説明

吸収性物品

【課題】装着し易く体液漏れを低減できる吸収性物品を実現する。
【解決手段】インナーパッド1を使用する際に、粘着部材20から剥離シート30を剥離することに応じて弾性部材19を収縮させ、バックシート10bの両側の領域Rを収縮させることによって、粘着部材20が設けられているバックシート10bの幅方向中央側に張りを付与することで、バックシート10bの中央側を平坦に保つことを可能にし、インナーパッド1から剥離シート30を剥がした際に、粘着部材20同士が貼り付いてしまわないようにした。そして、粘着部材20の粘着性を低下させることなく、インナーパッド1を所定の対象物(例えば、下着や使い捨て紙おむつ)に適切に接着させることができ、装着者はインナーパッド1を股間に装着し易くなる。このインナーパッド1を適切に装着することによって体液漏れを低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨ての紙おむつや尿取りパッド、生理用ナプキン等の吸収性物品として、トップシートとバックシートの間に吸収体を介在させて成るものが用いられている。
そして、吸収性物品であるインナーパッドのバックシートの表面に粘着性の仮接着部を設け、そのインナーパッドを下着やおむつの内面に接着して使用することで、着用者が活発に動くことがあっても、インナーパッドが適切な装着位置からずれてしまわないようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−89270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、インナーパッドは幅の狭い股間部分に装着して使用するため、装着時に股下で圧縮されてしまい、インナーパッドを下着やおむつに接着する前に仮接着部同士が貼り付いてしまうことがあった。
インナーパッドの仮接着部同士が貼り付いてしまうと、インナーパッドを下着やおむつに接着し難くなるうえにその接着力が低下しているため、インナーパッドが所定の装着位置からずれ易くなり、尿などの体液漏れが生じ易くなる恐れがあった。
【0005】
本発明の目的は、装着し易く体液漏れを低減できる吸収性物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に介装される吸収体と、を備える吸収性物品において、
前記吸収体の長手方向の中央側であって装着者の股間に位置する吸収体股間部は、当該吸収体の長手方向の両端部の幅より狭く形成されており、
前記吸収体股間部に対応する前記バックシートの幅方向中央側の表面には粘着部材が設けられ、
前記粘着部材を挟んだ前記バックシートの両側にそれぞれ当該バックシートをその幅方向に収縮させる弾性部材が設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の吸収性物品において、
前記粘着部材を所定の対象物に接着させるまで、前記粘着部材を保護する剥離シートを備え、
前記剥離シートは、前記バックシートに前記弾性部材が設けられた領域を覆うカバー部を有し、前記カバー部は、前記剥離シートが前記粘着部材から剥離されるまで前記領域が収縮しないように支持していることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の吸収性物品において、
前記領域における前記バックシートの表面に、前記剥離シートが前記粘着部材から剥離されるまで、前記カバー部と一時的に接着している補助粘着部材を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の吸収性物品において、
前記吸収体における、前記粘着部材を挟んだ両側に相当する部分にそれぞれエンボス凹部を設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の吸収性物品において、
前記吸収体における、前記粘着部材を挟んだ両側に相当する部分にそれぞれスリットを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、吸収性物品における弾性部材の収縮に伴い、粘着部材を挟んだバックシートの両側が収縮することによって、粘着部材が設けられているバックシートの幅方向中央側に張りが付与されて、バックシートの中央側が平坦に保たれるので、バックシート表面に設けられた粘着部材同士が貼り付いてしまうことがない。
そして、吸収性物品のバックシートの中央側が平坦に保たれていることで、そのバックシートの粘着部材を所定の対象物(例えば、下着や使い捨て紙おむつ)に適切に接着させることができるので、装着者は吸収性物品を股間に装着し易くなる。
特に、吸収性物品における粘着部材同士が貼り付いてしまうことがないため、粘着部材の粘着性を低下させてしまうことがない。そして、良好な粘着性を有する粘着部材を備えた吸収性物品を所定の対象物にしっかりと接着することが可能になり、吸収性物品を装着位置からずれ難くすることができ、体液漏れを低減することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、粘着部材を所定の対象物(例えば、下着や使い捨て紙おむつ)に接着させるまで、粘着部材の粘着性を低下させないように剥離シートで保護することができるとともに、剥離シートが粘着部材から剥離されるまで、剥離シートのカバー部によってバックシートに弾性部材が設けられた領域が収縮しないように支持することができる。
そして、吸収性物品を使用するに際して、粘着部材から剥離シートを剥離して、吸収性物品から剥離シートを剥がし取ることによって、弾性部材が設けられたバックシートの両側の領域を収縮させて、粘着部材が設けられているバックシートの中央側に張りを付与することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、弾性部材が設けられた領域のバックシートの表面に、剥離シートのカバー部と一時的に接着している補助粘着部材が設けられているので、剥離シートが粘着部材から剥離されるまで、補助粘着部材はその粘着力によって、剥離シートのカバー部がバックシート両側の領域を収縮させないように支持することを補助することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、バックシートの両側の領域が収縮することによって、吸収体にも弾性部材の収縮力が加わることがあっても、エンボス凹部間の吸収体の中央側は変形しにくく、身体にフィットしやすい形状を保つことができる。その結果、吸収性物品からの体液漏れを低減することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、バックシートの両側の領域が収縮することによって、吸収体に弾性部材の収縮力が加わることで、吸収体のスリットの隙間を埋めるように吸収体はその幅方向中央側へ寄り易くなっている。そして、スリットの隙間を埋めるように吸収体がその幅方向の中央側へ寄ることで、吸収体の吸収体股間部の幅が装着者の股下のサイズに応じて調整され易くなっており、吸収体が身体にフィットしやすい形状になる。また、そのスリットの間隙を通じて、尿などの体液が吸収体の長手方向に拡散し易くなる。その結果、吸収性物品からの体液漏れを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態におけるインナーバッドを示す正面図である。
【図2】本実施形態におけるインナーバッドを示す裏面図である。
【図3】図2のIII−III線における断面図である。
【図4】インナーパッドから剥離シートを剥がした状態の裏面図である。
【図5】図4のV−V線における断面図である。
【図6】剥離シートを剥がしたインナーパッドを示す斜視図である。
【図7】インナーパッドの変形例を示す裏面図である。
【図8】インナーパッドの変形例を示す裏面図である。
【図9】インナーパッドの変形例を示す裏面図である。
【図10】図9のX−X線における断面図である。
【図11】インナーパッドの変形例を示す裏面図である。
【図12】図11のXII−XII線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図を参照して、本発明に係る吸収性物品の具体的な態様を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
本実施の形態では、吸収性物品として、下着や使い捨て紙おむつの内部に備えて使用するインナーパッドを一例に説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態におけるインナーパッドを展開した状態の正面図である。図2は、同インナーパッドの裏面図であり、図3は、図2のIII−III線における断面図である。
また、図4は、インナーパッドから剥離シートを剥がした状態の裏面図であり、図5は、図4のV−V線における断面図である。図6は、剥離シートを剥がしたインナーパッドを示す斜視図である。
【0019】
図1〜図6に示すように、吸収性物品であるインナーパッド1は、インナーパッド本体10と、インナーパッド本体10のトップシート10a側に設けられた左右一対のギャザーシート11,11とを備えている。また、未使用状態のインナーパッド1は、インナーパッド本体10のバックシート10b側に備えられた剥離シート30を有している。
【0020】
インナーパッド本体10は、人体との接触面側に設けられて尿などの体液を速やかに透過させる透液性のトップシート10aと、人体との接触面と反対側に設けられる不透液性のバックシート10bと、これらバックシート10bとトップシート10aとの間に介装される吸収体12等により構成されている。
また、このインナーパッド本体10においては、人体の股部を腹側から背側にかけて覆うように、一方の端部に腹側部14が形成され、他方の端部に背側部15が形成されている。また、腹側部14と背側部15との間が股下部16となっている。
【0021】
吸収体12は、インナーパッド1の使用時に、体液としての尿等の水様成分を吸収するものであり、綿やパルプ等の吸収性素材や、高吸水性樹脂(SAP;Super Absorbent Polymer)や、繊維或いはフィルム等のシート状基材とを組み合わせて形成される。
吸収体12は、インナーパッド本体10の腹側部14側から背側部15側に亘る長さに形成され、この吸収体12の長手方向の中央側の吸収体股間部12aは、吸収体12の両端部の幅より狭く形成されている。つまり、吸収体12の略中央側で股下部16に相当する部分は、吸収体12の両端部である腹側部14や背側部15に相当する部分より幅が狭く形成されて、砂時計様の形状を呈している。この吸収体股間部12aは、インナーパッド1(インナーパッド本体10)を人体に装着した際に、装着者の股間に位置する。
このように、インナーパッド本体10の股下部16に相当する吸収体12の吸収体股間部12aの幅を、その長手方向の両端部に比べて狭く形成することにより、インナーパッド1を人体に装着した際に、人体の股間(そけい部)において吸収体12が人体にフィットしやすくなっている。
【0022】
トップシート10aは、有孔または無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどにより形成されている。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。また、不織布を製造する方法としては、公知の方法を適宜用いることができ、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブロー法、ニードルパンチ法、或いはこれらを組み合わせた方法等によって不織布を製造することができる。
トップシート10aに多数の透孔を形成した場合には、体液がより速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。
【0023】
バックシート10bは、ポリエチレン等の少なくとも遮水性を有するシート材により形成されている。また、ムレ防止の観点から透湿性(通気性)を有するシート材であることが好ましく、この遮水性と透湿性とを具備するシート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シート材が好適に用いられる。
このバックシート10bの幅方向の端部は、図3に示すように、それぞれバックシート10bの内側へ向けて折り返されて、例えば、トップシート10aを挟み込むようになっており、この折り返されたバックシート10b部分はトップシート10aに固着されている。
【0024】
また、バックシート10bの幅方向中央側の表面には薄い層状に粘着部材20が設けられている。粘着部材20は、少なくとも吸収体股間部12aに対応するバックシート10bの表面に設けられており、ここでは腹側部14から背側部15に亘って設けられている。
粘着部材20は、インナーパッド1を使用する際に、下着や使い捨て紙おむつの内面に接着させることで、インナーパッド1が適切な装着位置からずれてしまわないようにする機能を有している。この粘着部材20を下着や使い捨て紙おむつの内面に接着させるまで、その粘着性が低下してしまわないように、粘着部材20を保護するための剥離シート30が備えられている。
粘着部材20の材料とする粘着剤としては、特に制限されず、例えば、ホットメルト粘着剤、エマルジョン系粘着剤、溶剤系粘着剤、オリゴマー系粘着剤、固系粘着剤などのいずれの形態の粘着剤であってもよい。粘着剤は、単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0025】
また、バックシート10bにおける吸収体股間部12aに対応する位置において、粘着部材20を挟んだバックシート10bの両側には、それぞれ複数(本実施形態では5本)の弾性部材19が吸収体12の長手方向と交差する方向に沿って略平行に備えられている。
弾性部材19は、例えば、糸ゴム、ポリウレタン繊維等からなり、伸長された状態でバックシート10bの表面に固定されており、バックシート10bをその幅方向に収縮させるように設けられている。
【0026】
剥離シート30は、バックシート10bの腹側部14から背側部15に亘って設けられた粘着部材20を所定の対象物(例えば、下着や使い捨て紙おむつ)に接着させるまで、粘着部材20の粘着性が低下してしまわないように、粘着部材20を保護するために備えられている。
また、剥離シート30は、バックシート10bに弾性部材19が設けられた領域Rを覆うカバー部30aを有している。このカバー部30aは、剥離シート30が粘着部材20から剥離されるまで弾性部材19が設けられたバックシート10bの領域Rが収縮しないように支持している。そのため、剥離シート30、特にカバー部30aは、弾性部材19(領域R)の収縮を押えるように、比較的剛性のある素材からなることが好ましい。なお、剥離シート30のカバー部30aと、弾性部材19が設けられた領域Rのバックシート10bとは、図示しない仮接着部によって接着されており、剥離シート30を剥離する際にその仮接着部からカバー部30aが剥ぎ取られるようになっている。
そして、インナーパッド1から剥離シート30を剥離した際に、弾性部材19が縮むことに伴いバックシート10bがその幅方向に収縮するようになっている。
【0027】
ギャザーシート11,11は、インナーパッド本体10におけるトップシート10a側に折り返されたバックシート10bに、腹側部14から背側部15に亘って備えられている。このギャザーシート11,11は、不透液性のシートを二つ折りにし、折り合わされた面を、例えば、ホットメルトやヒートシール等により固着させることにより形成されている。ギャザーシート11において、その不透液性のシートを二つ折りにした折り返し部分側の端部を自由端部11a、バックシート10bに固定された端部を固定端部11bとする。
このギャザーシート11の自由端部11aには、ギャザーシート11の長手方向に沿って、複数の糸ゴム、ポリウレタン繊維等のギャザー用弾性部材18が略平行に備えられている。このギャザーシート11,11がインナーパッド本体10に固定された状態において、自由端部11aがインナーパッド本体10から立設することにより、立体ギャザーが形成される。そして、このギャザー用弾性部材18により立体ギャザーは、装着者の体型に合わせて伸縮自在に変形し、装着者にフィットしやすい構造となっている。
【0028】
次に、インナーパッド1を使用するにあたり、剥離シート30を剥離した際に弾性部材19が収縮する効果について説明する。
【0029】
未使用状態のインナーパッド1においては、バックシート10側の粘着部材20を保護するために剥離シート30が備えられており、剥離シート30のカバー部30aは、弾性部材19が設けられたバックシート10bの領域Rが収縮しないように支持している。
剥離シート30が剥がされていないインナーパッド1は、図1から図3に示すように、比較的平らな形状を呈しており、このインナーパッド1を、例えば、三つ折にしたものを所定数、包装袋に封入したものが小売店等で陳列される形態である。
【0030】
このインナーパッド1を使用するに際して、粘着部材20から剥離シート30を剥離して、インナーパッド1から剥離シート30を剥がし取ると、図4から図6に示すように、弾性部材19が収縮し、弾性部材19が設けられたバックシート10bの領域Rが収縮する。具体的に、弾性部材19が収縮する際、バックシート10bの両側の領域Rが吸収体12の吸収体股間部12a側に引き寄せられるように、バックシート10bはその幅方向に収縮する。
そして、バックシート10bの領域Rが収縮することに伴い、バックシート10bの端が吸収体12の吸収体股間部12aに引き寄せられることに応じて、そのインナーパッド1が使用時の立体形状に近い形に変化する。
【0031】
特に、弾性部材19が収縮してバックシート10bの端が吸収体股間部12aに引き寄せられ、その引き寄せられた領域Rのバックシート10bがその幅方向に収縮することによって、粘着部材20が設けられているバックシート10bの中央側は相対的にその幅方向に拡げられる。
つまり、弾性部材19が収縮して、バックシート10bの両側の領域Rが収縮することによって、バックシート10bの中央側は相対的にその幅方向に拡げられるので、粘着部材20が設けられているバックシート10bの中央側が平坦に保たれる。
このようにバックシート10bの幅方向両側の領域Rが収縮することによって、バックシート10bの中央側に張りが付与され、バックシート10bの幅方向中央側が平坦に保たれるので、粘着部材20が設けられているバックシート10bが弛むなどして、粘着部材20同士が接着してしまうことがない。
【0032】
以上のように、インナーパッド1は、使用時に粘着部材20から剥離シート30を剥離することに応じた弾性部材19の収縮に伴い、バックシート10bの両側の領域Rが収縮することによって、粘着部材20が設けられているバックシート10bの幅方向中央側に張りが付与されて、バックシート10bの中央側が平坦に保たれるので、インナーパッド1から剥離シート30を剥がした際に、粘着部材20同士が貼り付いてしまうことがない。
そして、剥離シート30を剥がしたインナーパッド1のバックシート10bの中央側は平坦に保たれており、そのバックシート10bの粘着部材20を所定の対象物(例えば、下着や使い捨て紙おむつ)に適切に接着させることができ、装着者はインナーパッド1を股間に装着し易くなる。
特に、インナーパッド1を使用する際に、粘着部材20から剥離シート30を剥離した後、粘着部材20同士が貼り付いてしまうことがないため、粘着部材20の粘着性を低下させてしまうことがない。そして、良好な粘着性を有する粘着部材20を備えたインナーパッド1を下着や使い捨て紙おむつにしっかりと接着することが可能になり、インナーパッド1を装着位置からずれ難くすることができ、体液漏れを低減することができる。
【0033】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
【0034】
例えば、図7に示すように、バックシート10bの長手方向の中央側であって、その幅方向中央側の表面に粘着部材20を設けるとともに、バックシート10bの腹側部14と背側部15にそれぞれ、バックシート10bの幅方向に所定量離間して対を成す粘着部材21,21を設けてもよい。
このように、インナーパッド1aのバックシート10bの腹側部14と背側部15に粘着部材21,21を設けて、インナーパッド1aにおける粘着部材量を増やすことによって、インナーパッド1aを所定の対象物(例えば、下着や使い捨て紙おむつ)により強くに接着させることができ、所定の装着位置からインナーパッド1aをより一層ずれ難くすることができる。
【0035】
また、図8に示すように、粘着部材20と粘着部材21,21に加えて、更に、弾性部材19が設けられた領域Rのバックシート10bの表面に補助粘着部材22を設けてもよい。
補助粘着部材22は、剥離シート30が粘着部材20から剥離されるまで、カバー部30aと一時的に接着しており、その粘着力によってカバー部30aがバックシート10bの領域Rが収縮しないように支持することを補助する作用を奏している。
このように、インナーパッド1bのバックシート10bにおける領域Rに補助粘着部材22を設けることによって、剥離シート30のカバー部30aが弾性部材19(領域R)の収縮を押えて支持することを補助することができ、使用前のインナーパッド1bにおいて、より確実にバックシート10bの領域Rが収縮してしまわないように支持することができる。
【0036】
また、図9、図10に示すように、吸収体12における吸収体股間部12aに対応する位置であって、粘着部材20を挟んだ両側に相当する部分にそれぞれエンボス凹部12bを設けてもよい。
このように、インナーパッド1cにおける吸収体12の吸収体股間部12aにエンボス凹部12bを設けることによれば、インナーパッド1cを使用するに際して、粘着部材20から剥離シート30を剥離したことに伴いバックシート10bの両側の領域Rが収縮することによって、吸収体12にも弾性部材19の収縮力が加わることがあっても、エンボス凹部12b間の吸収体12の中央側は変形しにくく、身体にフィットしやすい形状を保つことができる。その結果、インナーパッド1cからの体液漏れを低減することができる。
【0037】
また、図11、図12に示すように、吸収体12における吸収体股間部12aに対応する位置であって、粘着部材20を挟んだ両側に相当する部分にそれぞれスリット12cを設けてもよい。
このように、インナーパッド1dにおける吸収体12の吸収体股間部12aにスリット12cを設けることによれば、インナーパッド1dを使用するに際して、粘着部材20から剥離シート30を剥離したことに伴いバックシート10bの両側の領域Rが収縮することによって、吸収体12に弾性部材19の収縮力が加わることで、そのスリット12cの隙間を埋めるように吸収体12は幅方向中央側へ寄り易くなっている。
そして、スリット12cの隙間を埋めるように吸収体12がその幅方向の中央側へ寄ることで、吸収体12の吸収体股間部12aの幅が装着者の股下のサイズに応じて調整され易くなっており、吸収体12が身体にフィットしやすい形状になる。また、そのスリット12cの間隙を通じて、尿などの体液が吸収体12の長手方向に拡散し易くなる。その結果、インナーパッド1dからの体液漏れを低減することができる。
【0038】
なお、以上の実施の形態においては、1枚の剥離シート30で粘着部材を保護するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、インナーパッド1bの場合、粘着部材20と粘着部材21,21を保護する剥離シートと、補助粘着部材22を保護するカバー部30aに相当する剥離シートとを別体に備えるようにしてもよい。
【0039】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0040】
1、1a〜1d インナーパッド(吸収性物品)
10 インナーパッド本体
10a トップシート
10b バックシート
11 ギャザーシート
12 吸収体
12a 吸収体股間部
12b エンボス凹部
12c スリット
19 弾性部材
20 粘着部材
22 補助粘着部材
30 剥離シート
30a カバー部
R 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に介装される吸収体と、を備える吸収性物品において、
前記吸収体の長手方向の中央側であって装着者の股間に位置する吸収体股間部は、当該吸収体の長手方向の両端部の幅より狭く形成されており、
前記吸収体股間部に対応する前記バックシートの幅方向中央側の表面には粘着部材が設けられ、
前記粘着部材を挟んだ前記バックシートの両側にそれぞれ当該バックシートをその幅方向に収縮させる弾性部材が設けられていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記粘着部材を所定の対象物に接着させるまで、前記粘着部材を保護する剥離シートを備え、
前記剥離シートは、前記バックシートに前記弾性部材が設けられた領域を覆うカバー部を有し、前記カバー部は、前記剥離シートが前記粘着部材から剥離されるまで前記領域が収縮しないように支持していることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記領域における前記バックシートの表面に、前記剥離シートが前記粘着部材から剥離されるまで、前記カバー部と一時的に接着している補助粘着部材を設けたことを特徴とする請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記吸収体における、前記粘着部材を挟んだ両側に相当する部分にそれぞれエンボス凹部を設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記吸収体における、前記粘着部材を挟んだ両側に相当する部分にそれぞれスリットを設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の吸収性物品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−115346(P2012−115346A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265858(P2010−265858)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】