説明

吸収性物品

【課題】側壁部を高くして排泄物の横漏れを防止することができる。
【解決手段】吸収性物品1は、本体部2、および、本体部2の下面において左右方向の両側に設けられた一対の下ギャザーシート4を備える。吸収性物品1が着用される際には、一対の下ギャザーシート4が左右方向の外側へと折り返され、着用者に向けて起立する外側ギャザーが形成されるとともに、前方部201および後方部203において、本体部2の長手方向の両端部が持ち上げられて本体部2が舟形に湾曲する。これにより、吸収性物品1の中間部202において、下ギャザーシート4が高く起立する。その結果、尿等の排泄物が脚の付け根から吸収性物品1の外部へと漏出することを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、使い捨ておむつの内側に取り付けられて使用される軽失禁用の吸収パッド等の吸収性物品では、幅方向の両側に一対の側壁部が設けられており、側壁部に設けられた弾性糸等が収縮することにより側壁部が着用者に向かって起立する。吸収性物品の着用時には、当該一対の側壁部が着用者の脚の付け根近傍に当接する立体ギャザーとなり、これにより、吸収性物品からの排泄物の漏出が防止される。
【0003】
例えば、特許文献1の吸収性物品では、側壁部を形成するギャザーシートが本体部の着用者側に設けられ、当該ギャザーシートの側端部が、吸収コアの着用者とは反対側を覆う防漏シートのバックシート部に接合される。また、特許文献2の吸収性物品では、側壁部が本体部の側方エッジから側方に離間した折り返し位置にて着用者側に折り返される。これらの吸収性物品では、側壁部の前端部および後端部が、本体部の着用者側の面に接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−218055号公報
【特許文献2】特開2006−43325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような吸収性物品では、尿等の排泄物が脚の付け根から吸収性物品の外部へと漏出すること(いわゆる、横漏れ)を防止するために、側壁部を高くすることが好ましい。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、側壁部を高くして排泄物の横漏れを防止することを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、バックシートとトップシートとの間に吸収コアが配置された略シート状の本体部と、前記本体部の左右方向の両側において前記バックシートに対向しつつ前記左右方向に垂直な長手方向に前記本体部の全長に亘って延びる一対の下ギャザーシートとを備え、前記一対の下ギャザーシートのそれぞれが、前記左右方向の一方の端部である固定端部が前記本体部の側縁部に固定されるとともに前記長手方向の両端部が前記バックシートに固定される下ギャザーシート本体と、前記下ギャザーシート本体の前記左右方向の他方の端部である自由端部に沿って接合されて前記自由端部を収縮させる弾性部材とを備える。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の吸収性物品であって、前記一対の下ギャザーシートのそれぞれが、前記自由端部と前記固定端部との間にて前記長手方向に沿って前記下ギャザーシート本体に接合されて前記下ギャザーシート本体を収縮させる他の弾性部材をさらに備える。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の吸収性物品であって、前記下ギャザーシート本体が、前記バックシート上にて折り返されることなく配置され、前記下ギャザーシート本体の前記自由端部が、前記固定端部よりも前記左右方向の内側に位置する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の吸収性物品であって、前記下ギャザーシート本体の前記長手方向の前記両端部において、前記バックシートに固定される固定領域の前記長手方向における中央側のエッジの位置が、前記本体部の前記左右方向の内側から前記側縁部に向かうに従って前記長手方向における中央側へと向かう。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の吸収性物品であって、前記本体部の前記左右方向の両側において前記トップシートに対向しつつ前記本体部の全長に亘って前記長手方向に延びる一対の上ギャザーシートをさらに備える。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の吸収性物品であって、前記一対の上ギャザーシートのそれぞれの上ギャザーシート本体が、エアスルー不織布により形成される。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の吸収性物品であって、前記本体部に、前記バックシートの一部を含むとともに前記吸収コアの側縁から前記左右方向の外側へと広がる一対の側部フラップ部が設けられ、前記一対の下ギャザーシートの前記下ギャザーシート本体の前記固定端部が、前記一対の側部フラップ部よりも前記左右方向の内側にて前記バックシートに固定される。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の吸収性物品であって、前記本体部において、着用者の腹側の肌に接する前方部、着用者の股間部に対向する中間部、および、着用者の背側の肌に接する後方部が前記長手方向に並び、前記後方部の幅が、前記中間部の幅よりも大きい。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、側壁部を高くして排泄物の横漏れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態に係る吸収性物品の平面図である。
【図2】吸収性物品の底面図である。
【図3】吸収性物品の断面図である。
【図4】吸収性物品の他の例を示す底面図である。
【図5】吸収性物品の斜視図である。
【図6】吸収性物品の断面図である。
【図7】第2の実施の形態に係る吸収性物品の底面図である。
【図8】吸収性物品の断面図である。
【図9】吸収性物品の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1および図2はそれぞれ、本発明の第1の実施の形態に係る吸収性物品1を長手方向に広げた状態にて示す平面図および底面図である。吸収性物品1は、着用者が着用する外装物品である使い捨ておむつ等の内側に取り付けられ、着用者からの排泄物を受ける補助吸収具である。図1では、着用者に接する面(以下、「上面」という。)を手前側にして吸収性物品1を描いており、図2では、上面とは反対側の下面を手前側にして吸収性物品1を描いている。
【0018】
図1に示すように、吸収性物品1は、略シート状の本体部2、および、本体部2の上面において長手方向に垂直な左右方向(本体部2の幅方向であり、図1中の左右方向に一致する。)の両側に設けられた一対の上ギャザーシート3を備える。一対の上ギャザーシート3は、本体部2の後述するトップシート21に対向しつつ、本体部2のおよそ全長に亘って延びる。また、吸収性物品1は、図2に示すように、本体部2の下面において左右方向の両側に設けられた一対の下ギャザーシート4をさらに備える。一対の下ギャザーシート4は、本体部2の後述するバックシート23に対向しつつ、本体部2のおよそ全長に亘って延びる。
【0019】
図1および図2中における本体部2の上側の部位201および下側の部位203はそれぞれ、着用者の腹側および背側の肌に接する部位であり、以下の説明では、「前方部201」および「後方部203」と呼ぶ。また、前方部201と後方部203との間において前方部201および後方部203から連続するとともに着用者の股間部に対向する部位202を「中間部202」と呼ぶ。吸収性物品1では、本体部2において、前方部201、中間部202および後方部203が長手方向に順に並び、前方部201および後方部203の左右方向の幅が、中間部202の幅よりも大きい。換言すれば、本体部2は、平面視においていわゆる砂時計型である。本実施の形態では、後方部203の左右方向の幅が、前方部201の左右方向の幅よりも大きい。
【0020】
図3は、吸収性物品1を、図1中のA−Aの位置にて、吸収性物品1を長手方向に垂直な面で切断した断面図である。図3は、吸収性物品1の後方部203の断面を示す。図1ないし図3に示すように、本体部2は、トップシート21、吸収コア22およびバックシート23を備える。吸収コア22は、トップシート21とバックシート23との間に配置される。吸収コア22の上面はトップシート21に対向し、吸収コア22の下面はバックシート23に対向する。
【0021】
図1および図2では、図の理解を容易にするために、吸収コア22の輪郭を太い破線にて描く。前方部201および後方部203における吸収コア22の左右方向の幅は、中間部202における吸収コア22の幅よりも大きい。換言すれば、吸収コア22は、平面視においていわゆる砂時計型である。本実施の形態では、後方部203における吸収コア22の幅が、前方部201における吸収コア22の幅よりも大きい。
【0022】
トップシート21は、透液性のシート材料であり、着用者からの排泄物の水分を速やかに捕捉して吸収コア22へと移動させる。トップシート21としては、例えば、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)にて形成された透液性の不織布(ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンボンド不織布等)が利用される。なお、トップシート21として、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布(例えば、スパンレース不織布)が利用されてもよい。
【0023】
吸収コア22は、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維等の親水性繊維に高吸収性材料(例えば、SAP(Super Absorbent Polymer)やSAF(Super Absorbent Fiber))を混合したものをティッシュペーパーや透液性不織布等により包み込んで形成され、トップシート21を透過した水分を吸収して迅速に固定する。親水性繊維を包むティッシュペーパーや透液性不織布等は、親水性繊維および吸水性ポリマーとホットメルト接着剤により接合されて、親水性繊維の型崩れ、および、吸水性ポリマーの脱落(特に、吸水後における脱落)を防止する。本実施の形態では、吸収コア22はパルプ繊維および粒状のSAPを含む。
【0024】
バックシート23は、撥水性または不透液性のシート部材であり、バックシート23に到達した排泄物の水分等が、本体部2の外部にしみ出すことを防止する。バックシート23としては、撥水性または不透液性の不織布やプラスチックフィルム、あるいは、これらの不織布とプラスチックフィルムとが積層された積層シートが利用される。バックシート23に利用される不織布としては、例えば、疎水性繊維にて形成されたスパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布があり、必要に応じて撥水処理が施される。バックシート23にプラスチックフィルムが利用される場合、吸収性物品1のムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、透湿性(通気性)を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。
【0025】
図1および図3に示すように、一対の上ギャザーシート3はそれぞれ、上ギャザーシート本体31および上ギャザー弾性部材32を備える。上ギャザーシート本体31の左右方向の一方の端部である固定端部311(すなわち、左右方向の外側の端部)は、本体部2の上面において側縁部に固定される。図3に示すように、バックシート23は、吸収コア22の側縁から左右方向の外側へと広がっている。以下の説明では、バックシート23の吸収コア22から外側に広がっている部位を、「側部フラップ部231」という。吸収性物品1の後方部203では、上ギャザーシート本体31の固定端部311が、吸収コア22のコア側縁部221、および、バックシート23の側部フラップ部231に、ホットメルト接着剤等により接合される(前方部201においても同様)。コア側縁部221とは、後方部203における吸収コア22のうち、中間部202における吸収コア22の側縁よりも左右方向の外側に広がる部位である。吸収性物品1の中間部202では、トップシート21の側縁が吸収コア22の側縁とおよそ一致しており、上ギャザーシート本体31の固定端部311は、トップシート21の側縁部、および、バックシート23の側部フラップ部231に接合される。
【0026】
なお、吸収性物品1では、トップシート21も吸収コア22の側縁から左右方向の外側へと広がり、トップシート21とバックシート23とが吸収コア22の外側にて接合されることにより、吸収コア22の側縁から左右方向の外側へと広がる一対の側部フラップ部231が形成され、上ギャザーシート本体31が、本体部2の側縁部においてトップシート21上に接合されてもよい。この場合も、側部フラップ部231は、バックシート23の一部を含む。
【0027】
図1に示す吸収性物品1では、上ギャザーシート本体31の長手方向の両端部313も、ホットメルト接着剤等により本体部2に固定される。図1では、上ギャザーシート本体31のうち本体部2に固定されている部位、すなわち、固定端部311と長手方向の両端部313に平行斜線を付す。図1および図3に示すように、上ギャザーシート本体31の長手方向の両端部313の間における左右方向の他方の端部である自由端部312(すなわち、左右方向の内側の端部)、および、自由端部312と固定端部311との間の部位317(以下、「上側壁中間部317」という。)は、本体部2には固定されていない。以下の説明では、上ギャザーシート本体31の上側壁中間部317および自由端部312をまとめて「上側壁部310」という。上ギャザーシート3では、上ギャザー弾性部材32が、上ギャザーシート本体31の自由端部312に沿って長手方向に接合され、自由端部312を収縮させる。
【0028】
上ギャザーシート本体31は、疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、エアスルー不織布、エアレイド不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、SMS不織布)である。本実施の形態では、一対の上ギャザーシート3のそれぞれの上ギャザーシート本体31が、肌触りが柔らかいエアスルー不織布により形成される。上ギャザー弾性部材32としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状または帯状の天然ゴム等が用いられる。本実施の形態では、上ギャザー弾性部材32は、2本のポリウレタン糸を有し、自由端部312にて2層に積層された上ギャザーシート本体31の間に接合される。
【0029】
図2および図3に示すように、一対の下ギャザーシート4はそれぞれ、下ギャザーシート本体41および下ギャザー弾性部材42を備える。下ギャザーシート本体41の左右方向の一方の端部である固定端部411(すなわち、左右方向の外側の端部)は、本体部2の下面において側縁部にホットメルト接着剤等により固定される。具体的には、図3に示すように、下ギャザーシート本体41の固定端部411は、バックシート23の一部である一対の側部フラップ部231の下面に固定されるとともに、一対の側部フラップ部231よりも左右方向の内側にてもバックシート23の下面に固定される。
【0030】
図2に示す吸収性物品1では、下ギャザーシート本体41の長手方向の両端部413も、ホットメルト接着剤等により本体部2のバックシート23に固定される。下ギャザーシート本体41の長手方向の両端部413において、バックシート23に固定される固定領域414の長手方向における中央側のエッジ415の位置は、本体部2の左右方向の内側から側縁部に向かうに従って長手方向における中央側へと向かう。換言すれば、下ギャザーシート本体41の両端部413における固定領域414のエッジ415の位置は、本体部2の左右方向の内側から外側に向かうに従って中間部202に近づく。図2では、下ギャザーシート本体41のうち本体部2に固定されている部位、すなわち、固定端部411と長手方向の両端部413の固定領域414に平行斜線を付す。以下の説明では、下ギャザーシート本体41の両端部413のうち、固定領域414のエッジ415よりも内側の部位416(すなわち、バックシート23に固定されていない部位)を、「非固定部416」と呼ぶ。
【0031】
本実施の形態では、下ギャザーシート本体41の両端部413では、固定領域414の全面に亘って一様にホットメルト接着剤が塗布されて固定領域414がバックシート23に接合されるが、ホットメルト接着剤の塗布態様は適宜変更されてよい。例えば、図4に平行斜線を付して示すように、長手方向の両端部413において、ホットメルト接着剤が長手方向に延びるストライプ状に塗布されてもよい。この場合、ストライプ状のホットメルト接着剤を二点鎖線にて囲む矩形領域が固定領域414であり、当該二点鎖線の長手方向における中央側の辺が上述のエッジ415である。
【0032】
図2および図3に示すように、下ギャザーシート本体41の長手方向の両端部413の間における左右方向の他方の端部である自由端部412(すなわち、左右方向の内側の端部)、および、自由端部412と固定端部411との間の部位417(以下、「下側壁中間部417」という。)は、本体部2には固定されていない。以下の説明では、下ギャザーシート本体41の下側壁中間部417および自由端部412をまとめて「下側壁部410」という。前方部201、中間部202および後方部203では、下側壁部410の左右方向の幅は、固定端部411の左右方向の幅よりも大きい。
【0033】
下ギャザーシート4では、下ギャザー弾性部材42が、下ギャザーシート本体41の自由端部412に沿って長手方向に接合され、自由端部412を収縮させる。また、他の下ギャザー弾性部材43が、下側壁中間部417にて長手方向に沿って下ギャザーシート本体41に接合されて下ギャザーシート本体41を収縮させる。以下の説明では、下ギャザー弾性部材42,43をそれぞれ、「第1下ギャザー弾性部材42」および「第2下ギャザー弾性部材43」と呼ぶ。
【0034】
下ギャザーシート本体41は、疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、SMS不織布)である。第1下ギャザー弾性部材42および第2下ギャザー弾性部材43としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状または帯状の天然ゴム等が用いられる。本実施の形態では、第1下ギャザー弾性部材42は、1本のポリウレタン糸を有し、第2下ギャザー弾性部材43は、左右方向に所定の間隔にて配列された3本のポリウレタン糸を有する。第1下ギャザー弾性部材42および第2下ギャザー弾性部材43は、2層に積層された下ギャザーシート本体41の間に接合される。
【0035】
下ギャザーシート本体41は、本体部2のバックシート23上(すなわち、バックシート23の下側)にて折り返されることなく配置されるため、下ギャザーシート本体41の自由端部412は、左右方向の最も内側に位置し、当然に、固定端部411よりも左右方向の内側に位置する。本実施の形態では、吸収性物品1を長手方向に広げた状態において、一対の下ギャザーシート本体41の自由端部412のエッジが、左右方向にておよそ同じ位置に位置する。なお、一対の下ギャザーシート4の自由端部412は左右方向に離間していてもよく、自由端部412近傍の部位が互いに重なっていてもよい。
【0036】
吸収性物品1が着用される際には、図2に示す一対の下ギャザーシート4のうちバックシート23に接合されていない部位(すなわち、下側壁部410、および、長手方向の両端部413の非固定部416)が、左右方向の外側へと折り返される。図5は吸収性物品1の斜視図であり、図6は、吸収性物品1の中間部202における断面図である。吸収性物品1では、第1下ギャザー弾性部材42および第2下ギャザー弾性部材43の収縮力により、下ギャザーシート本体41の下側壁部410が着用者側へと起立し、着用時に着用者の足の付け根近傍に当接する外側ギャザーが形成される。吸収性物品1の中間部202では、図6に示すように、側部フラップ部231が、下側壁部410により巻き上げられて下側壁部410と共に着用者側へと起立する。中間部202において下側壁部410は側部フラップ部231よりも高く起立し、下側壁部410の上縁は側部フラップ部231の上縁よりも着用者に近い位置に位置する。
【0037】
図5に示すように、吸収性物品1の前方部201および後方部203では、側部フラップ部231および吸収コア22のコア側縁部221(図3参照)が、下側壁部410により巻き上げられて着用者側へと持ち上がる。また、前方部201および後方部203の左右の角部が、下ギャザーシート4の非固定部416により、左右方向の内側、かつ、長手方向の中間部202に向けて持ち上げられる。これにより、吸収性物品1が、いわゆる舟形に湾曲し、前方部201、中間部202および後方部203のおよそ全長に亘って着用者に密着する。吸収性物品1では、また、上ギャザー弾性部材32が収縮することにより、上側壁部310が、図5および図6に示すように、下ギャザーシート4の内側にて着用者側へと起立し、着用時に着用者の足の付け根近傍に当接する内側ギャザーが形成される。
【0038】
以上に説明したように、吸収性物品1では、本体部2の着用者側とは反対側に設けられた一対の下ギャザーシート4が左右方向の外側へと折り返され、着用者に向けて起立する外側ギャザーが形成されるとともに、前方部201および後方部203において、本体部2の長手方向の両端部が持ち上げられて本体部2が舟形に湾曲する。これにより、中間部202において、吸収性物品1の側部が着用者側に起立しやすくなるため、下ギャザーシート4の下側壁部410が外側ギャザーとして高く起立する。その結果、尿等の排泄物が脚の付け根から吸収性物品1の外部へと漏出すること(いわゆる、横漏れ)を防止することができる。また、吸収性物品1の前方部201および後方部203を着用者に密着させることができるため、吸収性物品1の前方部201および後方部203からの排泄物の漏れも防止することができる。
【0039】
各下ギャザーシート4では、上述のように、下側壁中間部417に第2下ギャザー弾性部材43が接合されて下ギャザーシート本体41を収縮させる。これにより、本体部2を長手方向においてより容易に湾曲させることができ、吸収性物品1の前方部201および後方部203を着用者により密着させることができる。また、第2下ギャザー弾性部材43の張力により、着用者に向けて起立した下側壁部410が、側方に倒れてしまうことを抑制することができる。
【0040】
吸収性物品1の長手方向の両端部では、下ギャザーシート本体41の固定領域414のエッジ415の位置が、本体部2の左右方向の内側から側縁部に向かうに従って、長手方向における中央側へと向かう。これにより、下ギャザーシート4が起立する際に、下ギャザーシート本体41の非固定部416が、エッジ415にて容易に折り返されて本体部2の角部を包む。その結果、本体部2の角部が捩れることを抑制することができる。また、本体部2の後方部203の幅が中間部202の幅よりも大きいことにより、下ギャザーシート4が起立する際に、本体部2の後方部203の角部を下ギャザーシート4により容易に持ち上げることができる。さらに、本体部2の前方部201の幅が中間部202の幅よりも大きいことにより、下ギャザーシート4が起立する際に、本体部2の前方部201の角部を下ギャザーシート4により容易に持ち上げることができる。
【0041】
吸収性物品1では、吸収性物品1の着用者側に設けられた一対の上ギャザーシート3により、着用者に向けて起立する内側ギャザーを形成することにより、吸収性物品1からの横漏れをさらに防止することができる。また、一対の下ギャザーシート4の固定端部411が、一対の側部フラップ部231よりも左右方向の内側にてもバックシート23に固定されることにより、下ギャザーシート4を起立させて外側ギャザーを形成する際に、外側ギャザーと内側ギャザーとの間にて、一対の側部フラップ部231も着用者に向かって起立する。これにより、吸収性物品1からの横漏れをより一層防止することができる。
【0042】
吸収性物品1では、一対の上ギャザーシート3のそれぞれの上ギャザーシート本体31が、肌触りが柔らかいエアスルー不織布により形成されるため、吸収性物品1の着用感を向上することができる。なお、エアスルー不織布は、他の種類の不織布に比べて水分を透過しやすいが、仮に水分が上ギャザーシート3を透過した場合であっても、当該水分は、一対の側部フラップ部231、および、一対の下ギャザーシート4により、吸収性物品1の外部へと漏出することが防止される。
【0043】
吸収性物品1では、下ギャザーシート4を着用者側に折り返す前の状態において、下ギャザーシート本体41がバックシート23上にて折り返されることなく配置されることにより、吸収性物品1の構造を簡素化し、吸収性物品1の製造を容易とすることができる。
【0044】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る吸収性物品について説明する。図7は、第2の実施の形態に係る吸収性物品1aを長手方向に広げた状態にて示す底面図である。吸収性物品1aの構造は、本体部2の平面視における形状、および、一対の下ギャザーシート4の本体部2への接合構造が異なる点を除き、図1ないし図3に示す吸収性物品1と同様であり、以下の説明において対応する構成に同符号を付す。
【0045】
図7に示すように、吸収性物品1aでは、本体部2の平面視における形状が略矩形である。吸収コア22aは、前方部201および後方部203の幅が中間部202の幅よりも大きい砂時計形である。一対の下ギャザーシート4の自由端部412は左右方向に離間しており、一対の自由端部412の間からバックシート23が露出する。なお、一対の下ギャザーシート4では、自由端部412近傍の部位が互いに重なっていてもよい。
【0046】
図8は、図7中のB−Bの位置にて、吸収性物品1aを長手方向に垂直な面で切断した断面図である。下ギャザーシート4の下ギャザーシート本体41は、バックシート23の側縁にて左右方向の内側へと折り返され、吸収コア22aの側方にてバックシート23と上ギャザーシート3の上ギャザーシート本体31との間に挟まれてバックシート23および上ギャザーシート本体31に接合される。これにより、下ギャザーシート4が本体部2に強固に固定される。吸収性物品1aでは、下ギャザーシート4は、図9に示すように、本体部2の側部フラップ部231に連続した状態で共に起立する。
【0047】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0048】
例えば、吸収性物品1,1aが、側臥位を取るとともに体位変更を自発的に行わない着用者に着用される場合、一対の下ギャザーシート4のうち、側臥位の着用者の下側に位置する一方の下ギャザーシート4のみが着用者側に折り返されて外側ギャザーが形成されてもよい。
【0049】
上ギャザーシート3および下ギャザーシート4の本体部2への固定は、例えば、超音波接合や熱圧着等のように、ホットメルト接着剤等による接合以外の方法により行われてもよい。下ギャザーシート4では、下ギャザーシート本体41が、固定端部411からバックシート23の下側にて左右方向の内側に広がり、さらに、左右方向の外側に折り返された状態で配置されてもよい。この場合、下ギャザーシート本体41の自由端部412は、平面視において固定端部411に重なってもよい。
【0050】
第1下ギャザー弾性部材42および第2下ギャザー弾性部材43は、必ずしも、前方部201から後方部203まで設けられる必要はなく、少なくとも中間部202において下ギャザーシート本体41に接合されていればよい。
【0051】
第2の実施形態に係る吸収性物品1aでは、下ギャザーシート4の下ギャザーシート本体41が、バックシート23の側縁にて左右方向の内側へと折り返され、上ギャザーシート3の上ギャザーシート本体31の上面に接合されてもよい。
【0052】
吸収コアの平面視における形状は、必ずしも砂時計型である必要はなく、例えば、略矩形であってもよい。また、前方部および後方部の一方のみの幅が大きく、他方および中間部の幅が小さい、いわゆる羽子板型であってもよい。本体部2の平面視における形状についても同様に、前方部および後方部の一方のみの幅が大きく、他方および中間部の幅が小さい、いわゆる羽子板型であってもよい。本体部2および吸収コアが羽子板型とされる場合、後方部の幅が前方部および中間部の幅よりも大きいことが好ましい。
【0053】
上述の吸収性物品の構造は、軽失禁パッドや生理用ナプキン等の様々な吸収性物品に適用されてよい。
【0054】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせられてよい。
【符号の説明】
【0055】
1,1a 吸収性物品
2 本体部
3 上ギャザーシート
4 下ギャザーシート
21 トップシート
22,22a 吸収コア
23 バックシート
31 上ギャザーシート本体
41 下ギャザーシート本体
42 第1下ギャザー弾性部材
43 第2下ギャザー弾性部材
201 前方部
202 中間部
203 後方部
231 側部フラップ部
411 固定端部
412 自由端部
413 両端部
414 固定領域
415 エッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、
バックシートとトップシートとの間に吸収コアが配置された略シート状の本体部と、
前記本体部の左右方向の両側において前記バックシートに対向しつつ前記左右方向に垂直な長手方向に前記本体部の全長に亘って延びる一対の下ギャザーシートと、
を備え、
前記一対の下ギャザーシートのそれぞれが、
前記左右方向の一方の端部である固定端部が前記本体部の側縁部に固定されるとともに前記長手方向の両端部が前記バックシートに固定される下ギャザーシート本体と、
前記下ギャザーシート本体の前記左右方向の他方の端部である自由端部に沿って接合されて前記自由端部を収縮させる弾性部材と、
を備えることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品であって、
前記一対の下ギャザーシートのそれぞれが、
前記自由端部と前記固定端部との間にて前記長手方向に沿って前記下ギャザーシート本体に接合されて前記下ギャザーシート本体を収縮させる他の弾性部材をさらに備えることを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項1または2に記載の吸収性物品であって、
前記下ギャザーシート本体が、前記バックシート上にて折り返されることなく配置され、
前記下ギャザーシート本体の前記自由端部が、前記固定端部よりも前記左右方向の内側に位置することを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の吸収性物品であって、
前記下ギャザーシート本体の前記長手方向の前記両端部において、前記バックシートに固定される固定領域の前記長手方向における中央側のエッジの位置が、前記本体部の前記左右方向の内側から前記側縁部に向かうに従って前記長手方向における中央側へと向かうことを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の吸収性物品であって、
前記本体部の前記左右方向の両側において前記トップシートに対向しつつ前記本体部の全長に亘って前記長手方向に延びる一対の上ギャザーシートをさらに備えることを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
請求項5に記載の吸収性物品であって、
前記一対の上ギャザーシートのそれぞれの上ギャザーシート本体が、エアスルー不織布により形成されることを特徴とする吸収性物品。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の吸収性物品であって、
前記本体部に、前記バックシートの一部を含むとともに前記吸収コアの側縁から前記左右方向の外側へと広がる一対の側部フラップ部が設けられ、
前記一対の下ギャザーシートの前記下ギャザーシート本体の前記固定端部が、前記一対の側部フラップ部よりも前記左右方向の内側にて前記バックシートに固定されることを特徴とする吸収性物品。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の吸収性物品であって、
前記本体部において、着用者の腹側の肌に接する前方部、着用者の股間部に対向する中間部、および、着用者の背側の肌に接する後方部が前記長手方向に並び、
前記後方部の幅が、前記中間部の幅よりも大きいことを特徴とする吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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