説明

吸収性物品

【課題】着用者の動きに対する追従性に優れ、ヨレやズレが生じにくく、着用中に装着感や漏れ防止性能の低下が生じにくい吸収性物品が提供を提供すること。
【解決手段】失禁パッド1は、表面シート2、裏面シート3及び両シート間に介在された吸収体4を具備し、吸収体4は、平面方向に分散した多数の高剛性部Hと、該高剛性部Hの間に配された、高剛性部Hよりも剛性の低い低剛性部Lとを有している。失禁パッド1は、非肌当接面に、パッド1を衣類に固定するための複数本のズレ止め部8を有しており、複数本のズレ止め部8は、それぞれパッド1の幅方向(Y方向)に延びており、且つパッド1の長手方向(X方向)に間欠的に設けられており、ズレ止め部8のそれぞれは、低剛性部Lを横断して複数の高剛性部H,Hに亘るように設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、失禁パッドや尿取りパッド、生理用ナプキン等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸収性物品として、生理用ナプキンや失禁パッドのように、ショーツ等の下着の内側に配して使用するタイプの吸収性物品が知られている。このタイプの吸収性物品においては、着用中、特に座位において、ヨレが生じやすく、ずれやすいという問題がある。ヨレやずれの発生は、装着者に不快感を与えるとともに、正しい位置に吸収性物品が配されないことによる漏れのリスクが高まる。そこで、このタイプの吸収性物品においては、裏面シート側に下着と固定するためのズレ止め材が配されていることが多い。
しかし、活動度が高い比較的若い年齢層によって使用される場面や、仕事や会議等の都合によって長時間装着せざるを得ないという状況が増えるに従い、吸収性物品には、より高いズレ抑制性能が求められるようになっている。
【0003】
吸収性物品のズレを防止する技術としては、例えば、特許文献1には、縦長の吸収性物品においてズレ止め材を長手方向両端部に幅広く、その間を細くなるように配置する技術が開示されている。しかし、この技術では、ズレ止め効果が不十分である。
【0004】
また、特許文献2には、縦長の吸収性物品において、吸収性物品の短手方向長さが異なる2種以上のパターンを有するズレ止め手段を有し、前後方向端部よりも股間部側で短手方向長さが短い接着性ズレ止めパターンを配する技術が開示されている。この文献の技術は、更に、吸収体が中高形状であって、その中高部の側縁又は左右対の側部フィットエンボスの最も内側側点から吸収性物品の短手方向に±5mmの位置に股間部ズレ止めパターンの側端部位置が存在することを特徴としている。そして、この文献によれば、動きの小さい前後領域では下着との接触面積を広くして位置ずれを防ぐとともに、股間部では吸収体の側部領域が自由に変形でき、激しい身体の運動時でも変形後の再接着による縦ジワが解消されて漏れが防止できるとされている。しかしながら、長時間着用時のヨレ、特に着座時での細かいヨレに対する対策については言及されていない。
【0005】
特許文献3には、バックシート表面の少なくとも60%以上に下着との固定手段としての接着剤が設けられていない吸収性物品が開示されている。この文献には、接着剤のより薄いストリップ等によって表面被覆を減少させた場合であっても、必要な接着性を得ることができる、との記載があり、その実施例では2個の接着剤細片による固着手段が開示されている。しかしながら、開示内容に具体性がなく、2個の接着剤細片では言うまでも無く、接着力が不十分であるし、特に、長時間の着座時などに生じるズレの問題を解決しうるものではない。
【0006】
また、吸収性物品全体の剛性を下げて追従性を高めるという方法も考えられるが、そのために吸収体の厚みを薄くすれば吸収容量が低くなって漏れのリスクが高まることが考えられる。また、単に吸収性物品全体の剛性を低くするだけでは、大きな動きに対して追従しても、ヨレや捩れといった不都合が生じるリスクがあるし、また、追従したとしても、その後戻りの動作時に十分な速度で追従できずに、ヨレ、捩れが生じて漏れが発生するリスクが高まる可能性がある。
【0007】
また、特許文献4には、個々に独立した多数の吸収部が、物品平面方向にわたって配置された吸収体を有する吸収性物品が開示されている。しかし、ズレ止め材の配置態様の工夫により、ズレ防止効果等を大幅に向上させ得ることは記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭63−54161号公報
【特許文献2】特開2003−10245号公報
【特許文献3】特開2000−512872号公報
【特許文献4】特開2009−172363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の課題は、着用者の動きに対する追従性に優れ、ヨレやズレが生じ難く、装着感や漏れ防止性能の低下が生じにくい吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、肌当接面側に配置された表面シート、非肌当接面側に配置された裏面シート、及び両シート間に介在された吸収体を具備する縦長の吸収性物品であって、
前記吸収体は、平面方向に分散した複数の高剛性部と、該高剛性部の間に配された、該高剛性部よりも剛性が低い低剛性部とを有しており、非肌当接面に、吸収性物品を衣類に固定するための複数本のズレ止め部を有しており、複数本の前記ズレ止め部は、それぞれ吸収性物品幅方向に延びており、且つ吸収性物品長手方向に間欠的に設けられており、前記ズレ止め部のそれぞれは、前記低剛性部を横断して複数の前記高剛性部に亘るように設けられている吸収性物品を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、着用者の動きに対する追従性に優れ、ヨレやズレが生じにくく、装着感や漏れ防止性能の低下が生じにくい吸収性物品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の吸収性物品の一実施形態である失禁パッドを示す図であり、図1(a)は、伸長状態における肌当接面側を示す平面図であり、図1(b)は、伸長状態における非肌当接面側を示す平面図である。伸長状態とは、失禁パッドを、各部の伸縮部材を伸長させて、設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ)となるまで拡げた状態を言う。
【図2】図2は、図1のI−I線断面を模式的に示す断面図である。
【図3】図3は、図1のII−II線断面を模式的に示す断面図である。
【図4】図4は、図1に示す失禁パッドにおけるズレ止め部の配置態様を説明するためのパッド非肌当接面の一部の拡大模式平面図である。
【図5】図5は、本発明の他の実施形態を示す図である。
【図6】図6は、本発明の更に他の実施形態を示す図である。
【図7】図7は、本発明の更に他の実施形態を示す図であり、図4相当図である。
【図8】図8は、本発明の更に他の実施形態を示す図であり、図4相当図である。
【図9】図9は、本発明の更に他の実施形態を示す図であり、図4相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の一実施形態である失禁パッド1(以下失禁パッド1ともいう)は、図1〜図3に示すように、肌当接面側に配置された表面シート2、非肌当接面側に配置された裏面シート3、及び両シート2,3間に介在された吸収体4を具備しており、縦長(一方向に長い形状)である。吸収体4は、平面方向に分散した多数の高剛性部Hと、該高剛性部Hの間に配された、高剛性部Hよりも剛性の低い低剛性部Lとを有している。また、失禁パッド1は、着用者の衣類(例えば、ショーツ等の下着等)に固定されて使用されるものであり、裏面シート3の衣類側表面(失禁パッド1の非肌当接面)に、失禁パッド1を衣類に固定するための複数本のズレ止め部8を有している。ズレ止め部8は、それぞれ失禁パッド1の幅方向(Y方向)に延びており、且つ失禁パッド1の長手方向(X方向)に間欠的に設けられている。また、ズレ止め部8は、それぞれ、低剛性部Lを横断して複数の高剛性部H,Hに亘るように設けられている。
【0014】
本実施形態の失禁パッド1におけるズレ止め部8は、帯状に形成された粘着部であり、裏面シート3の片面に、ホットメルト粘着剤等の粘着剤を所定形状に塗布して形成されている。また、ズレ止め部8は、失禁パッド1の使用前においては、フィルム、不織布、紙などからなる図示しない剥離シートによって被覆されている。
【0015】
尚、吸収性物品の長手方向(縦方向)は、着用時に着用者の前後方向と一致する方向であり、吸収性物品の幅方向は、該長手方向と略直交する方向である。図中、符号Xで示す方向(X方向)が、吸収性物品の長手方向であり、符号Yで示す方向(Y方向)が、吸収性物品の幅方向である。本実施形態においては、吸収体、吸収性コア、立体ギャザーの長手方向もX方向に一致している。
【0016】
また、図1に示す幅方向中央線CLは、X方向に延び且つ失禁パッド1をY方向に二等分(失禁パッド1のX方向長さを二等分)する線である。
また、吸収性物品(吸収体、吸収性コア)の平面方向とは、吸収性物品の長手方向(X方向)及び幅方向(Y方向)を含むXY平面が延在する方向である。また、吸収性物品の厚み方向は、図中Zで示す方向である。
また、肌当接面は、吸収性物品における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌当接面は、吸収性物品における、吸収性物品の着用時に肌側とは反対側(通常、衣類側)に向けられる面である。
【0017】
図1に示すように、失禁パッド1は、図中X方向に長い略矩形状であり、長手方向の両端縁が円弧状に形成されている。表面シート2は液透過性であり、表面シート2の片面は、失禁パッド1の肌当接面を構成している。裏面シート3は、液不透過性又は液難透過性を有しており、裏面シート3の片面が、衣類側に向けられる失禁パッド1の非肌当接面側の面を構成している。
表面シート2、裏面シート3及び吸収体4は、それぞれ失禁パッド1の長手方向(X方向)と同方向に長い形状を有している。吸収体4は、図2及び図3に示すように、表面シート2及び裏面シート3間に狭持固定されている。表面シート2の長手方向両側部は、吸収体4の非肌対向面側に巻き下げられ、吸収体4と裏面シート3との間において、吸収体4及び裏面シート3と接合されている。
【0018】
吸収体4は、吸収性材料(パルプ等の繊維材料、吸水性ポリマー等)を含む吸収性コア40を含んで構成されている。図2に示すように、本実施形態における吸収体4は、吸収性コア40を、ティッシュペーパーや透水性の不織布からなるコアラップシート44で被覆して構成されている。吸収性コア40は、パルプ繊維等の繊維材料のみから構成されていても良く、該繊維材料間に吸水性ポリマーが保持されていても良い。表面シート2と吸収体4との間、及び吸収体4と裏面シート3との間は、接着剤(ホットメルト接着剤等,図示せず)により互いに接合されている。例えば、吸収体4の肌当接面側の表面及び両側面は、表面シート2に接合固定されている。また吸収体4の非肌当接面側は、裏面シート3に、直接又は他のシートを介して固定されている。裏面シート3は、肌当接面側の面が、隣接する吸収体4等の部材に接合されていることが好ましいが、その接合方法としては、接着剤やヒートシール等の任意の接合方法を用いることができる。また、接着剤で接合する場合、スロットコーター等によるベタ塗りでも良いが、パターン塗工が好ましい。パターン塗工の塗工パターンの好ましい例としては、スパイラルパターン、ドットパターン、ストライプパターン(縞状パターン)、格子パターン、市松模様状のパターン等が挙げられる。また、接着剤に代えて、又は接着剤とともにヒートシール等の他の接合手段を用いても良い。
【0019】
図1〜図4に示すように、吸収体4は、剛性が相対的に高い高剛性部Hと、剛性が相対的に低い低剛性部Lとを有している。
ここでいう剛性は、吸収体4の圧縮の力に対する剛性(抵抗力)である。
本明細書では、JIS L 1096 8.21.5のE法(ハンドル・オ・メータ法)によって測定される抵抗力で表される。具体的には、吸収体4をクリアランスのある試験台の上に載置し、加圧板で上から押し込んだときに受ける抵抗力によって表される。更に測定方法を具体的に説明すると、吸収体4が溝(例えば、低剛性部)とこれによって挟まれた吸収部位(例えば、高剛性部)で構成されているような場合、溝によって挟まれた部位の抵抗力を測定するときには、クリアランス幅を、前記両溝で挟まれた部分の幅以下とし、溝による影響を受けにくいように条件を設定する。また、溝部分を測定する場合にはクリアランスを溝の幅以下に設定して測定することが好ましいが、溝幅が測定装置の加圧板幅よりも狭い場合には、隣接する吸収部位がクリアランス内に存在していても構わない。
【0020】
高剛性部Hの抵抗力(剛性値)は、50〜200g、特に60〜150gであることが物品全体の風合いの観点から好ましい。また低剛性部Lの抵抗力(剛性値)は、5〜170g、特に10〜130gであることが着用者の動作に対する追従性が良好となるので好ましい。更に、着用者の動きに対してズレやヨレを高いレベルで抑制し、モレ抑制をより効果的にする観点から、高剛性部Hと低剛性部Lの剛性値の差(前者−後者)が30〜195g、特に40〜190gであることが好ましい。
【0021】
高剛性部と低剛性部は、坪量が同じで剛性のみが異なっていても良いし、坪量が異なることによって剛性が異なっていても良い。
本実施形態においては、吸収体4の高剛性部Hは、吸収体4の平面方向において、吸収体4の坪量が相対的に高い部分であり、吸収体4の低剛性部Lは、吸収体4の平面方向において、吸収体4の坪量が相対的に低い部分である。
また、本実施形態の吸収体4における吸収性コア40は、図2及び図3に示すように、平面方向に、吸収性材料の坪量、特に繊維材料の坪量が相対的に高坪量部41と、吸収性材料の坪量、特に繊維材料の坪量が相対的に低い低坪量部42とを有する一方、吸収性コア40の上下面を被覆するコアラップシート44は、全域において坪量が一定である。そのため、本実施形態の吸収体4における高剛性部Hは、吸収体4の平面方向において、内部に吸収性コア40の高坪量部41が存在する部分であり、吸収体4の低剛性部Lは、吸収体4の平面方向において、内部に吸収性コア40の低坪量部42が存在する部分である。換言すれば、本実施形態の吸収体4における一の高剛性部Hは、吸収性コア40における一の高坪量部41及びコアラップシート44における該一の高坪量部41の上下に位置する部分から構成され、吸収体4における一の低剛性部Lは、吸収性コア40における一の低坪量部42及びコアラップシート44における該一の低坪量部42の上下に位置する部分から構成されている。
図1及び図4に示すように、高剛性部Hは、吸収体4の平面方向に多数分散しており、低剛性部Lは高剛性部H間に配されている。
【0022】
本実施形態における吸収体4について、平面視における、高剛性部Hと低剛性部Lの位置関係及びそれぞれの形状を、図1及び図4に基づいて説明する。
吸収体4には、高剛性部Hと低剛性部Lとが所定方向(X方向)に交互に形成されている。より具体的には、図1及び図4に示すように、高剛性部Hがパッド1の長手方向(X方向)に間隔をおいて複数配置された高剛性部列HXが、パッド1の幅方向(Y方向)に間隔を開けて複数列形成されている。
低剛性部Lは、長手方向(X方向)においても、幅方向(Y方向)においても、高剛性部H間に配されており、各高剛性部Hを囲んで高剛性部Hを区画している。図1(b)及び図4に示すように、低剛性部Lは、吸収体4を多数の高剛性部Hに区画するように形成されており、また、低剛性部Lは、吸収体4のX方向の略全長に亘って、X方向に延びる直線状の部分を複数有している。
【0023】
本実施形態においては、互いに隣接する高剛性部列HXにおける高剛性部HのX方向位置がずれている。このように、本実施形態において、多数の高剛性部Hは、吸収体4に千鳥状に配置されている。本実施形態においては、互いに隣接する高剛性部列HXにおいて、高剛性部HのX方向位置が半ピッチ分ずれている。
多数の高剛性部Hは、平面視において略同形の矩形状に形成されている。ただし、多数の高剛性部Hのうち、円弧状をなす失禁パッド1の長手方向両端縁に沿うものは該端縁形状に合わせた形状をしている。
【0024】
本実施形態の失禁パッド1においては、吸収体4の高剛性部H、吸収体4の高坪量部及び吸収性コア40の高坪量部41は、吸収体4の平面視において、同位置に同形状に形成されており、吸収体4の低剛性部L、吸収体4の低坪量部及び吸収性コア40の低坪量部42は、吸収体4の平面視において、同位置に同形状に形成されている。このため、平面視における吸収体4の高坪量部と低坪量部の位置関係及びそれぞれの形状は、上述した高剛性部Hと低剛性部Lの位置関係及びそれぞれの形状と同様であり、平面視における吸収性コア40の高坪量部41と低坪量部42の位置関係及びそれぞれの形状も、上述した高剛性部Hと低剛性部Lの位置関係及びそれぞれの形状と同様である。
【0025】
吸収体4の高坪量部Hの坪量SHと低坪量部Lの坪量SLとの比(SH/SL)は、好ましくは1.2〜65、より好ましくは1.5〜20である。高坪量部Hの坪量SHは、好ましくは220〜1440g/m2、より好ましくは260〜1100g/m2であり、低坪量部Lの坪量SLは、好ましくは20〜400g/m2、より好ましくは50〜250g/m2である。
また、吸収性コア40の高坪量部41の坪量S41と低坪量部42の坪量S42との比(S41/S42)は、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5〜33である。
吸収性コア40の高坪量部41の坪量S41は、好ましくは180〜1200g/m2、より好ましくは220〜900g/m2であり、低坪量部42の坪量S42は、好ましくは0〜300g/m2、より好ましくは30〜180g/m2である。
【0026】
吸収性コア40の高坪量部41の厚みT41(図2参照)と低坪量部42の厚みT42(図2参照)との比(T41/T42)は、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5〜20である。
吸収性コア40の高坪量部41の厚みT41は、好ましくは0.5〜10mm、より好ましくは2〜9mmであり、低坪量部42の厚みT42は、好ましくは0〜2mm、より好ましくは0.5〜1.5mmである。
【0027】
吸収体4の高剛性部Hの、図1及び図3に示すような平面視における大きさは、吸収性物品の種類・用途等に応じて適宜に決定することができるが、図示の失禁パッド1の如き失禁パッドや、尿取りパッド、生理用ナプキン等においては、例えば、長手方向(X方向)の長さLHx(図4参照)が、好ましくは10〜30mm、より好ましくは13〜25mmであり、幅方向(Y方向)の長さLHy(図1参照)が、好ましくは5〜20mm、より好ましくは6〜13mmである。
吸収体4の高剛性部Hは、吸収体4に15〜140個、特に15〜100個形成されていることが好ましい。
また、本実施形態のように、高剛性部HがX方向に所定間隔を開けて複数配置された高剛性部列HXを有する場合、高剛性部列HXは、吸収体4に、好ましくは3〜11列、より好ましくは5〜9列形成されている(図示例では7列)。
【0028】
本実施形態における吸収性コア40は、高坪量部41及び低坪量部42が形成されるように吸収性材料を成形して製造されたものであって、高坪量部41及び低坪量部42が、同一の材料から一体的に形成されており、接着剤や熱融着等の接合手段を介さずに一体化されている。このため、本実施形態における高坪量部41と低坪量部42とは、液がスムーズに移動し得る連続性を有している。
【0029】
本実施形態の失禁パッド1におけるズレ止め部8の配置態様について、図1(b)及び図4を参照して説明する。図4には、失禁パッド1の長手方向前後端部を除く部分の、ズレ止め部8の配置態様が模式的に示されている。
失禁パッド1は、非肌当接面に、失禁パッド1を、ショーツ等の下着の内面に固定するための複数本のズレ止め部8,8・・を有している。
図1(b)及び図4に示すように、個々のズレ止め部8は、帯状をなし、失禁パッド1の幅方向(Y方向)に直線状に延びている。また、それらのズレ止め部8は、失禁パッド1の長手方向(X方向)に間欠的に設けられている。
そして、ズレ止め部8のそれぞれは、低剛性部Lを横断して複数の高剛性部H,Hに亘るように設けられている。
【0030】
本実施形態における個々のズレ止め部8は、図4に示すように、吸収体4のY方向の一端に位置する高剛性部H’から他端に位置する高剛性部H’に亘っており、その間においては、5個の高剛性部Hを横断すると共に、6箇所で低剛性部Lを横断している。
また、本実施形態における個々のズレ止め部8は、失禁パッド1に形成された複数列の高剛性部列HXのうちの、Y方向の最も外側に位置する高剛性部列HXを最外高剛性部列HX’と定義したときに、左右一対の最外高剛性部列HX’の高剛性部H’どうし間に亘るように設けられている。即ち、個々のズレ止め部8は、一方の最外高剛性部列HX’を構成する高剛性部H’と重なる部分及び他方の最外高剛性部列HX’を構成する高剛性部H’と重なる部分を有しており、且つ、それらの両部分どうし間にズレ止め部8が連続して存在している。
【0031】
本実施形態の失禁パッド1によれば、ズレ止め部8が、X方向に間欠的に形成され、且つそれらのズレ止め部8が、低剛性部Lを横断して複数の高剛性部H,Hに亘るように配されているため、失禁パッド1を、ショーツ等の下着に固定する際、あるいは下着上に配して着用している間に、失禁パッド1が、ズレ止め部8における、高剛性部Hと重なる部分を介して該下着に強く固定される一方、失禁パッド1における、それ以外の部分は、低剛性部Lの存在によって柔軟に変形する。この変形には、Y方向に隣り合う高剛性部どうしの相対位置をX方向にずらすような剪断方向の変形、及び/又はY方向に隣り合う高剛性部どうしの相対位置をZ方向にずらすような厚み方向の変形が含まれる。
本実施形態の失禁パッド1は、このように、ズレ止め部8における高剛性部Hと重なる部分が下着に強く固定される一方、それ以外の部分が柔軟に変形するため、着用者の動きに対する追従性に優れると共にヨレやズレも生じにくい。そのため、着用者の活動度が高い場合や長時間着用するような場合においても、ヨレやズレが生じにくく、装着感や漏れ防止性能が着用中に低下しにくい。
【0032】
本発明におけるズレ止め部8は、図5に示すような態様で設けられていてもよい。すなわち、ズレ止め材8、8・・・が長手方向に関して千鳥状に配置されている。したがって、あるズレ止め材8の一端は、その長手方向上下に位置する別のズレ止め材8の幅方向に関して同じ側の一端より幅方向内側に位置することとなる。しかし、一本のズレ止め部8が重なる高剛性部Hの数は、3個以上であることが好ましく、より好ましくは4〜20個、更に好ましくは5〜15である。また、一本のズレ止め部8が重なる高剛性部Hの個数をnとしたときに、そのズレ止め部8は、n−1箇所で低剛性部Lを縦断してn個の高剛性部Hと重なっていることが好ましい。
また、ズレ止め部8は、吸収体4を、その幅の長さを三等分して、中央領域Mと左右のサイド領域S,Sとに区分したときに、左右両方のサイド領域Sの高剛性部Hと重なる部分を有することが好ましい。
なお、高剛性部Hと重なるという表現には、ズレ止め部8が、図6(a)に示すように高剛性部Hの一部と重なっている場合、図6(b)に示すように高剛性部Hの全幅に亘って重なっている場合、図6(c)に示すように、高剛性部Hを横断するように重なっている場合の何れもが含まれる。
【0033】
本実施形態の失禁パッド1においては、前述したように、高剛性部H及び低剛性部Lは、吸収体4の坪量、特に吸収体4の内部に位置する吸収性コア40の坪量を相互に異ならせることによって形成されている。
そのため、失禁パッド1に、肌当接面側から圧力が加わったときに、ズレ止め部8は、高剛性部Hと重なる部分において下着に強く接着されるのに対して、低剛性部Lと重なる部分においては、下着に対して相対的に弱く接着されるか又は実質的に接着されない。
そのため、着用者の大きな動作によりショーツ等の下着が大きく変形しても、失禁パッド1の、ズレ止め部8で固定された高剛性部H以外の部分が、その変形に追従して変形し易く、失禁パッド1にヨレやズレが生じにくい。
【0034】
また、本実施形態の失禁パッド1においては、前述したように、個々のズレ止め部8が、左右一対の最外高剛性部列HX’の高剛性部H’どうし間に亘るように設けられているため、着用者の動作に対して長手方向の追従性を、吸収体4の幅方向の略全幅に亘ってある程度規制する。そのため、Y方向両端のヨレが小さくなる。その結果、漏れのリスクが一層低下する。
【0035】
しかも、本実施形態の失禁パッド1においては、図4に示すように、最外高剛性部列HX’を構成する個々の高剛性部H’に対して、最外高剛性部列HXの高剛性部H’どうし間に亘るように設けられた前記ズレ止め部8の複数本が、相互間に間隔を開けて重なっており、該最外高剛性部列HX’における高剛性部H’,H’間の低剛性部L’にズレ止め部8が重なっていない。また、図7に示す実施形態においても同様である。
本実施形態の失禁パッド1は、このような構成を有するため、Y方向両端部付近のパッドと下着の接着力がより高くなる。そのため着用者の動作に対して長手方向の追従性を、吸収体4の幅方向の略全体幅に亘ってある程度規制する。しかしその間の低剛性部L’には固定手段が配されていないことによって十分動きに追従可能となる。
なお、低剛性部L’にズレ止め部8が重なっていないとは、吸収体4の平面視において、X方向に隣り合う高剛性部H’,H’間に、ずれ止め部8が全く入り込んでいないことを意味する。
【0036】
一つの高剛性部H’に重なる複数本のズレ止め部8A,8B相互間のX方向の離間距離V(図4参照)は、高剛性部H’のX方向の長さLHxの3〜50%、特に4〜40%であることが好ましく、0.5〜10mm、特に1〜5mm程度であることが好ましい。また、
【0037】
なお、本発明における吸収体は、図8に示すように、並行する3列以上の高剛性部列HXを挟んでその両側に、長手方向に連続して延在する連続高剛性部80を有していても良い。その場合においても、図8に示すように、ズレ止め部8を、高剛性部列HXのうち最も幅方向の外側に位置する高剛性部列HX’の高剛性部H’どうし間に亘るように形成すれば、多少効果は劣るが、上記と同様の効果が得られる。
【0038】
図1(b)に示すように、本実施形態の失禁パッド1においては、X方向に隣り合う、ズレ止め部8どうし間に、粘着剤等のズレ止め部8の構成要素が配されていない非存在領域9が存在している。
このように、ズレ止め部8と非存在領域9とを交互に配置とすることで、裏面シート3に透湿性シート等を用いた場合においても、十分に通気性及び透湿性を維持することができる。また、通常よりも全体の粘着剤等の塗布量を抑えることができるので省資源及び廃棄後の環境保全に資することができると共にコストダウンをはかることができる。
また通気性及び透湿性を十分に確保できることにより、通常より個々のズレ止め部8を幅広くまたは粘着剤等を塗布する坪量を高くすることが可能となる。換言すれば、このズレ止め部8と非存在領域9との配置が、ズレ止め部8の吸収性物品長手方向の長さW及びの粘着剤等の坪量の調製による接着固定力の向上と、通気性及び透湿性の確保との両立が容易となる。
このような観点から、ズレ止め部8の総面積(Aa)と非存在領域9の総面積(At)との比(Aa)/(At)は、0.2〜0.9が好ましく、0.33〜0.85がさらに好ましく、個々のズレ止め部8の平均坪量は、20〜120g/m2が好ましく、30〜100g/m2がさらに好ましい。
吸収性物品の長手方向に間欠的に形成する、ズレ止め部8の本数は、5〜80本、特に10〜60本であることが好ましい。
【0039】

また、本発明の吸収性物品においては、その長手方向(X方向)におけるズレ止め部8の幅W(図4参照)が、同長手方向(X方向)における、ズレ止め部8,8どうし間の幅(非存在領域9の幅に同じ)V(図4参照)より小さいことが好ましい。
個々のズレ止め部8の前記長さWと非存在領域9の前記長さVとの関係が(W<V)となるようにズレ止め部8を配置することで、非存在領域9の変形可能領域が広がり、日常的な活動により、下着がねじれたり曲げられたりする等の変形をしても、変形可能領域において裏面シート3は自由に変形して失禁パッドが変形することを抑えることができ、これにより継続的な外力による細かいヨレやズレなどを防止することができる。
このような観点から、ズレ止め領域、即ち下着とパッドの接着領域において、ズレ止め部8の前記長さWと非存在領域9の前記長さVとの比(W/V)の平均値は、好ましくは0.2〜0.9であり、より好ましくは0.33〜0.45である。あるいは、又はそれに加えて、ズレ止め部8と非存在領域9のX方向長さの差(V−W)の平均値は、好ましくは0.1〜30mmであり、より好ましくは0.18〜20mmである。さらに、個々のズレ止め部の縦方向長さWの総和(Σw)と個々の非存在領域9の縦方向長さVの総和(Σv)との比(Σw)/(Σv)は0.30〜0.93が好ましく、0.50〜0.90がさらに好ましい。上記下限値以上とすることで、ヨレやズレの防止と快適な通気性を確保でき、上記上限値以下とすることで非存在領域9の縦方向長さVを大きくしすぎることによるヨレやズレの防止を一層高めることができる。
【0040】
なお、本発明において、ズレ止め部8の形状は、吸収体4の形状に対応するように概ね吸収性物品幅方向に延びる形状であれば、図4に示すような、細長い長方形状に限定されず、例えば、幅方向に長い形状の楕円形状や括れのある形状等であってもよい。ズレ止め部8及び非存在領域9の吸収性物品長手方向の長さが一定でない場合、ズレ止め部8と非存在領域9との好ましい範囲は、ズレ止め部の吸収性物品長手方向の長さW及び非存在領域9の縦方向長さVに代えて、ズレ止め部8の面積の平均値と非存在領域9の面積の平均値の比率及び/又は差で示してもよい。
【0041】
上述した失禁パッド1について更に説明すると、図2及び図3に示すように、吸収性コア40の低坪量部42は、吸収性コア40における厚み方向(Z方向)の一方に偏在している。より具体的には、低坪量部42は、厚み方向(Z方向)において、吸収性コア40の肌当接面側に偏在している。そして、低坪量部42がこのように吸収性コア40の肌当接面側に偏在していることにより、吸収性コア40の高坪量部41は、肌当接面側とは反対側、即ち、吸収性コア40の非肌当接面側に突出している。従って、吸収性コア40の肌当接面側の面は、実質的に凹凸が無く略平坦であるのに対し、非肌当接面側の面は、突出形成された高坪量部41(凸部)と高坪量部41,41間に位置する低坪量部42(非凸部あるいは凹部)とによる凹凸を有している。
【0042】
また、失禁パッド1は、図1に示すように、その幅方向(X方向)の両側部に、着用者側に起立する一対の立体ギャザー5,5を備えている。図2及び図3に示すように、一対の立体ギャザー5,5は、図2及び図3に示すように、それぞれ、立体ギャザー形成用の防水性シート6と、該シート6に固定された1本又は複数本の弾性部材51(図示例では2本)から構成されている。弾性部材51はX方向に伸長させた状態で、前記シート6に固定されている。立体ギャザー5(シート6)は、長手方向(X方向)両端部においては、図2に示すように、吸収体4上の表面シート2上に折り畳まれた状態で固定されている。他方、長手方向(X方向)中央部においては、図3に示すように、吸収体4上の表面シート2上に固定されておらず、着用状態の失禁パッド1においては、立体ギャザー5が着用者の肌側に向かって起立し、横漏れ防止性能が一層高める。
【0043】
上述した失禁パッド1の各部の形成材料について説明する。
表面シート2、裏面シート3、吸収体4、及び防水性シート6等としては、失禁パッド等の吸収性物品に従来用いられている各種のもの等を特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート2としては、不織布や開孔フィルム等の液透過性のシートを用いることができる。裏面シート3としては、例えば、透湿性を有しない樹脂フィルムや、微細孔を有し、透湿性を有する樹脂フィルム、撥水不織布等の不織布、これらと他のシートとのラミネート体等を用いることができる。防水性シート6としては裏面シート3と同様のものを用いることができる。裏面シート3は、透湿性又は非透湿性の樹脂フィルムの非肌当接面側の面に、液透過性又は液不透過性の不織布等を積層した積層シートであっても良い。
【0044】
弾性部材51の形成素材としては、例えば、スチレン−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ポリウレタン等を挙げることができる。弾性部材の形態としては、断面が矩形、正方形、円形、楕円形又は多角形状等の糸状(糸ゴム等)、若しくは紐状(平ゴム等)のもの、又はマルチフィラメントタイプの糸状のもの等を好ましく用いることができる。
【0045】
吸収性コア40の形成材料である吸収性材料としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば繊維材料として、木材パルプ、コットン、麻等の天然繊維;ポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂からなる合繊繊維;アセテートやレーヨン等の半合成繊維等を用いることができる。これらの繊維材料は一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。また、吸収性材料としてこれらの繊維材料に加えて、更に粒子状等の各種形状の吸水性ポリマーを用いることもできる。
【0046】
ずれ止め部の形成方法としては、下着等の衣類に固定して用いる吸収性物品に従来用いられる方法を特に制限なく用いることができる。例えば、粘着剤を裏面シート3に直接塗工して形成することもできるし、粘着剤が塗工された粘着テープの他面側を裏面シートに接合して形成することもできる。粘着部の形成に用いる粘着剤としては、例えば、エマルジョン系、水系、溶剤系の粘着剤が挙げられる。
また、ずれ止め部は、優れた位置ずれ防止性能及び安定な生産性を得る観点から、ホットメルト粘着剤等の粘着剤を塗布して形成することが好ましい。
そのような粘着剤としては、この種の物品に通常用いられるものを制限なく採用することができるが、主に天然ゴム類似の基本構造を有する合成ゴム系のブロック共重合体を用いることが好ましい。そのようなブロック共重合体としては、例えばスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)等が挙げられる。粘着剤は、これらのブロック共重合体から選択される一種又は二種以上のベースポリマーを10〜65重量%、特に30〜50重量%含むことが好ましい。
【0047】
以上、本発明の吸収性物品について好ましい実施形態を説明したが、本発明は上述した各実施形態に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態において、吸収体4の高剛性部Hは、吸収体4において吸収性コア40の吸収性材料の坪量が相対的に高い部分であり、吸収体4の低剛性部Lは、吸収体4において吸収性コア40の吸収性材料の坪量が相対的に低い部分であったが、これに代えて、坪量が均一な吸収体4や吸収性コア40の一部を加圧圧縮又は熱圧着して高剛性部を形成する方法等の各種公知の方法によって、吸収体4に、高剛性部H及び低剛性部Lを形成しても良い。
【0048】
また、図9に示すように、吸収性コア40の低坪量部41を、吸収性材料のない部分43に変更しても良い。この場合、吸収体4の高剛性部Hは、吸収性コア40の吸収性材料が存在する小吸収部41Aと、コアラップシート44の該小吸収部41Aの上下に位置する部分とから構成される。また吸収体4の低剛性部Lは、吸収性コア40の吸収性材料のない部分43と、コアラップシート44の該部分43の上下に位置する部分とから構成される。
【0049】
また例えば、前記実施形態においては、吸収性コア40の低坪量部42は、吸収性コア40の厚み方向の肌当接面側に偏在していたが、これとは逆に、非肌当接面側に偏在していても良い。その場合、高坪量部41は、吸収性コア40の肌当接面側に突出し、吸収性コア40全体として、図2及び図3に示すものとは上下が逆になる。
また、例えば低坪量部42は二つの異なる坪量部である、相対的に坪量が高い第1低坪量部と相対的に坪量が低い第2低坪量部から成るように構成されても良い。例えば、X方向に延びる低坪量部よりもY方向に延びる低坪量部の坪量を大きくすることが長手方向及び幅方向にバランスの追従をし易くなる観点から好ましい。第1低坪量部の坪量は、好ましくは20〜100g/m2であり、第2低坪量部の坪量は、好ましくは0〜40g/m2である。その時の高坪量部と第1低坪量部の坪量の比は、少なくとも1.2以上あり、第1低坪量部と第2低坪量部の比は、少なくとも1.2以上あるのが好ましい。
【0050】
また、吸収体4において高剛性部Hは必ずしも千鳥状に配置されていなくてもよい良い。例えば、高剛性部Hと低剛性部Lとは、X方向のみならずY方向においても交互に形成されていてもよい。具体的に言うと、低剛性部Lは、長手方向(X方向)に沿って延びるX方向の直線状部分と、幅方向(Y方向)に沿って延びるY方向の直線状部分とがそれぞれ複数形成され、低剛性部L全体として格子状に形成されていると共に、これら直線状の低剛性部Lで区画された部位が、高剛性部Hとなっていてもよい。その場合、X方向の直線状部分は、それぞれ、吸収体4の長手方向(X方向)の全長に亘って延びて形成されており、Y方向の直線状部分が、それぞれ、吸収体4の幅方向(Y方向)の全長に亘って延びて形成されているようにしてもよい。
【0051】
立体ギャザー5(シート6)は、長手方向両端部において、自由端部52側が幅方向外側に折り返されていない状態、即ち、自由端部52が最も幅方向中央線CL側に位置するように伏せられた状態で、吸収体4上の表面シート2上に固定されていてもよい。
【0052】
また、本発明の吸収性物品は、失禁パッドの他、尿取りパッド、生理用ナプキン、使い捨ておむつ等であっても良い。
【0053】
また、上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 失禁パッド(吸収性物品)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
HX 高剛性部列
HX’ 最外高剛性部列
H 吸収体の高剛性部
H' 最外高剛性部列を構成する
高剛性部
L 吸収体の低剛性部
40 吸収性コア
41 吸収性コアの高坪量部
42 吸収性コアの低坪量部
44 コアラップシート
5 立体ギャザー
8 ズレ止め部
80 連続高剛性部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌当接面側に配置された表面シート、非肌当接面側に配置された裏面シート、及び両シート間に介在された吸収体を具備する縦長の吸収性物品であって、
前記吸収体は、平面方向に分散した複数の高剛性部と、該高剛性部の間に配された、該高剛性部よりも剛性が低い低剛性部とを有しており、
非肌当接面に、吸収性物品を衣類に固定するための複数本のズレ止め部を有しており、
複数本の前記ズレ止め部は、それぞれ吸収性物品幅方向に延びており、且つ吸収性物品長手方向に間欠的に設けられており、
前記ズレ止め部のそれぞれは、前記低剛性部を横断して複数の前記高剛性部に亘るように設けられている、吸収性物品。
【請求項2】
前記高剛性部は、前記吸収体の坪量が、前記低剛性部よりも高い部分である、請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記高剛性部が吸収性物品長手方向に間隔をおいて複数配置された高剛性部列が、吸収性物品幅方向に3列以上形成されており、前記ズレ止め部が、吸収性物品幅方向の最も外側に位置する一対の最外高剛性部列の高剛性部どうし間に亘るように設けられている、請求項1又は2記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記最外高剛性部列を構成する個々の高剛性部に対して、前記ズレ止め部の複数本が、相互間に間隔を開けて重なっており、該最外高剛性部列における高剛性部間の前記低剛性部にズレ止め部が重なっていない、請求項3記載の吸収性物品。
【請求項5】
吸収性物品長手方向において、前記ズレ止め部の幅Wが、該ズレ止め部どうし間の幅Vより小さい、請求項1〜4の何れか1項記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記ズレ止め部が、帯状粘着部である、請求項1〜5の何れか1項記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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