説明

吸収性物品

【課題】外部への尿漏れを軽減し得る吸収性物品を提供する。
【解決手段】液体を透過させない不透液性バックシート1の内面と液体を透過させる透液性トップシート2との間の位置に、繊維集合体からなる吸収体3が介在される。一対のバリアカフス14の基端側が透液性トップシート2にそれぞれ固定された形で、一対のバリアカフス14が透液性トップシート2を介しつつ吸収体3上に配置される。一対のバリアカフス14の一部の部分に親水性とされる親水部14aが細長く設けられ、親水部14aに覆われ得る吸収体3の部分に外側凹部16が窪む形で細長く設けられる。一対のバリアカフス14で覆われる部分より内側の吸収体3の部分に、この吸収体3の長手方向に沿って相互に並行にそれぞれ延びる内側凹部18が窪む形で2つ設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部への尿漏れを軽減し得る吸収性物品に関し、例えばテープ式使い捨ておむつに適用可能なものである。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつ等の吸収性物品の着用時において、この使い捨ておむつに設けられた立体ギャザーであるバリアカフスを尿が越えてしまった場合、尿を吸収する手段がなく、使い捨ておむつの外側まで尿が漏れることになり、この結果として、衣類や寝具を尿で汚染してしまうことがあった。そこで、従来の使い捨ておむつでは、バリアカフスを構成する撥水性のシートの一部を親水性としてこの部分の親水度を高めることで、バリアカフスを越える尿漏れが発生した場合でも、尿をこの部分で吸収できるようにしていた。
【0003】
ここで、下記の先行文献1では、サイドシートを乗り越えた体液である尿が、吸収性物品の幅方向へ流れて外へ漏れ出すことを低減することを解決課題とし、このサイドシートの立ち上がり部分の外表面が撥水性を有するものの、トップシートの側縁部から延出したサイドシートの平面部分の少なくとも上表面が親水性を有する構造としていた。その他に、このサイドシートが親水性を有したものに関する例として、下記の先行文献2,3も知られている。
【特許文献1】実用新案登録3128205号公報
【特許文献2】特開2003−199784号公報
【特許文献3】特開2003−290282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これら特許文献1〜3に示される構造のようにしても、尿を効率よく吸収することができずに、バリアカフスの内側で吸収した尿が拡散して、親水度の高い部分から尿が染み出し、使い捨ておむつから外部に尿漏れが発生するおそれがあった。
そこで、本発明の主たる課題は、外部への尿漏れを軽減し得る吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る吸収性物品は、液体を透過させる透液性トップシートと液体を透過させない不透液性バックシートとの間に、繊維集合体からなる吸収体が介在され、この透液性トップシートに基端側がそれぞれ固定された一対のバリアカフスが透液性トップシートを介しつつ吸収体上に設けられた吸収性物品において、
これら一対のバリアカフスの一部に親水性とされる親水部をそれぞれ設け、この親水部に覆われ得る吸収体の部分に外側凹部が窪むように設けたことを特徴とする。
【0006】
請求項1に係る吸収性物品の作用を以下に説明する。
本請求項の吸収性物品によれば、繊維集合体からなる吸収体が、液体を透過させる透液性トップシートと液体を透過させない不透液性バックシートとの間に介在されていて、この透液性トップシートに基端側がそれぞれ固定された一対のバリアカフスが透液性トップシートを介しつつ吸収体上に設けられている。そして、これら一対のバリアカフスの表面側の一部に親水性とされる親水部がそれぞれ設けられ、この親水部に覆われ得る吸収体の部分に外側凹部が窪むように設けられている。
【0007】
つまり、一般に撥水性とされる一対のバリアカフスの肌への当接面となる表面側の一部が親水性を有した親水部とされ、この親水部に覆われた吸収体の部分に外側凹部が設けられている。従って、バリアカフスの親水部の下側に位置する吸収体の部分に外側凹部を設けたことで、吸収体に尿の通り道を形成する形となり、これに伴って親水部を通過した尿が、尿の通り道である外側凹部に沿って伝わり、効率良く尿を吸収体に吸収させることになる。そして、この結果として、外部への尿漏れを軽減することができるようになる。
他方、この外側凹部が存在することで、この外側凹部の部分で吸収体だけでなく吸収性物品を折り曲げ易くなるのに伴い、この部分で吸収性物品を折り曲げることによって吸収性物品が身体にフィットし易い構造ともなる。
【0008】
請求項2に係る吸収性物品の作用を以下に説明する。
本請求項に係る吸収性物品は請求項1と同一の作用を奏する。但し、本請求項では、一対のバリアカフスが吸収体の長手方向に沿って相互に平行に配置され、これら一対のバリアカフスで覆われる部分より内側の吸収体の部分に、この吸収体の長手方向に沿って延びる内側凹部が窪むように設けられるという構成を有している。
【0009】
つまり、本請求項によれば、相互に平行に配置される一対のバリアカフスの内側に位置する吸収体の部分に、この吸収体の長手方向に沿って内側凹部を設けたことで、この内側凹部内を尿が積極的に伝わるようになる。これに伴い、吸収体で吸収した尿のバリアカフス側への拡散をこの内側凹部で防いでバリアカフス側に尿が伝わり難くなる。この為、バリアカフスの親水度の高い親水部からの尿の肌側への染み出しを防ぐことができる結果として、吸収性物品外への尿漏れを一層確実に軽減できるようになる。
【0010】
請求項3に係る吸収性物品の作用を以下に説明する。
本請求項に係る吸収性物品は請求項2と同一の作用を奏する。但し、本請求項では、内側凹部が複数設けられるという構成を有している。つまり、本請求項によれば、内側凹部を複数設けたことで、バリアカフスの親水度の高い部分からの尿の染み出しをより確実に防ぐことができる。
【0011】
請求項4に係る吸収性物品の作用を以下に説明する。
本請求項に係る吸収性物品は請求項1から請求項3と同一の作用を奏する。但し、本請求項では、バリアカフスの親水部と透液性トップシートとの間に、厚み方向に対して斜めに貫通する貫通孔を有した配向性フィルムが配置されたという構成を有している。
【0012】
つまり、本請求項によれば、バリアカフスの親水度を高くした親水部の下側に、厚み方向に対して斜めに貫通孔が形成された配向性フィルムを配置することにより、バリアカフスに到達した尿をこの貫通孔を通過させて吸収できるものの、この吸収性物品を着用している身体の体圧が配向性フィルムに加わった場合には貫通孔が閉じて、身体の肌面側への尿の染み出しが防がれる。この結果として、吸収体で一度吸収した尿が戻り難い構造となるのに伴い、尿の肌面側への染み出しが防がれて吸収性物品外への尿漏れをより一層軽減できるようになる。
【発明の効果】
【0013】
以上のとおり本発明によれば、外部への尿漏れを軽減し得る吸収性物品が得られるようになるという利点がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、テープ式使い捨ておむつの例を用いて本発明に係る吸収性物品の第1の実施の形態を図示しつつ説明するが、本発明はパンツ型等の他の種類の紙おむつにも適用できるものである。
【0015】
図1〜図3は、本発明に係る吸収性物品の具体例とされる第1の実施の形態のテープ式使い捨ておむつを示している。この使い捨ておむつは、液体を透過させない不透液性バックシート1の内面と液体を透過させる透液性トップシート2との間の位置に、繊維集合体からなる吸収体3が介在された基本構造を有している。そして、この不透液性バックシート1の他面側となる外面側には、不織布からなる外装シート12が積層されている。
【0016】
不透液性バックシート1としては、ポリエチレンフィルム等の他、ムレ防止の点から遮水性を損なわずに透湿性を備えたシートも用いることができる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。肌触りを改善するために、不透液性バックシート1の外面に外装シート12等の不織布を貼り付けて被覆することもできる。
【0017】
外装シート12としては各種の不織布を用いることができる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。
【0018】
透液性トップシート2としては、有孔または無孔の不織布や穴あきプラスチックシートなどが用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。
【0019】
吸収体3としては、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。必要に応じて、吸収体3はクレープ紙(図示せず)により包むことができる。また、吸収体3の形状は適宜定めることができるが、図示のような砂時計形状の他、長方形等のように、股間部の前側から後側まで延在する形状が好適である。
【0020】
図1に示すように、不透液性バックシート1は、吸収体3の周囲より外方に延在して略砂時計形状を成している。不透液性バックシート1の側方延在部の内面にはバリアシート4の幅方向外側の部分4xが前後方向全体にわたり貼り付けられることで、吸収体3の存在しないサイドフラップ部SFを構成している。バリアシート4の幅方向中央側の部分4cは透液性トップシート2上にまで延在しており、その幅方向中央側の端部には、細長状弾性部材4Gが前後方向に沿って伸張状態でホットメルト接着剤等により固定されている。
【0021】
この細長状弾性部材4Gとしては、糸状、紐状、帯状等に形成された、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。
【0022】
図1に示すように、透液性トップシート2は、吸収体3より若干大きめの砂時計形状とされ、この透液性トップシート2の吸収体3側縁より若干外方に延在する部分がバリアシート4と不透液性バックシート1との間に介在されて不透液性バックシート1側にホットメルト接着剤等により固着されている。この固着部分は図2及び図3では点模様で示されている。バリアシート4の素材としては、プラスチックシートやメルトブローン不織布を使用することもできるが、肌への感触性の点で、不織布にシリコンなどにより撥水処理をしたものが好適に使用される。
【0023】
不透液性バックシート1の外面を不織布による外装シート12で覆う場合には、不透液性バックシート1に代えて、外装シート12を吸収体3の周囲より外方に延在させてバリアシート4の側部とともに、吸収体3の存在しないサイドフラップ部SFを構成することもできる。この場合、不透液性バックシート1をサイドフラップ部SFまで延在させず、トップシート2と同様の形状とすることができる。
【0024】
図2及び図3にも示されるように、両バリアシート4,4は、その幅方向外側の部分4xが前後方向全体にわたり物品内面(図示形態では透液性トップシート2表面および不透液性バックシート1内面)に着脱しないように固定されると共に、幅方向中央側の部分4cが、前後方向の両端部では物品内面(図示形態では透液性トップシート2表面)に着脱しないように固定されている。さらに、両バリアシート4,4の前後方向の両端部間では、物品内面(図示形態では透液性トップシート2表面)に固定されていない。
【0025】
この非固定部分は、図3に示されるように、物品内面(図示形態では透液性トップシート2表面)に対して起立可能な立体ギャザーであってバリアカフス14とされる部分であり、その起立基端4bはバリアシート4における幅方向外側の固定部分4xと内側の部分4cとの境に位置する。
【0026】
つまり、本実施の形態では、図1及び図3に示されるように、一対のバリアカフス14の基端側が透液性トップシート2にそれぞれ固定された形で、これら一対のバリアカフス14が透液性トップシート2を介しつつ吸収体3上に配置されるのに伴い、この吸収体3の長手方向に沿ってこれら一対のバリアカフス14が相互に平行に延びている。そして、これら一対のバリアカフス14の一部の部分には、表面側から裏面側に亘って親水性とされる親水部14aが細長く設けられており、この親水部14aに覆われ得る吸収体3の部分に外側凹部16が窪む形で細長く設けられる。
【0027】
また、これら一対のバリアカフス14で覆われる部分より内側の吸収体3の部分には、この吸収体3の長手方向に沿って相互に並行にそれぞれ延びる内側凹部18が、窪む形で2つ設けられている。尚、バリアカフス14に設けられて尿を速やかに裏面側に移行できることになる親水部14aを設ける際には、例えば親水剤を含む液を塗布するような親水化処理をすることが考えられる。
【0028】
この親水剤としては、各種の界面活性剤を使用でき、親油基と親水基とを有する親水性の界面活性剤であれば特に限定されないが、アニオン系界面活性剤、またはエチレンオキサイドを適当モル数付加した非イオン系界面活性剤が望ましい。たとえば、アルキルエーテルサルフェート、スルホコハク酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、グリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0029】
そして、親水部14aの親水化処理には、親水剤(界面活性剤)のスプレー、ドラム転写などによる塗布または含浸させて行なうことが考えられる。その付与量は種々変化させることができるが、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.03〜1重量%である。0.01重量%以上の付与量とすることにより、液の浸透性と拡散性が優れたものとなる。また、5重量%以下の付与量とすることにより、親水剤のベトツキ感が残らないものとなる。
【0030】
他方、図1に示すように、使い捨ておむつの前後方向両端部では、不透液性バックシート1および透液性トップシート2が吸収体3の前後端よりも前後両側にそれぞれ延在され、吸収体3の存在しないエンドフラップ部EFが形成され、このうち背側のエンドフラップ部EFにおいては、複数本、図示の例では3本の糸状弾性部材7,7…が幅方向に沿って配設されている。この糸状弾性部材7としては、通常使用されるスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等の素材を用いることができる。
【0031】
また、背側の両サイドフラップ部SFには、それぞれファスニングテープ5,5が側方に突出するように取り付けられるとともに、使い捨ておむつの腹側表面に幅方向に沿ってフロントターゲットテープ6が貼着されている。そして、このフロントターゲットテープ6にファスニングテープ5の接合片8aを止着することによって、使い捨ておむつが身体に装着されるようになっている。
【0032】
図示例のファスニングテープ5は、1枚のファスニング基材シート8の内端側を使い捨ておむつ側に接着して取り付けられ、先端側には外側縁から延在して上下2段で側方に突出する接合片8a、8aが形成され、接合片8a、8aの間のファスニング基材シート8部分に対し、外側縁から内側に向かい、かつ水平方向に沿ってミシン目10が設けられているものであるが、これに限られず公知のファスニングテープを用いることができる。
【0033】
ファスニング基材シート8としては、種々のシート材を使用することができるが、好ましくは坪量40〜80g/m2の単層又は複層の不織布を用いるのがよい。加工法は強度特性に優れたスパンボンドが好ましい。接合片8a、8aの内面側(透液性表面シート2側)には、表面にフック状突起を多数有する第1フックテープ(メカニカルファスナーの雄材)9,9がそれぞれ取り付けられ、フック状突起が着脱可能に掛止される表面を有するフロントターゲットテープ(メカニカルファスナーの雌材)6へ接合可能となっている。
【0034】
次に、上記の本実施の形態に係るテープ式使い捨ておむつの作用を説明する。
本実施の形態のテープ式使い捨ておむつによれば、繊維集合体からなる吸収体3が、透液性トップシート2と不透液性バックシート1との間に介在されていて、この透液性トップシート2に基端側がそれぞれ固定された一対のバリアカフス14が、透液性トップシート2を介しつつ吸収体3上に配置されている。この際、これら一対のバリアカフス14は、この吸収体3の長手方向に沿って相互に平行に延びる形とされている。
【0035】
そして、これら一対のバリアカフス14の表面側の一部に親水性とされる親水部14aがそれぞれ設けられ、この親水部14aに覆われ得る吸収体3の部分に外側凹部16が窪むように設けられている。また、これら一対のバリアカフス14で覆われる部分より内側の吸収体3の部分に、この吸収体3の長手方向に沿って2つの内側凹部18がそれぞれ延びている。
【0036】
つまり、一般に撥水性とされる一対のバリアカフス14の肌への当接面となる表面側の一部が親水性を有した親水部14aとされ、この親水部14aに覆われた吸収体3の部分に外側凹部16が設けられている。従って、バリアカフス14の親水部14aの下側に位置する吸収体3の部分に外側凹部16を設けたことで、吸収体3に尿の通り道を形成する形となり、これに伴って親水部14aを通過した尿が、尿の通り道である外側凹部16に沿って伝わり効率良く尿を吸収体3に吸収させることになり、この結果としてこの使い捨ておむつ外への尿漏れを軽減することができる。
他方、この外側凹部16の部分で吸収体3だけでなく使い捨ておむつを折り曲げ易くなるのに伴い、この部分で使い捨ておむつを折り曲げることによって、使い捨ておむつが身体にフィットしやすい構造ともなる。
【0037】
さらに、本実施の形態によれば、相互に平行に配置される一対のバリアカフス14の内側に位置する吸収体3の部分に、この吸収体3の長手方向に沿って2つの内側凹部18をそれぞれ設けたことで、これらの内側凹部18内を尿が積極的に伝わるようになる。これに伴い、吸収体3で吸収した尿のバリアカフス14側への拡散をこの内側凹部18で防いでバリアカフス14側に尿が伝わり難くなる。この為、バリアカフス14の親水度の高い親水部14aからの尿の肌側への染み出しを防ぐことができる結果として、使い捨ておむつ外への尿漏れを一層確実に軽減できるようになる。
【0038】
次に、本発明に係る吸収性物品の第2の実施の形態を同様に図示しつつ説明する。尚、第1の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
第1の実施の形態では、透液性トップシート2を介しつつ一対のバリアカフス14を吸収体3上に配置した構造としたが、本実施の形態では、一対のバリアカフス14の親水部14aと透液性トップシート2との間に、図4(A)に示すような合成樹脂製のフィルム材である配向性フィルム22をそれぞれ配置していて、この配向性フィルム22の厚み方向に対して斜め且つ図1の矢印Dで示す左右対称の方向に傾いた形で、貫通する貫通孔22aがこれら一対の配向性フィルム22にそれぞれ設けられた構造とされている。
【0039】
つまり、本実施の形態によれば、バリアカフス14の親水度を高くした親水部14aの下側に、厚み方向に対して斜めに貫通孔22aが形成された配向性フィルム22を配置することにより、バリアカフス14に到達した尿を親水部14a及びこの貫通孔22aを通過させてその下側の吸収体3により吸収できる。但し、この使い捨ておむつを着用している身体の体圧Pが配向性フィルム22に加わった場合には、図4(B)に示すように、配向性フィルム22の厚み方向に対して貫通孔22aが直交する形に近くなるように変形する結果として閉じ、身体の肌面側への尿の染み出しが防がれる。
この結果として、吸収体3で一度吸収した尿が戻り難い構造となるのに伴い、尿の肌面側への染み出しが防がれて、使い捨ておむつ外への尿漏れをより一層軽減できるようになる。
【0040】
他方、本実施の形態の変形例として、図5に示すように主吸収体3aの他に配向性フィルム22の上部に副吸収体3bを配置する形に吸収体3を分割する構造が考えられる。この変形例のように吸収体3が分割されている場合、副吸収体3bの存在によって主吸収体3aで吸収した尿がより一層染み出し難くなる。
【0041】
次に、本発明に係る吸収性物品の第3の実施の形態を同様に図示しつつ説明する。尚、第1の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
本実施の形態では、内側凹部18や親水部14aの下部側の外側凹部16が形成されているだけでなく、図6に示すように外側凹部16の外側にも凹部24が窪む形で細長く設けられる。つまり、最外側に位置する凹部24が尿の拡散を防ぎ、サイドフラップ部SFから使い捨ておむつ外への尿漏れを一層確実に軽減できるようになる。
【0042】
他方、本実施の形態のようなテープ式使い捨ておむつの場合、背側のエンドフラップ部EFには、テープ式使い捨ておむつの装着時に腹部の吸収体3に覆われない部位である図6の矢印Eで示す位置に凹部を配置することが考えられる。つまり、背側のエンドフラップ部EFの部分の内の腹部の吸収体3に覆われる部位では、肌に直接接触しないので、効果が発揮されないため、この矢印Eの部分に配置する必要がある。
【0043】
尚、上記各実施の形態では、親水部14a、外側凹部16及び内側凹部18をそれぞれ連続形状に形成したが、これら親水部14a、外側凹部16及び内側凹部18はそれぞれ間欠形状に形成しても良い。また、上記各実施の形態では、内側凹部18を2つとしたが、3つ以上の複数としても良いが、例えば内側凹部18を設けないようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、外部への尿漏れを軽減し得る吸収性物品に関し、例えばテープ式使い捨ておむつや、パンツ型等の他の種類の紙おむつに利用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るテープ式使い捨ておむつの展開状態の内面側を示す平面図である。
【図2】図1のB−B断面図である。
【図3】図1のC−C断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るテープ式使い捨ておむつの要部拡大断面図であって、(A)は体圧が加わっていない状態を示す図であり、(B)は体圧が加わっている状態を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るテープ式使い捨ておむつの変形例を示す拡大断面図であって、図1のC−C断面に対応する図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係るテープ式使い捨ておむつの展開状態の内面側を示す平面図である。
【符号の説明】
【0046】
1…不透液性バックシート
2…透液性トップシート
3…吸収体
4…バリアシート
14…バリアカフス
14a…親水部
16…外側凹部
18…内側凹部
16…外側凹部
18…内側凹部
22…配向性フィルム
24…凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を透過させる透液性トップシートと液体を透過させない不透液性バックシートとの間に、繊維集合体からなる吸収体が介在され、この透液性トップシートに基端側がそれぞれ固定された一対のバリアカフスが透液性トップシートを介しつつ吸収体上に設けられた吸収性物品において、
これら一対のバリアカフスの一部に親水性とされる親水部をそれぞれ設け、この親水部に覆われ得る吸収体の部分に外側凹部が窪むように設けたことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
一対のバリアカフスが吸収体の長手方向に沿って相互に平行に配置され、これら一対のバリアカフスで覆われる部分より内側の吸収体の部分に、この吸収体の長手方向に沿って延びる内側凹部が窪むように設けられることを特徴とする請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
内側凹部が複数設けられたことを特徴とする請求項2記載の吸収性物品。
【請求項4】
バリアカフスの親水部と透液性トップシートとの間に、厚み方向に対して斜めに貫通する貫通孔を有した配向性フィルムが配置されたことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−189597(P2009−189597A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34001(P2008−34001)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】