数の金属還元剤を含むことができる。このような組成物では、還元剤の少なくとも1つはホウ素であってもよい。ホウ素を含む開始剤組成物の例は米国特許第4,484,960号および5,672,843号に開示されている。ホウ素は、点火が発生する速度を増加でき、その結果、開始剤組成物により発生する熱量を増加することができる。
【0035】
[041]特定の実施形態においては、高信頼性の再現可能な制御された燃料の点火は、金属含有酸化剤、少なくとも1つの金属還元剤および少なくとも1つの結合剤、および/またはゲル化剤および/または結合剤といった添加物質の混合物を含む開始剤組成物の使用により促進できる。開始剤組成物は、本明細書に記載されるとおり、金属酸化/還元燃料を含むこれらと同一または同様の反応物質を含むことができる。
【0036】
[042]特定の実施形態においては、開始剤組成物は1つまたは複数の添加物質を含むことにより、例えば、処理を促進し、機械的強度を向上および/または燃焼および火花発生特性を決定することができる。非活性の添加物質は反応しないか、または開始剤組成物の点火および燃焼中における範囲を最小にするように反応する。これは、最小圧力が有用である密閉システムにおいて開始剤組成物が使用される場合に、有利である。添加物質は無機物質であり、例えば結合剤、接着剤、ゲル化剤、チキソトロープおよび/または界面活性剤として作用する。ゲル化剤の例は、LAPONITE、モンモリロナイト、CLOISITEなどのクレイ、化学式R−Si(OR)およびM(OR)により表される金属アルコキシド(ただし、nは3または4であり、Mはチタニウム、ジルコニウム、アルミニウム、ホウ素または他の金属である)、および遷移金属水酸化物または酸化物ベースのコロイド粒子を含むが、これらに限定されない。結合剤の例は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸アルミニウムなどの可溶性ケイ酸塩、金属アルコキシド、無機性のポリアニオン、無機ポリカチオン、アルミナまたはシリカベースのゾルなどの無機ゾル・ゲル物質を含むが、これらに限定されない。他の有効な添加物質は、ガラス玉、ケイ藻土、ニトロセルロース、ポリビニルアルコール、グアーガム、エチルセルロース、酢酸セルロース、ポリビニルピロリドン、フッ化炭素ゴム(Viton)および結合剤として作用する他のポリマーを含む。特定の実施形態においては、開始剤組成物は複数の添加物質を含むことができる。
【0037】
[043]特定の実施形態においては、添加物質は、開始剤組成物の特定の処理、点火および/または燃焼特性の決定に有効である。特定の実施形態においては、開始剤成分の粒子サイズは、例えば米国特許第5,739,460号に開示されているように、当分野で既知のとおり、点火および燃焼速度を目的に合わせて調節するように選択される。
【0038】
[044]特定の実施形態においては、添加物質が不活性であることが有効である。エンクロージャ内に密閉されると、開始剤組成物の発熱酸化−還元反応が選択された成分に応じて圧力の増加を生じる。携帯用医療装置といった、特定の実施形態においては、エンクロージャ内で生じる高温がもたらす発熱反応および他の化学反応の発熱物質および生成物を含むことが有効である。
【0039】
[045]医療用途における使用に特に適する特定の実施形態においては、添加物質は、米国運輸省により分類されるとおり、例えば、ニトロセルロースなどの、火薬ではないことが望ましい。特定の実施形態においては、添加物質はVitonまたはLaponiteである。これらの物質は開始剤組成物の成分に結合し、開始剤組成物に機械的安定性を提供できる。
【0040】
[046]金属還元剤、金属含有酸化剤および/または添加物質および/または任意の適切な水性または有機性可溶結合剤を含む開始剤組成物の成分は、任意の適切な物理的または機械的な方法により混合して、有効レベルの分散および/または均質性を得ることができる。取扱い、使用および/または適用を簡単にするために、開始剤組成物は、有機または水性溶剤中の液体浮遊物またはスラリーとして調製できる。
【0041】
[047]金属含有酸化剤に対する金属還元剤の割合を選択して、適切な燃焼および火花発生特性を決定することができる。特定の実施形態においては、開始剤組成物は燃料を点火するために十分なエネルギーを有する火花発生を最大化するように調製される。開始剤組成物から放出される火花は、酸化/還元燃料などの、燃料の表面に衝突し、燃料を自立発熱酸化−還元反応で点火させる。特定の実施形態においては、開始剤組成物により放出されるエネルギーの総量は0.25J〜8.5Jの範囲である。特定の実施形態においては、20μm〜100μmの厚さの開始剤組成物の固体膜は5ミリ秒〜30ミリ秒の範囲の爆燃時間で燃焼する。特定の実施形態においては、40μm〜100μmの厚さの開始剤組成物の固体膜は5ミリ秒〜20ミリ秒の範囲の爆燃時間で燃焼する。特定の実施形態においては、40μm〜80μmの厚さの開始剤組成物の固体膜は5ミリ秒〜10ミリ秒の範囲の爆燃時間で燃焼する。
【0042】
[048]開始剤組成物の例は、10%Zr、22.5%B、67.5%KClO;49%Zr、49%MoO、2%ニトロセルロース;33.9%Al、55.4%MoO、8.9%B、1.8%ニトロセルロース;26.5%Al、51.5%MoO、7.8%B、14.2%VITON1;47.6%Zr、47.6%MoO、4.8%LAPONITEを有する組成物を含む。ここで、すべてのパーセント表示は組成物の総量の重量パーセントである。
【0043】
[049]高火花および低ガス生成開始剤組成物の例には、アルミニウム、三酸化モリブデン、ホウ素およびVitonの混合物を含む。特定の実施形態においては、これらの成分は20〜30%のアルミニウム、40〜55%の三酸化モリブデン、6〜15%のホウ素および5〜20%のVitonの混合物に結合できる。ここで、すべてのパーセント表示は組成物の総量の重量パーセントである。特定の実施形態においては、開始剤組成物は26〜27%のアルミニウム、51〜52%の三酸化モリブデン、7〜8%のホウ素および14〜15%のVitonを含む。ここで、すべてのパーセント表示は組成物の総量の重量パーセントである。特定の実施形態においては、アルミニウム、ホウ素および三酸化モリブデンはナノスケール粒子の形である。特定の実施形態においてはVitonはVitonA500である。
【0044】
[050]特定の実施形態においては、衝撃作動開始剤組成物は、例えば米国特許第6,666,936号に記載されているとおり、粉末の金属含有酸化剤および中央金属コアを有する粉末の還元剤を含む組成物と、中心コアを囲む金属酸化物層と、フルオロアルキルシラン表面面層とを含むことができる。
【0045】
[051]一般に、開始剤組成物は、アンビルを被覆するために有機または水性溶剤中の液体浮遊物として調製され、可溶結合剤が一般にアンビルに被覆を接着するために含まれる。
【0046】
[052]開始剤組成物の被覆は様々な既知の方法でアンビルに施される。例えば、アンビルは、開始剤組成物のスラリーに浸漬され、その後、液体を除去するために空気中で乾燥または加熱され、上述のとおりの所望の特性を有する固体接着被覆を生成する。特定の実施形態においては、スラリーはアンビル上に噴霧またはスピンコートされ、その後、処理されて固体被覆を施される。アンビル上の開始剤組成物の被覆厚さは、アンビルがエンクロージャ内に配置されるとき、開始物組成物が、エンクロージャの内壁から約数千分の1インチ、例えば0.004インチの僅かな距離だけ離れるようにする必要がある。
【0047】
[053]開始剤組成物の衝撃による作動は、エンクロージャの側面に対して強い機械的衝撃または打撃を加えることにより、エンクロージャをアンビルに向かって内側方向に変形し、開始剤組成物の被覆をアンビルに対して押し付けることによって作動できる。管を変形するのに十分な機械的衝撃は任意の適切な機構により実現できる。
【0048】
[054]特定の実施形態においては、機械的衝撃は、例えば、これには限定されないが、付勢されたねじりばね、圧縮ばねまたは板ばねの解放により提供される。このような機構は、例えば、米国特許第4,146,356号に開示されているとおり、閃光電球を衝撃点火する機構として既知である。例えば、図2A〜2Dは衝撃点火されるシステムを作動するための機構を示している。予め付勢されたねじりばね22は、衝撃作動イグナイタ32に近接してねじりばね保持体24上に装着される(図2A)。衝撃作動イグナイタ32は、密閉されたエンクロージャ34と、エンクロージャ34内に同軸に配置されて、凹部により所定の位置に保持されるアンビル36とを備える。開始剤組成物40はアンビル36の一部分上に配置される。解放前の位置では、ねじりばね22のストライカアーム26は機械的ストッパ28上に置かれる(図2A)。係合部材30はストライカアーム26を押して機械的ストッパ28から外し、ストライカアーム26を解放するように構成されている(図2AおよびB)。ねじりばね22の応力はストライカアーム26を推進させて、アンビル36上に置かれた開始剤組成物40に近接するエンクロージャ34に衝撃を加える(図2C)。ストライカアーム26により生じる衝撃力により、エンクロージャ34の壁面はアンビル36方向に変形する(図2D)。変形したエンクロージャの壁面42とアンビル36との間の開始剤組成物40の圧縮により、開始剤組成物40が急激に燃焼し、火花43を放出する。
【0049】
[055]吸入デバイスの使用については、図2に示されている付勢されたねじりばねなどの機械的衝撃機構を吸入感知機構に結合し、これにより、患者が医療装置を介して吸入すると、衝撃点火システムを作動させることできる。吸入感知機構は圧力または空気流量を感知する機構を含む。吸入デバイスは、少なくとも1つの空気吸入口を有する空気路を画成するハウジングおよび少なくとも1つの空気排出口を有するマウスピースを含む。患者がマウスピース上で吸入すると、空気流が空気路内に発生する。空気路内の空気流の速度は、サーミスタまたは質量流量センサなどの空気流速度変換器により検出される。空気路を通る空気流はまた、空気路の外側と内側の間に圧力差を生じる。圧力差はダイヤフラムなどの圧力変換器により検出される。
【0050】
[056]衝撃イグナイタを作動させるための空気流感知アクチュエータは図3A〜3Bに図示されている。図3Aは空気流感知アクチュエータの等角図であり、図3Bは断面図である。図3はハウジング44に組み込まれているダイヤフラム42を示している。ハウジング44は空気吸入口48および空気排出口50を有する空気路46を画成する。ダイヤフラム42の第1側面52は空気路46に流体的に結合され、ダイヤフラム42の第2側面54は周囲環境に開放されたレバーアームアセンブリ56に機械的に結合されている。レバーアームアセンブリ56は、ダイヤフラム42の第2側面54に固定される台58と、レバーアーム62に台58を取り付けるピボット60と、レバーアーム62を係合アーム66に連結する支持台64とを含む。空気路46内の空気流により生じるダイヤフラム42の両側の圧力差により、ダイヤフラム42は空気路46の方向に引かれる。ダイヤフラム42の運動は、機械レバーおよび支持台アセンブリ56を介して変換されることにより、係合アーム66を水平に移動させる。係合アーム66は、空気路46を通って空気が流れなくなると、元の位置に戻る。係合アーム66の相対運動を利用して、例えば図2A〜2Dに示されるとおり、予め付勢されたねじりばねを解放することができる。例えば、図2A〜2Dに示されているとおり、係合アーム66の相対的運動はストライカアーム26を押して機械的ストッパ28から外し、これにより、ストライカアーム26を解放してエンクロージャ34に衝撃を加えることができる。特定の実施形態においては、係合アーム自体の運動は、開始剤組成物を衝撃により作動するのに十分な機械的衝撃を提供できる。当業者には明らかなとおり、他の機械機構を利用して、ダイヤフラムがたわむときに係合アームの相対的運動を実現することもできる。
【0051】
[057]ダイヤフラム42は任意の適切な材料から作られる柔軟な膜である。例えば、ダイヤフラム42は0.001インチ〜0.1インチの範囲の厚さを有する薄い弾性膜である。適切なダイヤフラム材料の例は、ニトリルゴム、シリコンゴム、薄い金属などを含む。ダイヤフラムにより生じる機械的力は、少なくとも一部は、空気路に流体的に結合されたダイヤフラム部分の面積と、膜の両側に比例した圧力差を発生する空気路内の空気流の速度とにより決定される。例えば、10cmHOの圧力降下において2:1のレバー比を有する1.75inの表面積を有するダイヤフラムは、約220グラムの力を発生する。ただし、この力は、例えば開口のサイズおよび形状に依存して変化する。
【0052】
[058]吸入作動衝撃点火システムを用いて、例えば金属還元剤および金属含有酸化剤を含む燃料などの、燃料を点火することができる。金属酸化−還元燃料および衝撃点火システムは小型の製造可能なヒートパッケージに組み込むことができる。
【0053】
[059]図4A〜4Fは衝撃イグナイタを備えるヒートパッケージの実施形態を示している。図4A〜4Fのヒートパッケージ70は、基本的に、第1端72および第2端74を有する密閉された管または円筒体76を備える。携帯用医療装置における使用に対しては、ヒートパッケージは、点火されたときに密閉状態を維持し、燃焼する燃料により発生する内部圧力に耐えることが重要である。図4Aおよび4C〜4Fでは、ヒートパッケージ70の第1端72は管の本体部分76と一体であるかまたは管の本体部分76と同一部分から形成される。図4Bでは、第1端72は分離部分であり、第2端74は分離部分である。部分72、74は、例えば、はんだ付け、溶接、クリンプ加工、接着固定、機械的結合などにより、イグナイタおよび燃料化合物の燃焼中に発生する圧力および温度に耐えることができる任意の適切な手段により、接触面78で密閉できる。第2端74もまた同様の方法により密閉でき、特定の実施形態においては、熱的に伝導性または非伝導性である挿入物を含むことができる。
【0054】
[060]図4Aは、凹部86、87により所定の位置に保持された、同軸に配置されたアンビル80を有するヒートパッケージ70の一実施形態を示している。アンビル80は実質的にヒートパッケージ70の全長に延びている。開始剤組成物82の薄い被覆はアンビル80の一端の近くに配置され、本明細書に開示されている金属酸化/還元燃料化合物84の被覆はアンビル80の他端に配置される。凹部87はアンビル80と管70内壁の間に空間を提供し、この空間によって、開始剤組成物82の急激な燃焼の間に火花を発生させ、燃料化合物84に打撃を与えて点火する。アンビル80はより多量の燃料の保持を容易にし、および/または組立を容易にする特徴を含むことができる。例えば、燃料84が配置されるアンビル80の端部はフィンまたはのこぎり形状を含み、表面範囲を増加することができる。
【0055】
[061]図4Bは、ヒートパッケージ70の全長より短いアンビル90を有するヒートパッケージ70の一実施形態を示す。アンビル90はアンビル90の一端に近い凹部94により管92内に同軸に保持される。アンビル90と管92の内壁の間の空間内の妨害物を最小にするかまたは除去することにより、開始剤組成物82から放出される火花の能力を促進して、燃料98に打撃を与えて点火することができる。図4Bに示されるヒートパッケージ70を形成する第1および第2部分72、74は接触面78で密閉される。燃料98は第1部分72内に配置される。アンビル90が短いことにより、第1部分72内の全体領域を燃料98で充填できる。
【0056】
[062]図4Cでは、アンビル100は燃料を含む。開始剤組成物82はアンビル100の一部分上に配置される。開始剤組成物82の作動によりアンビル100は点火する。端部部分102は熱絶縁材から作られ、ヒートパッケージ70の装着を容易にする。ヒートパッケージのほぼ全長に延びる燃料を使用することにより、大きな有効加熱範囲を提供できる。
【0057】
[063]図4Dはヒートパッケージ70の一実施形態を示しており、アンビル106の前端104は、例えば、円筒端72に燃料を装填するのに使用できる、高ピッチで壁の薄いオーガで形成されている。このような設計はヒートパッケージの製造を容易にするのに有効である。
【0058】
[064]図4Eはヒートパッケージ70の一実施形態を示しており、アンビル90は管76の全長の一部に延び、管76の内部の大部分は燃料90で充填される。燃料99による管76の大部分の充填は加熱パッケージ70から発生する熱量を増加する。図4Fに示されているとおり、特定の実施形態においては、燃料99は管76の内壁上の層として配置され、中心領域97は空間である。燃料99の層は、開始剤組成物82から放出される火花により点火可能な大きな表面面積を露出することによって、管76の均等な加熱および/または最大温度に急速に到達することを促進する。中心領域97の空間は、放出された気体が蓄積してヒートパッケージ70の内圧を低減できる容積を提供する。
【0059】
[065]図4A〜Fに示されるようなヒートパッケージは、少なくとも部分的には、加熱される表面面積と所望の最大温度とにより決定される、任意の適切な寸法を有することができる。衝撃作動ヒートパッケージは、例えば、薬剤を気化して、吸入のための凝結エアロゾルを生成するために使用できるような、短い熱インパルスを発生できる小型の加熱要素として特に有効である。このような用途では、ヒートパッケージの長さは0.4インチ〜2インチの範囲であり、0.3インチ〜0.1インチの範囲の直径を有する。アンビルの最適寸法、密閉された円筒体の寸法および特定の用途および/または使用のために内部に配置される燃料の量は、標準的な最適化手順により決定できる。
【0060】
[066]図5はヒートパッケージの別の実施形態を示している。ヒートパッケージ110は、衝撃点火システムを備える第1部分112と、燃料116を備える、第1部分112より大きな断面寸法を有する第2部分114とを含む。衝撃点火システムは、変形可能な管112内に同軸に配置されるアンビル118を含む。変形可能な管の一端部120は密閉され、反対端121は第2部分114に結合される。アンビル118は凹部122により所定の位置に保持される。アンビル118の一部は開始剤組成物126で被覆される。第2部分114は、第1部分112より大きな壁面厚さおよび断面寸法を有するエンクロージャを含む。このような設計は、燃料の量を増加すること、その上に物質が配置される外部表面面積を増加すること、気体が膨張可能な容積を設けることによりエンクロージャ内の圧力を低減すること、燃料の大きな表面面積を提供することにより燃焼速度を増加すること、および/または第1部分の構造保全性を向上することに有効である。図5では、燃料116は第2部分114の内壁に沿って配置される薄層として示されている。他の燃料構成も可能である。例えば、燃料は水平壁面に沿ってのみ配置でき、全体にまたは部分的に内部領域124を充填でき、および/または内部領域124全体に渡って配置される繊維マトリックス内に配置される。なお、燃料116の形状、構造および組成物は、部分的には所望の熱プロファイルにより決定される、特定の用途に適するように決定できる。
【0061】
[067]図6はヒートパッケージの別の実施形態を示している。図6に示されるヒートパッケージは、変形可能な管112が第2部分114の領域124に突き出るという基本的な違いがあるが、図5に示されているパッケージと類似である。図6に示される構成は、開始剤組成物126の急激な燃焼により発生する火花の分散を強めおよび/または制御するのに有効である。図6に示されるヒートパッケージはさらに、第2部分114の外側面上に配置される物質128を示している。本明細書に記載されるとおり、衝撃作動開始剤組成物126は燃料116を点火する。燃料116の燃焼により発生する熱は、第2部分114に伝達され、物質128を気化できる。
【0062】
[068]燃料は、金属還元剤および例えば、金属含有酸化剤などの酸化剤を含むことができる。
【0063】
[069]特定の実施形態においては、燃料は、ZrとMoO、ZrとFe、AlとMoOまたはAlとFeの混合物を含むことができる。特定の実施形態においては、金属還元剤の量は60重量%〜90重量%の範囲であり、金属含有酸化剤の量は40重量%〜10重量%の範囲にできる。
【0064】
[070]燃料を形成するのに有効な金属還元剤の例は、モリブデン、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ホウ素、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオビウム、タンタル、クロム、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、すず、アンチモニー、ビスマス、アルミニウムおよびシリコンを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態においては、金属還元剤は、アルミニウム、ジルコニウムおよびチタニウムから選択できる。特定の実施形態においては、金属還元剤は複数の金属還元剤を含むことができる。
【0065】
[071]特定の実施形態においては、燃料を形成する酸化剤は、酸素、酸素ベースのガスおよび/または固体酸化剤を含むことができる。特定の実施形態においては、酸化剤は金属含有酸化剤を含む。特定の実施形態においては、金属含有酸化剤は、過塩素酸塩および遷移金属酸化物を含むが、これらに限定されない。過塩素酸塩は、これらに限定されないが、過塩素酸カリウム(KClO)、塩素酸カリウム(KClO)、過塩素酸リチウム(LiClO)、過塩素酸ナトリウム(NaClO)および過塩素酸マグネシウム(Mg(ClO))などの、アルカリ金属またはアルカリ土金属の過塩素酸塩を含む。特定の実施形態においては、酸化剤として作用する遷移金属酸化物は、MoOなどのモリブデン、Feなどの鉄、Vなどのバナジウム、CrOおよびCrなどのクロム、MnOなどのマンガン、Coなどのコバルト、AgOなどの銀、CuOなどの銅、WOなどのタングステン、MgOなどのマグネシウム、Nbなどのニオビウム、の酸化物を含むが、これらに限定されない。特定の実施形態においては、金属含有酸化剤は、複数の金属含有酸化剤を含むことができる。
【0066】
[072]特定の実施形態においては、固体燃料を形成する金属還元剤はジルコニウムおよびアルミニウムから選択でき、金属含有酸化剤はMoOおよびFeから選択できる。
【0067】
[073]金属含有酸化剤に対する金属還元剤の割合を選択することにより、固体燃料の点火温度および燃焼特性を決定できる。例示的な化学燃料は重量パーセントで、ジルコニウムを75%およびMoOを25%含む。特定の実施形態においては、金属還元剤の量は固体燃料の総乾燥重量の60重量%〜90重量%の範囲である。特定の実施形態においては、金属含有酸化剤の量は固体燃料の総乾燥重量の10重量%〜40重量%の範囲である。
【0068】
[074]特定の実施形態においては、燃料は1つまたは複数の添加物質を含み、これにより、例えば、処理を促進し、および/または燃料の点火中および点火に続いて、加熱ユニットの熱性および時間的特性を決定できる。添加物質は無機物質であり、結合剤、接着剤、ゲル化剤、チキソトロピーおよび/または界面活性剤として作用する。ゲル化剤の例は、Laponite、モンモリロナイト、Cloisiteなどのクレイ、化学式R−Si(OR)およびM(OR)により表される金属アルコキシド(ただしnは3または4でありMはチタニウム、ジルコニウム、アルミニウム、ホウ素および/または他の金属である)、および遷移金属水酸化物または酸化物ベースのコロイド粒子を含むが、これらに限定されない。結合剤の例は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸アルミニウムなどの可溶性のケイ酸塩、金属アルコキシド、無機性のポリアニオン、無機性のポリカチオン、アルミナまたはシリカベースのゾルなどの無機ゾル・ゲル物質を含むが、これらに限定されない。他の有効な添加物質は、ガラス玉、ケイ藻土、ニトロセルロース、ポリビニルアルコール、グアーガム、エチルセルロース、酢酸セルロース、ポリビニルピロリドン、フッ化炭素ゴム(VITON)および結合剤として作用する他のポリマーを含む。
【0069】
[075]他の有効な添加物質は、ガラス玉、ケイ藻土、ニトロセルロース、ポリビニルアルコールおよび結合剤として作用する他のポリマーを含む。特定の実施形態においては、燃料は複数の添加物質を含むことができる。金属、酸化剤および/または添加物質および/または任意の適切な水性のまたは有機性の可溶結合剤を含む燃料の成分は、任意の適切な物理的または機械的な方法により混合でき、有効なレベルの分散性および/または均質性を達成できる。特定の実施形態においては、燃料はガス抜きされる。
【0070】
[076]加熱ユニット内の燃料は任意の適切な形状にでき、任意の適切な寸法を有することができる。燃料は、円筒体、ペレットまたは管といった固体形体として調製され、ヒートパッケージに挿入される。燃料は、溶剤を除去するために後に乾燥される、スラリーまたは浮遊物としてヒートパッケージ内に堆積される。燃料スラリーまたは浮遊物は、乾燥させてヒートパッケージの内側面上に燃料を堆積する間、回転される。特定の実施形態においては、燃料は、適切な方法(例えば、アンビル上の開始剤組成物を被覆するために、本明細書で開示されている方法を含む)によって、アンビルなどの支持物上に被覆できる。
【0071】
[077]特定の実施形態においては、アンビルは、当分野では既知のとおり、例えばPyrofuze(Sigmund Cohn社から入手可能である)などの、可燃性の金属合金または金属/金属酸化化合物から形成できる。アンビルの形成に適した燃料化合物の例は、米国特許第3,503,814号、3,377,955号およびPCT出願国際公開公報第93/14044号に開示されており、これらの該当部分は参照として本明細書に組み入れられる。各実施形態においては、アンビルが可燃性物質から形成される場合、開始剤以外の追加燃料は必要とされない。
【0072】
[078]特定の実施形態においては、燃料は、ヒートパッケージに詰め込むことができる、柔軟な繊維マトリックスにより支持される。金属還元剤および金属含有酸化剤を含む燃料を繊維物質と混合して、柔軟な繊維状燃料トリックスを形成できる。繊維状燃料マトリックスは、製造を容易にし、高速の燃焼速度を実現できる、好都合な燃料形体である。繊維状燃料マトリックスは、無機の繊維マトリックスにより支持される粉末形体で金属酸化剤および金属含有還元剤を含む紙状の組成物である。無機の繊維マトリックスは、セラミック繊維および/またはガラス繊維などの、無機の繊維から形成される。繊維状燃料を形成するために、金属還元剤、金属含有酸化剤および無機の繊維物質は溶剤に共に混合され、例えば、製紙機械を使用してある一定の形状またはシートに形成され乾燥される。繊維状燃料は、マットあるいは製造および/または燃焼を促進できる他の形状に形成することもできる。
【0073】
[079]ヒートパッケージは任意の適切な寸法を有することができる。内臓ヒートパッケージは、小型サイズおよび安全性が有効である用途(例えば、医療装置の用途)に特に適している。特定の実施形態においては、ヒートパッケージの全長は0.8インチ〜2インチの範囲で、ヒートパッケージの幅は0.02インチ〜0.2インチの範囲にできる。特定の実施形態においては、アンビルの幅は0.005インチ〜0.19インチの範囲にできる。
【0074】
[080]内臓ヒートパッケージは、エンクロージャの一部をアンビルの方向に変形させるのに十分な力で、エンクロージャに機械的衝撃を加える(このとき開始剤組成物が管とアンビルの間で圧縮される)ことにより衝撃で点火され。圧縮力により開始剤組成物の急激な燃焼が開始される。急激な燃焼に発生する火花は燃料組成物の方向に向けられ、これに衝撃を与えることにより、燃料組成物を、高速の強力な熱インパルスを生じる自立的金属酸化反応で点火させる。
【0075】
[081]特定の実施形態においては、物質は衝撃により作動されるヒートパッケージの外側面上に配置される。作動されると、燃料の燃焼により生じる熱は、最小の劣化でヒートパッケージの外側面上に配置される物質の固体薄膜を気化可能な、高速の強力な熱インパルスを発生できる。物質の固体薄膜は、任意の適切な方法によりヒートパッケージの外側面を被覆することができ、この薄膜は、部分的には、物質の物理的特性および被覆層の最終厚さに依存する。特定の実施形態においては、ヒートパッケージを物質で被覆する方法は、はけ塗り、浸漬被覆、吹き付け被覆、スクリーン印刷、ローラー塗布、インクジェット印刷、気相堆積、スピンコートなど含むが、これらに限定されない。特定の実施形態においては、物質は少なくとも1つの溶剤を含み、ヒートパッケージの外側面に塗布される溶液として調製される。特定の実施形態においては、溶剤は、アセトンまたはイソプロパノールなどの揮発性の溶剤を含む。特定の実施形態においては、物質は、溶融液としてヒートパッケージに塗布される。特定の実施形態においては、物質は、剥離被覆を有する膜に塗布され、ヒートパッケージに移される。常温では液体である物質については、増粘剤を物質と混合して、本明細書に開示されている方法を含む、任意の適切な方法により支持物に塗布できる物質を含む粘性の組成物を生成することができる。特定の実施形態においては、物質の層は単一塗布の間に形成されるか、または塗布を繰り返す間に形成され、層の最終的な厚さを増加する。
【0076】
[082]特定の実施形態においては、ヒートパッケージ上に置かれた物質は、少なくとも1つの生理学的活性化合物または薬剤の治療上の有効量を含むことができる。治療上の有効量とは、治療が必要な患者または使用者に投与されると治療を行うのに十分な量のことを指す。あらゆる病気、症状または疾患の治療または処置とは、病気、症状または疾患の進行を停止または改善すること、病気、症状または疾患に陥る危険性を低減すること、病気、症状もしくは疾患、または病気、症状もしくは疾患の臨床症状のうち少なくとも1つの進行を軽減すること、または、病気、症状もしくは疾患、または病気もしくは疾患の臨床症状のうち少なくとも1つが進行する危険性を軽減することを指す。治療または処置とは、病気、症状または疾患を、物理的(例えば、識別可能な兆候の安定化)もしくは生理学的(例えば、物理的パラメータの安定化)のいずれか、または両方で抑制すること、および患者が識別可能でないかもしれない少なくとも1つの物理的パラメータを抑制することも指す。さらに、治療または処置とは、病気、症状または疾患にさらされるかまたはかかりやすい可能性がある患者において、たとえ、患者が、その病気、症状または疾患の兆候を経験または表していないとしても、病気、症状もしくは疾患、またはそれらのうち少なくとも1つの兆候の発現を遅らせることを指す。
【0077】
[083]特定の実施形態においては、支持体上に置かれる物質の量は100マイクログラム未満であり、特定の実施形態においては、250マイクログラム未満であり、特定の実施形態においては、1,000マイクログラム未満である。特定の実施形態においては、ヒートパッケージに塗布される固体薄膜の厚さは0.01μm〜20μmの範囲にあり、特定の実施形態においては、0.5μm〜10μmの範囲にある。
【0078】
[084]特定の実施形態においては、物質は医薬品を含むことができる。特定の実施形態においては、物質は治療化合物または非治療化合物を含むことができる。非治療化合物とは、レクリエーション、実験または前臨床目的で用いることができる化合物のことである。使用可能な薬品の分類には、これらに限定されないが、麻酔薬、抗けいれん剤、抗うつ剤、抗糖尿病薬、解毒剤、制吐薬、抗ヒスタミン剤、抗感染症薬、抗新生物薬、抗パーキンソン病薬、抗リウマチ薬、抗精神病薬、抗不安薬、食欲刺激薬および抑制剤、血液修飾剤、心臓血管作動薬、中枢神経系刺激薬、アルツハイマー病治療用薬、嚢胞性線維症治療、診断、栄養補助食品用薬、勃起不全用薬、胃腸薬、ホルモン、アルコール依存症の治療用薬、中毒の治療用薬、免疫抑制薬、肥満細胞安定剤、片頭痛製剤、乗り物酔い製剤、多発性硬化症治療用薬、筋肉弛緩剤、非ステロイド系抗炎症薬、オピオイド、他の鎮痛剤および興奮剤、点眼薬、骨粗しょう症薬、プロスタグランジン、呼吸器系薬、鎮静剤および睡眠薬、皮膚および粘膜剤、禁煙補助薬、トゥレットシンドローム薬、尿路薬、目眩薬を含む。
【0079】
[085]熱劣化の程度および原因は、少なくとも一部は、特定の化合物に依存するが、特定の実施形態においては、活性物質を気化および/または昇華させるのに十分な温度まで物質を急速に加熱することによって熱劣化を最小限にすることができる。特定の実施形態においては、物質は、500ミリ秒未満で少なくとも250℃の温度まで、特定の実施形態においては、100ミリ秒未満で少なくとも250℃の温度まで、特定の実施形態においては、250ミリ秒未満で少なくとも250℃の温度まで加熱することができる。
【0080】
[086]特定の実施形態においては、物質の層を急速に気化すると、物質の熱分解を最小限して、高純度の物質を示す凝縮エアロゾルを生成できる。例えば、特定の実施形態においては、10%未満の物質が熱蒸発中に分解され、特定の実施形態においては、5%未満の物質が熱蒸発中に分解される。
【0081】
[087]高純度のエアロゾルを生成するために加熱面から蒸発される薬剤の例には、アルブテロール、アルプラゾラム、アポモルヒネHCl、アリピプラゾール、アトロピン、アザタジン、ベンズトロピン、ブロマゼパム、ブロムフェニラミン、ブデソニド、ブメタニド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、カルビノキサミン、クロルジアゼポキシド、クロルフェニラミン、シクレソニド、クレマスチン、クロニジン、コルヒチン、シプロヘプタジン、ジアゼパム、ドネペジル、エレトリプタン、エスタゾラム、エストラジオール、フェンタニル、フルマゼニル、フルニソリド、フルニトラゼパム、フルフェナジン、プロピオン酸フルチカゾン、フロバトリプタン、ガランタミン、グラニセトロン、ヒドロモルフォン、ヒオスシアミン、イブチリド、ケトチフェン、ロペラミド、メラトニン、メタプロテレノール、メタドン、ミダゾラム、ナラトリプタン、ニコチン、オキシブチニン、オキシコドン、オキシモルホン、ペルゴリド、パーフェナジン、ピンドロール、プラミペキソール、プロクロルペラジン、リザトリプタン、ロピニロール、スコポラミン、セレギリン、タダラフィル、テルブタリン、テストステロン、テトラハイドロカナビノール、トルテロジン、トリアムシノロンアセトニド、トリアゾラム、トリフルオペラジン、トロピセトロン、ザレプロン、ゾルミトリプタン、ゾルピデムを含む。これらの薬剤は、薬剤の薄膜を250℃〜550℃の範囲の温度まで100ミリ秒未満で加熱すると、厚さが0.2μm〜7μmの範囲で、被膜質量が0.2mg〜40mgの範囲の薄膜から気化され、薬剤の純度が90%超、多くの場合99%超のエアロゾルを生成できる。
【実施例】
【0082】
[088]本発明の実施形態は、以下の実施例を参照してさらに明確にすることができる。以下の実施例では、本発明の化合物の調製を詳細に説明している。当業者には、本発明の範囲を逸脱することなく、材料および方法の両方に対して数多くの変更形態が実現可能であうことが明らかである。
【0083】
[実施例1]
開始剤組成物を使用する衝撃点火
[089]衝撃点火を使用する図8による加熱ユニットの調製が説明される。
【0084】
[090]衝撃点火システムを調製するために、薄いステンレス鋼ワイヤアンビルの1/4部分が、酢酸アミル中の、乾燥重量を基にして、26.5重量%のAl、51.4重量%のMoO、7.7重量%のBおよび14.3重量%のViton A500の開始剤組成物に浸漬被覆された。被覆されたワイヤはその後、40℃〜50℃で1時間乾燥された。乾燥済みの被覆されたワイヤアンビルは0.003インチ厚さのアルミニウムの点火管内に配置され、管の一端は管内でほぼ同軸にワイヤを保持するためにクリンプ加工された。
【0085】
[091]別の実施形態においては、開始剤組成物は20um未満の粒子サイズを有するチタニウムの重量で620部分、塩素酸カリウムの重量で100部分、赤リンの重量で180部分、塩素酸ナトリウムの重量で100部分、および水の重量で620部分、および2%のポリビニルアルコール結合剤を結合することにより形成された。
【0086】
[実施例2]
衝撃点火されるヒートパッケージ
[092]薄いステンレス鋼ワイヤアンビルの1/4インチの部分を備える点火アセンブリは開始剤組成物に浸漬被覆され、約1時間、約45〜50℃で乾燥された。乾燥済みの被覆されたワイヤアンビルは0.003インチの厚さの、柔軟な壁面のアルミニウム管に挿入された。管は所定の位置でワイヤアンビルを保持するためにクリンプ加工された。
【0087】
[093]当業者であれば、本明細書に記載された本発明の開示の明細および実施例を考察することにより、本発明の開示の他の実施形態は明らかである。上記明細および実施例は単に例示的なものであって、本発明の開示の真の範囲および精神は、特許請求の範囲によって定義されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】衝撃イグナイタの図である。
【図2A】特定の実施形態による吸入作動衝撃点火システムの図である。
【図2B】特定の実施形態による吸入作動衝撃点火システムの図である。
【図2C】特定の実施形態による吸入作動衝撃点火システムの図である。
【図2D】特定の実施形態による吸入作動衝撃点火システムの図である。
【図3A】特定の実施形態による衝撃イグナイタを作動するためのダイヤフラムを備える作動機構の図である。
【図3B】特定の実施形態による衝撃イグナイタを作動するためのダイヤフラムを備える作動機構の図である。
【図4A】特定の実施形態による衝撃作動ヒートパッケージの図である。
【図4B】特定の実施形態による衝撃作動ヒートパッケージの図である。
【図4C】特定の実施形態による衝撃作動ヒートパッケージの図である。
【図4D】特定の実施形態による衝撃作動ヒートパッケージの図である。
【図5】ヒートパッケージの別の実施形態の図である。
【図6】ヒートパッケージのさらに別の実施形態の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気路を画成し、かつ少なくとも1つの空気吸入口と少なくとも1つの空気排出口を有するマウスピースとを備えるハウジングと、
前記空気路に結合された空気流感知アクチュエータと、
前記空気流感知アクチュエータに結合されて、衝撃イグナイタを作動するように構成された機構と、
を備え、
前記衝撃イグナイタが前記マウスピースを介する吸入により発生する前記空気路内の空気流により作動される、吸入作動衝撃点火システム。
【請求項2】
前記空気路が約10L/分〜約200L/分の範囲の空気流量を保持する、請求項1に記載の吸入作動点火システム。
【請求項3】
前記空気流感知アクチュエータが圧力または空気流量により作動する、請求項1に記載の吸入作動点火システム。
【請求項4】
前記空気流感知アクチュエータが空気流量により作動する、請求項1に記載の吸入作動点火システム。
【請求項5】
前記空気流感知アクチュエータが圧力差により作動する、請求項1に記載の吸入作動点火システム。
【請求項6】
前記空気流感知アクチュエータがダイヤフラムを備える、請求項5に記載の吸入作動点火システム。
【請求項7】
前記ダイヤフラムの面積範囲および空気流による前記ダイヤフラム両側の前記圧力差が、前記衝撃イグナイタを作動するのに十分な機械的力を発生する、請求項6に記載の吸入作動点火システム。
【請求項8】
前記衝撃イグナイタを作動するように構成された前記機構が、機械的衝撃を発生する、請求項1に記載の吸入作動点火システム。
【請求項9】
前記衝撃イグナイタを作動するように構成された前記機構が、前記衝撃イグナイタに機械的衝撃を加えるために、ばねと、前記ばねを付勢する機構と、前記ばねを解放する機構とを備える、請求項1に記載の吸入作動点火システム。
【請求項10】
前記衝撃イグナイタが
変形可能部分と、
前記変形可能部分に隣接して配置されるアンビルと、
前記アンビルと前記変形可能部分の間に配置された開始剤組成物と、
を備え、
前記開始剤組成物が、前記変形可能部分への衝撃が前記開始剤組成物を前記アンビルに押し付けると点火される、請求項1に記載の吸入作動点火システム。
【請求項11】
前記開始剤組成物が少なくとも1つの金属還元剤と、金属含有酸化剤と、少なくとも1つの結合剤とを含む、請求項10に記載の吸入作動点火システム。
【請求項12】
前記空気流感知アクチュエータが、前記空気流量が少なくとも10L/分のときに前記衝撃イグナイタを作動する、請求項1に記載の吸入作動点火システム。
【請求項13】
衝撃イグナイタを作動する方法であって、
空気路を画成し、かつ少なくとも1つの空気吸入口と少なくとも1つの空気排出口を有するマウスピースとを備えるハウジングと、
前記空気路に結合された空気流感知アクチュエータと、
前記空気流感知アクチュエータに結合されて、衝撃イグナイタを作動するように構成された機構とを備える吸入作動衝撃点火システムを設けるステップと、
前記マウスピースを介して吸入することによって、前記空気路内に空気流を発生するステップと、
前記空気流感知アクチュエータを作動するステップと、
前記衝撃イグナイタを作動するステップと、
を備える方法。
【請求項14】
空気路を画成し、かつ少なくとも1つの空気吸入口と少なくとも1つの空気排出口を有するマウスピースとを備えるハウジングと、
前記空気路に結合された空気流感知アクチュエータと、
前記空気流感知アクチュエータに結合されて、衝撃加熱要素を作動するように構成された機構と、
を具備する吸入作動衝撃点火システムであって、
前記衝撃加熱要素が、
機械的衝撃により変形可能な領域を備えるエンクロージャと、
前記エンクロージャ内に配置されたアンビルと、
前記エンクロージャ内に配置されている、前記エンクロージャの前記変形可能な領域が変形されると点火するように構成された衝撃開始剤組成物と、
前記エンクロージャ内に配置されている、前記開始剤組成物により点火されるように構成された燃料と、
を備え、
前記衝撃式加熱要素が前記マウスピースを介する吸入により発生する前記空気路内のける空気流により作動される、吸入作動衝撃点火システム。
【請求項15】
前記エンクロージャの外側表面の一部が前記衝撃イグナイタの作動後に、200ミリ秒未満で少なくとも200℃に到達する、請求項14に記載の加熱要素。
【請求項16】
前記エンクロージャが前記燃料の燃焼の後も密閉状態を保持する、請求項14に記載の加熱要素。
【請求項17】
前記エンクロージャが密閉された管を備える、請求項14に記載の加熱要素。
【請求項18】
前記エンクロージャが金属を含む、請求項14に記載の加熱要素。
【請求項19】
前記エンクロージャの変形可能領域が約0.5in−lb〜約3.0in−lbの範囲の力で変形可能である、請求項14に記載の加熱要素。
【請求項20】
前記アンビルが固体ロッド、ピンまたはワイヤを備える、請求項14に記載の加熱要素。
【請求項21】
前記アンビルが前記エンクロージャの中心に同軸に配置されている、請求項14に記載の加熱要素。
【請求項22】
前記アンビルが前記燃料を備える、請求項14に記載の加熱要素。
【請求項23】
前記開始剤組成物が、金属含有酸化剤と、少なくとも1つの金属還元剤と、非爆発性の結合剤とを備える、請求項14に記載の加熱要素。
【請求項24】
前記開始剤組成物が前記エンクロージャの内壁と前記アンビルの間に配置されている、請求項14に記載の加熱要素。
【請求項25】
前記開始剤組成物が前記アンビルの表面上に配置されている、請求項14に記載の加熱要素。
【請求項26】
前記開始剤組成物が、前記変形可能領域が変形されるまで前記エンクロージャの内壁と接触しない、請求項14に記載の加熱要素。
【請求項27】
前記開始剤組成物が、前記エンクロージャの変形可能領域に近接する前記アンビルの表面上に配置されている、請求項14に記載の加熱要素。
【請求項28】
前記燃料が少なくとも1つの金属還元剤と少なくとも1つの金属含有酸化剤とを含む、請求項14に記載の加熱要素。
【請求項29】
前記燃料が少なくとも1つの不活性物質をさらに含む、請求項28に記載の加熱要素。
【請求項30】
前記燃料が金属還元剤と、金属含有酸化剤と、不活性の繊維物質の混合物を含む、請求項14に記載の加熱要素。
【請求項31】
前記不活性の繊維物質がガラス繊維である、請求項30に記載の加熱要素。
【請求項32】
前記エンクロージャの全長が約0.8インチ〜約2インチの範囲である、請求項14に記載の加熱要素。
【請求項33】
前記エンクロージャの幅が約0.02インチ〜約0.2インチの範囲である、請求項14に記載の加熱要素。
【請求項34】
前記アンビルの幅が約0.005インチ〜約0.19インチの範囲である、請求項14に記載の加熱要素。
【請求項35】
薬剤を含む固体薄膜が前記エンクロージャの前記外側表面の少なくとも一部の上に配置されている、請求項14に記載の加熱要素。
【請求項36】
前記薬剤が、アルブテロール、アルプラゾラム、アポモルヒネHCl、アリピプラゾール、アトロピン、アザタジン、ベンズトロピン、ブロマゼパム、ブロムフェニラミン、ブデソニド、ブメタニド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、カルビノキサミン、クロルジアゼポキシド、クロルフェニラミン、シクレソニド、クレマスチン、クロニジン、コルヒチン、シプロヘプタジン、ジアゼパム、ドネペジル、エレトリプタン、エスタゾラム、エストラジオール、フェンタニル、フルマゼニル、フルニソリド、フルニトラゼパム、フルフェナジン、プロピオン酸フルチカゾン、フロバトリプタン、ガランタミン、グラニセトロン、ヒドロモルフォン、ヒオスシアミン、イブチリド、ケトチフェン、ロペラミド、メラトニン、メタプロテレノール、メタドン、ミダゾラム、ナラトリプタン、ニコチン、オキシブチニン、オキシコドン、オキシモルホン、ペルゴリド、パーフェナジン、ピンドロール、プラミペキソール、プロクロルペラジン、リザトリプタン、ロピニロール、スコポラミン、セレギリン、タダラフィル、テルブタリン、テストステロン、テトラハイドロカナビノール、トルテロジン、トリアムシノロンアセトニド、トリアゾラム、トリフルオペラジン、トロピセトロン、ザレプロン、ゾルミトリプタン、ゾルピデムのうちの少なくとも1つから選択されている、請求項35に記載の加熱要素。
【請求項37】
前記固体薄膜の厚さが約0.1μm〜約20μmの範囲である、請求項35に記載の加熱要素。
【請求項38】
吸入作動加熱システムであって、
空気路を画成し、かつ少なくとも1つの空気吸入口と少なくとも1つの空気排出口を有するマウスピースとを備えるハウジングと、
前記空気路に結合された空気流感知アクチュエータと、
前記空気流感知アクチュエータに結合されて、衝撃加熱要素を作動するように構成された機構と、
前記衝撃イグナイタにより点火されるように構成された燃料を備える加熱要素と、
を備え、
前記衝撃イグナイタが前記マウスピースを介する吸入により発生する前記空気路内の空気流により作動される、加熱システム。
【請求項39】
前記加熱要素が前記空気路内に配置されている、請求項38に記載の加熱システム。
【請求項40】
前記空気流感知アクチュエータがダイヤフラムを備える、請求項38に記載の加熱要素。
【請求項41】
前記ダイヤフラムの面積および空気流による前記ダイヤフラム両側の前記圧力差が、衝撃イグナイタを作動するのに十分な機械的力を発生する、請求項38に記載の加熱要素。
【請求項42】
前記衝撃イグナイタを作動するように構成された前記機構が機械的衝撃を発生する、請求項38に記載の加熱要素。
【請求項43】
前記衝撃イグナイタを作動するように構成された前記機構が、前記衝撃イグナイタに機械的衝撃を加えるために、ばねと、前記ばねを付勢する機構と、前記ばねを解放する機構とを備える、請求項33に記載の加熱要素。
【請求項44】
加熱要素を作動する方法であって、
吸入により空気流を発生するステップと、
前記空気流内に配置された空気流感知アクチュエータを作動するステップと、
前記空気流感知アクチュエータに結合された衝撃イグナイタを作動するステップと
燃料を点火するステップと、
を備える方法。
【請求項45】
物質の凝結エアロゾルを生成する方法であって、
空気路を画成し、かつ少なくとも1つの空気吸入口と少なくとも1つの空気排出口を有するマウスピースとを備えるハウジングと、
前記空気路に結合された空気流感知アクチュエータと、
前記空気流感知アクチュエータに結合されて、衝撃イグナイタを作動するように構成された機構と、
前記空気路内に配置された加熱要素であって、前記加熱要素が前記エンクロージャ内に配置された燃料と、前記エンクロージャ内に配置されて、前記燃料を点火するように構成された衝撃イグナイタとを備える、加熱要素と、
前記エンクロージャの外側面の少なくとも一部の上に配置された物質と
を備える吸入作動加熱要素を設けるステップと、
前記マウスピースを介して吸入することによって、前記空気路内に空気流を発生するステップと、
前記空気流感知アクチュエータを作動するステップと、
前記衝撃イグナイタを作動するステップと、
前記燃料を点火するステップと、
前記エンクロージャの外側面の上に配置された物質を気化して、前記空気路内に前記物質を含むエアロゾルを生成するステップと、
を備える方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−509721(P2008−509721A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525588(P2007−525588)
【出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/026490
【国際公開番号】WO2006/022715
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(503412296)アレックザ ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (15)