吸入装置
【課題】吸入装置において、液剤の吐出ヘッド部の負圧による吐出不良を防止し、所定量確実な吸入が行なえるようにすることである。
【解決手段】利用者が吸い口部15から液剤を吸入するための吸入装置は、液剤を液滴として吐出するための吐出口を有する液剤吐出部8と、吐出口からの液滴吐出を制御する為に、利用者による吸入時に発生する大気圧との圧力差である負圧を検知する圧力検知部19とを備える。液剤吐出部8の吐出口は、利用者による液剤吸入時に圧力検知部19で検知される大気圧との圧力差より小さい圧力差を生じる位置に配置されている。
【解決手段】利用者が吸い口部15から液剤を吸入するための吸入装置は、液剤を液滴として吐出するための吐出口を有する液剤吐出部8と、吐出口からの液滴吐出を制御する為に、利用者による吸入時に発生する大気圧との圧力差である負圧を検知する圧力検知部19とを備える。液剤吐出部8の吐出口は、利用者による液剤吸入時に圧力検知部19で検知される大気圧との圧力差より小さい圧力差を生じる位置に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸入装置に関し、特に、薬剤、アロマ、ニコチンなどの嗜好品などの液剤を微小滴として吐出して利用者に吸入させる吸入装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、医学及び科学の進歩により、平均寿命が延びて高齢化社会となりつつある。その反面、食生活や生活環境の変化、環境汚染、ウイルスや菌などによる新たな病気や感染症が見つかり、人々の健康に対する不安は増えている。特に、先進国と呼ばれる国々においては、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の患者の増加が問題となっている。
【0003】
例えば、糖尿病患者には、インシュリンの投与が必要となるが、従来は毎食注射による投与が一般的であった。注射器による投与は、相当な苦痛を患者に強いるものであり、この解決策として呼吸器系を経る薬剤の投与が考えられている。これには、一般的には、3つの方法がある。計量された用量吸入器(metered dose inhalers)、ドライパウダー吸入器(dry powder inhalers)、および噴霧器である。
【0004】
計量された用量吸入器(MDI)は、喘息の処置に広く用いられている。このMDIは、操作時にエアロゾルの計量された用量を噴出するバルブを備えるものであって、その装置本体は、小型にすることが可能で携帯するのに便利であるが、噴出用量の変化はかなりの範囲になる。また、MDIの使用には、手動のバルブ操作と吸入とに或る程度の同期を必要とするため、多くのユーザーはこの同期を困難と感じている。
【0005】
ドライパウダー吸入器(DPI)は、流動性を持たせ且つ気管支系内部に有効なパウダーを投与するために大量の空気を吸入しなければならない。これは、前記MDIのバルブ操作と吸入の同期の問題を回避しているようであるが、大量の空気を吸入することは、ユーザーに相当の負担を強いていることになる。また、DPIは、湿気に敏感で吸入されたパウダーに敏感な人の場合、喘息の発作を引き起こすかもしれないので、そのような患者には使用できない。そのうえ、吸入力には個人差があるので、人によって投与される量が、変化する。
【0006】
噴霧器は、キャリアガス流の液体を霧化することによって、エアロゾルを発生させるが、連続動作するガス圧縮器や大量の圧縮ガスを必要とする。一般的にエアロゾルの小滴のサイズは、キャリアガス圧力と速度との関数であり、そのために、ガス流において薬剤の濃度を独立して変化させることは、容易ではない。また、吸入は、噴霧器のノズル内の圧力を減少させるため、用量および粒子サイズは、各呼吸の期間と強さとによって影響される。
【0007】
以上のように、一般的にこれらの装置は、適用個所へ適正粒子サイズの薬剤を適正量投与するという精度に問題があり、用量に広い余裕がある薬剤のみの使用に限定されてしまう。いずれの場合も、意図された適正個所への投与は、ユーザーの技術に頼っているのが現状である。
【0008】
他方、局所的に作用する薬剤を用いて、現在の鼻および肺の治療を最適にする改善された投与システムが要求されているばかりでなく、医学の進歩により、たんぱく質、ペプチド、鎮痛剤などの薬剤の肺への投与(経肺)が、従来の経口または注射による投与手段と比べて、かなり有利であることが示されてきている。しかし、従来提案されている吸入器は、粒子サイズと投与量のバラツキが大きいために、上記のようなケースには利用できていない。
【0009】
具体的な例を挙げて説明する。現在増加傾向にある糖尿病の患者のうち、I型と呼ばれるインスリン依存型糖尿病の患者は、膵臓からインスリンが分泌されないため、定期的にインスリンを投与する必要がある。インスリンの投与は現在皮下注射によって行われているため、患者の肉体的・精神的負担は大きい。このような患者の負担を軽減するために、針が細くあまり痛みを感じないペン型の注射器も開発されている。しかし、I型糖尿病の患者は、インスリンを定期的に投与する必要がある以外は健常者と同様に働いている場合が多いので、ペン型であっても人前で注射を打つことには精神的に抵抗があるため、適切な時間に投与を行うのが困難となる。
【0010】
このようなケースには、患者自身による投与を容易とするべく、薬剤を注射ではなく液滴として吐出して吸気と共に確実に肺に到達させ、肺から薬剤を投与する手軽な方法が待ち望まれているのである。
【0011】
そこで最近、吐出ヘッド部(吐出部)に設けたバブルジェット(登録商標)や圧電素子の力によって、マウスピース等から吸入される空気流の中に、生理学的に有効な薬剤を排出オリフィスから適正な小滴として所定数吐出させる方法が考案されている(特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】国際公開WO95/01137号公報
【特許文献2】国際公開WO02/04043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これらの装置では、吐出される小滴の粒径の均一化が可能となってきている。しかしながら、吸入時に発生する大気圧との圧力差である負圧が、直接、吐出ヘッド部にかかるため、吸入時にオリフィスから液漏れを起こす可能性がある。液漏れが発生した場合、適正な小滴とはならず、また、塞がれてしまったオリフィスからの吐出も行われなくなってしまい、所定量の吐出が行われないことになる。また、吐出ヘッド部に負圧が直接かかるので、吐出ヘッド部の寿命にも影響する問題があり、実用的なものになっていないのが実情である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題に鑑み、本発明の吸入装置は、利用者が吸い口部から液剤を吸入するための吸入装置であって、液剤を液滴として吐出するための吐出口を有する液剤吐出部と、吐出口からの液滴吐出を制御する為に、利用者による吸入時に発生する大気圧との圧力差である負圧を検知する圧力検知部と、を有し、前記液剤吐出部の吐出口が、吸入時に圧力検知部で検知される大気圧との圧力差より小さい圧力差を生じる位置に配置されるように構成されていることを特徴とする。また、利用者が吸い口部から液剤を吸入するための吸入装置であって、一端に吸い口部を有し、利用者が吸入することでエアーフローを形成する流路と、該流路内に設けられ、液剤を液滴として吐出するための吐出口を有する液剤吐出部と、前記流路内に設けられ、利用者による吸入時に発生する大気圧との圧力差である負圧を検知する圧力検知部と、を有し、前記液剤吐出部の吐出口が、吸入時に圧力検知部で検知される大気圧との圧力差より小さい圧力差を生じる位置に配置されるように構成されていることを特徴とする。
【0014】
また、上記課題に鑑み、本発明のマウスピースは、上記の吸入装置に着脱可能なマウスピースであって、吸い口部と外気取り入れ口との間でエアーフローを形成する流路を構成し、前記流路の途中に吐出部の負圧を緩和するための圧力緩和手段を有し、前記圧力緩和手段より吸い口部側に圧力検知部が配置される部分(例えば、後述の負圧センサとの連通穴)を有し、前記圧力緩和手段より外気取り入れ口側に液剤吐出部の吐出口が配置される部分(例えば、後述の液剤取り入れ口)を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、液剤吐出部の吐出口が、吸入時に圧力検知部で検知される大気圧との圧力差より小さい圧力差を生じる位置に配置されているので、吐出部から液漏れを起こす可能性が少なくなり、吐出部の寿命への悪影響も小さくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施形態を説明する。本発明の吸入装置ないし吸入器の一実施形態では、利用者が携帯して所持するように構成されており、利用者のカルテ及び処方箋の情報を含む利用者個人に関する情報を格納する記憶手段を備え、粒子サイズの均一性が高い微小液滴として液剤を定量吐出することを可能として、利用者に吸入させる。そして、処方箋の情報に従って、利用者が液剤を効率的にかつ衛生的に吸入できるように、使用時に利用者が、吸入を行う吸い口部を有するマウスピースと、液剤を収納するタンクを備えタンクから供給された液剤を微小液滴として吐出する吐出ヘッドカートリッジ(CRG)ユニットを吸入器本体に装着可能としている。
【0017】
また、吸入器全体のエアーフローを形成する流路をマウスピースのみにて形成して、マウスピースの途中に圧力緩和手段である絞り部を設け、絞り部より利用者側(すなわち吸い口部側)に圧力検知機能を持つ圧力検知部を配置し、絞り部より外気取り入れ口側にCRGユニットの吐出部を配置している。吐出ヘッド部には、或る一定以上(例えば、−0.3kPa以上(絶対値として0.3以上))の負圧がかかると吐出口から液剤が流れ出てしまい、吐出口を塞ぎ、それ以降の液剤の吐出が良好に行われなくなる。そこで絞り部を設けることにより、利用者の吸入により発生する負圧を吐出口が直接受けなくなり、吐出ヘッド部の吐出口からの微小液滴の吐出が連続的に良好に行える様になる。こうして、吐出部の吐出口が、吸入時に発生する大気圧との圧力差である負圧によって吐出口から液剤が自然に吐出しない程度の圧力差を生じる位置に配置されるように構成されて、液滴の吐出が良好に行える様になる。吐出部における吐出方式としては、熱エネルギー、圧電エネルギーのいずれを利用するものでもよい。いずれの方式でも、大気開放しているタンクからノズルの毛管力により液供給されるので、タンクによる(負)圧と吐出口メニスカスのバランスがとれる範囲での気圧環境が必要であるからである。
【0018】
図8に示すように、圧力検知部が一定の負圧を検知して吐出口からの吐出が開始されるが、圧力検知部が検知する最低負圧としては、吸入量によって圧力検知部に発生する負圧には個人差があり、一般的には、肺活量と関係してくるので、適切に設定する必要がある。したがって、肺活量の少ない子供や老人の使用を考慮すると、この負圧が−0.5kPa以上(絶対値として0.5以上)になるように前記絞り部断面積を10mm2程度に設定するのが良く、これによって吸入により発生する負圧変化(図8に示す吸入カーブ)も圧力検知部で精度良く測定することが可能となる。利用者の肺活量に応じて前記絞り部断面積を吸入しやすくするために変えてもよく、例えば、肺活量の多い人には、前記絞り部断面積を大きくする方向に変えてもよい。
【0019】
ここでは吸入器全体のエアーフローをマウスピースのみにて形成していることで、液剤によるエアーフロー部の汚れは、マウスピース中の流路のみとなり、マウスピースだけを洗浄すれば、吸入器内部は安全に衛生的に保たれる。
【0020】
また、吸入器において液剤を吐出させる際に、液剤の吐出に関するパラメータ(吐出速度、吐出時間など)を、例えば吸入量等に応じて変化させることにより(すなわち、圧力検知部で検知される図8に示す吸入カーブの変化具合に応じて変化させることにより)、より多くの液剤を利用者の肺まで送り込んで吸入効率を向上させることができる。このように、利用者が吸入を行う所定時間内に、負圧センサから得た吸入の流速変化(負圧変化)に応じて、液剤の吐出に関するパラメータを変化させる吐出制御手段を有する場合、利用者が前記吸入を行う所定時間内に所定の吸入が行えなかったときに再吸入の告知を行う手段を有することもできる。こうした実施形態は、使いやすさを重要視して煩わしい操作を極力なくし、どこでも誰でも簡単に使用できる。
【0021】
以下のような構成を採ることもできる。
圧力緩和手段としては、エアーフローを形成する流路を常時ほぼ塞ぐが吸入時に開く弁を用いることもでき、この弁より吸い口部側に圧力検知部が配置され、その反対側に吐出部の吐出口が配置される。それまで閉じていた弁が吸入によって開き始めるので、弁を挟んで吸い口部とは反対側にある吐出部の吐出口にはややタイミングが遅れて且つ緩和されて負圧が届くことになるので圧力緩和手段として機能することになる。
【0022】
圧力検知部と吐出部の吐出口が、吸い口部からの別々の流路に面するように配置されてもよい。この場合、流路は吸い口部のところで流路出口を形成し、吸い口部は、流路出口の周りに人の口形状に合わせて形成されると共に別の流路を形成する部分を有し、そして圧力検知部が配置される部分(負圧センサとの連通穴)は前記別の流路に面している。
【0023】
また、負圧センサを使用して吸入量のモニタを行い(すなわち、図8に示す吸入カーブのモニタを行い)、吸入量が適正値であったかどうかを利用者にLEDの点滅、振動モータの振動態様の変化などで知らせる手段を備えてもよい。また、吸入を開始していつまで吸入すればよいかという吸入時間を利用者に知らせる手段を備えてもよい。この吸入時間を知らせる手段としては、振動モータの振動を利用した手段を用いることができる。
【0024】
こうした構成の吸入装置においては、患者(利用者)の精神的、肉体的負担を軽減し、患者の簡単な操作にて薬剤(液剤)の吸入が可能となり、薬剤を処方箋に従って正確に吐出管理するとともに、患者の吸入量に応じて吐出の駆動パラメータを変化させることにより、より多くの薬剤を肺まで送り込んで吸入効率を向上させ、効率良く薬剤を投与する効果がある。
【実施例】
【0025】
以下、図を参照して本発明の実施例について詳細に説明する。
【0026】
[実施例1]
図1は、吸入器の外観を示す斜視図である。1は吸入器本体、2はアクセスカバー、3はフロントカバーで、これらによりハウジングを形成している。5はロックレバーで、アクセスカバー2が使用時に開かないように、アクセスカバー2の先端に設けた突起部2aに、バネによって付勢されたロックレバー5の先端に設けた爪形状部がひっかかりを持つように形成されている。ロックレバー5を下方にスライドさせると、アクセスカバー2を付勢している不図示のアクセスカバー戻しバネの力によりアクセスカバー2が不図示のヒンジ軸を回転中心として開く。また、101は電源スイッチ、102は表示用LEDで、後述の吐出ヘッドカートリッジ(CRG)ユニットあるいはマウスピースが装着されていないとか、CRGユニットのタンク内の液剤が空であるとか等を表示するためのものである。
【0027】
図2は、アクセスカバー2が開いた状態を図示したものである。アクセスカバー2が開くと、CRGガイド20に沿ってハウジング内に装着されたCRGユニット6とマウスピース4が見えてくる。マウスピース4はCRGユニット6の下にあり、これらは交差して装着されている。CRGユニット6の全体を図3に示す。CRGユニット6は、液剤を包含するタンク7、液剤を吐出するヘッド部(吐出部)8、ヘッド部8に設けたヒーターに熱エネルギーを発生させるための電力をバッテリ10(図7参照)から供給するための電気接続面を有する部分(電気接続部)9等から構成されている。バッテリ10は、このヒーターに熱エネルギーを発生させるための電力を吸入器内部に保持している2次電池として充電可能なものである。CRGユニット6の前面部はヒンジ部24を中心に開けられる様になっていて、タンク7にアクセスできる。この前面部の裏面には、例えば突起が形成されていて、前面部を閉じると同時にこの突起がタンク7内に入ってタンク7内の液剤に若干圧力をかけ、ヘッド部8の吐出口のリフレッシュを行う様になっている。
【0028】
マウスピース4の断面図を図4および図5に示す。マウスピース4は、マウスピース4のみで空気流路を形成しており、空気取り入れ口11の近くの部分に、CRGユニット6のヘッド部8に設けられた吐出口から液剤をマウスピース4内に取り入れる窓(液剤取り入れ口)12が開けられている。マウスピース4の途中には、断面積が小さくなる方向になだらかに変化した形状の絞り部4aが形成されている。図6に詳しく示すように、断面積が小さくなった絞り部4aからまた断面積が広がった部分には、負圧を検知して吸入速度ないしその積分値としての流量を検出するための負圧センサ19の測定穴と連通する穴13が設けてある。負圧センサ19はコントロール基板21(図6、図7参照)上に配置されている。空気穴13から負圧センサ19に連通する流路の途中には、広がった拡大空間22が設けられている。これは、ゴミ、汚れ、水滴、液剤等の溜まり場として設けられ、これらが空気穴13より侵入して負圧センサ19の表面に付着して誤動作を起こすことを防いでいる。
【0029】
空気取り入れ口11の反対端部には、人が咥える形状をなしているマウスピース出口(吸い口部)15が形成されている。マウスピース出口15は、人の口形状に合わせて断面が楕円形状とされていて、二重構造とした内部に液剤の通り道となる流路出口14が設けられている。空気と液剤との混合流体が出口のところで急に広がってマウスピース出口15を咥えている人の口の歯などに混合流体が付着しない様に、流路出口14は断面積が徐々に広がった形状をなしている。したがって、利用者はマウスピース出口15を咥える際、流路出口14の端は若干歯の中に入るようにするとよい。そのことを行い易くするために、流路出口14の端はマウスピース出口15の端より若干外に出ているように形成してもよい。また、図1および図2で示すように、マウスピース4の空気流路の断面は四角形状をしていて、マウスピース4をハウジング内に装着するときに、空気取り入れ口11が上に向いた状態で確実に装着できる様になっている。
【0030】
図7には、本実施例の吸入装置の全体縦断面図を示す。バッテリ10の下には吸入器の制御を行うコントロール基板21を配置している。また、コントロール基板21からケーブルまたはコネクタ(図7ではコネクタ25を用いている)で繋げられたプローブ基板16が、CRGユニット6の下に配置され、プローブ基板16からCRGユニット6の電気接続部9に繋げるために、CRGユニット6のヘッド部8に発熱用の通電を行うコンタクトプローブ17が設けられている。バッテリ10とマウスピース4の間の空間には、コントロール基板21に接するよう振動モータ18が配置されている。
【0031】
以上の構成の本実施例の吸入動作を図8を参照して説明する。
利用者の吸入が開始され、負圧センサ19で検知される負圧(吸入速度あるいは流量に関係する)が吐出可能な領域に達したなら、コントロール基板21による制御によってCRGユニット6のヘッド部8から液剤吐出が開始され、同時に振動モータ18の振動も開始されて、利用者に液剤吐出が開始したことを知らせる。ヘッド部8から予定量の液剤吐出が終了した後、最後の吐出液剤が肺に到達するように、負圧センサ19の負圧測定値より演算された吸入速度及び吸入持続時間をもとに、予備吸入分を吸入させるべく振動モータ18は吐出終了後予備吸入時間分振動し、吐出された液剤が完全に肺に到達するように利用者に吸入を促す。振動モータ18の振動が終了すると、利用者ないし患者は吸入を停止する。これによると液剤吐出と吸入が連動し、確実に液剤を肺に送り込むことが可能となり、吸入不足などの失敗がなくなる。
【0032】
この様にして利用者の吸入動作によって、空気取り入れ口11から空気がマウスピース4内に入り込み、CRGユニット6のヘッド部8に設けた吐出口から吐出された液剤と混合流体となり、人が咥える形状をなしているマウスピース出口15へと向かう。マウスピース出口13では、口の横脇からの混合流体の漏れを防いで吸入のムダを少なくし、かつ、口内での歯等の障害物に混合流体が衝突しにくくして、液剤が効率良く利用者の体内に吸入される。
【0033】
本実施例では、患者ないし利用者は周りの人に知られるのを嫌うことと周囲の人への迷惑を配慮して、音による告知より振動モータ18を利用した振動の方が好まれるために、振動モータを設けている。これにより、どこでも簡単に吸入が可能となる。
【0034】
図9のフロー図を参照して吸入装置の全体的な動作の一例を説明する。電源スイッチ101を入れると、アクセスカバー2の開閉が検知され(S801)、開放している場合は表示用LED102などで警告を発する。閉じていれば、次にCRGユニット6が装着されているか否かが検知される(S802)。この例では、装着されていない場合、ブルーツース通信を開始して(S803)利用者に関する処方量などのデータを送受信する(S804)。通信が終了すれば(S805)、これで動作を終了する。このモードは主として利用者のドクターなどが利用するものである。
【0035】
CRGユニット6が装着されている場合には次の様になる。このモードは、通常、患者ないし利用者が利用するものである。利用者が吸入を開始し(S806)、この吸入が検知されて負圧センサ19で一定の負圧が検知されると(S807)、吐出ヘッド部8が液滴吐出を開始する(S808)。一定の負圧が検知されないときは、さらに強い吸入を促す警告を発してもよい。
【0036】
液剤吐出は開始時間から所定時間続いて、所定量の液剤が吐出されるようになっている。この量は、読み込まれたデータから決定されている。その後、負圧センサ19が吸入による負圧の時間的変化をモニタしていて、その積分量(どの時点からの積分量を見るかは適当に設定すればよい)から所定量吸入されたか否かを検知し(この積分量は利用者のエアと液剤の混合気体の吸入量と関係するので、液剤の所定量吸入を検知することに相当する)(S809)、所定量吸入されれば動作を終了する。この間、振動モータ18の振動が行われることになる。もし、所定時間経ても液剤の所定量吸入を検知できない場合は、振動モータ18の振動態様の変化などで利用者に警告を発して再吸入を促す(S806)。このとき不足吸入量分を演算して(S810)、それに応じて、吐出ヘッド部8による液滴吐出の量、吸入時間(すなわち、振動モータ18の振動時間)などが設定されることになる。
【0037】
以上の本実施例によれば、液剤吐出部の吐出口が、吸入時に圧力検知部で検知される大気圧との圧力差より小さい圧力差を生じる位置に確実に配置されるので、吐出部から液漏れを起こす可能性が少なくなり、吐出部の寿命への悪影響も小さくなる。そして、簡単な操作で所定量の液剤を確実に効率良く利用者に投与できる。
【0038】
[実施例2]
図10に、実施例1とは、圧力検知部(負圧センサ19との連通穴13)への流路の構成のみが異なる実施例2を示す。実施例2では、マウスピース4の先端部にあるマウスピース出口15の流路出口14の外側に連通穴13が設けられ、これにより、負圧センサ19への負圧検知流路が、マウスピース4の空気流路と完全に分離され、並行に配置されている。マウスピース4を吸入装置の上方かつ前面から挿入する装着方式を取る場合に、装着方向が、連通穴13が負圧センサ19への負圧検知流路と密着する方向なので、空気漏れを防ぐのに有利となる。したがって、負圧検知が確実に行われることになる。また、負圧センサ19への負圧検知流路と液剤の流路とは、完全に分離されているので、負圧検知流路の液剤による汚れ等も少なくなり、精度の良い検知が確保される。その他の点は実施例1と同じである。
【0039】
[実施例3]
図11に、実施例1の流路絞り方式とは異なる圧力緩和手段を備える実施例3を示す。実施例3では、マウスピース4の流路において、負圧センサ19への連通穴13と吐出ヘッド部8の来る液剤取り入れ口12との間の部分に、流路の断面積とほぼ同じ大きさの弁30を回動可能に設ける。弁30は、吸入時以外は、常時、弁ストッパ31に当たって流路をほぼ塞ぐ図11(a)の状態にある。利用者が吸入することにより弁30は図11(b)に示す如く開くが、この際、負圧センサ19側の流路空間には比較的強い負圧が生じるが、吐出ヘッド部8側の流路空間にはそれ程の負圧が生じない。よって、実施例1と同様な効果が奏される。その他の点は実施例1と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の吸入器ないし吸入装置の一例の斜視図である。
【図2】図1でアクセスカバーが開いた状態の斜視図である。
【図3】CRGユニットの一例の斜視図である。
【図4】マウスピースの一例の側面方向断面図である。
【図5】図4のマウスピースの正面方向断面図である。
【図6】図4のマウスピースと負圧センサとCRGユニットの吐出ヘッド部の配置関 係を示す側面断面図である。
【図7】図1の吸入器ないし吸入装置の全体断面図である。
【図8】図1の吸入器ないし吸入装置の吸入動作例を説明するグラフ図である。
【図9】図1の吸入器ないし吸入装置の全体的な動作を説明するフローチャートであ る。
【図10】流路並列タイプの実施例2のマウスピース付近の構成の断面図である。
【図11】弁を用いる実施例3の動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0041】
1 吸入器本体
4 マウスピース
4a、30、31 圧力緩和手段(絞り部、弁)
6 吐出ヘッドカートリッジ(CRG)ユニット
8 吐出ヘッド部(吐出部)
11 外気(空気)取り入れ口
12 液剤吐出部の吐出口が配置される部分(液剤取り入れ口)
13 圧力検知部が配置される部分(負圧センサへの連通穴)
15 マウスピース出口(吸い口部)
19 負圧センサ(圧力検知部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸入装置に関し、特に、薬剤、アロマ、ニコチンなどの嗜好品などの液剤を微小滴として吐出して利用者に吸入させる吸入装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、医学及び科学の進歩により、平均寿命が延びて高齢化社会となりつつある。その反面、食生活や生活環境の変化、環境汚染、ウイルスや菌などによる新たな病気や感染症が見つかり、人々の健康に対する不安は増えている。特に、先進国と呼ばれる国々においては、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の患者の増加が問題となっている。
【0003】
例えば、糖尿病患者には、インシュリンの投与が必要となるが、従来は毎食注射による投与が一般的であった。注射器による投与は、相当な苦痛を患者に強いるものであり、この解決策として呼吸器系を経る薬剤の投与が考えられている。これには、一般的には、3つの方法がある。計量された用量吸入器(metered dose inhalers)、ドライパウダー吸入器(dry powder inhalers)、および噴霧器である。
【0004】
計量された用量吸入器(MDI)は、喘息の処置に広く用いられている。このMDIは、操作時にエアロゾルの計量された用量を噴出するバルブを備えるものであって、その装置本体は、小型にすることが可能で携帯するのに便利であるが、噴出用量の変化はかなりの範囲になる。また、MDIの使用には、手動のバルブ操作と吸入とに或る程度の同期を必要とするため、多くのユーザーはこの同期を困難と感じている。
【0005】
ドライパウダー吸入器(DPI)は、流動性を持たせ且つ気管支系内部に有効なパウダーを投与するために大量の空気を吸入しなければならない。これは、前記MDIのバルブ操作と吸入の同期の問題を回避しているようであるが、大量の空気を吸入することは、ユーザーに相当の負担を強いていることになる。また、DPIは、湿気に敏感で吸入されたパウダーに敏感な人の場合、喘息の発作を引き起こすかもしれないので、そのような患者には使用できない。そのうえ、吸入力には個人差があるので、人によって投与される量が、変化する。
【0006】
噴霧器は、キャリアガス流の液体を霧化することによって、エアロゾルを発生させるが、連続動作するガス圧縮器や大量の圧縮ガスを必要とする。一般的にエアロゾルの小滴のサイズは、キャリアガス圧力と速度との関数であり、そのために、ガス流において薬剤の濃度を独立して変化させることは、容易ではない。また、吸入は、噴霧器のノズル内の圧力を減少させるため、用量および粒子サイズは、各呼吸の期間と強さとによって影響される。
【0007】
以上のように、一般的にこれらの装置は、適用個所へ適正粒子サイズの薬剤を適正量投与するという精度に問題があり、用量に広い余裕がある薬剤のみの使用に限定されてしまう。いずれの場合も、意図された適正個所への投与は、ユーザーの技術に頼っているのが現状である。
【0008】
他方、局所的に作用する薬剤を用いて、現在の鼻および肺の治療を最適にする改善された投与システムが要求されているばかりでなく、医学の進歩により、たんぱく質、ペプチド、鎮痛剤などの薬剤の肺への投与(経肺)が、従来の経口または注射による投与手段と比べて、かなり有利であることが示されてきている。しかし、従来提案されている吸入器は、粒子サイズと投与量のバラツキが大きいために、上記のようなケースには利用できていない。
【0009】
具体的な例を挙げて説明する。現在増加傾向にある糖尿病の患者のうち、I型と呼ばれるインスリン依存型糖尿病の患者は、膵臓からインスリンが分泌されないため、定期的にインスリンを投与する必要がある。インスリンの投与は現在皮下注射によって行われているため、患者の肉体的・精神的負担は大きい。このような患者の負担を軽減するために、針が細くあまり痛みを感じないペン型の注射器も開発されている。しかし、I型糖尿病の患者は、インスリンを定期的に投与する必要がある以外は健常者と同様に働いている場合が多いので、ペン型であっても人前で注射を打つことには精神的に抵抗があるため、適切な時間に投与を行うのが困難となる。
【0010】
このようなケースには、患者自身による投与を容易とするべく、薬剤を注射ではなく液滴として吐出して吸気と共に確実に肺に到達させ、肺から薬剤を投与する手軽な方法が待ち望まれているのである。
【0011】
そこで最近、吐出ヘッド部(吐出部)に設けたバブルジェット(登録商標)や圧電素子の力によって、マウスピース等から吸入される空気流の中に、生理学的に有効な薬剤を排出オリフィスから適正な小滴として所定数吐出させる方法が考案されている(特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】国際公開WO95/01137号公報
【特許文献2】国際公開WO02/04043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これらの装置では、吐出される小滴の粒径の均一化が可能となってきている。しかしながら、吸入時に発生する大気圧との圧力差である負圧が、直接、吐出ヘッド部にかかるため、吸入時にオリフィスから液漏れを起こす可能性がある。液漏れが発生した場合、適正な小滴とはならず、また、塞がれてしまったオリフィスからの吐出も行われなくなってしまい、所定量の吐出が行われないことになる。また、吐出ヘッド部に負圧が直接かかるので、吐出ヘッド部の寿命にも影響する問題があり、実用的なものになっていないのが実情である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題に鑑み、本発明の吸入装置は、利用者が吸い口部から液剤を吸入するための吸入装置であって、液剤を液滴として吐出するための吐出口を有する液剤吐出部と、吐出口からの液滴吐出を制御する為に、利用者による吸入時に発生する大気圧との圧力差である負圧を検知する圧力検知部と、を有し、前記液剤吐出部の吐出口が、吸入時に圧力検知部で検知される大気圧との圧力差より小さい圧力差を生じる位置に配置されるように構成されていることを特徴とする。また、利用者が吸い口部から液剤を吸入するための吸入装置であって、一端に吸い口部を有し、利用者が吸入することでエアーフローを形成する流路と、該流路内に設けられ、液剤を液滴として吐出するための吐出口を有する液剤吐出部と、前記流路内に設けられ、利用者による吸入時に発生する大気圧との圧力差である負圧を検知する圧力検知部と、を有し、前記液剤吐出部の吐出口が、吸入時に圧力検知部で検知される大気圧との圧力差より小さい圧力差を生じる位置に配置されるように構成されていることを特徴とする。
【0014】
また、上記課題に鑑み、本発明のマウスピースは、上記の吸入装置に着脱可能なマウスピースであって、吸い口部と外気取り入れ口との間でエアーフローを形成する流路を構成し、前記流路の途中に吐出部の負圧を緩和するための圧力緩和手段を有し、前記圧力緩和手段より吸い口部側に圧力検知部が配置される部分(例えば、後述の負圧センサとの連通穴)を有し、前記圧力緩和手段より外気取り入れ口側に液剤吐出部の吐出口が配置される部分(例えば、後述の液剤取り入れ口)を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、液剤吐出部の吐出口が、吸入時に圧力検知部で検知される大気圧との圧力差より小さい圧力差を生じる位置に配置されているので、吐出部から液漏れを起こす可能性が少なくなり、吐出部の寿命への悪影響も小さくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施形態を説明する。本発明の吸入装置ないし吸入器の一実施形態では、利用者が携帯して所持するように構成されており、利用者のカルテ及び処方箋の情報を含む利用者個人に関する情報を格納する記憶手段を備え、粒子サイズの均一性が高い微小液滴として液剤を定量吐出することを可能として、利用者に吸入させる。そして、処方箋の情報に従って、利用者が液剤を効率的にかつ衛生的に吸入できるように、使用時に利用者が、吸入を行う吸い口部を有するマウスピースと、液剤を収納するタンクを備えタンクから供給された液剤を微小液滴として吐出する吐出ヘッドカートリッジ(CRG)ユニットを吸入器本体に装着可能としている。
【0017】
また、吸入器全体のエアーフローを形成する流路をマウスピースのみにて形成して、マウスピースの途中に圧力緩和手段である絞り部を設け、絞り部より利用者側(すなわち吸い口部側)に圧力検知機能を持つ圧力検知部を配置し、絞り部より外気取り入れ口側にCRGユニットの吐出部を配置している。吐出ヘッド部には、或る一定以上(例えば、−0.3kPa以上(絶対値として0.3以上))の負圧がかかると吐出口から液剤が流れ出てしまい、吐出口を塞ぎ、それ以降の液剤の吐出が良好に行われなくなる。そこで絞り部を設けることにより、利用者の吸入により発生する負圧を吐出口が直接受けなくなり、吐出ヘッド部の吐出口からの微小液滴の吐出が連続的に良好に行える様になる。こうして、吐出部の吐出口が、吸入時に発生する大気圧との圧力差である負圧によって吐出口から液剤が自然に吐出しない程度の圧力差を生じる位置に配置されるように構成されて、液滴の吐出が良好に行える様になる。吐出部における吐出方式としては、熱エネルギー、圧電エネルギーのいずれを利用するものでもよい。いずれの方式でも、大気開放しているタンクからノズルの毛管力により液供給されるので、タンクによる(負)圧と吐出口メニスカスのバランスがとれる範囲での気圧環境が必要であるからである。
【0018】
図8に示すように、圧力検知部が一定の負圧を検知して吐出口からの吐出が開始されるが、圧力検知部が検知する最低負圧としては、吸入量によって圧力検知部に発生する負圧には個人差があり、一般的には、肺活量と関係してくるので、適切に設定する必要がある。したがって、肺活量の少ない子供や老人の使用を考慮すると、この負圧が−0.5kPa以上(絶対値として0.5以上)になるように前記絞り部断面積を10mm2程度に設定するのが良く、これによって吸入により発生する負圧変化(図8に示す吸入カーブ)も圧力検知部で精度良く測定することが可能となる。利用者の肺活量に応じて前記絞り部断面積を吸入しやすくするために変えてもよく、例えば、肺活量の多い人には、前記絞り部断面積を大きくする方向に変えてもよい。
【0019】
ここでは吸入器全体のエアーフローをマウスピースのみにて形成していることで、液剤によるエアーフロー部の汚れは、マウスピース中の流路のみとなり、マウスピースだけを洗浄すれば、吸入器内部は安全に衛生的に保たれる。
【0020】
また、吸入器において液剤を吐出させる際に、液剤の吐出に関するパラメータ(吐出速度、吐出時間など)を、例えば吸入量等に応じて変化させることにより(すなわち、圧力検知部で検知される図8に示す吸入カーブの変化具合に応じて変化させることにより)、より多くの液剤を利用者の肺まで送り込んで吸入効率を向上させることができる。このように、利用者が吸入を行う所定時間内に、負圧センサから得た吸入の流速変化(負圧変化)に応じて、液剤の吐出に関するパラメータを変化させる吐出制御手段を有する場合、利用者が前記吸入を行う所定時間内に所定の吸入が行えなかったときに再吸入の告知を行う手段を有することもできる。こうした実施形態は、使いやすさを重要視して煩わしい操作を極力なくし、どこでも誰でも簡単に使用できる。
【0021】
以下のような構成を採ることもできる。
圧力緩和手段としては、エアーフローを形成する流路を常時ほぼ塞ぐが吸入時に開く弁を用いることもでき、この弁より吸い口部側に圧力検知部が配置され、その反対側に吐出部の吐出口が配置される。それまで閉じていた弁が吸入によって開き始めるので、弁を挟んで吸い口部とは反対側にある吐出部の吐出口にはややタイミングが遅れて且つ緩和されて負圧が届くことになるので圧力緩和手段として機能することになる。
【0022】
圧力検知部と吐出部の吐出口が、吸い口部からの別々の流路に面するように配置されてもよい。この場合、流路は吸い口部のところで流路出口を形成し、吸い口部は、流路出口の周りに人の口形状に合わせて形成されると共に別の流路を形成する部分を有し、そして圧力検知部が配置される部分(負圧センサとの連通穴)は前記別の流路に面している。
【0023】
また、負圧センサを使用して吸入量のモニタを行い(すなわち、図8に示す吸入カーブのモニタを行い)、吸入量が適正値であったかどうかを利用者にLEDの点滅、振動モータの振動態様の変化などで知らせる手段を備えてもよい。また、吸入を開始していつまで吸入すればよいかという吸入時間を利用者に知らせる手段を備えてもよい。この吸入時間を知らせる手段としては、振動モータの振動を利用した手段を用いることができる。
【0024】
こうした構成の吸入装置においては、患者(利用者)の精神的、肉体的負担を軽減し、患者の簡単な操作にて薬剤(液剤)の吸入が可能となり、薬剤を処方箋に従って正確に吐出管理するとともに、患者の吸入量に応じて吐出の駆動パラメータを変化させることにより、より多くの薬剤を肺まで送り込んで吸入効率を向上させ、効率良く薬剤を投与する効果がある。
【実施例】
【0025】
以下、図を参照して本発明の実施例について詳細に説明する。
【0026】
[実施例1]
図1は、吸入器の外観を示す斜視図である。1は吸入器本体、2はアクセスカバー、3はフロントカバーで、これらによりハウジングを形成している。5はロックレバーで、アクセスカバー2が使用時に開かないように、アクセスカバー2の先端に設けた突起部2aに、バネによって付勢されたロックレバー5の先端に設けた爪形状部がひっかかりを持つように形成されている。ロックレバー5を下方にスライドさせると、アクセスカバー2を付勢している不図示のアクセスカバー戻しバネの力によりアクセスカバー2が不図示のヒンジ軸を回転中心として開く。また、101は電源スイッチ、102は表示用LEDで、後述の吐出ヘッドカートリッジ(CRG)ユニットあるいはマウスピースが装着されていないとか、CRGユニットのタンク内の液剤が空であるとか等を表示するためのものである。
【0027】
図2は、アクセスカバー2が開いた状態を図示したものである。アクセスカバー2が開くと、CRGガイド20に沿ってハウジング内に装着されたCRGユニット6とマウスピース4が見えてくる。マウスピース4はCRGユニット6の下にあり、これらは交差して装着されている。CRGユニット6の全体を図3に示す。CRGユニット6は、液剤を包含するタンク7、液剤を吐出するヘッド部(吐出部)8、ヘッド部8に設けたヒーターに熱エネルギーを発生させるための電力をバッテリ10(図7参照)から供給するための電気接続面を有する部分(電気接続部)9等から構成されている。バッテリ10は、このヒーターに熱エネルギーを発生させるための電力を吸入器内部に保持している2次電池として充電可能なものである。CRGユニット6の前面部はヒンジ部24を中心に開けられる様になっていて、タンク7にアクセスできる。この前面部の裏面には、例えば突起が形成されていて、前面部を閉じると同時にこの突起がタンク7内に入ってタンク7内の液剤に若干圧力をかけ、ヘッド部8の吐出口のリフレッシュを行う様になっている。
【0028】
マウスピース4の断面図を図4および図5に示す。マウスピース4は、マウスピース4のみで空気流路を形成しており、空気取り入れ口11の近くの部分に、CRGユニット6のヘッド部8に設けられた吐出口から液剤をマウスピース4内に取り入れる窓(液剤取り入れ口)12が開けられている。マウスピース4の途中には、断面積が小さくなる方向になだらかに変化した形状の絞り部4aが形成されている。図6に詳しく示すように、断面積が小さくなった絞り部4aからまた断面積が広がった部分には、負圧を検知して吸入速度ないしその積分値としての流量を検出するための負圧センサ19の測定穴と連通する穴13が設けてある。負圧センサ19はコントロール基板21(図6、図7参照)上に配置されている。空気穴13から負圧センサ19に連通する流路の途中には、広がった拡大空間22が設けられている。これは、ゴミ、汚れ、水滴、液剤等の溜まり場として設けられ、これらが空気穴13より侵入して負圧センサ19の表面に付着して誤動作を起こすことを防いでいる。
【0029】
空気取り入れ口11の反対端部には、人が咥える形状をなしているマウスピース出口(吸い口部)15が形成されている。マウスピース出口15は、人の口形状に合わせて断面が楕円形状とされていて、二重構造とした内部に液剤の通り道となる流路出口14が設けられている。空気と液剤との混合流体が出口のところで急に広がってマウスピース出口15を咥えている人の口の歯などに混合流体が付着しない様に、流路出口14は断面積が徐々に広がった形状をなしている。したがって、利用者はマウスピース出口15を咥える際、流路出口14の端は若干歯の中に入るようにするとよい。そのことを行い易くするために、流路出口14の端はマウスピース出口15の端より若干外に出ているように形成してもよい。また、図1および図2で示すように、マウスピース4の空気流路の断面は四角形状をしていて、マウスピース4をハウジング内に装着するときに、空気取り入れ口11が上に向いた状態で確実に装着できる様になっている。
【0030】
図7には、本実施例の吸入装置の全体縦断面図を示す。バッテリ10の下には吸入器の制御を行うコントロール基板21を配置している。また、コントロール基板21からケーブルまたはコネクタ(図7ではコネクタ25を用いている)で繋げられたプローブ基板16が、CRGユニット6の下に配置され、プローブ基板16からCRGユニット6の電気接続部9に繋げるために、CRGユニット6のヘッド部8に発熱用の通電を行うコンタクトプローブ17が設けられている。バッテリ10とマウスピース4の間の空間には、コントロール基板21に接するよう振動モータ18が配置されている。
【0031】
以上の構成の本実施例の吸入動作を図8を参照して説明する。
利用者の吸入が開始され、負圧センサ19で検知される負圧(吸入速度あるいは流量に関係する)が吐出可能な領域に達したなら、コントロール基板21による制御によってCRGユニット6のヘッド部8から液剤吐出が開始され、同時に振動モータ18の振動も開始されて、利用者に液剤吐出が開始したことを知らせる。ヘッド部8から予定量の液剤吐出が終了した後、最後の吐出液剤が肺に到達するように、負圧センサ19の負圧測定値より演算された吸入速度及び吸入持続時間をもとに、予備吸入分を吸入させるべく振動モータ18は吐出終了後予備吸入時間分振動し、吐出された液剤が完全に肺に到達するように利用者に吸入を促す。振動モータ18の振動が終了すると、利用者ないし患者は吸入を停止する。これによると液剤吐出と吸入が連動し、確実に液剤を肺に送り込むことが可能となり、吸入不足などの失敗がなくなる。
【0032】
この様にして利用者の吸入動作によって、空気取り入れ口11から空気がマウスピース4内に入り込み、CRGユニット6のヘッド部8に設けた吐出口から吐出された液剤と混合流体となり、人が咥える形状をなしているマウスピース出口15へと向かう。マウスピース出口13では、口の横脇からの混合流体の漏れを防いで吸入のムダを少なくし、かつ、口内での歯等の障害物に混合流体が衝突しにくくして、液剤が効率良く利用者の体内に吸入される。
【0033】
本実施例では、患者ないし利用者は周りの人に知られるのを嫌うことと周囲の人への迷惑を配慮して、音による告知より振動モータ18を利用した振動の方が好まれるために、振動モータを設けている。これにより、どこでも簡単に吸入が可能となる。
【0034】
図9のフロー図を参照して吸入装置の全体的な動作の一例を説明する。電源スイッチ101を入れると、アクセスカバー2の開閉が検知され(S801)、開放している場合は表示用LED102などで警告を発する。閉じていれば、次にCRGユニット6が装着されているか否かが検知される(S802)。この例では、装着されていない場合、ブルーツース通信を開始して(S803)利用者に関する処方量などのデータを送受信する(S804)。通信が終了すれば(S805)、これで動作を終了する。このモードは主として利用者のドクターなどが利用するものである。
【0035】
CRGユニット6が装着されている場合には次の様になる。このモードは、通常、患者ないし利用者が利用するものである。利用者が吸入を開始し(S806)、この吸入が検知されて負圧センサ19で一定の負圧が検知されると(S807)、吐出ヘッド部8が液滴吐出を開始する(S808)。一定の負圧が検知されないときは、さらに強い吸入を促す警告を発してもよい。
【0036】
液剤吐出は開始時間から所定時間続いて、所定量の液剤が吐出されるようになっている。この量は、読み込まれたデータから決定されている。その後、負圧センサ19が吸入による負圧の時間的変化をモニタしていて、その積分量(どの時点からの積分量を見るかは適当に設定すればよい)から所定量吸入されたか否かを検知し(この積分量は利用者のエアと液剤の混合気体の吸入量と関係するので、液剤の所定量吸入を検知することに相当する)(S809)、所定量吸入されれば動作を終了する。この間、振動モータ18の振動が行われることになる。もし、所定時間経ても液剤の所定量吸入を検知できない場合は、振動モータ18の振動態様の変化などで利用者に警告を発して再吸入を促す(S806)。このとき不足吸入量分を演算して(S810)、それに応じて、吐出ヘッド部8による液滴吐出の量、吸入時間(すなわち、振動モータ18の振動時間)などが設定されることになる。
【0037】
以上の本実施例によれば、液剤吐出部の吐出口が、吸入時に圧力検知部で検知される大気圧との圧力差より小さい圧力差を生じる位置に確実に配置されるので、吐出部から液漏れを起こす可能性が少なくなり、吐出部の寿命への悪影響も小さくなる。そして、簡単な操作で所定量の液剤を確実に効率良く利用者に投与できる。
【0038】
[実施例2]
図10に、実施例1とは、圧力検知部(負圧センサ19との連通穴13)への流路の構成のみが異なる実施例2を示す。実施例2では、マウスピース4の先端部にあるマウスピース出口15の流路出口14の外側に連通穴13が設けられ、これにより、負圧センサ19への負圧検知流路が、マウスピース4の空気流路と完全に分離され、並行に配置されている。マウスピース4を吸入装置の上方かつ前面から挿入する装着方式を取る場合に、装着方向が、連通穴13が負圧センサ19への負圧検知流路と密着する方向なので、空気漏れを防ぐのに有利となる。したがって、負圧検知が確実に行われることになる。また、負圧センサ19への負圧検知流路と液剤の流路とは、完全に分離されているので、負圧検知流路の液剤による汚れ等も少なくなり、精度の良い検知が確保される。その他の点は実施例1と同じである。
【0039】
[実施例3]
図11に、実施例1の流路絞り方式とは異なる圧力緩和手段を備える実施例3を示す。実施例3では、マウスピース4の流路において、負圧センサ19への連通穴13と吐出ヘッド部8の来る液剤取り入れ口12との間の部分に、流路の断面積とほぼ同じ大きさの弁30を回動可能に設ける。弁30は、吸入時以外は、常時、弁ストッパ31に当たって流路をほぼ塞ぐ図11(a)の状態にある。利用者が吸入することにより弁30は図11(b)に示す如く開くが、この際、負圧センサ19側の流路空間には比較的強い負圧が生じるが、吐出ヘッド部8側の流路空間にはそれ程の負圧が生じない。よって、実施例1と同様な効果が奏される。その他の点は実施例1と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の吸入器ないし吸入装置の一例の斜視図である。
【図2】図1でアクセスカバーが開いた状態の斜視図である。
【図3】CRGユニットの一例の斜視図である。
【図4】マウスピースの一例の側面方向断面図である。
【図5】図4のマウスピースの正面方向断面図である。
【図6】図4のマウスピースと負圧センサとCRGユニットの吐出ヘッド部の配置関 係を示す側面断面図である。
【図7】図1の吸入器ないし吸入装置の全体断面図である。
【図8】図1の吸入器ないし吸入装置の吸入動作例を説明するグラフ図である。
【図9】図1の吸入器ないし吸入装置の全体的な動作を説明するフローチャートであ る。
【図10】流路並列タイプの実施例2のマウスピース付近の構成の断面図である。
【図11】弁を用いる実施例3の動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0041】
1 吸入器本体
4 マウスピース
4a、30、31 圧力緩和手段(絞り部、弁)
6 吐出ヘッドカートリッジ(CRG)ユニット
8 吐出ヘッド部(吐出部)
11 外気(空気)取り入れ口
12 液剤吐出部の吐出口が配置される部分(液剤取り入れ口)
13 圧力検知部が配置される部分(負圧センサへの連通穴)
15 マウスピース出口(吸い口部)
19 負圧センサ(圧力検知部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が吸い口部から液剤を吸入するための吸入装置であって、液剤を液滴として吐出するための吐出口を有する液剤吐出部と、吐出口からの液滴吐出を制御する為に、利用者による吸入時に発生する大気圧との圧力差である負圧を検知する圧力検知部と、を有し、前記液剤吐出部の吐出口が、吸入時に圧力検知部で検知される大気圧との圧力差より小さい圧力差を生じる位置に配置されるように構成されていることを特徴とする吸入装置。
【請求項2】
利用者が吸い口部から液剤を吸入するための吸入装置であって、一端に吸い口部を有し、利用者が吸入することでエアーフローを形成する流路と、該流路内に設けられ、液剤を液滴として吐出するための吐出口を有する液剤吐出部と、前記流路内に設けられ、利用者による吸入時に発生する大気圧との圧力差である負圧を検知する圧力検知部と、を有し、前記液剤吐出部の吐出口が、吸入時に圧力検知部で検知される大気圧との圧力差より小さい圧力差を生じる位置に配置されるように構成されていることを特徴とする吸入装置。
【請求項3】
前記吐出部の吐出口が、吸入時に発生する大気圧との圧力差である負圧によって吐出口から液剤が自然に吐出しない程度の圧力差を生じる位置に配置されるように構成されている請求項1または2に記載の吸入装置。
【請求項4】
前記吐出部から液剤の吸い口部へエアーフローを形成する流路の途中に、前記吐出口の負圧を緩和する圧力緩和手段が設けられている請求項1、2または3に記載の吸入装置。
【請求項5】
前記圧力緩和手段は、エアーフローを形成する流路の断面積を小さくした絞り部であり、前記絞り部より前記吸い口部側に圧力検知部が配置され、その反対側に前記吐出部の吐出口が配置されている請求項4に記載の吸入装置。
【請求項6】
前記圧力緩和手段は、常時流路をほぼ塞ぐが吸入時に開く弁であり、前記弁より前記吸い口部側に圧力検知部が配置され、その反対側に前記吐出部の吐出口が配置されている請求項4に記載の吸入装置。
【請求項7】
前記圧力検知部と前記吐出部の吐出口が、前記吸い口部からの別々の流路に面するように配置されている請求項1乃至6のいずれかに記載の吸入装置。
【請求項8】
前記液剤吐出部として、液剤を収納するタンクと一体的に形成され前記タンクから供給される液剤を微小液滴として吐出する吐出ヘッドカートリッジユニットが着脱可能に設けられている請求項1乃至7のいずれかに記載の吸入装置。
【請求項9】
前記吸い口部と外気取り入れ口との間で吸入装置全体のエアーフローを形成する流路を構成したマウスピースが設けられ、前記流路の途中に前記吐出口の負圧を緩和する圧力緩和手段が設けられている請求項1乃至8のいずれかに記載の吸入装置。
【請求項10】
前記吐出部は、熱エネルギーまたは圧電エネルギーを利用して液剤を吐出する請求項1乃至9のいずれかに記載の吸入装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の吸入装置に着脱可能なマウスピースであって、吸い口部と外気取り入れ口との間でエアーフローを形成する流路を構成し、前記流路の途中に吐出部の負圧を緩和するための圧力緩和手段を有し、前記圧力緩和手段より吸い口部側に圧力検知部が配置される部分を有し、前記圧力緩和手段より外気取り入れ口側に液剤吐出部の吐出口が配置される部分を有することを特徴とするマウスピース。
【請求項1】
利用者が吸い口部から液剤を吸入するための吸入装置であって、液剤を液滴として吐出するための吐出口を有する液剤吐出部と、吐出口からの液滴吐出を制御する為に、利用者による吸入時に発生する大気圧との圧力差である負圧を検知する圧力検知部と、を有し、前記液剤吐出部の吐出口が、吸入時に圧力検知部で検知される大気圧との圧力差より小さい圧力差を生じる位置に配置されるように構成されていることを特徴とする吸入装置。
【請求項2】
利用者が吸い口部から液剤を吸入するための吸入装置であって、一端に吸い口部を有し、利用者が吸入することでエアーフローを形成する流路と、該流路内に設けられ、液剤を液滴として吐出するための吐出口を有する液剤吐出部と、前記流路内に設けられ、利用者による吸入時に発生する大気圧との圧力差である負圧を検知する圧力検知部と、を有し、前記液剤吐出部の吐出口が、吸入時に圧力検知部で検知される大気圧との圧力差より小さい圧力差を生じる位置に配置されるように構成されていることを特徴とする吸入装置。
【請求項3】
前記吐出部の吐出口が、吸入時に発生する大気圧との圧力差である負圧によって吐出口から液剤が自然に吐出しない程度の圧力差を生じる位置に配置されるように構成されている請求項1または2に記載の吸入装置。
【請求項4】
前記吐出部から液剤の吸い口部へエアーフローを形成する流路の途中に、前記吐出口の負圧を緩和する圧力緩和手段が設けられている請求項1、2または3に記載の吸入装置。
【請求項5】
前記圧力緩和手段は、エアーフローを形成する流路の断面積を小さくした絞り部であり、前記絞り部より前記吸い口部側に圧力検知部が配置され、その反対側に前記吐出部の吐出口が配置されている請求項4に記載の吸入装置。
【請求項6】
前記圧力緩和手段は、常時流路をほぼ塞ぐが吸入時に開く弁であり、前記弁より前記吸い口部側に圧力検知部が配置され、その反対側に前記吐出部の吐出口が配置されている請求項4に記載の吸入装置。
【請求項7】
前記圧力検知部と前記吐出部の吐出口が、前記吸い口部からの別々の流路に面するように配置されている請求項1乃至6のいずれかに記載の吸入装置。
【請求項8】
前記液剤吐出部として、液剤を収納するタンクと一体的に形成され前記タンクから供給される液剤を微小液滴として吐出する吐出ヘッドカートリッジユニットが着脱可能に設けられている請求項1乃至7のいずれかに記載の吸入装置。
【請求項9】
前記吸い口部と外気取り入れ口との間で吸入装置全体のエアーフローを形成する流路を構成したマウスピースが設けられ、前記流路の途中に前記吐出口の負圧を緩和する圧力緩和手段が設けられている請求項1乃至8のいずれかに記載の吸入装置。
【請求項10】
前記吐出部は、熱エネルギーまたは圧電エネルギーを利用して液剤を吐出する請求項1乃至9のいずれかに記載の吸入装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の吸入装置に着脱可能なマウスピースであって、吸い口部と外気取り入れ口との間でエアーフローを形成する流路を構成し、前記流路の途中に吐出部の負圧を緩和するための圧力緩和手段を有し、前記圧力緩和手段より吸い口部側に圧力検知部が配置される部分を有し、前記圧力緩和手段より外気取り入れ口側に液剤吐出部の吐出口が配置される部分を有することを特徴とするマウスピース。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−68508(P2006−68508A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−223605(P2005−223605)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
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