吸収性物品
【課題】吸収性物品であって排尿があったことを確認しやすくした吸収性物品を提供する。
【解決手段】吸収性物品は、吸収体部分を外側着用物品の内側面上に載置して使用されるものであり、吸収本体部の両側には、物品幅方向外方に張り出した裏面シート2側に折り返し可能な張り出し部があり、張り出し部は、2層の難液透過性のシートの間に、液体と接すると変色するインジケータ6部が配置された構成となされており、張り出し部を構成する部材が吸収本体部の側方に入り込んだ入り込み部を備え、入り込み部と吸収本体部とが接合部で固定されており、接合部には水分の透過可能な領域があり、水分透過可能領域は液をインジケータ部へと誘導可能とされている吸収性物品。
【解決手段】吸収性物品は、吸収体部分を外側着用物品の内側面上に載置して使用されるものであり、吸収本体部の両側には、物品幅方向外方に張り出した裏面シート2側に折り返し可能な張り出し部があり、張り出し部は、2層の難液透過性のシートの間に、液体と接すると変色するインジケータ6部が配置された構成となされており、張り出し部を構成する部材が吸収本体部の側方に入り込んだ入り込み部を備え、入り込み部と吸収本体部とが接合部で固定されており、接合部には水分の透過可能な領域があり、水分透過可能領域は液をインジケータ部へと誘導可能とされている吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は幅方向の両側に張出し部を有する吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
おむつなどの吸収性物品において、吸収体に排尿等が吸収保持されたことを視覚的に保護者や介護者等に知らせる技術を適用したものがある。例えば、裏面シートと吸収体との間に水分と接触すると変色するインジケータを設けて、裏面シート側から透視可能とすることで変色を視認する方法がある(例えば、特許文献1〜3参照)。大人用の尿とりパッドなど、おむつの吸収体上や下着等に配置するものでも、裏面シートと吸収体との間にインジケータを設けて尿とりパッドの裏面シート側から透視可能としたものがある。これに対して、外側を覆うおむつ本体の吸収体に内部の尿とりパッドのインジケータを視認し易くするための穴を設ける技術がある(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−4852号公報
【特許文献2】特開2004−222868号公報
【特許文献3】実開昭58−7809号公報
【特許文献4】特開2007−97627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1〜3に開示の技術は、おむつの中央にインジケータを配設することが前提であって、尿とりパッドのように前記外側着用物品の内側に配することを考慮していない。仮に上記文献のもののように物品中央にインジケータを配設した尿とりパッドをおむつや下着、パッドホルダー等の内側に配して使用したとすると、外部からこのインジケータを視認し難い。通常、おむつ等の外側の着用物をずらすかその腹回りを大きく広げて開けるかしなければ内方のインジケータを確認することができない。また、前記特許文献4の技術ではおむつ側の吸収体に穴があるためその吸収性能は不可避的に低下することとなる。吸収体本来の吸収性能を落とすことなく、しかも吸収性物品や下着等を装着したままで内部の尿とりパッドの取り替え時期を確認しやすくすることができれば、その利便性は大幅に向上する。排便と異なり排尿は日中頻繁にあることを考慮すると、利用者あるいは介護者等にとって尿とりパッドの交換に係る煩わしさを大きく改善しうるものとなる。
【0005】
そこで本発明は、おむつや下着、パッドホルダー等の外側着用物品の内側に配置して用いうる尿とりパッド等の吸収性物品であって排尿があったことを確認しやすくした吸収性物品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、肌当接面側に配置される液透過性の表面シートと、非肌当接面側に配置される防水性の裏面シートと、該両シート間に介在された吸収体とを有する吸収本体部を備えた吸収性物品であって、該吸収性物品は、腹側部と背側部とを股下部を介して結ぶ方向の縦方向とこれに交差する幅方向とを有し、前記吸収体部分を外側着用物品の内側面上に載置して使用されるものであり、前記吸収本体部の両側には、物品幅方向外方に張り出した前記裏面シート側に折り返し可能な張り出し部があり、該張り出し部は、2層の難液透過性のシートの間に、液体と接すると変色するインジケータ部が配置された構成となされており、前記張り出し部を構成する部材が吸収本体部の側方に入り込んだ入り込み部を備え、該入り込み部と前記吸収本体部とが接合部で固定されており、該接合部には水分の透過可能な領域があり、該水分透過可能領域は液を前記インジケータ部へと誘導可能とされている吸収性物品を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の吸収性物品は、おむつや下着、パッドホルダー等の外側着用物品の内側に配置して用いうる尿とりパッド等の吸収性物品であって排尿があったことを確認しやすいという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の吸収性物品における一実施形態(実施形態1)としての尿とりパッドを展開して股下部に沿ってやや湾曲させた状態を模式的に示す一部切欠斜視図である。
【図2】図1の尿とりパッドを展開し伸長した状態を模式的に示す平面図である。
【図3】図1のIII−III線断面の標識領域を含む拡大断面図である。
【図4】図1のIV−IV線断面の液体難拡散性領域を含む拡大断面図である。
【図5】図1の左側のウィング部と吸収本体部の前記ウィング部が入り込んだ部分周辺を模式的に示す部分拡大平面図である。
【図6】図1のVI−VI線断面の拡大断面図であり、(a)は装着前のウィング部を伸長した状態を示し、(b)はウィング部を折り返して着衣に固定した状態を示す。
【図7】本発明の別の実施形態(実施形態2)としての尿とりパッドにおける図3相当の標識領域を含む拡大断面図である。
【図8】本発明の別の実施形態(実施形態2)としての尿とりパッドにおける図4相当の液体難拡散性領域を含む拡大断面図である。
【図9】本発明の別の実施形態(実施形態2)としての尿とりパッドにおける図5相当の部分拡大平面図である。
【図10】本発明のさらに別の実施形態(実施形態3)としての尿とりパッドを展開し伸長した状態を模式的に示す平面図である。
【図11】図10のXI−XI線断面の断面図である。
【図12】ウィング部におけるインジケータ及び液拡散性シートの他の好ましい平面配置を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(実施形態1)
図1は本発明の吸収性物品における好ましい一実施形態(実施形態1)としての尿とりパッドを展開して股下部に沿ってやや湾曲させた状態を模式的に示す一部切欠斜視図である。図2は図1の伸長状態平面図であり、図3は、図1のIII−III線断面の標識領域を含む拡大断面図である。なお、図1、2において、インジケータ部(インジケータ6)の形状及び配列が明確となるよう斑点模様で示した(以下、図5,9,10及び12においても同様。)。
【0010】
本実施形態1の尿とりパッド10は、図1に示すように、肌当接面側に配置される液透過性の表面シート1、非肌当接面側に配置される防水性の裏面シート2、及び該両シート間に介在された吸収体3からなる吸収本体部10aと幅方向外方に張り出す張出し部としてのウィング部5とを有する。前記吸収本体部10aはその平面視において長方形状であり、着用者の腹側に配される腹側部F、股間に沿うようにわたす股下部C、及び背側に配される背側部Rの各部位からなる。
【0011】
本発明においては、特に断らない限り、着用者が着用した際に人体に相対的に近い方(典型的には、接触する方)の側を肌面側ないし肌当接面側あるいは表面側ないし内側といい、これと反対側を非肌面側ないし非肌当接面側あるいは裏面側ないし外側という。装着時に人体の前側に位置する方向を前方といいその端部を前端部とし、後側に位置する方向を後方といいその端部を後端部として説明する。吸収性物品の表面又は裏面の法線方向を厚み方向という。さらに、吸収性物品の平面視において腹側部Fから股下部Cを介して背側部Rに亘る方向を縦方向(図1におけるY方向)といい、この縦方向と直交する方向を幅方向(図1におけるX方向)という。なお、前記縦方向は典型的には装着状態において人体の前後方向と一致する。また張出し部(ウィング部)については、展開伸長した状態で吸収本体部の肌面側もしくは非肌面側と一致する面方向として呼ぶ。また、外側着用物品とは、本発明の吸収性物品をその内側に配置、固定しうる着用物品を指し、具体的には下着、おむつ、又はパッドホルダーである。
【0012】
尿とりパッド10において、表面シート1は、吸収性コア31を被覆シート32で被覆してなる吸収体3の肌当接面側を幅方向左右側縁部まで覆うように存在する(図1参照)。さらに一対のサイドシート4,4が、表面シート1の縦方向に一致する長さで表面シート1の肌当接面側に積層され、吸収体3の幅方向左右側縁外方にそれぞれ延出している(図1及び2参照)。サイドシート4の延出した部分と裏面シート2の幅方向に延出した部分とが積層されてその幅方向外側で接合されている(図1及び2参照)。該サイドシート4は、立体ギャザー形成部材として起立性防漏カフをなす自由端縁41を有し、該自由端縁41に内装した立体ギャザー用弾性部材42が着用状態で尿とりパッドの縦方向に収縮して着用者の肌面に向け突出するように起立する(図3,4及び6参照)。それにより自由端縁41が肌にしっかりと当接し、排泄物の外部への移行を遮断して横漏れを効果的に防止する。前記立体ギャザー用弾性部材42は、少なくとも股下部Cに配されており、更に腹側部F及び/又は背側部R側にも延びて配されていることが好ましい。その接合方法は、この種のものに用いられる通常の方法を用いることができる。なお図3,4及び6の断面図では理解のため立体ギャザーが起立した状態で図示したが、図2の伸長展開状態では起立していない。
【0013】
尿とりパッド10において、その平面視について、吸収本体部10aの股下部C付近の左右幅方向端縁外方に、そこから突出するように張り出し部としてのウィング部5が形成されている(図2参照)。ウィング部5は、2層の難液透過性のシートの間に、液体と接すると変色するインジケータ部(インジケータ6)が配置された構成とされている(図3参照)。ここで難液透過性とは、液を透過させにくい性質を意味し、防水性、撥水性及び液不透過性の性質を含む。本実施形態1において、前記2層の難液透過性シートは、撥水性の表側シート51と防水性の裏側シート部52とである。この表側シート部51は、尿とりパッド10を展開し伸長した状態で吸収本体部10aの表面シート1と同じ面側に配されているシートである。表側シート51は、尿とりパッド10の装着時に山折りされて着用者の股下部等の肌に当接し、かつ、下着やおむつカバー等の外側着用物品よりも非肌当接側面に配置される(図6参照)。一方、裏側シート52は、前記の展開状態で吸収本体部10aの裏面シート2と同じ面側に配されているシートである。裏側シート52は、装着時に谷折りされて外側着用物品に当接するよう配置される(図6参照)。また表側シート51は、装着時に外側着用物品よりも非肌当接側面となり該外側着用物品の外側から視認可能である。そのため、表側シート51は、ウィング部5内部のインジケータ6の変色を視認できるよう光透過率が高いことが好ましい。
【0014】
インジケータ6は、表側シート51と裏側シート部52との間で配設されており、液体と接触すると視覚的に変化して液の排泄の検知を可能とする機能を有する。このインジケータ6の視覚的変化は表側シート51を介して目視可能とされている。インジケータ6は、排尿等の水分に反応する機能を有し、例えばpHの変化によって色が変化する呈色指示薬を含む親水性組成物を用いて形成される。インジケータ6は、この種の物品に用いられる方法により形成でき、例えば、前記組成物等の変色可能な材を裏側シート52に直接塗布したり含浸させたりしたものであってもよく、ティッシュペーパーや親水性不織布等のシート部材に塗布したり含浸させたりしたものを介在させるようにしたものであってもよい。なお「視覚的変化」あるいは「変色」とは、水分との接触で、ある色から他の色への色変化、有色から無色への色消失、無色から有色への色出現を含む意味である。
【0015】
このような構成のウィング部5は、平面視において、吸収本体部10aとの境界であるウィング基端位置5tを底辺としてそこからゆるやかな台形状の曲線を描くようにウィング外周縁部5sをなしている(図2参照)。さらにウィング部5は、ウィング基端位置5tを越え吸収本体部10aの内方に入り込んで、入り込み部を構成している。なお、ウィング部5の入り込み部は、構成部材全体が入り込んだ部分に限らず、その一部の構成部材のみが入り込んだ部分をも意味する。この入り込み部によって、ウィング部5の内方端から吸収体3に吸収された液の一部が取り込まれ、インジケータ6に時機よく変色が生じる。これにより、尿とりパッド10の吸収体3部分を外側着用物品の内側面上に載置して使用しても、前記外側着用物品の外側にあるインジケータ6の変色を認識して、尿とりパッド10の濡れを知ることができる。そして、尿とりパッド10の交換時期を時機よく知ることができる。このウィング部5が吸収本体部10aに入り込んだ部分の構成とその作用機序の詳細は後述する。なお、本発明においてウィング部とは、折り返されて着衣等の外側面に位置しうる形状の部材のことであり、その形状は図1に示すような羽形状に限定されるものではない。
【0016】
前述の液の取り込み易さの観点から、インジケータ6の塗布対象物としては、液拡散性シート7であることが好ましい。液拡散性シート7を用いることで、液拡散性シート7の液拡散機能によって吸収体3にある液の変色に必要な量をインジケータ6の方へと積極的に引き込み、その結果、インジケータ6の変色を円滑に生じさせることができる。本実施形態1においては、物品幅方向(X方向)に長さを持つ帯状の液拡散性シート7がインジケータ6よりも幅(Y方向長さ)が広くされ、かつ液拡散性シート7の肌当接面側の幅中央部分にインジケータ6が塗設されている(図2参照)。このように帯状の液拡散性シート7とインジケータ6とが積層されてウィング部5内で標識領域9が形成されている。このような配置とすることで、尿等の体液を広い範囲でインジケータ部分に誘導することが可能になると共に、排尿量が多くなるにつれてインジケータの変色が次第に起こって行くのが視認し易くなるので、物品の交換のタイミングがはかり易くなるので好ましい。
【0017】
インジケータ6と液拡散性シート7とから構成される標識領域9は、物品縦方向(Y方向)に間隔をおいて複数条配されていることが好ましい。このように間欠的な配置とすることで、インジケータ6の変色に必要な液の引き込み領域の面積を必要最小限に抑えることができるので、液漏れを防止するのに効果的である。また、排尿ポイント部分の近くでは引込まれる尿量が多くなって、それ以外の部分との変色量の相違から当該部分の変色が見易くなるので、物品交換のタイミングが計りやすくなる。本実施形態1においては、標識領域9が、左右のウィング部5のそれぞれに4条、物品縦方向(Y方向)に等間隔で離間して配設されている。このようにウィング部5全体に亘って、標識領域9が等間隔で配置されることで、排尿量が多い部分の近辺でインジケータの変色量が多くなり易く、また、排尿量が多くなるにつれてインジケータの変色が次第に起こって行くのが視覚的に確認し易いので、交換のタイミングがはかり易くなることとなり好ましい。
【0018】
また尿とりパッド10において、標識領域9が配されないウィング部5の部分は、撥水性の表側シート51と防水性の裏側シート52とが接合されて、液拡散性シート7が配されている部分と比べて相対的に液拡散性が劣る液体難拡散性領域8となされていることが好ましい(図2参照)。液体難拡散性領域8においては、表側シート51と裏側シート52との疎水性の接合形態であることが好ましく、特に、疎水性の接着剤や、両シート間の熱シール加工又は超音波シール加工などが好ましい。このような構成によって、インジケータ6部分に水分が優先的に誘導されることになり、インジケータ6の変色のタイミングが良好となる。また、必要以上の水分がウィング部分5に導かれ難いので、ウィング部5を介して外部に水分が漏れ出ることを抑制するのに役立つ。
【0019】
前述のようなインジケータ6への液の優先的な誘導と不要な液拡散の抑制による液の横漏れ防止との両立のため、各インジケータ6の幅(物品縦方向の長さ)(w1)、各液拡散性シート7の幅(物品縦方向の長さ)(w2)、及び各液体難拡散性領域8の幅(物品縦方向の長さ)(w3)の比率(w1/w2/w3)は、1/1.5/1〜1/3/5が好ましく、1/2/1〜1/3/4がさらに好ましい。上記範囲内とすることで、ウィング部における、良好な体液の引込み性と体液の漏れ制が両立し易くなる。また、上記下限以上とすることでウィング部を下着、おむつ、またはパッドホルダーに固定可能な大きさに設計しやすくなり、上記上限以下とすることでウィング部を、装着時に左右ウィング部が重ならずに装着する大きさに設計することが容易となる。
【0020】
本実施形態1では、前述の液の取り込み易さの観点から、液拡散性シート7が表面シート1と吸収体3との間まで至るようにして配されている(図2及び3参照)。この構成によって、吸収性物品に排泄された尿等の水分がウィング部5へ誘導され易くなり、インジケータ6の変色のタイミングがより適切なものとなる。本実施形態1のように液拡散性シート7が表面シート1と吸収体3との間に配される場合には、早めに排尿時期を知るのに好適である。特に、吸収容量が小さいタイプの場合には、一度に大量の排尿があったような場合に吸収限界に至るよりも早く変色を知る事ができるので、漏れを防止するのに好適である。
【0021】
前述のインジケータ6への液の優先的な誘導と不要な液拡散の抑制による液の横漏れ防止との両立の観点から、液拡散性シート7が配設される平面視における好ましい範囲として、その縦方向端は、縦方向中心線から前後に50mmの幅が好ましく、30mmの幅がさらに好ましい。また、幅方向内側の端部としては、吸収体の側部領域に留まっていることが、インジケータ6のタイミング良い視覚的変化の観点から好ましい。より具体的には、吸収体3を最大幅部分を基準として幅方向に3分割した場合の左右1/3の幅の領域よりも幅方向外側に液拡散性シート7の内側端が存在することが好ましい。また、本実施形態のように吸収体10の幅方向側部に撥水性のサイドシートが備えられている場合には、吸収性物品を伸長状態としたときのサイドシートの幅方向内側の自由端縁41よりも外側に液拡散性シートの内側端が存在することが好ましい。当該条件は、吸収性物品の股下部Cにおいて達成されていることが好ましい。なお、吸収体3の形状が所謂砂時計形状であって、吸収体3の縦方向前後における最大幅を三分割し、股下部Cで幅方向左右1/3の領域が存在しないか、一部存在しないことも考えられる。一部存在しない場合には、他の部分で上記条件を満たしていればよく、また、股下部Cで全く当該左右1/3の領域が存在しない場合には、腹側部又は背側部において上記条件を満たしていれば良い。
【0022】
本実施形態1ではインジケータ6は吸収本体部10aまで延在しているが、インジケータ6はウィング部5のみに存在していても構わない。その場合、ウィング部5を折り曲げた状態で液が確実に受け渡しされる観点から、最も吸収本体側に位置するインジケータ6は、接合端k(図3,4参照)からの距離が20mm以内に配されるのが好ましく、特に10mm以内、更には2mm以内に配されるのが好ましい。
【0023】
本実施形態1の尿とりパッド10においては、ウィング部5の入り込み部分と吸収本体部10aとは、縦方向(Y方向)に沿って形成された接合部により固定されている。前記接合部の形成方法としては、この種の物品に用いられる方法を用いることができる。例えば、ホットメルト接着剤による部材間の接合、エンボス加工やヒートシール、超音波シールなどの加熱、加圧処理によって積層された部材を部分的に融着させて一体化する接合などが挙げられる。前記エンボス加工としては熱エンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等がある。この接合部は、ウィング部5が尿とりパッド10の使用時に吸収本体部10aからズレたり分離したりしないようしっかり固定させるものであり、液漏れを防止するためのものである。一方で、接合対象としてのウィング部5の入り込み部分は、インジケータ6の変色をし易くするよう液の誘導路となるべき部分でもある。したがって、ウィング部5と吸収本体部10aとの接合は、固定性及び液防漏性と液の引き込みとの両立が必要となる。
【0024】
そこで本発明は、前記接合部に水分の透過可能な領域(以下、「水分透過可能領域」とも言う)を配設することにより、ウィング部5の固定性及び液防漏性を維持しつつ、液の取り込み性を確保し得るものである。つまり前記接合部にあって、前記水分透過可能領域が液をインジケータ6へと誘導し得る。この水分透過可能領域は、接合部の一部について、(1)接合強度を弱める、(2)非接合とする、(3)水溶性接着剤を用いて水易溶解性にするなどの方法により形成され得る。また、前記接合部及び水分透過可能領域の配設位置及び範囲は、ウィング部5の入り込み範囲や入り込み構成部材によって異なる。水分透過可能領域は、少なくともインジケータ6又は液拡散性シート7の配置位置に対応して配されることが好ましい。本実施形態1においては、少なくともウィング部5が吸収本体部10aに入り込む内方端付近の標識領域9の配置位置において、水分透過可能領域が形成されている。この接合部の配置位置及び範囲について、ウィング部5の入り込み部分における好ましい部材構造とともに、図3〜5を参照して以下に説明する。以下の説明は、図1の左側のウィンング部5に係る部分について図3〜5を参照してなされるが、右側のウィング部5に係る部分も左右対称である以外は同様である(後述の実施形態2及び3においても同様)。なお、ウィング部5の入り込み部分というとき、前述のとおり、構成部材全体が入り込んだ部分に限らず、その一部の構成部材のみが入り込んだ部分をも意味する。
【0025】
図3は、図1のIII−III線断面の拡大断面図であり、液拡散性シート7が配されている標識領域の断面図である。図4は、図1のIV−IV線断面の拡大断面図であり、液拡散性シート7が配されない液体難拡散性領域の断面図である。図5は、図1の左側のウィング部と吸収本体部の前記ウィング部が入り込んだ部分周辺を模式的に示す部分拡大平面図であり、接合部及びその水分透過可能領域の配置位置につて説明するための図である。図3〜5では、物品幅方向(X方向)に領域g1(領域g11及び領域g12)及び領域g2(領域g21及び領域g22)と区分して説明する。領域g1は、サイドシート4がウィング部5を介して裏面シート2と積層されている領域であり、吸収体3の配されない領域である。より詳細には、領域g11はウィング部5の基底領域であり、領域g12は、領域11のウィング部5の基底領域から吸収体3の側縁までを繋ぐ領域である。他方、領域g2は、吸収体3の肌当接面側の幅方向(X方向)側縁付近であって、サイドシート4から形成される立体ギャザーが配される領域に重なる。より詳細には、領域g21は、サイドシート4から形成される立体ギャザーの基底領域であり、領域g22は、領域g21よりさらに幅方向内方に及んで防漏カフをなす自由端縁41までの領域である。
【0026】
まず、好ましい部材配置について図3及び4を参照して説明する。領域g2は、起立した立体ギャザーによって液の横漏れを防止するいわゆる防波堤となる部分である。この領域g2、特に領域g22に液拡散性シート7が吸収体3の肌当接面側に配されることで、吸収体3の幅方外方へ拡散しようとする液をタイミングよく捕捉して、インジケータ6へと誘導することができる。そのため本実施形態1の領域g22では、ウィング部5の標識領域9において(図3及び5参照)、表側シート51を伴う液拡散性シート7が4条、吸収体3に直接当接して配置されている。さらに液拡散性シート7は、インジケータ6を伴って変色をより生じやすくさせている。あるいはこの実施形態に限らず、液拡性シート7とともにウィング部5の裏側シート52を領域g22まで延出させて部分的に孔を多数設けてもよい。この場合、液の液拡散をより効果的に抑制するよう調節が可能である。また、ウィング部5の表側シート51は、領域g22まで及んで液拡散性シート7の肌当接面側を覆ってもよく、領域g21に留まってもよい。本実施形態1のように表側シート51が領域g22まで及んでいることで、液の表面シート1側への液戻りを抑制し得るので好ましい。
また、領域g21は、立体ギャザーの基底領域としてサイドシート4と表面シート1とが接着剤等による接合部87でしっかりと接合固定されている領域である。したがって本実施形態1の領域g21では、ウィング部5の標識領域9において(図3及び5参照)、ウィング部5を構成する撥水性の表側シート51と液拡散性シート7とが積層配置され、防漏性を保持する構造である。これにより、液拡散性シート7が誘導する液を不必要に肌当接面側に漏らすことなく好ましい。なお本実施形態1においては、領域g21にはウィング部5の防水性の裏側シート52は配されず、液拡散性シート7が吸収体3と当接して液を捕捉しやすくしているが、防漏性の観点から必要によりこの領域に裏側シート52を配してもよい。一方、領域g21及びg22における、液拡散シート7が配されないウィング部5の液体難拡散性領域8では(図4及び5参照)、撥水性の表側シート51のみが表面シート1と吸収体3との間に介在するよう配置され、液の拡散を抑制している。
【0027】
領域g1は、吸収体3の側縁より幅方向外側に位置する領域である。この領域g1においては、液の横漏れ防止の観点から、液の移動は極めて限定的なものとされることが好ましい。そのため、領域g11及び領域g12のいずれの領域においても、ウィング部5の標識領域9において(図3及び5参照)、液拡散性シート7を撥水性の表側シート51と防水性の裏側シート52で挟持し、さらに撥水性のサイドシート4と防水性の裏面シート2とで覆う積層構造である。一方、領域g1における、ウィング部5の液体難拡散性領域8では(図4及び5参照)、表側シート51及び裏側シート52が疎水性の接合形態とされて配置されている。
【0028】
次に、好ましい接合構造について図5を参照して2つの実施例を挙げて説明する。図5では、前述の領域g1(領域g11及び領域g12)及び領域g2(領域g21及び領域g22)を図3及び4に対応させて示している。インジケータ6及び液拡散性シート7からなる4条の標識領域9は、縦方向(Y方向)に間隔をあけて、表側シート51を伴なって幅方向(X方向)に配置されている。また標識領域9は、領域g1及びg2を横断し、その端部が領域g22にまで及んでいる。このような構造に対し、ウィング部5の固定性及び液防漏性の観点から、少なくとも領域g22の領域においてウィング部5の入り込み部分の縦方向(Y方向)最大幅を覆う範囲で、接合部が形成されることが好ましい。
【0029】
まず、実施例1について実施形態1に基づき説明する。尿とりパッド10においては、領域g22に接合部100が形成されている。接合部100において、ウィング部5の固定性及び液防漏性とともに液の取り込み性の観点から、液拡散性シート7を含む標識領域9の位置に水分透過可能領域91が4か所に形成されている。より具体的には、水分透過可能領域91は、領域g22という吸収体3に最も入り込んだ幅方向(X方向)位置において、標識領域9にあたる縦方向(Y方向)に間欠的な領域において形成されている。つまり接合部100は、液の取り込み口となる領域g22の位置にあって、水分透過可能領域91を配することで拡散性シート7と液との接触を阻害しない。これにより、接合部100の水分透過可能領域91以外の部分でしっかりとウィング部5を固定させながら、液拡散性シート7の吸収体側端部でタイミングよく液を捕捉してインジケータ6へと液を誘導できる。これを尿とりパッド10の厚み方向断面における部材間の接合構造として見ると以下のとおりとなる。
【0030】
この接合部100を厚み方向にみると、まずウィング部5の標識領域9において(図3参照)、領域g22の接合部101(吸収本体部10aの表面シート1とウィング部5の表側シート51との接合部)であり、領域g22の接合部102(液拡散性シート7と吸収体3との接合部)である。また、ウィング部5の液体難拡散性領域8において(図4参照)、領域g22の接合部103(吸収本体部10aの表面シート1とウィング部5の表側シート51との接合部)であり、領域g22の接合部104(表側シート51と吸収体3との接合部)である。接合部100において、水分透過可能領域91は、標識領域9における接合部102(液拡散性シート7と吸収体3との接合部)に形成され、その他の接合部101,103及び104は、固定性と液防漏性の観点からしっかりと接合固定されている。なお、図4に示す液体難拡散性領域8において、表側シート51及び裏側シート52の当接部分は、前述のとおり疎水性の接合形態(疎水性の接着剤や熱シール加工、超音波シール加工等)で接合されている。接合部100の形成方法は、前述のとおり、ホットメルト接着剤による部材間の接合、エンボス加工やヒートシール、超音波シールなどの加熱、加圧処理によって積層された部材を部分的に融着させて一体化する接合などを用いることができる。しかし、接合部101〜104は、液透過性の表面シート1や液吸収保持性の吸収体3を含む接合であるため、液防漏性や液吸収性の観点から、部材をフィルム化しない接合であること好ましい。例えば、接着剤による部材間の接合やフィルム化しない程度のエンボス加工等であることが好ましい。
【0031】
そして、水分透過可能領域91となる接合部102の形成方法は、液拡散性シート7による吸収本体部10aからウィング部5への液拡散を担保するために、液体が通過可能な接合形態であることが好ましい。例えば、(1)接合部102の接着剤の坪量を他の接合部(強接着の部分)よりも小さい弱接着とし、接合部101,103及び104を強接着とする、(2)接合部102を非接着とする、(3)接合部102を水溶性接着材料を用いた水易溶解性とし、接合部101,103及び104を水不溶性接着材料を用いた水難溶解性とする、などが挙げられる。
【0032】
前記(1)の接合部102の接着剤の坪量を他の接合部よりも小さくする場合には、接合部102の接着剤の坪量を0.1〜9g/m2、特に0.5〜8g/m2とすることが、ウィング部5と吸収本体部10aとの接合の強度を保ちながら液を通過させる観点から好ましい。これに対し、接合部101,103及び104の接着剤の坪量を0.5〜17g/m2とすることが好ましく、1〜15g/m2とすることがさらに好ましい。なお接着剤の塗工方法としては、スパイラル塗工によってホットメルト接着剤を粗密に塗布する方法、カーテンスプレー塗工によってホットメルト接着剤をファイバー状に塗工する方法、ビード状に複数本塗工する方法等を採用することができる。この場合、接合部の幅は小さくすることが液通過の観点から好ましい。また、スパイラル形状であることが接合強度との両立が図りやすいので好ましい。特に、上記坪量とスパイラルを組み合わせることが好ましい。
【0033】
前記(3)の接合部102を水溶性接着材料を用いた水易溶解性とする場合、水溶性接着材料としては、ポリビニルアルコール、澱粉性の接着性材料など粘着剤を用いることが、また塗工方法としては、スパイラル塗工によって粗く塗布する方法等を用いることが、微量の液で容易に溶解し得るので好ましい。この水易溶解性ないしは水溶性というとき、その程度は、固定性及び防漏性と液の取り込み性の観点から、液との接触や液の浸透により接合部が剥がれる、または隙間が生じるものであることが好ましい。水溶性接着材料の坪量としては、0.1〜9g/cm2が好ましく、0.5〜8g/cm2が、体液との接触前における十分な接合強度と、体液との接触後での接合の容易な解離が両立し易いことからさらに好ましい。
また、接合部101,103及び104を水不溶性接着材料を用いた水難溶解性とする場合、水不溶性接着材料としては樹脂系の接着剤を用いることが好ましく、また塗工方法としては疎水性粘着剤をビード状に塗工する方法等を用いることが好ましい。この水難溶解性ないしは水不溶性というとき、その程度は、液との接触によって接合部分が剥がれない程度であることが好ましい。水不溶性接着材料の坪量としては、0.5〜17g/cm2が好ましく、5〜15g/cm2がさらに好ましい。
【0034】
前記(1)の接合部102を弱接合とする場合や(2)の接合部102を非接着とする場合、接合部102に接着剤を塗布しない方法だけでなく、エンボス加工による方法であってもよい。具体的には、領域g22に縦方向に形成される接合部100おいて、ウィング部5の液難拡散性領域8(図4及び5参照)を圧着して一体化し、一方で、標識領域9(図3及び5参照)を非圧着とすることまたは液拡散性シート7と吸収体3との間の液の移動を阻害しない程度に弱圧着することが挙げられる。
エンボス加工を用いる場合、ウィング部5の液難拡散性領域8では(図4参照)、接合部103及び104を含めた表面シート1、表側シート51、裏側シート52及び吸収体3が一体化してしっかりと圧着接合されるので、ウィング部5と吸収本体部10aとの固定性及び液防漏性が強固なものとなり好ましい。ただし、前述のとおり、フィルム化しない程度であることが好ましい。この観点から、液難拡散性領域8のエンボスの程度は、製品厚みの20〜80%に及ぶものであることが好ましく、特に30〜75%であることが好ましい。前記下限以上とすることで、液難拡散性領域8と標識領域9との間で十分な厚みの差が生じ、標識領域9へと液を導きやすくとなり、前記上限以下とすることで、フィルム化や、硬化が抑制された、使用時の装着感の良好なものとなる。また、前記エンボス加工は、接合部101,103及び104を前述の接着剤で固定したうえで行うことも固定性及び防漏性の観点から好ましい。
一方で、標識領域9では(図3参照)、弱圧着とするエンボスの程度は、製品厚みの2〜40%であることが好ましく、5〜20%であることが好ましい。前記下限以上とすることで、液難拡散性領域8と標識領域9との間で厚みの差が生じ、標識領域9へと液を導きやすくとなり、前記上限以下とすることで、フィルム化や硬化がなく使用時の装着感が良好なものとなる。
なお、強圧着と弱圧着の各エンボスの程度の差は、製品厚みで5〜75%、特に10〜60%であることが好ましい。
【0035】
さらに接合部100の接合構造は、ウィング部5と吸収本体部10aとを固定し液漏れを防ぐものとして、領域g22のみに形成されてもよく、さらに同じ接合構造が領域g21に接合部110として形成されてもよい(図5参照)。あるいは、接合部100と接合部110とが連続したものとして形成されてもよい。また、接合部100及び接合部110は、それぞれの領域g22及びg21の幅方向(X方向)に一致させて形成されてもよく、それよりも狭幅にされていてもよい。
【0036】
接合部110が形成される領域g21は、前述のとおり、立体ギャザーの基底領域としてサイドシート4と表面シート1とが接着剤等による接合部87でしっかりと接合固定されている領域である。そのため水分透過可能領域91を設けつつも、この領域g21の防漏性を高める観点から、接合部110の接合強度を接合部100よりも高いものとすることが好ましい。具体的には、接合部110を厚み方向にみて、ウィング部5の標識領域9(図3参照)における接合部111(吸収本体部10aの表面シート1とウィング部5の表側シート51との接合部)、ウィング部5の液体難拡散性領域8(図4参照)における領域g21の接合部113(吸収本体部10aの表面シート1とウィング部5の表側シート51との接合部)、及び接合部114(表側シート51と吸収体3との接合部)を、領域g22の接合部100における接合部101,103及び104より強接合とすることである。一方で、領域g21の接合部112(液拡散性シート7と吸収体3との接合部)は、領域g22の接合部102と同様に水分透過可能領域91とされる。このように接合強度の強弱又は非接合と接合との組み合わせで、固定性及び液防漏性を維持しつつ、水分透過可能領域91を形成する場合、領域g22の接合部101〜104及び領域g21の接合部111〜114の接合強度の比は、102接合部<112接合部≦101接合部≦103接合部≦104接合部<111接合部≦113接合部≦114接合部であることが好ましい。
【0037】
接合部を強接合と弱接合の組合せで設ける場合には、液難拡散性領域8の接合強度は、500〜3000cN/30mm、特に500〜1500cN/30mmとするのが好ましい。一方、水分透過可能領域91の接合強度は、50〜500cN/30mm、特に50〜250cN/30mmとするのが好ましい。接合部全体の接合強度は、500〜2500cN/30mmとするのが好ましい。接合強度の測定方法は、各接合部について、適当な大きさに切り出してサンプルとし、得られたサンプルについて、引張試験機にて、300mm/minで180°剥離強度を測定し、これを幅30mmに換算する。なお、強接合部及び弱接合部については、疑似的に各接合部と同条件で作製した幅の広いサンプルを用いて測定してもよい。
【0038】
さらに前記接合部100及び110に加えて、接合部100と同じ接合構造のものが、領域g11に接合部130として形成されてもよい(あるいは図示しないが、接合部130同様の接合構造として接合部120が領域g12に形成されてもよい)。この場合、領域g11及びg12を合わせた領域g1は、前述のとおり、吸収体3の配されない領域であり、ウィング部5の基底領域から吸収体3の側縁までの領域である。したがって、最も防漏性が求められる領域である。この領域における接合部130(あるいはこれに加えて接合部120)は、吸収体3がないために、エンボス加工やヒートシール、超音波シールによってフィルム化し部材を一体化する強接合とすることも好ましい。具体的には、接合部130を厚み方向にみて、ウィング部5の液体難拡散性領域8(図4参照)における吸収本体部10aのサイドシート4、ウィング部5の表側シート51、裏側シート52、及び吸収本体部10aの裏面シート2までが一体化された強接合部131とされることが好ましい。また、ウィング部5の標識領域9(図3参照)における吸収本体部10aのサイドシート4、ウィング部5(表側シート51、インジケータ6、液拡散性シート7、及び裏側シート52)、及び吸収本体部10aの裏面シート2は、液拡散性シート7の液拡散性を阻害しない程度に一体化された弱接合部132とされることが好ましい。弱接合部132が液拡散性シート7の液引き込み性を阻害しない水分透過可能領域91とされる。強接合部131の形成方法としては、疎水性粘着剤、ヒートシール、超音波シール等が好ましい。
【0039】
次に、本発明の水分透過可能領域を含む接合部の実施例2について、実施形態1に基づいて図3〜5を参照して説明する。
実施例2においては、前述の実施例1とは異なり、接合部100全体(図5参照)を水分透過可能領域とし、接合部110(ないしは接合部120及び130)(図5参照)を強接合部とする接合構造である。接合部100全体を水分透過領域とすることは、厚み方向にみて、接合部101〜104(図3及び4参照)を、前述のように、(1)接着剤の坪量を少なくしたり圧着強度を弱めたりして接合強度を弱める、(2)非接合部とする、(3)水溶性接着材料を用いて水易溶解性にする、ことにより形成することができる。
【0040】
実施例2においては、水分透過性領域とされた接合部100に対し、接合部110(ないしは接合部120及び130)全体を、固定性と液防漏性の観点から接合強度を高める接合とされている。強接合の方法としては、接着剤の塗布坪量を高めたり、エンボスやヒートシール等の圧着強度を高めてフィルム化したり、水不溶性接着材料を用いた水難溶解性としたりすることが挙げられる。実施例2においては、接合部100にある液拡散性シート7の端部が液をより強く取り込むことができるため、接合部110(ないしは接合部120及び130)の接合は液拡散性シート7の液の引き込み性を接合部100よりも多少抑えた接合とすることも可能となる。しかし、それでも液拡散性シート7の液の引き込み性が完全には阻害されずインジケータ6全域で変色が可能となるよう、接合部110(ないしは接合部120及び130)の接合強度である必要がある。この観点から、接着剤の坪量では0.1〜9g/m2が好ましく、0.5〜8g/m2がさらに好ましい。またエンボスやヒートシール等の圧着による場合、製品厚みの2〜40%が好ましく、5〜20%がさらに好ましい。
【0041】
次に、図6を参照して、尿とりパッド10の使用状態について説明し、ウィング部5のインジケータ6による液排泄の検知方法について説明する。図6は、図1のVI−VI線断面の拡大断面図であり、(a)は装着前のウィング部を伸長した状態を示し、(b)はウィング部を折り返して着衣に固定した状態を示す。なお図6(b)においてウィング部5と裏面シート2との関係を説明するため着衣wは2点鎖線で示した。
尿とりパッド10を装着して使用する際、図6(a)に示す展開状態の尿とりパッド10を、ウィング基端位置5tあるいはその周辺位置に沿ってウィング部5を物品幅方向内側へ向けて、かつ裏面シート2の存在する側へ折り曲げ、外側着用物品である着衣wのクロッチ部分等を巻き込むようにして粘着剤53で固定する。この固定された状態が尿とりパッドの使用状態であり、図6(b)に示すとおり、ウィング部5のインジケータ6と吸収本体部10a内部の吸収体3とは厚み方向に積層した位置関係となる。
【0042】
本実施形態1において、装着状態では表側シート51が反転して非肌当接面側に配される。該表側シート51は着衣等よりも外側に位置することになるので、着衣wの外側からでもウィング部5の表側シート51及びこれを介してインジケータ6の視覚的変化を認識することができる。前述のとおり、インジケータ6が塗布された液拡散性シート7は、吸収本体部10a内部の吸収体3の肌当接面側にまで至り、その液拡散機能を阻害されずに吸収本体10aと接合されている。そのため、排泄液が表面シート1から吸収体3へと吸収され幅方向に拡散する段階で、該液は液拡散性シート7によって捕捉される。そして液が的確にインジケータ6へと引き渡され、インジケータ6の変色が生じる。つまり尿とりパッド10を着衣wに装着したままでも吸収体3に排泄尿等が吸収保持されたことを認識することができる。それによって尿漏れする前にタイミングよく尿とりパッドを取り替えることが可能となる。本実施形態1の尿とりパッドでは、従来のもののように吸収体3に視認のための穴を設ける必要がなく吸収体の吸収性能を落とす必要がない。また本実施形態1の尿とりパッド10において、ウィング部5,5を設けることで、着用者の排尿ポイントp(図2参照)を含む前記股下部Cをしっかりと固定できズレを抑えられる。ここで排尿ポイントpとは、着用者が尿とりパッド10を着用した際に尿が排泄される領域及びその周辺を意味し主に股下部Cを中心とする部分である。本発明の張り出し部は、幅方向に関して排尿ポイントpから外方へ延びる領域を含むように配されると、時機良いインジケータの視覚的変化が得られ易い。なお、本実施形態1においては、この排尿ポイントを含む股下部Cの幅方向外方にウィング部5,5が配設されている。
【0043】
液拡散性シート7の液拡散性能は、後述する測定方法によって得られるクレム吸水高さで示される。ウィング部5への液を素早くかつ正確に伝播させる観点から、幅方向へのクレム吸水高さが25mm以上であることが好ましく、25mm〜100mmであることがより好ましく、35mm〜80mmであることがさらに好ましい。このように液拡散性に優れた液拡散性シート72を配設することによって、幅方向への液拡散を適度にかつ容易に導きやすくなりインジケータ6の変化に効果的である。液を幅方向へ効果的に拡散するためには、矩形の液拡散性シートを股下部Cにおいて、排泄ポイント近傍に配置することで、ウィング部のインジケータに確実に液を伝達することができる。
【0044】
本実施形態1において、ウィング部5の表側シート51は、インジケータ6の視覚的変化(変色、色消失、色出現)が視認可能とされていることが好ましい。透明性の指標としては、JIS P8138に準じて測定する不透明度が50%以下であることが好ましく、40%以下であることより好ましく、30%以下であることがさらに好ましい。この不透明度の測定方法は後述する。なお本実施形態1において、表側シート51は、1つのシート材をサイドシート4と接合するようにされているが、これに代えて吸収本体部10aを構成するサイドシート4などのシート材の一部が延出して表側シート51とし、部分的に不透明度を下げる処理を施してもよい。本実施形態1は、下着やおむつカバーに装着して使用するナプキンや尿とりパッドが好ましく、該下着やおむつカバーは蒸気の透過を阻害しない透湿性を有することが好ましい。
【0045】
本実施形態1において、ウィング部5の裏側シート52の防水性の程度は、液体の透過を十分に阻止する観点から、耐水圧で100mm以上が好ましく、500mm以上がさらに好ましい。また裏面シート2ないしその裏側シート部52が透湿性を有する場合、その程度は、インジケータの変色を発揮し、防水性を維持しつつ、おむつ内部のムレやそれに伴う着用者の肌のカブレを十分に防止する観点から、0.5〜4.0g/(100cm2・h)が好ましく、1.0〜2.5g/(100cm2・h)がさらに好ましい。この範囲にあることで裏面シート2に到達した液そのものは通過せず蒸気だけが通過するようにできる。またウィング部5の裏側シート部52において蒸気そのものは通過するが、ウィング部5内部で結露した水分は裏側シート部52を通過せず着衣側に戻るのを防ぐ。このようにすることで着衣への水分の付着を抑えることができる。なお、シート材の防水性及び透湿性の測定方法については後述する。
【0046】
(実施形態2)
図7及び8は本発明の別の実施形態(実施形態2)としての尿とりパッド20の、図3及び4相当図面である。本実施形態2の尿とりパッド20は、前記実施形態1のウィング部5を構成している液拡散性シート7が吸収体3と裏面シート2との間まで延在している。この拡散シートによって排尿による水分をインジケータ6へと導くことができる。例えば、繰り返しの排尿によってじわじわと液が吸収体3に吸収される場合、吸収体3の非肌側面まで液が到達するような段階で取り換え時期が近い状態となることがある。そのため、その時点で液を的確に捕捉してインジケータ6を変色させることができれば、尿とりパッド10の交換時機を時機よく判断することができるので好ましい。
【0047】
尿とりパッド20において、吸収体3の非肌面側まで到達した液は、吸収体3の幅方向中心線付近からサイドシート下側平面部42の液拡散性シート7によって幅方向へと拡散してシート材の接合端k付近まで移動する。この移動した液は、ウィング部5の基底領域g11の表側シート51及び裏面シート2との間を通過し、ウィング部5内のインジケータ6に視覚的変化が生じさせる。
【0048】
前述のインジケータ6への液の優先的な誘導と不要な液拡散の抑制による液の横漏れ防止との両立の観点から、液拡散性シート7が配設される平面視における好ましい範囲として、その縦方向端は、縦方向中心線から前後に50mmの幅が好ましく、30mmの幅がさらに好ましい。また、幅方向内側の端部としては、吸収体3の幅方向中央付近まで至ることが、インジケータ6のタイミング良い視覚的変化の観点から好ましい。より具体的には、吸収体3を、最大幅部分を基準として幅方向に3分割した場合の左右1/3の幅の領域よりも幅方向内方に液拡散性シート7の内側端が存在することが好ましい。当該条件は、吸収性物品の股下部Cにおいて達成されていることが好ましい。なお、吸収体3の形状が所謂砂時計形状であって、吸収体3の縦方向前後における最大幅を三分割し、股下部Cで幅方向左右1/3の領域が存在しないか、一部存在しないことも考えられる。一部存在しない場合には、他の部分で上記条件を満たしていればよく、また、股下部Cで全く当該左右1/3の領域が存在しない場合には、腹側部又は背側部において上記条件を満たしていれば良い。さらに、吸収体3の厚み方向に透過される液を的確に捉える観点から、排尿ポイントに対応する位置まで至ることが好ましい。
【0049】
本実施形態2では、インジケータ6は吸収本体部20aまで延在しているが、インジケータ6はウィング部5のみに存在していても構わない。その場合、ウィング部5を折り曲げた状態で液が確実に受け渡しされる観点から、最も吸収本体側に位置するインジケータ6は、接合端k(図7参照)からの距離が20mm以内に配されるのが好ましく、特に10mm以内、更には2mm以内に配されるのが好ましい。
【0050】
尿とりパッド20において、液拡散性シート7を含むウィング部5及び吸収本体部10aの各部材の好ましい配置及び好ましい接合構造は、前述の実施形態1と同様に、領域g1及び領域g2に区分して説明することができる。この点につき図7〜9を参照して以下に説明する。
【0051】
まず、好ましい部材配置について説明する。領域g2は、吸収体3の側部周辺の領域である。この領域g2、特に領域g22に液拡散性シート7が吸収体3の非肌当接面側に配されることで、吸収体3の非肌当接面側から幅方外方へ拡散しようとする液をタイミングよく捕捉して、インジケータ6へと誘導することができる。さらに、液拡散性シート7が領域g22を越え吸収体3の幅方向中央付近まで配されていると、吸収体3の排尿ポイント部分で大量に捕捉した体液のうち、非肌当接面側に到達した液をより早く捕捉できるので好ましい。そのため本実施形態2においては、ウィング部5の標識領域9において(図7及び9参照)、4条の液拡散性シート7が表側シート51及び裏側シート52を伴わず、幅方向中央付近まで及ぶ配置とされている。これにより、液拡散性シート7は、吸収体3に直接当接して液を捕捉しやすくなり、また裏面シート2との関係においては、体液が面方向に拡散されやすくなるために一箇所に体液が集中し難くなって裏面シート2から体液が滲み出にくくなり、防漏性を高く維持し易い構成となるので好ましい。あるいはこの実施形態に限らず、表側シート51を領域g22まで延出させる場合、的確な液の捕捉ができるよう部分的に孔を多数設けてもよい。この場合、液の拡散をより効果的に抑制するよう調節が可能である。また、ウィング部5の裏側シート52が領域g22まで延出させる場合、裏面シート2と一体構成とすることができる。
また、領域g21は、吸収体3の側縁領域であり、吸収体3のない領域g1と隣接する領域である。そのため、液拡散性シート7によって引き込まれる液を領域g1で不要に拡散させないことが好ましい。本実施形態2においては、ウィング部5の標識領域9において(図7及び9参照)、ウィング部5を構成する撥水性の表側シート51と液拡散性シート7とが積層配置され、防漏性を保持する構造である。一方、液拡散シート7が配されないウィング部5の液体難拡散性領域8では(図8及び9参照)、撥水性の表側シート51及び防水性の裏側シート52のみが疎水性の接合形態で領域g21に延出しており領域g22にまでは及んでいない。
【0052】
領域g1は、吸収体3の側縁より幅方向外側に位置する領域である。この領域g1においては、液の横漏れ防止の観点から、液の移動は極めて限定的なものとされることが好ましい。そのため、領域g11及び領域g12のいずれの領域においても、ウィング部5の標識領域9において(図7及び9参照)、液拡散性シート7を撥水性の表側シート51と防水性の裏側シート52で挟持し、さらに撥水性のサイドシート4と防水性の裏面シート2とで覆う積層構造であることが好ましい。一方、領域g1における、液拡散シート7が配されないウィング部5の液体難拡散性領域8では(図8及び9参照)、撥水性の表側シート51及び防水性の裏側シート52が疎水性の接合形態で配されている。
【0053】
次に、好ましい接合構造について説明する。本実施形態2においても、ウィング部5と吸収本体部20aとの間が、長手方向に沿った接合部によって接合されている。この接合部は、前述の本実施形態1の好ましい接合構造(実施例1及び2)のものを用いて、水分透過可能領域を形成することができる。これにより、ウィング部5の固定性及び液防漏性を維持しつつ、液の取り込み性を確保し得る。
本実施形態2において、図7及び9に示すように、領域g22からさらに吸収体3の幅方向中央付近に及ぶ標識領域9に合わせて、接合部200が配設されている。接合部200には、標識領域9の位置に4つの水分透過可能領域92が形成されている。厚み方向にみると、ウィング部5の標識領域9において(図7及び9参照)、接合部201(液拡散性シート7と吸収体3との接合部)及び接合部202(液拡散性シート7と吸収本体部10aの裏面シート2との接合部)が水分透過可能領域92とされている。一方、ウィング部5の液体難拡散性領域8において、ウィング部5の構成部材は配されず、接合部は形成されていない。つまり実施形態2の接合形態は、前述の実施形態1の実施例1及び2を兼ねるものとなる。さらに領域g21、g12及びg11における接合部210、220及び230として、前記の実施形態1のものを採用して組み合わせることができる。
【0054】
(実施形態3)
次に、液拡散性シート7のないウィング部5を備える尿とりパッド20の部材配置と接合構造について図10及び11を参照して説明する。図10は、本発明のさらに別の実施形態(実施形態3)としての尿とりパッドを展開し伸長した状態を模式的に示す平面図である。図11は、図10のXI−XI線断面の拡大断面図である。なお、図10において表面シートの外形において破線(隠れ線)による図示は省略し、これに包まれた吸収体3のみを破線で示している。また図11おいて、吸収体3の被覆シートは省略し示している。本実施形態3の尿とりパッド30において、ウィング部5は、撥水性の表側シート51と吸収本体部30aの裏面シート2が幅方向(X方向)外方に延出してなる裏側シート部52とで構成されている。さらに表側シート51と裏側シート部52との間にインジケータ6が直接塗設されており液拡散シート7を有しない。ウィング部5の表側シート51は、吸収本体部30a側の基底領域g11の接合端に入り込んで接合されており、インジケータ6は、それより幅方向外方で配設されている。つまりウィング部5は吸収体3とは接触しない配置である。吸収本体部30aは、前記実施形態1の撥水性のサイドシート4が吸収体3の幅方向に廻りこみ吸収体3の非肌面側の全面を被覆している。吸収体3と防水性の裏面シート2との間には、幅方向に液を拡散させる液拡散空間71が配されている。また、撥水性のサイドシート下側平面部42が吸収体の幅方向中心線付近を部分的に親水化処理等によって液透過性を高めた液易透過領域vとし、吸収体3から前記液拡散空間71への液の通路となる。これにより、吸収体3の非肌面側まで到達した液が、吸収体3の幅方向中心線付近からサイドシート下側平面部42の液易透過領域vを通過し、さらに液拡散空間71を介して液が空間内で漏れ広がり幅方向へと拡散してシート材の接合端k付近まで移動する。この移動した液は、基底領域g11の表側シート51及び裏面シート2との間を通過し、ウィング部5内のインジケータ6に接触する。この液との接触でインジケータ6に視覚的変化が生じる。
【0055】
尿とりパッド30において、ウィング部5はウィング基底領域g11において吸収本体部30aに入り込んでいる。そのため両者を固定する接合部300は、領域11においてのみ縦方向(Y方向)に配設されている。本実施形態3においては、接合部300が、実施形態1の実施例1における接合部100と同じ接合形態とされている。つまり接合部300のうち、インジケータ6の配置位置の4箇所において水分透過可能領域93が縦方向(Y方向)に間隔を開けて形成されている。水分透過可能領域93が、液の取り込み口となって液拡散空間71からの液をインジケータ6へと誘導することができる。また、接合部300の水分透過可能領域93以外の部分で、ウィング部5と吸収本体部30aとをしっかりと固定し液の防漏性を高めている。
【0056】
なお、液易透過領域vの形成方法は、孔を多数設けて液透過性を高める方法、撥水性材料に親水化剤(親水性の界面活性剤等)を付与する方法で液透過性を高める方法が挙げられる。本実施形態の尿とりパッド20は、このようなサイドシート4の配置によって液漏れを抑えつつ液の幅方向への拡散を効果的になすことができる。なお液易透過領域vは本実施形態2の形成方法に限定されず、例えば吸収体3の幅方向中心線付近がサイドシート4で被覆されていない形態であってもよく、更に幅方向中心線付近に別の親水性シート材を配するようにしてもよい。
液拡散空間71は、尿とりパッドが使用前に形成されている必要はなく、製品がパッケージ形態で販売されるような場合に圧縮されて空間が潰れていても、排泄液が到達した際に空間が形成されればよい。また、使用前においては材料間が親水性の固定手段によって固定されており、排泄液と接触することによって材料間の固定が解除されるようになされていてもよい。また液拡散空間71は、少なくとも股下部Cにおいて、液拡散空間71全体を1つの空隙部とする形状、液拡散空間71内において幅方向に延びる細長い通路を複数条配設する形状などが挙げられるが、装着時のクロッチ部分の浮き感を抑える観点から前記複数条の幅方向に延在する通路とすることが好ましい。液拡散空間71の形成方法は、この機能を有すれば特に限定されずに様々な方法を採用でき、例えば前記両シート材の非接着部分を設ける方法であってもよく、押圧して溝を形成する方法、サイドシート下側平面部42と裏面シート2との間をスパイラル塗工によってホットメルト接着して、接着剤が粗密に塗布されることによる毛細管力を利用した液拡散路とすることもできる。
【0057】
本実施形態3において、液拡散空間71の縦方向端は、縦方向中心線から前後に50mmの幅が好ましく、30mmの幅がさらに好ましい。本実施形態3において、ウィング部5を折り曲げた状態で液が確実に受け渡しされる観点から、インジケータ6の内側先端6bの位置は、接合端kからの距離(基底領域g11の距離)が20mm以内であることが好ましく、特に10mm以内、更には2mm以内がさらに好ましい。
【0058】
(ウィング部5の変形例)
実施形態1〜3いずれのウィング部5においても、インジケータ6及び液拡散性シート7の間欠的な配置は、吸収本体部10a側にあれば、液の効果的な取り込みが効果的になされるので好ましい。そのためウィング部5内の平面配置としては、実施形態1及び2のように帯状のもの4条が等間隔で配置されるものに限定されるものではなく、任意の配置とすることができる。例えば、図12に示すように、4条のインジケータ6及び液拡散性シート7が放物線上に湾曲した形状など種々採用することができる。
【0059】
以下本実施形態1〜3の尿とりパッドを構成する部材の素材について説明する。
(液拡散性シート)
液拡散性シート7の形成素材として、通常の親水性シート、具体的にはレーヨン、コットン、パルプなどの親水性繊維等を含むものが挙げられる。拡散シートは幅方向へのクレム吸水高さが25mm以上であることが、ウィング部5への体液情報を素早く伝える観点から好ましい。好ましくは、25mm〜100mm、特に35mm〜80mmであると、インジケータへの体液情報伝達が素早く、かつ正確になされるので好ましい。拡散性を制御する方法としては、シートを構成する親水性繊維に加えて、(1)親水性粒子を含ませること、(2)疎水性繊維を含ませること、が挙げられる。親水性粒子としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等が挙げられ、特に酸化チタンが好ましい。疎水性繊維を加える場合には、親水性繊維を50質量%以上、特に60質量%以上、疎水性繊維を50質量%未満、特に40質量%未満の量で含むことができる。疎水性繊維としては例えば各種熱可塑性樹脂からなる繊維を用いることができる。本発明で使用される親水性繊維(不織布)の中には、疎水性の熱可塑性樹脂からなる繊維を各種親水処理した繊維や、疎水性繊維からなる不織布を各種親水化処理した不織布も含まれる。これらの繊維を含む繊維シートとしては、例えばスパンレース不織布、エアスルー不織布、紙などが挙げられる。具体的にはレーヨンとポリオレフィン系繊維とからなるスパンレース不織布が挙げられる。これらの繊維シートの坪量は15〜50g/m2、特に18〜35g/m2であることが好ましい。
【0060】
(液拡散性シートのクレム吸水高さの測定方法)
液拡散性シート72の液拡散性を示すクレム吸水高さの測定は、JIS P8141の紙及び板紙−吸水度試験方法−クレム法に順じて行うことができる。即ち、液拡散性シートを幅20mm、長さ200mmの短冊状に裁断した後、長手方向を鉛直方向にして下端から15mmの部分までを水に浸し、水に浸してから10分後に水が何mm吸い上げられたかを測定する。この測定値をクレム吸水高さとする。
【0061】
(インジケータ)
インジケータ6をなす親水性組成物に含有される呈色指示薬としては、pHが3〜7で色が変化するものが好ましく、その例としてはブロモフェノールブルー、メチルオレンジ、アリザリンS、ブロモクレゾールグリーン、メチルレッド、ブロモクレゾールパープル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの呈色指示薬のうち特に好ましいものとしては、ブロモフェノールブルー、ブロモクレゾールグリーン及びブロモクレゾールパープル等が挙げられる。これらの呈色指示薬は、上記親水性組成物の全量(酸性化合物+呈色指示薬)に対して好ましくは0.01〜50質量%、更に好ましくは0.01〜40質量%、一層好ましくは0.01〜1質量%、最も好ましくは0.01〜0.5質量%含有される。呈色指示薬の量が0.01質量%に満たないと変色しても色が薄く、外部から視認しづらくなることがあり、50質量%を超えると親水性組成物の変色前の色が濃すぎて外観がよくなく、更にコスト高になることがあるので上記範囲内とすることが好ましい。
【0062】
本発明において、少量の水分や高温・多湿下における排泄尿以外での変色を回避する観点から、親水性組成物に、特許第3558828号明細書に記載された、該親水性組成物のpHを保つことが可能で且つ該親水性組成物が水と接触しただけではそのpHが4を超えないように維持することが可能な酸性化合物を含有させ、またウィング部5の裏側シート部52に、水分に溶解するとアルカリ性を呈する水溶性化合物を含有させることもできる。またインジケータ6をなす親水性組成物は、さらに粘着性を有する親水性ポリマーを含有することもできる。親水性組成物にホットメルト接着性が付与されてウィング部5の表側シート51と液拡散性シート71との接合・固定が一層強固なものになると共に、ホットメルト塗工装置があれば、ライン上で塗工可能であり、加工適性が良くなる。即ち、上記酸性化合物、上記呈色指示薬および上記親水性ポリマーを含有してなる親水性組成物は、ホットメルト接着剤として機能する。上記親水性組成物は、上述した成分に加えて酸化防止剤、紫外線吸収剤等を含有していてもよい。これらの成分は、上記親水性組成物の全量に対して0.5〜5質量%含有されることが好ましく、0.5〜3質量%含有されることが更に好ましい。
【0063】
(表側シート)
ウィング部5の表側シート51の素材として、液防漏性の観点から、撥水性のものを用いることが好ましい。例えば、撥水性不織布、親水性不織布や紙などの表面にホットメルト接着剤を塗工し液の透過性を下げたシート、オレフィン系フィルム(PE、PP)等が挙げられる。また、視認性の観点から、インジケータの色目が視認できる程度に坪量、嵩密度、空隙量を制御したシート(不織布やフィルム、またはこれらの複合体)を用いたり、光透過性が高いシート(例えば、透明性が高いシートや部分的に孔を有するシート等)を用いたりすることができる。
ウィング部5の表側シート51の形成素材としてフィルムを用いる場合、坪量10〜40g/m2の多孔性フィルムを使用すると、変化剤の視覚的変化がおむつ外部から認識し易くなると共に、柔軟な感触が得られるので好ましい。フィルム材としては、例えば、透明フィルムを用いることができる。該透明フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂からなる透明フィルム、あるいはこれらの透明フィルムを貼り合わせてなる複合フィルムで、且つ着色剤を含まないものを用いることができる。このフィルム材は透明性の高いフィルムのみで構成してもよいが、表面側シート部に不織布を配するラミネート構成とすると肌触りがよく好ましい。また撥水性の不織布(この場合、好ましくは耐水圧100mm以上)のものだけで構成してもよい。ウィング部5の表側シート51の形成素材として不織布を用いる場合、適度な光透過性が得られる坪量及び/又は厚さのものを用いることが好ましい。該不織布はその坪量が5〜45g/m2、特に10〜40g/m2であることが、視覚的変化の認識性と風合いや手触りなどの官能的な性能とを両立する点から好ましい。不織布としては、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルからなる熱可塑性樹脂単独の繊維や、これらの樹脂の2種以上を用いてなる芯鞘型やサイドバイサイド型の構造を有する複合繊維から構成される不織布等が挙げられる。また不織布としては、その地色の透明度が高く且つ白色度が高いものを用いることが、視覚的変化の認識性が高まるので好ましい。但し不織布シートは、ウィング部5の厚み方向に関して、インジケータを配した領域との重なり部分において、当該重なり部分の大部分が白色であれば良く、当該重なり部分以外の領域に、インジケータ6の視覚的変化の認識性を妨げない範囲で印刷を施しても構わない。
【0064】
(ウィング部5の表側シート51の透明度の測定方法)
ウィング部5の表側シート51の透明度を示す指標は、前述のとおり不透明度の数値で示すことができる。この不透明度は、例えば日本電色工業(株)製の分光色差計(SE−2000、6000等)を用いて前記JIS P8138のA法あるいはB法に準じて測定し、次式により算出することができる。
不透明度(%)C=(R0/R0.89)×100
R0:裏当て黒色板を用いたときの試料の反射率
R0.89:裏当て白色板を用いたときの試料の反射率
【0065】
(裏側シート・裏面シート)
裏側シート52及び裏面シート2の形成材料としては、防水性があれば特に限定されない。また併せてムレ防止観点から透湿性を有していることが好ましい。例えば疎水性の熱可塑性樹脂と、炭酸カルシウム等からなる微小な無機フィラー又は相溶性のない有機高分子等とを溶融混練してフィルムを形成し、該フィルムを一軸又は二軸延伸して得られる多孔性フィルムが挙げられる。前記熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィンが挙げられる。該ポリオレフィンとしては、高〜低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられ、これらを単独で又は混合して用いることができる。さらに裏側シート52において、インジケータ6の視認性を向上させるよう適切な素材を採用することが好ましい。例えば、シート材の坪量を15〜70g/m2とすることが好ましく、25〜50g/m2とすることがさらに好ましい。シート材の配色としては、透明なものであっても有色系であってもよいが、下着等の被装着物品の色(特に年配女性が下着の色として好むベージュ等の有色系)によってインジケータの色(特に、変色後の色)が視認しにくくなることを避ける観点から、淡色系、特に薄い灰色や白色であることが好ましい。裏側シート部52にこのような配色のシート材を採用する場合には、少なくともインジケータ6と重なる領域において配置されていればよい。なお本実施形態において、裏側シート部52は裏面シート2とは別部材であるが、裏側シート52が裏面シート2の延出した部分として形成されてもよい。
【0066】
(耐水圧の測定)
裏側シート52及び裏面シート2の防水性を示す耐水圧の測定は、特に断らない限り、JIS L1092繊維製品の防水性試験方法に準じて行う。JISに示された耐水度試験(静水圧法、A法)は主に通気性のない繊維製品に適用されるものとして定められており、通気性のある製品に適用する場合はスプレー法を適用する。しかし、吸収性物品の場合、実使用時を想定するとスプレー状に液体の負荷がかかる場合は想定されにくく、むしろ耐水度試験の条件に即していると考えられる。
【0067】
(透湿性の測定)
シート材の透湿性の測定は、特に断らない限り、JIS Z0208防湿包装材料の透湿試験方法に準じ、温度条件は35℃として行う。
具体的には、まず透湿カップ内に吸湿剤(塩化カルシウム)を入れ、この透湿カップの口に直径70mmに裁断した試験片をのせて、パッキン及びリングを蝶ナットで固定した後、透湿カップと試料の接合部をビニル粘着テープでシールして試験体とする。この試験体を35±2℃、90±5%RHの恒温恒湿装置内に所定時間放置する。1時間後に試験体を取り出し、質量を測定し、測定後再び恒温恒湿装置内に置き、4時間後に取り出して質量を測定し、次式により、透湿度を、シート(1m2当たり)を通過した水蒸気の質量(g)として求める。なお、前述の透湿度の好ましい数値範囲は、1g/100cm2・h=2400g/m2・24hとして示す。
透湿度(g/m2・24h)=(240×m)/(t・s)
s:透湿面積(cm2)
t:試験を行った最後の2つのひょう量間隔の時間の合計(h)
m:試験を行った最後の2つのひょう量間隔・増加質量の合計(mg)
【0068】
[粘着剤]
また、裏側シート52の非肌側面に配設された粘着剤53は、この種の物品に用いられるものを採用することができるが、インジケータ6の視認性向上の観点から適切な素材を採用することができる。例えば、粘着剤53の色が、インジケータ6の変色後の色よりも淡色か透明であることが好ましい。淡色の粘着剤53とするには、透明の被膜を形成するホットメルト粘着剤等を塗布することにより形成することができる。透明の粘着剤53の形成材料となる粘着剤としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)系、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)系、オレフィン系ホットメルト等を用いることができる。粘着剤53における粘着剤の塗布量は、10〜70g/m2が好ましい。
【0069】
[その他の素材]
表面シート1、サイドシート4及び吸収体3の形成材料としては、通常吸収性物品に使用されているものを用いることができる。
表面シート1としては、親水性不織布が好ましく、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、立体賦形不織布と呼ばれている不織布で、その繊維がポリプロピレンの単繊維や、ポリプロピレンとポリエチレンの複合繊維、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンの複合繊維等で親水化処理が施された繊維が好ましく、その坪量15〜50g/m2のものが好適に使用できる。また、表面シート1の股下部分には、表面シート1の非肌面側に親水性穴開きフィルムや親水性不織布が部分的に重ねられていてもよい。
サイドシート4としては、撥水性不織布が好ましく、具体的には、スパンボンド不織布、スパンボンド−メルトブローン(SM)不織布、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)不織布等が用いられる。サイドシート4の立体ギャザー用弾性部材42としては、この種の物品に用いられる通常の弾性部材を用いることができ、例えば素材としては、スチレン−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ポリウレタン等を挙げることができ、形態としては、断面が矩形、正方形、円形、多角形状等の糸状ないし紐状(平ゴム等)のもの、或いはマルチフィラメントタイプの糸状のもの等を用いることができる。
【0070】
吸収体3の形成材料としては、通常吸収性物品に用いられるものを用いることができる。具体的には例えば、吸収性コアとしては、繊維集合体又はこれと高分子吸水ポリマーとを併用させたもの等を用いることができる。繊維集合体を構成する繊維としては、パルプ繊維等の親水性天然繊維や、合成繊維(好ましくは親水化処理を施したもの)等を用いることができる。坪量は特に限定されないが、150g/m2〜500g/m2が好ましい。また吸収性コアを被覆する被覆シートとしては、親水性のティッシュペーパー等の薄手の紙(薄葉紙)、親水性の不織布(SMS、SMMS、SSMS等の複合不織布)からなるものを用いることができる。
【0071】
以上、具体的な実施形態として張出し部がウィング形状の場合について述べた。ウィング形状の張出し部(ウィング部)はおむつや下着、パッドホルダー等の外側着用物品の外側への露出性が高いため視認性が良好であるとの観点や、尿とりパッドとしてはおむつやパッドホルダー等の外側着用物品への固定性の観点から好ましい。一方、本発明において「張出し部」はウィング形状に限定されず、例えば、吸収本体部から幅方向外方へ突出する1本または複数本のストリップ形状であってもよいし、縦方向に延びる複数の襞形状であってもよい。「張出し部」は、通常外側(非肌面側)に着用されて併用されるおむつや下着、パッドホルダー等の外側着用物品の内側に位置する吸収本体部に対して外側へ露出可能になされた部分であることが好ましい。但し、外側着用物品が、その脚周り部を着用者の大腿部にまで延ばす、いわゆるボクサーブリーフタイプであるような場合には、張出し部が外側着用物品の大腿部当接部分に折り返し可能にまで延びる形態であれば、外側着用物品の脚開口部を捲ることでインジケータの視覚的変化が確認できるので、張出し部が外側着用物品の外側に露出することは必要ではない。また、上記実施形態では張出し部が物品の股下部Cにおける縦方向中央部に配されていたが、腹側部寄り又は背側部寄りに偏倚していてもよい。更に、張出し部は腹側部Fや背側部Rに設けられていてもよい。
【0072】
本発明の吸収性物品は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施形態1及び2の標識領域9を組み合わせたものであってもよく、液が吸収体から液拡散機構を経由してインジケータを変化させるものであれば実施形態1及び2で用いられる部材を適宜入れ替え組み合わせたものであってもよい。本発明の吸収体物品は、上記実施形態における尿とりパッドに限らず、乳幼児用あるいは大人用の展開型使い捨ておむつやパンツ型使い捨ておむつであってもよく、また生理用ナプキン、パンティライナーや軽失禁パッドであってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 表面シート
2 裏面シート
3 吸収体
4 サイドシート
5 ウィング部
51 表側シート
52 裏側シート
53 粘着剤
5t ウィング基端位置
6 インジケータ
7 液拡散性シート
8 液体難拡散性領域
9 標識領域
91,92,93 水分透過可能領域
10,20 尿とりパッド
【技術分野】
【0001】
本発明は幅方向の両側に張出し部を有する吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
おむつなどの吸収性物品において、吸収体に排尿等が吸収保持されたことを視覚的に保護者や介護者等に知らせる技術を適用したものがある。例えば、裏面シートと吸収体との間に水分と接触すると変色するインジケータを設けて、裏面シート側から透視可能とすることで変色を視認する方法がある(例えば、特許文献1〜3参照)。大人用の尿とりパッドなど、おむつの吸収体上や下着等に配置するものでも、裏面シートと吸収体との間にインジケータを設けて尿とりパッドの裏面シート側から透視可能としたものがある。これに対して、外側を覆うおむつ本体の吸収体に内部の尿とりパッドのインジケータを視認し易くするための穴を設ける技術がある(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−4852号公報
【特許文献2】特開2004−222868号公報
【特許文献3】実開昭58−7809号公報
【特許文献4】特開2007−97627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1〜3に開示の技術は、おむつの中央にインジケータを配設することが前提であって、尿とりパッドのように前記外側着用物品の内側に配することを考慮していない。仮に上記文献のもののように物品中央にインジケータを配設した尿とりパッドをおむつや下着、パッドホルダー等の内側に配して使用したとすると、外部からこのインジケータを視認し難い。通常、おむつ等の外側の着用物をずらすかその腹回りを大きく広げて開けるかしなければ内方のインジケータを確認することができない。また、前記特許文献4の技術ではおむつ側の吸収体に穴があるためその吸収性能は不可避的に低下することとなる。吸収体本来の吸収性能を落とすことなく、しかも吸収性物品や下着等を装着したままで内部の尿とりパッドの取り替え時期を確認しやすくすることができれば、その利便性は大幅に向上する。排便と異なり排尿は日中頻繁にあることを考慮すると、利用者あるいは介護者等にとって尿とりパッドの交換に係る煩わしさを大きく改善しうるものとなる。
【0005】
そこで本発明は、おむつや下着、パッドホルダー等の外側着用物品の内側に配置して用いうる尿とりパッド等の吸収性物品であって排尿があったことを確認しやすくした吸収性物品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、肌当接面側に配置される液透過性の表面シートと、非肌当接面側に配置される防水性の裏面シートと、該両シート間に介在された吸収体とを有する吸収本体部を備えた吸収性物品であって、該吸収性物品は、腹側部と背側部とを股下部を介して結ぶ方向の縦方向とこれに交差する幅方向とを有し、前記吸収体部分を外側着用物品の内側面上に載置して使用されるものであり、前記吸収本体部の両側には、物品幅方向外方に張り出した前記裏面シート側に折り返し可能な張り出し部があり、該張り出し部は、2層の難液透過性のシートの間に、液体と接すると変色するインジケータ部が配置された構成となされており、前記張り出し部を構成する部材が吸収本体部の側方に入り込んだ入り込み部を備え、該入り込み部と前記吸収本体部とが接合部で固定されており、該接合部には水分の透過可能な領域があり、該水分透過可能領域は液を前記インジケータ部へと誘導可能とされている吸収性物品を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の吸収性物品は、おむつや下着、パッドホルダー等の外側着用物品の内側に配置して用いうる尿とりパッド等の吸収性物品であって排尿があったことを確認しやすいという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の吸収性物品における一実施形態(実施形態1)としての尿とりパッドを展開して股下部に沿ってやや湾曲させた状態を模式的に示す一部切欠斜視図である。
【図2】図1の尿とりパッドを展開し伸長した状態を模式的に示す平面図である。
【図3】図1のIII−III線断面の標識領域を含む拡大断面図である。
【図4】図1のIV−IV線断面の液体難拡散性領域を含む拡大断面図である。
【図5】図1の左側のウィング部と吸収本体部の前記ウィング部が入り込んだ部分周辺を模式的に示す部分拡大平面図である。
【図6】図1のVI−VI線断面の拡大断面図であり、(a)は装着前のウィング部を伸長した状態を示し、(b)はウィング部を折り返して着衣に固定した状態を示す。
【図7】本発明の別の実施形態(実施形態2)としての尿とりパッドにおける図3相当の標識領域を含む拡大断面図である。
【図8】本発明の別の実施形態(実施形態2)としての尿とりパッドにおける図4相当の液体難拡散性領域を含む拡大断面図である。
【図9】本発明の別の実施形態(実施形態2)としての尿とりパッドにおける図5相当の部分拡大平面図である。
【図10】本発明のさらに別の実施形態(実施形態3)としての尿とりパッドを展開し伸長した状態を模式的に示す平面図である。
【図11】図10のXI−XI線断面の断面図である。
【図12】ウィング部におけるインジケータ及び液拡散性シートの他の好ましい平面配置を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(実施形態1)
図1は本発明の吸収性物品における好ましい一実施形態(実施形態1)としての尿とりパッドを展開して股下部に沿ってやや湾曲させた状態を模式的に示す一部切欠斜視図である。図2は図1の伸長状態平面図であり、図3は、図1のIII−III線断面の標識領域を含む拡大断面図である。なお、図1、2において、インジケータ部(インジケータ6)の形状及び配列が明確となるよう斑点模様で示した(以下、図5,9,10及び12においても同様。)。
【0010】
本実施形態1の尿とりパッド10は、図1に示すように、肌当接面側に配置される液透過性の表面シート1、非肌当接面側に配置される防水性の裏面シート2、及び該両シート間に介在された吸収体3からなる吸収本体部10aと幅方向外方に張り出す張出し部としてのウィング部5とを有する。前記吸収本体部10aはその平面視において長方形状であり、着用者の腹側に配される腹側部F、股間に沿うようにわたす股下部C、及び背側に配される背側部Rの各部位からなる。
【0011】
本発明においては、特に断らない限り、着用者が着用した際に人体に相対的に近い方(典型的には、接触する方)の側を肌面側ないし肌当接面側あるいは表面側ないし内側といい、これと反対側を非肌面側ないし非肌当接面側あるいは裏面側ないし外側という。装着時に人体の前側に位置する方向を前方といいその端部を前端部とし、後側に位置する方向を後方といいその端部を後端部として説明する。吸収性物品の表面又は裏面の法線方向を厚み方向という。さらに、吸収性物品の平面視において腹側部Fから股下部Cを介して背側部Rに亘る方向を縦方向(図1におけるY方向)といい、この縦方向と直交する方向を幅方向(図1におけるX方向)という。なお、前記縦方向は典型的には装着状態において人体の前後方向と一致する。また張出し部(ウィング部)については、展開伸長した状態で吸収本体部の肌面側もしくは非肌面側と一致する面方向として呼ぶ。また、外側着用物品とは、本発明の吸収性物品をその内側に配置、固定しうる着用物品を指し、具体的には下着、おむつ、又はパッドホルダーである。
【0012】
尿とりパッド10において、表面シート1は、吸収性コア31を被覆シート32で被覆してなる吸収体3の肌当接面側を幅方向左右側縁部まで覆うように存在する(図1参照)。さらに一対のサイドシート4,4が、表面シート1の縦方向に一致する長さで表面シート1の肌当接面側に積層され、吸収体3の幅方向左右側縁外方にそれぞれ延出している(図1及び2参照)。サイドシート4の延出した部分と裏面シート2の幅方向に延出した部分とが積層されてその幅方向外側で接合されている(図1及び2参照)。該サイドシート4は、立体ギャザー形成部材として起立性防漏カフをなす自由端縁41を有し、該自由端縁41に内装した立体ギャザー用弾性部材42が着用状態で尿とりパッドの縦方向に収縮して着用者の肌面に向け突出するように起立する(図3,4及び6参照)。それにより自由端縁41が肌にしっかりと当接し、排泄物の外部への移行を遮断して横漏れを効果的に防止する。前記立体ギャザー用弾性部材42は、少なくとも股下部Cに配されており、更に腹側部F及び/又は背側部R側にも延びて配されていることが好ましい。その接合方法は、この種のものに用いられる通常の方法を用いることができる。なお図3,4及び6の断面図では理解のため立体ギャザーが起立した状態で図示したが、図2の伸長展開状態では起立していない。
【0013】
尿とりパッド10において、その平面視について、吸収本体部10aの股下部C付近の左右幅方向端縁外方に、そこから突出するように張り出し部としてのウィング部5が形成されている(図2参照)。ウィング部5は、2層の難液透過性のシートの間に、液体と接すると変色するインジケータ部(インジケータ6)が配置された構成とされている(図3参照)。ここで難液透過性とは、液を透過させにくい性質を意味し、防水性、撥水性及び液不透過性の性質を含む。本実施形態1において、前記2層の難液透過性シートは、撥水性の表側シート51と防水性の裏側シート部52とである。この表側シート部51は、尿とりパッド10を展開し伸長した状態で吸収本体部10aの表面シート1と同じ面側に配されているシートである。表側シート51は、尿とりパッド10の装着時に山折りされて着用者の股下部等の肌に当接し、かつ、下着やおむつカバー等の外側着用物品よりも非肌当接側面に配置される(図6参照)。一方、裏側シート52は、前記の展開状態で吸収本体部10aの裏面シート2と同じ面側に配されているシートである。裏側シート52は、装着時に谷折りされて外側着用物品に当接するよう配置される(図6参照)。また表側シート51は、装着時に外側着用物品よりも非肌当接側面となり該外側着用物品の外側から視認可能である。そのため、表側シート51は、ウィング部5内部のインジケータ6の変色を視認できるよう光透過率が高いことが好ましい。
【0014】
インジケータ6は、表側シート51と裏側シート部52との間で配設されており、液体と接触すると視覚的に変化して液の排泄の検知を可能とする機能を有する。このインジケータ6の視覚的変化は表側シート51を介して目視可能とされている。インジケータ6は、排尿等の水分に反応する機能を有し、例えばpHの変化によって色が変化する呈色指示薬を含む親水性組成物を用いて形成される。インジケータ6は、この種の物品に用いられる方法により形成でき、例えば、前記組成物等の変色可能な材を裏側シート52に直接塗布したり含浸させたりしたものであってもよく、ティッシュペーパーや親水性不織布等のシート部材に塗布したり含浸させたりしたものを介在させるようにしたものであってもよい。なお「視覚的変化」あるいは「変色」とは、水分との接触で、ある色から他の色への色変化、有色から無色への色消失、無色から有色への色出現を含む意味である。
【0015】
このような構成のウィング部5は、平面視において、吸収本体部10aとの境界であるウィング基端位置5tを底辺としてそこからゆるやかな台形状の曲線を描くようにウィング外周縁部5sをなしている(図2参照)。さらにウィング部5は、ウィング基端位置5tを越え吸収本体部10aの内方に入り込んで、入り込み部を構成している。なお、ウィング部5の入り込み部は、構成部材全体が入り込んだ部分に限らず、その一部の構成部材のみが入り込んだ部分をも意味する。この入り込み部によって、ウィング部5の内方端から吸収体3に吸収された液の一部が取り込まれ、インジケータ6に時機よく変色が生じる。これにより、尿とりパッド10の吸収体3部分を外側着用物品の内側面上に載置して使用しても、前記外側着用物品の外側にあるインジケータ6の変色を認識して、尿とりパッド10の濡れを知ることができる。そして、尿とりパッド10の交換時期を時機よく知ることができる。このウィング部5が吸収本体部10aに入り込んだ部分の構成とその作用機序の詳細は後述する。なお、本発明においてウィング部とは、折り返されて着衣等の外側面に位置しうる形状の部材のことであり、その形状は図1に示すような羽形状に限定されるものではない。
【0016】
前述の液の取り込み易さの観点から、インジケータ6の塗布対象物としては、液拡散性シート7であることが好ましい。液拡散性シート7を用いることで、液拡散性シート7の液拡散機能によって吸収体3にある液の変色に必要な量をインジケータ6の方へと積極的に引き込み、その結果、インジケータ6の変色を円滑に生じさせることができる。本実施形態1においては、物品幅方向(X方向)に長さを持つ帯状の液拡散性シート7がインジケータ6よりも幅(Y方向長さ)が広くされ、かつ液拡散性シート7の肌当接面側の幅中央部分にインジケータ6が塗設されている(図2参照)。このように帯状の液拡散性シート7とインジケータ6とが積層されてウィング部5内で標識領域9が形成されている。このような配置とすることで、尿等の体液を広い範囲でインジケータ部分に誘導することが可能になると共に、排尿量が多くなるにつれてインジケータの変色が次第に起こって行くのが視認し易くなるので、物品の交換のタイミングがはかり易くなるので好ましい。
【0017】
インジケータ6と液拡散性シート7とから構成される標識領域9は、物品縦方向(Y方向)に間隔をおいて複数条配されていることが好ましい。このように間欠的な配置とすることで、インジケータ6の変色に必要な液の引き込み領域の面積を必要最小限に抑えることができるので、液漏れを防止するのに効果的である。また、排尿ポイント部分の近くでは引込まれる尿量が多くなって、それ以外の部分との変色量の相違から当該部分の変色が見易くなるので、物品交換のタイミングが計りやすくなる。本実施形態1においては、標識領域9が、左右のウィング部5のそれぞれに4条、物品縦方向(Y方向)に等間隔で離間して配設されている。このようにウィング部5全体に亘って、標識領域9が等間隔で配置されることで、排尿量が多い部分の近辺でインジケータの変色量が多くなり易く、また、排尿量が多くなるにつれてインジケータの変色が次第に起こって行くのが視覚的に確認し易いので、交換のタイミングがはかり易くなることとなり好ましい。
【0018】
また尿とりパッド10において、標識領域9が配されないウィング部5の部分は、撥水性の表側シート51と防水性の裏側シート52とが接合されて、液拡散性シート7が配されている部分と比べて相対的に液拡散性が劣る液体難拡散性領域8となされていることが好ましい(図2参照)。液体難拡散性領域8においては、表側シート51と裏側シート52との疎水性の接合形態であることが好ましく、特に、疎水性の接着剤や、両シート間の熱シール加工又は超音波シール加工などが好ましい。このような構成によって、インジケータ6部分に水分が優先的に誘導されることになり、インジケータ6の変色のタイミングが良好となる。また、必要以上の水分がウィング部分5に導かれ難いので、ウィング部5を介して外部に水分が漏れ出ることを抑制するのに役立つ。
【0019】
前述のようなインジケータ6への液の優先的な誘導と不要な液拡散の抑制による液の横漏れ防止との両立のため、各インジケータ6の幅(物品縦方向の長さ)(w1)、各液拡散性シート7の幅(物品縦方向の長さ)(w2)、及び各液体難拡散性領域8の幅(物品縦方向の長さ)(w3)の比率(w1/w2/w3)は、1/1.5/1〜1/3/5が好ましく、1/2/1〜1/3/4がさらに好ましい。上記範囲内とすることで、ウィング部における、良好な体液の引込み性と体液の漏れ制が両立し易くなる。また、上記下限以上とすることでウィング部を下着、おむつ、またはパッドホルダーに固定可能な大きさに設計しやすくなり、上記上限以下とすることでウィング部を、装着時に左右ウィング部が重ならずに装着する大きさに設計することが容易となる。
【0020】
本実施形態1では、前述の液の取り込み易さの観点から、液拡散性シート7が表面シート1と吸収体3との間まで至るようにして配されている(図2及び3参照)。この構成によって、吸収性物品に排泄された尿等の水分がウィング部5へ誘導され易くなり、インジケータ6の変色のタイミングがより適切なものとなる。本実施形態1のように液拡散性シート7が表面シート1と吸収体3との間に配される場合には、早めに排尿時期を知るのに好適である。特に、吸収容量が小さいタイプの場合には、一度に大量の排尿があったような場合に吸収限界に至るよりも早く変色を知る事ができるので、漏れを防止するのに好適である。
【0021】
前述のインジケータ6への液の優先的な誘導と不要な液拡散の抑制による液の横漏れ防止との両立の観点から、液拡散性シート7が配設される平面視における好ましい範囲として、その縦方向端は、縦方向中心線から前後に50mmの幅が好ましく、30mmの幅がさらに好ましい。また、幅方向内側の端部としては、吸収体の側部領域に留まっていることが、インジケータ6のタイミング良い視覚的変化の観点から好ましい。より具体的には、吸収体3を最大幅部分を基準として幅方向に3分割した場合の左右1/3の幅の領域よりも幅方向外側に液拡散性シート7の内側端が存在することが好ましい。また、本実施形態のように吸収体10の幅方向側部に撥水性のサイドシートが備えられている場合には、吸収性物品を伸長状態としたときのサイドシートの幅方向内側の自由端縁41よりも外側に液拡散性シートの内側端が存在することが好ましい。当該条件は、吸収性物品の股下部Cにおいて達成されていることが好ましい。なお、吸収体3の形状が所謂砂時計形状であって、吸収体3の縦方向前後における最大幅を三分割し、股下部Cで幅方向左右1/3の領域が存在しないか、一部存在しないことも考えられる。一部存在しない場合には、他の部分で上記条件を満たしていればよく、また、股下部Cで全く当該左右1/3の領域が存在しない場合には、腹側部又は背側部において上記条件を満たしていれば良い。
【0022】
本実施形態1ではインジケータ6は吸収本体部10aまで延在しているが、インジケータ6はウィング部5のみに存在していても構わない。その場合、ウィング部5を折り曲げた状態で液が確実に受け渡しされる観点から、最も吸収本体側に位置するインジケータ6は、接合端k(図3,4参照)からの距離が20mm以内に配されるのが好ましく、特に10mm以内、更には2mm以内に配されるのが好ましい。
【0023】
本実施形態1の尿とりパッド10においては、ウィング部5の入り込み部分と吸収本体部10aとは、縦方向(Y方向)に沿って形成された接合部により固定されている。前記接合部の形成方法としては、この種の物品に用いられる方法を用いることができる。例えば、ホットメルト接着剤による部材間の接合、エンボス加工やヒートシール、超音波シールなどの加熱、加圧処理によって積層された部材を部分的に融着させて一体化する接合などが挙げられる。前記エンボス加工としては熱エンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等がある。この接合部は、ウィング部5が尿とりパッド10の使用時に吸収本体部10aからズレたり分離したりしないようしっかり固定させるものであり、液漏れを防止するためのものである。一方で、接合対象としてのウィング部5の入り込み部分は、インジケータ6の変色をし易くするよう液の誘導路となるべき部分でもある。したがって、ウィング部5と吸収本体部10aとの接合は、固定性及び液防漏性と液の引き込みとの両立が必要となる。
【0024】
そこで本発明は、前記接合部に水分の透過可能な領域(以下、「水分透過可能領域」とも言う)を配設することにより、ウィング部5の固定性及び液防漏性を維持しつつ、液の取り込み性を確保し得るものである。つまり前記接合部にあって、前記水分透過可能領域が液をインジケータ6へと誘導し得る。この水分透過可能領域は、接合部の一部について、(1)接合強度を弱める、(2)非接合とする、(3)水溶性接着剤を用いて水易溶解性にするなどの方法により形成され得る。また、前記接合部及び水分透過可能領域の配設位置及び範囲は、ウィング部5の入り込み範囲や入り込み構成部材によって異なる。水分透過可能領域は、少なくともインジケータ6又は液拡散性シート7の配置位置に対応して配されることが好ましい。本実施形態1においては、少なくともウィング部5が吸収本体部10aに入り込む内方端付近の標識領域9の配置位置において、水分透過可能領域が形成されている。この接合部の配置位置及び範囲について、ウィング部5の入り込み部分における好ましい部材構造とともに、図3〜5を参照して以下に説明する。以下の説明は、図1の左側のウィンング部5に係る部分について図3〜5を参照してなされるが、右側のウィング部5に係る部分も左右対称である以外は同様である(後述の実施形態2及び3においても同様)。なお、ウィング部5の入り込み部分というとき、前述のとおり、構成部材全体が入り込んだ部分に限らず、その一部の構成部材のみが入り込んだ部分をも意味する。
【0025】
図3は、図1のIII−III線断面の拡大断面図であり、液拡散性シート7が配されている標識領域の断面図である。図4は、図1のIV−IV線断面の拡大断面図であり、液拡散性シート7が配されない液体難拡散性領域の断面図である。図5は、図1の左側のウィング部と吸収本体部の前記ウィング部が入り込んだ部分周辺を模式的に示す部分拡大平面図であり、接合部及びその水分透過可能領域の配置位置につて説明するための図である。図3〜5では、物品幅方向(X方向)に領域g1(領域g11及び領域g12)及び領域g2(領域g21及び領域g22)と区分して説明する。領域g1は、サイドシート4がウィング部5を介して裏面シート2と積層されている領域であり、吸収体3の配されない領域である。より詳細には、領域g11はウィング部5の基底領域であり、領域g12は、領域11のウィング部5の基底領域から吸収体3の側縁までを繋ぐ領域である。他方、領域g2は、吸収体3の肌当接面側の幅方向(X方向)側縁付近であって、サイドシート4から形成される立体ギャザーが配される領域に重なる。より詳細には、領域g21は、サイドシート4から形成される立体ギャザーの基底領域であり、領域g22は、領域g21よりさらに幅方向内方に及んで防漏カフをなす自由端縁41までの領域である。
【0026】
まず、好ましい部材配置について図3及び4を参照して説明する。領域g2は、起立した立体ギャザーによって液の横漏れを防止するいわゆる防波堤となる部分である。この領域g2、特に領域g22に液拡散性シート7が吸収体3の肌当接面側に配されることで、吸収体3の幅方外方へ拡散しようとする液をタイミングよく捕捉して、インジケータ6へと誘導することができる。そのため本実施形態1の領域g22では、ウィング部5の標識領域9において(図3及び5参照)、表側シート51を伴う液拡散性シート7が4条、吸収体3に直接当接して配置されている。さらに液拡散性シート7は、インジケータ6を伴って変色をより生じやすくさせている。あるいはこの実施形態に限らず、液拡性シート7とともにウィング部5の裏側シート52を領域g22まで延出させて部分的に孔を多数設けてもよい。この場合、液の液拡散をより効果的に抑制するよう調節が可能である。また、ウィング部5の表側シート51は、領域g22まで及んで液拡散性シート7の肌当接面側を覆ってもよく、領域g21に留まってもよい。本実施形態1のように表側シート51が領域g22まで及んでいることで、液の表面シート1側への液戻りを抑制し得るので好ましい。
また、領域g21は、立体ギャザーの基底領域としてサイドシート4と表面シート1とが接着剤等による接合部87でしっかりと接合固定されている領域である。したがって本実施形態1の領域g21では、ウィング部5の標識領域9において(図3及び5参照)、ウィング部5を構成する撥水性の表側シート51と液拡散性シート7とが積層配置され、防漏性を保持する構造である。これにより、液拡散性シート7が誘導する液を不必要に肌当接面側に漏らすことなく好ましい。なお本実施形態1においては、領域g21にはウィング部5の防水性の裏側シート52は配されず、液拡散性シート7が吸収体3と当接して液を捕捉しやすくしているが、防漏性の観点から必要によりこの領域に裏側シート52を配してもよい。一方、領域g21及びg22における、液拡散シート7が配されないウィング部5の液体難拡散性領域8では(図4及び5参照)、撥水性の表側シート51のみが表面シート1と吸収体3との間に介在するよう配置され、液の拡散を抑制している。
【0027】
領域g1は、吸収体3の側縁より幅方向外側に位置する領域である。この領域g1においては、液の横漏れ防止の観点から、液の移動は極めて限定的なものとされることが好ましい。そのため、領域g11及び領域g12のいずれの領域においても、ウィング部5の標識領域9において(図3及び5参照)、液拡散性シート7を撥水性の表側シート51と防水性の裏側シート52で挟持し、さらに撥水性のサイドシート4と防水性の裏面シート2とで覆う積層構造である。一方、領域g1における、ウィング部5の液体難拡散性領域8では(図4及び5参照)、表側シート51及び裏側シート52が疎水性の接合形態とされて配置されている。
【0028】
次に、好ましい接合構造について図5を参照して2つの実施例を挙げて説明する。図5では、前述の領域g1(領域g11及び領域g12)及び領域g2(領域g21及び領域g22)を図3及び4に対応させて示している。インジケータ6及び液拡散性シート7からなる4条の標識領域9は、縦方向(Y方向)に間隔をあけて、表側シート51を伴なって幅方向(X方向)に配置されている。また標識領域9は、領域g1及びg2を横断し、その端部が領域g22にまで及んでいる。このような構造に対し、ウィング部5の固定性及び液防漏性の観点から、少なくとも領域g22の領域においてウィング部5の入り込み部分の縦方向(Y方向)最大幅を覆う範囲で、接合部が形成されることが好ましい。
【0029】
まず、実施例1について実施形態1に基づき説明する。尿とりパッド10においては、領域g22に接合部100が形成されている。接合部100において、ウィング部5の固定性及び液防漏性とともに液の取り込み性の観点から、液拡散性シート7を含む標識領域9の位置に水分透過可能領域91が4か所に形成されている。より具体的には、水分透過可能領域91は、領域g22という吸収体3に最も入り込んだ幅方向(X方向)位置において、標識領域9にあたる縦方向(Y方向)に間欠的な領域において形成されている。つまり接合部100は、液の取り込み口となる領域g22の位置にあって、水分透過可能領域91を配することで拡散性シート7と液との接触を阻害しない。これにより、接合部100の水分透過可能領域91以外の部分でしっかりとウィング部5を固定させながら、液拡散性シート7の吸収体側端部でタイミングよく液を捕捉してインジケータ6へと液を誘導できる。これを尿とりパッド10の厚み方向断面における部材間の接合構造として見ると以下のとおりとなる。
【0030】
この接合部100を厚み方向にみると、まずウィング部5の標識領域9において(図3参照)、領域g22の接合部101(吸収本体部10aの表面シート1とウィング部5の表側シート51との接合部)であり、領域g22の接合部102(液拡散性シート7と吸収体3との接合部)である。また、ウィング部5の液体難拡散性領域8において(図4参照)、領域g22の接合部103(吸収本体部10aの表面シート1とウィング部5の表側シート51との接合部)であり、領域g22の接合部104(表側シート51と吸収体3との接合部)である。接合部100において、水分透過可能領域91は、標識領域9における接合部102(液拡散性シート7と吸収体3との接合部)に形成され、その他の接合部101,103及び104は、固定性と液防漏性の観点からしっかりと接合固定されている。なお、図4に示す液体難拡散性領域8において、表側シート51及び裏側シート52の当接部分は、前述のとおり疎水性の接合形態(疎水性の接着剤や熱シール加工、超音波シール加工等)で接合されている。接合部100の形成方法は、前述のとおり、ホットメルト接着剤による部材間の接合、エンボス加工やヒートシール、超音波シールなどの加熱、加圧処理によって積層された部材を部分的に融着させて一体化する接合などを用いることができる。しかし、接合部101〜104は、液透過性の表面シート1や液吸収保持性の吸収体3を含む接合であるため、液防漏性や液吸収性の観点から、部材をフィルム化しない接合であること好ましい。例えば、接着剤による部材間の接合やフィルム化しない程度のエンボス加工等であることが好ましい。
【0031】
そして、水分透過可能領域91となる接合部102の形成方法は、液拡散性シート7による吸収本体部10aからウィング部5への液拡散を担保するために、液体が通過可能な接合形態であることが好ましい。例えば、(1)接合部102の接着剤の坪量を他の接合部(強接着の部分)よりも小さい弱接着とし、接合部101,103及び104を強接着とする、(2)接合部102を非接着とする、(3)接合部102を水溶性接着材料を用いた水易溶解性とし、接合部101,103及び104を水不溶性接着材料を用いた水難溶解性とする、などが挙げられる。
【0032】
前記(1)の接合部102の接着剤の坪量を他の接合部よりも小さくする場合には、接合部102の接着剤の坪量を0.1〜9g/m2、特に0.5〜8g/m2とすることが、ウィング部5と吸収本体部10aとの接合の強度を保ちながら液を通過させる観点から好ましい。これに対し、接合部101,103及び104の接着剤の坪量を0.5〜17g/m2とすることが好ましく、1〜15g/m2とすることがさらに好ましい。なお接着剤の塗工方法としては、スパイラル塗工によってホットメルト接着剤を粗密に塗布する方法、カーテンスプレー塗工によってホットメルト接着剤をファイバー状に塗工する方法、ビード状に複数本塗工する方法等を採用することができる。この場合、接合部の幅は小さくすることが液通過の観点から好ましい。また、スパイラル形状であることが接合強度との両立が図りやすいので好ましい。特に、上記坪量とスパイラルを組み合わせることが好ましい。
【0033】
前記(3)の接合部102を水溶性接着材料を用いた水易溶解性とする場合、水溶性接着材料としては、ポリビニルアルコール、澱粉性の接着性材料など粘着剤を用いることが、また塗工方法としては、スパイラル塗工によって粗く塗布する方法等を用いることが、微量の液で容易に溶解し得るので好ましい。この水易溶解性ないしは水溶性というとき、その程度は、固定性及び防漏性と液の取り込み性の観点から、液との接触や液の浸透により接合部が剥がれる、または隙間が生じるものであることが好ましい。水溶性接着材料の坪量としては、0.1〜9g/cm2が好ましく、0.5〜8g/cm2が、体液との接触前における十分な接合強度と、体液との接触後での接合の容易な解離が両立し易いことからさらに好ましい。
また、接合部101,103及び104を水不溶性接着材料を用いた水難溶解性とする場合、水不溶性接着材料としては樹脂系の接着剤を用いることが好ましく、また塗工方法としては疎水性粘着剤をビード状に塗工する方法等を用いることが好ましい。この水難溶解性ないしは水不溶性というとき、その程度は、液との接触によって接合部分が剥がれない程度であることが好ましい。水不溶性接着材料の坪量としては、0.5〜17g/cm2が好ましく、5〜15g/cm2がさらに好ましい。
【0034】
前記(1)の接合部102を弱接合とする場合や(2)の接合部102を非接着とする場合、接合部102に接着剤を塗布しない方法だけでなく、エンボス加工による方法であってもよい。具体的には、領域g22に縦方向に形成される接合部100おいて、ウィング部5の液難拡散性領域8(図4及び5参照)を圧着して一体化し、一方で、標識領域9(図3及び5参照)を非圧着とすることまたは液拡散性シート7と吸収体3との間の液の移動を阻害しない程度に弱圧着することが挙げられる。
エンボス加工を用いる場合、ウィング部5の液難拡散性領域8では(図4参照)、接合部103及び104を含めた表面シート1、表側シート51、裏側シート52及び吸収体3が一体化してしっかりと圧着接合されるので、ウィング部5と吸収本体部10aとの固定性及び液防漏性が強固なものとなり好ましい。ただし、前述のとおり、フィルム化しない程度であることが好ましい。この観点から、液難拡散性領域8のエンボスの程度は、製品厚みの20〜80%に及ぶものであることが好ましく、特に30〜75%であることが好ましい。前記下限以上とすることで、液難拡散性領域8と標識領域9との間で十分な厚みの差が生じ、標識領域9へと液を導きやすくとなり、前記上限以下とすることで、フィルム化や、硬化が抑制された、使用時の装着感の良好なものとなる。また、前記エンボス加工は、接合部101,103及び104を前述の接着剤で固定したうえで行うことも固定性及び防漏性の観点から好ましい。
一方で、標識領域9では(図3参照)、弱圧着とするエンボスの程度は、製品厚みの2〜40%であることが好ましく、5〜20%であることが好ましい。前記下限以上とすることで、液難拡散性領域8と標識領域9との間で厚みの差が生じ、標識領域9へと液を導きやすくとなり、前記上限以下とすることで、フィルム化や硬化がなく使用時の装着感が良好なものとなる。
なお、強圧着と弱圧着の各エンボスの程度の差は、製品厚みで5〜75%、特に10〜60%であることが好ましい。
【0035】
さらに接合部100の接合構造は、ウィング部5と吸収本体部10aとを固定し液漏れを防ぐものとして、領域g22のみに形成されてもよく、さらに同じ接合構造が領域g21に接合部110として形成されてもよい(図5参照)。あるいは、接合部100と接合部110とが連続したものとして形成されてもよい。また、接合部100及び接合部110は、それぞれの領域g22及びg21の幅方向(X方向)に一致させて形成されてもよく、それよりも狭幅にされていてもよい。
【0036】
接合部110が形成される領域g21は、前述のとおり、立体ギャザーの基底領域としてサイドシート4と表面シート1とが接着剤等による接合部87でしっかりと接合固定されている領域である。そのため水分透過可能領域91を設けつつも、この領域g21の防漏性を高める観点から、接合部110の接合強度を接合部100よりも高いものとすることが好ましい。具体的には、接合部110を厚み方向にみて、ウィング部5の標識領域9(図3参照)における接合部111(吸収本体部10aの表面シート1とウィング部5の表側シート51との接合部)、ウィング部5の液体難拡散性領域8(図4参照)における領域g21の接合部113(吸収本体部10aの表面シート1とウィング部5の表側シート51との接合部)、及び接合部114(表側シート51と吸収体3との接合部)を、領域g22の接合部100における接合部101,103及び104より強接合とすることである。一方で、領域g21の接合部112(液拡散性シート7と吸収体3との接合部)は、領域g22の接合部102と同様に水分透過可能領域91とされる。このように接合強度の強弱又は非接合と接合との組み合わせで、固定性及び液防漏性を維持しつつ、水分透過可能領域91を形成する場合、領域g22の接合部101〜104及び領域g21の接合部111〜114の接合強度の比は、102接合部<112接合部≦101接合部≦103接合部≦104接合部<111接合部≦113接合部≦114接合部であることが好ましい。
【0037】
接合部を強接合と弱接合の組合せで設ける場合には、液難拡散性領域8の接合強度は、500〜3000cN/30mm、特に500〜1500cN/30mmとするのが好ましい。一方、水分透過可能領域91の接合強度は、50〜500cN/30mm、特に50〜250cN/30mmとするのが好ましい。接合部全体の接合強度は、500〜2500cN/30mmとするのが好ましい。接合強度の測定方法は、各接合部について、適当な大きさに切り出してサンプルとし、得られたサンプルについて、引張試験機にて、300mm/minで180°剥離強度を測定し、これを幅30mmに換算する。なお、強接合部及び弱接合部については、疑似的に各接合部と同条件で作製した幅の広いサンプルを用いて測定してもよい。
【0038】
さらに前記接合部100及び110に加えて、接合部100と同じ接合構造のものが、領域g11に接合部130として形成されてもよい(あるいは図示しないが、接合部130同様の接合構造として接合部120が領域g12に形成されてもよい)。この場合、領域g11及びg12を合わせた領域g1は、前述のとおり、吸収体3の配されない領域であり、ウィング部5の基底領域から吸収体3の側縁までの領域である。したがって、最も防漏性が求められる領域である。この領域における接合部130(あるいはこれに加えて接合部120)は、吸収体3がないために、エンボス加工やヒートシール、超音波シールによってフィルム化し部材を一体化する強接合とすることも好ましい。具体的には、接合部130を厚み方向にみて、ウィング部5の液体難拡散性領域8(図4参照)における吸収本体部10aのサイドシート4、ウィング部5の表側シート51、裏側シート52、及び吸収本体部10aの裏面シート2までが一体化された強接合部131とされることが好ましい。また、ウィング部5の標識領域9(図3参照)における吸収本体部10aのサイドシート4、ウィング部5(表側シート51、インジケータ6、液拡散性シート7、及び裏側シート52)、及び吸収本体部10aの裏面シート2は、液拡散性シート7の液拡散性を阻害しない程度に一体化された弱接合部132とされることが好ましい。弱接合部132が液拡散性シート7の液引き込み性を阻害しない水分透過可能領域91とされる。強接合部131の形成方法としては、疎水性粘着剤、ヒートシール、超音波シール等が好ましい。
【0039】
次に、本発明の水分透過可能領域を含む接合部の実施例2について、実施形態1に基づいて図3〜5を参照して説明する。
実施例2においては、前述の実施例1とは異なり、接合部100全体(図5参照)を水分透過可能領域とし、接合部110(ないしは接合部120及び130)(図5参照)を強接合部とする接合構造である。接合部100全体を水分透過領域とすることは、厚み方向にみて、接合部101〜104(図3及び4参照)を、前述のように、(1)接着剤の坪量を少なくしたり圧着強度を弱めたりして接合強度を弱める、(2)非接合部とする、(3)水溶性接着材料を用いて水易溶解性にする、ことにより形成することができる。
【0040】
実施例2においては、水分透過性領域とされた接合部100に対し、接合部110(ないしは接合部120及び130)全体を、固定性と液防漏性の観点から接合強度を高める接合とされている。強接合の方法としては、接着剤の塗布坪量を高めたり、エンボスやヒートシール等の圧着強度を高めてフィルム化したり、水不溶性接着材料を用いた水難溶解性としたりすることが挙げられる。実施例2においては、接合部100にある液拡散性シート7の端部が液をより強く取り込むことができるため、接合部110(ないしは接合部120及び130)の接合は液拡散性シート7の液の引き込み性を接合部100よりも多少抑えた接合とすることも可能となる。しかし、それでも液拡散性シート7の液の引き込み性が完全には阻害されずインジケータ6全域で変色が可能となるよう、接合部110(ないしは接合部120及び130)の接合強度である必要がある。この観点から、接着剤の坪量では0.1〜9g/m2が好ましく、0.5〜8g/m2がさらに好ましい。またエンボスやヒートシール等の圧着による場合、製品厚みの2〜40%が好ましく、5〜20%がさらに好ましい。
【0041】
次に、図6を参照して、尿とりパッド10の使用状態について説明し、ウィング部5のインジケータ6による液排泄の検知方法について説明する。図6は、図1のVI−VI線断面の拡大断面図であり、(a)は装着前のウィング部を伸長した状態を示し、(b)はウィング部を折り返して着衣に固定した状態を示す。なお図6(b)においてウィング部5と裏面シート2との関係を説明するため着衣wは2点鎖線で示した。
尿とりパッド10を装着して使用する際、図6(a)に示す展開状態の尿とりパッド10を、ウィング基端位置5tあるいはその周辺位置に沿ってウィング部5を物品幅方向内側へ向けて、かつ裏面シート2の存在する側へ折り曲げ、外側着用物品である着衣wのクロッチ部分等を巻き込むようにして粘着剤53で固定する。この固定された状態が尿とりパッドの使用状態であり、図6(b)に示すとおり、ウィング部5のインジケータ6と吸収本体部10a内部の吸収体3とは厚み方向に積層した位置関係となる。
【0042】
本実施形態1において、装着状態では表側シート51が反転して非肌当接面側に配される。該表側シート51は着衣等よりも外側に位置することになるので、着衣wの外側からでもウィング部5の表側シート51及びこれを介してインジケータ6の視覚的変化を認識することができる。前述のとおり、インジケータ6が塗布された液拡散性シート7は、吸収本体部10a内部の吸収体3の肌当接面側にまで至り、その液拡散機能を阻害されずに吸収本体10aと接合されている。そのため、排泄液が表面シート1から吸収体3へと吸収され幅方向に拡散する段階で、該液は液拡散性シート7によって捕捉される。そして液が的確にインジケータ6へと引き渡され、インジケータ6の変色が生じる。つまり尿とりパッド10を着衣wに装着したままでも吸収体3に排泄尿等が吸収保持されたことを認識することができる。それによって尿漏れする前にタイミングよく尿とりパッドを取り替えることが可能となる。本実施形態1の尿とりパッドでは、従来のもののように吸収体3に視認のための穴を設ける必要がなく吸収体の吸収性能を落とす必要がない。また本実施形態1の尿とりパッド10において、ウィング部5,5を設けることで、着用者の排尿ポイントp(図2参照)を含む前記股下部Cをしっかりと固定できズレを抑えられる。ここで排尿ポイントpとは、着用者が尿とりパッド10を着用した際に尿が排泄される領域及びその周辺を意味し主に股下部Cを中心とする部分である。本発明の張り出し部は、幅方向に関して排尿ポイントpから外方へ延びる領域を含むように配されると、時機良いインジケータの視覚的変化が得られ易い。なお、本実施形態1においては、この排尿ポイントを含む股下部Cの幅方向外方にウィング部5,5が配設されている。
【0043】
液拡散性シート7の液拡散性能は、後述する測定方法によって得られるクレム吸水高さで示される。ウィング部5への液を素早くかつ正確に伝播させる観点から、幅方向へのクレム吸水高さが25mm以上であることが好ましく、25mm〜100mmであることがより好ましく、35mm〜80mmであることがさらに好ましい。このように液拡散性に優れた液拡散性シート72を配設することによって、幅方向への液拡散を適度にかつ容易に導きやすくなりインジケータ6の変化に効果的である。液を幅方向へ効果的に拡散するためには、矩形の液拡散性シートを股下部Cにおいて、排泄ポイント近傍に配置することで、ウィング部のインジケータに確実に液を伝達することができる。
【0044】
本実施形態1において、ウィング部5の表側シート51は、インジケータ6の視覚的変化(変色、色消失、色出現)が視認可能とされていることが好ましい。透明性の指標としては、JIS P8138に準じて測定する不透明度が50%以下であることが好ましく、40%以下であることより好ましく、30%以下であることがさらに好ましい。この不透明度の測定方法は後述する。なお本実施形態1において、表側シート51は、1つのシート材をサイドシート4と接合するようにされているが、これに代えて吸収本体部10aを構成するサイドシート4などのシート材の一部が延出して表側シート51とし、部分的に不透明度を下げる処理を施してもよい。本実施形態1は、下着やおむつカバーに装着して使用するナプキンや尿とりパッドが好ましく、該下着やおむつカバーは蒸気の透過を阻害しない透湿性を有することが好ましい。
【0045】
本実施形態1において、ウィング部5の裏側シート52の防水性の程度は、液体の透過を十分に阻止する観点から、耐水圧で100mm以上が好ましく、500mm以上がさらに好ましい。また裏面シート2ないしその裏側シート部52が透湿性を有する場合、その程度は、インジケータの変色を発揮し、防水性を維持しつつ、おむつ内部のムレやそれに伴う着用者の肌のカブレを十分に防止する観点から、0.5〜4.0g/(100cm2・h)が好ましく、1.0〜2.5g/(100cm2・h)がさらに好ましい。この範囲にあることで裏面シート2に到達した液そのものは通過せず蒸気だけが通過するようにできる。またウィング部5の裏側シート部52において蒸気そのものは通過するが、ウィング部5内部で結露した水分は裏側シート部52を通過せず着衣側に戻るのを防ぐ。このようにすることで着衣への水分の付着を抑えることができる。なお、シート材の防水性及び透湿性の測定方法については後述する。
【0046】
(実施形態2)
図7及び8は本発明の別の実施形態(実施形態2)としての尿とりパッド20の、図3及び4相当図面である。本実施形態2の尿とりパッド20は、前記実施形態1のウィング部5を構成している液拡散性シート7が吸収体3と裏面シート2との間まで延在している。この拡散シートによって排尿による水分をインジケータ6へと導くことができる。例えば、繰り返しの排尿によってじわじわと液が吸収体3に吸収される場合、吸収体3の非肌側面まで液が到達するような段階で取り換え時期が近い状態となることがある。そのため、その時点で液を的確に捕捉してインジケータ6を変色させることができれば、尿とりパッド10の交換時機を時機よく判断することができるので好ましい。
【0047】
尿とりパッド20において、吸収体3の非肌面側まで到達した液は、吸収体3の幅方向中心線付近からサイドシート下側平面部42の液拡散性シート7によって幅方向へと拡散してシート材の接合端k付近まで移動する。この移動した液は、ウィング部5の基底領域g11の表側シート51及び裏面シート2との間を通過し、ウィング部5内のインジケータ6に視覚的変化が生じさせる。
【0048】
前述のインジケータ6への液の優先的な誘導と不要な液拡散の抑制による液の横漏れ防止との両立の観点から、液拡散性シート7が配設される平面視における好ましい範囲として、その縦方向端は、縦方向中心線から前後に50mmの幅が好ましく、30mmの幅がさらに好ましい。また、幅方向内側の端部としては、吸収体3の幅方向中央付近まで至ることが、インジケータ6のタイミング良い視覚的変化の観点から好ましい。より具体的には、吸収体3を、最大幅部分を基準として幅方向に3分割した場合の左右1/3の幅の領域よりも幅方向内方に液拡散性シート7の内側端が存在することが好ましい。当該条件は、吸収性物品の股下部Cにおいて達成されていることが好ましい。なお、吸収体3の形状が所謂砂時計形状であって、吸収体3の縦方向前後における最大幅を三分割し、股下部Cで幅方向左右1/3の領域が存在しないか、一部存在しないことも考えられる。一部存在しない場合には、他の部分で上記条件を満たしていればよく、また、股下部Cで全く当該左右1/3の領域が存在しない場合には、腹側部又は背側部において上記条件を満たしていれば良い。さらに、吸収体3の厚み方向に透過される液を的確に捉える観点から、排尿ポイントに対応する位置まで至ることが好ましい。
【0049】
本実施形態2では、インジケータ6は吸収本体部20aまで延在しているが、インジケータ6はウィング部5のみに存在していても構わない。その場合、ウィング部5を折り曲げた状態で液が確実に受け渡しされる観点から、最も吸収本体側に位置するインジケータ6は、接合端k(図7参照)からの距離が20mm以内に配されるのが好ましく、特に10mm以内、更には2mm以内に配されるのが好ましい。
【0050】
尿とりパッド20において、液拡散性シート7を含むウィング部5及び吸収本体部10aの各部材の好ましい配置及び好ましい接合構造は、前述の実施形態1と同様に、領域g1及び領域g2に区分して説明することができる。この点につき図7〜9を参照して以下に説明する。
【0051】
まず、好ましい部材配置について説明する。領域g2は、吸収体3の側部周辺の領域である。この領域g2、特に領域g22に液拡散性シート7が吸収体3の非肌当接面側に配されることで、吸収体3の非肌当接面側から幅方外方へ拡散しようとする液をタイミングよく捕捉して、インジケータ6へと誘導することができる。さらに、液拡散性シート7が領域g22を越え吸収体3の幅方向中央付近まで配されていると、吸収体3の排尿ポイント部分で大量に捕捉した体液のうち、非肌当接面側に到達した液をより早く捕捉できるので好ましい。そのため本実施形態2においては、ウィング部5の標識領域9において(図7及び9参照)、4条の液拡散性シート7が表側シート51及び裏側シート52を伴わず、幅方向中央付近まで及ぶ配置とされている。これにより、液拡散性シート7は、吸収体3に直接当接して液を捕捉しやすくなり、また裏面シート2との関係においては、体液が面方向に拡散されやすくなるために一箇所に体液が集中し難くなって裏面シート2から体液が滲み出にくくなり、防漏性を高く維持し易い構成となるので好ましい。あるいはこの実施形態に限らず、表側シート51を領域g22まで延出させる場合、的確な液の捕捉ができるよう部分的に孔を多数設けてもよい。この場合、液の拡散をより効果的に抑制するよう調節が可能である。また、ウィング部5の裏側シート52が領域g22まで延出させる場合、裏面シート2と一体構成とすることができる。
また、領域g21は、吸収体3の側縁領域であり、吸収体3のない領域g1と隣接する領域である。そのため、液拡散性シート7によって引き込まれる液を領域g1で不要に拡散させないことが好ましい。本実施形態2においては、ウィング部5の標識領域9において(図7及び9参照)、ウィング部5を構成する撥水性の表側シート51と液拡散性シート7とが積層配置され、防漏性を保持する構造である。一方、液拡散シート7が配されないウィング部5の液体難拡散性領域8では(図8及び9参照)、撥水性の表側シート51及び防水性の裏側シート52のみが疎水性の接合形態で領域g21に延出しており領域g22にまでは及んでいない。
【0052】
領域g1は、吸収体3の側縁より幅方向外側に位置する領域である。この領域g1においては、液の横漏れ防止の観点から、液の移動は極めて限定的なものとされることが好ましい。そのため、領域g11及び領域g12のいずれの領域においても、ウィング部5の標識領域9において(図7及び9参照)、液拡散性シート7を撥水性の表側シート51と防水性の裏側シート52で挟持し、さらに撥水性のサイドシート4と防水性の裏面シート2とで覆う積層構造であることが好ましい。一方、領域g1における、液拡散シート7が配されないウィング部5の液体難拡散性領域8では(図8及び9参照)、撥水性の表側シート51及び防水性の裏側シート52が疎水性の接合形態で配されている。
【0053】
次に、好ましい接合構造について説明する。本実施形態2においても、ウィング部5と吸収本体部20aとの間が、長手方向に沿った接合部によって接合されている。この接合部は、前述の本実施形態1の好ましい接合構造(実施例1及び2)のものを用いて、水分透過可能領域を形成することができる。これにより、ウィング部5の固定性及び液防漏性を維持しつつ、液の取り込み性を確保し得る。
本実施形態2において、図7及び9に示すように、領域g22からさらに吸収体3の幅方向中央付近に及ぶ標識領域9に合わせて、接合部200が配設されている。接合部200には、標識領域9の位置に4つの水分透過可能領域92が形成されている。厚み方向にみると、ウィング部5の標識領域9において(図7及び9参照)、接合部201(液拡散性シート7と吸収体3との接合部)及び接合部202(液拡散性シート7と吸収本体部10aの裏面シート2との接合部)が水分透過可能領域92とされている。一方、ウィング部5の液体難拡散性領域8において、ウィング部5の構成部材は配されず、接合部は形成されていない。つまり実施形態2の接合形態は、前述の実施形態1の実施例1及び2を兼ねるものとなる。さらに領域g21、g12及びg11における接合部210、220及び230として、前記の実施形態1のものを採用して組み合わせることができる。
【0054】
(実施形態3)
次に、液拡散性シート7のないウィング部5を備える尿とりパッド20の部材配置と接合構造について図10及び11を参照して説明する。図10は、本発明のさらに別の実施形態(実施形態3)としての尿とりパッドを展開し伸長した状態を模式的に示す平面図である。図11は、図10のXI−XI線断面の拡大断面図である。なお、図10において表面シートの外形において破線(隠れ線)による図示は省略し、これに包まれた吸収体3のみを破線で示している。また図11おいて、吸収体3の被覆シートは省略し示している。本実施形態3の尿とりパッド30において、ウィング部5は、撥水性の表側シート51と吸収本体部30aの裏面シート2が幅方向(X方向)外方に延出してなる裏側シート部52とで構成されている。さらに表側シート51と裏側シート部52との間にインジケータ6が直接塗設されており液拡散シート7を有しない。ウィング部5の表側シート51は、吸収本体部30a側の基底領域g11の接合端に入り込んで接合されており、インジケータ6は、それより幅方向外方で配設されている。つまりウィング部5は吸収体3とは接触しない配置である。吸収本体部30aは、前記実施形態1の撥水性のサイドシート4が吸収体3の幅方向に廻りこみ吸収体3の非肌面側の全面を被覆している。吸収体3と防水性の裏面シート2との間には、幅方向に液を拡散させる液拡散空間71が配されている。また、撥水性のサイドシート下側平面部42が吸収体の幅方向中心線付近を部分的に親水化処理等によって液透過性を高めた液易透過領域vとし、吸収体3から前記液拡散空間71への液の通路となる。これにより、吸収体3の非肌面側まで到達した液が、吸収体3の幅方向中心線付近からサイドシート下側平面部42の液易透過領域vを通過し、さらに液拡散空間71を介して液が空間内で漏れ広がり幅方向へと拡散してシート材の接合端k付近まで移動する。この移動した液は、基底領域g11の表側シート51及び裏面シート2との間を通過し、ウィング部5内のインジケータ6に接触する。この液との接触でインジケータ6に視覚的変化が生じる。
【0055】
尿とりパッド30において、ウィング部5はウィング基底領域g11において吸収本体部30aに入り込んでいる。そのため両者を固定する接合部300は、領域11においてのみ縦方向(Y方向)に配設されている。本実施形態3においては、接合部300が、実施形態1の実施例1における接合部100と同じ接合形態とされている。つまり接合部300のうち、インジケータ6の配置位置の4箇所において水分透過可能領域93が縦方向(Y方向)に間隔を開けて形成されている。水分透過可能領域93が、液の取り込み口となって液拡散空間71からの液をインジケータ6へと誘導することができる。また、接合部300の水分透過可能領域93以外の部分で、ウィング部5と吸収本体部30aとをしっかりと固定し液の防漏性を高めている。
【0056】
なお、液易透過領域vの形成方法は、孔を多数設けて液透過性を高める方法、撥水性材料に親水化剤(親水性の界面活性剤等)を付与する方法で液透過性を高める方法が挙げられる。本実施形態の尿とりパッド20は、このようなサイドシート4の配置によって液漏れを抑えつつ液の幅方向への拡散を効果的になすことができる。なお液易透過領域vは本実施形態2の形成方法に限定されず、例えば吸収体3の幅方向中心線付近がサイドシート4で被覆されていない形態であってもよく、更に幅方向中心線付近に別の親水性シート材を配するようにしてもよい。
液拡散空間71は、尿とりパッドが使用前に形成されている必要はなく、製品がパッケージ形態で販売されるような場合に圧縮されて空間が潰れていても、排泄液が到達した際に空間が形成されればよい。また、使用前においては材料間が親水性の固定手段によって固定されており、排泄液と接触することによって材料間の固定が解除されるようになされていてもよい。また液拡散空間71は、少なくとも股下部Cにおいて、液拡散空間71全体を1つの空隙部とする形状、液拡散空間71内において幅方向に延びる細長い通路を複数条配設する形状などが挙げられるが、装着時のクロッチ部分の浮き感を抑える観点から前記複数条の幅方向に延在する通路とすることが好ましい。液拡散空間71の形成方法は、この機能を有すれば特に限定されずに様々な方法を採用でき、例えば前記両シート材の非接着部分を設ける方法であってもよく、押圧して溝を形成する方法、サイドシート下側平面部42と裏面シート2との間をスパイラル塗工によってホットメルト接着して、接着剤が粗密に塗布されることによる毛細管力を利用した液拡散路とすることもできる。
【0057】
本実施形態3において、液拡散空間71の縦方向端は、縦方向中心線から前後に50mmの幅が好ましく、30mmの幅がさらに好ましい。本実施形態3において、ウィング部5を折り曲げた状態で液が確実に受け渡しされる観点から、インジケータ6の内側先端6bの位置は、接合端kからの距離(基底領域g11の距離)が20mm以内であることが好ましく、特に10mm以内、更には2mm以内がさらに好ましい。
【0058】
(ウィング部5の変形例)
実施形態1〜3いずれのウィング部5においても、インジケータ6及び液拡散性シート7の間欠的な配置は、吸収本体部10a側にあれば、液の効果的な取り込みが効果的になされるので好ましい。そのためウィング部5内の平面配置としては、実施形態1及び2のように帯状のもの4条が等間隔で配置されるものに限定されるものではなく、任意の配置とすることができる。例えば、図12に示すように、4条のインジケータ6及び液拡散性シート7が放物線上に湾曲した形状など種々採用することができる。
【0059】
以下本実施形態1〜3の尿とりパッドを構成する部材の素材について説明する。
(液拡散性シート)
液拡散性シート7の形成素材として、通常の親水性シート、具体的にはレーヨン、コットン、パルプなどの親水性繊維等を含むものが挙げられる。拡散シートは幅方向へのクレム吸水高さが25mm以上であることが、ウィング部5への体液情報を素早く伝える観点から好ましい。好ましくは、25mm〜100mm、特に35mm〜80mmであると、インジケータへの体液情報伝達が素早く、かつ正確になされるので好ましい。拡散性を制御する方法としては、シートを構成する親水性繊維に加えて、(1)親水性粒子を含ませること、(2)疎水性繊維を含ませること、が挙げられる。親水性粒子としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等が挙げられ、特に酸化チタンが好ましい。疎水性繊維を加える場合には、親水性繊維を50質量%以上、特に60質量%以上、疎水性繊維を50質量%未満、特に40質量%未満の量で含むことができる。疎水性繊維としては例えば各種熱可塑性樹脂からなる繊維を用いることができる。本発明で使用される親水性繊維(不織布)の中には、疎水性の熱可塑性樹脂からなる繊維を各種親水処理した繊維や、疎水性繊維からなる不織布を各種親水化処理した不織布も含まれる。これらの繊維を含む繊維シートとしては、例えばスパンレース不織布、エアスルー不織布、紙などが挙げられる。具体的にはレーヨンとポリオレフィン系繊維とからなるスパンレース不織布が挙げられる。これらの繊維シートの坪量は15〜50g/m2、特に18〜35g/m2であることが好ましい。
【0060】
(液拡散性シートのクレム吸水高さの測定方法)
液拡散性シート72の液拡散性を示すクレム吸水高さの測定は、JIS P8141の紙及び板紙−吸水度試験方法−クレム法に順じて行うことができる。即ち、液拡散性シートを幅20mm、長さ200mmの短冊状に裁断した後、長手方向を鉛直方向にして下端から15mmの部分までを水に浸し、水に浸してから10分後に水が何mm吸い上げられたかを測定する。この測定値をクレム吸水高さとする。
【0061】
(インジケータ)
インジケータ6をなす親水性組成物に含有される呈色指示薬としては、pHが3〜7で色が変化するものが好ましく、その例としてはブロモフェノールブルー、メチルオレンジ、アリザリンS、ブロモクレゾールグリーン、メチルレッド、ブロモクレゾールパープル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの呈色指示薬のうち特に好ましいものとしては、ブロモフェノールブルー、ブロモクレゾールグリーン及びブロモクレゾールパープル等が挙げられる。これらの呈色指示薬は、上記親水性組成物の全量(酸性化合物+呈色指示薬)に対して好ましくは0.01〜50質量%、更に好ましくは0.01〜40質量%、一層好ましくは0.01〜1質量%、最も好ましくは0.01〜0.5質量%含有される。呈色指示薬の量が0.01質量%に満たないと変色しても色が薄く、外部から視認しづらくなることがあり、50質量%を超えると親水性組成物の変色前の色が濃すぎて外観がよくなく、更にコスト高になることがあるので上記範囲内とすることが好ましい。
【0062】
本発明において、少量の水分や高温・多湿下における排泄尿以外での変色を回避する観点から、親水性組成物に、特許第3558828号明細書に記載された、該親水性組成物のpHを保つことが可能で且つ該親水性組成物が水と接触しただけではそのpHが4を超えないように維持することが可能な酸性化合物を含有させ、またウィング部5の裏側シート部52に、水分に溶解するとアルカリ性を呈する水溶性化合物を含有させることもできる。またインジケータ6をなす親水性組成物は、さらに粘着性を有する親水性ポリマーを含有することもできる。親水性組成物にホットメルト接着性が付与されてウィング部5の表側シート51と液拡散性シート71との接合・固定が一層強固なものになると共に、ホットメルト塗工装置があれば、ライン上で塗工可能であり、加工適性が良くなる。即ち、上記酸性化合物、上記呈色指示薬および上記親水性ポリマーを含有してなる親水性組成物は、ホットメルト接着剤として機能する。上記親水性組成物は、上述した成分に加えて酸化防止剤、紫外線吸収剤等を含有していてもよい。これらの成分は、上記親水性組成物の全量に対して0.5〜5質量%含有されることが好ましく、0.5〜3質量%含有されることが更に好ましい。
【0063】
(表側シート)
ウィング部5の表側シート51の素材として、液防漏性の観点から、撥水性のものを用いることが好ましい。例えば、撥水性不織布、親水性不織布や紙などの表面にホットメルト接着剤を塗工し液の透過性を下げたシート、オレフィン系フィルム(PE、PP)等が挙げられる。また、視認性の観点から、インジケータの色目が視認できる程度に坪量、嵩密度、空隙量を制御したシート(不織布やフィルム、またはこれらの複合体)を用いたり、光透過性が高いシート(例えば、透明性が高いシートや部分的に孔を有するシート等)を用いたりすることができる。
ウィング部5の表側シート51の形成素材としてフィルムを用いる場合、坪量10〜40g/m2の多孔性フィルムを使用すると、変化剤の視覚的変化がおむつ外部から認識し易くなると共に、柔軟な感触が得られるので好ましい。フィルム材としては、例えば、透明フィルムを用いることができる。該透明フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂からなる透明フィルム、あるいはこれらの透明フィルムを貼り合わせてなる複合フィルムで、且つ着色剤を含まないものを用いることができる。このフィルム材は透明性の高いフィルムのみで構成してもよいが、表面側シート部に不織布を配するラミネート構成とすると肌触りがよく好ましい。また撥水性の不織布(この場合、好ましくは耐水圧100mm以上)のものだけで構成してもよい。ウィング部5の表側シート51の形成素材として不織布を用いる場合、適度な光透過性が得られる坪量及び/又は厚さのものを用いることが好ましい。該不織布はその坪量が5〜45g/m2、特に10〜40g/m2であることが、視覚的変化の認識性と風合いや手触りなどの官能的な性能とを両立する点から好ましい。不織布としては、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルからなる熱可塑性樹脂単独の繊維や、これらの樹脂の2種以上を用いてなる芯鞘型やサイドバイサイド型の構造を有する複合繊維から構成される不織布等が挙げられる。また不織布としては、その地色の透明度が高く且つ白色度が高いものを用いることが、視覚的変化の認識性が高まるので好ましい。但し不織布シートは、ウィング部5の厚み方向に関して、インジケータを配した領域との重なり部分において、当該重なり部分の大部分が白色であれば良く、当該重なり部分以外の領域に、インジケータ6の視覚的変化の認識性を妨げない範囲で印刷を施しても構わない。
【0064】
(ウィング部5の表側シート51の透明度の測定方法)
ウィング部5の表側シート51の透明度を示す指標は、前述のとおり不透明度の数値で示すことができる。この不透明度は、例えば日本電色工業(株)製の分光色差計(SE−2000、6000等)を用いて前記JIS P8138のA法あるいはB法に準じて測定し、次式により算出することができる。
不透明度(%)C=(R0/R0.89)×100
R0:裏当て黒色板を用いたときの試料の反射率
R0.89:裏当て白色板を用いたときの試料の反射率
【0065】
(裏側シート・裏面シート)
裏側シート52及び裏面シート2の形成材料としては、防水性があれば特に限定されない。また併せてムレ防止観点から透湿性を有していることが好ましい。例えば疎水性の熱可塑性樹脂と、炭酸カルシウム等からなる微小な無機フィラー又は相溶性のない有機高分子等とを溶融混練してフィルムを形成し、該フィルムを一軸又は二軸延伸して得られる多孔性フィルムが挙げられる。前記熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィンが挙げられる。該ポリオレフィンとしては、高〜低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられ、これらを単独で又は混合して用いることができる。さらに裏側シート52において、インジケータ6の視認性を向上させるよう適切な素材を採用することが好ましい。例えば、シート材の坪量を15〜70g/m2とすることが好ましく、25〜50g/m2とすることがさらに好ましい。シート材の配色としては、透明なものであっても有色系であってもよいが、下着等の被装着物品の色(特に年配女性が下着の色として好むベージュ等の有色系)によってインジケータの色(特に、変色後の色)が視認しにくくなることを避ける観点から、淡色系、特に薄い灰色や白色であることが好ましい。裏側シート部52にこのような配色のシート材を採用する場合には、少なくともインジケータ6と重なる領域において配置されていればよい。なお本実施形態において、裏側シート部52は裏面シート2とは別部材であるが、裏側シート52が裏面シート2の延出した部分として形成されてもよい。
【0066】
(耐水圧の測定)
裏側シート52及び裏面シート2の防水性を示す耐水圧の測定は、特に断らない限り、JIS L1092繊維製品の防水性試験方法に準じて行う。JISに示された耐水度試験(静水圧法、A法)は主に通気性のない繊維製品に適用されるものとして定められており、通気性のある製品に適用する場合はスプレー法を適用する。しかし、吸収性物品の場合、実使用時を想定するとスプレー状に液体の負荷がかかる場合は想定されにくく、むしろ耐水度試験の条件に即していると考えられる。
【0067】
(透湿性の測定)
シート材の透湿性の測定は、特に断らない限り、JIS Z0208防湿包装材料の透湿試験方法に準じ、温度条件は35℃として行う。
具体的には、まず透湿カップ内に吸湿剤(塩化カルシウム)を入れ、この透湿カップの口に直径70mmに裁断した試験片をのせて、パッキン及びリングを蝶ナットで固定した後、透湿カップと試料の接合部をビニル粘着テープでシールして試験体とする。この試験体を35±2℃、90±5%RHの恒温恒湿装置内に所定時間放置する。1時間後に試験体を取り出し、質量を測定し、測定後再び恒温恒湿装置内に置き、4時間後に取り出して質量を測定し、次式により、透湿度を、シート(1m2当たり)を通過した水蒸気の質量(g)として求める。なお、前述の透湿度の好ましい数値範囲は、1g/100cm2・h=2400g/m2・24hとして示す。
透湿度(g/m2・24h)=(240×m)/(t・s)
s:透湿面積(cm2)
t:試験を行った最後の2つのひょう量間隔の時間の合計(h)
m:試験を行った最後の2つのひょう量間隔・増加質量の合計(mg)
【0068】
[粘着剤]
また、裏側シート52の非肌側面に配設された粘着剤53は、この種の物品に用いられるものを採用することができるが、インジケータ6の視認性向上の観点から適切な素材を採用することができる。例えば、粘着剤53の色が、インジケータ6の変色後の色よりも淡色か透明であることが好ましい。淡色の粘着剤53とするには、透明の被膜を形成するホットメルト粘着剤等を塗布することにより形成することができる。透明の粘着剤53の形成材料となる粘着剤としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)系、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)系、オレフィン系ホットメルト等を用いることができる。粘着剤53における粘着剤の塗布量は、10〜70g/m2が好ましい。
【0069】
[その他の素材]
表面シート1、サイドシート4及び吸収体3の形成材料としては、通常吸収性物品に使用されているものを用いることができる。
表面シート1としては、親水性不織布が好ましく、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、立体賦形不織布と呼ばれている不織布で、その繊維がポリプロピレンの単繊維や、ポリプロピレンとポリエチレンの複合繊維、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンの複合繊維等で親水化処理が施された繊維が好ましく、その坪量15〜50g/m2のものが好適に使用できる。また、表面シート1の股下部分には、表面シート1の非肌面側に親水性穴開きフィルムや親水性不織布が部分的に重ねられていてもよい。
サイドシート4としては、撥水性不織布が好ましく、具体的には、スパンボンド不織布、スパンボンド−メルトブローン(SM)不織布、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)不織布等が用いられる。サイドシート4の立体ギャザー用弾性部材42としては、この種の物品に用いられる通常の弾性部材を用いることができ、例えば素材としては、スチレン−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ポリウレタン等を挙げることができ、形態としては、断面が矩形、正方形、円形、多角形状等の糸状ないし紐状(平ゴム等)のもの、或いはマルチフィラメントタイプの糸状のもの等を用いることができる。
【0070】
吸収体3の形成材料としては、通常吸収性物品に用いられるものを用いることができる。具体的には例えば、吸収性コアとしては、繊維集合体又はこれと高分子吸水ポリマーとを併用させたもの等を用いることができる。繊維集合体を構成する繊維としては、パルプ繊維等の親水性天然繊維や、合成繊維(好ましくは親水化処理を施したもの)等を用いることができる。坪量は特に限定されないが、150g/m2〜500g/m2が好ましい。また吸収性コアを被覆する被覆シートとしては、親水性のティッシュペーパー等の薄手の紙(薄葉紙)、親水性の不織布(SMS、SMMS、SSMS等の複合不織布)からなるものを用いることができる。
【0071】
以上、具体的な実施形態として張出し部がウィング形状の場合について述べた。ウィング形状の張出し部(ウィング部)はおむつや下着、パッドホルダー等の外側着用物品の外側への露出性が高いため視認性が良好であるとの観点や、尿とりパッドとしてはおむつやパッドホルダー等の外側着用物品への固定性の観点から好ましい。一方、本発明において「張出し部」はウィング形状に限定されず、例えば、吸収本体部から幅方向外方へ突出する1本または複数本のストリップ形状であってもよいし、縦方向に延びる複数の襞形状であってもよい。「張出し部」は、通常外側(非肌面側)に着用されて併用されるおむつや下着、パッドホルダー等の外側着用物品の内側に位置する吸収本体部に対して外側へ露出可能になされた部分であることが好ましい。但し、外側着用物品が、その脚周り部を着用者の大腿部にまで延ばす、いわゆるボクサーブリーフタイプであるような場合には、張出し部が外側着用物品の大腿部当接部分に折り返し可能にまで延びる形態であれば、外側着用物品の脚開口部を捲ることでインジケータの視覚的変化が確認できるので、張出し部が外側着用物品の外側に露出することは必要ではない。また、上記実施形態では張出し部が物品の股下部Cにおける縦方向中央部に配されていたが、腹側部寄り又は背側部寄りに偏倚していてもよい。更に、張出し部は腹側部Fや背側部Rに設けられていてもよい。
【0072】
本発明の吸収性物品は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施形態1及び2の標識領域9を組み合わせたものであってもよく、液が吸収体から液拡散機構を経由してインジケータを変化させるものであれば実施形態1及び2で用いられる部材を適宜入れ替え組み合わせたものであってもよい。本発明の吸収体物品は、上記実施形態における尿とりパッドに限らず、乳幼児用あるいは大人用の展開型使い捨ておむつやパンツ型使い捨ておむつであってもよく、また生理用ナプキン、パンティライナーや軽失禁パッドであってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 表面シート
2 裏面シート
3 吸収体
4 サイドシート
5 ウィング部
51 表側シート
52 裏側シート
53 粘着剤
5t ウィング基端位置
6 インジケータ
7 液拡散性シート
8 液体難拡散性領域
9 標識領域
91,92,93 水分透過可能領域
10,20 尿とりパッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌当接面側に配置される液透過性の表面シートと、非肌当接面側に配置される防水性の裏面シートと、該両シート間に介在された吸収体とを有する吸収本体部を備えた吸収性物品であって、
該吸収性物品は、腹側部と背側部とを股下部を介して結ぶ方向の縦方向とこれに交差する幅方向とを有し、前記吸収体部分を外側着用物品の内側面上に載置して使用されるものであり、
前記吸収本体部の両側には、物品幅方向外方に張り出した前記裏面シート側に折り返し可能な張り出し部があり、該張り出し部は、2層の難液透過性のシートの間に、液体と接すると変色するインジケータ部が配置された構成となされており、
前記張り出し部を構成する部材が吸収本体部の側方に入り込んだ入り込み部を備え、該入り込み部と前記吸収本体部とが接合部で固定されており、該接合部には水分の透過可能な領域があり、該水分透過可能領域は液を前記インジケータ部へと誘導可能とされている吸収性物品。
【請求項2】
前記水分透過可能領域は、前記入り込み部の内方端付近に配設されている請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記接合部は水易溶解性領域と水難溶解性領域とから構成され、前記水易溶解性領域が前記水分透過性領域となる請求項1又は2記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記接合部は、強接合領域と弱接合領域との組み合わせ又は該接合部の一部に非接合領域を有する構成とされ、前記弱接合領域又は非接合領域が前記水透過性領域となる請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記張り出し部におけるインジケータ部が存在する部分には液拡散性シートが配されている請求項1〜4いずれか記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記張り出し部において、複数条の前記インジケータ部がこれと対応する複数条の液拡散性シートと接触するようにして配置されて標識領域を構成し、該標識領域以外の張り出し部の部分は、前記標識領域よりも液拡散性が低くされている、請求項5記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記吸収性物品が外側着用物品の内側に配置されて使用され得るものであって、前記張出し部を着用者大腿部側へ折り返して外部視認容易に着用する請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記液拡散性シートは前記入り込み部まで延在している請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項1】
肌当接面側に配置される液透過性の表面シートと、非肌当接面側に配置される防水性の裏面シートと、該両シート間に介在された吸収体とを有する吸収本体部を備えた吸収性物品であって、
該吸収性物品は、腹側部と背側部とを股下部を介して結ぶ方向の縦方向とこれに交差する幅方向とを有し、前記吸収体部分を外側着用物品の内側面上に載置して使用されるものであり、
前記吸収本体部の両側には、物品幅方向外方に張り出した前記裏面シート側に折り返し可能な張り出し部があり、該張り出し部は、2層の難液透過性のシートの間に、液体と接すると変色するインジケータ部が配置された構成となされており、
前記張り出し部を構成する部材が吸収本体部の側方に入り込んだ入り込み部を備え、該入り込み部と前記吸収本体部とが接合部で固定されており、該接合部には水分の透過可能な領域があり、該水分透過可能領域は液を前記インジケータ部へと誘導可能とされている吸収性物品。
【請求項2】
前記水分透過可能領域は、前記入り込み部の内方端付近に配設されている請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記接合部は水易溶解性領域と水難溶解性領域とから構成され、前記水易溶解性領域が前記水分透過性領域となる請求項1又は2記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記接合部は、強接合領域と弱接合領域との組み合わせ又は該接合部の一部に非接合領域を有する構成とされ、前記弱接合領域又は非接合領域が前記水透過性領域となる請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記張り出し部におけるインジケータ部が存在する部分には液拡散性シートが配されている請求項1〜4いずれか記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記張り出し部において、複数条の前記インジケータ部がこれと対応する複数条の液拡散性シートと接触するようにして配置されて標識領域を構成し、該標識領域以外の張り出し部の部分は、前記標識領域よりも液拡散性が低くされている、請求項5記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記吸収性物品が外側着用物品の内側に配置されて使用され得るものであって、前記張出し部を着用者大腿部側へ折り返して外部視認容易に着用する請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記液拡散性シートは前記入り込み部まで延在している請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−66518(P2013−66518A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205359(P2011−205359)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
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