説明

吸収性構造体の製造方法

【課題】互いに独立した複数の吸収部を有する吸収性構造体を効率良く製造することのできる吸収性構造体の製造方法を提供すること。
【解決手段】回転ドラム40の外周面に設けた凹部41上に第1のシート20を供給し、押し込み手段26を用いて第1のシート20を凹部41内に押し込み、凹部41の底面42に沿うように配置させるシート配置工程と、空気流に乗せて供給した吸収性材料を、凹部41内に配置させた第1のシート20の表面に吸引して堆積体8を得る堆積工程と、凹部41内の堆積体8上に重ねるように第2のシート30を供給するシート供給工程とを具備している。凹部41として、凹部41内を吸収性構造体における複数の吸収部に対応する複数の領域44に区画する、区画部材43が凹部41の底面42に突出して形成されたものを用い、第1のシート20として、区画部材43に対応する部位にスリット又は開孔が形成されたものを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品あるいは該吸収性物品の構成部材(吸収体)として使用可能な吸収性構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品として、肌対向面を形成する表面シート、非肌対向面を形成する裏面シート、及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を具備するものが知られている。また、吸収性物品の製造においては、空気流に乗せて供給した吸収性材料(解繊パルプ等の繊維材料、吸水性ポリマーの粒子等)を、回転ドラムの外周面に形成された凹部に吸引して堆積させ、該凹部内に堆積した堆積体を、そのまま吸収性コアとして、あるいは透水性のコアラップシートで被覆して吸収体として用いることが行われている。
【0003】
特許文献1には、繊維材料及び吸水性ポリマーの含有比率が異なる第1の領域と第2の領域とを厚み方向に積層してなる吸収体において、該第2の領域が、該吸収体の面方向に延びる溝状の空間によって、互いに独立した複数の領域に区画されているものが記載されている。特許文献1によれば、吸収体にこのような溝状の空間を形成することにより、吸収体内の吸水性ポリマーが体液を吸収して膨潤しても、その膨潤した吸水性ポリマーは該空間内に進入するため、吸水性ポリマーが面状に位置することが防止され、それによりゲルブロッキングを抑制できるとされている。
【0004】
また特許文献1には、このような溝状の空間を有する吸収体の製造方法が記載されている。特許文献1に記載の吸収体の製造方法は、公知の回転ドラムを用いるもので、先ず、回転ドラムの外周面を形成する、線材を網目状に編んで形成された金網上に、キャリアシートを吸着させ、回転ドラムの吸引力によってキャリアシートを金網に沿うように配置させる。こうして金網上に吸着されたキャリアシートは、金網の網目形状に沿って変形し、金網の開孔に対応する部分が凹部、線材に対応する部分が凸部となって、その表面に凹凸が付与される。次いで、キャリアシートの凹凸が付与された表面に吸収性材料を、前記凸部の高さを超えない程度に吸着・堆積させて前記第2の領域を形成し、更に吸収性材料を、前記凸部の高さを超えて吸着・堆積させて前記第1の領域を形成する。前記第2の領域を複数の領域に区画する、前記溝状の空間は、金網上に吸着されて変形したキャリアシートの前記凸部に吸収性材料が吸着・堆積しないことによって形成される。回転ドラムの吸引力を高めると、これに吸着しているキャリアシートの変形度合いが高まり、前記凸部の高さがより高くなって凹凸における高低差が大きくなるため、最終的に得られる前記第2の領域における前記溝状の空間の深さがより深くなり、それによって、複数の領域に明瞭に区画された前記第2領域が得られる。このように、特許文献1には、回転ドラムの外周面(金網)上にシートを供給し、該回転ドラムの吸引力によって該シートを該外周面に沿うように変形・配置させることによって該シートに凹凸を付与し、そのシートの凹凸面に吸収性材料を吸着・堆積させて、互いに独立した複数の吸収部(前記第2の領域)を形成することが記載されている。
【0005】
また、出願人は、先に、吸収性物品の構成部材として使用可能な複合シートの製造方法を提案した(特許文献2)。特許文献2に記載の複合シートの製造方法は、周面部に互いに噛み合う凹凸形状を有する2つのロールの噛み合い部分にシートを供給して、該シートを該周面部の凹凸形状に沿うように変形させ、変形した該シートを、一方のロールの吸引力によってその周面部上に保持させ、しかる後、変形した該シート上に機能材(吸収性ポリマー、パルプ等)を供給し、更に、別のシートを合流させて両シートを部分的に接合することによって、機能材が内在する凸部を有する複合シートを製造するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−119154号公報
【特許文献2】特開2007−130818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の吸収体の製造方法においては、吸収体を複数の領域に区画する溝状の空間を得るために、回転ドラムの凹凸面(金網)に回転ドラムの吸引力によってキャリアシートを吸着させて変形させているところ、回転ドラムの吸引力のみでキャリアシートに大きな高低差を有する凹凸を付与することは困難であり、そのため、特許文献1に記載の吸収体の製造方法では、溝状の空間によって面方向に分け隔てられた、互いに独立した複数の吸収部を有する吸収性構造体を効率良く製造することはできない。特にキャリアシートが、通気性の高いシートや伸長性に乏しいシートである場合、そのようなシートに回転ドラムの吸引力のみで凹凸を付与することは極めて困難であり、前記吸収性構造体を得ることができないおそれがある。
【0008】
特許文献2に記載の複合シートの製造方法においては、2つのロールによる噛み合いや吸引によってシートをロールの周面部に保持させるものの、シートの材質によってはシートがロールの周面部の凹凸形状に沿いにくく、そのため、出来上がった複合シートの凸部の形状が立体感の乏しいものである、所定の機能(吸収性等)を発現させるのに必要な量の機能材を凸部に内在させることが困難である、等の不都合が生じる場合があった。
【0009】
従って、本発明は、互いに独立した複数の吸収部を有する吸収性構造体を効率良く製造することのできる吸収性構造体の製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上下2枚のシート間に吸収性材料を含む吸収部が該シートの面方向に複数介在配置され、隣接する該吸収部間に、該吸収性材料を介在させずに該両シートが重ね合わされてなる溝部が形成されている吸収性構造体の製造方法であって、回転ドラムの外周面に設けた凹部上に第1のシートを供給し、押し込み手段を用いて該第1のシートを該凹部内に押し込み、該凹部の底面に沿うように配置させるシート配置工程と、空気流に乗せて供給した吸収性材料を、前記凹部内に配置させた前記第1のシートの表面に吸引して堆積体を得る堆積工程と、前記凹部内の前記堆積体上に重ねるように第2のシートを供給するシート供給工程とを具備し、前記凹部として、凹部内を前記複数の吸収部に対応する複数の領域に区画する、区画部材が該凹部の底面に突出して形成されたものを用い、前記第1のシートとして、前記区画部材に対応する部位にスリット又は開孔が形成されたものを用いる、吸収性構造体の製造方法を提供するものである。
【0011】
また本発明は、肌対向面を形成する表面シート、非肌対向面を形成する裏面シート、及び両シート間に介在配置された複数の吸収部を備え、各該吸収部が吸収性材料を含んで構成されている吸収性構造体であって、隣接する前記吸収部間に、前記表面シートが前記裏面シート側に押し込まれ且つ両シートが前記吸収性材料を介在させずに重ね合わされてなる、溝部が形成されており、前記溝部に臨む前記吸収部の側部を被覆する前記表面シートに、該表面シートを厚み方向に貫通する開孔が多数形成されている吸収性構造体を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の吸収性構造体の製造方法によれば、互いに独立した複数の吸収部を有する吸収性構造体を効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の吸収性構造体の製造方法の実施によって製造される本発明の吸収性構造体の一例である生理用ナプキンを、表面シート側から見た平面図である。
【図2】図2は、図1のI−I線断面を模式的に示す断面図である。
【図3】図3は、図1に示す生理用ナプキンの要部(吸収領域)の一部の模式的な斜視図である。
【図4】図4(a)〜図4(c)は、それぞれ、図1に示す生理用ナプキンの吸収領域における排泄液の吸収作用の説明図である。
【図5】図5は、本発明の吸収性構造体の製造方法の一実施態様及びそれに用いる製造装置の模式断面図である。
【図6】図6は、図5に示す製造装置における回転ドラムの斜視図である。
【図7】図7は、図6に示す回転ドラムにおける外周部の一部(凹部)の軸方向に沿った模式断面図である。
【図8】図8(a)は、スリットが形成された第1のシート(表面シート原反)の模式的な平面図、図8(b)は、スリットが形成された該第1のシートをその幅方向(CD)に伸長させた状態(回転ドラムの凹部の底面に沿うように配置した状態に相当)の模式的な平面図である。
【図9】図9(a)〜図9(c)は、それぞれ、図5に示す一実施態様の工程の概略を説明する模式断面図である。
【図10】図10は、本発明の吸収性構造体の製造方法の他の実施態様に用いる製造装置の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の吸収性構造体の製造方法を、その好ましい一実施態様に基づいて図面を参照しながら説明する。図1〜図3には、本実施態様の製造方法で製造される本発明の吸収性構造体(吸収性物品)の一例である生理用ナプキン1が示されている。先ず、生理用ナプキン1(以下、ナプキン1ともいう)について説明する。ナプキン1は、上下2枚のシート2,3間に吸収性材料(解繊パルプ等の繊維材料、吸水性ポリマーの粒子等)を含む吸収部4がシート2,3の面方向(水平方向)に複数介在配置され、隣接する吸収部4,4間に、該吸収性材料を介在させずに両シート2,3が重ね合わされてなる溝部5が形成されているものである。
【0015】
更に説明すると、ナプキン1は、図1及び図2に示すように、肌対向面1aを形成する液透過性の表面シート2、非肌対向面1bを形成する液不透過性又は撥水性の裏面シート3、及び両シート2,3間に介在配置された液保持性の複数の吸収部4を備え、各吸収部4が吸収性材料を含んで構成されており、一方向Xに長い縦長の形状を有している。隣接する吸収部4,4間に、表面シート2が裏面シート3側に押し込まれ且つ両シート2,3が吸収性材料を介在させずに重ね合わされてなる、溝部5が形成されており、溝部5に臨む吸収部4の側部4sを被覆する表面シート2に、該表面シート2を厚み方向に貫通する開孔21(図3参照)が多数形成されている。吸収部4及び溝部5は、ナプキン1の長手方向Xに延びる直線状に形成されており、直線状の吸収部4及び溝部5がナプキン1の幅方向Yに交互に配置されてなる吸収領域6を形成している。吸収領域6は、着用時に着用者の排泄部(膣口)に対向配置される排泄部対向部及び該排泄部対向部を挟んで長手方向Xの前後に位置する領域に亘って連続して形成されている。排泄部対向部は、ナプキン1の長手方向Xの中央部に位置し、左右に一対のウイング部7,7を有する部分である。
【0016】
尚、図中、符号Xで示す方向は、吸収性構造体(生理用ナプキン、使い捨ておむつ等の吸収性物品及び吸収体を含む)又はその構成部材(吸収部、溝部等)の長手方向であり、符号Yで示す方向は、該長手方向と直交する吸収性構造体又はその構成部材の幅方向である。また、肌対向面は、吸収性構造体又はその構成部材における、吸収性構造体の着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、吸収性構造体又はその構成部材における、吸収性構造体の着用時に肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面である。
【0017】
図1及び図2に示すように、表面シート2及び裏面シート3は、平面視して吸収領域6(吸収部4、溝部5)よりも大きな寸法を有し、吸収領域6の長手方向Xの両端(複数の吸収部4の長手方向Xの端部のうちで長手方向Xの最外方に位置するもの)から延出し、それらの延出部の先端部において互いにホットメルト型接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段により接合されてエンドシール部9を形成していると共に、吸収領域6の長手方向Xに沿う両側縁(複数の吸収部4のうちで幅方向Yの最外方に位置するものの、長手方向Xに沿う外側縁)から外方に延出し、それらの延出部の先端部において互いに公知の接合手段により接合されてフラップ部を形成している。該フラップ部は、前記排泄部対向部(ナプキン1の長手方向Xの中央部)において、幅方向Yの外方に更に延出して一対のウイング部7,7を形成している。
【0018】
ナプキン1の非肌対向面1b(裏面シート3の非肌対向面)は、着用時にショーツのクロッチ部等、着衣側に向けられる。非肌対向面1bには、ナプキン1をショーツ等の着衣のクロッチ部に固定するための粘着部(図示せず)が設けられている。また、一対のウイング部7,7それぞれの非肌対向面1bには、該ウイング部7を着衣の外面(非肌対向面)に固定するための粘着部(図示せず)が設けられている。これらの粘着部は、公知の粘着剤を所定箇所に塗布することにより設けられており、ナプキン1の使用前においてはフィルム、不織布、紙などからなる図示しない剥離シートによって被覆されている。
【0019】
吸収領域6は、図1及び図2に示すように、表面シート2と裏面シート3との間をナプキン1の長手方向Xに延びる複数の吸収部4が、吸収性材料を介在させずに両シート2,3が重ね合わされてなり長手方向Xに延びる複数の溝部5によって、互いに独立に配置されたもので、本実施態様では6本の吸収部4及び5本の溝部5から構成されている。吸収部4は、図2に示すように、表面シート2及び裏面シート3で直接覆われている。このように、複数の吸収部4が複数の溝部5によって互いに独立に配置されることによって、幅方向Yに隣接する吸収部4どうしは、表面シート2を介して互いに間接的に接触することはあるが、表面シート2を介さずに直接的に接触することはない。吸収性材料を介在させずに両シート2,3が重ね合わされてなる溝部5は、吸収性材料を実質的に含んでいない。「吸収性材料を介在させずに」あるいは「吸収性材料を実質的に含んでいない」とは、吸収性材料が全く存していない場合のみならず、溝部に吸収性材料が意図せずに混入した場合のように、少量の吸収性材料が存している場合(吸収性材料の坪量が好ましくは30g/m2以下の場合)を含む。
【0020】
吸収領域6において、吸収部4は相対的に厚みの大きい部位、溝部5は相対的に厚みの小さい部位であり、吸収領域6の肌対向面1a側には、吸収部4と溝部5との厚み差に起因する段差が生じており、これにより、吸収領域6の肌対向面1aは凹凸面となっている。一方、吸収領域6の非肌対向面1bは、実質的に段差の無い略平坦面となっている。つまり、吸収領域6においては、ナプキン1の肌対向面1aを形成する表面シート2が、互いに独立した複数の吸収部4からなる凹凸形状に沿って配置されることによって変形して凹凸を付与されているのに対し、ナプキン1の非肌対向面1bを形成する裏面シート3は、意図的には凹凸を付与されておらず実質的に平坦である。「実質的に平坦」は、意図せずに生じた若干の凹凸を含む。吸収領域6は、吸収性材料が表面シート2によって、互いに独立した複数の領域(吸収部4)に区画されてなる領域であるとも言える。ナプキン1の幅方向Yに隣接する2つの吸収部4,4の間に、吸収性材料を実質的に含んでいない溝部5が形成されていることにより、両吸収部4,4間には溝状の空間が形成され、該空間によって両吸収部4,4は互いに接触せずに独立している
【0021】
溝部5において、互いに重ね合わされている表面シート2と裏面シート3との間は、ホットメルト型接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段により接合されていても良く、接合されていなくても良い。尚、前述したように、表面シート2と裏面シート3とは、吸収領域6の長手方向Xに沿う両側縁(複数の吸収部4のうちで幅方向Yの最外方に位置するものの、長手方向Xに沿う外側縁)よりも幅方向Yの外方にてホットメルト型接着剤等の接合手段により接合されており、また、吸収部4の存在しないナプキン1の長手方向Xの両端部においても接合手段により接合されてエンドシール部を形成しており、吸収領域6の周囲には、両シート2,3の接合部が存している。このように吸収領域6の周囲に両シート2,3の接合部が存していることにより、吸収領域6における複数の吸収部4の互いに独立した配置形態が維持される。更に必要に応じ、溝部5における両シート2,3間を接合手段で接合することにより、吸収部4の斯かる配置形態はより一層維持されやすくなる。
【0022】
図3に示すように、ナプキン1の肌対向面1a側に突出する吸収部4の両側部4s,4sを被覆する表面シート2には、該表面シート2を厚み方向に貫通する開孔21が多数形成されている。開孔21は、各吸収部4の両側部4s,4sそれぞれの長手方向Xの全長に亘って形成されている。開孔21は、溝部5(溝状の空間)に流入した経血等の排泄液を吸収部4内に引き込む透液孔として機能する。
【0023】
図4には、ナプキン1による排泄液の吸収作用が模式的に示されている。前記排泄部対向部及びその前後の領域においては、吸収部4及び溝部5からなる吸収領域6が、経血等の排泄液を素早く吸収し、液戻り(吸収部4で一旦吸収された液が表面シート2上に戻る現象)が起こり難いため、肌対向面1aのドライ感に優れ、良好な着用感が得られる。即ち、吸収領域6の肌対向面1a上に付着した経血等の排泄液Q、特に比較的粘性の高い排泄液は、隣接する吸収部4,4間の溝部5(溝状の空間)に優先的に流れ込み〔図4(a)参照〕、溝部5に流入した排泄液は、吸収部4の側部4sを被覆し該溝状の空間を画成する、表面シート2の開孔21を介して吸収部4の側部4sからその内部に吸収される〔図4(b)参照〕。排泄液Qは、開孔21のみならず、表面シート2における、開孔21の形成されていない部位を介しても吸収部4に吸収される。従って、吸収部4内において、排泄液Qは、吸収部4の下部(非肌当接面1b側)に溜まり易く、上部(肌対向面1a側)には溜まり難く〔図4(c)参照〕、斯かる排泄液Qの偏った分布により、肌対向面1aのドライ感の向上、液戻りの防止等の効果が奏される。
【0024】
また、このように排泄液が流入する溝部5(溝状の空間)は、ナプキン1の長手方向Xに延びて形成されているため、排泄液は溝部5に沿って長手方向Xに流れ、それにより、排泄液が幅方向Yに拡がり難く横漏れが効果的に防止されると共に、吸収領域6全体に排泄液が行き渡り易くなって吸収領域6の液吸収能を効率良く利用することが可能となる。また、1度目の排泄による排泄液のみならず、2度目以降の排泄による排泄液も、1度目と同様に溝部5に沿って長手方向Xに流れるため、多量の排泄液にも対応可能である。更に、吸収領域6は、長手方向Xに延びる複数の溝部5によって吸収性材料が幅方向Yに区画されて吸収部4とされることによって形成されているため、臀部の窪み等、ナプキン着用者の身体の表面形状に添い易く、そのため、ナプキン1はフィット性に優れている。
【0025】
また、吸収領域6は、吸収性材料からなる吸収部4並びに吸収部4と接触してこれを被覆する表面シート2及び裏面シート3から構成されており、吸収性材料を被覆するコアラップシート等の他のシート材を含んでいないため、ナプキン1は製造コストが比較的低廉である。
【0026】
前述した吸収領域6による作用効果をより確実に奏させるようにする観点から、吸収領域6における各部の寸法等は次のように設定することが好ましい。
各吸収部4の長手方向Xの長さは、好ましくは100〜450mm、更に好ましくは130〜400mmであり、また、ナプキン1の長手方向Xの長さに対して、好ましくは60〜98%、更に好ましくは70〜95%である。
各吸収部4の幅方向Yの長さ(幅)W1(図2参照)は、好ましくは5〜50mm、更に好ましくは10〜30mmである。
溝部5の幅W2(図2参照)は、好ましくは0.1〜20mm、更に好ましくは1〜5mmである。
吸収部4の幅W1と溝部5の幅W2との比(W1/W2)は、好ましくは0.25〜500、更に好ましくは2〜30である。
【0027】
各吸収部4の坪量は、好ましくは30〜800g/m2、更に好ましくは100〜500g/m2である。
吸収部4の本数は、好ましくは2〜15本、更に好ましくは3〜10本である。
溝部5(溝状の空間)の深さD1(図2参照)は、好ましくは1〜30mm、更に好ましくは3〜15mmである。
表面シート2における開孔21の数は、シート1cm2当たり、好ましくは5〜300個、更に好ましくは10〜200個である。
【0028】
ナプキン1における各部の形成材料について説明すると、表面シート2及び裏面シート3としては、生理用ナプキン等の吸収性構造体において従来用いられている各種の材料を特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート2としては、単層又は多層構造の不織布や、開孔フィルム等を用いることができる。裏面シート3としては、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。
【0029】
また、吸収部4の形成材料である吸収性材料としては、繊維材料や吸水性ポリマーを用いることができる。繊維材料としては、例えば、パルプ繊維やレーヨン等のセルロース系繊維が好ましく用いられ、吸水性ポリマーとしては、ポリアクリル酸ナトリウム、アルリル酸−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、でんぷん−アルリル酸グラフト共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体及びそのケン化物、ポリアスパラギン酸等を挙げることができる。
【0030】
次に、本発明の吸収性構造体の製造方法を、前述したナプキン1の製造方法を例にとり、図面を参照しながら説明する。図5〜図7には、本実施態様のナプキン1(吸収性構造体)の製造方法及びそれに用いる製造装置が示されている。ナプキン1の製造装置は、回転ドラム40とダクト50とを備えており、ダクト50は、回転ドラム40の外周面の一部を覆う一端部を有し、空気流に乗せて飛散状態とされた吸収性材料を、回転ドラム40の外周面に供給する。
【0031】
回転ドラム40は、図5及び図6に示すように、金属製の剛体からなる円筒状をなし、図5中の矢印R1方向に回転駆動されるようになされている。回転ドラム40の外周面には、製造する吸収性コア2の形状に対応する形状の集積用凹部41が形成されている。凹部41は、回転ドラム40の外周面における回転軸方向の中央部に、周方向の全長に亘って連続して形成されている。回転ドラム40には、吸気ファン(図示せず)が接続されており、該吸気ファンの駆動により、回転ドラム40内の仕切られた空間A及びBが負圧に維持されるようになっている。
【0032】
回転ドラム40の凹部41の底面42には、図7に示すように、多数の細孔(図示せず)が形成されており、凹部41が、負圧に維持された空間A及びB上を通過している間、凹部41の底面42の細孔が吸引孔として機能する。凹部41が形成されていない、回転ドラム40の外周面の左右両側部は、金属製の剛体からなる回転ドラム40のフレーム体からなり、非通気性である。
【0033】
また、前述したように、凹部41は回転ドラム40の周方向の全長に亘って連続して形成されているが、凹部41の底面42における前記細孔は、底面42の全域には形成されておらず、底面42には、前記細孔が形成されておらず非通気性の部位が部分的に存している。この底面42の非通気性の部位は、吸収性材料が堆積し難く、後述する堆積体8(小堆積体80)が形成されない部位であり、回転ドラム40の周方向に隣接する堆積体8の間隔に相当し、ナプキン1のエンドシール部9に相当する。即ち、回転ドラム40におけるエンドシール部9に相当する部位は、凹部41が形成されていて平坦ではない。
【0034】
また、凹部41の底面42には、凹部41内を複数の領域に区画する、区画部材43が複数突出して形成されている。各区画部材43は、非通気性の板状部材からなり、凹部41の周方向の全長に亘って連続している。凹部41内は、複数(5本)の区画部材43によって、前述したナプキン1の吸収領域6における複数(6本)の吸収部4に対応する、複数(6つ)の領域44に区画されており、各区画領域44は、凹部41の周方向の全長に亘って連続している。
【0035】
ダクト50における、回転ドラム40側とは反対側の端部付近には、解繊パルプ等の繊維材料(吸収性材料)をダクト50内に飛散状態として供給する繊維材料供給装置(図示せず)が設けられている。また、ダクト50における、回転ドラム40と前記繊維材料の導入部位との間には、ダクト50内に吸水性ポリマーの粒子(吸収性材料)を導入するポリマー導入口51が設けられている。
【0036】
本実施態様の製造方法においては、図5に示すように、回転ドラム40の外周面に設けた凹部41上に、第1のシートとして表面シート原反20を供給する。本実施態様においては、凹部41上に表面シート原反20を供給する前(即ち後述するシート配置工程の前)に、回転ドラム40の前段に設けられたスリット形成手段25によって、表面シート原反20にスリットを形成する。図8(a)には、符号22で示すスリットが多数形成された表面シート原反20が示されている。スリット22は、表面シート原反20を厚み方向に貫通しており、平面視して表面シート原反20の長手方向〔搬送方向(MD;Machine Direction)〕に延びる直線状である。スリット形成手段25を経た表面シート原反20には、スリット22が多数形成されたスリット形成領域23と、スリット22が形成されていないスリット非形成領域24とが、その幅方向(CD;Cross machine Direction)に交互に形成されている。スリット形成領域23は、凹部41の区画部材43に対応して形成される。即ち、スリット形成領域23は、表面シート原反20における区画部材43と接触する部位を含むように、表面シート原反20に形成される。本実施態様の製造方法においては、区画部材43と同数(5つ)のスリット形成領域23を表面シート原反20に部分的に形成しており、各スリット形成領域23は、表面シート原反20における区画部材43の上端部と接触する部位に形成され且つ区画部材43よりも幅広に形成されている。スリット形成領域23における各スリット22は、図8(b)に示すように、表面シート原反20がCDに伸長されることによって口開きし、開孔21となる。
【0037】
こうして、図8(a)に示す如くスリット22が多数形成された表面シート原反20を、図5に示すように、回転ドラム40の凹部41上に供給し、押し込み手段26を用いて表面シート原反20を凹部41内に押し込み、図9(a)に示すように、凹部41の底面42に沿うように配置させる(シート配置工程)。このシート配置工程では、表面シート原反20を、そのスリット形成領域23を凹部41内の区画部材43の上方に位置させ且つCDに所定のテンションをかけて表面シート原反20を平坦にした状態で、凹部41上に供給し、この平坦な表面シート原反20を、押し込み手段26で凹部41側に押圧し、凹部41内に押し込む。押し込み手段26は、円筒状のロールを含んで構成され、矢印R2(図5参照)方向に回転駆動されるようになされており、該ロールの外周面には、凹部41内の複数(6つ)の区画領域44に対応する、複数(6個)の押圧部26aが突出形成されている。押圧部26aは、区画領域44内に挿入可能になされている。凹部41上に平坦な状態で(凹凸を付与せずに)供給された表面シート原反20は、主としてそのスリット非形成領域24が押圧部26aによって凹部41側に押圧され、それによって図9(a)に示すように、凹部41の底面42の凹凸形状に沿って変形する。このとき、表面シート原反20のスリット形成領域23は、区画部材43によって下方から押圧されてCDに伸長され、それによってスリット形成領域23の各スリット22は、図8(b)に示すように、口開きして開孔21となる。一方、表面シート原反20のスリット非形成領域24は、スリット22が形成されておらずスリット非形成領域24に比して通気性に乏しいため、凹部41の底面42に吸引されやすく、該底面42に沿って吸着する。尚、シート配置工程においては、表面シート原反20のスリット形成領域23の一部が凹部41の底面42上に位置することによって、底面42上に開孔21が一時的に形成される場合があるが、底面42上の開孔21は、後述する押圧ロール66によるナプキン連続体10の押圧処理において、表面シート原反20の溶融温度以上の温度に加熱された押圧ロール66を用いて押圧することで塞ぐことが可能であり、こうして底面42上の開孔21を塞ぐことで、溝部5に開孔21を形成させないようにすることができる。
【0038】
次いで、空気流に乗せて供給した吸収性材料(繊維材料及び吸水性ポリマーの粒子)を、図9(b)に示すように、凹部41内に配置させた表面シート原反20の表面に吸引して堆積体8を得る(堆積工程)。この堆積工程では、凹部41の底面42に沿って配置した表面シート原反20を、回転ドラム40の回転によってダクト50に覆われた部分に移動させ、該部分において、表面シート原反20上に、吸収性材料を吸引させて堆積させる。より具体的には、表面シート原反20における、凹部41の各区画領域44の内面形状に沿うように変形して凹状となった部分に吸収性材料を堆積させ、区画領域44の形状と略同形状の複数の小堆積体80からなる堆積体8を形成する。このとき、表面シート原反20における、区画部材43上に位置している部分は、凹部41の底面42からの吸引が行われず、従って吸収性材料は堆積せず、最終的に得られるナプキン1において溝部5となる。一方、小堆積体80は、最終的に得られるナプキン1において吸収部4となる。堆積工程では、各区画領域44における小堆積体80の上面が平坦になるように吸収性材料を堆積させることが好ましい。
【0039】
本実施態様の製造方法においては、前記堆積工程後で後述するシート供給工程の前に、凹部41内から溢れた余剰の吸収性材料を掻き取る。図5に示すように、ダクト50内(ダクト50内におけるシート搬送方向の出口近傍)には、掻き取りロール64が回転可能に設けられている。掻き取りロール64は、円筒状のロールで外周面にブラシを有しており、該ブラシにより、凹部41内に入りきれずに凹部41内から溢れた余剰の吸収性材料を掻き取る。このように、シート供給工程の前に凹部41内から溢れた余剰の吸収性材料を掻き取ることにより、区画部材43の上端部に堆積した吸収性材料が第2のシート(裏面シート原反30)の供給前に確実に排除されるようになり、それによって、吸収性材料を実質的に含んでいない溝部5がより安定的に形成されるようになる。
【0040】
次いで、図9(c)に示すように、凹部41内の堆積体8上に重ねるように第2のシートとして裏面シート原反30を供給する(シート供給工程)。このシート供給工程では、ダクト50に覆われた部分からダクト50外へと移動した直後の堆積体8(小堆積体80)上に、裏面シート原反30を積層している。裏面シート原反30を堆積体8上に積層する前に、裏面シート原反30における堆積体8との対向面の所定箇所(回転ドラム40上の表面シート原反20に直接重ね合わされる部分)に、接着剤塗布手段65によりホットメルト型接着剤等の接着剤を塗布する。こうして接着剤が塗布された裏面シート原反30は、堆積体8における、表面シート原反20側とは反対側の平坦な上面を被覆し、その結果、波状に変形した表面シート原反20と変形せずに平坦な裏面シート原反30との間に複数(6本)の小堆積体80からなる堆積体8が介在した構成のナプキン連続体(吸収性構造体連続体)10が得られる。
【0041】
尚、前述したように、凹部41の底面42には、エンドシール部9(図1参照)に対応して、前記細孔が形成されていない非通気性の部位が形成されており、該非通気性の部位においては、吸収性材料を介在させずに表面シート原反20と裏面シート原反30とが直接重ね合わされ接合されるところ、表面シート原反20は凹凸が付与されて変形しているため、該非通気性の部位における両シート20,30の斯かる接合部分(エンドシール部9)には、ナプキン連続体10の長手方向に延びるシワが多数生じることになるが、このシワは実用上特に問題の無いものである。
【0042】
このような、回転ドラム40上にて第1のシート(表面シート原反20)上の堆積体8(複数の小堆積体80)上に第2のシート(裏面シート原反30)を供給して両シートで堆積体8を挟持する方法は、回転ドラム40から離れた位置を走行中の第2のシート上に転写ロール等の転写手段によって回転ドラム40上から堆積体8及び第1のシートを移動させる方法に比して、小堆積体80が倒れるおそれがなく、堆積体8の形、ひいては吸収領域6の形が崩れるという不都合を防止することができる。
【0043】
前記シート供給工程後、得られたナプキン連続体10を、回転ドラム40上にて押圧手段としての押圧ロール66により押圧する。斯かるナプキン連続体10の押圧処理により、両シート原反20,30間の接着剤による接合がより強固となり、ナプキン連続体10の一体化が促進される。押圧処理後、ナプキン連続体10は、回転ドラム40内の陽圧とされた空間C上に移動され、空間C上において転写手段としての転写ロール67の外周面上へと受け渡され、次の工程へと搬送される。次の工程へと搬送されたナプキン連続体10は、公知の切断手段により、吸収性構造体1個分の長さとされ且つ所定形状に切断され、更に所定箇所に図示しない粘着部が形成されて、個々のナプキン1とされる。
【0044】
本実施態様のナプキン1の製造方法によれば、このようにして、互いに独立した複数の吸収部4を有し、肌対向面のドライ感に優れ、液戻りや横漏れを起こし難い吸収性構造体としてのナプキン1を効率良く製造することができる。特に、本実施態様のナプキン1の製造方法によれば、複数の吸収部4に対応する複数の小堆積体80がそれらの搬送時や転写時に倒れることがなく、そのような堆積体の倒れに起因する吸収部4(吸収領域6)の形の崩れが防止される。また、前記シート配置工程において、表面シート原反20(第1のシート)を凹部41内に押し込む方法として、押し込み手段26(押し込みロール)によるシートの押し込み(押圧)を採用しているため、特許文献1に記載の如き、回転ドラムを介しての吸引によるシートの引き込みに比して、第1のシートの特性(通気性、伸長性等)の如何によらず、表面シート原反20に大きな高低差を有する凹凸を付与することができ、結果として、溝状の空間(溝部5)によって面方向に分け隔てられた、互いに独立した複数の吸収部4を有するナプキン1(吸収性構造体)を効率良く製造することができる。
【0045】
図10には、本発明の吸収性構造体の製造方法の他の実施態様が示されている。後述する他の実施態様については、前述した実施態様と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、前述した実施態様についての説明が適宜適用される。
【0046】
図10に示す製造装置を用いたナプキン1の製造方法においては、前記シート供給工程の前に堆積体8(小堆積体80)を圧縮する。図10に示すように、ダクト50外でダクト50のシート搬送方向の出口近傍には、凹部41内の堆積体8を圧縮する圧縮手段68が、回転ドラム40の外周面に回転可能に近接配置されている。圧縮手段68は、円筒状のロールであり、堆積体8全体を押圧可能な幅(ロール軸方向の長さ)を有し、その外周面には凹部41内の区画領域44に対応する複数の凸部が形成されている。堆積体8の圧縮の程度は、圧縮手段68と回転ドラム40との離間距離を適宜調整することで調整可能である。このように、凹部41内の堆積体8を圧縮することにより、これを構成する各小堆積体80の嵩が小さくなり(密度が高くなり)、各小堆積体80の立体性が向上し、隣り合う小堆積体80をより完全に分断できるようになる。圧縮手段68は、凹部41内の堆積体8を圧縮可能なものであれば良く、前述したロール状のものに限定されない。
【0047】
本発明は、前記実施態様に制限されず適宜変更可能である。例えば、吸収部4は、ナプキン1の幅方向Yに延びているものであっても良く、吸収領域6は、直線状の吸収部4及び溝部5がナプキン1の長手方向Xに交互に配置されて形成されていても良い。また、溝部5が格子状に形成され、各吸収部4を包囲するように配置されていていても良い。
【0048】
また、前記実施態様では、表面シート原反20(第1のシート)として、区画部材43に対応する部位にスリットが形成されたものを用いたが、スリット(切れ込み)に代えて、平面視円形形状等の開孔が形成されたものでも良い。開孔は、加熱したピンやエンボス等を用いて形成することができる。また、第1のシートにおけるスリットや開孔は、区画部材43に対応する部位に形成されれば良く、該部位を含む第1のシートの全体に形成しても良い。
【0049】
また、前記実施態様は、前記シート配置工程の前に、表面シート原反20(第1のシート)にスリットを形成する工程を具備していたが、斯かるスリット形成工程を具備していなくても良く、所定部位にスリット又は開孔が予め形成された表面シート原反20を用いてもよい。スリット又は開孔形成工程を設けずに、所定部位にスリット又は開孔が予め形成された表面シート原反20を用いる場合には、センサー等でスリット又は開孔の位置を確認し、蛇行修正器等でシート位置を調整しながら表面シート原反20を供給することが好ましい。
【0050】
また、前記実施態様で用いた製造装置において、回転ドラム40の周方向に延びる区画部材43に加えて、該区画部材43と交差する方向(例えば回転ドラム40の回転軸方向)に延びる区画部材が形成されていても良い。
【0051】
また、前記実施態様で用いた製造装置における区画部材43は、回転ドラム40の周方向の全長に亘って連続していたが、該周方向に間欠的に形成されていても良い。その場合、該周方向に隣接する区画部材43,43間には、該周方向に直交する方向(回転ドラム40の回転軸方向)に延びる、第2の凹部が形成される。第2の凹部は、回転ドラム40の周方向に所定間隔を置いて複数形成され、2つの第2の凹部に挟まれた部位が、堆積体8ひいてはナプキン1の1単位に相当する。第2の凹部の底面42は、平坦で非通気性であり、吸収性材料が堆積し難く、第2の凹部では、ナプキン1において最終的にエンドシール部9となる部位が形成される。回転ドラム40に第2の凹部が形成されて区画部材43が周方向に間欠的に形成されている場合、押し込み手段26においては、これに対応して押圧部26aが周方向に間欠的に形成される。
【0052】
また、前記実施態様で用いた製造装置は、掻き取りロール64及び圧縮手段68の両方を備えていても良い。その場合、凹部41内から溢れた余剰の吸収性材料を掻き取りロール64で掻き取り、しかる後、圧縮手段68で堆積体8(小堆積体80)を圧縮することができ、それによって、隣り合う小堆積体80をより完全に分断できるようになる。
【0053】
また、本発明に係る吸収性構造体の具体例としては、吸収性物品が挙げられる。吸収性物品は、主として尿や経血等の身体から排泄される体液を吸収保持するために用いられるものである。吸収性物品には、例えば生理用ナプキン、使い捨ておむつ、失禁パッド、パンティライナー等が包含されるが、本発明に係る吸収性構造体は、これらに限定されるものではなく、人体から排出される液の吸収に用いられる物品を広く包含し、例えば吸収性物品の構成部材として用いられる吸収体も包含する。本発明に係る吸収性構造体が吸収体である場合、該吸収体を構成する、吸収部を挟持する上下2枚のシート(コアラップシート)としては、紙、不織布等の透水性シートを用いることができ、該吸収体(本発明に係る吸収性構造体)を表面シートと裏面シートとで被覆し、吸収性物品として用いることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 生理用ナプキン(吸収性構造体)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収部
5 溝部
6 吸収領域
8 堆積体
10 ナプキン連続体(吸収性構造体連続体)
20 表面シート原反(第1のシート)
21 開孔
22 スリット
23 スリット形成領域
24 スリット非形成領域
25 スリット形成手段
26 押し込み手段
30 裏面シート原反(第2のシート)
40 回転ドラム
41 凹部
42 凹部の底面
43 区画部材
44 区画領域
50 ダクト
64 掻き取りロール
66 押圧手段
67 転写手段
68 圧縮手段
80 小堆積体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下2枚のシート間に吸収性材料を含む吸収部が該シートの面方向に複数介在配置され、隣接する該吸収部間に、該吸収性材料を介在させずに該両シートが重ね合わされてなる溝部が形成されている吸収性構造体の製造方法であって、
回転ドラムの外周面に設けた凹部上に第1のシートを供給し、押し込み手段を用いて該第1のシートを該凹部内に押し込み、該凹部の底面に沿うように配置させるシート配置工程と、
空気流に乗せて供給した吸収性材料を、前記凹部内に配置させた前記第1のシートの表面に吸引して堆積体を得る堆積工程と、
前記凹部内の前記堆積体上に重ねるように第2のシートを供給するシート供給工程とを具備し、
前記凹部として、凹部内を前記複数の吸収部に対応する複数の領域に区画する、区画部材が該凹部の底面に突出して形成されたものを用い、
前記第1のシートとして、前記区画部材に対応する部位にスリット又は開孔が形成されたものを用いる、吸収性構造体の製造方法。
【請求項2】
前記シート配置工程の前に、前記第1のシートにスリット又は開孔を形成する工程を具備する、請求項1記載の吸収性構造体の製造方法。
【請求項3】
前記シート供給工程の前に、前記凹部内から溢れた余剰の前記吸収性材料を掻き取る、請求項1又は2記載の吸収性構造体の製造方法。
【請求項4】
前記シート供給工程の前に前記堆積体を圧縮する、請求項1〜3の何れか一項に記載の吸収性構造体の製造方法。
【請求項5】
肌対向面を形成する表面シート、非肌対向面を形成する裏面シート、及び両シート間に介在配置された複数の吸収部を備え、各該吸収部が吸収性材料を含んで構成されている吸収性構造体であって、
隣接する前記吸収部間に、前記表面シートが前記裏面シート側に押し込まれ且つ両シートが前記吸収性材料を介在させずに重ね合わされてなる、溝部が形成されており、
前記溝部に臨む前記吸収部の側部を被覆する前記表面シートに、該表面シートを厚み方向に貫通する開孔が多数形成されている吸収性構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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