説明

吸入器

【課題】活性で、吸入可能な粒子状の物質の投与に用いる1回の使い捨て手段として有益な吸入器を提供する。
【解決手段】折り曲げ可能な部分を有する筒型エア流通路を規定する筒型ボディ1が、周辺に延長する波形部分を具える好ましくはU字形状部分3と、少なくとも一の活性で、吸入可能な粒子状物質の前記流通路への投与を供給する手段4と、キャップ2を具える吸入器。本発明によれば、前記少なくとも一の活性で、吸入可能な粒子状物質の投与が、前記キャップ2の中に配置されており、取り入れ方向における波状部分の開始地点で実質的に前記キャップ2から開放される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の前文に記載の吸入器に関する。このような吸入器は、活性で、吸入可能な粒子状の物質の投与に用いる1回の使い捨て手段として有益である。
【背景技術】
【0002】
WO96/22802号は、上述したタイプの肺吸入用の吸入器であって、空気流路が規定されている筒型ボディを具える吸入器を開示している。この吸入器は、一回の投与分のみを空気流路内に配置した、活性で、吸入可能な粒子状物質を具えるものであり、この投与分は使用前に使用者によって取り除かれるあるいは開封される閉鎖手段によって周辺雰囲気に対して密封あるいは閉鎖されており、この吸入器は一回のみ使用するように意図されている。WO98/53869号は、鼻吸入用の同様の筒型ボディを開示している。
【0003】
公知の吸入器の閉塞手段は、筒型ボディの各自由端のキャップであり、二つの別々のキャップとして、あるいは、筒型ボディがある状態へ曲がっており自由端同士が近くにある場合は、二つが一体になってツインキャップとして設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸入器に含有されている1回の投与分は粒子状物質であり、通常、一またはそれ以上の薬学的活性物質を、適切な場合は、従来の薬学的に許容可能な添加剤を共に含んでいる。公知の1回の投与分の吸入器は、この粒子状物質の量がときに二つのキャップの間の吸入器の内積より実質的に小さいことがある。前記粒子状物質の量が吸入器の内積より実質的に小さいと、この粒子状物質が搬送中および保管中に吸入器内で移動したり、振動する。これは、少なくともある種の製剤の場合、粒子サイズが変わってしまったり、分離、分解、及び粉砕によって粒子状物質の成分が変わることになる。更に、振動などの機械的な衝撃によって粒子状物質の個々の粒が互いにくっついたり、筒型ボディの内壁に張り付いたりすることがあり、これによって好ましくない機械的特性または不正確な投与が生じる。このような変化により、粒子状物質の吸入性質が変わったり、薬剤の正しい投与ができなくなったりすることがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、上述したタイプの吸入器であって、上述の問題を実質的に取り除いたあるいは完全になくした吸入器を提供することである。これは、請求項1の特徴部分に記載されている吸入器によって得ることができる。吸入可能な、粒子状物質をキャップの中に入れることによって、二つの目的が達せられる。第1に、波形部分を有する筒型ボディは、不特定タイプの吸入可能な粒子状物質を投与するのに使用することができ、これらはユーザ、薬剤師、病院、その他によって一般的に保存、維持される。従って、特別な、吸入可能な粒子状物質を含むキャップを筒型ボディへ取り付け、この吸入可能な粒子状物質を筒型ボディ内に放出するだけである。第2に、キャップ内に吸入可能な粒子状物質を有することによって、吸入可能な粒子状物質の移動防止がより容易になり、従って、この物質の変性を低減または防止することができる。しかしながら、本質的な特徴は、吸入前に粒子状物質が波状部分が開始する部分に位置するように供給されることである。この結果、吸入前に連続する波状部分にぶつかることによって、粒子状物質の塊が砕けて、連続する波型部分の一つにぶつかるたびにより一層細かい粒子に分散する。この結果、これまでに知られている吸入器よりも一層改善されたパウダ分散が得られ、吸入可能な粒子の留分が増える。
【0006】
本発明によれば、キャップは、活性で、吸入可能な粒子状物質を含む少なくとも一の閉鎖したコンパートメントを具え、筒型ボディあるいは前記キャップは、この少なくとも一の閉塞コンパートメントを開く、破る、または穴を開けることによって前記少なくとも一の粒子状物質を投与する手段を具える。キャップの中に、一またはそれ以上の閉鎖コンパートメントを有することで、保存できるまたは保存できない一またはそれ以上の薬学的に活性な物質を供給することが可能である。更に、閉鎖コンパートメントを開くことができ、従って、波型部分が開始するところで前記薬剤を筒型ボディに容易に放出する手段が設けられている。
【0007】
更に、本発明によれば、キャップが、活性で、吸入可能な粒子状物質を含む少なくとも一の閉鎖したコンパートメントを具える少なくとも一の取り付け可能な部分を具えていても良い。このように、いくつかの、異なる薬学的活性物質を単一の治療用に用いる場合に、コンビネーションアプローチを用いることができる。
【0008】
更に、本発明によれば、少なくとも一の閉鎖したコンパートメントは、引き剥がしフォイル手段によって閉鎖することができ、この引き剥がしフォイルは、少なくとも一の取り付け可能な部分をキャップに取り付けた後に除去されるように構成されている。引き剥がしフォイル手段でコンパートメントを閉鎖することによって、および引き剥がしフォイルを少なくとも一の取り付け可能な部分をキャップに取り付けた後に除去するように構成することによって、汚染のリスクが低減され、閉鎖コンパートメントを容易に開いて、放出することができる。
【0009】
更に、本発明によれば、少なくとも一の閉鎖コンパートメントは、少なくとも一のホールを有する摺動可能なエレメント手段によって閉鎖するようにしても良い。この摺動可能なエレメントは、第1および第2の位置を有しており、第1の位置において前記閉鎖コンパートメントを閉鎖し、第2の位置において、この閉鎖コンパートメントを前記ホールに連通させることによって閉鎖コンパートメントを開くように構成されている。この摺動可能なエレメントは、第1の位置に摺動可能なエレメントを保持して摩擦を生じるように構成した摩擦エレメントを具える。一方、摺動可能なエレメントは前記第1の位置から第2の位置へ移動して、第2の位置で固定される。閉鎖コンパートメントが摺動可能なエレメントによって閉鎖されているとき、親指と人差し指を用いて単に圧力をかけるだけで、コンパートメントを容易に開いて放出することができる。摺動可能なエレメントには、圧力をかけるための特別なパッドが設けられている。例えば、表面がざらざらにした、あるいはホール/ピンを配設した摩擦エレメントを加えることによって、閉鎖コンパートメントが偶発的に開くことを防ぐと共に、使用済みのキャップが偶発的に再度使用されないようにすることができる。
【0010】
更に、本発明によれば、閉鎖コンパートメントは、貫通可能なフォイルによって閉鎖することもでき、キャップがこの筒型ボディに取り付けられたときに筒型ボディが前記フォイルを貫通するように構成されている。筒型ボディは、例えば、ジュースやチョコレートミルク用の箱に用いられているストローのように、ある角度でフォイルを切ることによって、フォイルを貫通するように構成することができる。
【0011】
更に、本発明によれば、閉鎖コンパートメントは、キャップを筒型ボディに取り付けて、この筒型ボディを折り曲げることによって閉鎖することができ、この閉鎖コンパートメントは、この筒型ボディの折りまげを解除することによって開くことができる。また、使用しない間に筒型ボディを曲げた状態に保持する手段が取り付けられている。筒型ボディを折り曲げることで、筒型ボディの一部を捻じって、端部に閉鎖コンパートメントを作ることができる。
【0012】
この閉鎖コンパートメントは、従って、筒型ボディをまっすぐにすることによって簡単に再度開くすることができる。筒型ボディを曲げた状態に保持する手段を提供することによって、偶発的に吸入可能な粒子状物質が投与されることが防止される。
【0013】
更に、本発明によれば、前記筒型ボディの一部を押しつぶす手段を提供することによって閉鎖コンパートメントを閉じることができ、この手段を取り外すことによって閉鎖コンパートメントを開くことができる。筒型ボディを押しつぶす手段は、衣服用ピン、フォーク、その他の形を取ることができる。
【0014】
更に、本発明によれば、閉鎖コンパートメントは筒型ボディを具えており、一方の端部が永久的に閉鎖されており、他端が筒型ボディの中に装入可能であり、筒型ボディの壁の一部を互いに貼り付ける手段によって閉鎖されており、筒型ボディの位置に圧力を掛けるか、引っ張ることによって閉鎖コンパートメントを開くことができる。筒型ボディの一方の端部は、のり、溶接、溶融、あるいはその他の手段で永久的に閉鎖されており、再使用可能な力がそれを開かないようにしている。
【0015】
さらに、本発明によれば、少なくとも一の閉鎖コンパートメントを、少なくとも一のホールを有する回動する摺動可能なエレメント手段によって閉鎖することができる。この回動する摺動可能なエレメントは、第1および第2の位置を有し、第1の位置において、前記閉鎖コンパートメントを閉鎖し、第2の位置において、前記閉鎖コンパートメントを開いてこのホールに連通させるように構成されている。回動する摺動可能なエレメントは、摩擦エレメントを具えており、この摩擦エレメントは、回動する摺動可能なエレメントを前記第1の位置に保持して摩擦が生じるように構成されており、一方で、回動する摺動可能なエレメントを前記第1の位置から第2の位置へ回動させて、第2の位置に固定するように構成されている。閉鎖コンパートメントが回動する摺動可能なエレメントを有する場合、スクリュウのような単純な動きで閉鎖コンパートメントが開く。上述した摺動可能なエレメントと同様に、摩擦エレメントは、閉鎖コンパートメントが偶発的に開くこと、および、偶発的な再使用を防止する。
【0016】
本発明によれば、キャップは柔らかく、押しつぶし可能な材料でできており、閉鎖コンパートメントも同様に、柔らかく、押しつぶし可能な材料でできている。閉鎖コンパートメントは、キャップに圧力がかかると破断するように構成されており、破断したときに、閉鎖コンパートメントの材料が筒型ボディに入らないように構成されている。この実施例では、閉鎖コンパートメントは、いろいろな意味で、保護封筒に用いられているバブル包装のバブルに似ている。例えば親指と人差し指で圧力がキャップに加えられると、バブルが吸入可能な粒子状物質を含んでおり、吸入可能な粒子状物質が筒型ボディに入る。特別な利点は、バブルが成型加工したウイークスポットによって製造されるときに、バブルが公知のやり方で破断し、バブルの材料が筒型ボディ内で終端しないことである。
【0017】
最後に、本発明によれば、キャップは、2またはそれ以上の筒型ボディに適応するように構成しても良い。このように、二つの吸収可能な、粒子状物質を口から同時に吸引することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図面に示す実施例を参照して、本発明を以下に述べる。
【図1】図1は、公知の吸入器の構造を示す図である。
【図2】図2は、本発明による吸入器に用いる取り付け可能な、閉鎖コンパートメント付のキャップを示す図である。
【図3】図3は、本発明による吸入器に用いる取り付け可能な、閉鎖コンパートメント付のキャップを示す図である。
【図4】図4は、本発明による吸入器に用いる取り付け可能な、閉鎖コンパートメント付のキャップを示す図である。
【図5】図5は、代替の実施例の取り付け可能な、閉鎖コンパートメント付のキャップを示す図である。
【図6】図6は、代替の実施例の取り付け可能な、閉鎖コンパートメント付のキャップを示す図である。
【図7】図7は、閉鎖コンパートメントを封印及び開封する方法を示す図である。
【図8】図8は、閉鎖コンパートメントを封印及び開封する方法を示す図である。
【図9】図9は、閉鎖コンパートメントを封印及び開封する方法を示す図である。
【図10】図10は、閉鎖コンパートメントが筒型ボディを曲げることによって閉鎖されている実施例を示す図である。
【図11】図11は、閉鎖コンパートメントが筒型ボディを曲げることによって閉鎖されている実施例を示す図である。
【図12】図12は、閉鎖コンパートメントが筒型ボディを曲げることによって閉鎖されている実施例を示す図である。
【図13】図13は、閉鎖コンパートメントが筒型ボディを曲げることによって閉鎖されている実施例を示す図である。
【図14】図14は、閉鎖コンパートメントが筒型ボディを曲げることによって閉鎖されている実施例を示す図である。
【図15】図15は、筒型ボディの一部を共にねじることによって、閉鎖コンパートメントを作る実施例を示す図である。
【図16】図16は、筒型ボディの一部を共にねじることによって閉鎖コンパートメントを作る実施例を示す図である。
【図17】図17は、筒型ボディの外側端部を糊付け、溶接あるいは同様の技術で第1の閉鎖を行うことによって閉鎖コンパートメントを形成する実施例を示す図である。
【図18】図18は、図5及び図6に示す実施例と同様の実施例を示す図である。
【図19】図19は、図5及び図6に示す実施例と同様の実施例を示す図である。
【図20】図20は、閉鎖コンパートメントが破断するように設計されている実施例を示す図である。
【図21】図21は、閉鎖コンパートメントの弱くした部分を下から見た図である。
【図22】図22は、本発明に係る一以上の吸入器を具える吸入器アッセンブリを示す図である。
【図23】図23は、本発明に係る一以上の吸入器を具える吸入器アッセンブリを示す図である。
【図24】図24は、両端部に溶接したフォイルを伴うキャップを有する吸入器を示す図である。
【図25】図25は、二つの閉鎖コンパートメントを有するキャップを示す図であり、各コンパートメントに一の引き剥がしフォイルが設けられている。
【図26】図26は、二つの閉鎖コンパートメントを有するキャップを示す図であり、両コンパートメントに共通の引き剥がしフォイルが設けられている。
【図27a】図27aは、筒型ボディの波状中央部を通るフローを示す図である。
【図27b】図27bは、筒型ボディの波状中央部を通るフローを示す図である。
【図27c】図27cは、筒型ボディの波状中央部を通るフローを示す図である。
【図28】図28は、肺および鼻吸入用吸入器を示す図である。
【図29】図29は、別に飲み込むピルを有する閉鎖コンパートメントを伴う、肺または鼻吸入用吸入器を示す図である。
【図30】図30は、別に飲み込むピルを有する閉鎖コンパートメント付のキャップを有する吸入器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示すように、公知の吸入器は、筒型ボディ1とキャップ2を具える。筒型ボディ1は、渦流室を作っている波状の中央部分3を具え、ある角度でボディを折り曲げられるようになっている。波状部分は、実質的に鋸歯状に形成されている。吸入器は、肺吸入器あるいは鼻吸入器として用いることができる。鼻吸入器として用いる場合は、筒型ボディ1の一方の端部が口の中に容易に挿入され、他端は、患者の一方の鼻腔に挿入される。筒型ボディ1内に単に息を吹き込むことによって、筒型ボディ1の内容物が鼻に入る。
【0020】
本発明に係る吸入器に用いるキャップ2が図2に示されている。キャップ2は、吸入可能な粒子状物質の形をした薬学的な活性物質を有する閉鎖コンパートメント4を具える。上述したとおり、吸入器の搬送と取り扱いは、粒子状物質の上の敏感な部分に好ましくない効果を起こすことがある。図3に示すように、小さな閉鎖コンパートメント4内に粒子状物質を有することは、粒子状物質が機械的に攪拌されることをほぼ防止することができ、これによって、不都合な効果を減らす、あるいは取り除くことができる。キャップ2を筒型ボディ1の上に配置して、閉鎖コンパートメント4を開く手段10、11を設けて、波形部分が開始する部分で筒型ボディ1中に粒子状物質を投入し、吸入に備える。
【0021】
図2に示すように、閉鎖コンパートメント4は、取り付け手段5、6によってキャップ2に取り付け可能な別ユニットとして設けられている。これらの取り付け手段5、6は、通常は、取り外し不可能な状態で、閉鎖コンパートメント4を正しい位置に固定している。このことは、薬学的活性物質を別々に供給することができ、一つの吸入器をいろいろな異なる投薬に用いることができるという利点がある。閉鎖コンパートメント4は、図3に示すように内部スペース7と、開口8を具える。内部スペース7は、粒子状物質が満たされており、閉鎖コンパートメント4を開閉する手段が設けられている。閉鎖コンパートメント4の取り付け手段5、6は、キャップ2に合致しており、閉鎖コンパートメント4が開くと、閉鎖コンパートメント4の開口8がキャップ2の開口9に連通して、粒子状物質が筒型ボディ1内に放出される。
【0022】
本発明に係る吸入器の一般的な原理について述べた。更に、使用に際してどのように閉鎖コンパートメント4を開閉するかについて述べる。
【0023】
図2に示すように、閉鎖コンパートメント4の一実施例は、引き剥がしフォイル10によって閉鎖されている。この引き剥がしフォイル10は、両面をポリプロピレン層で被覆したアルミニウム層などのラミネートバリアフォイルでできており、引き剥がしフォイル10が、図3に示すように閉鎖コンパートメント4の開口8に取り付けられている。フォイル10を引っ張ることによって、フォイルが180°折れ曲がって、開口8から分離され、閉鎖コンパートメント4の開口8が、開口9と連通する。引き剥がしフォイル10には、端部11が設けられており、閉鎖コンパートメント4がキャップ2に取り付けられている場合は単に端部11を引っ張ることによってフォイル10が引き剥がされる。
【0024】
この結果、閉鎖コンパートメント4内の粒子状物質は、湿度に敏感な調剤に重要である防湿用の追加のパッケージングを必要とすることなく、湿度から保護される。
【0025】
図5および6は、代替の実施例における、下側部分と上側部分との二つの部分からなる取り付け可能な、閉鎖コンパートメントを有するキャップを示す図である。下側部分は、U字型の吸入器チューブの上に装着されており、粒子状物質を含む閉鎖コンパートメント付きの上側部分は、下側部分上の延長ホック手段によって下側部分に挟持されている。このホックは、上側部分の対応するノッチに係合している。引き剥がしフォイルを取り除くことによって粒子状物質が放出される。この実施例は、図2−4に示す実施例よりも大量生産に適している。
【0026】
図7および図8は、ホール付きの摺動可能なエレメント12によって閉鎖コンパートメント4が閉鎖されている実施例を示す図である。第1の位置で、摺動可能なエレメント2が閉鎖コンパートメント4を閉鎖しており、第2の位置で、摺動可能なエレメント12のホール13が閉鎖コンパートメント4と連通し、粒子状物質を放出する。摺動可能なエレメント12には、このエレメントを押し出す手段を設けるようにしても良いし、あるいは、図に示すようにキャップ2と閉鎖コンパートメント4を共に矢印14の方向に押すことによって移動させるようにしても良い。代替的に、キャップ2と閉鎖コンパートメント4を引き離すことによって閉鎖コンパートメント4を開くこともできる。キャップ2と閉鎖コンパートメント4に、例えば、押し出しパッドの形状をしたもの、あるいはこれに似たようなものなど、これらを共に押し出すための手段を設けるようにしても良い。摺動可能なエレメント12に、例えば表面がざらざらした形状をした摩擦エレメントを設けても良いし、あるいは、キャップ4と摺動可能なエレメント12とを互いに係止し、この力に打ち勝つことを要求するピンとホールを設けてもよい。これによって、閉鎖コンパートメント4が偶発的に開いてしまうリスクを低くし、キャップ2を偶発的に再使用することを防止するという利点がある。
【0027】
図9は、閉鎖コンパートメント4が、穴あけ可能な材料14で閉鎖されている実施例を示す図である。キャップ2が筒型ボディ1に取り付けられている場合、筒型ボディ1の端部15が穴あけ可能な材料14を突き破る。穴あけ可能な材料14は、筒型ボディ1の端部15を、たとえば、斜めにカットすることによって、穴を開ける。このことは、ジュースの箱の膜をストローが突き刺すやり方と似ていなくもない。
【0028】
図10ないし図14は、閉鎖コンパートメント4が筒型ボディ1を曲げて、その一部を押しつぶすことによって閉鎖されている実施例を示す。従って、閉鎖コンパートメント4は、筒型ボディ1を矢印16に示す方向に単にまっすぐにすることによって開く。筒型ボディ1には、筒型ボディ1の端部を曲げた状態に保持し、使用しない間は筒型ボディ1の端部を互いに締結デバイス17によって保持して、あるいは、筒型ボディ1をホルダ18内に配置することによってその曲げた状態を維持する手段17、18が設けられている。
【0029】
図15および16は、押しつぶしデバイス19を用いて押し込むことによって、筒型ボディ1の一部と共に閉鎖コンパートメントを作る実施例を示す。押しつぶしデバイス19が矢印20で示す方向に引っ張られると、閉鎖コンパートメント4が開く。
【0030】
図17は、糊付け、溶接、溶融、あるいは同様の技術によって筒型ボディ1の外側端部に第1の閉塞を行うことによって閉鎖コンパートメント4を形成する実施例を示す図である。外側シール21が作られ、筒型ボディ1の材料を破ることによってのみこのコンパートメントは破断する。筒型ボディ1に沿った小部分に、第2のシール22が作られている。このシール22は、外側シール21より弱く、矢印23の方向に力を加えることによって開くことができる。この力は、親指と人差し指を用いて、紙面に対して垂直な面内に圧力を掛けることによって作ることができる。
【0031】
図18及び図19は、図5及び図6に示す実施例とほとんど同様の実施例を示す図である。これらの実施例との差は、動きが平行移動ではなく、回転移動であり、閉鎖コンパートメント4が、キャップ2をねじることによって開く点である。
【0032】
図20は、キャップ2と閉鎖コンパートメント4が柔らかな、押しつぶし可能な材料で構成されている実施例を示す図である。キャップ2に、例えば親指と人差し指で圧力を掛けると、閉鎖コンパートメント4が破断するように構成されており、その中に含まれている粒子状物質が、筒型ボディ1へ放出される。この実施例では、閉鎖コンパートメント4の設計は、保護封筒用のバブル包装に用いられるバブルに似ていなくもない。
【0033】
図21は、閉鎖コンパートメント4を下から見た図である。閉鎖コンパートメント4には、特に弱い領域24が設けられており、公知の方法で閉鎖コンパートメント4が確実に破断するように、また、閉鎖コンパートメント4の材料が偶発的に筒型ボディ1の内側で終わることがないようにしている。
【0034】
図22及び図23は、本発明による一又はそれ以上の吸入器を具える、特別なマルチチューブ吸入器を示す図である。各吸入器は、上述したいずれかのタイプであってもよいが、マルチチューブ配置によって、異なる薬学的な活性物質を口から吸入することができ、より多量の投与に使用され、両立できない保存が要求される薬剤の使用あるいは、それ以外の理由による使用が可能である。
【0035】
図24は、粒子状物質を含有する閉鎖コンパートメントが、引き剥がしフォイルの両端である手段によって閉鎖されている吸入器の実施例を示す図である。
【0036】
図25は、キャップによって閉鎖されている筒型ボディであって、一部が各端部における一の溶接フォイル手段によって閉鎖されている二つの閉鎖コンパートメントを提供しており、各コンパートメントが少なくとも一の活性粒子状物質用である実施例を示す。
【0037】
図26は、二つの閉鎖コンパートメントを有するキャップと、両コンパートメント用の共通の引き剥がしフォイルを示す図である。
【0038】
この実施例は、一体的な投与に好適である。
【0039】
図27a、27bおよび27cは、取り入れ方向における波状部分の開始位置に粒子状物質がキャップから放出された後の筒型ボディの波状の折り曲げ可能な部分を通る流れを示す図である。波状部分の段部位に当たることによって、粒子状物質の塊が破砕される結果、物質が連続する波状部分の一つに当たるたびに、よりいっそう分散される。この結果、公知のものよりもよりよいパウダ状の分散が得られる。以下のテーブルに波状部分の影響を示す。
【0040】
波状部分デバイスの研究
渦流室内のパウダの局在性の影響を考察した。選択された粉体処方(ブデゾニド処方研究参照)を、出口部分に対する、デバイスの波状ゾーンの開始部分(1/3、図27a参照)、中央部分(2/3、図27b参照)、および後方部分(3/3、図27c参照)にそれぞれ配置した。
【0041】
各波形ゾーンから送出された投与の微細粉投与量(FPD)を、MSLIを用いて決定した。表1は、各波形ゾーン内の各局在性のテスト結果を要約したものである。

【0042】
パーセンテージは、MSLIによって検出された送出投与量を引用している。
【0043】
結果は:
− デバイス中の薬剤の位置は、微細粉投与量(FPD)に影響しているようである。
− 接触した波状部分の数が多いほど、FPDの値はよくなる。
− ゾーン1/3と2/3の間には、差異は認められなかった。
− ゾーン2/3と3/3の間には、差異が認められた。
【0044】
従来のデバイスは、製造装置に吸入チューブ内に投与物をあらかじめ満たしておくことが必要である。本発明によれば、キャップにあらかじめ投与物を満たしておき、ついでキャップを密封することによって、このような操作が簡素化される。この結果、より高い生産速度とより低い操作コストを得ることができる。
【0045】
本発明は、いくつもの異なる実施例によって説明することができる。本発明の範囲内にとどまりつつ、様々な実施例の代替を示すことができる。
【0046】
本発明に係る吸入器は、鼻吸入と肺吸入に使用することができる。
【0047】
図28は、肺と鼻の両方の吸入用の吸入器を示す図である。吸入器は、二つの閉鎖コンパートメントを有するキャップを具える。各コンパートメントは、活性で、吸入可能な粒子状物質を具えている。各物質は、別々の引き剥がしフォイルを除去することによって、別個に放出することができる。放出した物質の一方は、肺吸入に使用できる。その後、他方の閉鎖コンパートメント内の物質を筒型ボディに放出して、鼻吸入によって吸入されるようにする。この結果、肺吸入と鼻吸入の両方に用いるデバイスが提供される。
【0048】
引き剥がしフォイルの一つに従来の方法で飲み込むピルを設けるようにしても良い。
【0049】
図29は、ピルを含有する閉鎖コンパートメントを伴う肺または鼻吸入用デバイスを示す図である。ピルと、吸入可能な粒子状物質は、ピルを含むコンパートメントと、U字形状の筒型ボディ内に放出すべき粒子状物質を含むコンパートメントに共通の引き剥がしフォイルを除去することによって同時に放出できる。
【0050】
図30は、別に飲み込むピル用の閉鎖コンパートメントを具えるキャップの付いたデバイスを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間に筒型エア流通路を規定する入口端及び出口端と、周辺に延在して渦流室を形成する波形部分を伴う折り曲げ可能な領域を有するほぼU字形形状をした部分と、を有する筒型ボディ(1)と、
前記筒型ボディの入口端及び出口端に取り付けられ、前記入口端と出口端とを連結するキャップ(2)と、
前記キャップ(2)に設けられ、少なくとも1の吸入可能な活性粒子状物質を1投与分含む少なくとも1の閉鎖コンパートメント(4)であって、引き剥がしフォイル(10)で閉鎖されている密封可能な開口部を有し、前記引き剥がしフォイルを引き剥がすことによって該開口部が開いたときに前記粒子状物質が前記閉鎖コンパートメントから前記筒型ボディの入口端を通って前記波形部分の開始部分において前記筒型エア流路へ投与される閉鎖コンパートメントと、を具え、
使用者が前記筒型エア流路の前記出口端から空気を吸入すると、前記粒子状物質が前記波形部分を通って引き込まれ、前記使用者が吸入する空気中に前記粒子状物質が浮遊することを特徴とする吸入器。
【請求項2】
請求項1に記載の吸入器において、前記引き剥がしフォイル(10)が、ラミネートバリアフォイルでできており、前記ラミネートバリアフォイルが、両面をポリプロピレン層で被覆したアルミニウム層でできていることを特徴とする吸入器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吸入器であって、さらに2又はそれ以上の筒型ボディを具え、前記キャップが前記2またはそれ以上の筒型ボディを収納するように構成されていることを特徴とする吸入器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27a】
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【図27b】
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【図27c】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2011−218184(P2011−218184A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127776(P2011−127776)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【分割の表示】特願2006−535948(P2006−535948)の分割
【原出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(506132038)
【Fターム(参考)】