説明

吸収性物品の製造装置

【課題】弾性部材全体を伸長させた状態で、吸収性物品を構成するウェブに対して弾性部材を円滑に受け渡すことができる吸収性物品の製造装置を提供する。
【解決手段】吸収性物品の製造装置1は、弾性部材5と各々当接し、第1位置から第2位置へ搬送する一対の搬送部材10と、搬送部材を移動させる一対の搬送駆動部材20と、を備え、弾性部材を搬送しつつ交差方向CDに伸長させる。搬送部材は、弾性部材と当接する当接面11aを有する支持部材11と、当接面に当接した弾性部材に引っ掛かるピン部材12と、を備える。
支持部材及びピン部材のうち少なくともいずれか一方を他方に対して移動させることにより、支持部材の当接面からピン部材が突出した状態と、支持部材の当接面よりも内側にピン部材が配置された状態とを実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品の製造装置に関し、特に吸収性物品を構成するウェブに対して弾性部材を伸長させた状態で受け渡す吸収性物品の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨て着用物品等の吸収性物品は、着用者の身体へのフィット感を高めるため、弾性部材が配置されている。弾性部材は、吸収性物品を構成するウェブに対して伸長された状態で受け渡される。特許文献1及び特許文献2には、弾性部材を伸長させた状態でウェブに受け渡す吸収性物品の製造装置が記載されている。
【0003】
特許文献1の吸収性物品の製造装置は、弾性部材を外周面に沿って搬送する一対の円形の回転体と、各回転体の外周面に沿って配置された一対のベルト部材と、を備える。また、特許文献2の吸収性物品の製造装置は、弾性部材を外周面に沿って搬送する一対の円形の回転体と、回転体の外周面から突出したピン部材と、を備える。一対の回転体は、搬送方向と直交する交差方向において弾性部材を挟んで配置されており、弾性部材の交差方向における端部に当接している。
【0004】
一対の回転体は、搬送方向の上流に位置する第1位置から搬送方向の下流に位置する第2位置に向かって弾性部材を搬送するように構成されている。一対の回転体の交差方向における距離は、第1位置よりも第2位置の方が長い。よって、弾性部材は、回転体の外周面に沿って搬送される過程において交差方向に伸長される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−7605号公報(図2等)
【特許文献2】特開平4−218158号公報(図6等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の吸収性物品の製造装置には、以下の問題点があった。
【0007】
特許文献1の吸収性物品の製造装置は、回転体の外周面とベルト部材とによって弾性部材を挟んで保持する。よって、弾性部材の回転体とベルト部材とに挟まれた部分は、伸長し難くなる。従って、弾性部材の全体を伸長させ難くなることがある。
【0008】
また、特許文献2に記載の吸収性物品の製造装置は、弾性部材にピンを挿入して弾性部材を保持する。また、伸長した弾性部材をウェブに受け渡す際には、第2位置において弾性部材と当接するベルト部材を用いて、弾性部材をピン部材から抜いてウェブに受け渡すように構成されている。しかし、ピン部材は、弾性部材側に突出して配置されているため、弾性部材からピン部材がスムーズに抜けず、弾性部材をウェブに対して円滑に受け渡すことができないおそれがある。
【0009】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、弾性部材全体を伸長させた状態で、吸収性物品を構成するウェブに対して弾性部材を円滑に受け渡すことができる吸収性物品の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明は、吸収性物品を構成する帯状の弾性部材(弾性部材5)を搬送しつつ搬送方向(搬送方向MD)と直交する交差方向(交差方向CD)に伸長させる吸収性物品の製造装置(吸収性物品の製造装置1)であって、前記交差方向における前記弾性部材の両端部(端部5A、5B)と各々当接し、弾性部材を受ける第1位置から前記吸収性物品を構成するウェブに対して前記弾性部材を受け渡す第2位置へ前記弾性部材を搬送する一対の搬送部材(搬送部材10)と、前記第1位置と前記第2位置とを通過する搬送経路に沿って前記搬送部材を移動させる一対の搬送駆動部材(搬送駆動部材20)と、を備え、前記搬送部材は、前記弾性部材と当接する当接面(当接面11a)を有する支持部材(支持部材11)と、前記当接面に形成された穴部(ピン穴部11b)を介して前記当接面から突出し、前記当接面に当接した前記弾性部材に引っ掛かるピン部材(ピン部材12)と、を備えており、前記支持部材及びピン部材のうち少なくともいずれか一方を他方に対して相対的に移動させる相対移動部材(相対移動部材30)を備えており、前記一対の搬送駆動部材は、前記搬送駆動部材間の前記交差方向の距離が前記第1位置よりも前記第2位置において長くなるように配置されており、前記相対移動部材は、前記支持部材及び前記ピン部材のうち少なくともいずれか一方を他方に対して移動させることにより、前記当接面の前記穴部の軸方向に沿って前記ピン部材を移動させて、前記支持部材の前記当接面から前記ピン部材が突出した状態と、前記支持部材の前記当接面よりも内側に前記ピン部材が配置された状態とを実現することを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
一対の搬送部材は、弾性部材の交差方向における端部とそれぞれ当接し、弾性部材を受け取る第1位置から、弾性部材をウェブに受け渡す第2位置に向かって弾性部材を搬送する。搬送部材を移動させる一対の搬送駆動部材間の交差方向における距離は、第1位置よりも第2位置の方が長くなるように構成されている。よって、弾性部材は、第1位置から第2位置に搬送される過程において交差方向に伸長される。弾性部材を伸長させた状態で、ウェブに受け渡すことができる。
【0012】
また、支持部材の当接面からピン部材が突出した状態と、支持部材の当接面よりも内側にピン部材が配置された状態とを実現するように構成されている。よって、弾性部材を保持する際にピン部材を当接面から突出させて、弾性部材を支持し、かつ弾性部材をウェブに対して受け渡す際に、ピン部材を当接面よりも内側に配置して、弾性部材を搬送部材から円滑に離間させることができる。よって、伸長した弾性部材を円滑にウェブに対して受け渡すことができる。
【0013】
ピン部材は、弾性部材の支持部材側の面に配置されている。弾性部材は、両面を挟まれた状態で保持されない。2つの部材間に弾性部材を挟持せずに保持するため、部材間に挟持された状態で弾性部材を伸長する構成と比較して、弾性部材の全体を略均一に伸長させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る吸収性物品を平面図である。
【図2】本実施形態に係る吸収性物品の製造装置の正面図である。
【図3】図1に示す吸収性物品の製造装置の右上方から視認した斜視図である。
【図4】図1に示す吸収性物品の製造装置の平面図である。
【図5】図1に示す吸収性物品の製造装置の底面図である。
【図6】図1に示す吸収性物品の製造装置における第1搬送部材と第2搬送部材の移動態様を説明するための模式図である。
【図7】図1に示す吸収性物品の製造装置におけるサクションパッド及びピン部材の移動態様を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下において、本発明に係る吸収性物品の製造装置について、図面を参照しながら説明する。具体的には、(1)吸収性物品の構成、(2)吸収性物品の製造方法、(3)吸収性物品の製造装置の構成、(4)第1搬送部材と第2搬送部材との移動態様、及び弾性部材の貼付動作、及び(5)その他の実施形態、について説明する。
【0016】
なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0017】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0018】
(1)吸収性物品の構成
まず、本実施形態に係る吸収性物品としての使い捨ておむつ1の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る使い捨ておむつ1を示す平面図である。本実施形態では、使い捨ておむつ1は、オープンタイプのおむつである。
【0019】
本実施形態において、オープンタイプとは、予めパンツ型に成形されているものではなく、使用前の状態において展開された状態になっており、製品の所定部分同士をテープなどで留めることによって使用者に装着するおむつのことをいう。
【0020】
使い捨ておむつ1は、使い捨ておむつ1の長手方向Lにおいて、着用者の前胴回りに対応する前胴回り領域S1と、着用者の後胴回りに対応する後胴回り領域S2と、着用者の股下に対応し、前胴回り領域S1と後胴回り領域S2との間に位置する股下領域S3とを有する。使い捨ておむつ1は、表面シート3と、外装シート4と、吸収体6とを備える。
【0021】
表面シート3は、着用者の肌に接する側に設けられる。表面シート3は、親水性不織布や織物、開口プラスチックフィルム、開口疎水性不織布などの液透過性のシートによって形成される。
【0022】
外装シート4は、衣服に当接するバック不織布と、バック不織布よりも肌側に位置し、防水フィルム(例えば、ポリエチレン)などで形成された液不透過性のフィルム(以下、バックフィルムという)とを有する。バックフィルムは、透湿又は非透湿性のフィルムからなる。
【0023】
吸収体6は、表面シート3と外装シート4との間に設けられる。吸収体6は、着用者の体液を吸収する。吸収体6は、粉砕パルプや高吸収性ポリマーなどの吸収性コアと、吸収性コアを被覆するティッシュ等の吸収性シートとによって形成される。
【0024】
表面シート3及び外装シート4の長手方向Lにおける端部である前縁及び後縁よりも長手方向内側には、着用者の腰回りに沿って配置されるウエストギャザーを形成する腰周り弾性部材5が配置されている。腰周り弾性部材は、幅方向に伸長した状態で表面シートと外装シートとの間に設けられる。この腰周り弾性部材5を配置する構成については、後述にて詳細に説明する。
【0025】
表面シート及び裏面シートの幅方向における端部は、股下領域S3において幅方向内側に凹んでいる。股下領域S3の凹みは、着用者の脚周りに沿って配置される。着用者の脚回りに沿って配置される脚周り領域には、ギャザーを形成する脚周り弾性部材が配置されている。
【0026】
前胴回り領域S1には、吸収体6よりも幅方向外側に延出した前部サイドフラップ40Aが形成されており、後胴回り領域S2には、吸収体の幅方向外側に延出した後部サイドフラップ40Bが形成されている。前部サイドフラップ40A及び後部サイドフラップ40Bは、表面シートと外装シートによって構成されている。
【0027】
後部サイドフラップ40Bには、前胴回り領域S1の外装シート4に係止する係止部41が設けられる。係止部41は、表面シート3に接合されている。係止部41は、面ファスナーや粘着テープなどによって形成される。
【0028】
(2)吸収性物品の製造方法
次に、本実施形態に係る吸収性物品の製造方法について説明する。吸収性物品の製造方法は、構成部品形成工程と、構成部品載置工程と、脚周り形成工程と、切断工程とを少なくとも含む。
【0029】
なお、各工程間では、不図示の搬送装置(例えば、ベルトコンベア装置)によって、表面シート3を構成する液透過性の第1ウェブと、外装シート4を構成する液不透過性の第2ウェブ等を搬送方向MDに搬送する工程が含まれる。
【0030】
構成部品形成工程では、第1ウェブ、第2ウェブ等の吸収性物品を構成する構成部品を形成する。具体的には、表面シートを構成する第1ウェブに対して、幅方向に伸長させた状態で腰周り弾性部材5を貼付する。この腰周り弾性部材5の貼付工程については、後述にて詳細に説明する。
【0031】
構成部品載置工程では、第2ウェブ上に、弾性部材、第3ウェブ、防水シート、吸収体、及び第1ウェブなどの吸収性物品1を構成する構成部品を載置する。
【0032】
脚周り形成工程は、脚周り領域を構成する凹部に沿って、表面シート及び裏面シートを切断する。これにより、着用者の脚の周りに配置される脚周り領域が形成される。
【0033】
切断工程では、表面シート、裏面シート、吸収体、後部サイドフラップ40B及び前部サイドフラップ40Aが配置された連続体を幅方向Wに沿って一製品の大きさに切断する。これにより、使い捨ておむつ1が製造される。
【0034】
(3)吸収性物品の製造装置の構成
次に、上述した吸収性物品の製造方法における腰周り弾性部材5の貼付工程を実行する吸収性物品の製造装置1について詳細に説明する。図2は、吸収性物品の製造装置1を示す正面図である。図3は、吸収性物品の製造装置1を示す斜視図である。図4は、吸収性物品の製造装置の平面図である。図4は、吸収性物品の製造装置1の底面図である。なお、説明の便宜上、搬送駆動部材については、図2のみに図示し、他の図面においては、省略している。
【0035】
本実施形態に係る吸収性物品の製造装置1は、帯状の弾性部材5を搬送方向MDに搬送しつつ、搬送方向と直交する交差方向CDに弾性部材5を伸長させた状態で、表面シート3を構成するウェブに対して弾性部材5を受け渡す装置である。搬送方向は、図1に示す上下方向であり、交差方向は、図1に示す左右方向である。
【0036】
吸収性物品の製造装置1は、一対の搬送部材10と、一対の搬送駆動部材20と、一対の相対移動部材30と、を備える。吸収性物品の製造装置1を構成する搬送部材10と、搬送駆動部材20と、相対移動部材30は、図1に示す交差方向CDの中心を通り、搬送方向MDに沿った中心線CLを対称軸とした線対称に配置されている。
【0037】
搬送駆動部材20は、回転軸21を中心に回転する一対の回転体22を有する。一対の回転体22には、それぞれ2つの搬送部材10が連結されている。搬送部材10は、回転体22の回転に伴って回転方向に移動する。
【0038】
回転体22の回転軸21は、交差方向CDに延び、かつ交差方向CD外側から交差方向CD内側に向かって下方(搬送方向における下流側)に傾いている。一対の回転軸21は、搬送方向MDと直交し、かつ交差方向CDと直交する直線上からの視点において、非平行である。
【0039】
一対の回転体22は、非平行に配置された一対の回転軸21を中心に回転するため、回転体22間の交差方向CDの距離は、変化する。具体的には、図1に示す下側における回転体22間の交差方向CDの距離の方が、上側における回転体22間の交差方向CDの距離よりも長い。
【0040】
本実施の形態では、搬送方向の上流側となる図1の上側の搬送部材の位置が、図示しない弾性部材供給部材から弾性部材5を受け取る第1位置となり、搬送方向の下流側となる図1の下側の搬送部材の位置が、弾性部材5をウェブに対して受け渡す第2位置となる。
【0041】
図1において上側の搬送部材10は、第1位置の状態であり、下側の搬送部材10は、第2位置の状態である。また、図3に示す平面図は、第1位置の搬送部材を示しており、図4に示す底面図は、第2位置の搬送部材を示している。
【0042】
搬送部材10は、搬送駆動部材を構成する回転体22と連結され、回転体22の回転に伴って、回転方向に移動する。搬送部材10は、弾性部材を受ける第1位置から吸収性物品を構成するウェブに対して弾性部材を受け渡す第2位置へ弾性部材を搬送する。
【0043】
一対の搬送部材10は、交差方向における弾性部材の両端部と各々当接する当接する当接面11aを有する支持部材としてのサクションパッド11と、当接面11aに形成された穴部11bを介して当接面11aから突出し、当接面に当接した弾性部材に引っ掛かるピン部材12と、サクションパッド11よりも回転体の径方向内側に配置されたスライドマニホールドブロック13と、スライドマニホールドブロック13に対してスライド自在に配置されたリニアガイド14、リニアブロック15及びリニア取付ブラケット16と、スライドマニホールドブロック13に取り付けられ、後述する相対移動部材としてのカム31のカム溝に32係合するカムフォロア17と、をそれぞれ有する。
【0044】
サクションパッド11、スライドマニホールドブロック13及びカムフォロア17は、一体化しており、共に移動する。このサクションパッド11、スライドマニホールドブロック13及びカムフォロア17を、説明の便宜上、以下において第1搬送部材10Aとする。また、ピン部材12、リニアガイド14、リニアブロック15及びリニア取付ブラケット16は、一体化しており、共に移動する。このピン部材12、リニアガイド14、リニアブロック15及びリニア取付ブラケット16を、説明の便宜上、以下において第2搬送部材10Bとする。
【0045】
第1搬送部材10Aと第2搬送部材10Bは、相対的に移動可能に構成されており、後述するカム溝32を介して、搬送部材の回転移動に伴って相対的にスライド移動する。第1搬送部材10Aと第2搬送部材10Bとは、図1の右上に示す搬送部材10において異なる斜線が付されている。
【0046】
サクションパッド11は、弾性部材5が当接する当接面11aを有している。当接面11aには、複数の穴部が形成されている。複数の穴部のうち、一部の穴部は、ピン部材12が挿通されるピン穴部11b(7参照)であり、他の穴部は、スライドマニホールドブロック13内に配置されたサクション機構(図示せず)によって当接面11aに当接した弾性部材5を吸引するためのサクション穴部11c(図7参照)である。
【0047】
ピン部材12は、板状のプレート部12aに接続され、このプレート部12aに突設されている。ピン部材12は、サクションパッド11の当接面11aから突出した状態で、弾性部材5の交差方向CDにおける端部5a、5bに突き刺さるように構成されている。
【0048】
スライドマニホールドブロック13は、サクション機構やピン部材が内部に収容されている。スライドマニホールドブロック13は、カムフォロア17を介してカム溝32に沿って移動する。
【0049】
なお、スライドマニホールドブロックを含む第1搬送部材10Aは、カムフォロア17を介してカム溝32に沿って移動する。一方、第2搬送部材10Bは、回転体22に固定されているが、相対移動部材であるカム溝32とは係合していない。よって、第2搬送部材10Bは、カム溝に沿って移動しない。
【0050】
したがって、回転体22の回転に伴って搬送部材10が回転方向に移動すると、第2搬送部材10Bは、回転体22と一体化して移動し、第1搬送部材10Aは、カム溝32に沿って移動しつつ、第1搬送部材10Aと共に回転方向にするため、第1搬送部材10Aと第2搬送部材10Bとは相対移動する。なお、第1搬送部材10Aと第2搬送部材の移動態様については、後述にて説明する。
【0051】
相対移動部材30を構成するカム31には、略円形のカム溝32が形成されている。カム溝32は、搬送駆動部材を構成する回転体22よりも交差方向外側に配置されている。カム溝32は、カムフォロア17をガイドする、対向する壁面を有している。カムフォロア17の外周面が、カム溝32の一対の壁面に沿って移動する。カム溝のカム曲線は、回転体22による搬送部材の移動軌跡と異なっている。カム曲線は、回転体22の回転軸21との距離が変化するように設けられている。
【0052】
(4)第1搬送部材と第2搬送部材との移動態様、及び弾性部材の貼付動作
次いで、上述の吸収性物品の製造装置による第1搬送部材と第2搬送部材の移動態様、及び弾性部材の貼付動作について詳細に説明する。図6は、第1搬送部材と第2搬送部材の移動態様を説明する模式正面図であり、図7は、サクションパッド及びピン部材の移動態様を説明するための模式断面図である。
【0053】
回転体22の回転に伴って、搬送部材10は、回転軸21を中心に回転方向に移動する。搬送部材10のうち第2搬送部材10Bは、回転体22に固定されており、回転体22と一体化して移動する。一方、第1搬送部材10Aは、カムフォロア17を介してカム溝32に係合しており、カム溝32に沿って移動する。
【0054】
カム溝32のカム曲線は、回転体22の回転軌跡とずれた楕円形状である。よって、カム溝32と回転体22の回転軸21との距離は、移動過程において変化する。図6(a)は、回転軸とカム溝との距離が比較的近い状態を示しており、図6(b)は、回転軸とカム溝との距離が比較的遠い状態を示している。図7(a)は、図6(a)の状態のピン部材12とサクションパッド11を模式的に示した断面図であり、図7(b)は、図6(b)の状態のピン部材12とサクションパッド11を模式的に示した断面図である。
【0055】
図6(a)に示す状態における回転軸とカム溝との距離LAは、図6(b)に示す状態における回転軸とカム溝との距離LBよりも短い。よって、図6(a)に示す状態において、サクションパッド11は、回転軸側(回転体の径方向内側)に位置する。よって、サクションパッド11の当接面11aからピン部材が突出する。
【0056】
一方、図6(b)に示す状態において、サクションパッド11は、回転軸から離間する側(回転体の径方向外側)に位置する。よって、サクションパッド11の当接面11aよりも径方向内側にピン部材が配置される。
【0057】
回転軸21とカム溝32との距離が変化するため、カム溝32に沿って移動する第1搬送部材10Aは、回転軸21とカム溝32との距離の変化に伴って、回転体22に固定された第2搬送部材10Bに対して回転体22の径方向に沿ってスライド移動する。したがって、第1搬送部材10Aのサクションパッド11は、第2搬送部材10Bのピン部材12に対して径方向に相対移動する。
【0058】
なお、サクションパッドのピン穴部の軸方向は、径方向に沿っている。よって、ピン部材は、サクションパッドのピン穴部に沿って移動し、当接面から径方向外側に突出した状態と、当接面よりも径方向内側に配置された状態を実現する。よって、ピン部材によってサクションパッド上の弾性部材を突き刺して支持する状態と、弾性部材からピン部材を抜いて、弾性部材をウェブ等に受け渡す状態とを実現できる。
【0059】
弾性部材供給部材から供給された弾性部材は、サクションパッドの当接面上に配置される。当接面上の弾性部材は、サクション穴を介してサクション部材によって吸着されている。弾性部材を受け取る第1位置においてカム溝と回転軸との距離が比較的短くなるように(図6(a)及び図7(a)の状態となるように)構成されているため、弾性部材は、ピン部材によって保持される。
【0060】
第1位置で弾性部材を保持した状態で、搬送部材は、回転体の回転に伴って第1位置から第2位置に向かって移動する。第1位置から第2位置に移動する過程において、カム溝と回転軸との距離は変化しないように構成されている。また、弾性部材の両端部を保持する一対の搬送部材間の距離が、第1位置から第2位置に向かって長くなっているため、弾性部材は、第1位置から第2位置に向かう過程において、交差方向に伸長される。よって、弾性部材は、ピン部材によって保持された状態で交差方向に伸長されつつ、第2位置に向かって搬送される。
【0061】
第2位置に到達する際に、カム溝と回転軸との距離は長くなるように構成されている。よって、第2位置において弾性部材からピン部材が抜かれ、弾性部材は、図示しないウェブに対して転写される。なお、このとき、サクション部材による吸引を停止することにより、弾性部材は、ウェブ側にスムーズに受け渡される。
【0062】
以上のように、本実施の形態に係る吸収性物品の製造装置1によれば、サクションパッド11の当接面11aからピン部材が突出した状態と、当接面11aよりも内側にピン部材12が配置された状態とを実現することができる。よって、弾性部材を保持する際にピン部材を当接面から突出させて、弾性部材を支持し、かつ弾性部材をウェブに対して受け渡す際に、ピン部材を当接面よりも内側に配置して、円滑に弾性部材を搬送部材から離間させることができる。よって、伸長した弾性部材を円滑にウェブに対して受け渡すことができる。
【0063】
また、搬送部材は、ピン部材によって引っ掛け、かつサクション穴部を介して当接面側に吸着される。ピン部材と吸着部材とは、いずれも弾性部材の支持部材側の面に配置されている。弾性部材は、両面を挟まれた状態で保持されない。2つの部材間に弾性部材を挟持せずに保持するため、部材間に挟持された状態で弾性部材を伸長する構成と比較して、弾性部材の全体を略均一に伸長させることができる。
【0064】
更に、弾性部材を吸着するサクション機構を備えているため、ピン部材のみによって弾性部材を保持する構成と比較して、搬送過程における弾性部材の位置ずれを抑制することができる。
【0065】
また、サクションパッドを移動させることによって、ピン部材が当接面から突出した状態と、ピン部材が当接面よりも内側に配置された状態を実現している。弾性部材と当接する当接面を移動させるため、弾性部材にピン部材が刺さっている状態からピン部材を抜く際に、当接面によって弾性部材を押圧しつつピン部材を抜くことができ、迅速にピン部材を抜いてウェブ等に転写することが可能となる。
【0066】
(5)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0067】
例えば、本実施の形態では、支持部材としてのサクションパッドを移動させることによって、ピン部材が当接面から突出した状態と、ピン部材が当接面よりも内側に配置された状態を実現しているが、ピン部材を移動させて、ピン部材が当接面から突出した状態と、ピン部材が当接面よりも内側に配置された状態を実現してもよい。ピン部材を駆動させる場合は、例えば、複数のピン部材の径方向の長さを異ならせ、ピン部材の移動方向における下流側に向かって高くすることによって、カム溝によってサクションパッド全体が昇降した場合であってもり、転写位置においてピン部材を抜き差しさせることが出来る。
【符号の説明】
【0068】
CD…交差方向
CL…中心線
L…長手方向
MD…搬送方向
S1…前胴回り領域
S2…後胴回り領域
S3…股下領域
W…幅方向
1…吸収性物品の製造装置
2…吸収性物品
3…表面シート
4…外装シート
5…弾性部材
5A、5B…端部
6…吸収体
10…搬送部材
10A…第1搬送部材
10B…第2搬送部材
11…サクションパッド
11…支持部材
11a…当接面
11b…ピン穴部
11b…穴部
11c…サクション穴部
12…ピン部材
12a…プレート部
13…スライドマニホールドブロック
14…リニアガイド
15…リニアブロック
16…リニア取付ブラケット
17…カムフォロア
20…搬送駆動部材
21…回転軸
22…回転体
30…相対移動部材
31…カム
32…カム溝
32…回転体
40A…前部サイドフラップ
40B…後部サイドフラップ
41…係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品を構成する帯状の弾性部材を搬送しつつ搬送方向と直交する交差方向に伸長させる吸収性物品の製造装置であって、
前記交差方向における前記弾性部材の両端部と各々当接し、弾性部材を受ける第1位置から前記吸収性物品を構成するウェブに対して前記弾性部材を受け渡す第2位置へ前記弾性部材を搬送する一対の搬送部材と、
前記第1位置と前記第2位置とを通過する搬送経路に沿って前記搬送部材を移動させる一対の搬送駆動部材と、を備え、
前記搬送部材は、前記弾性部材と当接する当接面を有する支持部材と、前記当接面に形成された穴部を介して前記当接面から突出し、前記当接面に当接した前記弾性部材に引っ掛かるピン部材と、を備えており、
前記支持部材及びピン部材のうち少なくともいずれか一方を他方に対して相対的に移動させる相対移動部材を備えており、
前記一対の搬送駆動部材は、前記搬送駆動部材間の前記交差方向の距離が前記第1位置よりも前記第2位置において長くなるように配置されており、
前記相対移動部材は、前記支持部材及び前記ピン部材のうち少なくともいずれか一方を他方に対して移動させることにより、前記当接面の前記穴部の軸方向に沿って前記ピン部材を移動させて、前記支持部材の前記当接面から前記ピン部材が突出した状態と、前記支持部材の前記当接面よりも内側に前記ピン部材が配置された状態とを実現する、吸収性物品の製造装置。
【請求項2】
前記支持部材は、前記当接面に形成された前記穴部を介して前記弾性部材を吸着する吸着部材を更に備える、請求項1に記載の吸収性物品の製造装置。
【請求項3】
前記搬送移動部材は、回転軸を中心に回転する回転体であって、
前記搬送部材の移動軌跡は、前記第1位置と前記第2位置を通る円形の軌跡であり、
前記第1位置から前記第2位置に向かう方向と直交し、かつ前記交差方向と直交する直線上からの視点において、前記回転軸の軸方向は、非平行であり、
前記第2位置における前記回転体の前記交差方向の距離は、前記第1位置における前記回転体の前記交差方向の距離よりも長い、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品の製造装置。
【請求項4】
前記駆動部材は、前記ピン部材を前記当接面の前記穴部の軸方向に沿って移動させることによって、前記当接面から前記ピン部材を突出させるように構成されている、請求項1から請求項3のいずれかに記載の吸収性物品の製造装置。
【請求項5】
前記駆動部材は、前記支持部材を前記当接面の前記穴部の軸方向に沿って移動させることによって、前記当接面から前記ピン部材を突出させるように構成されている、請求項1から請求項3のいずれかに記載の吸収性物品の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−13466(P2013−13466A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146872(P2011−146872)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】