説明

吸収性物品に係るワークの受け渡し装置

【課題】第1シート状ワークの受け取り時や引き渡し時に生じ得る皺の発生を抑制する。
【解決手段】搬送方向に搬送される第1シート状ワークを受け取り位置で受け取り、該第1シート状ワークの長手方向の向きを前記受け取り位置で受け取った時の前記長手方向の向きと交差する方向に変更し、前記長手方向の向きが変更された前記第1シート状部材を、引き渡し位置で引き渡す吸収性物品に係るワークの受け渡し装置である。前記第1シート状ワークの片面に当接して該第1シート状ワークを保持する平面部を有する複数の保持パッドと、前記保持パッドを、前記平面部の法線方向と平行な公転軸周りに公転させる公転機構と、前記平面部の法線方向と平行な自転軸周りに前記保持パッドを自転させる自転機構と、を有する。前記公転機構により形成される前記保持パッドの公転軌道上に、前記受け取り位置と前記引き渡し位置とが設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつ等の吸収性物品に係るワークの受け渡し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨ておむつ等の吸収性物品の製造ラインでは、上工程から受け取った吸収性物品に係る第1シート状ワーク10の長手方向の向きを、受け取った状態から90°だけ変更して下工程等へ引き渡す処理が行われる。そして、この処理は、図10Aに側面視で示すように90°ターンドラム装置230により行われる。
【0003】
この90°ターンドラム装置230は、製造ラインの幅方向(搬送方向と直交する方向のことであり、以下では、CD方向とも言う)に沿った水平軸C231周りに駆動回転する回転ドラム231を本体とする。回転ドラム231の外周部には、第1シート状ワーク10を吸引保持する保持パッド233,233…が、回転方向Dcの複数の位置にそれぞれ設けられている。各保持パッド233は、それぞれ、回転ドラム231の回転半径方向Drに沿った自転軸C233周りに自転可能に構成され、また、各保持パッド233には、第1シート状ワーク10を吸引・保持する保持面233aが、前記回転半径方向Drの外方を向いた状態で形成されている。
【0004】
また、回転ドラム231の回転方向Dcの所定位置Qinには、上工程から第1シート状ワーク10を受け取る受け取り位置Qinが設定され、その下流側の所定位置Qoutには、受け取った第1シート状ワーク10を下工程に引き渡す引き渡し位置Qoutが設定されている。そして、例えば、受け取り位置Qinには、駆動回転する搬送ロール250が、回転ドラム231の外周面に対向して配置されており、当該搬送ロール250が、単票状の第1シート状ワーク10を、その長手方向が搬送方向を向いた状態で前記受け取り位置Qinへ送る。他方、引き渡し位置Qoutには、駆動回転するサクションロール260が、回転ドラム231の外周面に対向して配置されており、サクションロール260の外周面260aからの吸気によって第1シート状ワーク10を受け取り可能になっている。
【0005】
そして、以上のような構成の90°ターンドラム装置230において、保持パッド233が受け取り位置Qinを通過する際には、同位置Qinにて、搬送ロール250から単票状の第1シート状ワーク10を保持面233aで吸引して受け取り、しかる後に、同保持パッド233が引き渡し位置Qoutへ移動するまでの間に、保持パッド233が自転軸C233周りに90°回転することにより、第1シート状ワーク10の長手方向の向きをCD方向に変更する。そして、保持パッド233が引き渡し位置Qoutを通過する際に、長手方向がCD方向を向いた状態の第1シート状ワーク10を、前記サクションロール260に引き渡す(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−298193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
かかる保持パッド233の保持面233aの形状は、一般に、受け取り位置Qinにおいて保持面233aが、保持パッド233の回転方向Dcの円周軌跡Tr233に沿うように、略円弧面に形成されている。これにより、受け取り位置Qinにおいては、保持面233aの前記略円弧面の円弧方向の全長に亘り、第1シート状ワーク10を受け取り中の保持面233aの各部位と搬送ロール250の外周面250aとの間のクリアランスは略一定に保たれて、その結果、受け取り時の第1シート状ワーク10の皺の発生は防止される。
【0008】
但し、図10B(図10A中のB−B矢視図)に示すように、引き渡し位置Qoutにおいては、上記保持面233aの円弧方向がCD方向を向くことから、保持パッド233に保持された第1シート状ワーク10とサクションロール260の外周面260aとの間のクリアランスが、CD方向の位置に応じて異なってしまう。例えば、CD方向の中央部位233acではクリアランスが小さいが、CD方向の両端の部位233ae,233aeではクリアランスが大きくなってしまう。そのため、このようなクリアランスの相違に起因して、引き渡し位置Qoutで引き渡す際には、第1シート状ワーク10に皺が寄る虞がある。
【0009】
ここで、上記CD方向の位置に応じたクリアランスの相違は、保持パッド233の保持面233aの形状を上述の略円弧面から平面234a(図10A中、二点鎖線で示す部位234aを参照)に変更することで回避することができる。しかし、そうすると、受け取り位置Qinを保持パッド233が通過する際の保持面234aと搬送ロール250との間のクリアランスが、保持パッド233の前記回転方向Dcの移動に応じて変化してしまう。例えば、保持パッド233のうちで前記回転方向Dcの中央部位234acが受け取り位置Qinを通過する際は、クリアランスが大きいが、その下流側の部位234aeや上流側の部位234aeではクリアランスが小さくなってしまい、その結果、第1シート状ワーク10の受け取り時に皺が寄ってしまう虞がある。
【0010】
つまり、上述の90°ターンドラム装置231の構成では、受け取り位置Qin及び引き渡し位置Qoutの何れか一方では、第1シート状ワーク10の皺の発生を防止できるが、両方の位置Qin,Qoutで皺の発生を防ぐことは困難であった。
【0011】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、第1シート状ワークの受け取り時及び引き渡し時に生じ得る皺の発生を有効に抑制可能な受け渡し装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための主たる発明は、
搬送方向に搬送される第1シート状ワークを受け取り位置で受け取り、該第1シート状ワークの長手方向の向きを前記受け取り位置で受け取った時の前記長手方向の向きと交差する方向に変更し、前記長手方向の向きが変更された前記第1シート状部材を、引き渡し位置で引き渡す吸収性物品に係るワークの受け渡し装置であって、
前記第1シート状ワークの片面に当接して該第1シート状ワークを保持する平面部を有する複数の保持パッドと、
前記保持パッドを、前記平面部の法線方向と平行な公転軸周りに公転させる公転機構と、
前記平面部の法線方向と平行な自転軸周りに前記保持パッドを自転させる自転機構と、を有し、
前記公転機構により形成される前記保持パッドの公転軌道上に、前記受け取り位置と前記引き渡し位置とが設定されており、
前記受け取り位置においては、前記第1シート状ワークの長手方向は、前記搬送方向を向いており、
前記保持パッドは、前記平面部が属する保持面を有し、
前記保持面は、その長手方向と幅方向とを、それぞれ、前記保持パットの長手方向と幅方向とに揃えて形成され、
前記公転軌道における前記受け取り位置の前記保持パッドの通過は、前記自転機構によって前記保持パッドの長手方向が前記第1シート状ワークの前記搬送方向と平行な方向に向けられた状態で、前記搬送方向に沿って前記保持パッドが移動することにより行われ、
前記公転軌道における前記引き渡し位置の前記保持パッドの通過は、前記自転機構によって前記保持パッドの長手方向が前記受け取り位置での前記保持パッドの長手方向と直交する方向に向けられた状態で、前記保持パッドが前記搬送方向と平行な方向に移動することにより行われ、
前記保持パッドの公転方向の下流端部が前記受け取り位置を通過する際には、前記下流端部に係る前記保持パッドが、該保持パッドの公転方向の下流側に並ぶ隣の保持パッドと一直線上に並びつつ、前記下流端部と前記隣の保持パッドの上流端部との間の間隔が、前記公転軌道の全周のなかで最も小さい状態になっており、
前記下流端部の前記受け取り位置の通過後に、前記間隔は広げられることを特徴とする吸収性物品に係るワークの受け渡し装置である。
【0013】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第1シート状ワークの受け取り時及び引き渡し時に生じ得る皺の発生を有効に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1Aは展開状態の使い捨ておむつ1の平面図であり、図1Bは図1A中のB−B断面図であり、図1Cは同おむつ1の斜視図である。
【図2】図2Aは、本実施形態に係る工程で行われる処理の模式上面図(平面図)であり、図2Bは、図2A中のB−B矢視図であり、図2Cは、図2A中のC−C矢視図である。
【図3】図3A乃至図3Fは、各保持パッド35の公転及び自転の単位動作を示す上面図である。
【図4】図4Aは、本実施形態の受け渡し装置30の概略上面図であり、図4Bは図4A中のB−B断面図である。
【図5】図5Aは、図4Aに対して駆動源48を追記してなる概略上面図であり、図5Bは図5A中のB−B断面図である。
【図6】図6Aは、同受け渡し装置30に係る保持パッド35の概略中心縦断面図であり、図6B及び図6Cは、それぞれ、図6A中のB−B断面図及びC−C断面図である。
【図7】図7A及び図7Bは、図4A及び図4Bに対してそれぞれ吸引機構80の構成を追記して示した図である。
【図8】図8Aは、図6A中のVIII−VIII矢視の平面図であり、図8Bは、図8A中のB−B矢視図である。
【図9】保持パッド35の公転軌道Tr、第1レール50、及び第2レール62の平面位置関係の説明図である。
【図10】図10Aは、従来の90°ターンドラム装置230の側面図であり、図10Bは、図10A中のB−B矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0017】
搬送方向に搬送される第1シート状ワークを受け取り位置で受け取り、該第1シート状ワークの長手方向の向きを前記受け取り位置で受け取った時の前記長手方向の向きと交差する方向に変更し、前記長手方向の向きが変更された前記第1シート状部材を、引き渡し位置で引き渡す吸収性物品に係るワークの受け渡し装置であって、
前記第1シート状ワークの片面に当接して該第1シート状ワークを保持する平面部を有する複数の保持パッドと、
前記保持パッドを、前記平面部の法線方向と平行な公転軸周りに公転させる公転機構と、
前記平面部の法線方向と平行な自転軸周りに前記保持パッドを自転させる自転機構と、を有し、
前記公転機構により形成される前記保持パッドの公転軌道上に、前記受け取り位置と前記引き渡し位置とが設定されており、
前記受け取り位置においては、前記第1シート状ワークの長手方向は、前記搬送方向を向いており、
前記保持パッドは、前記平面部が属する保持面を有し、
前記保持面は、その長手方向と幅方向とを、それぞれ、前記保持パットの長手方向と幅方向とに揃えて形成され、
前記公転軌道における前記受け取り位置の前記保持パッドの通過は、前記自転機構によって前記保持パッドの長手方向が前記第1シート状ワークの前記搬送方向と平行な方向に向けられた状態で、前記搬送方向に沿って前記保持パッドが移動することにより行われ、
前記公転軌道における前記引き渡し位置の前記保持パッドの通過は、前記自転機構によって前記保持パッドの長手方向が前記受け取り位置での前記保持パッドの長手方向と直交する方向に向けられた状態で、前記保持パッドが前記搬送方向と平行な方向に移動することにより行われ、
前記保持パッドの公転方向の下流端部が前記受け取り位置を通過する際には、前記下流端部に係る前記保持パッドが、該保持パッドの公転方向の下流側に並ぶ隣の保持パッドと一直線上に並びつつ、前記下流端部と前記隣の保持パッドの上流端部との間の間隔が、前記公転軌道の全周のなかで最も小さい状態になっており、
前記下流端部の前記受け取り位置の通過後に、前記間隔は広げられることを特徴とする吸収性物品に係るワークの受け渡し装置。
【0018】
このような吸収性物品に係るワークの受け渡し装置によれば、保持パッドの公転軌道は、平面部と平行な平面上に形成される。つまり、受け取り位置及び引き渡し位置では、保持パッドの平面部は、同平面部と平行な面上を平行移動する。また、第1シート状ワークの長手方向の向きを変更するための自転の際にも、平面部は上記面と同一面に維持される。
よって、受け取り位置において保持パッドに第1シート状ワークを渡すための装置(例えばカッターロール装置)と保持パッドの平面部との間のクリアランスを、同受け取り位置における保持パッドの通過方向の全長及び前記通過方向と直交する方向の全長に亘って均等間隔に維持し易くなり、これにより、平面部が第1シート状ワークを受け取る際に生じ得る同ワークの皺の発生を有効に防止可能となる。また、同様に、引き渡し位置において第1シート状ワークを引き渡すための装置(例えばプレスロール装置)と平面部との間のクリアランスも、同引き渡し位置における保持パッドの通過方向の全長及び前記通過方向と直交する方向の全長に亘って均等間隔に維持し易くなり、これにより、保持パッドの平面部から第1シート状ワークを引き渡す際に生じ得る同ワークの皺の発生も有効に防止可能となる。
以上のことから、上記構成の受け渡し装置によれば、第1シート状ワークを受け渡す際に生じ得る第1シート状ワークの皺の発生を有効に抑制可能となる。
【0019】
また、長手方向に沿って搬送される第1シート状ワークを受け取っている間に亘っては、保持パッドの長手方向の向きは、前記第1シート状ワークの長手方向に維持され、且つ保持パッドの移動も、第1シート状ワークの搬送方向に沿った移動に維持される。よって、保持パッドは、その長手方向の全長を用いながら、第1シート状ワークを円滑に受け取ることができる。
更には、第1シート状ワークを引き渡している間に亘っては、保持パッドの長手方向の向きは、受け取り位置での保持パッドの長手方向の向きと直交する方向に維持され、且つ保持パッドの移動は、前記搬送方向と平行な移動に維持される。よって、保持パッドは、第1シート状ワークの長手方向の向きを、受け取り位置での前記搬送方向に対して直交する方向に向かせた状態で、該第1シート状ワークを円滑に引き渡し可能となる。
また、第1シート状ワーク同士の間に間隔の無い詰まった状態で連続供給される第1シート状ワークを、同詰まった状態を維持しながら速やかに保持パッドは受け取ることができる。更には、同第1シート状ワークを引き渡す際には、直前に引き渡した第1シート状ワークとの間に間隔が空いた状態で、次の第1シート状ワークを引き渡すことができる。
【0020】
かかる吸収性物品に係るワークの受け渡し装置であって、
前記公転機構は、前記公転軸と平行な第1軸を回転中心として駆動回転する回転部材と、
前記回転部材とともに前記第1軸周りに回転する前記保持パットの前記第1軸からの回転半径を、前記回転部材の回転動作に基づいて変化する駆動機構と、を有するのが望ましい。
このような吸収性物品に係るワークの受け渡し装置によれば、回転部材の回転動作に基づいて、保持パッドを公転軸周りに公転させることができる。
【0021】
かかる吸収性物品に係るワークの受け渡し装置であって、
前記公転軌道は、前記搬送方向に沿った直線軌道を有し、
前記直線軌道内に前記受け取り位置が設定されており、
前記直線軌道における前記受け取り位置の上流側の部分の長さ及び下流側の部分の長さは、それぞれ、前記保持パッドの長手方向の長さの半分以上の長さに設定されているのが望ましい。
このような吸収性物品に係るワークの受け渡し装置によれば、上述の直線軌道に基づいて、保持パッドは、前記受け取り位置を通過する間に亘り第1シート状ワークの搬送方向に沿って移動することになる。よって、保持パッドは、第1シート状ワークを円滑に受け取ることができる。
【0022】
かかる吸収性物品に係るワークの受け渡し装置であって、
前記受け取り位置においては、前記第1シート状ワークの搬送方向と、前記保持パッドの移動方向とは互いに平行であり、
前記引き渡し位置では、該引き渡し位置を走行する第2シート状ワークに、前記保持パッドから前記第1シート状ワークが引き渡され、
前記引き渡し位置においては、前記第2シート状ワークの走行方向と、前記保持パッドの移動方向とは互いに平行であるのが望ましい。
このような吸収性物品に係るワークの受け渡し装置によれば、第1シート状ワークの受け取りや、第1シート状ワークの第2シート状ワークへの引き渡しを円滑に行うことができる。
【0023】
かかる吸収性物品に係るワークの受け渡し装置であって、
前記吸収性物品は、おむつであり、
前記第1シート状ワークは、前記おむつの着用時に着用者の股間にあてがわれて体液を吸収する吸収性本体であり、
前記第2シート状ワークは、前記おむつの着用時に着用者の腰部を覆って前記吸収性本体を着用者に固定する部材であり、
前記受け取り位置での前記第1シート状ワークの前記搬送方向と、前記引き渡し位置での前記第2シート状ワークの前記走行方向とは、互いに平行であるのが望ましい。
このような吸収性物品に係るワークの受け渡し装置によれば、吸収性本体を有したおむつを製造することができる。
また、一般的な製造ラインにおいては、受け取り位置での第1シート状ワークの搬送方向と、引き渡し位置での第2シート状ワークの走行方向とは互いに平行である。よって、上記構成を具備する受け渡し装置によれば、上記の一般的な製造ラインに対して速やかに適用可能となる。
【0024】
かかる吸収性物品に係るワークの受け渡し装置であって、
前記公転軌道は、前記搬送方向に沿った直線軌道を有し、
前記直線軌道内に前記受け取り位置が設定されているのが望ましい。
このような吸収性物品に係るワークの受け渡し装置によれば、上述の直線軌道に基づいて、保持パッドは受け取り位置を通過する間に亘って第1シート状ワークの搬送方向に沿って移動することになる。よって、保持パッドは、第1シート状ワークを円滑に受け取ることができる。
【0025】
かかる吸収性物品に係るワークの受け渡し装置であって、
前記保持パッドの前記長手方向の両端部のうちの一方の端部を第1端部とし、他方の端部を第2端部とした場合に、
前記保持パッドが前記受け取り位置を通過する際には常に前記第1端部の方が前記第2端部よりも前記公転方向の下流側に位置した状態になるように、前記保持パッドの向きが前記自転機構によって調整されるのが望ましい。
このような吸収性物品に係るワークの受け渡し装置によれば、受け取り位置での第1シート状ワークの前記搬送方向の先尾端部と保持パッドの各端部との対応関係は固定されることになる。つまり、第1シート状ワークの先端部及び尾端部には、それぞれ保持パッドの第1端部及び第2端部が対応付けられ、かかる対応関係において、保持パッドの第1端部と第2端部とが互いに入れ替わることは無い。
よって、第1端部の面形状等の諸条件を、第1シート状ワークの先端部の受け取りに最適な条件に設定し、且つ、第2端部の面形状等の諸条件を、第2シート状ワークの尾端部の受け取りに最適な条件に設定することができる。その結果、保持パッドが第1シート状ワークを受け取る際に生じ得る同ワークの皺の発生をより有効に防止可能となる。
【0026】
かかる吸収性物品に係るワークの受け渡し装置であって、
前記保持パッドの前記長手方向の両端部のうちの一方の端部を第3端部とし、他方の端部を第4端部とした場合に、
前記保持パッドが前記引き渡し位置を通過する際には常に前記第3端部の方が前記第4端部よりも前記公転軌道の内方に位置した状態になるように、前記保持パッドの向きが前記自転機構によって調整されるのが望ましい。
このような吸収性物品に係るワークの受け渡し装置によれば、例えば、引き渡し位置に配される第1シート状ワークを引き渡すための装置(例えばプレスロール装置)が、公転軌道の内方の部位及び外方の部位を有する場合に、これら各部位と、保持パッドの各端部との対応関係は固定されることになる。つまり、上記装置に係る前記内方の部位及び前記外方部位には、それぞれ保持パッドの第3端部及び第4端部が対応付けられ、かかる対応関係において、第3端部と第4端部とが互いに入れ替わることは無い。
よって、第3端部の面形状等の諸条件を、前記内方の部位との関係において第1シート状ワークの引き渡しに最適な条件に設定し、且つ、第4端部の面形状等の諸条件を、前記外方の部位との関係において第1シート状ワークの引き渡しに最適な条件に設定することができる。その結果、保持パッドが第1シート状ワークを引き渡す際に生じ得る同ワークの皺の発生をより有効に防止可能となる。
【0027】
===本実施形態===
本実施形態の受け渡し装置30は、例えば、使い捨ておむつ1の製造ラインで使用される。
図1A乃至図1Cは使い捨ておむつ1の説明図である。図1Aは展開状態のおむつ1の平面図であり、図1Bは図1A中のB−B断面図であり、図1Cはおむつ1の斜視図である。
【0028】
このおむつ1は、着用者の腹側部を覆う腹側帯部材20と、同背側部を覆う背側帯部材24と、同股間にあてがわれ尿等の体液を吸収する吸収性本体10と、を備えている。図1Aの展開状態では、腹側帯部材20と背側帯部材24とが互いの間に間隔をあけて平行に並んだ状態において、これらの間に吸収性本体10の長手方向の両端部10e,10eが架け渡されて固定されており、その外観形状は平面視略H形状をなしている。
そして、この状態から、吸収性本体10の長手方向の中央部C10を折り位置として二つ折りされるとともに、この二つ折りの状態において互いに対向する帯部材20,24同士が、着用者の脇腹に当接すべき部位にて止着されると、これら帯部材20,24同士が環状に連結されて、これにより、図1Cに示すような胴周り開口3及び一対の脚周り開口5,5が形成された着用状態のおむつ1となる。
【0029】
図1A及び図1Bに示すように、吸収性本体10は、パルプ繊維等の液体吸収性繊維を平面視略矩形状に成型してなる吸収体11と、吸収体11を着用者の肌側から覆う表面シート部材12と、吸収体11を非肌側から覆っておむつ1の外装を兼ねる裏面シート部材13とを備えている。表面シート部材12は、例えば吸収体11よりも大きい平面サイズの液透過性の不織布である。また、裏面シート部材13は、吸収体11より大きい平面サイズの液不透過性シートであり、その一例としては、ポリエチレン等の液不透過性の防漏シート14と、不織布等の外装シート15とが貼り合わされた二層構造のシート13が挙げられる。そして、これら裏面シート部材13と表面シート部材12との間に吸収体11を挟んだ状態において、吸収体11の四辺から外側にはみ出す部分にて、裏面シート部材13と表面シート部材12とが額縁状に貼り合わされ、これにより、吸収性本体10が形成される。
【0030】
なお、図1Bに示すように、裏面シート部材13の幅方向の両端部において、防漏シート14と外装シート15との間に長手方向に沿った糸ゴム等の弾性部材17を伸長下で介装固定しても良く、そうすれば、これら弾性部材17により、おむつ1の各脚周り開口5,5には脚周りギャザー部が形成されて伸縮性が付与される。
【0031】
腹側帯部材20及び背側帯部材24は、何れも、例えば不織布等の柔軟なシートを素材とする。ここでは、図1Bに示すように、不織布21,21を二枚重ねにして各帯部材20,24は形成されており、各帯部材20,24は、それぞれ、吸収性本体10の長手方向の対応する端部10e,10eに貼り付けられて固定されている。また、各帯部材20,24に糸ゴム等の弾性部材を伸長下で固定して、これら帯部材20,24に伸縮性を付与しても良い。
【0032】
このようなおむつ1は、製造ラインを連続して流れる何れかの部品を基材として、当該基材に対して各種部品が接合等されて完成する。本実施形態に係る受け渡し装置30は、その一工程を担っている。
【0033】
図2A乃至図2Cは、この工程で行われる処理の模式図であり、図2Aには上面図(平面図)を示し、図2Bには、図2A中のB−B矢視図を、また図2Cには、図2A中のC−C矢視図を示している。
なお、以下の説明では、図2A乃至図2Cに示すように、水平方向における一方向をCD方向と言い、このCD方向と直交する平面内の任意の方向のことをMD方向と言う。このMD方向にあっては、鉛直方向たる上下方向と、水平方向を向いた前後方向との二方向に分解することができ、便宜上、上下方向のことをMD1方向とも言い、また前後方向のことをMD2方向とも言う。ちなみに、これらCD方向、MD1方向、及びMD2方向は、互いに直交関係にある。
【0034】
この工程では、一対の帯部材20,24に対して吸収性本体10を架け渡して貼り付ける処理を行い、これにより、おむつ1の半製品1aは図1Aのような略H形状になる。
詳しくは、図2A及び図2Cに示すように、この工程に供給される時点の一対の帯部材20,24は、MD方向に沿った連続体20a,24aの形態で、且つ、互いにCD方向に間隔を隔てて並んだ状態で連続搬送されている。また、図2Bに示すように、吸収性本体10の方もMD2方向に連続する連続体10aの形態で連続搬送されている。すなわち、吸収性本体10を構成する表面シート部材12及び裏面シート部材13は、吸収性本体10の長手方向に連続する連続シートの状態にあり、そして、これら表面シート部材12及び裏面シート部材13の間に吸収体11が介装されつつ各吸収体11,11…は前記長手方向に間欠的に配置された状態にある。
【0035】
一方、この工程に係る受け渡し装置30は、水平な長円形状の公転軌道Trを一方向に(図2Aでは時計回りに)周回する複数(図示例では6枚)の保持パッド35,35…を有している。また、公転軌道Trの所定位置Qinの近傍には、カッターロール装置100として、CD方向に沿った回転軸C100周りに連続回転する一対のロール101,102が配されている。そして、これら一対のロール101,102同士の間隙には、吸収性本体10が連続体10aの形態で供給され、一方のロール102は、その外周面で同連続体10aを吸着しながら前記所定位置Qinたる受け取り位置Qinへ連続して送る。
【0036】
すると、この受け取り位置QinをMD2方向に通過する保持パッド35は、その上面の保持面35aにて吸引することにより、吸収性本体の連続体10aの先端側の部分を順次保持するが、適宜なタイミングでなされるカッターロール装置100の切断処理により当該先端側の部分が切り離されて単票状の吸収性本体10が生成され、これにより、最終的に保持パッド35は、単票状の吸収性本体10を受け取ることとなる。
【0037】
そうしたら、保持パッド35は、図2Aに示すように、そのまま公転軌道Tr上を公転するが、引き渡し位置Qoutに到達するまでの間に、同保持パッド35は、上下方向に沿った自転軸C35周りに自転することにより水平回転して、吸収性本体10の長手方向の向きをCD方向に変更する。
【0038】
そして、引き渡し位置Qoutを保持パッド35が通過する際に、図2Cに示すように引き渡し位置QoutをMD2方向の後方へ走行する一対の帯部材の連続体20a,24aに、吸収性本体10のCD方向の両端部10e,10eが貼り付けられる(図2A)。これにより、保持パッド35から吸収性本体10が一対の帯部材20a,24aへと引き渡されて、上述の図1Aの略H形状の前段階たる略梯子状の半製品1aが生成される。
ちなみに、この例では、吸収性本体10(10a)が「第1シート状ワーク」に相当し、帯部材の連続体20a,24aが「第2シート状ワーク」に相当する。
【0039】
また、図3A乃至図3Fには、参考として、各保持パッド35が、公転及び自転する単位動作の様子をコマ送りで示しているが、基本的には、保持パッド35の公転及び自転動作は、これら図3A乃至図3Fからなる単位動作の繰り返しとなる。なお、これら各図中では、保持パッド35の自転軸C35を黒丸で示し、後述の自転機構60に係る第2アーム部材64を実線で示している。また、保持パッド35の長手方向の両端部のうちで、受け取り位置Qinを通過する際に下流側となる端部35e1を白丸で示している。
【0040】
以下、受け渡し装置30の構成について詳しく説明する。
図4A乃至図5Bに、本実施形態の受け渡し装置30の説明図を示す。図4Aは受け渡し装置30の概略上面図であり、図4Bは図4A中のB−B断面図である。図5Aも受け渡し装置30の概略上面図であるが、図4Aに対して受け渡し装置30の駆動源48を追記している点で図4Aと相違し、また図5Bは図5A中のB−B断面図である。なお、図4A及び図5Aでは、一部の構成を側面視で示しており、また、図の錯綜を防ぐべく、一部の構成を二点鎖線で示すとともに、本来ハッチングで示すべき一部の断面部のハッチングを省略している。
【0041】
また、図6A乃至図6Cには、受け渡し装置30に係る保持パッド35の説明図を示している。図6Aは、その概略中心縦断面図であり、図6B及び図6Cは、それぞれ、図6A中のB−B断面図及びC−C断面図である。
受け渡し装置30は、複数の保持パッド35,35…と、複数の保持パッド35,35…を、上下方向に沿った公転軸C40周りに公転させる公転機構40と、各保持パッド35を公転軸C40と平行な自転軸C35周りに自転させる自転機構60と、各保持パッド35の保持面35aに吸引力を付与する吸引機構80と、を有する。なお、図4A乃至図5Bでは、図の錯綜を防ぐべく吸引機構80については図示していない。
【0042】
<<<公転機構40>>>
公転機構40は、製造ラインの基礎上に固設された矩形の固定テーブル41と、固定テーブル41の上方に配されて、該固定テーブル41にベアリング42を介して公転軸C40と平行な第1軸C45周りに回転自在に支持された円形の回転テーブル(回転部材に相当)45と、回転テーブル45を駆動回転する駆動源48(図5A及び図5Bを参照)と、固定テーブル41上に固定され、保持パッド35の公転軌道Trを規定する第1レール50と、を有している。
【0043】
上述のように公転軸C40は、上下方向に沿って設定されている。これにより、回転テーブル45は、公転軸C40と平行な前記第1軸C45を回転中心として水平回転する。この回転動作の駆動源48は、図5A及び図5Bに示すように、例えばサーボモータ48mであり、サーボモータ48mは、固定テーブル41の下面に固定されている。そして、このサーボモータ48mの駆動回転軸48aが、回転テーブル41の回転中心C45と同芯に下方に突出する軸部45aに、プーリ45p,48pやタイミングベルト48b等を介して連結され、これにより、駆動回転力が回転テーブル45に入力されるようになっている。
【0044】
図4A及び図4Bに示すように、回転テーブル45の上面には、複数の保持パッド35,35…が、回転方向Dcに所定の角度ピッチで配置されている。例えば図4Aの例では、保持パッド35の個数が6つであることから回転方向Dcに60°ピッチで保持パッド35が配置されている。図6Aに示すように、各保持パッド35は、その下方にパッド支持部52をそれぞれ有し、各保持パッド35は、パッド支持部52により自転可能に支持されている。詳しくは、各保持パッド35は、上下方向に沿った自転軸C35と同芯の軸部36を有し、当該軸部36は、保持パッド35の下面から一体に下方に突出している。そして、当該軸部36は、パッド支持部52が具備する円筒部材52aの内周側に上下に通された状態で、当該円筒部材52aの内周面のベアリング53,53により支持されており、これにより、保持パッド35の自転が許容されている。
【0045】
また、図4Aに示すように、各パッド支持部52は、リニアガイド等のガイド部材59により、回転テーブル45上を、その回転半径方向Drの内外に沿って往復直線移動可能に案内されている。すなわち、図4A、図6A、及び図6Bに示すように、各ガイド部材59は、概ね前記回転半径方向Drの内方から外方へ沿って配された一対のリニアガイドレール59a,59aと、これら一対のリニアガイドレール59a,59aに摺動可能に係合する一対のガイドブロック59b,59bとを有する。そして、各ガイドブロック59bは、パッド支持部52の前記円筒部材52aと同芯且つその外方に一体に固設された有底無蓋円形容器52bの下面に固定されている。これにより、各保持パッド35は、パッド支持部52を介して、回転テーブル45の回転半径方向Drに沿って往復移動可能に案内されている。
【0046】
ちなみに、かかる一対のリニアガイドレール59a,59a及び一対のガイドブロック59b,59bは、上述のようにパッド支持部52毎に設けられているので、上記の一対のリニアガイドレール59a,59aにあっては、図4Aに示すように回転テーブル45の回転方向Dcに前記角度ピッチ(図4Aの例では60°ピッチ)で固定配置されており、その全体の上面視は、略放射状配置の様相を呈する。
【0047】
更に、図4Aに示すように、固定テーブル45の上面には、環形状の第1レール50が固定されている。この第1レール50は、前述したように保持パッド35の公転軌道Trを規定するものであり、公転軸C40を平面中心とする長円形状のレール部材である。そして、図6Aに示すように、この第1レール50には、第1アーム部材55が摺動可能に係合しているとともに、当該第1アーム部材55は、ベアリング56を介してパッド支持部52の前記円筒部材52aに自転軸C35周りに相対回転自在に連結されている。
【0048】
よって、図4Aのように、回転テーブル45が一方向に(例えば時計回りに)回転すると、上述のガイド部材59により保持パッド35は回転テーブル45の回転方向Dcの相対移動を不能に規制されていることから、回転テーブル45と共に保持パッド35も上記一方向に回転するが、この時、保持パッド35は、パッド支持部52及び第1アーム部材55を介して第1レール50にも係合しているので、第1レール50から回転半径方向Drの内外へ移動する移動力を付与される。これにより、保持パッド35には、上記の回転方向Dcの回転動作に加えて回転半径方向Drの移動動作が入力され、その結果として、保持パッド35は、長円形状の公転軌道Trを周回する。なお、この公転軌道Trについては後述する。
【0049】
ちなみに、本実施形態では、図6A及び図6Cに示すように、第1アーム部材55は、第1レール50の両側の各側面に当接して転動する複数のカムフォロワ57,57…を有し、これらカムフォロワ57,57…を介して第1レール50に係合している。すなわち、これらカムフォロワ57,57…は、第1レール50を両脇から挟み込むように、第1レール50の一方側の側面及び他方側の側面のそれぞれに対応させて、例えば二つずつ設けられており、これにより、第1アーム部材55と第1レール50との係合状態は、摩擦抵抗の小さい円滑な係合状態となっている。
【0050】
また、前述していなかったが、図4A、図4B、図6A、及び図6Bに示すように、回転テーブル45には、一対のリニアガイドレール59a,59a同士の間の部分に、リニアガイドレール59aに沿った略矩形の開口45hが上下方向に貫通して形成されており、この開口45hを通して、回転テーブル45上に配置されるパッド支持部52の前記円筒部材52aの下部は、固定テーブル45の第1レール50の近傍に位置されるようになっている。これにより、上述したように、第1アーム部材55は円筒部材52aと第1レール50との両者を連結可能となる。
【0051】
ちなみに、上述のガイド部材59、第1アーム部材55、第1レール50、及びパッド支持部52が、保持パット35の前記第1軸C45からの回転半径を回転テーブル(回転部材)45の回転動作に基づいて変化する駆動機構に相当する。
【0052】
<<<自転機構60>>>
図4A及び図6Aに示すように、自転機構60は、固定テーブル41の上面に固定された環形状の第2レール62と、保持パッド35毎に設けられ、第2レール62に係合することにより、回転テーブル45の回転動作から保持パッド35の自転動作を作り出して保持パッド35に伝達する第2アーム部材64と、を有する。
【0053】
第2レール62も、長円形状のレール部材であり、当該第2レール62は、例えば、第1レール50の内周側、つまり第1レール50と公転軸C40との間に配置されている。一方、第2アーム部材64は、図6Aに示すように保持パッド35の前記軸部36の下端部に固設されるリンク部材64aと、第2レール62に摺動可能に係合する係合部材64bと、を有している。そして、これらリンク部材64aと係合部材64bとは、鉛直軸周りの回転を許容する軸受け部材64cを介して連結されており、これにより、回転テーブル45の回転動作に基づいて保持パッド35の自転動作を作り出すようになっている。
【0054】
ちなみに、図6Aの例では、第2レール62と係合部材64bとの係合を円滑にすべく、同係合部材64bに対しても、第2レール62の両側の各側面に当接して転動する複数のカムフォロワ67,67…を設けている。すなわち、これらカムフォロワ67,67…が第2レール62を両脇から挟み込むように、第2レール62の一方側の側面及び他方側の側面のそれぞれに対応させて、例えば二つずつカムフォロワ67,67が設けられている。但し、何等これに限るものではなく、一つずつ設けても良いし、更にはカムフォロワ67を用いなくても良い。
【0055】
<<<吸引機構80>>>
図7A及び図7Bは、図4A及び図4Bに対してそれぞれ吸引機構80の構成を追記して示した図である。なお、同図中では、吸引機構80の構成を主に二点鎖線で示している。また、図8Aは、図6A中のVIII−VIII矢視の平面図であり、図8Bは、図8A中のB−B矢視図である。
【0056】
吸引機構80は、保持パッド35毎に保持面35aの全面に亘って形成された複数の吸気孔35h,35h…と、回転テーブル45の中央の部分に略ドーナツ形に設けられた負圧チャンバードラム82と、保持パッド35毎に設けられ、保持パッド35の吸気孔35hと負圧チャンバードラム82とを通気可能に接続する吸気ホース84と、有する。
【0057】
負圧チャンバードラム82は、回転テーブル45の回転中心たる前記第1軸C45と同芯に回転テーブル45に一体に固設された円筒部材82aを本体とする。そして、その上端開口と下端開口とは、それぞれ円形の蓋板82b,82cにより塞がれており、これにより、円筒部材82aの内周側には略閉空間S82が区画されている。ここで、上側の蓋板82bには、サクションダクト83を介してブロワ等の不図示の負圧源が接続されており、これにより、上記略閉空間S82は負圧状態に維持されている。また、円筒部材82aには、各吸気ホース84に対応させて、前記略閉空間S82と連通する貫通孔82hが形成されており、各貫通孔82hには、それぞれ、対応する吸気ホース84の一端の管口部84aが接続されている。
【0058】
他方、図6Aに示すように、各保持パッド35も、内部に空間S35を有し、この空間S35は、保持面35aの吸気孔35hに連通している。また、保持パッド35の下面には、上記の内部の空間S35と、パッド支持部52の前記有底無蓋円形容器52bの内部空間S52bとを連通する開口部35kが形成されている(図8Aも参照)。そして、同円形容器52bには、上述の吸気ホース84の他端の管口部84bが接続されており、これにより、吸気孔35hと負圧チャンバードラム82内の略閉空間S82とは接続され、その結果、保持面35aは、吸気孔35hからの吸気に基づいて吸収性本体1を吸引・保持するための吸引力を帯びる。なお、図4Aの例では、吸気ホース84は、保持パッド35毎に2本ずつ設けられているが、その本数は何等これに限るものではない。
【0059】
<<<保持パッド35>>>
図8Aに示すように、本実施形態の保持パッド35の外形形状は、長方形である。また、保持パッド35の上面に形成された保持面35aも長方形であり、その長手方向及び幅方向の各向きは、それぞれ、保持パッド35の長手方向及び幅方向と揃っている。そして、かかる保持面35aにより吸収性本体10の下面(片面に相当)を面接触状態で保持する。
【0060】
保持面35aは、自転軸C35と平行な方向を法線方向とする平面部を有し、図示例では、当該平面部が、保持面35aの全面を占めている。そして、この例では、前述したように自転軸C35が上下方向を向いていることから、平面部たる保持面35aは、その全面に亘る水平面に形成されている。このことは、後述する吸収性本体10の受け取り時及び引き渡し時の吸収性本体10の皺の発生防止に関係する。ちなみに、図8Aの例では、保持面35aの平面中心に自転軸C35が設定されているが、多少ずれていても良い。
【0061】
ところで、上述では、保持面35aの略全面に亘って吸気孔35hが形成されている旨を述べたが、これら吸気孔35hの形成分布にあっては、望ましくは、図4Aの例のように、保持面35aの周縁部たる四辺近傍部分の分布密度が高く、それ以外の例えば中央部の分布密度は上記の周縁部よりも低くなっていると良い。このように分布させれば、吸収性本体10の周縁部が選択的に保持面35aに強固に吸着されるので、負圧チャンバードラム82の負圧レベルを過度に高めずとも、保持パッド35の自転時の風圧による吸収性本体10の周縁部のめくれを有効に防止でき、更には、吸収性本体10の幅方向の両端部にそれぞれ設けられた弾性部材17,17による長手方向の収縮も有効に抑制可能となり、結果、吸収性本体10と帯部材の連続体20a,24aとの組み付け精度を格段に向上することができる。
【0062】
<<<公転軌道Tr、及び吸収性本体10の受け渡しに係る付帯設備について>>>
ここで言う公転軌道Trとは、保持パッド35の保持面35aの平面中心たる前記自転軸C35を代表点として規定されるものであり、つまり、当該自転軸C35が描く軌跡のことである。かかる公転軌道Trは、図2Aに一点鎖線で示すように、長円形状に規定されている。詳しくは、この公転軌道Trは、前後方向(MD2方向)の両端部に一対の半円軌道TrC,TrCを有するとともに、これらの一対の半円軌道TrC,TrCを前後方向に沿った互いに平行な2本の直線軌道TrL,TrLで接続したものである。なお、一対の半円軌道TrC,TrCの半径R,Rは、互いに同径である。
【0063】
2本の直線軌道TrL,TrLのうちの一方の直線軌道TrLには、前述の受け取り位置Qinが設定されており、もう一方の直線軌道TrLには、引き渡し位置Qoutが設定されている。そして、これら受け取り位置Qinと引き渡し位置Qoutとは、それぞれ、各直線軌道TrLの中央に設定されている。
【0064】
受け取り位置Qinには、カッターロール装置100が配置されている。図2Bに示すように、カッターロール装置100は、直線軌道TrLにおいて保持パッド35よりも上方に配置された前後一対のロール101,102を本体とし、各ロール101,102は、CD方向に沿った軸C100を回転中心として駆動回転する。後ロール101の外周面には、CD方向に沿った平刃状のカッター刃101kが設けられており、カッターロール101として機能する。また、前ロール102は、断面正円形状で且つCD方向に亘って平坦な外周面の平ロールであり、カッター刃101kを受けるアンビルロール102として機能する。
【0065】
このようなカッターロール装置100に対して、吸収性本体10は、MD2方向の前方から後方へと連続体10aの形態で連続して送られ、かかる吸収性本体の連続体10aは、例えば、アンビルロール102の上端位置(0時の位置)を巻き付き開始位置としてアンビルロール102に略180°の巻き付き角度で巻き付いて搬送方向をMD2方向の前方へと反転されながら、アンビルロール102の下端位置(6時の位置)においてアンビルロール102の外周面から離れるという搬送経路を辿る。
【0066】
そして、この搬送経路を通過中に、吸収性本体の連続体10aは、カッターロール101とアンビルロール102との間のロール間隙の位置において、カッターロール101のカッター刃101kにより、保持パッド35の長手方向の全長と略同じ長さに切断され、これにより、同連続体10aの先端側の部分が切り離されて、単票状の吸収性本体10が生成される。なお、切断されても、吸収性本体10及び吸収性本体の連続体10aは、アンビルロール102の外周面からの吸気によって同外周面に吸着されているので、アンビルロール102の下端位置(6時の位置)までは、吸収性本体10の各部位及び吸収性本体の連続体10aの各部位は外周面と一体に移動する。そして、アンビルロール102の下端位置(6時の位置)では、MD2方向に沿って前方へ移動する保持パッド35の保持面35aに、吸収性本体10の各部位又は吸収性本体の連続体10aの各部位が順次アンビルロール102の外周面から保持パッド35に引き渡される。これにより、前記下端位置(6時の位置)を受け取り位置Qinとして、保持パッド35は、カッターロール装置100から最終的に単票状の吸収性本体10を受け取る。
【0067】
ここで、図2Aに示すように、保持パッド35の受け取り位置Qinの通過中は、保持パッド35の移動方向は、受け取り位置Qinでの吸収性本体10の搬送方向たる前後方向の前方に固定・維持される。また、保持パッド35の長手方向も、自転機構60等により、MD2方向と平行な方向を向いた状態に固定・維持され、つまり、吸収性本体10を受け取っている間に亘り、保持パッド35の長手方向の向きは、吸収性本体10の長手方向を向いた状態に維持される。これにより、保持パッド35は、その長手方向の全長を用いながら、吸収性本体10を円滑に受け取ることができる。ちなみに、このように受け取り位置Qinを通過中の保持パッド35の移動方向や長手方向の向きの固定・維持は、受け取り位置Qinを跨いで設定される直線軌道Tr50L,Tr62L等に基づいており、これについては後述する。
【0068】
また、保持パッド35の保持面35aは、その全面に亘って水平面に形成されており、且つ、保持パッド35の保持面35aは、公転軌道Trに基づいて前記水平面と同一の水平面内を移動する。よって、保持面35aとアンビルロール102の外周面との間のクリアランスは、CD方向(図2Bの紙面を貫通する方向)の全長に亘って均等になっており、また、保持面35aの各部位が通過方向たるMD2方向に沿って受け取り位置Qinを通過する際に、その保持面35aのMD2方向の全長に亘って上記クリアランスは均等に維持される。よって、受け取り時の吸収性本体10の皺の発生を有効に防止することができる。
【0069】
但し、場合によっては、保持面35aの全面ではなく、その一部にのみ水平な平面部を有していても良く、つまり、保持面35aが、水平な平面部以外に部分的に多少の凹凸や傾斜部を有していても良い。そして、その場合には、望ましくは、保持面35aにおける周縁部(図8Aの保持面35aにおいて、吸気孔35hの分布密度が高い領域を参照)が、略額縁状に水平な平面部になっていると良く、このようになっていれば、少なくとも当該周縁部にあっては、上記クリアランスが均等に保たれることに基づいて、皺の発生が防止された状態で吸収性本体10を吸引・保持可能となり、これにより、当該周縁部に拘束される形で、全体的に吸収性本体10の皺も抑制されることになる。
【0070】
また、図2A及び図2Bの例では、保持パッド35の下流端部35e1が受け取り位置Qinを通過する際には、その保持パッド35はその公転方向の下流側に並ぶ隣の保持パッド35と一直線上に並びつつ、前記下流端部35e1と前記隣の保持パッド35の上流端部35e2との間の間隔が、公転軌道Trの全周のなかで最も小さい状態(以下、この状態を、略突き合わせ状態とも言う)になるように構成されている。
よって、図2Bの例のように、互いに上下流に隣り合う吸収性本体10,10a同士の間に間隔の無い詰まった状態でカッターロール装置100から吸収性本体10(10a)が連続的に供給される場合にあっても、同詰まった状態を維持しながら速やかに各保持パッド35は吸収性本体10を受け取ることができる。
なお、このような略突き合わせ状態で保持パッド35の下流端部35e1が受け取り位置Qinを通過するようにすることは、第1レール50及び第2レール62の長円形状等の環形状の設定や、これらレール50,62の平面位置の設定等によって行うことができる。この平面位置関係については後述する。
【0071】
他方、図2A及び図2Cに示すように、引き渡し位置Qoutには、プレスロール装置120が配置されている。プレスロール装置120は、公転軌道Trの直線軌道TrLにおいて保持パッド35よりも上方に配置された一本の押し付けロール120を有し、当該押し付けロール120は、CD方向に沿った軸C120周りに従動回転可能に支持されている。また、この押し付けロール120は、断面正円形状で且つCD方向に亘って平坦な外周面の平ロールであり、更には、引き渡し位置Qoutを通過中の保持パッド35の保持面35aに、同ロール120の外周面が軽く押し付けられるように、適度な押し付け力で下方に付勢されている。そして、かかる押し付けロール120には、CD方向に並ぶ一対の帯部材20,24が、連続体20a,24aの形態で掛け回されて所定の走行速度でもって走行している。
【0072】
また、吸収性本体10のCD方向の両端部10e,10e、又は両端部10e,10eが当接すべき帯部材の連続体20a,24aのどちらかには、予めホットメルト接着材が塗布されている。よって、図2A及び図2Cに示すように、保持パッド35が、その長手方向を自転動作等によりCD方向に向けながら、引き渡し位置QoutをMD2方向の後方(走行方向に相当)へ通過する際には、吸収性本体10のCD方向の各端部10e,10eがそれぞれ対応する帯部材の連続体20a,24aに接着されて、これにより、吸収性本体10は保持面35aから帯部材の連続体20a,24aへと引き渡される。
【0073】
ここで、前述したように、保持パッド35の保持面35aは、その全面に亘って水平面に形成されており、且つ、保持パッド35の保持面35aは、公転軌道Trに基づいて前記水平面と同一の水平面内を移動し、かつ保持パッド35の自転動作も同一の水平面内で行われる。よって、保持面35aとプレスロール120の外周面との間のクリアランスは、CD方向(図2Cの紙面を貫通する方向)の全長に亘って均等になり、また、保持面35aの各部位が、通過方向たるMD2方向に沿って引き渡し位置Qoutを通過する際にも、その保持面35aのMD2方向の全長に亘って上記クリアランスは均等に維持される。よって、引き渡し時の吸収性本体10の皺の発生を有効に防止することができる。
【0074】
但し、前述したように、場合によっては、保持面35aの全面ではなく、その一部のみが水平な平面部であっても良く、つまり、保持面35aが、水平な平面部以外に部分的に多少の凹凸や傾斜部を有していても良い。そして、その場合には、同じく前述したように、保持面35aにおける周縁部が、略額縁状に水平な平面部になっていると良い。このようになっていれば、少なくとも当該周縁部のうちのCD方向の両端部に基づいて、帯部材の連続体20a,24aとの接着部であるところの吸収性本体10の長手方向の各端部10e,10eは、上記クリアランスが均等な状態でプレスロール120に押し付けられるので、各端部10e,10eの皺の発生は有効に防止される。
【0075】
ところで、受け渡し位置Qinでの保持パッド35のMD2方向の前方への通過速度は、カッターロール装置100から送られる吸収性本体10(10a)の搬送速度と同値を含みそれよりも若干速い速度の範囲に維持される。これにより、カッターロール装置100のアンビルロール102から吸収性本体10を保持パッド35が受け取る際には、保持パッド35は吸収性本体10(10a)を若干引っ張りながら受け取ることになるので、受け取り時の吸収性本体10(10a)の皺の発生は更に抑制されることとなる。
また、引き渡し位置Qoutでの保持パッド35のMD2方向の後方への通過速度は、帯部材の連続体20a,24aの走行速度と同値を含みそれよりも若干遅い速度の範囲に維持される。これにより、保持パッド35から帯部材の連続体20a,24aへと吸収性本体10を引き渡す際には、吸収性本体10は、帯部材の連続体20a,24aに若干引っ張られながら引き渡されることになるので、引き渡し時の吸収性本体10の皺の発生も更に抑制されることとなる。
このような速度範囲への保持パッド35の通過速度の設定は、回転テーブル45の回転の角速度の設定や公転軌道Trの軌道設定等により行うことができる。
【0076】
図9は、保持パッド35の公転軌道Tr、第1レール50、及び第2レール62の平面位置関係の説明図である。なお、同図中では、第1レール50及び第2レール62については、その中心線のみを示している。
【0077】
第1レール50及び第2レール62のどちらも、その軌道形状は、前述の保持パッド35の公転軌道Trと同様の長円形状である。すなわち、第1レール50は、前後方向(MD2方向)の両端部に一対の互いに同半径R50Cの半円軌道Tr50C,Tr50Cと、これら半円軌道Tr50C,Tr50Cを前後方向に沿って接続する互いに平行な2本の直線軌道Tr50L,Te50Lと、を有し、また、第2レール62も、前後方向(MD2方向)の両端部に一対の互いに同半径R62Cの半円軌道Tr62C,Tr62Cと、これら半円軌道Tr62C,Tr62Cを前後方向に沿って接続する互いに平行な2本の直線軌道Tr62L,Tr62Lと、を有している。
【0078】
第1レール50は、公転軌道Trの平面中心たる公転軸C40と同芯に設定され、また、公転軌道Trよりも大きく、同軌道Trをその外方から囲って配されている。これにより、第1アーム部材55は、公転軌道Trよりも外側を周回する。一方、第2レール62は、公転軌道Trと同形であるが、公転軌道Trから所定のオフセット値δだけCD方向にシフトされている。すなわち、第2レール62の平面中心C62は、MD2方向に関しては公転軸C40と同位置であるが、CD方向に関しては、公転軸C40から上記オフセット値δだけシフトされている。そして、このような第1レール50及び第2レール62を組み合わせれば、保持パッド35に対して、前述したような公転軌道Trに沿った公転動作や、公転軌道Trの位置に応じた前述のような自転動作を行わせることができる。
【0079】
ところで、受け取り位置Qinの通過中は、保持パッド35の長手方向の向きや通過方向が、同位置Qinでの吸収性本体10の搬送方向たる前後方向(MD2方向)に固定・維持される旨を既述したが、これは、以下のような第1及び第2レール50,62の設定に基づいて達成されている。
【0080】
先ず、第1レール50の一方の直線軌道Tr50Lは、受け取り位置QinをMD2方向の前後に跨いで設定されている。また、同直線軌道Tr50Lにおける受け取り位置Qinの上流側の長さL50u及び下流側の長さL50dは、それぞれ、保持パッド35の長手方向の長さL35の半分の長さ(=L35/2)以上に設定されている。
【0081】
これにより、公転軌道Trの直線軌道TrLも、受け取り位置QinをMD2方向の前後に跨ぐこととなり、また、同直線軌道TrLにおける受け取り位置Qinの上流側の部分の長さLu及び同下流側の部分の長さLdも、それぞれ、前記長さL35の半分の長さ(=L35/2)以上に設定されることになる。よって、保持パッド35は、受け取り位置Qinを通過する際に、同保持パッド35の通過方向たる長手方向の全長L35に亘って、前後方向(MD2方向)に一直線に移動し、もって、保持パッド35は、吸収性本体10の搬送方向に沿って速やかに移動する。
【0082】
他方、第2レール62の一方の直線軌道Tr62Lの方も、受け取り位置QinをMD2方向の前後に跨いで設定されている。また、同直線軌道Tr62Lにおける受け取り位置Qinの上流側の部分の長さL62u及び同下流側の部分の長さL62dも、それぞれ、保持パッド35の長手方向の長さL35の半分の長さ(=L35/2)以上に設定されている。よって、保持パッド35の長手方向をMD2方向に向けた状態に維持しながら、保持パッド35は受け取り位置QinをMD2方向に沿って通過可能となり、以上をもって、既述したような受け取り位置Qinの通過動作が達成される。
【0083】
ちなみに、引き渡し位置Qoutにあっても、第1レール50の他方の直線軌道Tr50Lは、引き渡し位置QoutをMD2方向の前後に跨いでいる。よって、保持パッド35は、引き渡し位置Qoutを吸収性本体10の搬送方向たるMD2方向に沿って移動することができる。更に、第2レール62の他方の直線軌道Tr62Lの方も、引き渡し位置QoutをMD2方向の前後に跨いでいる。よって、保持パッド35の長手方向をCD方向に向けた状態に維持しながら、保持パッド35は引き渡し位置Qoutを通過可能となり、これにより、前述したような円滑な吸収性本体10の引き渡し動作が達成される。
【0084】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、以下に示すような変形が可能である。
【0085】
上述の実施形態では、第2レール62や第2アーム部材64等を用いることにより、回転テーブル45の回転動作に基づいて各保持パッド35の自転動作を作り出してしたが、何等これに限るものではない。例えば、保持パッド35毎にサーボモータ等の駆動源をそれぞれ設け、各サーボモータの駆動回転を制御することにより、保持パッド35を自転させても良い。但し、この構成の場合には、保持パッド35の個数分のサーボモータが必要になり、また、回転テーブル45の回転角度に同期させて自転動作を制御する制御部も必要になるので、コスト削減や装置構成の簡略化等の観点からは、上述の実施形態の方が望ましい。
【0086】
上述の実施形態では、公転機構40及び自転機構60に、第1レール50や第2レール62等のレール部材を用いていたが、何等これに限るものではなく、これら機構を、カム機構等で構成しても良い。例えば、回転テーブル45の上面に、長円形状に、二条の溝カムを凹設するとともに、そのうちの一方の溝カムには、パッド支持部52に係る第1アーム部材55のカムフォロワ57を挿入して転動させ、他方の溝カムには、保持パッド35に係る第2アーム部材64のカムフォロワ67を挿入して転動させても良い。
【0087】
上述の実施形態では、保持パッド35の保持面35aたる平面部は、水平面に形成されていたが、何等これに限るものではなく、水平面から多少傾いていても良い。但し、その場合にあっても、自転軸C35及び公転軸C40が、上記平面部の法線方向と平行であるという関係を満足するように、これら自転軸C35及び公転軸C40が設定されるのは言うまでもない。
【0088】
上述の実施形態では、第1レール50及び第2レール62として長円形状のレール部材を例示したが、何等これに限るものではなく、受け渡し位置Qinや引き渡し位置Qoutの配置、若しくは受け取り動作や引き渡し動作等に応じて、レール部材の形状は、上記長円形状から適宜変更しても良い。
【0089】
上述の実施形態では、受け渡し装置30は、引き渡し位置Qoutにおいて、第1シート状ワークとしての吸収性本体10を、第2シート状ワークとしての帯部材の連続体20a,24aに直接引き渡していたが、何等これに限るものではない。例えば、保持パッド35は、引き渡し位置Qoutに配置されたサクションロール等に第1シート状ワークを引き渡しても良い。なお、この場合のサクションロールとは、CD方向に沿った軸周りに駆動回転する平ロールであり、且つ、その外周面には複数の吸気孔が形成され、これら吸気孔からの吸気により外周面に第1シート状ワークを面接触状態で保持可能なロールである。
【0090】
上述の実施形態では、吸収性物品の一例として、使い捨ておむつ1を示したが、排泄液や体液を吸収する物品であれば、何等これに限るものではなく、例えば生理用ナプキンの製造ラインに対して、本実施形態の受け渡し装置30を適用しても良い。
【0091】
上述の実施形態では説明していなかったが、場合によっては、図6Aに示すように、回転テーブル45の周縁部45eの重量を、同周縁部45eにて支持する支持部材90を、回転テーブル45の回転方向Dcの適宜な複数の位置に設けるようにしても良い。かかる支持部材90の構成としては、固定テーブル41の上面に立設されたステイ部材91と、ステイ部材91の上端部に水平軸周りに回転自在に設けられたローラー部材93と、を有したものを例示できる。そして、かかる支持部材90によれば、回転テーブル45の周縁部45eにその下方からローラー部材93が当接してこれを支えるので、回転テーブル45の周縁部45eの自重起因の垂れを抑制可能となる。
【0092】
上述の実施形態では、自転動作についてあまり詳しく説明していなかったが、図3A乃至図3Fに示すように、各保持パッド35は、公転軌道Trを一回公転する間に、自転軸C35周りに一回だけ(360°だけ)自転するように構成されている。よって、保持パッド35の長手方向の両端部のうちの一方の端部を第1端部35e1とし、他方の端部を第2端部35e2とした場合には、保持パッド35が受け取り位置Qinを通過する際には、常に第1端部35e1の方が第2端部35e2よりも公転方向の下流側に位置した状態になる。これにより、図2Aに示すように、受け取り位置Qinにおいて第1端部35e1は、常に吸収性本体10の先端部10e1を受け取り、第2端部35e2は、同尾端部10e2を受け取るようになる。よって、第1端部35e1の面形状等の諸条件を、吸収性本体10の先端部10e1の受け取りに最適な条件に設定し、且つ、第2端部35e2の面形状等の諸条件を、同尾端部10e2の受け取りに最適な条件に設定することができて、その結果、保持パッド35が吸収性本体10を受け取る際に生じ得る同吸収性本体10の皺の発生をより有効に防止可能となる。
【0093】
なお、上述のように保持パッド35の両端部の対応関係が固定されることは、引き渡し位置Qoutについても同様である。すなわち、図3Aに示すように、保持パッド35の長手方向の両端部のうちの一方の端部を第3端部35e1とし、他方の端部を第4端部35e2とした場合には、保持パッド35が引き渡し位置Qoutを通過する際には常に第3端部35e1が第4端部35e2よりも公転軌道Trの内方に位置した状態になる。これにより、引き渡し位置Qoutに配されたプレスロール120(図2A)における公転軌道Trの内方の部位及び外方の部位は、それぞれ、保持パッド35の第3端部35e1及び第4端部35e2に対応付けられる。すなわち、図2Aに示すように、第3端部35e1は、吸収性本体10の先端部10e1を背側帯部材の連続体24aに引き渡し、第4端部35e2は、吸収性本体10の尾端部10e2を腹側帯部材の連続体20aに引き渡すように対応付けられる。よって、第3端部35e1の面形状等の諸条件を、背側帯部材の連続体24aへの引き渡しに最適な条件に設定し、且つ、第4端部35e2の面形状等の諸条件を、腹側帯部材の連続体20aへの引き渡しに最適な条件に設定することができて、その結果、保持パッド35が吸収性本体10を各帯部材の連続体20a,24aへと引き渡す際に生じ得る同吸収性本体10の皺の発生をより有効に防止可能となる。
【0094】
ちなみに、このような保持パッド35の自転動作は、前述したように、自転機構60の主要部をなす第2レール62の平面形状を、公転機構40の主要部をなす第1レール50と関連付けながら、適宜設定すること等により達成される。
【符号の説明】
【0095】
1 使い捨ておむつ(吸収性物品)、1a 半製品、
3 胴周り開口、5 脚周り開口、
10 吸収性本体(第1シート状ワーク)、
10a 吸収性本体の連続体(第1シート状ワーク)、
10e 端部、10e1 先端部、10e2 尾端部、
11 吸収体、12 表面シート部材、
13 裏面シート部材、14 防漏シート、15 外装シート、
17 弾性部材、
20 腹側帯部材、20a 腹側帯部材の連続体(第2シート状ワーク)、
21 不織布、
24 背側帯部材、24a 背側帯部材の連続体(第2シート状ワーク)、
30 受け渡し装置、
35 保持パッド、35a 保持面、
35e1 下流端部(第1端部、第3端部)、
35e2 上流端部(第2端部、第4端部)、
35h 吸気孔、35k 開口部、36 軸部、
40 公転機構、41 固定テーブル(固定基台)、42 ベアリング、
45 回転テーブル、45a 軸部、45h 開口、45p プーリ、45e 周縁部、
48 駆動源、48a 駆動回転軸、48b タイミングベルト、
48p プーリ、48m サーボモータ、
50 第1レール、
52 パッド支持部、52a 円筒部材、52b 有底無蓋円形容器、
53 ベアリング、
55 第1アーム部材、56 ベアリング、57 カムフォロワ、
59 ガイド部材、59a リニアガイドレール、59b ガイドブロック、
60 自転機構、62 第2レール、
64 第2アーム部材、64a リンク部材、64b 係合部材、64c 軸受け部材、
67 カムフォロワ、
80 吸引機構、
82 負圧チャンバードラム、82a 円筒部材、82b 蓋板、82c 蓋板、
82h 貫通孔、83 サクションダクト、
84 吸気ホース、84a 一端の管口部、84b 他端の管口部、
90 支持部材、91 ステイ部材、93 ローラー部材、
100 カッターロール装置、101 カッターロール、101k カッター刃、
102 アンビルロール、
120 プレスロール(プレスロール装置)、
C10 中央部、
C35 自転軸、C40 公転軸、C45 回転中心(第1軸)、C62 平面中心、
C100 軸、C120 軸、
Qin 受け取り位置、Qout 引き渡し位置、
S35 空間、S52b 内部空間、S82 略閉空間、
Tr 公転軌道、
Tr50C 半円軌道、Tr50L 直線軌道、
Tr62C 半円軌道、Tr62L 直線軌道、
Dc 回転方向、Dr 回転半径方向、
R 半径、R50C 半径、R62C 半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に搬送される第1シート状ワークを受け取り位置で受け取り、該第1シート状ワークの長手方向の向きを前記受け取り位置で受け取った時の前記長手方向の向きと交差する方向に変更し、前記長手方向の向きが変更された前記第1シート状部材を、引き渡し位置で引き渡す吸収性物品に係るワークの受け渡し装置であって、
前記第1シート状ワークの片面に当接して該第1シート状ワークを保持する平面部を有する複数の保持パッドと、
前記保持パッドを、前記平面部の法線方向と平行な公転軸周りに公転させる公転機構と、
前記平面部の法線方向と平行な自転軸周りに前記保持パッドを自転させる自転機構と、を有し、
前記公転機構により形成される前記保持パッドの公転軌道上に、前記受け取り位置と前記引き渡し位置とが設定されており、
前記受け取り位置においては、前記第1シート状ワークの長手方向は、前記搬送方向を向いており、
前記保持パッドは、前記平面部が属する保持面を有し、
前記保持面は、その長手方向と幅方向とを、それぞれ、前記保持パットの長手方向と幅方向とに揃えて形成され、
前記公転軌道における前記受け取り位置の前記保持パッドの通過は、前記自転機構によって前記保持パッドの長手方向が前記第1シート状ワークの前記搬送方向と平行な方向に向けられた状態で、前記搬送方向に沿って前記保持パッドが移動することにより行われ、
前記公転軌道における前記引き渡し位置の前記保持パッドの通過は、前記自転機構によって前記保持パッドの長手方向が前記受け取り位置での前記保持パッドの長手方向と直交する方向に向けられた状態で、前記保持パッドが前記搬送方向と平行な方向に移動することにより行われ、
前記保持パッドの公転方向の下流端部が前記受け取り位置を通過する際には、前記下流端部に係る前記保持パッドが、該保持パッドの公転方向の下流側に並ぶ隣の保持パッドと一直線上に並びつつ、前記下流端部と前記隣の保持パッドの上流端部との間の間隔が、前記公転軌道の全周のなかで最も小さい状態になっており、
前記下流端部の前記受け取り位置の通過後に、前記間隔は広げられることを特徴とする吸収性物品に係るワークの受け渡し装置。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品に係るワークの受け渡し装置であって、
前記公転機構は、前記公転軸と平行な第1軸を回転中心として駆動回転する回転部材と、
前記回転部材とともに前記第1軸周りに回転する前記保持パットの前記第1軸からの回転半径を、前記回転部材の回転動作に基づいて変化する駆動機構と、を有すること特徴とする吸収性物品に係るワークの受け渡し装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吸収性物品に係るワークの受け渡し装置であって、
前記公転軌道は、前記搬送方向に沿った直線軌道を有し、
前記直線軌道内に前記受け取り位置が設定されており、
前記直線軌道における前記受け取り位置の上流側の部分の長さ及び下流側の部分の長さは、それぞれ、前記保持パッドの長手方向の長さの半分以上の長さに設定されていることを特徴とする吸収性物品に係るワークの受け渡し装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の吸収性物品に係るワークの受け渡し装置であって、
前記受け取り位置においては、前記第1シート状ワークの搬送方向と、前記保持パッドの移動方向とは互いに平行であり、
前記引き渡し位置では、該引き渡し位置を走行する第2シート状ワークに、前記保持パッドから前記第1シート状ワークが引き渡され、
前記引き渡し位置においては、前記第2シート状ワークの走行方向と、前記保持パッドの移動方向とは互いに平行であることを特徴とする吸収性物品に係るワークの受け渡し装置。
【請求項5】
請求項4に記載の吸収性物品に係るワークの受け渡し装置であって、
前記吸収性物品は、おむつであり、
前記第1シート状ワークは、前記おむつの着用時に着用者の股間にあてがわれて体液を吸収する吸収性本体であり、
前記第2シート状ワークは、前記おむつの着用時に着用者の腰部を覆って前記吸収性本体を着用者に固定する部材であり、
前記受け取り位置での前記第1シート状ワークの前記搬送方向と、前記引き渡し位置での前記第2シート状ワークの前記走行方向とは、互いに平行であることを特徴とする吸収性物品に係るワークの受け渡し装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の吸収性物品に係るワークの受け渡し装置であって、
前記公転軌道は、前記搬送方向に沿った直線軌道を有し、
前記直線軌道内に前記受け取り位置が設定されていることを特徴とする吸収性物品に係るワークの受け渡し装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載の吸収性物品に係るワークの受け渡し装置であって、
前記保持パッドの前記長手方向の両端部のうちの一方の端部を第1端部とし、他方の端部を第2端部とした場合に、
前記保持パッドが前記受け取り位置を通過する際には常に前記第1端部の方が前記第2端部よりも前記公転方向の下流側に位置した状態になるように、前記保持パッドの向きが前記自転機構によって調整されることを特徴とする吸収性物品に係るワークの受け渡し装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の吸収性物品に係るワークの受け渡し装置であって、
前記保持パッドの前記長手方向の両端部のうちの一方の端部を第3端部とし、他方の端部を第4端部とした場合に、
前記保持パッドが前記引き渡し位置を通過する際には常に前記第3端部の方が前記第4端部よりも前記公転軌道の内方に位置した状態になるように、前記保持パッドの向きが前記自転機構によって調整されることを特徴とする吸収性物品に係るワークの受け渡し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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