説明

吸収性物品、吸収性物品システム及び介護システム

【課題】長手方向における一端側に装着対象側を向くように配置される係止部と、長手方向における他端側に装着対象と反対側を向くように配置される係止部とを有する吸収性物品を含むように構成される介護システムを提供することを目的とする。
【解決手段】尿パッド100の長手方向における一端側に配置される出力端子部に取り付けられた入力端子250には、装着者側を向くように配置される第1係止部が配置される。また、尿パッド100の長手方向における他端側であって、装着者側と反対側の面には第2係止部が配置される。尿パッド100が、第1係止部が装着者の胴回りに装着された帯状部材300に係止され、第2係止部が尿パッド100を覆うように配置されるアウター部材400の内面に係止された状態で、介護システムに用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品を含む介護システム、吸収性物品を含む吸収性物品システム及びこれらシステムに用いられる吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、起き上がることが困難な寝たきりの老人等の要介護者から排泄される経血、尿、便等の排泄物の処理を行うものとして、オムツのような吸収性物品が知られている。このオムツ等の吸収性物品は、排泄された尿等の排泄物を該吸収性物品の外に漏れ出さないように保持するものである。
【0003】
ここで、吸収性物品に保持された排泄物から臭いや菌が発生することで、人体への悪影響が生じる場合がある。また、排泄物が保持された吸収性物品を交換する作業は、介護をする者にとって大きな負担となっている。
【0004】
これに対して、尿レシーバと、尿レシーバに接続される吸引管と、尿レシーバの外部に置かれる吸引機構とを備える介護システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示される介護システムによれば、要介護者から排泄される尿等の排泄物を尿レシーバが受けると共に、尿レシーバにより受けられた尿等は吸引機構により尿レシーバの外部に吸引される。これにより、要介護者から排泄された排泄物が外部に漏れ出さないようにすると共に、排泄物が尿レシーバに保持されることなく尿レシーバは清潔な状態で保持される。また、尿レシーバを長時間交換することなく要介護者に装着させることができる。
【0005】
ここで、特許文献1の尿レシーバは、要介護者の胴回りに環状に配置される胴ベルト部と胴ベルトに連結される股間ベルト部とにより構成されるTベルトの内側に配置される。具体的には、Tベルトにおける股間ベルト部の内側に配置されて取り付けられる。このため、尿レシーバを要介護者における身体の大きさ等に応じてフィットするよう装着させることができない場合があった。
【0006】
また、従来の生理用ナプキンや尿レシーバにおいても、下着等への固定部として、該生理用ナプキンや尿レシーバ等における下着側の面に長手方向における一端側から他端側に連続的に形成される粘着部を有するものがある。このような粘着部を有する生理用ナプキンや尿レシーバ等を下着等に固定して使用した場合、下着等が身体の動きに追従しない場合には、この生理用ナプキンや尿レシーバが身体から離間して排泄物が漏れ出す場合があった。
【特許文献1】特開2007−44494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、吸収性物品を含む介護システムであって、該吸収性物品が装着対象に装着された状態において、長手方向における一端側に装着対象側を向くように配置される係止部と、長手方向における他端側に装着対象と反対側を向くように配置される係止部とを有する吸収性物品を含むように構成される介護システムを提供することを目的の一つとする。
また、本発明は、吸収性物品を含む吸収性物品システムであって、該吸収性物品が装着対象に装着された状態において、長手方向における一端側に装着対象側を向くように配置される係止部と、長手方向における他端側に装着対象と反対側を向くように配置される係止部とを有する吸収性物品を含むように構成される吸収性物品システムを提供することを目的の一つとする。
また、本発明は、装着対象に装着された状態において、装着対象側であって長手方向における一端側に配置される係止部と、装着対象と反対側であって長手方向における他端側に配置される係止部とを有する吸収性物品を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 排泄部を有する装着対象に前記排泄部を覆うように配置される縦長状の吸収性物品と、前記吸収性物品に接続され前記排泄部から排泄される液体を排出可能なチューブと、前記チューブに接続され前記吸収性物品から排出される前記液体を収容可能な容器と、前記チューブに直接又は間接的に連結され、前記液体を前記容器に送液させるポンプと、前記吸収性物品に配置され、該吸収性物品に前記液体が排泄されたことを検知するセンサと、前記吸収性物品に配置され前記センサによる検知結果情報を出力する出力端子と、前記出力端子に接続され前記検知結果情報が入力される入力端子と、前記入力端子に入力された前記検知結果情報により前記ポンプを制御する制御手段と、を備えるシステムであって、前記出力端子は、前記吸収性物品の長手方向における一端側に配置され、前記入力端子には、前記出力端子に接続された状態において前記装着対象側を向く第1係止部が配置され、前記吸収性物品における他端側には、該吸収性物品における前記装着対象側と反対側の面に第2係止部が配置される介護システム。
【0009】
(2) 前記装着対象の外周に沿うように環状に配置される帯状部材と、前記吸収性物品を覆うように配置されるアウター部材と、を更に備え、前記第1係止部は、前記帯状部材に係止され、前記第2係止部は、前記アウター部材に係止される(1)に記載の介護システム。
【0010】
(3) (1)又は(2)に記載の介護システムに用いられる吸収性物品であって、前記排泄部から排泄される液体を排出可能なチューブが接続される接続部と、該吸収性物品に前記液体が排泄されたことを検知するセンサと、前記センサによる検知結果情報を出力する出力端子であって該吸収性物品の長手方向における一端側に配置される出力端子と、前記吸収性物品における他端側であって前記装着対象側と反対側の面に配置される第2係止部と、を備える吸収性物品。
【0011】
(4) 前記出力端子には、第1係止部が配置される入力端子が接続可能であり、前記入力端子が前記出力端子に接続された状態において、前記第1係止部は、前記装着対象側を向いて配置される(3)に記載の吸収性物品。
【0012】
(5) 排泄部を有する装着対象の外周に沿うように環状に配置される帯状部材と、前記装着対象に前記排泄部を覆うように配置される縦長状の吸収性物品と、前記吸収性物品を覆うように配置されるアウター部材と、前記吸収性物品の長手方向における一端側に連結され、前記帯状部材に係止される第1係止を有する係止部材と、を備えるシステムであって、前記吸収性物品の前記長手方向における他端側であって前記アウターシート側に配置される面には、前記アウター部材に係止される第2係止部が配置される吸収性物品システム。
【0013】
(6) 前記係止部材は、前記吸収性物品の前記長手方向における一端側に前記第1係止部が前記帯状部材側を向くように連結され、前記第1係止部は、前記帯状部材に係止され、前記吸収性物品における第2係止部は、前記アウター部材に係止され、前記第2係止部により前記アウター部材に係止された吸収性物品は、前記装着対象に前記排泄部を覆うようにして配置され、前記アウター部材は、第2係止部材により該アウター部材に係止される吸収性物品を覆うようにして配置される(5)に記載の吸収性物品システム。
【0014】
(7) (5)又は(6)の吸収性物品システムに用いられる吸収性物品であって、該吸収性物品の長手方向における一方側の端部に配置され、前記第1係止部が前記装着対象側に配置されるよう前記係止部材が連結される連結部と、該吸収性物品の前記長手方向における他端側であって前記アウターシート側に配置され第2係止部と、を備える吸収性物品。
【0015】
(8) 排泄部を有する装着対象に前記排泄部を覆うように配置される縦長状の吸収性物品であって、該吸収性物品は、装着状態において前記装着対象側に配置される第1面と、前記装着対象と反対側に配置される第2面とを有し、前記第1面における前記吸収性物品の長手方向における一端側には、第1係止部が配置され、前記第2面における前記長手方向の他端側には、第2係止部が配置される吸収性物品。
【0016】
(9) 該吸収性物品が前記装着対象に前記排泄部を覆うように配置されると共に、該吸収性物品を覆うようにアウター部材が配置された状態において、前記第1係止部は、前記装着対象に直接又は間接的に係止され、前記第2係止部は、前記アウター部材に係止される(8)に記載の吸収性物品。
【0017】
ここで、本発明における吸収性物品とは、液保持性を有する吸収体を有するものだけでなく、液体を機械的に吸収可能であるものを含む。
【0018】
また、装着対象に間接的に係止とは、装着対象にフィットするように配置される被係止部材に係止される場合を含む意味である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、吸収性物品を含む介護システムであって、該吸収性物品が装着対象に装着された状態において、長手方向における一端側に装着対象側を向くように配置される係止部と、長手方向における他端側に装着対象と反対側を向くように配置される係止部とを有する吸収性物品を含むように構成される介護システムを提供することができる。
また、本発明によれば、吸収性物品を含む吸収性物品システムであって、該吸収性物品が装着対象に装着された状態において、長手方向における一端側に装着対象側を向くように配置される係止部と、長手方向における他端側に装着対象と反対側を向くように配置される係止部とを有する吸収性物品を含むように構成される吸収性物品システムを提供することができる。
また、本発明によれば、装着対象に装着された状態において、装着対象側であって長手方向における一端側に配置される係止部と、装着対象と反対側であって長手方向における他端側に配置される係止部とを有する吸収性物品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、介護システム1を説明する概略図を示す。図2(a)は、尿パッド100の構造を説明する平面図を示し、図2(b)は、図2(a)におけるセンサ部材110とセンサ部材110に取り付けられた入力端子250とを説明する平面図を示す。図3は、尿パッド100の構造を説明する裏面図を示す。図4は、尿パッド100の装着手順を説明する図を示す。図5は、尿パッド100の装着手順を説明する図を示す。図6は、尿パッド100の装着手順を説明する図を示す。図7は、尿パッド100の装着状態を説明する図を示す。図8は、尿パッド100Aの構造を説明する平面図を示す。図9は、尿パッド100Aの構造を説明する裏面図を示す。
【0021】
1 実施形態
図1から図7により本発明の実施形態における介護システム1について説明する。
【0022】
1−1 介護システム
図1に示すように、介護システム1は、尿パッド100を含む吸収性物品システム10と、容器200及びポンプ210を含む装置20とを有する。
【0023】
1−2 装置
装置20は、容器200と、ポンプ210と、CPU220と、チューブ230と、配線240と、を有する。
容器200は、尿パッド100に排泄された尿等の液体を収容する樹脂製の容器である。具体的には、チューブ230を介して尿パッド100に排泄された尿等の液体を収容する容器である。
【0024】
ポンプ210は、尿パッド100に排泄された尿等の液体をチューブ230を介して容器200に送液させる。ポンプ210は、チューブ230と容器200とを介して間接的に接続される。このポンプ210は、CPU220からの指示に基づいて駆動される。具体的には、ポンプ210は、CPU220からの指示に基づいて、容器200内に空気を吸引する。これにより、尿パッド100に排泄された尿等の液体は、チューブ230を介して容器200の内部に吸引される。尿パッド100に排泄された尿等の液体は、ポンプ210の駆動によりチューブ230を介して容器200に送液される。
【0025】
制御手段としてのCPU220は、後述する尿センサ部112からの検知結果情報としての所定信号に基づいてポンプ210を制御する。具体的には、CPU220は、出力端子部115から出力される尿センサ部112が排尿を検知したことを知らせる検知信号を受信することで、ポンプ210を駆動させる。
【0026】
チューブ230は、柔軟に変形可能な管状の部材である。チューブ230は、尿パッド100と容器200とをつなぐように配置される。具体的には、チューブ230は、尿パッド100に排泄された尿等の液体を容器200に送液可能に接続される。詳細には、チューブ230は、尿パッド100における後述するチューブ接続部121に接続されると共に、容器200における開孔に挿入されて接続される。
【0027】
配線240は、センサ部材110とCPU220とを電気的に接続する。具体的には、センサ部材110の一端に形成される出力端子としての出力端子部115と接続される後述する入力端子250及び配線240を介してCPU220に接続される。配線240は、センサ部材110の出力端子部115から出力される検知信号等の信号をCPU220に伝える経路として機能する。
【0028】
入力端子250は、配線240の一端側に配置され、後述する出力端子部115に電気的に接続される。具体的には、入力端子250は、出力端子部115を挟み込むようにして取り付けられ、入力端子250に形成される不図示のコネクト部と、出力端子部115に形成される各コネクト部とが当接されることで電気的に接続される。
【0029】
また、図2(a)(b)に示すように、入力端子250における一方の面側には、第1係止部251が配置される。入力端子250が出力端子部115に取り付けられた状態において、第1係止部251は、尿パッド100の長手方向における一端側に配置される。そして、尿パッド100を身体に装着した状態において、第1係止部251は、身体の前面側に配置されると共に身体側を向くように配置される。更に具体的には、第1係止部251は、身体の胴回りに配置された帯状部材300における身体の前面側に配置される部分に係止される。尿パッド100は、身体に密着して配置される帯状部材300に係止される。つまり、入力端子250は、出力端子部115から出力される検知信号等の入力部として機能すると共に、尿パッド100を帯状部材300に係止する係止部材として機能する。
【0030】
1−3 吸収性物品システム
吸収性物品システム10は、吸収性物品としての尿パッド100と、帯状部材300と、アウター部材400とを有する。具体的には、吸収性物品システム10は、尿パッド100の装着対象としての身体における胴周りに環状となるように配置される帯状部材300と、長手方向における一端側が帯状部材300に係止されると共に排泄部を覆うようにして身体に装着された尿パッド100と、尿パッド100を覆うように配置されるアウター部材400とを有する。
【0031】
帯状部材300は、等幅の帯状であって伸縮可能な部材である。本実施形態において、帯状部材300は伸縮性を有するシートである。この帯状部材300における一端側には、係止部材が配置される。図4から図7に示すように、帯状部材300は、胴回りに沿って環状になるように配置される。この状態において、係止部材が帯状部材300の他端側に係止されて、該帯状部材300は環状を維持した状態で胴回りに沿うようにして装着される。帯状部材300は繊維を含んで構成されてよい。この場合、後述する第1係止部251としてフック材が好適に用いられる。また、帯状部材300は、非伸縮性シートにより構成されていてもよい。
【0032】
尿パッド100は、装着状態において身体側に配置される第1面101と、身体と反対側に配置される第2面102とを有する縦長状の吸収性物品である。ここで、本発明において、吸収性物品とは、液保持性の吸収体を有するものだけでなく、機械的に液体を吸収するものを含む。具体的には、本実施形態における装置20により液体が外部に取り出される尿パッド100も吸収性物品に含まれる。
【0033】
また、尿パッド100は、第1面101側に配置される液透過性の表面シート部105と、第2面102側に配置される液不透過性の裏面シート部106と、排尿及び排便を検知するセンサ部材110と、排出された尿を捕集する捕集部120と、第2面102に配置される第2係止部252とを有する。
【0034】
表面シート部105は、尿パッド100における第1面101側に配置される液透過性シートにより構成される。表面シート部105は、尿パッド100の幅方向Yにおける中央部に長手方向Xに延びるように配置される。表面シート部105は、尿パッド100が身体に装着された状態において排泄部に当接する位置に配置されると共に、排泄部から排泄される尿等の液体を透過させる。表面シート部105は、尿パッド100の長手方向Xにおける両端部近傍には配置されない。尿パッド100の長手方向Xにおける両端には、後述する第1シート161及び第2シート162それぞれが配置される。
【0035】
表面シート部105における幅方向Yの両側には、ギャザー158、158が形成される。ギャザー158、158は、尿パッド100を身体に装着した状態において、身体側に立ち上がるように変形してそけい部に当接配置される。これにより、排泄部から排泄された尿等の液体が漏れ出すことが抑制される。
【0036】
上述のように、尿パッド100の前方縁180側には第1シート161が配置され、後方縁190側には第2シート162が配置される。
第1シート161は、液不透過性シートにより構成され、センサ部材110における出力端子部115側を覆うように配置される。第1シート161は、尿パッド100の前方縁180側においては、裏面シート部106と接合されていない。つまり、第1シート161と裏面シート部106とを互いに離間させることで、センサ部材110の端部に形成される出力端子部115が露出される。
【0037】
第2シート162は、液不透過部162aと液透過部162bとを有する。第2シート162は、液不透過部162aにおける後方縁190側の端部近傍において裏面シート部106及びセンサ部材110に接合される。そして、接合されていない液不透過部162aの下面にはクッション部材170が配置される。クッション部材170は、使用時におけるクッションとして機能すると共に、液不透過部162aの長手方向Xにおける前方縁180側を表面シート部105から離間させる部材として機能する。このようにクッション部材170により前方縁180側が表面シート部105から離間されると共に後方縁190側が接合された液不透過部162aは、後方縁190側に流れてくる尿等の液体を堰き止める。
【0038】
液透過部162bは、液透過性シートにより構成され、第2シート162における後方縁190側に配置される。液透過部162bは、尿等の液体は流れてこない領域であって、便が排出される領域に配置される。液透過部162bの下面には、センサ部材110における後述する便センサ部113が配置される。
【0039】
図3に示すように、裏面シート部106は、液不透過性シートにより構成され、第2面102全体を構成するように配置される。裏面シート部106は、排泄部から排泄された尿等の液体の透過を防ぐと共に、後述する捕集部120に尿等の液体を導くように機能する。この裏面シート部106における後方縁190側には、第2係止部130が配置される。
【0040】
図2(a)(b)に示すように、センサ部材110は、出力端子部115と、尿センサ部112と、便センサ部113とを有する。出力端子部115は、センサ部材110における前方縁180側の端部に形成される。尿センサ部112は、センサ部材110の長手方向Xにおける中央部から後方縁190の間に形成される。また、尿センサ部112は、捕集部120の近傍であって前方縁180側に配置される。便センサ部113は、センサ部材110における後方縁190側の端部に形成される。
【0041】
センサ部材110は、ポリエチレンフィルム等の可撓性であるフィルム110aに導電性塗料を印刷して形成される。具体的には、フィルム110aにおける一方の面に電極116a、116b及び電極117a、117bを形成するよう導電性塗料を塗布すると共に、電極116a、116b及び電極117a、117bを覆うようフィルム110bを積層配置することで形成される。
【0042】
電極116a、116bそれぞれは、出力端子部115を構成する第1コネクト部115a、115bと、尿センサ部112を構成する第1極部112a、112bとを有する。第1コネクト部115a、115bそれぞれは、電極116a、116bそれぞれの長手方向Xにおける一端側に形成される。第1極部112a、112bは、電極116a、116bそれぞれの長手方向Xにおける他端側に形成される。
【0043】
電極117a、117bそれぞれは、出力端子部115を構成する第2コネクト部115c、115dと、便センサ部113を構成する第2極部113a、113bとを有する。第2コネクト部115c、115dは、電極117a、117bそれぞれの長手方向Xにおける一端側に形成される。第2極部113a、113bは、電極117a、117bそれぞれの長手方向Xにおける他方側に形成される。
【0044】
出力端子部115は、上述の通り、センサ部材110の長手方向Xにおける前方縁180側に形成される。出力端子部115は、不使用時には第1シート161及び裏面シート部106により覆われ、使用時には外部に露出されるよう構成される。
【0045】
出力端子部115は、尿センサ部112と電気的に接続される第1コネクト部150a、150bと、便センサ部113と電気的に接続される第2コネクト部150c、150dとを有する。フィルム110bにおける第1コネクト部150a、150bそれぞれと、第2コネクト部150c、150dそれぞれとに対応する位置には、開口が形成される。つまり、センサ部材110において、第1コネクト部150a、150bと、第2コネクト部150c、150dとは外部に露出される。
【0046】
外部に露出された第1コネクト部115a、150bと、第2コネクト部150c、150dとは、入力端子250に形成される不図示の各コネクト部それぞれに当接して電気的に接続される。これにより、第1コネクト部115a、150bと、第2コネクト部150c、150dとから出力される検知信号等は、入力端子250に配置される各コネクタを介してCPU220に出力される。
【0047】
尿センサ部112は、第1極部112a、112bを有する。フィルム110bにおける第1極部112a、112bそれぞれに対応する位置には、開口が形成される。つまり、センサ部材110において、第1極部112a、112bそれぞれは、外部に露出される。
【0048】
尿センサ部112は、該尿センサ部112を構成する第1極部112a、112bが互いに電気的に接続されることで排尿を検知する。具体的には、排出された尿により第1極部112aと第1極部112bとが電気的に接続されることで、排尿を検知する。
【0049】
尿センサ部112は、排泄された尿等の液体が集まる捕集部120の入口近傍に配置されるので、排出された尿等の液体は尿センサ部112を通って捕集部120に捕集される。このように排泄された尿等の液体が通液することで、尿センサ部112を構成する第1極部112a、112b同士が電気的に接続されることで、排尿が検知される。
【0050】
第1極部112a、112bが電気的に接続されることで、尿センサ部112から検知結果情報としての検知信号が出力される。この検知信号は、第1コネクト部150a、150bから出力され、入力端子250及び配線240を介してCPU220に入力される。検知信号が入力されることで、CPU220はポンプ210を駆動させる。
【0051】
便センサ部113は、第2極部113a、113bを有する。フィルム110bにおける第2極部113a、113bそれぞれに対応する位置には、開口が形成される。つまり、センサ部材110において、第2極部113a、113bそれぞれは、外部に露出される。
【0052】
便センサ部113は、該便センサ部113を構成する第2極部113a、113bが互いに電気的に接続されることで排便を検知する。具体的には、排出された便に含まれる水分により第2極部113aと第2極部113bとが電気的に接続されることで、排尿を検知する。
【0053】
便センサ部113は、尿が流れてこず、かつ、便が排泄される位置に配置される。また、便センサ部113の上面には、第2シート162における液透過部162bが配置される。つまり、排泄部から便が液透過部162b上に排出された場合、便センサ部113を構成する第2極部113a、113b同士が便に含まれる水分により電気的に接続され、排便が検知される。
【0054】
第2極部113a、113bが電気的に接続されることで、便センサ部113から検知結果情報としての検知信号が出力される。この検知信号は、第2コネクト部150c、150dから出力され、入力端子250及び配線240を介してCPU220に入力される。検知信号が入力された場合、CPU220は排便がなされたことを知らせる不図示のランプを点灯させる。
【0055】
捕集部120は、尿パッド100の長手方向Xにおける中央部から後方縁190の間に収納配置される。捕集部120は、第1面101側が開口した直方体状であり、第2面102側に位置する底面から第1面101側に突出する突起部が複数形成された柔軟な樹脂性の部材である。この複数の突起部により捕集部120が体圧により潰れることが抑制され、流れてくる尿を好適に捕集する。尿は、第1面101側の開口から捕集部120の内部に流入する。
【0056】
捕集部120の底面には、該底面を貫通する通液路を有するチューブ接続部121が形成される。チューブ接続部121には、チューブ230が通液可能に連結される。そして、チューブ230と間接的に連結されるポンプ210が駆動することで、捕集部120に捕集された尿は容器200に吸引される。
【0057】
第2係止部130は、尿パッド100の第2面102側に配置される。具体的には、第2面102における後方縁190側に配置される。更に具体的には、第2係止部130は、幅方向Yに長い長方形のフック材で構成されると共に、後方縁190の近傍に配置される。この第2係止部130は、アウター部材400の内面に係止される。
【0058】
アウター部材400は、オムツ様の部材である。アウター部材400は、尿パッド100が身体に装着された状態において、その外側を覆うように配置される部材である。アウター部材400における内面には、尿パッド100の第2面102における後方縁190側に配置される第2係止部130が係止される。アウター部材400は、尿パッド100から漏れ出した排泄物が外部に漏れ出さないようにする部材として機能すると共に、尿パッド100の被係止体として機能する。
【0059】
1−4 装着手順及び装着状態
図4から図7により、尿パッド100(吸収性物品システム)の装着状態及び装着手順について説明する。
まず、図4に示すように、帯状部材300を身体の胴回りに沿うようにして装着する。帯状部材300の一端側に配置される不図示の係止部材により、帯状部材300を環状の状態にして装着する。そして、床面に広げたアウター部材400上に、帯状部材300を装着した装着者を仰向けになるようにして寝かせる。
【0060】
次いで、図5に示すように、出力端子部115に入力端子250が取り付けられた状態の尿パッド100を排泄部を覆うようにして身体に装着する。具体的には、まず、出力端子部115に取り付けられた入力端子250に配置される第1係止部251を帯状部材300の表面に係止させる。次いで、帯状部材300に係止された第1係止部251を起点として尿パッド100の装着位置を調整する。そして、尿パッド100の第2面102における後方縁190側に配置された第2係止部130をアウター部材400の内面に係止させる。ここで、第2係止部130は、装着者の後面側における排泄部から近い位置に係止される。ここで、チューブ230及び配線240は、身体の前面側から延出するよう配置される。
【0061】
続けて、図6及び図7に示すように、排泄部を覆うように配置された尿パッド100を覆うようにアウター部材400を装着する。具体的には、アウター部材400は、第1係止部251により帯状部材300に係止されると共に、第2係止部130によりアウター部材400の内面に係止された尿パッド100を覆うように装着される。このようにして装着された尿パッド100(吸収性物品システム)は、アウター部材400と身体(帯状部材300)の動きに追従する。このように装着されたアウター部材400は、尿パッド100の第2係止部130が内面に係止された状態を維持すると共に、排泄物の漏れを防止する。
【0062】
1−5 効果
本実施形態によれば、尿パッド100の装着を容易にすることができる。本実施形態における尿パッド100によれば、従来の尿パッドのように装着者の体を大きく動かすことなく装着することができる。また、本実施形態における尿パッド100によれば、第2係止部の位置を容易に再調整することができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、尿パッド100を装着対象者における身体の大きさに関係なく好適な状態で装着させることができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、身体のぴったりと装着される着衣を装着しなくても、身体の動きに追従するように尿パッド100を装着することができる。
【0065】
また、本実施形態によれば、介護に用いられる尿パッド100を小型化することができる。具体的には、尿パッド100における長さを短くすることができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、尿パッド100の外側にアウター部材を装着することで、第2係止部により尿パッド100を係止できると共に、尿パッド100から漏れでた排泄物が外部に漏れ出すことを抑制できる。
【0067】
2 第2実施形態
図8及び図9により、第2実施形態における尿パッド100Aについて説明する。
図8及び図9に示すように、本実施形態における尿パッド100Aは、第1係止部が尿パッド100Aに配置される点で第1実施形態の尿パッド100(吸収性物品システム)と相違する。以下、尿パッド100Aにつき、第1実施形態における尿パッド100との相違点を中心に説明する。
【0068】
図8に示すように、尿パッド100Aにおける第1面101の前方縁180側には、第1係止部251Aが配置される。第1実施形態における尿パッド100は、出力端子部115に取り付けられた入力端子250に配置される第1係止部251により、上述の帯状部材300に係止されるが、本実施形態における尿パッド100Aは、該尿パッド100A自体に配置される第1係止部251Aにより、帯状部材300等に係止される点で相違する。
【0069】
図9に示すように、尿パッド100Aにおける第2面102の後方縁190側には、第2係止部130Aが配置される。つまり、本実施形態における尿パッド100Aは、長手方向Xにおける両端側に配置される係止部を有する。前方縁180側の係止部は第1面101側に配置され、後方縁190側の係止部は第2面102側に配置される。
【0070】
ここで、本実施形態における尿パッド100Aも上述の第1実施形態における尿パッド100と同様の手順で装着される。また、本実施形態における尿パッド100Aも第1実施形態における尿パッド100と同様の作用効果を奏する共に、第1係止部を有する係止部材を取り付けることなく装着可能であるという効果を奏する。
【0071】
3 その他
表面シート部105は、多数の液透過孔が形成された樹脂フィルム、多数の網目を有するネット状シート部、液透過性の不織布、又は織布などで形成される。前記樹脂フィルムやネット状シート部は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などで形成されたものを使用できる。また不織布としては、レーヨンなどのセルロース繊維、合成樹脂繊維などから形成されたスパンレース不織布、前記合成樹脂繊維で形成されたエアースルー不織布などを用いることができる。また、素材として、ポリ乳酸、キトサン、ポリアルギン酸などの生分解性が可能な天然物を用いることもできる。また、多数の液透過孔を形成すると共に、シリコーン系やフッ素系の撥水性油剤を塗布して、その外面に体液が付着しにくいものとしてもよい。
【0072】
裏面シート部106は、尿等の排泄物が外へ漏れ出すのを防止できる材料が使用される。また、裏面シート部106を透湿性素材とすることにより、装着時のムレを低減させることができ、装着時における不快感を低減させることが可能となる。このような材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等を主体とした液不透過性フィルム、通気性フィルム、スパンボンドなどの不織布の片面に液不透過性フィルムをラミネートした複合シートなどが挙げられる。好ましくは、疎水性の不織布、不透水性のプラスティックフィルム、不織布と不透水性プラスティックフィルムとのラミネートシート等を用いることができる。また、耐水性の高いメルトブローン不織布や強度の強いスパンボンド不織布で挟んだSMS不織布でもよい。
【0073】
捕集部120は、軟質ポリエチレンやシリコンゴム等の軟質弾性材料を用いて製造することができる。例えば、上述の材料を射出成形等によって所定形状に成型することで捕集部120を製造することができる。
【0074】
また、上述の実施形態において、第1係止部及び第2係止部はフック材により構成されるが、これに限定されず、粘着材等のシートや身体に係止可能な部材を適宜用いることができる。
【0075】
また、上述の実施形態において、吸収性物品として尿パッドの場合を説明しているが、これに限定されず、オムツや生理用ナプキン等であってもよい。
【0076】
また、上述の実施形態において、アウター部材はオムツ様の部材であるが、これに限定されず、着衣であってもよい。
【0077】
また、第2実施形態において、第1実施形態と同様に介護システム1に用いられる尿パッドの場合を説明しているが、これに限定されず、通常の吸収性物品であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】介護システム1を説明する概略図を示す。
【図2】(a)は尿パッド100の構造を説明する平面図を示し、(b)は(a)におけるセンサ部材110とセンサ部材110に取り付けられた入力端子250とを説明する平面図を示す。
【図3】尿パッド100の構造を説明する裏面図を示す。
【図4】尿パッド100の装着手順を説明する図を示す。
【図5】尿パッド100の装着手順を説明する図を示す。
【図6】尿パッド100の装着手順を説明する図を示す。
【図7】尿パッド100の装着状態を説明する図を示す。
【図8】尿パッド100Aの構造を説明する平面図を示す。
【図9】尿パッド100Aの構造を説明する裏面図を示す。
【符号の説明】
【0079】
1 介護システム
10 吸収性物品システム
20 装置
100 尿パッド
130 第2係止部
200 容器
210 ポンプ
220 CPU
230 チューブ
240 配線
250 入力端子
251 第1係止部
300 帯状部材
400 アウター部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排泄部を有する装着対象に前記排泄部を覆うように配置される縦長状の吸収性物品と、
前記吸収性物品に接続され前記排泄部から排泄される液体を排出可能なチューブと、
前記チューブに接続され前記吸収性物品から排出される前記液体を収容可能な容器と、
前記チューブに直接又は間接的に連結され、前記液体を前記容器に送液させるポンプと、
前記吸収性物品に配置され、該吸収性物品に前記液体が排泄されたことを検知するセンサと、
前記吸収性物品に配置され前記センサによる検知結果情報を出力する出力端子と、
前記出力端子に接続され前記検知結果情報が入力される入力端子と、
前記入力端子に入力された前記検知結果情報により前記ポンプを制御する制御手段と、
を備えるシステムであって、
前記出力端子は、前記吸収性物品の長手方向における一端側に配置され、
前記入力端子には、前記出力端子に接続された状態において前記装着対象側を向く第1係止部が配置され、
前記吸収性物品における他端側には、該吸収性物品における前記装着対象側と反対側の面に第2係止部が配置される介護システム。
【請求項2】
前記装着対象の外周に沿うように環状に配置される帯状部材と、
前記吸収性物品を覆うように配置されるアウター部材と、を更に備え、
前記第1係止部は、前記帯状部材に係止され、
前記第2係止部は、前記アウター部材に係止される請求項1に記載の介護システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の介護システムに用いられる吸収性物品であって、
前記排泄部から排泄される液体を排出可能なチューブが接続される接続部と、
該吸収性物品に前記液体が排泄されたことを検知するセンサと、
前記センサによる検知結果情報を出力する出力端子であって該吸収性物品の長手方向における一端側に配置される出力端子と、
前記吸収性物品における他端側であって前記装着対象側と反対側の面に配置される第2係止部と、を備える吸収性物品。
【請求項4】
前記出力端子には、第1係止部が配置される入力端子が接続可能であり、
前記入力端子が前記出力端子に接続された状態において、前記第1係止部は、前記装着対象側を向いて配置される請求項3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
排泄部を有する装着対象の外周に沿うように環状に配置される帯状部材と、
前記装着対象に前記排泄部を覆うように配置される縦長状の吸収性物品と、
前記吸収性物品を覆うように配置されるアウター部材と、
前記吸収性物品の長手方向における一端側に連結され、前記帯状部材に係止される第1係止を有する係止部材と、を備えるシステムであって、
前記吸収性物品の前記長手方向における他端側であって前記アウターシート側に配置される面には、前記アウター部材に係止される第2係止部が配置される吸収性物品システム。
【請求項6】
前記係止部材は、前記吸収性物品の前記長手方向における一端側に前記第1係止部が前記帯状部材側を向くように連結され、
前記第1係止部は、前記帯状部材に係止され、
前記吸収性物品における第2係止部は、前記アウター部材に係止され、
前記第2係止部により前記アウター部材に係止された吸収性物品は、前記装着対象に前記排泄部を覆うようにして配置され、
前記アウター部材は、第2係止部材により該アウター部材に係止される吸収性物品を覆うようにして配置される請求項5に記載の吸収性物品システム。
【請求項7】
請求項5又は6の吸収性物品システムに用いられる吸収性物品であって、
該吸収性物品の長手方向における一方側の端部に配置され、前記第1係止部が前記装着対象側に配置されるよう前記係止部材が連結される連結部と、
該吸収性物品の前記長手方向における他端側であって前記アウターシート側に配置され第2係止部と、を備える吸収性物品。
【請求項8】
排泄部を有する装着対象に前記排泄部を覆うように配置される縦長状の吸収性物品であって、
該吸収性物品は、装着状態において前記装着対象側に配置される第1面と、前記装着対象と反対側に配置される第2面とを有し、
前記第1面における前記吸収性物品の長手方向における一端側には、第1係止部が配置され、
前記第2面における前記長手方向の他端側には、第2係止部が配置される吸収性物品。
【請求項9】
該吸収性物品が前記装着対象に前記排泄部を覆うように配置されると共に、該吸収性物品を覆うようにアウター部材が配置された状態において、
前記第1係止部は、前記装着対象に直接又は間接的に係止され、
前記第2係止部は、前記アウター部材に係止される請求項8に記載の吸収性物品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−272047(P2008−272047A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−116569(P2007−116569)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】