説明

吸収性着用物品

【課題】少なくとも前ウエスト域において吸液性構造体の両側耳部を着用者の鼠径部に密着させ、体液の横漏れを確実に防止することのできる吸収性着用物品の提供。
【解決手段】吸液性構造体17は、前後ウエスト域のうちの少なくとも前ウエスト域側において、クロッチ域13から前ウエスト域11まで延びる中央部21と、中央部21よりも剛性の低い、中央部21から横方向Xの外方に位置する両側耳部22とを有する。縦方向Yへ延びる一対の股下中央弾性要素28が、少なくともクロッチ域13の中央部近傍から前ウエスト域11まで延びており、股下中央弾性要素28は、前ウエスト域11において吸液性構造体17の両側耳部22と交差する交差部分28Aと、クロッチ域13において吸液性構造体17と交差していない非交差部分28Bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排泄物を吸収する吸収性着用物品、より詳しくは、吸収性コアを有する吸液性構造体を含む吸収性着用物品、使い捨ておむつ、失禁パッドなどに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸収性コアを有する吸液性構造体を含む吸収性着用物品は、公知である。例えば、特許文献1には、前後ウエスト域のうちの少なくとも前ウエスト域において、吸液性構造体の厚さ寸法が局所的にその前端縁に向かって漸減する態様が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−84826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された吸収性着用物品では、前ウエスト域において吸液性構造体の厚さ寸法が、前端縁に向かって局所的にその前端縁に向かって漸減しているので、前端縁周縁の剛性が他の領域よりも比較的に低くなり、着用者の身体に密着し、体液の漏れを防止することができる。
【0005】
しかし、かかる構成を有することによって吸液性構造体の前端縁近傍を着用者に身体に密着させることができるが、着用者の鼠径部に位置する吸液性構造体の両側耳部を着用者の身体に密着させることができない。吸液性構造体の両側耳部は、着用者の鼠径部の動きによって皺が寄ったり、折曲されたりして着用者の身体から離間し易く、前端縁近傍よりもより体液の漏れを誘発する原因ともなりうる。また、仮に吸液性構造体の両側耳部の厚さ寸法を漸減してその剛性を比較的に低くしたとしても、着用者の鼠径部の動きに合わせて密着させ、その動きに追従させることはできない。
【0006】
本発明の課題は、少なくとも前ウエスト域において吸液性構造体の両側耳部を着用者の鼠径部に密着させ、体液の横漏れを確実に防止することのできる吸収性着用物品の提供に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために本発明が対象とするところは、縦方向及びそれに直交する横方向と、肌対向面及び非肌対向面とを有し、前ウエスト域と、後ウエスト域と、前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域と、前記クロッチ域を中心として前記前後ウエスト域に延びる少なくとも吸収性コアを有する吸液性構造体とを含む吸収性着用物品にある。
【0008】
本発明が特徴とするところは、前記吸液性構造体は、前記前後ウエスト域のうちの少なくとも前記前ウエスト域側において、前記クロッチ域から前記前ウエスト域まで延びる中央部と、前記中央部から前記横方向の外方に位置する両側耳部とを有し、前記両側耳部の剛性は前記中央部の剛性よりも低く、
前記中央部に隣接してこれに沿って前記縦方向へ延びる一対の股下中央弾性要素が、少なくとも前記クロッチ域の中央部近傍から前記前ウエスト域まで延びるとともに、前記非肌対向面側に位置する前記吸液性構造体の底面に当接しており、前記股下中央弾性要素は、前記前ウエスト域において前記吸液性構造体の前記両側耳部と交差する交差部分と、前記クロッチ域において前記吸液性構造体と交差していない非交差部分とを有することにある。
【0009】
本発明の実施態様の一つにおいては、前記股下中央弾性要素の前記交差部分の前記縦方向における長さ寸法が、前記非交差部分の前記縦方向における長さ寸法の約5〜20%である
【0010】
本発明の他の実施態様の一つにおいては、前記吸液性構造体において、前記両側耳部における前記吸収性コアの単位面積当たりの質量が、前記中央部における前記吸収性コアの単位面積当たりの質量よりも低くなっている。
【0011】
本発明のさらに他の実施態様の一つにおいては、前記吸液性構造体の前記両側耳部は、その厚さ寸法が前記横方向の外方に向かうにつれて次第に小さくなっている傾斜形状を有しており、体液を吸収した状態においても傾斜形状が維持されている。
【0012】
本発明のさらに他の実施態様の一つにおいては、前記吸液性構造体は、前記前ウエスト域側に位置する前方域と、前記後ウエスト域側に位置する後方域と、前記前後方部よりも幅狭な中間域とを有し、前記前後方域に前記両側耳部が形成されており、前記両側耳部に前記股下中央弾性要素の前記交差部位が交差している。
【0013】
本発明のさらに他の実施態様の一つにおいては、前記吸液性構造体は、前記肌対向面側に位置する透液性のトップシートと、前記非肌対向面側に位置する不透液性のバックシートとの間に介在されており、前記トップシートの肌対向面には、前記縦方向へ延びる複数条の凸条と、前記凸条と交互に並行して延びる複数条の凹条とが形成されている。
【0014】
本発明のさらに他の実施態様の一つにおいては、前記吸液性構造体の前記両側耳部は、前記肌対向面側が斜面に形成されている。
【0015】
本発明のさらに他の実施態様の一つにおいては、前記吸液性構造体の前記両側縁の前記横方向外方に位置するサイドフラップにおいて、前記股下中央要素と並行して、かつ、それと所与寸法前記横方向において離間する股下サイド弾性要素が収縮可能に配設されている。
【0016】
本発明のさらに他の実施態様の一つにおいては、前記前ウエスト域の両側縁と前記後ウエスト域の両側縁とを連結するためのファスナ手段を有し、前記ファスナ手段が少なくとも前記前ウエスト域の外面において前記横方向へ延びるファスニング要素を有し、前記ファスニング要素が、前記吸液性構造体の前端部を横断しており、前記股下中央弾性要素が前記ファスニング要素と交差していない。
【発明の効果】
【0017】
本願の1つ以上の発明に係る吸収性着用物品によれば、少なくとも前ウエスト域において吸液性構造体の両側耳部の剛性が中央部の剛性よりも低く、かつ、両側耳部には、縦方向に延びる中央股下弾性要素の一部が交差しているので、両側耳部が着用者の鼠径部の形状に沿って湾曲して密着し、両側耳部から排泄物が外部に漏れ出るおそれはない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の吸収性着用物品の一例として示す、第1実施形態における使い捨ておむつの斜視図。
【図2】おむつの展開平面図。
【図3】図2のIII−III線断面図。
【図4】吸液性構造体と股下中央弾性要素のみを実線で示す、図2と同様の平面図。
【図5】おむつの着用状態を示す図。
【図6】第2実施形態における図4と同様の平面図。
【図7】第3実施形態における図3と同様の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
図1及び2に示すとおり、本発明の吸収性着用物品の一例を示す、おむつ10は、縦軸P及びそれに直交する横軸Qと、縦軸Pに平行な縦方向Yと横軸Qに平行な横方向Xと、肌対向面及びその反対側の非肌対向面を有し、前ウエスト域11と、後ウエスト域12と、前後ウエスト域11,12間に位置するクロッチ域13とを有するおむつ本体14を含む。また、図3において、縦方向Y及び横方向Xに直交する厚さ方向をZで示している。
【0020】
おむつ本体14は、横方向Xへ直状に延びる前端縁14a及び後端縁14bと、クロッチ域13において内方へ凹曲する両側縁14c,14dと、肌対向面側に位置するトップシート15と、おむつ10の外形をなし、非肌対向面側に位置する不透液性のバックシート16と、トップシート15とバックシート16との間に介在された吸液性構造体17とを含む。また、トップシート15と吸液性構造体17との間には、中間シート18が配置されており、トップシート15の肌対向面の両側には、縦軸Pに関して対称の一対のバリアシート19が配置されている。
【0021】
トップシート15は、透液性を有する各種の繊維不織布、例えば、質量約15〜45g/mのエアスルー繊維不織布、多孔プラスチックフィルム、それらのラミネートシート等から形成することができる。
【0022】
バックシート16は、難透液性又は不透液性を有する公知の各種の繊維不織布、例えば、質量約10〜40g/mの範囲にある、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、SMS(スパンボンド・メルトブローン・スパンバンド)不織布、不透液性のプラスチックフィルム、それらのラミネートなどから形成することができる。
【0023】
中間シート18は、通気性かつ液透過性を有する公知の各種の繊維不織布、例えば、質量約15〜45g/mのエアスルー不織布などから形成することができ、着用者の肌に対するクッション性を向上させるとともに、体液を妄りに拡散させることなく、また、トップシート15と吸液性構造体17とを離隔して体液が妄りにトップシート15へ逆流するのを防止している。ただし、おむつ10において、中間シート18は省略されていてもよい。
【0024】
バリアシート19は、疎水性繊維不織布、透湿性かつ防漏性プラスチックフィルム、それらのラミネート等から形成することができ、例えば、不織布としては、質量約10〜30g/mのSMS繊維不織布やスパンボンド繊維不織布等から形成することができる。
【0025】
吸液性構造体17は、前後端縁17a,17bと、両側縁17c,17dとから画成された、クロッチ域13の前ウエスト域11側から前ウエスト域11に向かって横方向Xへ幅広となる扁平状であって、後ウエスト域12からクロッチ域13を縦断して前ウエスト域11へ延びる中央部21と、前ウエスト域11において中央部21の横方向Xの両側に位置する両側耳部22とを有する。図3及び4において、中央部21と両側耳部22との境界ライン24を一点鎖線で示している。なお、吸液性構造体17の前端縁17aの両端は、曲状を有している。
【0026】
吸液性構造体17は、超吸収性ポリマー粒子(SAP)とフラッフパルプ、オプションとして熱可塑性合成繊維(ステープルファイバー)とを混合して所定の形状に賦型した吸収性コアと、その保形性及び液拡散性の向上のために吸収性コアを覆う、例えば、透液性を有する繊維不織布シートなどから形成された、液拡散性を有するシートとを有する。吸液性構造体17の底面には、不透液性のプラスチックフィルム又は不透液性の繊維不織布から形成された防漏シート27が配置されている。なお、吸液性構造体17は、後記の本実施形態の効果を奏する限りにおいて、吸収性コアのみから形成されていてもよい。
【0027】
図3に示すとおり、吸液性構造体17の単位面積当たりの質量は一定であって、吸液性構造体17の前ウエスト域11における両側耳部22は、横方向Xの内方から外方へ向かうにつれてその厚さ寸法が漸減するように傾斜した形状を有することで、肌対向面側が斜面に形成されており、両側耳部22は中央部21よりも剛性が低くなっている。具体的には、吸液性構造体17が所要量の人工尿を吸収した場合における、中央部21の平均の厚さ寸法H1は、約12〜15mmであって、両側耳部の横方向Xのほぼ中央部位における平均の厚さ寸法H2は、約8〜11mmである。
【0028】
<吸液性構造体17の厚さ寸法の測定方法>
まず、超吸収性ポリマー粒子質量約300g/mと、フラッフパルプ質量約315g/mとを混合して形成した吸液性構造体17を含むおむつ10全体をトップシート15側から人工尿(例えば、イオン交換水10リットルをベースとした場合、尿素200g,塩化ナトリウム80g,硫酸マグネシウム80g,塩化カルシウム8g,色素(青色)1gを溶解させた水溶液)を注入した容器に浸す。この状態のまま5分間放置した後に、おむつ10を容器から取り出し、肌対向面側を上側としてテーブルの上に平置きにして、5分間放置した後に中央部21と両側耳部22の厚さを測定する。なお、中央部21の厚さ寸法H1は、その縦方向Yと横方向Xとの中央部近傍を基準としてその周辺の平均の寸法を求め、また、両側耳部22は、その形状に沿って対角線を複数引いて、対角線どうしが交差する部分を基準としてその周辺の厚さ寸法を測定した。
【0029】
また、本実施形態と異なり、両側耳部22における吸収性コアの単位面積当たりの質量を中央部21における吸収性コアの単位面積当たりの質量よりも低くすることによって両側耳部22を中央部21よりも低剛性とし、それらの厚さ寸法H1,H2をほぼ同等に形成することもできる。かかる場合には、両側耳部22の厚さ寸法H2が中央部21の厚さ寸法H1とほぼ同等であって、厚さ寸法の相違による吸収性コアの型崩れやひび割れを生じるおそれがない。
【0030】
さらに、吸液性構造体17全体の単位面積当たりの質量を一定にしたうえで、中央部21にのみ複数の圧縮凹部から形成された、所要形状のパターンを有する圧縮加工部を形成することによって、相対的に両側耳部22の剛性が中央部21の剛性よりも低くなるようにしてもよい。このように、本発明の後記の効果を奏する限りにおいて、両側耳部22の剛性が中央部21のそれよりも低く形成されていればよく、かかる剛性差を生じさせるものであれば、この種の物品に通常用いられる公知の構成、各種公知の加工手段を用いることができる。
【0031】
さらに言えば、両側耳部22と中央部21との境界ライン24に縦方向Yへ延びる凹溝部が形成されていてもよい。その場合は、かかる凹溝部がヒンジのような役割を果たし、後記のように、股下中央弾性要素28の伸長応力によって両側耳部22をより着用者の身体に向かって湾曲させて密着させ易くなる。
【0032】
吸液性構造体17の両側耳部22には、吸液性構造体17と防漏シート27との間に配置された、ストランド状又はストリング状の股下中央弾性要素28が延出している。具体的には、股下中央弾性要素28は、吸液性構造体17の底面に当接し、かつ、吸液性構造体17の中央部21に隣接してこれに沿って延びている。
【0033】
図4に示すとおり、股下中央弾性要素28は、クロッチ域13の後ウエスト域12側から前ウエスト域11まで延びており、非肌対向面側における吸液性構造体17の底面において両側耳部22と交差する交差部分28Aと、クロッチ域13において吸液性構造体17の中央部21の横方向Xの外方に位置する非交差部分28Bとを有する。股下中央弾性要素28は、例えば、太さ約320〜1240dtex、好ましくは、620〜940dtex、伸長倍率約1.5〜2.5倍の弾性材料(弾性糸)から形成することができる。なお、股下中央弾性要素28は、後記の本願発明の効果を奏する限りにおいて、交差部分28Aの長さ寸法等にも依るが、少なくともクロッチ域13の中央部近傍、すなわち、クロッチ域13の横軸Qの近傍から前ウエスト域11まで延びていればよい。
【0034】
また、本実施形態では、1本の股下中央弾性要素28が一方側耳部22に交差しているが、複数本の股下中央弾性要素28が配設されて交差していてもよい。両側耳部22に複数条の股下中央弾性要素28が交差するように配設されている場合には、それを構成する弾性材料のうち、両側耳部22の横方向Xの内方に位置する弾性材料は、その外方に位置するものよりも伸長応力が低いことが好ましい。すなわち、横方向の外方に位置する弾性材料の伸長応力が比較的に高い場合には、両側耳部22は横方向の外方へ向かって下り勾配となる傾斜形状を有しているので、外方側の部位が強く身体に密着して相対的に内方が浮き上がり、体液の漏れを生じるおそれがあるからである。
【0035】
防漏シート27は、透湿性かつ防漏性プラスチックフィルム、質量約10〜30g/mの不透液性のSMS(スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド)繊維不織布、スパンボンド繊維不織布、それらのラミネートシートから形成することができる。
【0036】
再び、図2を参照すれば、おむつ本体14は、吸液性構造体17の前後端縁17a,17bの縦方向Yの外方において、横方向Xへ延びる前後方エンドフラップ30,31と、吸液性構造体17の両側縁17c,17dの横方向Xの外方において、縦方向Yへ延びる一対のサイドフラップ32とを有する。前後エンドフラップ30,31は、吸液性構造体17の前後端縁17a,17bから縦方向Yの外方へ延出する、バリアシート19と、トップシート15と、防漏シート27およびバックシート16が互いに重なり合わされて形成されている。また、サイドフラップ32は、吸液性構造体17の両側縁17c,17dの横方向Xの外方に延出する、トップシート15と、バリアシート19と、防漏シート27およびバックシート16とが互いに重なり合わされて形成されている。
【0037】
後方エンドフラップ31とサイドフラップ32とが交差する後方側部フラップ33のバリアシート19とバックシート16との両側縁部間には、一対のテープファスナタブ35の固定部35aが介在されており、両シート16,19の内面に塗布されたホットメルト接着剤(図示せず)を介してそれらに固定されている。また、後方側部フラップ33の側縁(後ウエスト域12の側縁)から横方向Xの外方へ延びるテープファスナタブ35の自由部35bには、メカニカルファスナのフック群を有する第1ファスニング要素36が設けられている。おむつ10の着用状態において、第1ファスニング要素36が、前ウエスト域11の外面において横方向Xに延びるメカニカルファスナのループ群を有する第2ファスング要素37に離脱可能に止着されることによって、ウエスト開口38と一対のレッグ開口部39とが画成される(図1参照)。第2ファスニング要素37は、第1ファスニング要素35に比して幅寸法の大きいバンド状の形態を有し、吸液性構造体17の前端部を横断している。
【0038】
後エンドフラップ31の一部を形成するトップシート15と防漏シート27との間には、連続気泡を有するウレタンフォームなどのクッション性を有する帯状の弾性反発部材から形成された弾性ウエストバンド41が配設されている。また、サイドフラップ32の一部を形成するバックシート16とバリアシート19との間には、複数条のストランド状又はストリング状の股下サイド弾性要素42が縦方向Yへ収縮可能に配設されており、両シート16,19の内面に塗布されたホットメルト接着剤(図示せず)を介して接合されている。
【0039】
バリアシート19は、サイドフラップ32の一部を形成する近位縁部44と、前後ウエスト域11,12においてトップシート15の肌対向面と、バックシート16のトップシート15から横方向Xの外方に延出する部分との肌対向面にホットメルト接着剤(図示せず)を介して固定された前後固定端部45,46と、前後固定端部間45,46において縦方向Yへ延びる、バリシート19の内側縁を内方へ折り返すことによって形成された遠位縁部47とを有する。遠位縁部47には、縦方向Yへ延びるストランド状又はストリング状のカフ弾性要素48が縦方向Yに収縮可能に配設されている。遠位縁部47は、おむつ10の着用状態においてカフ弾性要素48の収縮作用によってトップシート15の肌対向面から離間し、排泄物の横漏れを防止するための一対の防漏カフが形成される。
【0040】
図5は、おむつ10の着用状態を示す側面図である。なお、図4及び5において、おむつ本体14の構成部材のうち、吸液性構造体17と股下中央弾性要素28のみを実線で示し、他の構成部材については仮想線で示している。
【0041】
図4に示すとおり、前ウエスト域11において、吸液性構造体17の両側耳部22の非肌対向面には、股下中央弾性要素28の交差部分28Aが延在しており、吸液性構造体17の両側耳部22には、股下中央弾性要素28による伸長応力が直接作用している。また、吸液性構造体17の両側耳部22においては、図3に示すとおり、横方向Xの内方から外方へ向かってその厚さ寸法が漸減していることから、両側耳部22は中央部21より剛性が低く、これらの構成により、本発明のおむつ10は、以下の効果を奏する。
【0042】
図5に示すとおり、吸液性構造体17の両側耳部22は、着用者の鼠径部に対向する部位である。該部位は、着用中において、着用者の鼠径部の動きによって皺が寄ったり、折曲されたりする部位であって、着用者の身体から離間し易く、該部位から体液の漏れを生じる蓋然性が高い。本発明の実施形態では、吸液性構造体17の両側耳部22は、横方向Xの内方から外方へ向かってその厚さ寸法が漸減する傾斜形状であって比較的に低い剛性を有し、着用者の身体の形状に沿って曲状を呈し易くなっているとともに、該両側耳部22には股下中央弾性要素28の交差部位28Aが延在しているので、その伸長応力によって両側耳部22の着用者の身体に密着させることができ、体液の横漏れを確実に防止することができる。
【0043】
実際には、股下中央弾性要素28のうち、吸液性構造体17と重なる交差部分28Aはその剛性によってその伸長力が抑えられている部位であるが、股下中央弾性要素28のうちの吸液性構造体17と交差してない非交差部分28Bがクロッチ域13において湾曲状に伸長されていることによって、その伸長応力が交差部分28Aに作用されて、両側耳部22を着用者の身体に密着させることができる。なお、吸液性構造体17の両側耳部22には、股下中央弾性要素28の交差部分28Aと重なっていない領域が形成されているが、その一部が身体に密着することよって、両側耳部22全体の着用者の身体からの離間を抑制することができ、体液の横漏れを防ぐことができる。
【0044】
また、本発明の実施形態は、いわゆる開放型の使い捨ておむつ以外に、パンツ型の使い捨ておむつなどの着用物品にも適用しうるものであるが、開放型使い捨ておむつの場合には、図5に示すとおり、両側耳部22のうちの股下中央弾性要素28の交差部分28Aと重なる部分以外の領域、すなわち、その上方に位置する領域(前端部)の外面には、バンド形状を有する第2メカニカルファスナ要素37が位置する。したがって、第2メファスニング要素37とテープファスナタブ35の第1ファスニング要素36とのの締結によって、かかる上端部が着用者の身体側に押し当てられて密着することから、該部位が着用者の身体から離間することはなく、両側耳部22全体を着用者の身体にフィットさせることができる。
【0045】
さらに、図4に示すとおり、股下サイド弾性要素42は、股下中央弾性要素28と並行して縦方向Yへ延びており、その伸長作用の一部が吸液性構造体17の両側耳部22の湾曲形状の形成に寄与しているとも考えられる。したがって、股下中央弾性要素28と、第2ファスニング要素37及び股下サイド弾性要素42とが協働して両側耳部22全体を着用者の身体に密着させているともいえる。
【0046】
かかる効果を奏するために、各股下中央弾性要素28の伸長応力は、その伸長力の作用する伸縮域における93%伸長時(股下中央弾性要素28の最大伸長時を100%とした場合)において、約0.2〜0.8Nであることが好ましい。0.2N以下の場合には、吸液性構造体17の両側耳部22を着用者の身体に沿って折曲させることができず、0.8N以上の場合には、その伸長応力によって両側耳部22の吸液性能が阻害され、体液が十分に吸収されず、横漏れを生じる原因となるおそれがあるからである。
【0047】
<股下中央弾性要素28の伸長応力の測定方法>
股下中央弾性要素28の伸長応力は、引張試験機(島津製作所株式会社製、オートグラフ AGS−1kWG)を用いて上下チャック間の初期離間寸法250mm、引張スピード100mm/minの条件下において測定する。具体的には、まず、所定幅(具体的には、股下中央弾性要素28の横方向Xの両側の外方において、それぞれ、約5mm幅を有するもの。股下中央弾性要素28が複数本の弾性糸から形成されている場合も同様。)を有する股下中央弾性要素28が配設された伸縮域を取り出し(ただし、吸液性構造体は取り除く)、それが収縮した状態でチャック間に固定し、93%まで伸長させた状態における伸縮域の伸長応力を算出する。
【0048】
本発明の実施形態において、通常の、幼児用使い捨ておむつ10のMサイズ(縦方向の長さ寸法420〜480mm)を対象とした場合、吸液性構造体17の縦方向Yにおける長さ寸法L1(前端縁17aと後端縁17bとの縦方向Yにおける離間寸法)は約320〜360mm、中央部21における両側縁17c,17d間の横方向Xの長さ寸法W1は約80〜100mm、両側耳部22の両側縁17c,17d間の横方向Xにおける離間寸法W2は、約90〜120mmである。また、吸液性構造体17の両側耳部22の縦方向Yにおける長さ寸法L2は、約100〜160mm、前ウエスト域11における一方側耳部21の横方向Xの長さ寸法W3は、約15〜40mmである。
【0049】
股下中央弾性要素28の縦方向Yにおける長さ寸法L3は、約210〜230mmであって、股下中央弾性要素28のうちの交差部分28Aの縦方向Yにおける長さ寸法L4は約30〜50mm、非交差部分28Bの縦方向Yにおける長さ寸法L5は、約160〜200mmである。また、中央部21の両側縁17c,17dと股下中央弾性部材28の非交差部分28Bとの横方向Xにおける離間寸法W4は、約3〜20mmである。
【0050】
股下中央弾性要素28において、交差部分28Aの縦方向Yの長さ寸法L4の大きさが、非交差部分28Bの縦方向Yにおける長さ寸法L5の大きさの約25%以下、好ましくは、20%以下であって、約5%以上、好ましくは、約8%以上であることが好ましい。交差部分28Aの長さ寸法L4が非交差部分28の長さ寸法L5の25%以上の場合には、非交差部分28Bの伸長応力によって、吸液性構造体17の両側耳部22を着用者の身体の形状に沿って湾曲させることができず、両側耳部22が着用者の身体から離間し、排泄物の横漏れを生じるおそれがあるからである。また、それが5%以下の場合には、交差部分28Aに作用する伸長応力が局所的に集中して、吸液性構造体を必要以上に圧迫し、その一部にひび割れを生じて吸液性構造体の吸液性能を低下させるおそれがある。
【0051】
また、股下中央弾性要素28の交差部分28Aの縦方向Yの長さ寸法L4
は、両側耳部22の縦方向Yの長さ寸法L2の約15〜36%の大きさであることが好ましい。15%以下の場合には、両側耳部22全体に対する股下中央弾性要素28の伸長応力の作用する部位が局所的に過ぎるため、両側耳部22全体を着用者の身体に沿って湾曲することができないからである。一方、それが36%以上の場合には、両側耳部22全体を交差部分28Aが交差し、また、交差部分28Aの先端が両側耳部22よりもさらに上方に位置するときには、非交差部分28Bが伸長することによって交差部分28Aが両側耳部22全体を巻き込み、それを下方へ引き下げるように作用するおそれがあるからである。さらに、股下中央弾性要素28が両側耳部22よりも前方(上方)に位置し、外面に配置された第2ファスニング要素37と交差する位置まで延在する場合には、第2ファスニング要素37に対してそれを下方へ引っ張ろうとする力が作用し、おむつ10全体がずり下がるおそれがあるので、好ましくない。
【0052】
図4に示すとおり、両側耳部22の下側縁49は、内方へ凹となる円弧状を有しており、かかる形状を有することによって、両側耳部22が着用者の鼠蹊部に密着した際に、よりその形状に沿った湾曲状を呈することができる。具体的には、下側縁49の境界ライン24に対する角度αが約45〜60°の曲状であることが好ましい。角度αが45°以下の場合には、両側耳部22の下端部が先尖状となって着用者の身体に沿って湾曲させることができず、また、角度αが60°以上の場合には、両側耳部22の下端部が比較的に幅広となって、十分に中央股下弾性要素28の交差部分28Aによる伸長応力が作用せず、一部が着用者の身体から離間するおそれがあり、いずれの場合であっても、体液の漏れを生じるおそれがあるからである。
【0053】
再び、図3を参照すれば、本実施形態において、吸液性構造体17の両側耳部22は、その非肌対向面が平坦であって、肌対向面が横方向Xの外方に向かうにつれて徐々に下方へ傾斜する形状を有するものであるが、肌対向面と非肌対向面とが、ともに横方向Xの外方に向かうにつれておむつの中心へ傾斜する形状であってもよい。このように、両側耳部22が横方向Xの外方に向かうにつれて肉薄になる場合には、その外側縁がより着用者の肌に密着し、着用者の身体からの離間を防止することができる。また、両側耳部22は、中央部21に比してその厚さ寸法H2が小さい限りにおいて、厚さ寸法H2が漸減する傾斜形状を有するものではなく、中央部21と両側耳部22との境界ライン24近傍に段差が形成されていてもよい。
【0054】
<吸液性構造体17の吸収性コアの形成方法>
おむつ10の製造工程における吸液性構造体17の吸収性コアの形成方法について述べると、以下の方法が考えられる。
【0055】
まず、パルプ繊維、高吸水性ポリマーなどの吸収性・離散性材料が充填されたダクトと、ダクトの下位に位置して機械方向へ搬送される、複数の集積用凹部を有するプレートとを有する製造装置において、ダクトから吸収性・離散性材料を集積用凹部に集積させて集積体(吸収性コア)を形成する。プレートは、その低部が複数の開孔を有するメッシュ状であって、開孔を介して集積用凹部内において吸収性・離散性材料を吸引して集積させる。
【0056】
プレートの集積凹部内において、機械方向へ延びる、吸収性コアの中央部21に対応する第1凹状部位と、第1凹状部位から機械方向に直交する交差方向へ約15mm(両側耳部22の幅寸法W3に相当)延びる、両側耳部22に対応する第2凹状部位とを形成する。ダクトから供給される吸収性・離散性材料は、集積凹部の中央部に集中することから、第2凹状部位に集積される集積量が第1凹状部に比して少なくなる傾向にあり、それにより、両側耳部22の単位面積当たりの質量を中央部22のそれに比べて小さくすることができる。また、両側耳部22の単位面積当たりの質量を中央部21に比して確実に小さくするためには、第2凹状部位の深さ(集積凹部の厚さ寸法)、又は/及び、底部に形成された開孔の開孔面積、メッシュ度などを第1凹状部位に比して小さくしてもよい。さらに、本実施形態のように、両側耳部22を確実に傾斜形状とするためには、第2凹状部位において、その深さ、開孔面積、メッシュ度を第1凹状部位側(内方側)から外方へ向かって次第に、好ましくは連続的に、小さくなるように形成してもよい。
【0057】
図3に示すとおり、クロッチ域13において、バリアシート19の近位縁部44の内側縁44a(バリアカフの基端部)どうしの横方向Xにおける離間寸法W5は、約120〜140mmであって、バリアカフの基端部44aは股下中央弾性要素28の交差部分28Aの横方向Xの外方に位置している。バリアカフの基端部44aが股下中央弾性要素28の横方向Xの内方に位置する場合には、吸液性構造体17の両側耳部22が股下中央弾性要素28の収縮作用によって着用者の身体側に向かって(図面の上方)湾曲するときにバリアカフの基端部44aを巻き込み、カフ弾性要素48の伸長応力によってバリアシート19の遠位縁部47がトップシート15から離間する前に着用者の身体に当接した状態となるため、排泄物の横漏れを防止するためのバリアカフを十分に形成することができない。
【0058】
一方、本実施形態では、バリアカフの基端部44aが股下中央弾性要素28の横方向Xの外方に位置していることから、吸液性構造体17の両側耳部22が股下中央弾性要素28の伸長応力によって着用者の身体に向かって湾曲しても、バリアカフの基端部44aを巻き込むことはなく、バリアカフはカフ弾性要素48の収縮作用によって起立するので、十分に排泄物の防漏提としての機能を果たすことができる。
【0059】
<第2実施形態>
図6は、本発明の第2実施形態における使い捨ておむつの図4と同様の平面図である。ただし、使い捨ておむつ10の基本的な構成は第1実施形態のそれと同様であるので、相違する点についてのみ以下に述べる。
【0060】
図6に示すとおり、本実施形態の吸液性構造体17は、前ウエスト域11に位置する前方域50と、後ウエスト域12に位置する後方域51と、前後方域50,51間に位置して縦方向Yへ延びる、比較的に幅狭の中間域52とを有する。前後方域50,51は中間域52よりも幅広であって、中央部21から横方向Xの外方へ延びる両側耳部22が形成されている。
【0061】
また、図示していないが、前後方域50,51の両側耳部22は、横方向Xの内方から外方に向かうにつれて厚さ寸法が漸減する傾斜形状を有しており、その一部には、クロッチ域13を中心として前後ウエスト域11,12に延びる股下中央弾性要素28が交差している。すなわち、股下中央弾性要素28は、吸液性構造体17の前後方域50,51の両側耳部22と交差する交差部位28Aと、クロッチ域13において吸液性構造体17と交差していない非交差部位28Bとを有する。このように、第1実施形態と同様の構成する両側耳部22が前後方域50,51に形成されていることによって、前ウエスト域11のみならず後ウエスト域12において吸液性構造体17の両側耳部22を着用者の身体の形状に沿って湾曲させることができ、排泄物の横漏れを前後ウエスト域11,12において効果的に防止することができる。
【0062】
<第3実施形態>
図7は、本発明の第3実施形態における使い捨ておむつ10の図3と同様の断面図である。本実施形態の使い捨ておむつ10の基本的な構成は、第1実施形態のそれとほぼ同様であるので、相違する点についてのみ以下に述べる。
【0063】
図7に示すとおり、本実施形態の使い捨ておむつ10は、トップシート15が、その肌対向面において縦方向に延びる複数の凸条55と、これら凸条55の間に位置する凹条56とを有する繊維不織布シートから形成されている。トップシート15を形成する繊維は、全方位的にランダムに配向(3次元方向を含む。)しており、かかる凹凸形状は、トップシート15を形成する連続繊維ウエブ上に配置されたノズルから気体を噴射したり、ウォータージェット処理、スチームジェット処理、プレス加工またはギア加工によって形成することができる。したがって、凸条55は凹条56に比して高密度領域であるといえる。
【0064】
このように、トップシート15に縦方向Yに延びる高密度領域(凸条)55と低密度領域(凹条)56とが縦方向Yにおいて交互に形成されていることによって、その剛性差によって、トップシート15は縦方向Yに曲がり易くなっている。すなわち、股下中央弾性要素28の伸長応力によって吸液性構造体17の両側耳部22を湾曲させるときに、トップシート15が追従して湾曲し易くなり、より両側耳部22を着用者の身体にフィットした形状にすることができる。
【0065】
本実施形態のトップシートの質量は、20g/m以上、好ましくは、25g/m以上であって、その厚さ寸法は、約0.5mm以上、好ましくは、0.8mm以上である。トップシートの質量が20g/m以下であって、かつ、その厚さ寸法が0.5mm以下の場合には、たとえそれが凹凸条55,56を有する場合であっても、吸液性構造体17の両側耳部22の湾曲状の形成に寄与することはなく、また、寄与する場合であってもその影響は極めて微弱である。
【0066】
さらに、図示していないが、凹条において、縦方向Yへ交互に並ぶ高密度部位と低密度部位とを形成することによって、すなわち、凸凹条55,56における剛性値の相関関係を、凸条55>凹条56の高密度部位>凹条56の低密度部位とすることによって、トップシート15をより着用者の身体の形状に沿って湾曲させ易くしてもよい。また、本実施形態では、凸凹条55,56が縦軸Pに対して並行に延びているが、それに傾斜するように形成することによって、吸液性構造体17の両側耳部22の折曲される方向を調整することもできる。
【0067】
なお、おむつ10を各構成部材には、本明細書に記載されている材料のほかに、この種の分野において通常用いられている、各種の公知の材料を制限なく用いることができる。また、実施の形態も上記明細書に記載の形態及び図面に示されたものに限定されるものではなく、例えば、特許請求の範囲に記載した各請求項(請求項1を除く)に記載した技術的事項の組み合わせによる実施形態を含むものである。
【符号の説明】
【0068】
10 吸収性着用物品(使い捨ておむつ)
11 前ウエスト域
12 後ウエスト域
13 クロッチ域
15 トップシート
16 バックシート
17 吸液性構造体
21 中央部
22 両側耳部
28 股下中央弾性要素
28A 股下中央弾性要素の交差部分
28B 股下中央弾性要素の非交差部分
32 サイドフラップ
37 第2ファスニング要素(ファスニング要素)
42 股下サイド弾性要素
50 前方域
51 後方域
52 中間域
55 凸条
56 凹条
H2 吸液性構造体の両側耳部の厚さ寸法
X 横方向
Y 縦方向
Z 厚さ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向及びそれに直交する横方向と、肌対向面及び非肌対向面とを有し、前ウエスト域と、後ウエスト域と、前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域と、前記クロッチ域を中心として前記前後ウエスト域に延びる少なくとも吸収性コアを有する吸液性構造体とを含む吸収性着用物品において、
前記吸液性構造体は、前記前後ウエスト域のうちの少なくとも前記前ウエスト域側において、前記クロッチ域から前記前ウエスト域まで延びる中央部と、前記中央部から前記横方向の外方に位置する両側耳部とを有し、前記両側耳部の剛性は前記中央部の剛性よりも低く、
前記中央部に隣接してこれに沿って前記縦方向へ延びる一対の股下中央弾性要素が、少なくとも前記クロッチ域の中央部近傍から前記前ウエスト域まで延びるとともに、前記非肌対向面側に位置する前記吸液性構造体の底面に当接しており、
前記股下中央弾性要素は、前記前ウエスト域において前記吸液性構造体の前記両側耳部と交差する交差部分と、前記クロッチ域において前記吸液性構造体と交差していない非交差部分とを有することを特徴とする前記吸収性着用物品。
【請求項2】
前記股下中央弾性要素の前記交差部分の前記縦方向における長さ寸法が、前記非交差部分の前記縦方向における長さ寸法の約5〜20%である請求項1に記載の吸収性着用物品。
【請求項3】
前記吸液性構造体において、前記両側耳部における前記吸収性コアの単位面積当たりの質量が、前記中央部における前記吸収性コアの単位面積当たりの質量よりも低い請求項1又は2に記載の着用物品。
【請求項4】
前記吸液性構造体の前記両側耳部は、その厚さ寸法が前記横方向の外方に向かうにつれて次第に小さくなっている傾斜形状を有しており、体液を吸収した状態においても傾斜形状が維持されている請求項1〜3のいずれかに記載の吸収性着用物品。
【請求項5】
前記吸液性構造体は、前記前ウエスト域側に位置する前方域と、前記後ウエスト域側に位置する後方域と、前記前後方部よりも幅狭な中間域とを有し、前記前後方域に前記両側耳部が形成されており、前記両側耳部に前記股下中央弾性要素の前記交差部位が交差している請求項1〜4のいずれかに記載の着用物品。
【請求項6】
前記吸液性構造体は、前記肌対向面側に位置する透液性のトップシートと、前記非肌対向面側に位置する不透液性のバックシートとの間に介在されており、前記トップシートの肌対向面には、前記縦方向へ延びる複数条の凸条と、前記凸条と交互に並行して延びる複数条の凹条とが形成されている請求項1〜5のいずれかに記載の着用物品。
【請求項7】
前記吸液性構造体の前記両側耳部は、前記肌対向面側が斜面に形成されている請求項4に記載の着用物品。
【請求項8】
前記吸液性構造体の前記両側縁の前記横方向外方に位置するサイドフラップにおいて、前記股下中央要素と並行して、かつ、それと所与寸法前記横方向において離間する股下サイド弾性要素が収縮可能に配設されている請求項1〜7のいずれかに記載の着用物品。
【請求項9】
前記前ウエスト域の両側縁と前記後ウエスト域の両側縁とを連結するためのファスナ手段を有し、前記ファスナ手段が少なくとも前記前ウエスト域の外面において前記横方向へ延びるファスニング要素を有し、前記ファスニング要素が、前記吸液性構造体の前端部を横断しており、前記股下中央弾性要素が前記ファスニング要素と交差していない請求項1〜7のいずれかに記載の着用物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−179207(P2012−179207A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43537(P2011−43537)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】