説明

吸収性物品

【課題】吸収性物品全体をコンパクトに構成しつつ、かつ、尿等の体液を良好に回収することが可能な技術を提供する。
【解決手段】吸収性物品100は、尿を吸収する吸収体21と、吸収体21の肌面側である内側の主面を覆う透液性のトップシート22と、吸収体21の外側の主面を覆う不透液性のバックシート23と、トップシート22とバックシート23とで形成される内部空間2S内に配置され、排泄された尿を内部に貯留する液回収容器24とを備える。液回収容器24は、中空のカップ状である略円筒形状を呈し、開口部24aが形成された容器本体部241と、開口部24aを覆うカバーシート242とで構成される。開口部24aの開口面積は、容器本体部241の内部の開口面積よりも小さくなっており、収容された尿が開口部24aから漏出することが抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、股間に装着される吸収性物品に関するものであり、特に、排泄された体液を回収する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
尿検査等では、一般的に、排泄された尿が紙コップ等の容器に回収され、尿に試験紙等を浸す等の各種検査方法が実施される。しかし寝たきりの人等の場合、このような容器を用いた尿回収は極めて困難である。また介護者等が尿を回収しようとする場合においても、排尿のタイミングが分かりにくかったり、上手く尿を容器内に回収することが困難であったりする。そこでこのような尿回収が困難な場合においても、良好に尿を回収し得るおむつがこれまでにも提案されている(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1は、開口を有する袋体(蓄尿袋)が着用者の股下辺りにくるように固定されているおむつを開示している。このおむつ内部で排泄された尿は、袋体の開口部を通ってその内部に貯留される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−51732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記おむつでは、排出された全ての尿を蓄えることを目的としており、相応の容積を有する蓄尿袋が取り付けられている。そのため、蓄尿袋がおむつ本体から垂れ下がった状態(すなわち、外部に露出した状態)で股間部に装着される。したがって、このようなおむつを装着した上でさらに衣類等を着用した場合、蓄尿袋が嵩張ってしまう等、快適性の点で問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みなされたものであり、吸収性物品全体をコンパクトに構成しつつ、かつ、尿等の体液を良好に回収することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、第1の態様は、股間部に装着される吸収性物品において、体液を吸収する吸収体と、前記吸収体の肌面側である内側の主面を覆う透液性のトップシートと、前記吸収体の外側の主面を覆う不透液性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとで形成される内部空間内に配置され、排泄された体液を、開口部を介して内部に貯留する液回収容器とを備える。
【0008】
また、第2の態様は、第1の態様に係る吸収性物品において、前記液回収容器が、前記吸収体と前記バックシートとの間に配置されている。
【0009】
また、第3の態様は、第1または第2の態様に係る吸収性物品において、前記バックシートの前記液回収容器の近傍に設けられ、前記液回収容器の取り出し口を形成する取り出し口形成部、をさらに備える。
【0010】
また、第4の態様は、第3の態様に係る吸収性物品において、前記取り出し口形成部は、前記バックシートの他の部分に比べて破断しやすい脆弱部を含む。
【0011】
また、第5の態様は、第4の態様に係る吸収性物品において、前記脆弱部は、直線状に延在するように設けられる。
【0012】
また、第6の態様は、第3の態様に係る吸収性物品において、前記バックシートのうち、前記液回収容器の近傍の位置には、前記液回収容器を前記内部空間から取り出すための取り出し口が形成されており、前記取り出し口形成部は、前記バックシートに取り付けられ、前記取り出し口を覆う不透液性のシール部材を含む。
【0013】
また、第7の態様は、第1から第6までの態様のいずれか1態様に係る吸収性物品において、前記液回収容器は、排尿口に対応した位置に設けられる。
【0014】
また、第8の態様は、第1から第7までの態様のいずれか1態様に係る吸収性物品において、前記液回収容器の前記開口部が、前記トップシート側に向けて開口している。
【0015】
また、第9の態様は、第1から第8までの態様のいずれか1態様に係る吸収性物品において、前記液回収容器の内部には、スポンジ、パルプもしくはこれらの混合物を含む液吸収要素が収容されている。
【0016】
また、第10の態様は、第1から第9までの態様のいずれか1態様に係る吸収性物品において、前記液回収容器の前記開口部の開口面積が、前記液回収容器の内部の開口面積よりも小さい。
【0017】
また、第11の態様は、第10の態様に係る吸収性物品において、前記液回収容器は、側壁部から内側に向かって張り出した張り出し部を有しており、前記開口部は、前記張り出し部によって形成されている。
【0018】
また、第12の態様は、第1から第11までの態様のいずれか1態様に係る吸収性物品において、前記液回収容器の前記開口部が、透液性シートによって覆われている。
【0019】
また、第13の態様は、第1から第12までの態様のいずれか1態様に係る吸収性物品において、前記液回収容器は、軟質プラスチックまたはゴムで構成されている。
【0020】
また、第14の態様は、第1から10までの態様のいずれか1態様に係る吸収性物品において、前記液回収容器が、細長形状を呈する中空部材で構成されている。
【発明の効果】
【0021】
第1から第14までの態様に係る吸収性物品によれば、体液を回収するための液回収容器がトップシートとバックシートの間の内部空間に収納されるため、体液回収が容易な吸収性物品をコンパクトに形成できるという効果を奏し得る。
【0022】
特に第2の態様に係る吸収性物品によれば、液回収容器を吸収体のバックシート側(外側)に配置することで、吸収体が緩衝材となるため、液回収容器が肌にあたった際の違和感を低減でき、快適に吸収性物品を装着できるという効果を奏し得る。
【0023】
特に第3の態様に係る吸収性物品によれば、取り出し口を容易に形成できるため、液回収容器の取り出しを容易に行えるという効果を奏し得る。
【0024】
特に第4の態様に係る吸収性物品によれば、液回収容器の近傍に脆弱部を設けることによって、液回収容器を容易に取り出すことができるため、体液回収が容易になるという優れた効果を奏し得る。
【0025】
特に第5の態様に係る吸収性物品によれば、直線状の脆弱部が設けられることによって、バックシートが破断しやすくなるため、良好に液回収容器を取り出すことができるという効果を奏し得る。
【0026】
特に第6の態様に係る吸収性物品によれば、シール部材を取り外すことによって、取り出し口を容易に露出させることができるため、液回収容器の取り出しが容易となるという効果を奏し得る。
【0027】
特に第7の態様に係る吸収性物品によれば、排出された尿をより直接的に受けることができるため、液回収容器に良好に尿を貯留できるという効果を奏し得る。
【0028】
特に第8の態様に係る吸収性物品によれば、排泄された体液が液回収容器に侵入しやすくなるため、良好に体液を回収できるという効果を奏し得る。
【0029】
特に第9の態様に係る吸収性物品によれば、液吸収要素によって体液を良好に保持することができるとともに、液吸収要素に対し圧力を加えることによって保持された体液を、成分を変性させることなく良好に回収できるという効果を奏し得る。
【0030】
特に第10の態様に係る尿吸収物品によれば、開口部を内側の空間よりも狭くすることで、開口部から体液が漏れにくくなるため、体液を良好に回収できるという効果を奏し得る。
【0031】
特に第11の態様に係る吸収性物品によれば、内部に貯留された体液が開口部から逆流するのを張り出し部によって低減できるため、体液を良好に回収できるという効果を奏し得る。
【0032】
特に第12の態様に係る吸収性物品によれば、液回収容器に異物が混入することを抑制できるため、回収した体液に異物が混入するのを抑制できるという効果を奏し得る。
【0033】
特に第13の態様に係る吸収性物品によれば、軟質プラスチックやゴムといった、ある程度の変形を許容しうる素材で液回収容器を構成することによって、液回収容器で着用者が傷つくことを抑制できるとともに、肌当たりの違和感を低減できるという効果を奏し得る。
【0034】
特に第14の態様に係る吸収性物品によれば、細長に形成することによって、吸収性物品の内部空間から、液回収容器を取り出しやすくなるという効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1実施形態に係る吸収性物品の全体を示す平面図である。
【図2】図1に示すII−II位置で長手方向及び幅方向の双方に垂直な面で吸収性物品を切断したときの断面概略図である。
【図3】長手方向に垂直な面で切断した液回収容器の断面を下方から見たときの斜視図である。
【図4】吸収性物品をバックシート側から見たときの平面図である。
【図5】第2実施形態に係る吸収性物品の断面概略図である。
【図6】第3実施形態に係る取り出し口形成部を示す概略斜視図である。
【図7】第4実施形態に係る液回収容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して実施の形態を詳細に説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0037】
<1. 第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る吸収性物品100の全体を示す平面図である。吸収性物品100は、いわゆる使い捨ておむつや、あるいは下着類等の外装体の内側(肌面側)に取り付けられて、着用者の股間部に装着される尿取りパッド等の補助吸収具として構成されている。図1では、着用者に接する内側面の側を見た様子を図示している。
【0038】
以下においては、吸収性物品100が装着された状態を基準にして着用者の腹側を前側とし、背中側を後側として説明する。この前後方向は、図1に示す吸収性物品100の長手方向に対応しており、この長手方向に直交する左右方向が吸収性物品100の幅方向に対応する。
【0039】
図1に示すように吸収性物品100は、本体部2と、この本体部2の内側(肌面側)において幅方向両側部に設置され、長手方向に沿って延びる一対の立体ギャザー3,3とを備えている。この一対の立体ギャザー3,3は、本体部2の幅方向中央部に隙間を空けて設けられている。また図示を省略するが、本体部2の外側(肌面側とは反対側)の面には、吸収性物品100を外装体に取り付けるための止着部(面ファスナや接着テープ等)が設けられている。
【0040】
本体部2は長手方向の中央付近で両側が内側にくびれた形状を有する。装着者が吸収性物品100を装着した際に、このくびれ部分が股下に配置され、その両側部分が脚周りに沿う。なお本体部2の形状はこのようなものに限られるものではなく、適宜に変更が可能である。
【0041】
図2は、図1に示すII−II位置で長手方向及び幅方向の双方に垂直な面で吸収性物品100を切断したときの断面概略図である。本体部2は、略平板状の吸収体21と、吸収体21の肌面側である内側の主面を覆うトップシート22と、吸収体21の肌面側とは反対側である外側の主面を覆うバックシート23とで構成される積層体となっている。図示を省略するが、吸収体21、トップシート22、及びバックシート23は、それぞれホットメルト接着剤等を介して互いに接着されている。さらにトップシート22とバックシート23とで形成される本体部2の内部空間2S内には、吸収体21とともに液回収容器(具体的には尿回収容器)24が配置されている。
【0042】
吸収体21は、例えば、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維などの親水性繊維や、粒状に形成された吸水性ポリマー(例えばSAP(Super Absorbent Polymer))、もしくはこれらの混合物で構成される吸収要素を、ティッシュ等の透液性シート状部材によって被覆して包み込まれるようにして形成されている。吸収体21は、トップシート22を透過した体液を迅速に吸収して保持する。吸収体21を構成する吸収要素は、例えばホットメルト接着剤等を介してシート状部材に接着される。
【0043】
トップシート22は、例えば、疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)の表面を界面活性剤により処理して透液性とした不織布により構成される。ただし、トップシート22は、親水性繊維(セルロース、レーヨン、コットン等)を用いた不織布で構成されていてもよいし、あるいは、尿等の体液が浸透可能な程度の孔が形成されたプラスチックフィルム等で構成されていてもよい。
【0044】
バックシート23は、例えばプラスチックフィルムや柔軟性の高い不織布を貼着したプラスチックフィルムで構成される。ただし、バックシート23は、疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)を用いた撥水性の不織布により構成されていてもよい。
【0045】
液回収容器24は、上側に開口部24aが形成された中空のカップ状である略円筒形状を呈する容器本体部241と、開口部24aを覆うカバーシート242とを備えている。液回収容器24は、開口部24aを介して、着用者が排泄した尿を容器本体部241の内部に貯留する。図2に示すように、開口部24aがトップシート22側(すなわち肌面側)に向けて開口するように液回収容器24を配置されることで、排泄された尿が液回収容器に進入し易くなり、良好に尿を回収できる。
【0046】
図2に示すように、吸収体21の外側の主面には、液回収容器24に対応するサイズの凹部211が形成されている。この凹部211に液回収容器24の開口部24a側頂部を合わせることにより、液回収容器24が位置決めされる。液回収容器24の容量は、例えば4〜5ミリリットル程度とされるが、大きさはこれに限定されない。ただし液回収容器24は、内部空間2Sに収納可能であり、かつ、必要最小限の尿を確保できる程度の容量を有する。
【0047】
液回収容器24は、軟質プラスチック(エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、軟質ポリエチレン、ポリブテン等)またはゴム(天然ゴム、合成ゴム)で形成されている。このような比較的変形しやすい素材で液回収容器24を構成することによって、着用者の肌が傷つくのを抑制でき、快適に吸収性物品100を装着することが可能となる。また吸収体21の外側に液回収容器24を設置することによって、吸収体21が液回収容器24による肌への接触を和らげる緩衝材としても機能し得るため、装着時の違和感が低減され快適性が向上する。
【0048】
着用者の排尿口から排泄された直後の尿は、その排泄された勢いで、一旦吸収体21を透過して反対側の液回収容器24の方へ移動する。ここで凹部211において吸収体21が薄く形成されていることにより、尿はこの部分を比較的通過しやすい。そして移動した尿の一部は液回収容器24に回収される。液回収容器24の開口部24aが容器本体部241の肌面側に形成されていることにより、尿が効率的に容器本体部241の内部に貯留される。液回収容器24に回収されなかった尿は、吸収体21によって適宜吸収される。
【0049】
図1に示すように、液回収容器24は、本体部2の幅方向中央部でかつ長手方向中央部に設置されている。本実施形態に係る吸収性物品100は女性用のものとして構成されており、この長手方向中央部付近は、吸収性物品100が着用者の股間部に装着された際に、着用者の排尿口に対応した位置(排尿ポイント)となっている。したがって、液回収容器24は、着用者が排尿口から排出した尿をその近傍で受けとめることができるため、効率的に尿を貯留することが可能となっている。なお、吸収性物品100を男性用のものとして構成する場合は排尿口が若干腹側に近づくため、これに合わせて液回収容器24の位置を移動させてもよい。ただし、液回収容器24を設置する位置は、必ずしも排尿ポイントに合わせなければならないものではなく、適宜自由に設定し得るものである。
【0050】
図2に示すように、容器本体部241の内部には、スポンジ、パルプ、またはこれらの混合物で構成された液吸収要素243が収納されている。このような液吸収要素243は、吸収した体液を適切に保持できる。例えば高分子吸収体を液吸収要素243として使用した場合、塩類等を用いて浸透圧により高分子吸収体から尿を取り出す必要がある。これに対し液吸収要素243としてスポンジやパルプ類を用いた場合、圧力を加えるだけで、成分にほとんど影響を与えることなく尿を回収できるため、尿検査に好適である。
【0051】
開口部24aを覆うカバーシート242は、トップシート22と同様に透液性シートで構成されている。カバーシート242は、ホットメルト接着剤等を介して容器本体部241に取り付けられている。このようなカバーシート242を取り付けることによって、外部から埃等の異物が液回収容器24内に混入することを抑制できるため、回収した尿で良好に検査を行うことができる。また開口部24aがカバーシート242で覆われていることによって、収容した体液が開口部24aを介して流出してしまうことを低減できる。
【0052】
図3は、長手方向に垂直な面で切断した液回収容器24の断面を下方から見たときの斜視図である。図3に示すように、容器本体部241の開口部24aの周囲には、その円周面を構成する側壁部241aから内側に向けて張り出た張り出し部241bが設けられている。開口部24aは、この張り出し部241bの内側端部の縁により形成されている。すなわち、開口部24aの開口面積は、液回収容器24の容器本体部241内部の開口面積(容器断面の開口面積)よりも小さくなっている。張り出し部241bは、容器本体部241内の尿が開口部24aを通って漏出しようとする際に、返し部材として機能し得る。そのため容器本体部241で収容された尿が開口部24aから漏出することを低減できる。
【0053】
図4は、吸収性物品100をバックシート23側から見たときの平面図である。図4に示すように、バックシート23のうち、液回収容器24が設けられた部分の近傍には、液回収容器24の取り出し口を形成するための取り出し口形成部231が設けられている。
【0054】
取り出し口形成部231は、破線状に複数の孔が設けられたいわゆるミシン目が形成されることによって、周辺部分よりも薄く形成された脆弱部232を有している。このミシン目の各孔は、排泄された尿が外部に漏出しない程度の大きさとされる。脆弱部232は、所定方向(本実施形態では前後方向)に沿って直線状に延びるように設けられている。これにより脆弱部232は直線状に破断しやすくなるため、比較的容易に取り出し口を形成することができる。なお図示を省略するが、脆弱部232の近傍に図形(矢印等)や文字のプリント、または彩色等の各種マーキング手段によって目印を付すことにより、脆弱部232の視認性が向上する。
【0055】
脆弱部232の設け方は、ミシン目とするものに限られない。例えば予めバックシート23に直線状等の切れ込み(スリット)を形成しておき、ホットメルト等でこの切れ込みを接着して塞いでおくことによって、周辺部分よりも破断しやすい脆弱部を設けてもよい。
【0056】
液回収容器24を内部空間2Sからスムーズに取り出すためには、液回収容器24が引っ掛かることなく容易に通過できる程度に開口する取り出し口を形成すればよい。そこで、例えば図4に示すように脆弱部232の長さを液回収容器24の幅よりも長くすることで、液回収容器24をスムーズに取り出せる取り出し口を容易に形成できる。
【0057】
図2に戻って、立体ギャザー3,3は、それぞれホットメルト接着剤等によりトップシート22に接合されている。立体ギャザー3,3は、サイドシート31,31を図2に示すように内側で折り曲げることによって形成されている。この折り曲げられた部分の内側のそれぞれには、弾性部材32が長手方向に沿って自然長よりも伸長された状態で取り付けられている。この弾性部材32の伸縮作用により、立体ギャザー3,3が着用者の肌側に押しつけられるべく内向きに起立する。
【0058】
サイドシート31は、撥水性または不透液性の不織布(スパンボンド不織布等)、プラスチックフィルム、もしくはこれらの複合材等で形成される。なお吸収性物品100の装着を快適にする観点から、サイドシート31は通気性の高い素材で構成されていることが望ましい。弾性部材32は、糸状または細長シート状に形成された合成ゴム(ポリウレタン等)や天然ゴム等で構成される。
【0059】
一対の立体ギャザー3,3は、必ずしも前後方向に沿って互いに平行になるように設けられている必要はなく、少なくとも長手方向の成分を持って延在していればよい。ただし、起立した際に、身体の鼠蹊部に対してフィットさせることができるように、鼠蹊部に対応する形状に形成されていることが望ましい。
【0060】
以上のように、本実施形態に係る吸収性物品100では、内部空間2Sに液回収容器24を収納しているため、尿回収部分を本体部2の外部に露出させずにすむ。したがって、吸収性物品100を従来品に比べてコンパクトに構成することができる。これにより、吸収性物品100を使い捨ておむつや下着類等の外装体に装着した際の嵩張りを低減できるため、装着者は尿回収が容易な吸収性物品100を快適に装着することが可能となる。
【0061】
また、特許文献1に記載の蓄尿袋は、その容積が非常に大きいため、例えば検尿等の目的で少量(例えば数ミリリットル)の尿を蓄えるために使用する上では適当でない。これに対して本実施形態の尿吸収性物品100は、尿回収容器24によって尿を適当量だけ確保できるため、検査等を目的とする尿回収に好適である。
【0062】
なお液吸収要素243は、必ずしも尿回収容器24に収納しなくてもよい。この場合、尿回収容器24に尿がそのまま貯蓄されるため、尿回収容器24を取り出した後、開口部24aに適当な試験紙を挿入して尿に浸すことによって、直ちに尿検査を実施することが可能である。もちろん尿回収容器24から、スポイトやピペット等で尿を回収することも妨げられない。
【0063】
<2. 第2実施形態>
上記第1実施形態では、吸収性物品100に凹部211を設け、これに液回収容器24を嵌合させることで液回収容器24を位置決めするようにしていたが、液回収容器24の設置方法はこのようなものに限られるものではない。なお以下の説明において、第1実施形態と同様の機能を有する要素については適宜同一符号を付してその説明を省略する。
【0064】
図5は、第2実施形態に係る吸収性物品100の断面概略図である。なお、図5の断面位置は、図1に示すII−II位置に対応するものである。
【0065】
本実施形態に係る吸収性物品100は、凹部211が設けられた吸収体21の代わりに、液回収容器24の幅方向に対応した大きさの貫通孔211Aが形成された吸収体21Aを備えている。この貫通孔211Aに液回収容器24が嵌挿されることによって、液回収容器24を所定位置に位置決めされる。
【0066】
本実施形態のように吸収性物品100を構成した場合においても、本体部2の内部空間2Sに液回収容器24が収納されることによって、第1実施形態と同様に、尿回収が容易な吸収性物品100をコンパクトに形成することができる。そしてこのように液回収容器24を配置した場合には、排泄された尿が吸収体21Aを介さずに開口部24aに侵入し得るため、第1実施形態の場合に比べて尿の回収効率が向上する。
【0067】
<3. 第3実施形態>
上記実施形態では、脆弱部232を形成してバックシート23を破断しやすくすることによって、液回収容器24の取り出し口を形成するようにしているが、取り出し口の設け方はこのようなものに限られるものではない。
【0068】
図6は、第3実施形態に係る取り出し口形成部231Aを示す概略斜視図である。なお図6では、バックシート23側から見た取り出し口形成部231Aを図示している。
【0069】
取り出し口形成部231Aは、バックシート23に予め設けられた開口(取り出し口23a)について、その全てを塞ぐように覆うシール部材233を備えている。シール部材233は、バックシート23等と同様にプラスチックフィルム等の不透液性の素材で構成されており、バックシート23に対して接着剤を介して接合されている。
【0070】
本実施形態では、使用済みの吸収性物品100から液回収容器24を取り出す際に、シール部材233をバックシート23から剥がすことによって取り出し口23aが形成されることとなる。このように取り出し口23aを容易に露出できることにより、液回収容器24の取り出しが容易となる。シール部材233はバックシート23から完全に剥がすことができるように構成してもよいが、その一部がバックシート23に残るように固定されていてもよい。このように構成することで、シール部材233を本体部2とともに廃棄しやすくなる。
【0071】
<4. 第4実施形態>
上記実施形態に係る液回収容器24は、図2,3に示すように比較的平坦で広い上下面を有する形状を呈しているが、液回収容器はこのような形状のものに限定されるものではない。
【0072】
図7は、第4実施形態に係る液回収容器24Aの斜視図である。液回収容器24Aは、所定方向に延びる細長形状(棒形状)を呈しており、内部が中空の中空部材で構成されている。図7に示すように、液回収容器24Aは細長に延びる外周面244を有しており、この外周面244に複数の開口部24aAが形成されている。また図示を省略するが、液回収容器24Aの中空部材内部には、第1実施形態と同様に液吸収要素243が予め収納されている。
【0073】
本実施形態の液回収容器24Aは、第1実施形態に係る本体部2における液回収容器24と同様の位置に配置することができる。ただ、吸収性物品100の装着時の快適性を確保するためには、液回収容器24Aを、本体部2の幅方向中央付近に配置するとともに、液回収容器24Aの延びる方向が吸収性物品100の長手方向に沿うように配置することが望ましい。このように配置することによって、吸収性物品100を装着した際に液回収容器24Aが着用者の股下において前後に沿って延びるように配置されることとなるため、肌への接触による違和感が低減され得る。
【0074】
また液回収容器24Aを内部空間2Sに配置する際に、複数の開口部24aAのうちの一部または全部が肌面側に向けて開口するように設置することによって尿の回収効率が向上する。
【0075】
液回収容器24Aを構成する素材は特に限定されない。しかしながら、例えば小サイズでより大きい容量を確保する等のために液回収容器24Aの外周面244等の厚みを薄く形成するような場合、比較的硬質のプラスチック(ポリスチレンやアクリル樹脂等)で構成することによって、細長形状を呈する液回収容器24Aが変形しにくくなる。これにより、容器内に収容された尿が開口部24aAから漏出することを抑制できる。
【0076】
また開口部24aAを複数設けるのではなく、第1実施形態と同様に単一の開口部を設けるようにしてもよい。この場合、尿の回収効率を向上するために、ある程度大きな穴を設けることが望ましい。またこのような大サイズの開口部を設ける場合は、尿の漏出や異物混入を抑制するために開口部をカバーシート242で覆うことが望ましい。
【0077】
以上のように、本実施形態に係る液回収容器24Aを採用する場合においても、上記実施形態と同様に、本体部2の内部空間に液回収容器24Aを配置することによって、尿回収が容易な吸収性物品100をコンパクトに形成することが可能である。
【0078】
<5. 変形例>
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0079】
例えば上記実施形態では、尿取りパッドを具体例に挙げて説明したが、本発明は、使い捨ておむつや生理用品等の吸収性物品にも適用することが可能である。また、吸収性物品100は、尿だけではなくその他の体液を回収対象とすることも可能であり、回収する体液に応じて適宜に設計変更可能であることは言うまでもない。
【0080】
さらに上記実施形態および変形例にて説明した各構成は、互いに矛盾の生じない限り、適宜組み合わせたりまたは省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0081】
100 吸収性物品
2 本体部
2S 内部空間
21 吸収体
211A 貫通孔
211 凹部
21A 吸収体
22 トップシート
23 バックシート
231,231A 取り出し口形成部
232 脆弱部
233 シール部材
23a 取り出し口
24,24A 液回収容器
241 容器本体部
241a 側壁部
241b 張り出し部
242 カバーシート
243 液吸収要素
244 外周面
24a,24aA 開口部
3 立体ギャザー
31,31 サイドシート
32 弾性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
股間部に装着される吸収性物品において、
体液を吸収する吸収体と、
前記吸収体の肌面側である内側の主面を覆う透液性のトップシートと、
前記吸収体の外側の主面を覆う不透液性のバックシートと、
前記トップシートと前記バックシートとで形成される内部空間内に配置され、排泄された体液を、開口部を介して内部に貯留する液回収容器と、
を備える吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品において、
前記液回収容器が、前記吸収体と前記バックシートとの間に配置されている吸収性物品。
【請求項3】
請求項1または2に記載の吸収性物品において、
前記バックシートの前記液回収容器の近傍に設けられ、前記液回収容器の取り出し口を形成する取り出し口形成部、
をさらに備える吸収性物品。
【請求項4】
請求項3に記載の吸収性物品において、
前記取り出し口形成部は、
前記バックシートの他の部分に比べて破断しやすい脆弱部を含む吸収性物品。
【請求項5】
請求項4に記載の吸収性物品において、
前記脆弱部は、直線状に延在するように設けられる吸収性物品。
【請求項6】
請求項3に記載の吸収性物品において、
前記バックシートのうち、前記液回収容器の近傍の位置には、前記液回収容器を前記内部空間から取り出すための取り出し口が形成されており、
前記取り出し口形成部は、
前記バックシートに取り付けられ、前記取り出し口を覆う不透液性のシール部材を含む吸収性物品。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の吸収性物品において、
前記液回収容器は、排尿口に対応した位置に設けられる吸収性物品。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の吸収性物品において、
前記液回収容器の前記開口部が、前記トップシート側に向けて開口している吸収性物品。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の吸収性物品において、
前記液回収容器の内部には、スポンジ、パルプもしくはこれらの混合物を含む液吸収要素が収容されている吸収性物品。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の吸収性物品において、
前記液回収容器の前記開口部の開口面積が、前記液回収容器の内部の開口面積よりも小さい吸収性物品。
【請求項11】
請求項10に記載の吸収性物品において、
前記液回収容器は、側壁部から内側に向かって張り出した張り出し部を有しており、
前記開口部は、前記張り出し部によって形成されている吸収性物品。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の吸収性物品において、
前記液回収容器の前記開口部が、透液性シートによって覆われている吸収性物品。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項に記載の吸収性物品において、
前記液回収容器は、軟質プラスチックまたはゴムで構成されている吸収性物品。
【請求項14】
請求項1から10までのいずれか1項に記載の吸収性物品において、
前記液回収容器が、細長形状を呈する中空部材で構成されている吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−244835(P2011−244835A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117503(P2010−117503)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】