吸収性血管吻合装置{Absorbablevascularanastomoticsystem}
本発明は、前端には外部に突き出された多数のホックを持ち、後端にはリング形状の突起を持つ挿入管と、2個の挿入管が両端で内部に挿入されるように挿入管の突起に対応する溝を持つ連結管とを具備する。前記挿入管及び連結管は生体で吸収される材質であり、血管が内部に挿入されてホックに固定された2個の挿入管を連結管の両端で内部に挿入すると、両血管の内壁が連結管の中央部分でお互いに接触して吻合が成り立つ。本発明による血管吻合装置は追加の吻合機が必要なく狭い空間でも吻合が可能であり、人体に完全に吸収されるので、異物反応の危険を避けることができ、完全に吸収されてからは、吻合部位の血管が本来の血管弾力性を回復する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフリーフラップ(free flap)で血管を連結する血管吻合装置に関するものであり、より詳細には、2個の挿入管と1個の連結管によって簡単に血管を吻合することができる吸収性血管吻合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
外傷や腫瘍切除後に発生した組職欠損を再建するためにフリーフラップ(free flap)が利用されている。前記フリーフラップ(free flap)と言うのは、ドナー(donor)組職に血流を供給する血管を完全に切断してレシピエント部(recipient portion)に移動させた後、微小血管吻合術を通じて血管と前記レシピエント部(recipient portion)の血管とを連結することによって、組職を移す手術を言う。このようなフリーフラップ(free flap)でもっとも重要な血管吻合は、とても微細な縫合糸が頻繁に利用される。特に、微小血管吻合術は、最低限動脈1個と静脈2個を連絡しなければならない。経験豊富な微細手術専門外科医により施行されても、手術時間がおよそ1時間30分がかかるほどに難しい手術である。したがって、その手術方法を習得するために、長年の修練期間が必要となる。微小血管吻合術に於いて、動脈よりも静脈の方が縫合が困難である。さらに、ドナー(donor)血管とレシピエント部(recipient portion)の血管間の直径の差が大きいか、またはお互いに垂直で置かれた場合には縫合するのがより難しくなる。
【0003】
また、既存の縫合糸によるは針が血管の内壁を通過するときに血管内壁に損傷を与え、血栓などのような余病が発生する可能性がある。ドナー(donor)部とレシピエント部(recipient portion)との血管直径の差が大きい時は、微小血管吻合術を適用するのは困難である。そして、吻合時間が長くかかりフラップ虚血時間が長くなる場合、虚血再潅流損傷(ischemia-reperfusion injury)による余病のリスクが生じる。
【0004】
このような短所を補うために1962年 'Nakayama' などは2個の金属管(metalic rings)と12個の連結ピン(interlocking pins)とで構成される微小血管縫合機を開発した。それ以後、いくつの改変された微小血管縫合機が開発されたが、現在臨床に利用されているのは図4に示したSynovis社(Birminham, USA)のMACシステム(Microvascular Anastomotic Coupler system)のみである。
【0005】
図9乃至図11を参照してMACシステムの使用方法を説明することになる。先ず、血管測定ゲージ(vessel measuring gauge)を利用して血管直径を測定した後、適当な直径の掛けがね(ring)を選択して吻合機に装着する。引き継いで、ドナー(donor)部とレシピエント部(recipient portion)血管との間に吻合機をおいて、一側の血管を掛けがね内に挿入した後、血管内膜が外翻されるように覆して血管を掛けがねにあるピンにさして固定し、反対側の血管も同じ要領で固定する。次に、血管吻合機の取っ手の末端にある回転装置を回して両側の掛けがねを中間に集めて吻合を完成する。最後に、回転装置をもっと回すと、かみ合った掛けがねが吻合機から徐々に抜けでるようにする。
【0006】
このようなMACシステムは従来の縫合糸による微小血管吻合術に比べて多くの長所を持っている。まず、MACを利用した血管吻合時間は約5分位に短くかかる。短い吻合時間はフラップ虚血を減らして虚血再潅流損傷による余病危険度を低めることだけではなく、手術時間全体を節減することができる。したがって、2個のフリーフラップが必要な手術や静脈移植が必要な手術のように、長時間必要となる手術に特に有用に使われることができる。第二に、ドナー(donor)部とレシピエント部(recipient portion)の血管直径の差が大きい場合にも容易に吻合することができる。ある血管直径が他の血管の3.5倍大きくても容易に吻合することができる。第三に、手術の後、長期間の追跡観察結果が縫合糸を利用した血管吻合に劣らない。正常血管だけではなく放射線を受けた血管(irradiated vessel)の場合にも機械的な血管吻合が縫合糸による血管吻合に比べて同等のあるいはよりすぐれた開存率(graftpatency rate)を示す。最後に、縫合糸による血管吻合に比べて血管吻合の技術習得に必要な修練期間が短い。よって、成功率を高めることが可能である。
【0007】
前記MAC血管吻合機は多くの長所があるが、価格が縫合糸に比べて非常に高価で患者に経済的な負担を与える。また、人体に永久的に残るので、異物反応(foreign body reaction)が生ずる可能性がある。このような自動血管吻合機は、まだポリエチレン(polyethylene)で作られていて、周りの血管を圧迫する余地もあり、硬くて正常血管のような弾力性がないという短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、簡単に血管吻合を施行することができ、一定の時間後には完全に生体で吸収され異物反応を最小限に留めることができる吸収性血管吻合装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの態様において、前記の目的等を果たすための本発明による吸収性血管吻合装置は、前端には外部に突き出された多数のホックを持ち、後端にはリング形状の突起を持つ挿入管と、2個の前記挿入管がその両端で内部に挿入されるように前記挿入管の前記突起に対応する溝を持つ連結管とを含んで構成され、前記挿入管及び連結管は生体で吸収される材質であり、血管が内部に挿入されて前記ホックに固定された2個の前記挿入管を前記連結管の両端で内部へ挿入すると、両血管の内壁が前記連結管の中央部分でお互いに接触して吻合が成り立つことを特徴とする。
【0010】
前記挿入管の前端は、120度間隔で分離された3個の部分を持つ円筒状管であり、前記分離された3個の部分それぞれには前記ホックが2個ずつ配置されるのが望ましい。
【0011】
前記連結管の内部中央部分は前記挿入管の前記ホックと触れ合わない程度の空間を持つのが望ましい。
【0012】
前記挿入管及び連結管はPLGA(polylactic-glycolic acid)を使用し、乳酸(lactic acid)とグリコール酸(glycolic acid)の混合割合を調整して吸収時間を調節するのが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
従来のMACシステムは、別に吻合機のための追加の空間が必要であるが、本発明による血管吻合装置は追加の吻合機が必要ないため狭い空間でも吻合が可能である。
【0014】
また、従来のMACシステムは永久的に人体に残って異物反応を起こす短所があるが、本発明による吸収性血管吻合装置は人体に完全に吸収されるので、異物反応の危険を避けることができるし、完全に吸収されてからは、吻合部位の血管が本来の血管弾力性を回復することになる。
【0015】
さらに、従来のMAC システムに比べて本発明による吸収性血管吻合装置は低コストで生産することができるので、微細手術の活用範囲を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】それぞれ本発明の望ましい実施例による挿入管の斜視図、側面図及び平面図である。
【図2】それぞれ本発明の望ましい実施例による挿入管の斜視図、側面図及び平面図である。
【図3】それぞれ本発明の望ましい実施例による挿入管の斜視図、側面図及び平面図である。
【図4】本発明の望ましい実施例による連結管の断面図である。
【図5】連結管に2個の挿入管が挿入された状態を説明するための図面である。
【図6】血管が挿入管に挿入される前の状態を現わす図面である。
【図7】血管が挿入管に挿入されてホックにより固定された後の状態を現わす図面である。
【図8】挿入管と連結管によって血管が吻合された状態を現わす図面である。
【図9】従来技術によるMACシステムを説明する図面である。
【図10】従来技術によるMAC システムを利用して血管を吻合する方法を説明する図面等である。
【図11】従来技術によるMAC システムを利用して血管を吻合する方法を説明する図面等である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付された図面を参照して本発明による望ましい実施例を詳細に説明する。しかし、以下の実施例はこの技術分野で通常の知識を持った者に本発明が充分に理解されるように提供されるものとして、多くの種の形態で変形することができ、本発明の範囲が次に記述される実施例に限定されない。
【0018】
本発明による吸収性血管吻合装置は2個の挿入管と1個の連結管とで構成される。以下、図1ないし図3を参照して挿入管を説明し、図4及び図5を参照して連結管を説明した後、図6ないし図8を参照して挿入管と連結管を利用して血管吻合を施行する方法について説明する。
【0019】
図1ないし図3はそれぞれ本発明の望ましい実施例による挿入管100の斜視図、側面図及び平面図である。
【0020】
図2に図示されたように、本発明の望ましい実施例による挿入管100は前端101と後端103とで分けることができる。前端101には参照番号102で示した円筒状管に外部に突き出された多数のホック104が付着している。参照番号 102で示した円筒状管は全体として1つでも良いが、図1に示したように、120度間隔で分離された3個の部分に分けられてもよい。本発明の実施例によれば、120度間隔で分離した円筒状管102それぞれには2個ずつのホック104が配置されている。
【0021】
前記挿入管100の後端103にはリング形状の突起106が用意されている。
【0022】
図1及び図2に図示されたように、一つの挿入管に2個のリング形状の突起106が配置されるのが望ましい。望ましい実施例によれば、前端101と後端103を含む挿入管100の全長は約4mmであり、円筒状管の外部半径は2.25mmであり、ホックは約0.5mmの高さを持つ。この大きさは微細手術で一番よく吻合する2-3mm直径の血管を吻合するための吻合機の大きさであり、血管の直径にあわせて調製することができる。
【0023】
図4は本発明の望ましい実施例による連結管200の断面図であり、図5は連結管200に2個の挿入管100が挿入された状態を説明するための図面である。
【0024】
図4及び図5を参照すれば、連結管200は2個の挿入管100が内部に挿入されることができる構造である。したがって、連結管200の内部は円筒状であり、挿入管のリング形状の突起106に対応する溝202を持つ。2個の挿入管100が両端で連結管200の内部に挿入される構造なので、連結管200は内部の両端に2個ずつの溝202を持つ。前記連結管200の内部中央部分はホックと触れ合わない程度の空間204を持たなければならない。
【0025】
望ましい実施例によれば、前記連結管200の長さは8.1mmであり、外部半径は3mmである。
【0026】
引き継いで、図6は血管300が前記挿入管100に挿入される前の状態を示し、図7は血管300が挿入管100に挿入されてホックにより固定された後の状態を示し、図8は挿入管100と連結管200により血管300が吻合された後の状態を示す。
【0027】
図6を参照すれば、前記挿入管100を利用して前記血管300を吻合するために、前記血管300は挿入管100の内部に挿入されるようになる。そして、図7を参照すれば、前記血管300が挿入管100を通り抜けた後、ひっくり返ってホック104に固定されるようになる。反対側の他の血管でも同じように血管が挿入管に挿入される。
【0028】
図8を参照すれば、前記血管300が挿入された挿入管100は前記連結管200の両端で挿入される。それから、前記挿入管100のリング形状の突起106によって前記連結管200と固定され、2つの血管300が挿入された挿入管100は連結管200の中央で合わさる。そして両血管の内壁がお互いに接触し血管の内壁は4〜5日内に血管内皮細胞で覆われて吻合が成り立つようになる。
【0029】
したがって、このような2個の挿入管100と1個の連結管200を含む血管吻合装置を利用すれば、短い時間の間に吻合を完了することができるし、両血管の直径が違ってもその差を容易に克服することができる。また、技術習得に必要な修練期間が短いので、高い成功率をおさめることができる。
【0030】
このような本発明による血管吻合装置は吸収性ではなければならない。すなわち、血管吻合後、血管内面の間隙が血管内皮細胞で完全に補われるためには、ほんの2〜3週間以内ならば十分であるから、吸収性血管吻合装置は数ヶ月内に生体で吸収されるようにPLGA(polylactic-glycolic acid)を使ってもよい。この時、吸収時間は乳酸(lactic acid)とグリコール酸(glycolic acid)の混合割合によって調節することができる。
【0031】
具体的に説明すれば、生分解性高分子の分解は主に水や土壌の中の微生物によって加水分解されることができる主鎖結合(intrachain bond)で起きて、分解が進行することによって分子量を減少させ、最終的に単量体 に再生されるか、または、水と二酸化炭素に分解される。
【0032】
加水分解性主鎖としては、アミド、エステル、尿素、ウレタンなどがよく知られている。これらの中で、物理及び化学的物性を持ちながら十分な分解性を見せ、微生物あるいは化学的合成から得られる脂肪族ポリエステルが重要である。前記脂肪族ポリエステルたちは一般的に二つのグループで分類される。一つのグループは、化学的合成から得られるPLA(poly lactide), PGA(polyglycolide), PCL(poly caprolactone)などがあり、他の グループは、微生物から合成されるPHB(poly hydroxybutyrate)とHB-co-HV(poly hydroxybutyrate-co-valerate)などがある。
【0033】
この中で、PLAは生分解性、生体適合性、優秀な機械的物性及び工程の中に汎用溶媒に易しく溶解される特性により多様な生体医療用材料で広く使われている。しかし、PLAは低い生分解性速度を持つから、特定生体医療用用途に限界を持つ。したがって、共重合を通じて高分子鎖内にグリコライド(glycolide)を取り入れることによって、生分解性速度を制御することができる。PLAとPGAの共重合体であるPLGAは、共重合体内のLAとGAの割合によって異なる分解速度を示す。前記LA:GAの割合が50:50である場合、一番分解速度が早い。この時、約2ヶ月後には完全に分解される。
【技術分野】
【0001】
本発明はフリーフラップ(free flap)で血管を連結する血管吻合装置に関するものであり、より詳細には、2個の挿入管と1個の連結管によって簡単に血管を吻合することができる吸収性血管吻合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
外傷や腫瘍切除後に発生した組職欠損を再建するためにフリーフラップ(free flap)が利用されている。前記フリーフラップ(free flap)と言うのは、ドナー(donor)組職に血流を供給する血管を完全に切断してレシピエント部(recipient portion)に移動させた後、微小血管吻合術を通じて血管と前記レシピエント部(recipient portion)の血管とを連結することによって、組職を移す手術を言う。このようなフリーフラップ(free flap)でもっとも重要な血管吻合は、とても微細な縫合糸が頻繁に利用される。特に、微小血管吻合術は、最低限動脈1個と静脈2個を連絡しなければならない。経験豊富な微細手術専門外科医により施行されても、手術時間がおよそ1時間30分がかかるほどに難しい手術である。したがって、その手術方法を習得するために、長年の修練期間が必要となる。微小血管吻合術に於いて、動脈よりも静脈の方が縫合が困難である。さらに、ドナー(donor)血管とレシピエント部(recipient portion)の血管間の直径の差が大きいか、またはお互いに垂直で置かれた場合には縫合するのがより難しくなる。
【0003】
また、既存の縫合糸によるは針が血管の内壁を通過するときに血管内壁に損傷を与え、血栓などのような余病が発生する可能性がある。ドナー(donor)部とレシピエント部(recipient portion)との血管直径の差が大きい時は、微小血管吻合術を適用するのは困難である。そして、吻合時間が長くかかりフラップ虚血時間が長くなる場合、虚血再潅流損傷(ischemia-reperfusion injury)による余病のリスクが生じる。
【0004】
このような短所を補うために1962年 'Nakayama' などは2個の金属管(metalic rings)と12個の連結ピン(interlocking pins)とで構成される微小血管縫合機を開発した。それ以後、いくつの改変された微小血管縫合機が開発されたが、現在臨床に利用されているのは図4に示したSynovis社(Birminham, USA)のMACシステム(Microvascular Anastomotic Coupler system)のみである。
【0005】
図9乃至図11を参照してMACシステムの使用方法を説明することになる。先ず、血管測定ゲージ(vessel measuring gauge)を利用して血管直径を測定した後、適当な直径の掛けがね(ring)を選択して吻合機に装着する。引き継いで、ドナー(donor)部とレシピエント部(recipient portion)血管との間に吻合機をおいて、一側の血管を掛けがね内に挿入した後、血管内膜が外翻されるように覆して血管を掛けがねにあるピンにさして固定し、反対側の血管も同じ要領で固定する。次に、血管吻合機の取っ手の末端にある回転装置を回して両側の掛けがねを中間に集めて吻合を完成する。最後に、回転装置をもっと回すと、かみ合った掛けがねが吻合機から徐々に抜けでるようにする。
【0006】
このようなMACシステムは従来の縫合糸による微小血管吻合術に比べて多くの長所を持っている。まず、MACを利用した血管吻合時間は約5分位に短くかかる。短い吻合時間はフラップ虚血を減らして虚血再潅流損傷による余病危険度を低めることだけではなく、手術時間全体を節減することができる。したがって、2個のフリーフラップが必要な手術や静脈移植が必要な手術のように、長時間必要となる手術に特に有用に使われることができる。第二に、ドナー(donor)部とレシピエント部(recipient portion)の血管直径の差が大きい場合にも容易に吻合することができる。ある血管直径が他の血管の3.5倍大きくても容易に吻合することができる。第三に、手術の後、長期間の追跡観察結果が縫合糸を利用した血管吻合に劣らない。正常血管だけではなく放射線を受けた血管(irradiated vessel)の場合にも機械的な血管吻合が縫合糸による血管吻合に比べて同等のあるいはよりすぐれた開存率(graftpatency rate)を示す。最後に、縫合糸による血管吻合に比べて血管吻合の技術習得に必要な修練期間が短い。よって、成功率を高めることが可能である。
【0007】
前記MAC血管吻合機は多くの長所があるが、価格が縫合糸に比べて非常に高価で患者に経済的な負担を与える。また、人体に永久的に残るので、異物反応(foreign body reaction)が生ずる可能性がある。このような自動血管吻合機は、まだポリエチレン(polyethylene)で作られていて、周りの血管を圧迫する余地もあり、硬くて正常血管のような弾力性がないという短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、簡単に血管吻合を施行することができ、一定の時間後には完全に生体で吸収され異物反応を最小限に留めることができる吸収性血管吻合装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの態様において、前記の目的等を果たすための本発明による吸収性血管吻合装置は、前端には外部に突き出された多数のホックを持ち、後端にはリング形状の突起を持つ挿入管と、2個の前記挿入管がその両端で内部に挿入されるように前記挿入管の前記突起に対応する溝を持つ連結管とを含んで構成され、前記挿入管及び連結管は生体で吸収される材質であり、血管が内部に挿入されて前記ホックに固定された2個の前記挿入管を前記連結管の両端で内部へ挿入すると、両血管の内壁が前記連結管の中央部分でお互いに接触して吻合が成り立つことを特徴とする。
【0010】
前記挿入管の前端は、120度間隔で分離された3個の部分を持つ円筒状管であり、前記分離された3個の部分それぞれには前記ホックが2個ずつ配置されるのが望ましい。
【0011】
前記連結管の内部中央部分は前記挿入管の前記ホックと触れ合わない程度の空間を持つのが望ましい。
【0012】
前記挿入管及び連結管はPLGA(polylactic-glycolic acid)を使用し、乳酸(lactic acid)とグリコール酸(glycolic acid)の混合割合を調整して吸収時間を調節するのが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
従来のMACシステムは、別に吻合機のための追加の空間が必要であるが、本発明による血管吻合装置は追加の吻合機が必要ないため狭い空間でも吻合が可能である。
【0014】
また、従来のMACシステムは永久的に人体に残って異物反応を起こす短所があるが、本発明による吸収性血管吻合装置は人体に完全に吸収されるので、異物反応の危険を避けることができるし、完全に吸収されてからは、吻合部位の血管が本来の血管弾力性を回復することになる。
【0015】
さらに、従来のMAC システムに比べて本発明による吸収性血管吻合装置は低コストで生産することができるので、微細手術の活用範囲を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】それぞれ本発明の望ましい実施例による挿入管の斜視図、側面図及び平面図である。
【図2】それぞれ本発明の望ましい実施例による挿入管の斜視図、側面図及び平面図である。
【図3】それぞれ本発明の望ましい実施例による挿入管の斜視図、側面図及び平面図である。
【図4】本発明の望ましい実施例による連結管の断面図である。
【図5】連結管に2個の挿入管が挿入された状態を説明するための図面である。
【図6】血管が挿入管に挿入される前の状態を現わす図面である。
【図7】血管が挿入管に挿入されてホックにより固定された後の状態を現わす図面である。
【図8】挿入管と連結管によって血管が吻合された状態を現わす図面である。
【図9】従来技術によるMACシステムを説明する図面である。
【図10】従来技術によるMAC システムを利用して血管を吻合する方法を説明する図面等である。
【図11】従来技術によるMAC システムを利用して血管を吻合する方法を説明する図面等である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付された図面を参照して本発明による望ましい実施例を詳細に説明する。しかし、以下の実施例はこの技術分野で通常の知識を持った者に本発明が充分に理解されるように提供されるものとして、多くの種の形態で変形することができ、本発明の範囲が次に記述される実施例に限定されない。
【0018】
本発明による吸収性血管吻合装置は2個の挿入管と1個の連結管とで構成される。以下、図1ないし図3を参照して挿入管を説明し、図4及び図5を参照して連結管を説明した後、図6ないし図8を参照して挿入管と連結管を利用して血管吻合を施行する方法について説明する。
【0019】
図1ないし図3はそれぞれ本発明の望ましい実施例による挿入管100の斜視図、側面図及び平面図である。
【0020】
図2に図示されたように、本発明の望ましい実施例による挿入管100は前端101と後端103とで分けることができる。前端101には参照番号102で示した円筒状管に外部に突き出された多数のホック104が付着している。参照番号 102で示した円筒状管は全体として1つでも良いが、図1に示したように、120度間隔で分離された3個の部分に分けられてもよい。本発明の実施例によれば、120度間隔で分離した円筒状管102それぞれには2個ずつのホック104が配置されている。
【0021】
前記挿入管100の後端103にはリング形状の突起106が用意されている。
【0022】
図1及び図2に図示されたように、一つの挿入管に2個のリング形状の突起106が配置されるのが望ましい。望ましい実施例によれば、前端101と後端103を含む挿入管100の全長は約4mmであり、円筒状管の外部半径は2.25mmであり、ホックは約0.5mmの高さを持つ。この大きさは微細手術で一番よく吻合する2-3mm直径の血管を吻合するための吻合機の大きさであり、血管の直径にあわせて調製することができる。
【0023】
図4は本発明の望ましい実施例による連結管200の断面図であり、図5は連結管200に2個の挿入管100が挿入された状態を説明するための図面である。
【0024】
図4及び図5を参照すれば、連結管200は2個の挿入管100が内部に挿入されることができる構造である。したがって、連結管200の内部は円筒状であり、挿入管のリング形状の突起106に対応する溝202を持つ。2個の挿入管100が両端で連結管200の内部に挿入される構造なので、連結管200は内部の両端に2個ずつの溝202を持つ。前記連結管200の内部中央部分はホックと触れ合わない程度の空間204を持たなければならない。
【0025】
望ましい実施例によれば、前記連結管200の長さは8.1mmであり、外部半径は3mmである。
【0026】
引き継いで、図6は血管300が前記挿入管100に挿入される前の状態を示し、図7は血管300が挿入管100に挿入されてホックにより固定された後の状態を示し、図8は挿入管100と連結管200により血管300が吻合された後の状態を示す。
【0027】
図6を参照すれば、前記挿入管100を利用して前記血管300を吻合するために、前記血管300は挿入管100の内部に挿入されるようになる。そして、図7を参照すれば、前記血管300が挿入管100を通り抜けた後、ひっくり返ってホック104に固定されるようになる。反対側の他の血管でも同じように血管が挿入管に挿入される。
【0028】
図8を参照すれば、前記血管300が挿入された挿入管100は前記連結管200の両端で挿入される。それから、前記挿入管100のリング形状の突起106によって前記連結管200と固定され、2つの血管300が挿入された挿入管100は連結管200の中央で合わさる。そして両血管の内壁がお互いに接触し血管の内壁は4〜5日内に血管内皮細胞で覆われて吻合が成り立つようになる。
【0029】
したがって、このような2個の挿入管100と1個の連結管200を含む血管吻合装置を利用すれば、短い時間の間に吻合を完了することができるし、両血管の直径が違ってもその差を容易に克服することができる。また、技術習得に必要な修練期間が短いので、高い成功率をおさめることができる。
【0030】
このような本発明による血管吻合装置は吸収性ではなければならない。すなわち、血管吻合後、血管内面の間隙が血管内皮細胞で完全に補われるためには、ほんの2〜3週間以内ならば十分であるから、吸収性血管吻合装置は数ヶ月内に生体で吸収されるようにPLGA(polylactic-glycolic acid)を使ってもよい。この時、吸収時間は乳酸(lactic acid)とグリコール酸(glycolic acid)の混合割合によって調節することができる。
【0031】
具体的に説明すれば、生分解性高分子の分解は主に水や土壌の中の微生物によって加水分解されることができる主鎖結合(intrachain bond)で起きて、分解が進行することによって分子量を減少させ、最終的に単量体 に再生されるか、または、水と二酸化炭素に分解される。
【0032】
加水分解性主鎖としては、アミド、エステル、尿素、ウレタンなどがよく知られている。これらの中で、物理及び化学的物性を持ちながら十分な分解性を見せ、微生物あるいは化学的合成から得られる脂肪族ポリエステルが重要である。前記脂肪族ポリエステルたちは一般的に二つのグループで分類される。一つのグループは、化学的合成から得られるPLA(poly lactide), PGA(polyglycolide), PCL(poly caprolactone)などがあり、他の グループは、微生物から合成されるPHB(poly hydroxybutyrate)とHB-co-HV(poly hydroxybutyrate-co-valerate)などがある。
【0033】
この中で、PLAは生分解性、生体適合性、優秀な機械的物性及び工程の中に汎用溶媒に易しく溶解される特性により多様な生体医療用材料で広く使われている。しかし、PLAは低い生分解性速度を持つから、特定生体医療用用途に限界を持つ。したがって、共重合を通じて高分子鎖内にグリコライド(glycolide)を取り入れることによって、生分解性速度を制御することができる。PLAとPGAの共重合体であるPLGAは、共重合体内のLAとGAの割合によって異なる分解速度を示す。前記LA:GAの割合が50:50である場合、一番分解速度が早い。この時、約2ヶ月後には完全に分解される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端には外部に突き出された多数のホックを持ち、後端にはリング形状の突起を持つ挿入管と、
2個の前記挿入管がその両端で内部に挿入されるように前記挿入管の前記突起に対応する溝を持つ連結管とを含んで構成され、
前記挿入管及び連結管は生体で吸収される材質であり、
血管が内部に挿入されて前記ホックに固定された2個の前記挿入管を前記連結管の両端で内部へ挿入すれば、両血管の内壁が前記連結管の中央部分でお互いに接触されて吻合が成り立つことを特徴とする吸収性血管吻合装置。
【請求項2】
前記挿入管の前端は、120度間隔で3つの部分に分離された円筒状管であり、前記分離された3つの部分それぞれには前記ホックが2個ずつ配置されることを特徴とする請求項1に記載の吸収性血管吻合装置。
【請求項3】
前記連結管の内部中央部分は前記挿入管の前記ホックと触れ合わないほどの空間を持つことを特徴とする請求項1に記載の吸収性血管吻合装置。
【請求項4】
前記挿入管及び連結管はPLGA(polylactic-glycolic acid)を使用し、乳酸(lactic acid)とグリコール酸(glycolic acid)の混合割合を調整することで吸収時間を調節することを特徴とする請求項1に記載の吸収性血管吻合装置。
【請求項1】
前端には外部に突き出された多数のホックを持ち、後端にはリング形状の突起を持つ挿入管と、
2個の前記挿入管がその両端で内部に挿入されるように前記挿入管の前記突起に対応する溝を持つ連結管とを含んで構成され、
前記挿入管及び連結管は生体で吸収される材質であり、
血管が内部に挿入されて前記ホックに固定された2個の前記挿入管を前記連結管の両端で内部へ挿入すれば、両血管の内壁が前記連結管の中央部分でお互いに接触されて吻合が成り立つことを特徴とする吸収性血管吻合装置。
【請求項2】
前記挿入管の前端は、120度間隔で3つの部分に分離された円筒状管であり、前記分離された3つの部分それぞれには前記ホックが2個ずつ配置されることを特徴とする請求項1に記載の吸収性血管吻合装置。
【請求項3】
前記連結管の内部中央部分は前記挿入管の前記ホックと触れ合わないほどの空間を持つことを特徴とする請求項1に記載の吸収性血管吻合装置。
【請求項4】
前記挿入管及び連結管はPLGA(polylactic-glycolic acid)を使用し、乳酸(lactic acid)とグリコール酸(glycolic acid)の混合割合を調整することで吸収時間を調節することを特徴とする請求項1に記載の吸収性血管吻合装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2010−536526(P2010−536526A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522790(P2010−522790)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際出願番号】PCT/KR2008/004335
【国際公開番号】WO2009/028799
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(510038533)メタ バイオメド カンパニー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際出願番号】PCT/KR2008/004335
【国際公開番号】WO2009/028799
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(510038533)メタ バイオメド カンパニー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]