説明

吸収性物品

【課題】粘着層とこれを覆うタブが設けられた吸収性物品であって、タブを粘着層から剥がしてもタブの廃棄作業が不要な吸収性物品を提供する。
【解決手段】トップシート2とバックシート3とこれらの間に配された吸収性コア4とを有する吸収性物品1であって、バックシート3の外面に粘着層5が設けられ、粘着層5の外面に固定部7と剥離部8を有するタブ6が設けられ、タブ6が固定部7でバックシート3に固定され、剥離部8が粘着層5に剥離可能に貼着している吸収性物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿パッド、生理用ナプキン等の吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨ておむつの内面に取り付けて使用する吸収性物品であって、吸収性物品の外面に、使い捨ておむつの内面に吸収性物品を取り付けるための粘着層が設けられたものが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に開示される吸収性物品は、粘着層の外面にセパレータ(剥離層)が設けられ、セパレータを粘着層から剥がすとセパレータが吸収性物品から分離するものである(特許文献1の図4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−52174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示される吸収性物品は、セパレータを粘着層から剥がすとセパレータが吸収性物品から分離してゴミとなるため、吸収性物品を使用する際にセパレータの廃棄作業が必要となる。このようなセパレータの廃棄作業は、特に多量の吸収性物品を扱う機会が多い介護士や看護師にとっては、余分な手間と感じる場合がある。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、粘着層とこれを覆うタブが設けられた吸収性物品であって、タブを粘着層から剥がしてもタブの廃棄作業が不要な吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決することができた本発明の吸収性物品とは、トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収性コアとを有する吸収性物品であって、バックシートの外面に粘着層が設けられ、粘着層の外面に固定部と剥離部を有するタブが設けられ、タブが固定部でバックシートに固定され、剥離部が粘着層に剥離可能に貼着しているところに特徴を有する。本発明の吸収性物品は、タブの剥離部を粘着層から剥離してもタブが固定部でバックシートに固定されているため、タブが吸収性物品から分離せず、タブの廃棄作業が不要となる。従って、特に多量の吸収性物品を扱う機会が多い介護士や看護師にとって、吸収性物品の装着作業が楽になり、吸収性物品の取り扱い性が向上する。
【0007】
本発明の吸収性物品は、粘着層の外面に外装シートが設けられ、外装シートの一部がタブを構成しており、タブの外縁が固定部を除いて外装シートから切り離し可能に形成されているものでもよい。このようにタブが構成されていても、タブが固定部でバックシートに固定されることとなり、剥離部を粘着層から剥離してもタブがバックシートから分離しない。従って、タブの廃棄作業が不要となり、吸収性物品の取り扱い性が向上する。
【0008】
タブが外装シートの一部により構成される場合、タブの内面に粘着層と剥離可能な剥離層が設けられることにより、剥離部が形成されることが好ましい。タブの内面に剥離層を設けることより、タブの剥離部を設けることが容易になる。
【0009】
タブが外装シートの一部により構成される場合、バックシートがプラスチックフィルムで外装シートが不織布であることが好ましい。この場合、バックシートと外装シートの厚みが薄いにも関わらず、優れた耐水性を実現することができ、また手触りや肌触りも良好となる。
【0010】
タブが外装シートの一部により構成される場合、粘着層は縞状に設けられることが好ましい。粘着層は、縞状のパターンであれば容易に設けることができ、このように粘着層を設けることにより、吸収性物品のバックシート側の通気性が高められて、吸収性物品の着用感が良好となる。
【0011】
タブとして第1タブと第2タブが設けられ、第1タブの剥離部と第2タブの剥離部が隣接して設けられていてもよい。この場合、1つ当たりのタブの大きさを小さくすることができ、剥離部を粘着層から剥離してもタブを取り扱いやすくなる。
【0012】
タブとして第1タブと第2タブが設けられる場合、第1タブと第2タブは互いに対向して設けられることが好ましい。2つのタブがこのように設けられていると、剥離部の長さを短くすることができ、剥離部を粘着層から剥離してもタブを取り扱いやすくなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の吸収性物品は、タブが吸収性物品から分離せずタブの廃棄作業が不要となるため、吸収性物品の取り扱い性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の吸収性物品の一実施態様として、吸収性物品(尿パッド)をバックシート側から見た平面図を表す。
【図2】図1の吸収性物品のA−A断面図を表す。
【図3】本発明の吸収性物品の他の実施態様として、吸収性物品(尿パッド)をバックシート側から見た平面図を表す。
【図4】図3の吸収性物品のB−B断面図を表す。
【図5】図1の吸収性物品の変形例として、吸収性物品(尿パッド)をバックシート側から見た平面図を表す。
【図6】図1の吸収性物品の他の変形例として、吸収性物品(尿パッド)をバックシート側から見た平面図を表す。
【図7】図6の吸収性物品のC−C断面図を表す。
【図8】図7の吸収性物品について、タブを粘着層から剥がして固定部で折り返し第2粘着層をバックシートに接合した図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の吸収性物品は、トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収性コアとを有する。本発明の吸収性物品は、例えば、尿パッド(補助パッド)や生理用ナプキン等に適用できる。
【0016】
トップシートは、吸収性物品の着用の際に着用者側に位置するシートであり、液透過性であることが好ましい。バックシートは、吸収性物品の着用の際に着用者とは反対側、すなわち外側に位置するシートであり、液不透過性であることが好ましい。なお、本発明において、液不透過性とは撥水性の意味も含まれる。
【0017】
トップシートとしては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシートとして、織布、編布、孔が形成されたプラスチックフィルムを用いてもよい。
【0018】
バックシートとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。また、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。
【0019】
トップシートやバックシートとして不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド法、エアスルー法、ポイントボンド法、メルトブロー法、エアレイド法やそれらの製法の組み合わせ等により製造されるものが好ましい。また、スパンボンド法とメルトブロー法を組み合わせたSMS法により製造された不織布を用いてもよい。
【0020】
吸収性コアは、尿等の排泄物を吸収できるものであれば特に限定されない。吸収性コアとしては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いたり、あるいは吸収性材料を紙シート(例えば、ティッシュペーパー)や液透過性不織布シート等の被覆シートで覆ったものを用いることができる。吸収性コアに含まれる吸収性材料としては、例えば、粉砕したパルプ繊維、セルロース繊維等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。吸収性材料としては、少なくとも吸水性樹脂を含んでいることが好ましい。また、吸収性材料として、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いてもよい。
【0021】
吸収性コアの形状は特に限定されない。吸収性コアの形状としては、例えば、略長方形、砂時計型、ひょうたん型、羽子板型等が挙げられる。
【0022】
吸収性物品には、吸収性コアの両側縁に沿って、立ち上がりフラップが設けられてもよい。立ち上がりフラップは、例えば、吸収性コアの上面に、吸収性コアの両側縁に沿って設けられてもよく、吸収性コアの幅方向両外側に設けられてもよい。立ち上がりフラップを設けることにより、尿等の排泄物の横漏れを防ぐことができる。立ち上がりフラップは、トップシートの幅方向両側に設けられたサイドシートの内方端が立ち上げられて、形成されてもよい。立ち上がりフラップおよびサイドシートは、液不透過性であることが好ましい。
【0023】
吸収性物品には、バックシートの外面に粘着層が設けられている。本発明の吸収性物品はバックシートの外面に粘着層が設けられているため、粘着層により吸収性物品を、別体の使い捨ておむつの内面やパンツ、ショーツ等の下着の内面に固定して使用することができる。そして、使い捨ておむつや下着に対し吸収性物品がずれるのを防止できる。なお、内面とは吸収性物品を着用した際の着用者側(内側)に位置する面を意味し、外面とは吸収性物品を着用した際の着用者とは反対側(外側)に位置する面を意味する。
【0024】
粘着層は、粘着剤により形成されればよい。粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤等を用いることができる。ゴム系粘着剤としては、例えば、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)等が挙げられる。なかでも粘着剤としては、SIS,SBS、SEBS、SEPS等のゴム系のホットメルト型粘着剤を用いることが好ましい。前記例示した粘着剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
粘着剤には、粘着付与剤、酸化防止剤、可塑剤、軟化剤、粘度調整剤等が含まれていてもよい。粘着付与剤としては従来公知のものを使用すればよく、例えば、ジシクロペンタジエン樹脂、C5系またはC9系炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、ロジン類、テルペン類等を使用することができる。
【0026】
粘着層は、バックシートの外面に設けられる限り、設けられる領域は特に限定されない。すなわち、粘着層はバックシートの外面の全領域に設けられてもよいし、バックシートの外面の一部の領域に設けられてもよい。また粘着層は、バックシートの外面の所定領域に連続的なパターンで全面に設けられてもよいし、断続的なパターン(例えば、縞状、格子状、点状)で設けられてもよい。
【0027】
粘着層の外面には、固定部と剥離部を有するタブが設けられている。タブは、粘着層の一部または全部を覆っている。なお、タブが粘着層の一部のみを覆う場合は、タブにより覆われない粘着層の他部がシート部材により覆われることが好ましい。
【0028】
タブの剥離部は、粘着層に剥離可能に貼着している。タブの剥離部は、吸収性物品の使用前は粘着層に貼着されているが、吸収性物品を使用する際は粘着層から剥離することができる。従って、本発明の吸収性物品は、タブの剥離部を粘着層から剥離して粘着層を露出させて、粘着層により吸収性物品を別体の使い捨ておむつや下着に固定して使用することができる。
【0029】
タブは固定部でバックシートに固定されている。従って、本発明の吸収性物品は、タブの剥離部を粘着層から剥離しても、タブが固定部でバックシートに固定されているため、タブが吸収性物品から分離せず、タブの廃棄作業が不要となる。
【0030】
例えば、老人ホームのような介護施設や病院では、多量の尿パッド等が使用される。この場合、粘着層を覆うタブが尿パッドから分離可能に備えられていれば、多量のタブがゴミとして出される。しかし、タブの廃棄作業を着用者ごとに行っていては、介護士や看護師は吸収性物品の装着作業に余分な手間がかかることとなる。これに対し、本発明の吸収性物品はタブが固定部でバックシートに固定されているため、タブの廃棄作業が不要となる。従って、介護士や看護師は吸収性物品の装着作業が楽になり、吸収性物品の取り扱い性が向上する。
【0031】
固定部のバックシートへの固定方法は特に限定されない。固定部は、例えば、接着剤によりバックシートに固定されてもよいし、ヒートシールによりバックシートに固定されてもよい。固定部はまた、バックシートの外面に設けられる粘着層により固定されてもよい。この場合、固定部の粘着層への接触面と剥離部の粘着層への接触面は異なる材料から構成される。
【0032】
タブを構成する材料は特に限定されない。タブは、例えば、不織布、織布、編布、紙、プラスチックフィルム、またはこれらの組み合わせ(例えば、プラスチックフィルムと紙との積層体、不織布と紙との積層体)等から構成されればよい。タブは、固定部と剥離部が同じ材料で構成されてもよいし、異なる材料で構成されていてもよい。
【0033】
固定部の構成材料は、バックシートへの固定方法に応じて適宜選定すればよい。接着剤や粘着層により固定部をバックシートに固定する場合は、接着剤や粘着層により接着可能な材料で固定部を構成すればよい。ヒートシールにより固定部をバックシートに固定する場合は、熱融着可能な材料で固定部を構成すればよい。
【0034】
剥離部の構成材料は、粘着層と剥離可能であれば特に限定されない。例えば、剥離部としては、プラスチックフィルムやプラスチックフィルムを含む積層体を採用すればよい。この場合、プラスチックフィルムが粘着層への接触面となるように剥離部が構成される。また、タブの剥離部に相当する部分に、粘着層と剥離可能な剥離層を設けてもよい。
【0035】
タブは、例えば、不織布製や紙製の基材の一部に剥離層を設けることにより形成すればよい。剥離層が設けられずに基材が露出している部分は、粘着層に固定することができる。この場合、基材が露出している部分が固定部となり、基材に剥離層が設けられた部分が剥離部となる。
【0036】
剥離層は、例えば、基材に剥離加工を施すことにより形成してもよい。剥離加工としては、基材にシリコーン樹脂を塗布しシリコーン樹脂層を設ける方法(シリコーン加工)が挙げられる。このとき、シリコーン樹脂が基材に染み込むのを防止するために、シリコーン樹脂と基材の間に目止め層を設けてもよい。目止め層は、例えば、ポリエチレンやポリビニルアルコールから構成される。基材に剥離加工を施す場合、製造容易性やコスト面から、基材として紙を用いるのが好ましい。また、基材として紙を用いれば、基材の剥離加工されない部分を固定部として粘着層に固定することが容易になる。
【0037】
タブの形状は特に限定されない。タブの形状としては、例えば、長方形、台形、正方形等の四角形や、円、楕円、角の丸まった四角形、任意の図形(例えば、円、楕円、角の丸まった四角形)の一部が直線で切り取られた形状等が挙げられる。
【0038】
タブは、固定部と剥離部の境界が直線状であることが好ましい。固定部と剥離部の境界が直線状であれば、タブの剥離部を粘着層から剥がした際、タブを固定部で折り返しやすくなり、タブの取り扱い性が向上する。
【0039】
タブは、1つのみ設けられても、複数設けられてもよい。タブが複数設けられる場合は、複数のタブが互いに離れて設けられてもよく、複数のタブが隣接して設けられてもよい。前者の場合、例えば、2つのタブが吸収性物品の長手方向の一方端側と他方端側に設けられる。後者の場合、例えば、2つのタブがそれぞれの剥離部が隣接するように設けられることが好ましい。もちろん、前者の場合と後者の場合が組み合わせられてタブが設けられてもよい。
【0040】
本発明の吸収性物品の実施態様の一例について、図面を参照して説明する。図1,2には、本発明の吸収性物品の一実施態様を示した。図1は、吸収性物品として尿パッドをバックシート側から見た平面図を表す。図2は、図1の吸収性物品のA−A断面図を表す。なお、図では、矢印xを幅方向とし、矢印yを長手方向と定義付ける。矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向を上下方向zと定義付ける。図では、上下方向zに対し、z1が内側を意味し、z2が外側を意味する。
【0041】
吸収性物品1Aは、トップシート2とバックシート3とこれらの間に配された吸収性コア4とを有する。バックシート3の外面には粘着層5が設けられている。トップシート2は、着用者の肌に面するように配置され、尿等の排泄物を透過する。トップシート2を透過した排泄物は、吸収性コア4により収容される。バックシート3は、粘着層5により別体の使い捨ておむつ等に取り付けられる。なお図2には明示されていないが、トップシート2とバックシート3は、吸収性コア4の周囲で互いに接合されている。
【0042】
粘着層5の外面にはタブ6が設けられている。タブ6は固定部7と剥離部8を有し、タブ6は固定部7でバックシート3に固定され、剥離部8が粘着層5に剥離可能に貼着している。図1では、固定部7と剥離部8を便宜的に点線で区分して表示している。吸収性物品1Aでは、固定部7と剥離部8は同一の基材から構成され、固定部7が粘着層5によりバックシート3に固定され、剥離部8は剥離加工が施され粘着層5と剥離可能に形成されている。吸収性物品1Aは、タブ6が固定部7でバックシート3に固定されているため、タブ6の剥離部8を粘着層5から剥離しても、タブ6はバックシート3から分離しない。従って、吸収性物品1Aはタブ6の廃棄作業が不要となり、取り扱い性が向上する。
【0043】
図1,2に示した吸収性物品1Aでは、タブ6は固定部7が剥離部8よりも長手方向yの内方に位置するように設けられていたが、固定部7と剥離部8の位置関係はこれに限定されない。例えば固定部7が剥離部8よりも長手方向yの外方に位置するように設けられてもよい。
【0044】
図1,2に示すような吸収性物品1Aでは、粘着層5がバックシート3の外面の一部の領域のみに設けられ、粘着層5の全面がタブ6により覆われることが好ましい。粘着層5の全面がタブ6により覆われることにより、タブ6の使用前に粘着層5が露出せず、吸収性物品1Aの取り扱い性が良好となる。
【0045】
図1,2に示した吸収性物品では、タブが独立した1つの部材として設けられていたが、タブは吸収性物品に設けられる部材の一部に形成されるものでもよい。これについて、図3,4を参照して説明する。
【0046】
図3,4には、本発明の吸収性物品の別の実施態様を示した。図3は、吸収性物品として尿パッドをバックシート側から見た平面図を表す。図4は、図3の吸収性物品のB−B断面図を表す。なお、下記の説明において、図1,2の実施態様と重複する部分の説明は省略する。
【0047】
吸収性物品1Bは、トップシート2とバックシート3とこれらの間に配された吸収性コア4とを有する。バックシート3の外面には粘着層5が設けられ、粘着層5の外面には外装シート9が設けられている。外装シート9は粘着層5によりバックシート3に接合されている。吸収性物品1Bでは、図3に示すように、粘着層5がバックシート3の外面のほぼ全領域に設けられることが好ましい。
【0048】
吸収性物品1Bでは、外装シート9の一部がタブ6を構成しており、タブ6の外縁が固定部7を除いて外装シート9から切り離し可能に形成されている。つまり、吸収性物品1Bでは、外装シート9から切り離し可能に形成されるタブ6の外縁に切断線11が形成され、固定部7は、切断線11の両端12a,12bを結ぶ直線上に形成される。図3では、固定部7を便宜的に一点鎖線で表示している。固定部7は粘着層5によりバックシート3に固定されている。剥離部8は、タブ6の外縁と固定部7とで囲まれる領域に形成され、粘着層5と剥離可能に形成されている。吸収性物品1Bにおいても、タブ6が固定部7でバックシート3に固定されているため、剥離部8を粘着層5から剥離しても、タブ6がバックシート3から分離しない。そのため、タブ6の廃棄作業が不要となり、吸収性物品1Bの取り扱い性が向上する。
【0049】
吸収性物品1Bでは、タブ6の外縁が固定部7を除いて外装シート9から完全に切り離されていてもよいし、部分的に切り離されていてもよい。つまり、切断線11は連続的に設けられていても、断続的に設けられていてもよい。切断線11が断続的に設けられる場合は、タブ6を使用する際に、断続的な切断線11を切断して、固定部7を除くタブ6の外縁を外装シート9から切り離せばよい。いずれの場合も、タブ6の外縁が固定部7を除いて外装シート9から切り離し可能であればよい。
【0050】
吸収性物品1Bは、剥離部8を粘着層5と剥離可能に形成するために、タブ6の内面に剥離層10が設けられることが好ましい。タブ6の内面に剥離層10が設けることにより、剥離部8の形成が容易になる。剥離層10は、例えば、タブ6の内面にシリコーン樹脂等が塗布されることにより形成される。また、タブ6の内面に粘着層5と剥離可能な剥離シートが取り付けられることにより、剥離層10が設けられてもよい。剥離シートとしては、プラスチックフィルムや、剥離層が設けられた基材(例えば、シリコーン樹脂層が設けられた紙)を用いることができる。
【0051】
吸収性物品1Bのように、外装シート9の一部がタブ6を構成している場合は、タブ6の内面に剥離シートを取り付けて、剥離部8を形成することが好ましい。この場合、タブ6の製造が容易になる。例えば、外装シートの内面に剥離シートを取り付けて、外装シートの剥離シートが取り付けられた部分あるいはその周囲に切断線を設け、その後外装シートを粘着層を介してバックシートに接合することにより、タブが設けられたバックシートを製造することができる。
【0052】
剥離層10が設けられる場合、剥離層10は少なくともタブ6の外縁よりも内側に設けられればよい。すなわち、切断線11と固定部7で囲まれた領域に剥離層10が設けられればよい。なお、剥離層10はタブ6の外縁よりも外側まで設けられてもよいが、この場合、剥離層10はタブ6の外縁から外方に10mm以内(より好ましくは5mm以内)の領域に設けられることが好ましい。
【0053】
バックシートの外面に外装シートが設けられる場合、バックシートがプラスチックフィルムで、外装シートが不織布であることが好ましい。プラスチックフィルムは不織布よりも耐水性に優れるが、手触りや肌触りの点では不織布の方が勝る。また不織布単独で液不透過性や耐水性を発揮させようとすると、不織布の目付が増えて嵩張るおそれがある。しかし、バックシートがプラスチックフィルムで外装シートが不織布であれば、バックシートと外装シートの厚みが薄いにも関わらず優れた耐水性を実現でき、手触りや肌触りも良好となる。
【0054】
バックシートがプラスチックフィルムで外装シートが不織布である場合、外装シートはバックシートと略同形であることが好ましい。外装シートがこのように設けられることにより、吸収性物品の手触りや肌触りが良好となる。
【0055】
バックシートの外面に外装シートが設けられる場合、粘着層は断続的なパターン(例えば、縞状、格子状、点状)で設けられることが好ましい。粘着層が断続的なパターンで設けられれば、吸収性物品のバックシート側の通気性が高められて、吸収性物品の着用感が良好となる。
【0056】
断続的なパターンで粘着層が設けられる場合、粘着層の形成容易性の点から、粘着層は縞状に設けられることが好ましい。この場合、例えば、複数の粘着剤吐出孔を有する接触式のコーター(塗工機)を用いて、シートを一方向に移動させながらシートに粘着剤を塗工することで、バックシートまたは外装シートに縞状パターンの粘着層を簡単に設けることができる。
【0057】
図1〜図4には、吸収性物品にタブが1つのみ設けられる実施態様について示したが、タブは剥離部が隣接するように2つ以上設けられることも好ましい。これについて、図5を参照して説明する。図5には、図1に示した吸収性物品の変形例を示した。
【0058】
図5に示した吸収性物品1Cは、タブとして第1タブ6Aと第2タブ6Bが設けられ、第1タブ6Aの剥離部8Aと第2タブ6Bの剥離部8Bが隣接している。つまり、吸収性物品1Cでは、粘着層5が、第1タブ6Aと第2タブ6Bの2つのタブにより覆われている。このように1つの粘着層が2以上のタブで覆われていると、タブが1つしか設けられない場合と比較して、1つ当たりのタブの大きさが小さくて済む。従って、粘着層の領域を広く設けても、1つ当たりのタブの大きさを小さくすることができ、剥離部を粘着層から剥離してもタブを取り扱いやすくなる。
【0059】
剥離部が隣接するようにタブが2つ以上設けられる場合、少なくとも1組(2つ)のタブが互いに対向して設けられることが好ましい。なお、2つのタブが対向して設けられるとは、2つのタブの固定部が互いの剥離部を介して向かい合って設けられることを意味する。図5を参照すると、第1タブ6Aの固定部7Aと第2タブ6Bの固定部7Bが、両方の剥離部8A,8Bを介して向かい合うように設けられている。つまり、第1タブ6Aと第2タブ6Bが互いに対向して設けられている。2つのタブがこのように設けられていると、剥離部の長さ(剥離部から固定部に至る方向に対する長さであり、図5では幅方向xに対する長さ)を短くすることができ、剥離部を粘着層から剥離してもタブを取り扱いやすくなる。
【0060】
図5では、第1タブ6Aと第2タブ6Bが、互いの剥離部8A,8Bが重ならないように設けられていたが、互いの剥離部8A,8Bが一部重なっていてもよい。なお、本発明では、互いの剥離部8A,8Bが一部重なっていても、剥離部8Aと剥離部8Bが隣接しているとする。
【0061】
図5では、第1タブ6Aと第2タブ6Bが設けられる場合について示したが、第3タブ以降のタブが設けられてもよい。また、図3に示した吸収性物品1Bにおいても、2つ以上のタブがそれぞれの剥離部が隣接するように設けられてもよく、さらに、互いに対向する1組(2つ)のタブが設けられてもよい。
【0062】
タブは、剥離部を粘着層から剥がした際の取り扱い性を良くするために、タブの先端に別の粘着層(以下、「第2粘着層」と称する)を設けてもよい。第2粘着層は、タブの外面に設けられることが好ましく、このように第2粘着層が設けられることにより、タブを粘着層から剥がして固定部で折り返した際に、第2粘着層によりタブをバックシートまたは外装シートに接合できるようになる。しかし、単に第2粘着層をタブの外面に設けるだけでは、吸収性物品の使用前は第2粘着層が露出して、吸収性物品の取り扱い性が低下するおそれがある。
【0063】
そこで、第2粘着層を設ける好ましい実施態様について図6〜図8を参照して説明する。図6は、図1に示した吸収性物品のさらに別の変形例を表し、図7は図6の吸収性物品のC−C断面図を表す。図8は、図7に示した吸収性物品において、タブを粘着層から剥がして固定部で折り返し、第2粘着層をバックシートに固定した図(断面図)を表す。
【0064】
図6,7に示した吸収性物品1Dでは、図1の吸収性物品1Aに対し、タブ6が剥離部8から延在するつまみ部13をさらに有し、つまみ部13が剥離部8とつまみ部13の境界で外面側に折り返され、つまみ部13の折り返された内面に第2粘着層14が設けられている。第2粘着層14は、図6,7に示した状態で、つまみ部13に固定されるとともに剥離部8に剥離可能に貼着していることが好ましい。このように第2粘着層14が設けられれば、吸収性物品の使用前でも第2粘着層14が露出しないため、吸収性物品の取り扱い性が良くなる。タブ6を使用する際は、図8に示すように、第2粘着層14を剥離部8から剥がしてつまみ部13の折り返しを展開し、さらに剥離部8を粘着層5から剥がし、タブ6を固定部7と剥離部8の境界で折り返す。固定部7と剥離部8の境界で折り返されたタブ6は、第2粘着層14によりバックシート3に接合することができる。従って、粘着層5を露出させた状態でも、タブ6が第2粘着層14によりバックシート3に接合しているので、吸収性物品1Dの取り扱い性が良くなる。
【0065】
上記説明した第2粘着層を設ける実施態様は、図1,2に示した吸収性物品1Aのようにタブを独立した部材として設ける場合に特に有効である。図1,2に示した吸収性物品1Aであれば、タブにより粘着層を覆いつつ、タブの先端の折り返されたつまみ部に第2粘着層を設けることが容易になる。
【0066】
タブの剥離部は、吸収性物品の外面から視認可能に着色されていることが好ましい。
【0067】
図1,2に示した吸収性物品1Aのようにタブが独立した1つの部材として設けられる場合は、タブの剥離部がバックシートと異なる色で着色されていることが好ましい。
【0068】
図3,4に示した吸収性物品1Bのように外装シートの一部がタブを構成している場合は、タブの剥離部が、外装シートのタブが形成されない部分と異なる色で着色されていることが好ましい。この場合、外装シートのタブを構成する部分が着色されていてもよいし、タブの内面に設けられる粘着層や粘着シートがバックシートや外装シートと異なる色で着色されていてもよい。例えば、外装シートが不織布であれば、バックシートや外装シートと異なる色で着色された粘着層や粘着シートは、吸収性物品の外面からでも視認され得るようになる。粘着層や粘着シートをバックシートや外装シートと異なる色で着色する場合は、タブの剥離部を吸収性物品の外面から視認可能に形成することが簡便にできるようになる。
【符号の説明】
【0069】
1: 吸収性物品(尿パッド)
2: トップシート
3: バックシート
4: 吸収性コア
5: 粘着層
6: タブ
7: 固定部
8: 剥離部
9: 外装シート
10: 剥離層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収性コアとを有する吸収性物品であって、
前記バックシートの外面に粘着層が設けられ、
前記粘着層の外面に、固定部と剥離部を有するタブが設けられ、
前記タブは前記固定部で前記バックシートに固定され、
前記剥離部は前記粘着層に剥離可能に貼着していることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記粘着層の外面に外装シートが設けられ、
前記外装シートの一部が前記タブを構成しており、
前記タブの外縁が、前記固定部を除いて前記外装シートから切り離し可能に形成されている請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記タブの内面に前記粘着層と剥離可能な剥離層が設けられることにより、前記剥離部が形成されている請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記バックシートがプラスチックフィルムで、前記外装シートが不織布である請求項2または3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記粘着層が縞状に設けられる請求項2〜4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記タブとして第1タブと第2タブが設けられ、
前記第1タブの剥離部と前記第2タブの剥離部が隣接している請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記第1タブと前記第2タブは互いに対向して設けられる請求項6に記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−229868(P2011−229868A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105837(P2010−105837)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】