説明

吸収性物品の製造方法

【課題】吸収性能を確保しつつ吸収体を変形させてフィット性を高めることができ、かつ股間部に適切に吸収体を配置して装着感の悪化や漏れの発生を抑制することができる吸収性物品の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る吸収性物品の製造方法は、内方向又は前記外方向に凸に曲がることができるように構成される曲部が形成された吸収体を有する吸収性物品を製造する製造方法であって、吸収体を構成する第1吸収層を形成する第1吸収層形成工程と、吸収体を構成する第2吸収層を形成する第2吸収層形成工程と、を有する。第1吸収層形成工程は、曲部を形成しつつ第1吸収層を形成し、第2吸収層形成工程は、着用者の股間部に当てられる股下領域に曲部を設けずに第2吸収層を形成することを要旨とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収体を曲げることができる曲部を有する吸収性物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パンツ型おむつなどの吸収性物品では、着用者の装着感向上や排泄物の漏れ防止を図るため、様々な工夫がなされている。例えば、吸収体を着用者側に曲げる基点となる曲部を吸収体に形成した吸収性物品が知られている。例えば、特許文献1から特許文献3には、着用者の排泄物を吸収する吸収体に、吸収体の前後方向に沿った溝部や非積繊部が形成された吸収性物品が記載されている。
【0003】
特許文献1の吸収性物品の吸収体は、別々の独立した2層の吸収層が重ね合わされて構成されている。特許文献1の図7に示されるように、上方の吸収層には、幅方向外側端部近傍において一対の溝部が形成され、下方の吸収層には、幅方向中央部において溝部が形成されている。吸収体は、3つの溝部に沿って折れ曲がり、着用者側にも曲がるように構成されている。
【0004】
また、特許文献2には、1層からなる吸収体に溝部が形成された吸収性物品の製造方法が記載されている。この吸収性物品の製造方法は、吸収体の形状の反転形状となる窪みが形成された成形型の窪み内に、吸収体を構成する吸収材料を堆積させて、吸収体を製造する。成形型は、底面の一部が突出しており、吸収材料を吸引しない非吸引領域が設けられている。この非吸引領域に対応する部分は、吸収材が堆積されず、溝部を構成する。
【0005】
更に、特許文献3には、1層からなる吸収体に溝部に相当する非積繊部が形成された吸収性物品の製造方法が記載されている。この吸収性物品の製造方法は、回転ドラムの外周面に形成された多数の集積用凹部に、吸収体を構成する吸収材料を堆積させて、吸収体を構成する。集積用凹部の底面には、凸部が形成されており、この凸部に対応する部分は、吸収材料が堆積されず、非積繊部を構成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許4092319号公報(図7等)
【特許文献2】特開2010−273842号公報(図16等)
【特許文献3】特許4587909号公報(図3及び図4等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した吸収性物品及び吸収性物品の製造方法については、以下の問題があった。
特許文献2及び特許文献3に記載の吸収性物品の製造方法によれば、1層からなる吸収体に、吸収体の変形の基点となる溝部や非堆繊部を設けることができる。しかし、1層からなる吸収体が溝部等を基点として変形すると、変形の基点となる溝部等における吸収体の目付は、溝部等が形成されていない部分と比較して低く、吸収性能が低下することがある。よって、特許文献1に記載の吸収体のように、複数の吸収層からなる吸収体の各吸収層に溝部等を形成し、この溝部を基点に吸収体を変形させることが考えられる。
【0008】
しかし、特許文献1に記載の使い捨て吸収性物品は、上方の吸収層と下方の吸収層とにそれぞれ溝部が形成され、かつ上方の吸収層と下方の吸収層とは、独立して設けられているため、上方の吸収層に形成された溝部と下方の吸収層に形成された溝部との相対位置がずれてしまうことがある。各吸収層に形成された溝部の相対位置がずれてしまうと、吸収体全体における溝部の配置が偏ったり、溝部同士の間隔が偏ったりして、幅方向において対称となるように吸収体が変形しないおそれがある。吸収体が非対称で変形すると、着用者に装着時の違和感が生じることがある。
【0009】
特に、着用者の股間部に対応する股下領域の吸収体は、着用者の脚間となる比較的狭いスペースに配置されるため、溝部の位置がずれて吸収体が非対称で変形すると、着用者の違和感が顕著に表れる。更に、股下領域の吸収体は、排泄口と当接するため、股下領域が非対称で変形すると、体液の横漏れが発生するおそれがある。
【0010】
そこで、本発明は、吸収性能を確保しつつ吸収体を変形させてフィット性を高めることができ、かつ股間部に適切に吸収体を配置して装着感の悪化や漏れの発生を抑制できる吸収性物品を製造することができる吸収性物品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示に係る吸収性物品の製造方法は、着用者の身体前側と身体後側とに延びる前後方向と、前記前後方向に直交する幅方向(幅方向W)と、着用者に向かう内方向(内方向IN)と、前記内方向と反対側に向かう外方向(外方向OUT)とを有する吸収体(吸収体40)を有する吸収性物品の製造方法であって、前記吸収体を構成する第1吸収層を形成する第1吸収層形成工程(第1吸収層形成工程S101)と、前記吸収体を構成する第2吸収層を形成する第2吸収層形成工程(第2吸収層形成工程S103)と、を有しており、前記第1吸収層形成工程は、前記幅方向の前記吸収体の長さ寸法を二等分して前記前後方向へ延びる仮想の中心線(仮想中心線EL)に対して対称に前記曲部を形成しつつ前記第1吸収層を形成し、前記第2吸収層形成工程は、前記着用者の股間部に当てられる股下領域(股下領域S3)に前記曲部を設けずに前記第2吸収層を形成することを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本開示に係る吸収性物品の製造方法によれば、曲部を形成しつつ第1吸収層を形成し、かつ股下領域に曲部を設けずに第2吸収層を形成して、第1吸収層と第2吸収層とを重ねて吸収体を製造する。股下領域に形成される曲部を一方の吸収層のみに形成するため、複数の吸収層を重ね合わせて吸収体を製造した場合であっても、曲部の位置ずれを抑制でき、吸収体の漏れを抑制することができる。
【0013】
また、曲部の位置ずれを防止することにより、股間部に吸収体をコンパクトに配置することができ、着用者の装着感の悪化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態に係る使い捨ておむつ1の概略斜視図である。
【図2】実施の形態に係る使い捨ておむつ1の展開平面図である。
【図3】図2に示すX1-X’1線に沿った使い捨ておむつ1の幅方向断面図である。
【図4】図2に示すX2-X’2線に沿った使い捨ておむつ1の長手方向断面図である。
【図5】図2に示すX3-X’3線に沿った使い捨ておむつ1の幅方向断面図である。
【図6】実施の形態に係る吸収体の平面図である。
【図7】実施の形態に係る吸収体の斜視図である。
【図8】実施の形態に係る使い捨ておむつ1の着用状態を模式的に示すX1-X’1線に沿った断面図である。
【図9】第1実施形態に係る使い捨ておむつ1の着用状態を模式的に示す断面図(閉脚時)である。
【図10】吸収体の製造方法における製造工程を説明するための図である。
【図11】第1実施形態に係る吸収体の製造装置を含む製造工程の部分斜視図である。
【図12】第1実施形態に係る吸収体の製造装置の内部を示す製造装置の側面図である。
【図13】第2実施形態に係る吸収体の製造装置を含む製造工程の部分斜視図である。
【図14】第2実施形態に係る吸収体の製造装置の内部を示す製造装置の側面図である。
【図15】変形例に係る使い捨ておむつ1の吸収体の平面図である。
【図16】変形例に係る使い捨ておむつ1の吸収体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本開示に係る吸収性物品としての使い捨ておむつ1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0016】
本実施形態に係る使い捨ておむつの吸収体は、吸収体を凸に曲がることができるように構成された第1曲部、第2曲部及び第3曲部が形成されていることを特徴とする。
【0017】
(1)使い捨ておむつの全体概略構成
図1は、本実施形態において使い捨ておむつを構成する使い捨ておむつ1の概略斜視図である。図2は、本実施形態に係る使い捨ておむつ1の展開平面図である。図3は、図2に示すX1−X’1線に沿った使い捨ておむつ1の幅方向断面図である。図4は、図2に示すX2−X’2線に沿った使い捨ておむつ1の長手方向断面図である。図5は、図2に示すX3−X’3線に沿った使い捨ておむつ1の幅方向断面図である。使い捨ておむつ1は、パンツ型の使い捨ておむつである。
【0018】
使い捨ておむつ1は、図2に示すように、吸収性物品1の長手方向Lにおいて、着用者の前胴回りに対応する前胴回り領域S1と、着用者の後胴回りに対応する後胴回り領域S2と、着用者の股下に対応し、前胴回り領域S1と後胴回り領域S2との間に位置する股下領域S3と、を有する。股下領域S3は、着用者の股間部で脚を閉じたときに最も幅が狭くなる幅狭領域S32と、幅狭領域S32と前胴回り領域S1の間に位置する中間股下部(腹側)S31と、幅狭領域S32と後胴回り領域S2の間に位置する中間股下部(尻側)S33と、を有する。
【0019】
前胴回り領域S1の吸収性物品1の幅方向W外側に位置する前胴回り縁部4が、後胴回り領域S2の幅方向Wの外側に位置する後胴回り縁部6と接合され、かつ前胴回り縁部4’が、後胴回り縁部6’と接合されることによって、使い捨ておむつ1がパンツ型に形成される。
【0020】
使い捨ておむつ1は、表面シート10、吸収体40、サイドシート60、前側外装トップシート70F、後側外装トップシート70R、外装センターシート100、前側外装バックシート80F及び後側外装バックシート80R等を備えており、これらは互いに、接着剤や熱融着などによって接合されている。
【0021】
前側外装トップシート70F、後側外装トップシート70R、前側外装バックシート80F、後側外装バックシート80R、及び外装センターシート100は、使い捨ておむつ1の外装部分を構成する外装シートである。前側外装トップシート70F、後側外装トップシート70R、外装センターシート100の内側(肌当接面側)には、綿状パルプと高分子吸収性ポリマーから構成される吸収体40が設けられる。
【0022】
表面シート10は、着用者の肌に直接的に接し得る肌当接面を形成するシートである。表面シート10は、親水性不織布や織物、開口プラスチックフィルム、開口疎水性不織布などの液透過性のシートによって形成されている。本実施の形態に係る表面シート10は、ポリプロピレンからなる目付20g/mの親水性スパンボンド不織布によって形成されている。
【0023】
表面シート10の非肌当接面側には、セカンドシート15が接合されている。セカンドシート15は、表面シート10と吸収体表面被覆シート20との間に配置される。セカンドシート15を設けることにより、体液の吸収速度を速くすることができ、かつ吸収後における体液の逆戻りを抑制することができる。
【0024】
本実施の形態に係る吸収性物品の吸収体は、着用者の股間部に密着する構造であるため、吸収後の体液の逆戻りを抑制することにより、排泄後の快適性を向上させることができる。セカンドシート15は、例えば、エアスルー不織布や、開孔フィルムなどが用いられる。本実施の形態のセカンドシート15は、エアスルー不織布50g/m(親水性)によって形成されている。
【0025】
なお、本実施の形態においては、第2スリット46の幅を10mmとし、後述する一対の第2スリット46の幅方向内側端部同士の間隔を76mmとし、セカンドシートの幅を80mmとしている。
【0026】
吸収体表面被覆シート20は、表面シート10と吸収体40との間に設けられている。吸収体表面被覆シート20は、親水性不織布や織物、開口プラスチックフィルム、開口疎水性不織布、ティッシュなどの液透過性のシートによって形成されている。吸収体裏面被覆シート30は、吸収体40の非肌当接面側に設けられている。吸収体裏面被覆シート30は、液不透過性フィルムなど(例えば、ポリエチレン)のシートによって形成されている。
【0027】
吸収体40は、吸収体表面被覆シート20及び吸収体裏面被覆シート30との間に配置されている。吸収体40は、前胴回り領域S1から後胴回り領域S2に向かう長手方向Lと、長手方向Lに直交する幅方向Wとを有する。さらに、吸収体40は、使い捨ておむつ1を着用する着用者に向かう内方向INと、内方向と反対側に向かう外方向OUTとを有する。吸収体40は、粉砕パルプや高分子吸収性ポリマーなどの混合粉体で形成される。
【0028】
吸収体40は、股下領域S3に曲部が形成された第1吸収層41と、第1吸収層41と重ねられ、かつ股下領域S3に曲部が形成されていない第2吸収層42と、を備える。本実施の形態に係る吸収体40は、着用者の非肌当接面側に第1吸収層41が配置され、着用者の肌当接面側に第2吸収層42が配置されている(図7参照)。
【0029】
吸収体40の第1吸収層41には、幅方向Wにおける中央に第1曲部を構成する第1スリット45が形成される。第1スリット45の幅方向における両外側には、第2曲部を構成する一対の第2スリット46が形成される。一対の第2スリット46の幅方向における両外側には、第3曲部を構成する一対の第3スリット47が形成される。
【0030】
吸収性物品1は、吸収性物品1の厚み方向Tにおいて第1スリット45に重なるように配置された第1弾性材44と、厚み方向Tにおいて第3スリット47と少なくとも一部が重なるように配置された第2弾性材48と、を有する。
【0031】
吸収体40に形成されたこれらの弾性材やスリット等によって、使い捨ておむつ1が着用された際に吸収体40が曲がるように構成されている。本実施形態において、第1弾性材44及び第1スリット45は、第1曲部を構成し、第2スリット46は、第2曲部を構成し、第3スリット47及び第2弾性材48は、第3曲部を構成する。
【0032】
なお、本実施の形態において吸収体における曲部は、吸収体を構成する第1吸収層41及び第2吸収層42に形成されたスリットであるが、吸収体における曲部は、吸収体を構成する第1吸収層41及び第2吸収層42において周囲の第1吸収層又は第2吸収層の目付よりも低い目付である低目付領域であってもよい。更に、本実施の形態に係る曲部は、吸収体に形成されたスリットと弾性材とによって構成されているが、弾性材を設けずに、吸収体に形成されたスリットや低目付領域のみで曲部を構成してもよい。
【0033】
なお、本発明における低目付け領域とは、周囲の吸収体を構成する吸収層の平均目付に対して目付比率が50%以下の領域である。目付は、例えば、以下の方法によって測定することができる。まず、製品の対象となる領域において幅10mm、長さ50mmの寸法で表面シート上にマーキングし、当該寸法で吸収体をシート部材毎切り取り、初期の重量を測定する。この重量をA(g)とする。
【0034】
次いで、一緒に切り取ったシート部材(表面シート,セカンドシート,裏面被覆シート等)をトルエンなどの有機溶剤で洗浄し、乾燥させた後に重量を測定し、シート部材のトータルの重量を求める。この重量をB(g)とする。
【0035】
初期の重量(A)とシート部材の重量(B)とを用いて、「(A−B)÷採取寸法」によって、吸収体の目付を算出する。具体的には、本実施の形態における目付Xは、(A−B)/(10×50/1000/1000)(g/m)によって算出できる。なお、上記重量は、ホットメルト型接着剤を含んだ重量となるが、吸収体の重量等と比較して極めて小さいため、無視してもよい。
上記方法によって求めた吸収体の目付に基づいて目付比率を算出する。
目付比率=(低目付領域の吸収体の目付)/(周囲の吸収体の目付)×100
低目付領域は、目付比率が50(%)以下となる領域である。
すなわち、以下の条件にあてはまるものを低目付領域とする。
(低目付領域の吸収体の目付)/(周囲の吸収体の目付)×100≦50(%)
【0036】
なお、低目付領域が他の吸収層と重なっていない箇所(例えば、第1吸収層に形成された曲部であって、第2吸収層で覆われていない箇所)にある場合には、対象となる低目付領域の吸収層の目付とその吸収層の周囲の目付とを上記方法によって求める。
【0037】
また、低目付領域が他の吸収層と重なった箇所(例えば、第1吸収層に形成された曲部であって、第2吸収層で覆われている箇所)にある場合には、一の吸収層の低目付領域の目付を測定し難いため、対象となる低目付領域の吸収層の重なった部分の目付X1を求め、次に周囲の重なった部分の吸収体の目付X2を求め、さらに重なっていない単独層の部分の目付X3を求めることによって、低目付領域の目付を測定する。
【0038】
さらに、この場合、(1)低目付領域を有する吸収層と上記単独層が一致している場合においては、低目付領域は、(X1−X2+X3)÷X3×100≦50(%)にあてはまるものとすることができる。
一方、(2)低目付領域を有する吸収層と上記単独層が一致していない場合においては、低目付領域は、(X1−X3)÷(X2−X3)×100≦50(%)にあてはまるものとすることができる。
すなわち、低目付領域の構造に応じて、上記3通りの方法で目付を測定することができる。
【0039】
スリット等の曲部は、股下領域S3において、幅方向の吸収体の長さ寸法を二等分して前後方向へ延びる仮想中心線ELに対して対称に配置されていればよく、股下領域S3以外の前胴回り領域S1及び後胴回り領域S2において、仮想中心線ELに対して非対称に配置されていてもよい。なお、吸収体40の構成については、後述にて詳細に説明する。
【0040】
サイドシート60は、吸収体40の幅方向Wの両側端において、表面シート10、吸収体表面被覆シート20及び吸収体裏面被覆シート30を一体に包むように設けられる。サイドシート60は、液不透過性の不織布などのシートによって形成されており、サイドシート60とサイド弾性材90とによって排泄物の横漏れを防止する防漏壁が構成される。
【0041】
外装トップシートは、前胴回り領域S1及び中間股下部(腹側)S31に形成される前側外装トップシート70Fと、後胴回り領域S2及び中間股下部(尻側)S33に形成される後側外装トップシート70Rとを備える。厚み方向Tにおいて、前側外装トップシート70Fは、前側外装バックシート80Fと吸収体40との間に配置される。厚み方向Tにおいて、後側外装トップシート70Rは、後側外装バックシート80Rと吸収体40との間に配置される。長手方向Lにおいて、前側外装トップシート70Fと後側外装トップシート70Rとの間には、外装センターシート100が配置されている。
【0042】
外装センターシート100の前端部は、前側外装トップシート70Fの後端部と接合され、外装センターシート100の後端部は、後側外装トップシート70Rの前端部と接合される。外装センターシート100は、前側外装トップシート70Fと後側外装トップシート70Rとを跨って配置されている。外装センターシート100は、連続的にスロットコーターで塗工されたホットメルト型接着剤によって、外装トップシートの表面側に対して接合される。
【0043】
外装センターシート100は、不織布などによって構成される。本実施の形態に係る外装センターシートは、ポリプロピレンからなる目付15g/mのSMS不織布によって構成されている。外装センターシート100は、着用時において外装トップシートよりも内側(肌当接面側)に位置する。
【0044】
前側外装トップシート70F及び後側外装トップシート70Rは、前胴回り領域S1及び後胴回り領域S2において、幅方向Wの幅が他の領域よりも大きく形成されている。前側外装トップシート70F及び後側外装トップシート70Rは、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、SMS不織布、防水フィルムなどによって形成できる。本実施の形態に係る外装トップシートは、ポリプロピレンからなる目付15g/mのSMS不織布によって構成されている。
【0045】
前側外装バックシート80Fは、前胴回り領域S1において前側外装トップシート70Fよりも非肌当接面側に設けられる。後側外装バックシート80Rは、後胴回り領域S2において後側外装トップシート70Rよりも非肌当接面側に設けられる。長手方向Lにおける前側外装バックシート80F(後側外装バックシート80R)の一端は、肌当接面側に折り返され、前側外装トップシート70F(後側外装トップシート70R)の長手方向Lにおける端部を包むように設けられる。
【0046】
前側外装バックシート80F及び後側外装バックシート80Rは、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、SMS不織布、防水フィルムなどによって形成できる。本実施の形態に係る前側外装バックシート80F及び後側外装バックシート80Rは、ポリプロピレンからなる目付17g/mのスパンボンド不織布によって構成されている。
【0047】
なお、外装シートとしての外装センターシート100、前側外装トップシート70F、後側外装トップシート70R、前側外装バックシート80F及び後側外装バックシート80Rは、液透過性であってもよいし、不液透過性であってもよい。
【0048】
吸収体裏面被覆シート30は、前側外装トップシート70F、後側外装トップシート70R及び外装センターシート100に対して部分的に接着されている。
【0049】
前胴回り領域S1及び後胴回り領域S2には、ウエストギャザー3及び胴回りギャザー7が設けられる。ウエストギャザー3及び胴回りギャザー7は、吸収体40の幅方向Wに沿って伸縮するように配設される合成ゴムなどの細長いウエスト弾性材3A及び胴回り弾性材7Aを有する。ウエスト弾性材3A及び胴回り弾性材7Aは、使い捨ておむつ1の幅方向Wに対して伸長された状態で接着剤(例えばホットメルト接着剤)によって、前側外装トップシート70Fと前側外装バックシート80F、及び後側外装トップシート70Rと後側外装バックシート80Rとの間に接合されている。
【0050】
ウエストギャザー3及び胴回りギャザー7は、前胴回り領域S1における吸収性物品1の幅方向W外側に位置する一方の前胴回り縁部4から他方の前胴回り縁部4‘まで連続し、後胴回り領域S2における吸収性物品1の幅方向W外側に位置する一方の後胴回り縁部6から他方の前胴回り縁部6‘まで連続する。
【0051】
後側外装バックシート80Rの中間股下縁部8には、レッグギャザーが形成される。レッグギャザーは、着用者の脚部に沿うように形成される。レッグギャザーは、伸縮するように配設される合成ゴムなどの細長い脚回り弾性材5によって形成されている。脚回り弾性材5は、前胴回り領域S1から中間股下部(腹側)S31に配置された前脚回り弾性材5Fと、後胴回り領域S2から中間股下部(尻側)S33に配置された後脚回り弾性材5Rと、によって構成されている。
【0052】
サイドシート60の幅方向における端部は、サイドシート同士が重なり合っている。サイドシート同士が重なり合う部分には、長手方向Lに沿って伸長した状態でサイド弾性材90(図3参照)が設けられている。サイド弾性材90は、中間股下部(尻側)S33から幅狭領域S32を経て中間股下部(腹側)S31まで連続している。サイド弾性材90は、伸縮性を有する合成ゴムなどによって形成されている。
【0053】
第1弾性材44は、長手方向Lに沿って設けられて、使い捨ておむつ1の厚さ方向Tにおいて第1スリット45と重なる位置に設けられている。第1弾性材44は、内方向INに凸、つまり、吸収体40が着用者に向けて凸に曲がるように、長手方向Lに沿って吸収体40に重なるように形成されている。第1弾性材44は、吸収性物品の幅方向中心において長手方向に沿って、伸長状態で配置されている。第1弾性材44は、幅狭領域S32を中心に、中間股下部(腹側)S31から中間股下部(尻側)S33に向かって配置される。
【0054】
第2弾性材48は、長手方向Lにおいて、使い捨ておむつ1の厚さ方向Tにおいて第3スリット47と重なる位置に設けられている。第2弾性材48は、幅方向Wに2本並列した状態で配置されている。第2弾性材48は、内方向INに凸、つまり、吸収体40が着用者に向けて凸に曲がるように、長手方向Lに沿って吸収体40に重なるように形成されている。
【0055】
第1弾性材44は、弾性材被覆シート43と、吸収体裏面被覆シート30の間に、伸長された状態で設けられている。第1弾性材44は、1.2〜2.5倍の伸長倍率で配置される。本実施の形態に係る第1弾性材は、620dtexの太さ、1.8倍の伸長倍率で7本伸長固定される。第1弾性材の間隔は、5mmである。第1弾性材44の長手方向Lの長さは約120mmである。
【0056】
第1弾性材44は、スパンデックスであり、Vスロット方式でホットメルト型接着剤を塗工される。第1弾性材44には、伸縮性不織布など用いてもよい。弾性材被覆シート43は、不織布などのシートで構成され、本実施形態では、ポリプロピレンからなる目付15g/mのSMS不織布(疎水性)を用いた。
【0057】
第2弾性材48は、吸収体裏面被覆シート30とサイドシート60との間に、接着剤によって接合されている。実施の形態に係る第2弾性材48は、620dtexの太さ、2.0倍の伸長倍率で2本伸長固定される。第2弾性材48は、スパンデックスである。第2弾性材48には、スリットノズル塗工による直接塗工方法でホットメルト型接着剤が塗工される。
【0058】
なお、第2弾性材48は、吸収体40が凸に曲がる前の状態で、第1弾性材44よりも低い伸長応力となるように構成されている。吸収体が凸に曲がる前の状態とは、換言すれば、図2に示す、着用物品を平面に伸ばした状態である。第2弾性材48を第1弾性材44よりも低い伸長応力となるように構成することで、第1弾性材44によって形成される凸状部分の高さが、第2弾性材48によって形成される凸状部分よりも高くなる。よって、着用時において中央領域の凸状部分を着用者の排泄口側に密着させることが可能となる。
【0059】
第1弾性材44及び第2弾性材48の素材には、例えば、スチレン−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、スパンデックス、発泡ポリウレタン等を挙げることができる。その他、第1弾性材44及び第2弾性材48の材料としては、伸縮不織布などの弾性シートを用いてもよい。
【0060】
側端部弾性材49は、吸収体の幅方向における両側部において、吸収体裏面被覆シート30とサイドシート60との間に接着剤によって接合されている。側端部弾性材49は、長手方向Lに沿って配置されており、股下領域S3の中間股下部(尻側)S33及び幅狭領域S32に跨って配置される。側端部弾性材49は、第2弾性材48よりも後方かつ幅方向外側に配置されている。側端部弾性材49は、幅狭領域よりも後方の吸収体の側部を着用者側に引き上げ、着用者のお尻を包み込むように吸収体を変形させる。このように吸収体を変形させることにより、中間股下部(尻部)からの漏れを防ぐことができる。実施の形態に係る側端部弾性材49は、780dtexの太さ、2.3倍の伸長倍率で2本伸長固定される。
【0061】
なお、弾性材の伸長応力は、例えば、次のようにして測定することができる。
(1)凸状部分を形成する弾性材を幅方向にすべて含むように、弾性材を挟み込んだ資材ごと切り出す。具体的には、本実施例に係る着用物品においては、5mm間隔で3本ずつ配置された第1弾性材、第2弾性材及び側端部弾性材を挟み込んだ資材をたるみがないように伸長させた状態で、幅13mm×長さ100mmを切り出す。同じく伸長させた状態で長手方向両端部からそれぞれ10mm内側にマーキングする。伸長応力の測定には、インスロンジャパンカンパニィリミテッド社製の引張り試験機(例えば、型式:5564)、又は株式会社島津製作所製オートグラフ(例えば、型式:AGS-1kNG)を使用した。
【0062】
(2) (1)の試料を、マーキング部がチャック内側端部になるように上部チャックで挟むとともに、他方のマーキング部がチャック内端部になるように下部チャックで挟む。チャック間における試料の長さ寸法は、80mmとなる。なお、弾性材のギャザーとして効いている長さが100mmより短い場合は、ギャザーとして効いている弾性材の長さうち最も短い長さより20mm短い長さをチャック間における試料の長さに設定する。初期のチャック間距離は初期に試料のテンションが掛からないようにするため、試料が縮んだときの長さ(自然長)よりも短く設定する。それらチャックが互いに離間するように試料を100mm/minの条件で上下方向へ引っ張り、試料を伸長する。
【0063】
(3)弾性材を挟み込んだ資材がたるみなく伸長したときの試料のチャック間における長さ寸法を100%として、試料のチャック間の長さ寸法が90%になるまで試料を伸ばし、そのときの試料の伸長時応力を測定し、弾性材の伸長応力とする。すなわち上記本実施例では試料の100%長さ寸法80mmに対して90%の72mmまで試料を伸ばしたときの伸長時応力を測定する。
【0064】
また、吸収体40の厚さは、吸収体40の製品長及び製品幅に伸ばされた状態(つまり、しわの入らないように平坦な状態)で厚さ測定器に測定したい部分を挟み込んで測定する。使用可能な測定装置としては、例えば、PEACOCK製厚み計(測定部:直径5mm、測定時圧力:163g/cm)を用いることができる。
【0065】
なお、上述した使い捨ておむつ1を構成する各部材は、例えば、特開2006−346439号公報に記載された材料を用いてもよい。
【0066】
(2)吸収体の構造
図6は、吸収体40の平面図であり、図7は、吸収体40の斜視図である。図6及び図7に示すように、吸収体40は、曲部が形成された第1吸収層41と、第1吸収層41と重ねられ、かつ曲部が形成されていない第2吸収層42とを有する。第1吸収層41は、着用者の非肌当接面側に位置し、第2吸収層42は、着用者の肌当接面側に位置する。第1吸収層41の長手方向の長さは、第2吸収層42の長手方向の長さよりも長い。第1吸収層41は、前胴回り領域S1から後胴回り領域S2に跨って配置されている。
【0067】
第1吸収層41と第2吸収層42とは、綿状のパルプ繊維と高分子吸収性ポリマー(SAP)とから構成されている。第1吸収層41と第2吸収層42とは、例えば、パルプ0〜500g/mとSAP0〜500g/mとを混合させて形成することができる。
【0068】
本実施の形態に係る第1吸収層41は、パルプ250g/mとSAP150g/mとを混合させて形成されており厚さは約2.5mmである。本実施の形態に係る第2吸収層42は、パルプ200g/mとSAP90g/mとを混合させて形成されており、厚さは約2.0mmである。
【0069】
第2吸収層42は、幅方向Wの中央に向かって凹み、幅方向Wにおいて所定の幅を有する幅狭部42Nと、長手方向Lにおける幅狭部42Nの両端に形成され、幅狭部の幅よりも幅が長い幅広部42FL及び幅広部42BLと、を有している。幅狭部42Nは、股下領域S3の幅狭領域S32に形成されている。幅広部42FLは、中間股下部(腹側)S31に形成され、幅広部42BLは、中間股下部(尻側)S33に形成されている。幅狭部42Nの側端、幅広部42FLの側端、及び幅広部42BLの側端は、曲線で結ばれており、第2吸収層42は砂時計型の平面形状を有する。
【0070】
なお、第2吸収層の股下領域S3には、曲部を構成するスリット及び低目付領域が形成されていない。しかし、第2吸収層は、股下領域において曲部が形成されていない構成であればよく、股下領域以外の前胴回り領域S1及び後胴回り領域S2に曲部が形成されたものも含む概念である。
【0071】
第1吸収層41は、中間股下部(腹側)S31から幅狭領域S32に向かって幅方向の長さが短くなり、かつ中間股下部(尻側)S33から幅狭領域S32に向かって幅方向の長さが短くなっている。
【0072】
第1吸収層41の中間股下部(腹側)S31及び中間股下部(尻側)S33には、吸収体40の幅方向外側端部から幅方向内側に向かって凹んだ凹み部55が形成されている。
【0073】
第1吸収層41には、第1スリット45、一対の第2スリット46及び一対の第3スリット47が形成されている。第1スリット45は、幅方向Wの中央部に形成されている。第1スリット45は、長手方向Lに沿って延在する縦長の形状を有し、幅狭領域S32、中間股下部(腹側)S31及び中間股下部(尻側)S33に跨って形成されている。このように第1スリット45を形成することにより、中央部分40Cを着用者側である内方向INに凸に曲がり易くすることができる。また、吸収体の前後方向への体液等の拡散性を高め、広い範囲において体液等を拡散させて、吸収性能を向上させることができる。
【0074】
第2スリット46及び第3スリット47は、第1スリット45よりも幅方向外側に形成されている。第2スリット46及び第3スリット47は、長手方向Lに沿って延在する縦長の形状を有し、幅狭領域S32に形成されている。
【0075】
一対の第2スリット46は、外方向OUTに凸、つまり吸収体40が第1スリット45と逆の凸に曲がるように、長手方向Lに沿って吸収体40に形成されている。一対の第3スリット47は、内方向INに凸、つまり吸収体40が第1スリット45と同じ凸に曲がるように、長手方向Lに沿って吸収体40に形成されている。
【0076】
吸収体の幅は、前胴回り領域S1及び後胴回り領域S2において、120〜250mmが好ましく、股下領域S3で120mm〜250mmが好ましい。本実施の形態に係る吸収体の幅は、いずれの領域においても196mmである。
【0077】
第1スリット45の長手方向における長さは、第2スリット46の長手方向における長さよりも長く、かつ第3スリット47の長手方向における長さよりも長い。第1スリット45の幅方向における長さは、第2スリット46の幅方向における長さよりも長く、かつ第3スリットの幅方向における長さよりも長い。本実施の形態では、第1スリットの幅は、40mmであり、第2スリット及び第3スリットの幅は、それぞれ10mmである。
【0078】
本実施の形態では、第1スリット45の幅方向中心から第2スリット46の幅方向内側端部までの距離をa、第2スリット46の幅方向外側端部から第3スリット47の幅方向内側端部までの距離をb、第3スリット47の幅方向外側端部から吸収体の幅方向外側端部までの距離をcとしたとき、a=38mm、b=20mm、c=20mmとした。
【0079】
すなわち、第1曲部を構成する第1弾性材44と第2曲部を構成する第2スリット46との幅方向における距離が、第2スリット46と第3曲部を構成する第3スリット47との幅方向における距離よりも長い。したがって、第1曲部の凸状部分の高さは、第3曲部の凸状部分の高さよりも高い。このため、使い捨ておむつ1の着用時において、着用者の排泄口に向けて凸状となる第1曲部は、排泄口と密着し易い。また、第2曲部は、凹部を形成するため、当該凹部に排泄物が入り込み易く、着用者の肌と排泄物が直接接触することを抑制できる。
【0080】
股下領域S3において、第2吸収層42の幅方向における外側端部42Wは、前後方向に沿って配置されている。吸収体40の外側端部42Wよりも幅方向外側は、第1吸収層41のみによって構成され、外側端部42Wよりも内側は、第1スリット45が形成された部分を除いて、第1吸収層41と第2吸収層42とによって構成される。よって、第2吸収層42の外側端部42Wを境界として、吸収体40の剛性及び厚みが変化する。本実施の形態では、剛性等が変化する第2吸収層の外側端部42Wを境界として、吸収体が曲がる。
【0081】
第2吸収層42の外側端部42Wは、第2スリット46が形成された第1吸収層の端部41Wと厚み方向において重なっている。吸収体は、第2吸収層42の外側端部42W及び第1吸収層の端部41Wを基点に外方向に向かって凸形状に曲がる。なお、第2吸収層42の幅方向における外側端部42W及び第1吸収層の端部41Wは、前後方向に沿った辺である。よって、第2曲部は、前後方向に沿って形成される。
【0082】
このような第1吸収層41と第2吸収層42とによって構成される吸収体40は、図3に示すように、中央部分40C、中間部分40M、及び側端部分40Sを有する。中央部分40Cは、幅方向Wにおける吸収体40の中央部に形成される。中間部分は、中央部分40Cと側端部分40Sとの間に位置する。中央部分40Cには、第1曲部による凸状部分が形成される。中間部分40Mには、第2曲部による凸状部分が形成される。側端部分には、第3曲部による凸状部分が形成される。
【0083】
本実施形態では、第1吸収層41と第2吸収層42とは、厚さ方向Tに沿って押圧されることによって一体となっている。なお、第1吸収層41と第2吸収層42とは、接着剤や熱融着などによって一体化されていてもよい。また、吸収体40は、第1吸収層41が非肌当接面側に位置し、第2吸収層42が肌当接面側に位置しているが、第2吸収層42が非肌当接面側に位置し、第1吸収層41が肌当接面側に位置してもよい。
【0084】
(3)吸収体の形状変化
図8は、使い捨ておむつ1の着用状態を模式的に示す断面図(図1のX1−X’1線基準)である。図8に示すように、使い捨ておむつ1が着用されると、吸収体の股下領域S3は、着用者の股間に当てられる。着用者の脚等によって、吸収体には、幅方向外側から幅方向内側に向かって力が掛かる。吸収体40は、第1弾性材44及び第1スリット45と、第2スリット46と、第3スリット47及び第2弾性材48とを基点として吸収体40が曲がり、使い捨ておむつ1の幅方向Wに沿った断面形状は、波状に変形する。よって、吸収体40の股下領域S3の幅狭領域S32は、規則的に折り畳まれた状態となる。
【0085】
吸収体40は、第1弾性材44によって内方向INに凸となった吸収体40の頂面が着用者の股間部に当接する。また、変形した状態の吸収体40の高さ40Tを二分した仮想線Mよりも着用者の身体に近接した上側領域40Uには、中央部分40Cが位置する。一方、仮想線Mよりも着用者の身体から離隔した下側領域40Dには、中間部分40M、及び側端部分40Sが位置する。
【0086】
第1曲部による凸状部分が形成される中央部分40Cは、第2吸収層42のみによって構成されており、比較的厚みが薄い。中間部分40Mにおける第1曲部による凸状部分と第2曲部による凸状部分との間は、第1吸収層41と第2吸収層42とが重なっており、比較的厚みが厚く、剛性が高い。第1曲部と第2曲部との間の剛性が高い部分によって第1曲部による凸状部分を支持することができ、第1曲部による凸形状の安定性を向上させることができる。
【0087】
なお、サイド弾性材90を含む側縁部(レッグスタンディングギャザー)は、図中の厚さ方向Tにおいて、第3曲部を構成する第3スリット47よりも高い位置、つまり、着用者側に位置していることが好ましい。
【0088】
図9は、着用者が脚を閉じた場合における使い捨ておむつ1の着用状態を模式的示す断面図(図2のX1−X’1線基準)である。なお、図中の仮想線は、着用者の股間部及び両脚部を示す。
【0089】
着用者が両脚を閉じると、使い捨ておむつ1の断面形状は、図8に示した状態から図9に示す状態に変化する。着用者が両脚を閉じた場合、吸収体は、第1曲部、第2曲部及び第3曲部で折り畳まれ、互いに密着した状態で、股間部の下方においてコンパクトに配置される。
【0090】
このとき、第1弾性材44及び第1スリット45によって形成される第1曲部は、着用者の股間部と当接するように位置する。一方、第2スリット46によって形成される第2曲部は、非肌当接面側に凸状であり、着用者の排泄口と当接しない位置となる。更に、第3スリット47によって形成される第3曲部は、第1曲部よりも低く、着用者の股間部の下方の位置となる。
【0091】
着用者の股間部において吸収体が密着しているので、肌伝いするような尿速の遅い尿が排出された場合であっても、体液の漏れを防止できる。また、折り畳まれた状態で、吸収体の肌から離れた部分の曲部においては、長手方向に延びる凹みが形成されるため、体液を長手方向外側へ拡散させることができ、横漏れを防止することができる。
【0092】
また、使い捨ておむつ1が着用されると、吸収体40の側端部弾性材49に対応する部分が着用者の身体側に持ち上げられる。幅方向Wにおける側端部弾性材の間には、第2弾性材48が設けられていない。よって、吸収体40は、第2弾性材48等によって凸状に変形せずに、臀部に沿った曲線形状となる。
【0093】
吸収体に形成した第1スリット45、第2スリット46及び第3スリット47を基点に折りまげるため、吸収体40に厚さの薄い部分を形成して凸状部分とする場合と比較して、吸収体40が液体を吸収して膨らんだ場合でも吸収体40が曲がり易くなる。また、使い捨ておむつ1を着用して吸収体40が変形したときの断面形状は、非肌当接面側から肌当接面側に向かって狭くなる先細り形状である。具体的には、変形した状態の吸収体40の高さ40Tを二分した仮想線Mより下方の下側領域40Dから、仮想線Mよりも上側(着用者側)に近接した上側領域40Uに向かって狭くなる先細り形状であり、着用者の股間部の隙間に収まり易く違和感を与えにくい。
【0094】
また、第1曲部によって形成される凸状部分は、第2吸収層42のみによって構成されており、第1吸収層41と第2吸収層42とが積層されて構成された部分よりも厚みが薄い。すなわち、第1曲部によって形成される凸状部分は、厚みが薄くかつ高さが高いため、股間部の狭い隙間に挿入され易くなり、排泄口と密着し易くなる。よって、例えば、排尿口と吸収体とが密着するため、排泄された尿を迅速に吸収することができる。また、着用者の股間部の肌に近い部分においては、吸収体の厚みが薄く、肌から遠い部分で厚みが厚くなるように折り畳まれるため、違和感なくフィットさせることができる。
【0095】
(4)使い捨ておむつの製造方法
次に、図10〜図12を参照して、本実施形態に係る使い捨ておむつの製造方法の一例について説明する。なお、本実施の形態において説明しない方法については、既存の方法を用いることができる。また、以下に説明する製造方法は、一例であり、他の製造方法によって製造することもできる。
【0096】
使い捨ておむつの製造方法は、例えば、吸収体形成工程としての第1吸収層形成工程S101及び第2吸収層形成工程S103と、裏面シート形成工程S105と、表面シート形成工程S107と、セカンドシート配置工程S109と、吸収性本体形成工程S111と、外装シートを形成する外装シート形成工程S113と、吸収性本体と外装シートとを接合する接合工程S115と、を少なくとも備える。
【0097】
吸収体形成工程は、第1吸収層41を形成する第1吸収層形成工程S101と、第2吸収層42を形成する第2吸収層形成工程S103と、を備える。なお、吸収体形成工程については、後述にて詳細に説明する。
【0098】
吸収体形成工程において形成された吸収体40は、第1吸収層41の第1スリット45,第2スリット46及び第3スリット47が搬送方向MDに平行になるように搬送される。
【0099】
裏面シート形成工程S105は、裏面シートを構成するサイドシート60及び吸収体裏面被覆シート30を形成する。防漏壁を構成するサイドシート60の二つ分の連続体であるサイドシートウェブに、防漏壁を構成する二つ分のサイド弾性材90の連続体である連続サイド弾性材を取り付ける。次いで、連続サイド弾性材を巻き込むように、サイドシートウェブの両端部を折り返し、折り返した部分をヒートシールなどによって接合する。
【0100】
次いで、サイドシートウェブを、搬送方向MDに対してほぼ直交する交差方向CDにおける中央で搬送方向MDに沿って分割する。分割した二つのサイドシートウェブを、交差方向CDに所定の離間領域をもって搬送方向MDに沿って搬送する。
【0101】
サイドシートウェブに対して、吸収体裏面被覆シート30の連続体である吸収体裏面被覆シートウェブと、第2弾性材48の連続体である連続第2弾性材と、を貼り付ける。
【0102】
連続第2弾性材は、吸収体裏面被覆シートウェブとサイドシートウェブとの間に挟まれ固定される。なお、吸収体裏面被覆シートウェブとサイドシートウェブとが対面する面に、また連続第2弾性材に、ホットメルト型接着剤等の接着剤をあらかじめ決められたパターンでもって塗工しておく。
【0103】
表面シート形成工程S107は、表面シート10が連続する表面シートウェブを形成する。セカンドシート配置工程S109は、セカンドシート15の連続体であるセカンドシートウェブを搬送方向MDの所定長さに切断してセカンドシート15を形成する。そして、表面シートウェブに対してセカンドシート15を間欠的に貼り付ける。
【0104】
吸収性本体形成工程S111は、サイドシート60の連続体であるサイドシートウェブ及び第2弾性材48の連続体である連続第2弾性材が貼り付けられた吸収体裏面被覆シートウェブ上に、吸収体40を貼り付ける。
【0105】
次いで、吸収体40の上面側から、吸収体表面被覆シート20の連続体である吸収体表面被覆シートウェブを重ねて、吸収体40に吸収体表面被覆シートウェブを貼り付ける。
【0106】
更に、吸収体表面被覆シートウェブの上面側から、セカンドシート15が貼り付けられた表面シートウェブを重ねて、吸収体表面被覆シートウェブに表面シートウェブを貼り付ける。
【0107】
次いで、サイドシートウェブの交差方向CDにおける両側部を上面側に巻き込み固定して防漏部を形成する。次いで、第1弾性材44の連続体である連続第1弾性材を搬送方向に沿って伸張状態で搬送し、吸収体裏面被覆シートウェブの交差方向CDにおける中央部に貼り付ける。次いで、連続第1弾性材を被覆するように弾性材被覆シート43の連続体である弾性材被覆シートウェブを貼り付ける。
【0108】
このようにして、吸収性本体1Aが連続した吸収性本体ウェブが形成される。そして、吸収性本体ウェブを1製品ごとの長さで切断することにより、吸収性本体1Aが形成される。このとき、第1弾性材44、第2弾性材48、及びサイド弾性材90は、非連続状態となり、ホットメルト型接着剤が塗工された部分に配置される。またそれぞれのウェブは1製品分に切断され非連続体となる。
【0109】
外装シート形成工程S113は、吸収性本体の裏面側に配置される外装シートを形成する。なお、吸収性本体を形成する前に、外装シートを形成するように構成してもよい。外装シート形成工程は、まず、外装トップシートウェブを搬送方向MDに沿って分割し、前胴回り領域S1に設けられる前側外装トップシート70Fの連続体と、後胴回り領域S2に設けられる後側外装トップシート70Rの連続体とを形成する。
【0110】
同様に、外装バックシートウェブを搬送方向MDに沿って分割し、前胴回り領域S1に設けられる前側外装バックシート80Fの連続体と、後胴回り領域S2に設けられる後側外装バックシート80Rの連続体とを形成する。これらの連続体は、交差方向CDに離間する離間領域を空けつつ搬送方向MDに沿って搬送される。
【0111】
胴回り弾性材7Aの連続体である連続胴回り弾性材と、ウエスト弾性材3Aの連続体である連続ウエスト弾性材と、前脚回り弾性材5Fの連続体である連続前脚回り弾性材と、後脚回り弾性材5Rの連続体である連続後脚回り弾性材とを、それぞれ搬送方向MDに伸張しつつ外装バックシートウェブに取り付ける。
【0112】
このとき、連続前脚回り弾性材と連続後脚回り弾性材の一部が外装バックシートウェブ上に位置し、他の部分が離間領域内、すなわち外装バックシートウェブ外に位置するように取り付ける。
【0113】
次いで、外装バックシートウェブに対して外装トップシートウェブをそれぞれ重ねて、外装トップシートウェブと外装バックシートウェブとの間に各弾性材を配置する。次いで、離間領域内に位置している連続前脚回り弾性材及び連続後脚回り弾性材を切断する。
【0114】
この状態で外装バックシートウェブと外装トップシートウェブとをプレスすることにより、前側外装トップシート70Fと前側外装バックシート80Fとの積層体と、後側外装トップシート70Rと後側外装バックシート80Rとの積層体とが形成される。
【0115】
前側外装トップシート70Fと前側外装バックシート80Fとの積層体と、後側外装トップシート70Rと後側外装バックシート80Rとの積層体と、の間の離間領域を跨ぐように、外装センターシート100を貼り付ける。これにより、外装シートの連続体である外装シートウェブが形成される。
【0116】
次いで、搬送方向MDにおける所定間隔毎に外装シートウェブを切断する。脚回り弾性材5R、5Fに沿って外装シートウェブを切断することにより、脚回り開口が形成される。
【0117】
接合工程S115は、吸収性本体1Aと外装シートとを接合する。具体的には、吸収性本体1Aを90度回転させて、外装シートウェブ上に吸収性本体1Aを貼り付ける。
【0118】
次いで、搬送方向MDに沿う折り畳み線に沿って、外装シート及び吸収性本体を折り畳む。この場合、折り畳み線は、交差方向CDの中心であってもよく、中心からずれていてもよい。そして、前胴回り側縁部4,4’及び後胴回り縁部6,6’を搬送方向MDに間隔をおいて部分的に接合し、この接合部分において交差方向CDに沿って切断することにより、図1に示す使い捨ておむつを形成することができる。
【0119】
なお、上述のセカンドシート配置工程S109は、セカンドシート15の幅方向における両端部が第2曲部又は第3曲部の近傍に位置するようにセカンドシート15を配置する。
【0120】
例えば、本実施の形態では、セカンドシート15の幅方向の両端部が、第2スリット46とほぼ同じ位置(望ましくは、第2スリット46よりも内側端部)に位置するように配置される。セカンドシート15が配置された領域と、セカンドシート15が配置されていない領域(セカンドシート15の幅方向の両側部よりも幅方向外側の領域)は、剛性が異なる。セカンドシートの有無による剛性差を設けることにより、第2スリット46によって構成される第2曲部を基点に曲がり易くなる。
【0121】
次いで、図11及び図12に基づいて、吸収体の製造方法について説明する。図11は、吸収体40の製造装置200を含む製造工程の部分斜視図であり、図12は、製造装置200の内部を示す製造装置200の側面図である。図において、MDは搬送方向、CDは搬送方向MDと直交する交差(横断)方向、HDはこれらの方向MD,CDに直交する上下方向を示す。
【0122】
吸収体の製造装置200は、第1吸収層41を構成する吸収材を積層する第1積層装置210と、第2吸収層42を構成する吸収材を積層する第2積層装置220と、搬送コンベア230と、を備える。
【0123】
なお、本実施の形態に係る吸収体40の製造装置200は、曲部を有する第1吸収層41上に第2吸収層42を積層するため、第1積層装置210に対する搬送方向MDの下流に第2積層装置220が配置され、搬送コンベア230によって、第1積層装置210によって形成された第1吸収層41を第2積層装置220に向けて搬送する。
【0124】
第1積層装置210は、第1積層ドラム211と、第1吸収材供給ダクト212と、第1受け渡しロール213と、を備える。第2積層装置220は、第2積層ドラム221と、第2吸収材供給ダクト222と、第2受け渡しロール223と、を備える。なお、以下の説明において、第1積層装置210と第2積層装置において同様の構成については、説明を省略する。
【0125】
第1吸収材供給ダクト212は、吸収体を構成するパルプ繊維とSAPを第1積層ドラム211に供給する。第1吸収材供給ダクト212は、第1積層ドラム211の上方に配置されている。第1吸収材供給ダクト212の下部には、下部開口212aが形成されている。下部開口212aは、第1積層ドラム211の外周面に対向している。
【0126】
第1吸収材供給ダクト212は、繊維供給口212bと、ポリマー供給路212cと、が形成されている。繊維供給口212bは、第1吸収材供給ダクト212の内部にパルプ繊維を供給する部分であって、第1吸収材供給ダクト212の頂部に位置している。
【0127】
ポリマー供給路212cは、第1吸収材供給ダクト212の内部に高分子吸収性ポリマーを供給する管路であって、高分子吸水性ポリマー粒子を第1積層ドラム211に向かって吐出する吐出口を有している。
【0128】
第1積層ドラム211は、中空円筒状であり、回転軸211aを中心に搬送方向MDへ回転可能に構成されている。第1積層ドラム211の外周面には、複数の成形型215が配置されている。成形型215は、搬送方向MDに沿って所要のピッチで並んでいる。
【0129】
成形型215は、第1積層ドラムの径方向内側に凹む凹部216と、径方向外側に突出する凸部217と、が形成されている。凹部216は、第1吸収層41の立体的形状に相当する形状である。凸部217は、第1スリット、第2スリット及び第3スリットに対応する形状である。凸部217が形成された部分は、吸収材が積層されないため、第1スリット45等が形成される。凹部216は、底部216aと、底部216aから立ち上がる壁部216bとによって画成されている。凸部217は、底部216aから径方向外側に突出している。
【0130】
底部216aは、第1積層ドラム211の外周面に沿っており、吸収体の前後方向及び幅方向に延びるように配置されている。壁部216bは、第1積層ドラムの径方向に沿っており、吸収体の内方向及び外方向に延びるように配置されている。成形型は、三次元のパターンプレートである。
【0131】
壁部216bと底部216aには、第1積層ドラム211の内部と外部とを連通する複数の透孔が形成されている。更に、凸部にも、透穴が形成されている。第1積層ドラム211の内側には、サクション機構(図示せず)が配置されている。サクション機構は、第1吸収材供給ダクト212と対向する位置では、凹部内の吸収材を吸引する。サクション機構によって、第1積層ドラム211の凹部216内に供給された吸収材を吸引することにより、スリットが形成されつつ第1吸収層が形成される。このように構成された第1吸収層には、曲部としてのスリットが5箇所形成されている。
【0132】
第1積層ドラム211によって成形された吸収体40は、第1積層ドラムの回転に伴って移動し、第1受け渡しロール213に転写される。サクション機構は、第1受け渡しロール213と対向する位置では透孔を介して成形型215の凹部216に向かって加圧空気を噴出する。よって、第1吸収層41は、第1受け渡しロール213に転写される。
【0133】
搬送コンベア230は、ベルト部材231と、ベルト部材231を懸架する駆動ローラ232及び従動ローラ233を有する。ベルト部材231は、通気性のもので、駆動ローラ232と、従動ローラ233とにかけ回してある。ベルト部材231には、複数の透孔(図示せず)が形成してある。
【0134】
駆動ローラ232と従動ローラ233との間には、ベルト部材231を介してベルト部材231の上方の空気を吸い込むサクション機構234が適宜の個数だけ配置されている。
なお、本実施の形態においては図示しないが、プレス装置等によって、第1吸収層及び第2吸収層を個別にプレス加工してもよい。
【0135】
次いで、このように構成された吸収体の製造装置200による吸収性の製造方法について説明する。まず、第1吸収層形成工程S101として吸収材供給工程S1011を行う。具体的には、第1積層ドラム211の凹部216内に、第1吸収層41を構成する吸収材を積層する。
【0136】
次いで、第1吸収層形成工程S101として吸引工程S1012を行う。具体的には、第1積層ドラム211のサクション機構によって、透穴を介して凹部216内の空気を吸引する。サクション機構によって吸収材を吸引することにより、第1スリット45、第2スリット46及び第3スリット47を形成しつつ、第1吸収層41を形成することができる。
【0137】
第1積層ドラム211によって積層されて成形された第1吸収層41を第1受け渡しロール213に転写した後、第1受け渡しロール213から搬送コンベア230上に転写する。第1吸収層41は、第1積層ドラムのサクション機構及び搬送コンベアのサクション機構によって搬送コンベア230上に転写される。第1吸収層41は、搬送コンベア230のベルト部材231上に配置され、第2積層装置220に向けて搬送される。
【0138】
次いで、第2積層装置220によって、第1吸収層41と同様に第2吸収層42を形成する。なお、第2吸収層42を形成する成形型の凹部には凸部が設けられていない。よって、第2吸収層42には、曲部を構成するスリットが形成されないように構成されている。そして、第2積層ドラム221によって成形された第2吸収層42を、第2受け渡しロール223を介して第1吸収層41上に積層する。
【0139】
このとき、第1吸収層に形成された第1スリット45、第2スリット46及び第3スリット47のうち、一部のスリット(例えば、第1スリット45)を第2吸収層42によって覆い、かつ他のスリット(例えば、第3スリット47)を第2吸収層42によって覆わずに開放するように第2吸収層42を配置する。
【0140】
次いで、第1吸収層41と第2吸収層42とを合体させて吸収体40を形成する。吸収体は、上述のように搬送コンベア等で搬送される過程において表面シート等のシート材と接合され、図示しないが、使い捨ておむつが製造される。
【0141】
このように製造される吸収体40は、下方に位置する第1吸収層41は、搬送コンベア230によって搬送される際に搬送コンベア230のサクション機構によって均等に吸引される。一方、上方に位置する第2吸収層42は、第1吸収層41を介して吸引されるため、均等に吸引されない。よって、例えば、第2吸収層42にスリット等が形成されていると、サクション機構によって均等に吸引されないために、スリット間の吸収体が切れたり、折れたりするおそれがある。
【0142】
しかし、下方に位置する第1吸収層41は、搬送コンベア230のサクション機構によって均等に吸引されるため、スリット等が形成されている場合であっても、吸収体が切れたり、型崩れしたりし難くなる。よって、スリット等が形成された第1吸収層41を下方に配置することが望ましい。
【0143】
一方、第2吸収層42には、曲部となるスリットが設けられてないため、第1吸収層41のスリット間のように幅の短い部分がない。よって、第2吸収層42を転写する際において吸収体が切れたり、よれたりし難く、安定的に転写することができ、吸収体の型崩れを防止できる。
【0144】
また、第1吸収層41と第2吸収層42の両方に、スリットを設けた場合、第1吸収層41と第2吸収層42とを重ね合わせるときの位置ずれが生じることがある。例えば、幅方向に位置ずれが生じると、左右に配置された一対のスリットの幅が狭くなり、規則的な変形ができなくなったり、左右アンバランスな吸収体となり、吸収性や装着感に悪影響を及ぼしたりするおそれがある。
【0145】
更に、第2吸収層42は、第1吸収層41のスリットが形成された股下領域S3において、第2スリット46に重なって第2吸収層42の端部42Wが配置されている。したがって、股下領域S3における第2スリット46よりも幅方向内側と幅方向外側との剛性差によって、吸収体40が屈曲しやすくなり、装着時の変形をより安定にし、装着違和感を低減することができる。
【0146】
(第2の実施形態)
次いで、第2の実施形態に係る吸収性物品の製造方法について、図13及び図14を参照して詳細に説明する。図13は、吸収体40の製造装置200Aを含む工程の部分斜視図であり、図14は、製造装置200Aの内部を示す製造装置200Aの側面図である。なお、第2の実施形態の説明において、第1の実施形態と同様の構成については、同符号を用いて説明を省略する。
【0147】
第2の実施形態に係る吸収体の製造装置200Aは、第1吸収層41を構成する吸収材を積層する第1積層装置210と、第2吸収層42を構成する吸収材を積層する第2積層装置220と、搬送コンベア230と、プレス装置240と、切断装置250と、を備える。
【0148】
第1積層装置210は、第1積層ドラム211と、第1吸収材供給ダクト212と、を備える。第2積層装置220は、第2積層ドラム221と、第2吸収材供給ダクト222と、第2受け渡しロール223と、を備える。
【0149】
第2の実施の形態に係る第1積層ドラム211には、第1吸収層41が前後方向に連続して配置された立体的形状に相当する凹部216が形成されている。よって、第1積層ドラム211によって、第1吸収体が連続した連続体が形成される。
【0150】
また、第1積層装置210よりも上流側及び第2積層装置220の下流側には、第1吸収層41及び第2吸収層42を包むティッシュ層95を供給するティッシュ供給装置260が配置されている。
【0151】
第1積層ドラム211によって形成された連続体は、連続するティッシュ層95上に転写される。なお、ティッシュ層95に、予めホットメルト型接着剤を塗布しておき、ホットメルト型接着剤を介して第1吸収層41とティッシュ層95とが接合するように構成することが望ましい。
【0152】
また、第1の実施形態に係る第1積層ドラムのように、間欠的に配置された凹部によって吸収層を間欠的に形成すると、凹部における吸収材料の吸引態様が均一にならず、吸収材料の積層分布が安定しないおそれがある。しかし、第2の実施形態に係る第1積層ドラムのように、連続した凹部によって吸収層を連続して形成することにより、吸収材料の積層分布を安定的にすることができる。
【0153】
第2積層装置の下流側のティッシュ供給装置260よりも更に下流側には、プレス装置240と、切断装置250と、が配置されている。プレス装置240は、ティッシュ層95間に配置された第1吸収層41及び第2吸収層42をプレスロールによってプレス加工する。なお、図14においては、図示しないが、プレス加工を施すことにより、第1吸収層41及び第2吸収層42の厚みが薄くなる。また、プレス加工を施す際に、プレスロールと吸収体との間にティッシュ層95を配置することにより、パルプ繊維やSAPがプレスロールに付着することを防止できる。
【0154】
なお、本実施の形態では、第1吸収層41の下方にティッシュ層95を配置し、かつ第2吸収層42の上方にティッシュ層95を配置するように構成しているが、例えば、いずれか一方のティッシュ層95を設けて、そのティッシュ層95によって第1吸収層及び第2吸収層42を巻き込むことによって、第1吸収層41及び第2吸収層42を包むように構成してもよい。
【0155】
また、第2積層ドラム221の吸収材供給工程よりも上流において、第2積層ドラム221の外周面に形成された多数の成形型の凹部上にティッシュ層95などのシートを供給することによって、第2吸収層を構成する吸収材料をシート上に堆積させて吸収体を成形してもよい。このように吸収体を成形することにより、第2吸収層をシートごと第1吸収層の上部に配置させて、第1吸収層と第2吸収層の間にシートが設けられた吸収体を得ることができる。
【0156】
ティッシュ層などのシートの上面及び下面に予めホットメルト型接着剤を塗布しておき、各吸収層とシートとを貼り合わせることによって、吸収層とシートとの分離を防止でき、より型崩れし難い吸収体を得ることができる。
【0157】
切断装置250は、プレス加工が施された第1吸収層及び第2吸収層42を1ピース分毎に切断する。
【0158】
次いで、このように構成された吸収体の製造装置200Aによる吸収性の製造方法について説明する。第1吸収層形成工程S101として、吸収材供給工程S1011を行う。具体的には、第1積層ドラム211の凹部216内に、第1吸収層41を構成する吸収材を積層する。
【0159】
次いで、第1吸収層形成工程S101として吸引工程S1012を行う。具体的には、第1積層ドラム211のサクション機構によって、透穴を介して凹部内の空気を吸引する。サクション機構によって吸収材を吸引することにより、第1スリット45、第2スリット46及び第3スリット47を形成しつつ、第1吸収層41の連続体411を形成することができる。
【0160】
第1積層ドラム211によって成形された第1吸収層41の連続体を、搬送コンベア230のティッシュ層95上に転写する。第1吸収層41の連続体411は、搬送コンベア230によって、第2積層装置220に向けて搬送される。
【0161】
次いで、第2積層装置220によって、第2吸収層42が成形される。なお、第2積層装置220は、第1の実施形態と同様に、吸収性物品を個々に成形する。第2積層ドラムによって成形された第2吸収層42を、受け渡しロール223を介して、第1吸収層41の連続体411上に積層する。
【0162】
次いで、ティッシュ供給装置260によって、第2吸収層42上に連続するティッシュ層95を供給する。ティッシュ層95によって第1吸収層及び第2吸収層を挟んだ状態で、第1吸収層41及び第2吸収層42をプレス装置240に向けて搬送する。プレス装置によって、ティッシュ層95、第1吸収層41及び第2吸収層42をプレス加工した後、切断装置250によって、1ピースに切断し、吸収体40を形成する。
【0163】
なお、第2の実施形態では、第1吸収層の連続体を形成し、第2吸収層を1ピース毎形成しているが、第2吸収層も連続体として成形し、第1吸収層と共に切断したり、第1吸収層と別個に切断したりすることによって、吸収体40を成形してもよい。
【0164】
また、第2の実施形態に係る第1吸収材供給ダクト212の内部には、搬送方向MDの上流側に位置する第1可動仕切壁212dと、下流側に位置する第2可動仕切壁212eと、が形成されている。第1可動仕切壁212d及び第2可動仕切壁212eは、交差方向CDに延びる軸(図示せず)を中心に、それぞれの上端部212f,212gが双頭矢印A,Bで示す方向へ旋回可能に構成されている。
【0165】
第1可動仕切壁212d及び第2可動仕切壁212eは、上端部212f,212gが第1吸収材供給ダクト212の内壁から離間した第1状態と、上端部212f,212gが第1吸収材供給ダクト212の内壁に当接した第2状態と、を実現する。
【0166】
第1状態では、繊維供給口212bから供給されるパルプ繊維は、第1可動仕切壁212dと第2可動仕切壁212eとの間の主経路R1と、第1可動仕切壁212dよりも上流側の上流経路R2と、第2可動仕切壁212eよりも下流側の下流経路R3と、に分散されつつ落下して、第1積層ドラム211の外周面に供給される。高分子吸収性ポリマーは、パルプ繊維と混合された状態で、好ましくは一様に混合された状態で成形型内の全体に供給される。
【0167】
一方、第2状態では、繊維供給口212bから供給されるパルプ繊維は、上流経路R2及び下流経路R3に供給されず、第1可動仕切壁212dと第2可動仕切壁212eとの間の主経路R1のみに供給される。
【0168】
また、ポリマー供給路212cは、上下方向HDに移動可能に構成されている。ポリマー供給路212cが第1積層ドラム211に近づいた状態では、上流経路R2及び下流経路R3に高分子吸収性ポリマーが供給されず、吸収体40の表側及び裏側の表層部分に含まれる高分子吸収性ポリマーの量が低減される。
【0169】
このように、第1可動仕切壁212d及び第2可動仕切壁212eを可動させたり、ポリマー供給路212cの位置を上下方向に移動したりすることによって、高分子吸収性ポリマーの供給経路を調整して、吸収体40の表側及び裏側の表層部分に含まれる高分子吸収性ポリマーの量を少なくすることができる。したがって、吸収体40の表側及び裏側の表層部分に、高分子吸収性ポリマーの比率の少ない吸収繊維層を設けることができる。
【0170】
(変形例)
次に、変形例1〜5に係る使い捨ておむつの吸収体40G、40H、40I、40J及び40Kの構成について、図面を参照しながら説明する。なお、上述した第1実施形態に係る使い捨ておむつ1と同一部分には同一の符号を付して、相違する部分を主として説明する。図15は、変形例1〜5に係る使い捨ておむつの吸収体の平面図である。図16は、変形例に係る吸収体の変形前の状態と変形後の状態を示した模式断面図である。図16は、吸収体の幅狭領域S32における長手方向中心の断面を示している。なお、図15においては、上側に位置する吸収層を実線で示し、下側に位置する吸収層を一点鎖線によって示す。
【0171】
変形例1に係る吸収体40Gは、図15(a)に示すように、第1の実施の形態の吸収体40と比較して、第1吸収層41と第2吸収層42の配置が逆になっている。すなわち、第1スリット45、第2スリット46及び第3スリット47や凹み部55が形成された第1吸収層41が上側(表面シート側)に配置され、下側(裏面シート側)にスリット等が形成されていない砂時計形状の第2吸収層42が配置されている。
【0172】
前述の実施形態に係る使い捨ておむつは、下方に位置する第1吸収層と上方に位置する第2吸収層とを接合した後に、上側に位置する第2吸収層側から表面シートを接合し、かつ下側に位置する第1吸収層側から裏面シートを接合することによって形成されているが、例えば、表面シートと裏面シートを逆の配置にして吸収体に接合することによって、第1吸収層が表面シート側に設けられた使い捨ておむつを形成することができる。
【0173】
具体的には、下方に位置する第1吸収層と上方に位置する第2吸収層とを接合した後に、上側に位置する第2吸収層側から裏面シートを接合し、かつ下面に位置する第1吸収層側から表面シートを接合し、かつ裏面シート側に外装シートを接合することにより、第1吸収層が表面シート側に設けられた使い捨ておむつを形成することができる。
【0174】
変形例2に係る吸収体40Hは、図15(b)に示すように、下方に第1吸収層が位置し、上方に第2吸収層が位置している。第1吸収層の凹み部55は、股下領域に形成された第2スリット46よりも前方のみに形成され、第2スリット46よりも後方には形成されていない。第1吸収層には、3本のスリットが形成されている。
【0175】
変形例3に係る吸収体40Iは、図15(c)に示すように、第2スリット46の幅方向における内側端部近傍に第2吸収層の幅方向における外側端部が配置されている。更に、第3スリットの幅方向外側に、第4スリット56が形成されている。
【0176】
変形例4に係る吸収体40Jは、スリットが形成された第1吸収層が下方に配置され、第2吸収層が上方に位置している。変形例4に係る第1吸収層は、平面視にて長方形状であり、第2の実施形態に係る製造方法によって製造されている。
【0177】
なお、他の変形例に係る吸収体についても、第2の実施形態に係る製造方法によって製造することができる。例えば、連続体を切断する際に、吸収層の外形に沿って切断することにより、他の変形例に係る吸収体を製造することができる。
【0178】
変形例5に係る吸収体40Kは、第1の実施形態に係る吸収体40に対して、更に吸収層を追加した例である。第2吸収層の上側に、曲部が形成されていない上層吸収層57が積層されている。図15において、上層吸収層57を二点鎖線によって示す。
【0179】
上層吸収層57は、他の吸収層と比較して、高分子吸収性ポリマーの構成比率を高く構成されている。上層吸収層57は、着用者の臀部に当接する後胴回り領域S2に配置されている。着用者の臀部に対応する部分に上層吸収層57を配置することにより、臀部への排泄物の逆戻り量を少なくし、肌の快適性を向上させることができる。
【0180】
[その他の実施形態]
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0181】
例えば、上述した実施形態では、パンツ型の使い捨ておむつとして説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、オープン型の使い捨ておむつ、失禁用パッド及び生理用ナプキンなどに適用してもよい。
【0182】
上述した実施形態では、スリット、弾性材又は剛性の変化する境界部分を用いて吸収体が曲がるよう構成したが、吸収体の厚さを薄くしたり、吸収体にエンボス加工を施したりすることによって吸収体が曲がるよう構成してもよい。
【0183】
また、本実施の形態に係る吸収性物品は、側端部弾性材49を備えているが、側端部弾性材49を備えていなくてもよい。また、防漏壁は、股間からの横漏れを防ぐために起立部(サイド弾性材90)有しているが、必ずしもサイド弾性材90を有していなくてもよい。
【0184】
本実施形態では、吸収体40は、第1吸収層41と第2吸収層42との2層構造であるが、本発明に係る着用物品の吸収体40は、3層以上で構成されていてもよい。なお、吸収体40を複数の吸収層によって構成する場合であっても、第1吸収層のみが股下領域における曲部を有しており、他の吸収層が股下領域における曲部を有していないように構成されていればよい。したがって、第1吸収層以外の他の吸収層が、股下領域以外の領域における曲部を有していてもよい。
【0185】
なお、本実施の形態における吸収体の成形型は、底部及び壁部に透穴が形成された3Dメッシュ構造であるが、例えば、底部のみに透穴が形成された2Dのメッシュ構造であってもよい。
【0186】
しかし、3Dメッシュ構造の成形型を用いることにより、吸収層に形成されたスリットの側面にパルプ繊維のみの層を設けることができる。スリットの側面にパルプ繊維のみの層を設けることにより、パルプと粒状のSAPとを混合した吸収体において、製造中や使用中において粒状のSAPがスリットへ脱落することを抑制できる。よって、製造時のロスを少なくでき、またスリットの機能である折り曲げ効果や排泄物の拡散吸収効果を発揮させることができる。
【0187】
また、吸収体に形成するスリットの数は、制限されない。具体的には、吸収体の股下領域S3において、幅方向の吸収体の長さ寸法を二等分して前後方向へ延びる仮想中心線ELに対して対称に配置されていればよく、7個以上であってもよい。
【0188】
なお、本実施の形態の吸収性物品は、吸収体40の外方向側に裏面シートと外装シートとが配置されているが、この構成に限定されず、吸収体40の外方向側に外装シートのみが配置されていてもよいし、裏面シートのみが配置されていてもよい。
【0189】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0190】
1…使い捨ておむつ(使い捨ておむつ)、 3…ウエストギャザー、 3A…ウエスト弾性材、 4,4’…前胴回り側縁部、 5…レッグギャザー、 5F…前脚回り弾性材、 5R……後脚回り弾性材、 6,6’…後胴回り縁部、 7…胴回りギャザー、 7A…胴回り弾性材 8…中間股下縁部、 10…表面シート、 15…セカンドシート、 20…吸収体表面被覆シート、 30…吸収体裏面被覆シート、 40,40G,40H,40I,40J,40K…吸収体、 40C…中央部分、 40D…下側領域、 40M…中間部分、 40N…幅狭部、 40S…側端部分、 40U…上側領域、 41…第1吸収層、 41BL,41FL…幅広部、 41N…幅狭部、 42…第2吸収層、 42N…中央部、 42W…外側端部、 43…弾性材被覆シート、 44…第1弾性材、 45…第1スリット、 46…第2スリット, 47…第3スリット、 48…第2弾性材、 49…側端部弾性材、 50A…側縁部、 55…凹み部、 56…第4スリット、 57…上層吸収層、 60…サイドシート、 70F…前側外装トップシート、70R…後側外装トップシート、80F…前側外装バックシート、80R…後側外装バックシート、90…サイド弾性材、 95…ティッシュ層、 100…外装センターシート、 200…製造装置、 200A…製造装置、 210…第1積層装置、 211…第1積層ドラム、 212…第1吸収材供給ダクト、 212a…下部開口、 212b…繊維供給口、 212c…ポリマー供給路、 212d…第1可動仕切壁、 212e…第2可動仕切壁、 212f,212g…上端部、 213・・・第1受け渡しロール、 215…成形型、 216…凹部、 216a…底部、 216b…壁部、 217…凸部、 220…第2積層装置、 221…第2積層ドラム、 222…第2吸収材供給ダクト、 223…受け渡しロール、 230…搬送コンベア、 231…ベルト部材、 232…駆動ローラ、 233…従動ローラ、 234…サクション機構、 240…プレス装置、 250…切断装置、 260…ティッシュ供給装置、 411…連続体、S1…前胴回り領域、S2…後胴回り領域、S3…股下領域、S31…中間股下部(腹側)、 S32…幅狭領域、 S33…中間股下部(尻側)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の身体前側と身体後側とに延びる前後方向、前記前後方向に直交する幅方向、前記着用者に向かう内方向、及び前記内方向と反対側に向かう外方向を有し、かつ前記内方向又は前記外方向に凸に曲がることができるように構成される曲部が形成された吸収体を有する吸収性物品の製造方法であって、
前記吸収体を構成する第1吸収層を形成する第1吸収層形成工程と、
前記吸収体を構成し、かつ前記第1吸収層と積層される第2吸収層を形成する第2吸収層形成工程と、を有しており、
前記第1吸収層形成工程は、前記幅方向の前記吸収体の長さ寸法を二等分して前記前後方向へ延びる仮想の中心線に対して対称に前記曲部を形成しつつ、前記第1吸収層を形成し、
前記第2吸収層形成工程は、前記着用者の股間部に当てられる股下領域に前記曲部を設けずに前記第2吸収層を形成することを特徴とする吸収性物品の製造方法。
【請求項2】
前記曲部は、前記吸収体を構成する前記第1吸収層又は前記第2吸収層に形成されたスリット、及び前記第1吸収層又は前記第2吸収層において周囲の前記第1吸収層又は前記第2吸収層の目付よりも低い目付である低目付領域のうち少なくともいずれか一方によって構成される、請求項1に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項3】
前記第2吸収層形成工程は、前記第1吸収層に形成された前記曲部の一部の領域を前記第2吸収層によって覆い、かつ前記曲部の他の領域を前記第2吸収層によって覆わずに開放するように前記第2吸収層を積層し形成する、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項4】
前記第1吸収層形成工程は、前記股下領域における前記幅方向中央に前記前後方向に延びる第1曲部を形成し、かつ前記第1曲部よりも幅方向両外側に前記前後方向に延びる第2曲部を形成する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項5】
前記第2吸収層形成工程は、前記第1吸収層に形成された前記第1曲部を前記第2吸収層によって覆い、かつ前記第2曲部を前記第2吸収層によって完全に覆わずに、前記第2曲部の一部を開放するように前記第2吸収層を形成する、請求項4に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項6】
前記第1吸収層形成工程は、前記第2曲部よりも幅方向両外側に前記前後方向に延びる第3曲部を形成する、請求項4又は請求項5に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項7】
前記吸収体の厚み方向において前記曲部に重なるように、前記前後方向において伸長させた状態で弾性材を設ける弾性材配置工程を有する、請求項1から請求項6のいずれかに記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項8】
前記第1吸収層形成工程及び前記第2吸収層工程のうち少なくともいずれか一方は、前記第1吸収層又は前記第2吸収層の立体的形状に相当する凹部が形成され、かつ前記凹部内の空気を吸引可能な透穴が形成された成形型に、前記吸収体を構成する吸収材料を供給する吸収材供給工程と、
前記吸収材料を吸引して前記第1吸収層又は前記第2吸収層を形成する吸引工程と、を含む、請求項1から請求項7のいずれかに記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項9】
前記第1吸収層形成工程及び前記第2吸収層工程のうち少なくともいずれか一方は、前記第1吸収層又は前記第2吸収層が前後方向に連続して配置された立体的形状に相当する凹部が形成され、かつ前記凹部内の空気を吸引可能な透穴が形成された成形型に、吸収体を構成する吸収材料を供給する吸収材供給工程と、
前記吸収材料を吸引して前記第1吸収層又は前記第2吸収層が連続された連続体を形成する吸引工程と、
前記連続体を前記幅方向に沿って切断し、前記第1吸収層又は前記第2吸収層を形成する切断工程と、を含む、請求項1から請求項8のいずれかに記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項10】
前記成形型の前記凹部は、前記前後方向及び前記幅方向に延びて配置される底部と、前記底部から立ち上がり前記内方向及び前記外方向に延びる壁部と、を備え、
前記壁部には、前記透穴が形成されており、
前記吸引工程は、少なくとも前記壁部の前記透穴を介して前記吸収材料を吸引して、前記第1吸収層又は前記第2吸収層を形成する請求項8又は請求項9に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項11】
前記吸収体よりも前記内方向側に位置する表面シートを形成する表面シート形成工程と、
前記吸収体よりも前記外方向側に位置する裏面シートを形成する裏面シート形成工程と、
前記表面シートと前記吸収体との間にセカンドシートを配置するセカンドシート配置工程と、
前記セカンドシートと前記裏面シートとの間に前記吸収体を配置し、前記表面シート、前記セカンドシート、前記裏面シート及び前記吸収体をそれぞれ接合して、前記表面シート、前記セカンドシート、前記裏面シート及び前記吸収体を一体化する接合工程と、を有し、
前記セカンドシート配置工程は、前記セカンドシートの幅方向における両端部が前記曲部の近傍に位置するように前記セカンドシートを配置する、請求項1から請求項10のいずれかに記載の吸収性物品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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